「ん…」
ニャンが目覚めるとそこは自宅のベッドの上だった。
(そっか…私…保健室で気を失って…)
ガチャ
ニャンの部屋のドアが開く
「よかった…気がついたのね、気分はどう?」
ニャンの母が尋ねる。
「うん…もう平気」
「あなたー、娘が目を覚ましたわよ〜!」
ドタドタと急いで上がってくる音が聞こえる。
「娘!大丈夫か?
学校には文句言っといたからな」
「やめてよ、も〜
私がダイエットの為に水分取らなかっのが悪いんだから」
ニャンはもっともらしい嘘をつく
(本当のことなんて言えないよ…)
「そうか…でも無理は駄目だぞ
女の子は少しぽっちゃりしたほうが可愛いんだから」
「わかった、ごめんね心配かけて、仕事休ませたね」
「いいさ…子供の心配するのは親の役目だからな」
「今日はゆっくり休むんだぞ」
そういうと二人とも部屋をでていった。
ニャンは一人になり、今日のことを思い出す。
(そんなこと…あるはずない…)
(先輩が犯人の訳ないよ…あんなに…優しいのに)
(痴漢にあったときだって助けて…くれ…)
その時、ニャンの脳裏にある推測がよぎる。
(痴漢の時も、下駄箱の時も、それにあの時だって
先輩は近くにいた…!?)
(それに、先輩が保健室で落としたあのスイッチ…
あれが落ちた瞬間と同時にパンツのブルブルが動いた…)
(でも、偶然かもしれないし…完全な証拠がないと…)
ニャンは何かを決意したような真剣な顔に変わる。
(明日、証拠を掴んでやる。
間違ってたら先輩はいい人だったってことだし…)
し〜まし〜ま しましましまパン♪(変態っ)
決意が削がれるような、着信音がなる。
『明日もシマパンデーだ!
今日は途中で帰っちゃって退屈だったよ♪』
メールの内容を見て、いつもならため息をはく
ニャンだが今回は笑顔を見せる。
(よーし、見てらっしゃい変態さん
あなたの悪事は私が暴いてあげるわ!)
探偵きどりのニャンは明日の為に早く寝床についた。
…
次の日、絶好の確認のチャンスが訪れる。
お昼の校内放送[エンジェルタイム]のゲストが
如月先輩なのだ。
(この時間に生徒会室を調べよう…)
お昼休みになり、ゲストの如月先輩が話し出すと
教室中で歓声があがり、みんな放送に集中している。
(よし、この隙に…)
ニャンは教室を抜け出し、生徒会室に向かう。
到着し、中を伺うが誰もいない。
ニャンはそうっと中に忍び込む。
(えっと…先輩の席は…)
生徒会長の席はすぐにみつかる。
なにしろ、一般の席とは豪華さが格段に違う。
ニャンは机の引き出しを調べ始めた。
(先輩が犯人なら…スイッチとか
盗撮カメラとかが見つかるはず…)
ニャンは中をくまなく調べたがめぼしいものはない。
あったのは悪趣味な仮面くらいだ。
あとニャンが探していないのは鍵のかかった
キャビネットだけになった。
「じゃーん!」
そう言いながらニャンはヘヤピンを取り出す。
「やっぱり、鍵をあけるのはこれだね♪」
ニャンは鍵穴にヘヤピンをぶっさしガチャガチャと
動かしてみるが一向にく気配がない。
(あれ…おかしいな…ドラマだと簡単そうなのに…)
「何をしているのかな?泥棒猫ちゃん」
突然の声にニャンは思わず跳び上がった。
目の前にいるのが如月だった為、ニャンは
さらに驚く。
「えっ…なんで?…だって…」
ニャンはそういいながらスピーカーを指差す。校内放送からはまだ如月の声が聞こえていた。
「あぁ、これかい?
噛んだりするのが恥ずかしいから
録音にしてもらったんだ♪」
「それよりも、君は何をしてたのかな?」
「えっ…あ、あの…えと…」
ニャンは返答に困り、うろたえていた。
(負けちゃ駄目…ここは攻めの一手しかない)
「か、覚悟しなさい…如月先輩
必ずあなたの悪事を暴いてみせるから」
ニャンは一か八かの賭けに出る。
「あなたは今、内心焦っているはず、
変態ぶりが暴かれないかと
『何をばかなこと』とあなたは言う…」
「何をばかなこと……はっ!」
「お天道様が許しても、この戸持娘が
許さないんだから…!」
ニャンは如月を指差しポーズを決めた。
「何を勘違いしてるのか解らないけど
泥棒が人を変態呼ばわりかい?
ひどい娘だね、君は…」
如月は冷静さを崩さない。
「ふんっ…すましているのも今のうちよ
まずはそのポケットの中にあるものを出しなさい」
ニャンはスイッチがある確信はまったく
なかったが攻めるしかなかった。
「しょうがないな…ほら…」
如月のポケットからスイッチが出てくる。
(勝った…これで証拠がそろう)
ニャンはそのスイッチを押してみる。
カチッ
「胸騒ぎのチェリーヌ!」
スイッチから声が出てくる。
(あれ…)
ニャンはボタンを連打する
「むむむ、むな、むな胸騒ぎのチェリーヌ!」
(な…なんで)
「これは生徒会で開発中のチェリーヌ学院グッズだよ」
(パンツのスイッチ…じゃない…?)
『生徒会長と何を話しているんだ?
余計なことはしないことだ…』
「えっ…」
(如月先輩は喋ってもいない。
なら、この声は…いったい…誰…?
如月先輩が犯人じゃないなら…)
ブブブブブブブブブ!
突然、ニャンのパンツが震動を始める。
「ひゃあっ…あっ」
「き…如月先輩…ご…ごめんなさい
わたし…勘違いして…あぁ…ました…」
ニャンの顔は疑ってしまった恥ずかしさと
罪悪感、そして快感への耐えで真っ赤に
なってしまっていた。
「なんでか解らないけど、俺の容疑は
晴れたみたいでよかったよ。
可愛い女の子に疑われたままじゃ
俺も寝覚めが悪いからね」
「ほん…とに…すみませんでした…あぁ」
そういうとニャンは内股になりながら
生徒会室を出ていく
「あなたは…いったい…誰なの?」
ニャンが犯人に問いかける。
『誰でもいいじゃないか
それにしても、あのスーパー生徒会長こと
如月唯人を疑うとはな…w』
「だって…」
『恥をかきたくなかったら、今後私の
正体を詮索するのはやめることだ』
「くっ…」
ニャンは悔しさと自分の安易さに涙を浮かべていた。
(先輩ごめんなさい…)
…
一方、生徒会室では如月が机に脚をかけ
怪しい笑みを浮かべていた。
「くくく…うまくいったな…
惜しかったね、子猫ちゃん
疑われるかもしれないと解ってて何も対応策を
考えない訳がないじゃないか
用意していた録音テープの内容がうまく噛み合ってよかったよ」
「一旦、疑わせといて容疑を晴らす。
これでもうあの娘は俺を疑うことはないだろう。
むしろ扱いやすくなったはず」
「次は誰をターゲットにしようか…
水無月遥…こいつは俺にベタ惚れだから後回しでいい
神無月葵…こいつにはあのスーパー執事『長月 平之丞』がついている
厄介だからこれも後回しだな
葉月クルミ…こいつはガキすぎて問題外だ
俺はそっちの趣味はない」
「となるとやはりあの双子姉妹か…
弱みも握ってるし、天使の涙も頂けそうだしな
ブラックファンドに乗り込むとするか…」