「さあ、ちゃんとアタシについて来るっすよ〜」
「あぁん、待ってよつぼみちゃぁぁん」
「…あ…」
「……置いてかれちゃったね、ヴィヴィ」
「…うん」
ここはJR秋葉原駅。
つぼみの発案で3人連れ立ってやって来たものの、当のつぼみは白絹とヴィヴィアンを残したま
まスルスルと人の(肉の?)間をかき分けて出ていってしまった。そして取り残された2人は、出口
へ向か…っているはずだが一向に進まない人の波の中で押し潰されそうになっていたのだった。
「きゃ!」「!」
混雑の中でよろけた白絹を、とっさにヴィヴィアンが抱き止めた。
「大丈夫?」
「うん…ありがと」
一瞬安心の笑顔を交わした2人だったが、次の電車が到着したらしく混雑ぶりはさらに激しさを増
してしまった。その抱き合った姿勢のまま、新たなおしくら饅頭に巻き込まれていく。
「あの…白絹……」
「え?…あっ、ああっ!」
上からの声に顔を上げた白絹。ヴィヴィアンの視線を目で追って初めて気がついた。
白絹の両手が、ちょうどヴィヴィアンのバストを鷲掴みにするような形になっていたのだ。よろ
けた時、思わず何かに掴まろうとしてそんなことになったらしかった。その手から彼女の鼓動が
トクン、トクンと伝わってくる。
「あのっ、ご、ゴメンなさ……」
「……いいの。それより……」
頬をピンクに染めたヴィヴィアンは白絹の耳元へそっと唇を寄せた。普段のクールは彼女からは
想像もできない、熱い吐息が白絹の首筋をくすぐる。
「手、動かしてみて…」
鼓動がドクン、とひときわ大きくなった。