月曜日の朝。登校する白絹の表情は物憂げであった。
今の彼女には気がかりな問題が一つあったからだ。
それは昨晩、姉が帰ってこなかったという事。
もちろん姉の繭は自立した大人なので一晩くらいの外泊など、どうこう言うほどの事ではなかったが、何も連絡なしに、という点が多少引っかかった。
その白絹の前に一人の男が立ちふさがった。
「失礼。私はこういう者ですが、あなたは小春野繭さんの妹さんですね」
そう言いながら男は名刺を白絹に差し出した。
もし男が「小春野白絹さんですね」と話しかけていたら、いくらお人好しの彼女でも一応警戒しただろう。
しかしちょうど気にかけていた姉の名前を出されて、見知らぬ男に対する警戒よりも、姉の消息を知りたいという気持ちが先に立った。
白絹は受け取った名刺の文字を目で追う。
どうやらマスコミ関係の人間らしい。すると姉の昨晩の外泊はテレビ局の急な仕事のためだったのだろうか?
一方男は何気ない顔を装いながらテレパシーで白絹の心を探っていた。
実はこの男こそ繭を誘拐した張本人であり、ナクール星から地球を侵略するためにやってきた宇宙人組織のリーダーだった。
(むう、この娘、一見平凡な普通の少女に見えるが、私のテレパシーで心を読む事ができない。やはりこの白絹という娘がアルティメットガールの正体なのか?)
「あの、さっき私の姉の名前を言われましたけど……」
「はい、繭さんは今、私の仲間の元にいます」
私の仲間と言うと、やはりマスコミ関係者なのか?
どうやら姉はテレビ局の仕事で昨夜は帰れなかったらしい。
時間が不規則なマスコミの仕事ではさして不自然な事ではなかった。
そう考えて白絹はほっと安心する。
「しかし、あなたとこうして話すことができるのは光栄です」
「えっ? いやあ、そんなあ」
白絹はよく意味もわからないまま照れた。
「今、世間で大人気のアルティメットガールと直接、話ができたのですから」
「えへへ…、いやぁ……、えっ? えええっ!」
白絹の表情が驚きに変わる。
「な、なな、な、なにを、いいいい、言って、るんで、でででで、すか、
わわわ、私は、アル、ティ、メ、メラ、トロ、ガァル、にゃんかにゃ、あ、あり、まひぇん、にょ」
いくらとぼけようとしても、ここまで動揺していたらごまかせるはずがない。
彼女が本当にアルティメットガールでないのなら
「ハァ? あの、何を言ってるんですか?」程度の薄い反応しか、返ってこないだろう。
それがこれほどあわてているのだから、隠しようがなかった。
「フフフ、実は私は地球を我らが星の支配下に置くためにやって来たナクール星人。
アルティメットガール、おまえの姉、小春野繭は我々の手の中にある。姉の命が惜しければ我々の挑戦を受けよ」
「い、いやです。それよりお姉ちゃんを返して!」
そんなやりとりをする二人の前に一台のバイクがやってきて停車した。
バイクを運転していた少年が白絹に向かって話しかける。
「おはよう、白絹君。急がないと遅刻するぜ。よかったら後ろに乗せていこうか?」
少年は白絹が秘かに恋しく思っている諸星真であった。
「ま、真さん! ダメ! すぐにここから逃げて!」
「え?」
あわてふためく白絹の言葉にきょとんとする真。
その隙をついてナクール星人の手から光線が少年に向かって放たれた。
「うわあっ!」
怪光線を浴びた真は叫び声をあげながら、バイクごとその場に倒れ、気を失った。
「真さんっ!」
「こいつが高校生特派員とやらの諸星真か。
フフ、殺しはせん。しかしお前が我々の挑戦を拒むのなら姉だけでなく、この男の命も保証はできなくなるぞ」
「そんな!」
地面に伏した真に手を出させまいと、駆け寄ろうとした白絹だったが、
真の体は彼女の目の前でフワリと宙に浮き、そのまま手の届かない高さまで上がってしまった。
これも宇宙人の超能力、テレキネシスだ。
「ハハハハハ。正義の味方、アルティメットガールが何の罪もなく囚われた二人を見殺しにしないよう願っているよ」
高らかに笑う宇宙人と真の姿が消えて行く。
「あ、ま、待って! 真さんを返して!」
あわてて追いすがる白絹だったが非情な侵略者は彼女の言葉を無視して去ってしまった。
「なんと! あの凶悪な宇宙人が地球に潜入していたとはな……」
白絹の背後からUFOマンがひょっこり顔を出した。
「UFOマン! いたのなら宇宙人と交渉してよ!」
「いや、だって、あいつヤバそうじゃん」
「…………」
「それよりつぼみとヴィヴィアンを呼んで四人で対策を練らなければ。携帯を貸してくれ」
「うん……」
白絹はポケットから携帯電話を取り出して、UFOマンに渡した。
「よし、ふむ、おや、真君からメールが。何だ、結構ヨロシクやってるじゃん」
「人の携帯のメールチェックなんかしてないで、早く二人に電話して !!」
「はいはい……」
そしてつぼみ達に連絡を取ったUFOマンが白絹に携帯を返す。
「二人ともすぐに来るそうだ。さすがにつぼみはショックを受けていたな。なにしろ実の兄がさらわれたのだから」
しかし白絹からの返答はなかった。
UFOマンが電話をしている間に立てかけた真のバイクの前にじっと立ちつくしている。
「あたしのせいだ……、あたしがアルティメットガールだったからお姉ちゃんも、真さんも、こんな目にあって……」
「白絹……」
その時地面が激しく揺れて、白絹は足をすくわれた様に地面に倒れた。
「な、何?」
「あれを見ろ! 怪獣が現れた!」
「ええっ、こんな時に? じゃあ、これがあの宇宙人の言っていた挑戦?」
「こんなに早く仕掛けてくるとは! 二人が来るまで待てない。
相手が白絹をターゲットにしているのにみすみす貧乳で迎え撃つのは危険だが、仕方がない。変身だ!」
二人は急いで路地に入る。そして人が見ていない事を確認し、白絹は着ている物をすべて脱いだ。
「アルティメット・イきます!」
『ただいまから予定されていた番組を変更して、東京都中野区に出現した怪獣に関する特別報道番組を放送します』
ZATVおなじみの怪獣中継が始まった。
しかしその次の展開はいつもと違っていた。
『テレビの前のみなさん、こんにちは。UG解説の岡村です。
今回はいつも実況を担当している小春野繭が事情により出演できないため、
わたくし、岡村が実況と解説を兼ねさせていただきます』
テレビの画面が岡村のバストショットから、街の遠景に切り替わる。
ビルとビルの間に、巨大な生物の姿がうかがえた。
怪獣は全身が黒い色をしており、頭には大きな角が生えていた。
するどい牙、長い尾、にらみつけるような目。
体のいたる所から攻撃的なオーラがにじみ出ている。
『これが今回出現した怪獣です。これまで我々の研究によって怪獣には共通する形状の器官があり、
そこを攻撃されると消滅してしまう、いわば弱点である事が確認されています。
その弱点は統計上、股間についている事が多いので、まずはその部分に注目してみましょう』
岡村の言葉に従ってカメラがズームして怪獣の股間を大写しにした。
『やはり今回も股間に弱点と見られる器官があります。しかし…、その上に何かの突起がついてますね。
映像からは透明なカプセルの様に見えますが…、あれは一体なんでしょうか?』
その時、まばゆい光とともにビルの谷間に巨大な人の姿が現れた。
『おおーっ! みなさん、アルティメットガールが出現しました。純白の戦士、貧乳です!』
怪獣を前に、腰を低くして身構えるアルティメットガール。
「貧乳、人質をとっての挑戦など、まともに戦いを挑んでくるとは思えん。奴らが卑劣な手を打ってくる前に怪獣を倒してしまおう」
「うん」
UFOマンの言葉に同意するUG貧乳。
速攻で敵を倒すとなれば一撃必殺でコアを攻撃するしかない。
ところが、そのコアを見た白絹がとまどいの声を漏らした。
「あのコア、いつもと違うけど……」
「うむ、コアの所に円柱状の透明なカプセルがついているな。円柱の直径が1メートル、長さは2メートル強といった所か」
「その透明なカプセルの中に何か入ってる。あれ人じゃない?」
「おお、そうだ。人が閉じこめられている。しかもあの人間は……」
『ああーーっ。あれはぁっ!』
実況していた岡村が突然大声をはり上げた。
『ま、ま、繭君だっ!
怪獣の股間についているカプセルに閉じこめられているのは、我がZATVのレポーター、小春野繭です!』
「お姉ちゃん!」
「姉ちゃん!」
白絹とUFOマンもそろって驚きの声を上げた。
怪獣が出現した場所からすぐ近くのビルの屋上に、人間に化けたナクール星人のボスがいた。
「フフフ、用心棒怪獣ブラークキングよ。コアに人質を収めているお前にはアルティメットガールも手を出せない。
何も恐れずに思う存分、暴れてやれ」
一方、怪獣と対峙している白絹達はどうしていいか対策に苦慮していた。
「ど、どうしよう。コアの所にお姉ちゃんがいたら攻撃できないよ」
「ううむ…、人質をとっての挑戦など、まともな戦いではないと思っていたが、こういう事だったのか」
コアに閉じこめられた繭は毛布のような布を身にまとい、カプセルの内壁を両手で叩きながら、口をパクパクさせている。
おそらく何か大声で叫んでいるのだろうが、白絹達に声は届かない。
それでも生存だけは確認できた。
「よし、ビームで怪獣の足下を撃て」
「ええっ、どうして?」
「いいから! 当てるなよ」
「う、うん」
白絹が両腕を十字に組み、ビームを発射する。
閃光が怪獣の足下で炸裂し、地面を吹き飛ばした。
爆発によって飛び散った土砂が怪獣の目に入り、一瞬ひるむ。
「今だ! 一気に接近してコアを引き抜け!」
「うんっ!」
アルティメットガールの巨体が空気を切り裂いて怪獣に詰め寄った。
そして体をかがめてコアに手を伸ばす。
ところが怪獣の長い尾が、そこだけ独立した生物の様に動き、すばやく白絹の体にからみついた。
「な、なに?」
次の瞬間、白絹に巻き付いた尾から電撃が走る。
「きゃあああっ!」
「うわあーーーっ!」
巨人と怪獣の戦いを見ていたナクール星人が不敵に笑う。
「フフフ、ブラークキングにはエレーキングの電撃能力も持たせてある。
あの尾に巻き付かれた者が電気ショックから逃れるすべはない!」
「ああぁぁ……」
ようやく怪獣の尾が貧乳の体から離れた。
しかし戒めから解放されても白絹は反撃することもできずにその場に倒れ込んでしまった。
大地に横たわったUG貧乳はピクリとも動かない。
敵が戦闘力を失ったと見て怪獣が白絹に近づいて来る。
すると突然白絹が飛び起きて怪獣のコアをつかんだ。
「秘技・死んだふり!」
そのまま繭が閉じこめられたコアを引き抜こうとする。
ふいをつかれた怪獣だったが、それも一瞬の事。
すぐにUGに対して、反撃をかけてくる。
怪獣は白絹目がけて口からガスを噴射した。
「うっ!」
毒ガスか、とひるむ白絹だったが苦しくはない。
何も異常がないことに拍子抜けしつつ、再び怪獣のコアを引き抜こうと体勢を立て直そうとするが……
「えっ? な、なに?」
全身から力が抜け、その場に倒れてしまう。
すぐに立ち上がろうとするが、手足に力が入らず思うようにならない。
しかも胸の鼓動が早くなり、全身が熱をはらみ始めた。
(な、何? 体に力が入らない……、それに体中が火照ってる…)
白絹の腰が長時間正座した時の様にモジモジと動き出した。
「UFOマン、UFOマン、体が何かおかしいの 今のガスは一体何だったの?」
「きゅう……」
しかしUFOマンはさっきの電撃によって、すでに気絶していた。
巨大な体の白絹でさえ、倒れて動けなくなるほどの強力な電気ショックだ。
今の彼の小さな体で白絹と同じ衝撃を浴びれば、ダメージの大きさが白絹とは比べ物にならないのはやむを得ない。
もっとも、彼女たちを戦いに巻き込んだという彼の立場を考えると、少々だらしないと言えるかも知れないが。
UFOマンはあてにせず、一人でも戦おうと、ふらつきながらも貧乳はなんとか立ち上がった。
しかし、かろうじて立っているのが精一杯という有様だ。
怪獣が脱力している白絹を突き飛ばすと、彼女は二、三歩、後ずさりして、あっけなくその場に尻餅をついてしまう。
ちょうどその真下にコンビニ配送用の中型トラックが止めてあった。
おそらく間近に出現した怪獣にあわてたドライバーが乗り捨てていったのだろう。
白絹が座り込んだ時、トラックの後部に取り付けられたコンテナの角が少女の股間に当たった。
「あっ!」
その部分から、じいんっ、と痺れるような甘い波が全身に広がる。
(今の、何…?)
突然の切ない感覚に反射的に浮き上がった腰を、もう一度恐る恐る降ろす。
コンテナの角が再び白いスーツに包まれた恥丘に当たる。
「ああっ…」
白絹の艶やかな唇からかすれた息が漏れる。
いつしか白絹はトラックのコンテナの角に、自らの股間をぐりぐりと押し当てていった。
(あぁ、ダメ…、怪獣と戦わなきゃ……、でも、やめられない……、あたし、どうしちゃったの?)
頬を上気させ、うっとりとした表情で腰をうねらせる。
しかし、ぎこちなく、ためらいがちなその動きでは、かえってもどかしさがつのるばかりだ。
(もっと、強く……、そうだ、こすりつけるんじゃなくて、指を使えばもっと……)
ぼんやりとした頭でそんな事を考えていた時、彼女の重みに耐えかねたトラックのコンテナがぺしゃん、とつぶれてしまった。
「えっ? あたし、今、何をしてたの?」
お尻がストンと落ちて、地面にぶつかったショックで白絹は我に返った。
(あ、あたし……、もしかして、今、みんなの見てる前でエッチな気分になっていたの?)
自らの行為をかえりみて白絹の顔が真っ赤になった。
実は白絹にはオナニーの経験がなかった。
もちろん、そういう事は知っていたし、興味もあったが、想像力過多な彼女はその行為をしている自分の姿を想像しただけで
ドキドキと胸が息苦しくなってしまい、ある種の怖さを感じて実際に自分でした事は一度もなかったのだ。
悶々とした気分を自分で解消できぬまま次の朝を迎えた日など、
「つぼみやヴィヴィもしてるのかな?」と思ってつい相手の顔を見つめてしまい、いぶかしがられた事もあった。
(も、もしかして、今のが、オ、オナ……? わ、わ、わ、私、みんなが見てる前でオ、オ、オ…をしようとしてた……?)
「いやあぁぁぁーーーーーっ!」
あまりの恥ずかしさにパニックになった白絹はガバッとその場から勢いよく立ち上がった。
ところが、ひざに力が入らず、ヘナヘナとその場にしゃがみこんでしまう。
「やっぱり体に力が入らない……、どうして?」
そんな彼女に怪獣が近づいて来た。
まともに動けない彼女を見た怪獣が、ここぞとばかりに攻撃を加えてくるものと思った白絹は身をすくませるが、
いっこうに襲いかかってくる気配はない。
「ひゃんっ!」
接近した怪獣を警戒して体を強ばらせていた白絹が突然、気の抜けた様な声をあげた。
予想外の方向、体の下の方から突然、妙な感触がしたのだ。
あわてて下へ視線を送ると、怪獣の長い尾が股の下をくぐって後ろから前へ伸びていた。
そして尾のゴツゴツした表皮で白絹の股間をこすり始めた。
「あ、くふっ」
さっき、トラックのコンテナの角に下腹部を押しつけた以上の快感が体中に広がっていく。
「だ、だめっ、だめだよぉ……」
脱力した白絹は上体を支えきれずに地面に両手をついた。
四つん這いになった白絹の股の間を怪獣の尾が前後に動き、スーツ越しに割れ目の上をゴシゴシとこする。
うつぶせの体勢になったために、胸の肉が重力に引かれて、いつもよりボリュームを増して見える。
普段なら白いスーツに包まれ、つるんとしている丸い胸の中央にかすかに影が浮かんできた。
スーツの内側で、それまで縮こまっていた乳首が性的興奮によって少しずつ固くなり始めているのだ。
つまり胸の中央にうっすらと浮かんだ影は、立ち始めた乳首の形だった。
「う、くうぅ…、くうっ」
少女が抵抗しないのをいいことに、股間をこする尾の動きは激しさを増していく。
それに呼応するかの様に、無意識の内に白絹の腰もなまめかしく揺れ始めた。
「あんっ、あ、あぁ……」
少女の体がビクッと震えて硬直した。
「くっ、ああっ!」
白絹は怪獣の尾で股間をこすられて、軽くイッてしまったのだ。
やっと性の世界の入り口を覗いたばかりの少女は、衆人環視の中、生まれて初めてのアクメを体験した。
「はぁ…、はぁ…」
開発された体が得る悦楽とくらべれば、子供の遊びのような浅い絶頂だったが、
奥手な少女は薄くまぶたを閉じてその快感に酔いしれた。
「正義の味方が他愛ない物だな!」
白絹が声のした方向を見上げると、いつのまにかそこには異形の怪人が立っていた。
体の大きさはUG貧乳より二周りほど大きい。
目に当たる所には赤い色の四角いクリスタル状の結晶が光っている。
口の部分には発声器官らしき物がついているが、地球人のように開閉はしないようだ。
そして額から頭頂部にかけて角ともヒレともつかない形状の物がついている。
体の方はマント状の長い布をまとっているので、どうなっているのか判断はできなかった。
「その声…、さっきの宇宙人?」
「そうだ」
「くっ!」
白絹は気だるい体を懸命に起こして立ち上がり、宇宙人に挑みかかるが、
力のないパンチはたやすく受け止められてしまった。
「ほう、さっきの催淫ガスを吸って、まだそこまで動けるとはな。ならば、もう少し念を入れておくか」
そう言ったナクール星人のマントの下から銀色の光が飛び出し、白絹の体に巻き付いた。
「な、なに?」
銀色の光に見えた物はロープだった。
自律的に動く仕掛けが組み込んであるのか、白絹の体にからみついたそれは、
誰が触れているわけでもないのに勝手に少女の華奢な体を縛り上げていく。
「くあっ、い、痛い……」
二つ折りになったロープで、まず最初に両手首を背中の下で重ねられ、一つにくくられた。
そのロープの先端が前にまわり、胸の膨らみの上を通って後ろに帰ってくる。
手首にかかっているロープをくぐって、引っかけた後、180度反転して再び前に向かい、
今度は乳房の下を通って背中へ戻ってきた。
その縄が最後に、背中を横に走るロープと手首から縦に伸びるロープの交差する部分で結ばれて、
白絹の上半身を縛り上げた。
「後手縛り」と呼ばれる基本的な女体の縛り方だ。
柔らかい乳肉の上下をロープが締め付ける。
形のいい乳房が絞り出されて変形していた。
「うう……、くぅ」
体を厳しく締め上げられて、手を動かすどころか、息をするのさえ苦しい。
ナクール星人のマントの下から再びロープが飛び出し、今度は白絹の下半身にからみついた。
ふたつ折りになった二本目のロープは白絹のくびれたウェストを一周すると臍の上で縄の折り目をくぐり、
90度向きを変えて下へ向かう。
ロープは途中でコブを二つ作りながら、前から後ろへ股間の下を抜けた。
その女体の下腹部を縦に切り裂くロープが、腰の背面で横縄と結びついて下半身への縛りを完成させる。
「う、くぅ……、あぁ、苦しい、ほどいて……」
T字に縛られたロープは、少し体を動かしただけでも、柔肌をギリギリ締めつけてくる。
しかも、さらに少女の苦痛を倍加させる仕掛けがロープにはあった。
二つのコブ状の結び目が正確に女体の二つの弱点、つまり下腹部の敏感な割れ目と双臀の間の後門の上に食い込んでいるのだ。
身動きすればするほど、コブがそこに埋め込まれていき、繊細な器官をえぐる事になる。
全身を緊縛され、締め付けられる苦しさでうめいている白絹の髪の毛を後ろからつかんだ怪獣が、強引に顔をあげさせる。
その彼女の首にナクール星人は頑丈な首輪をはめた。
首輪には長い鎖がつけられ、その先を侵略者の手が握っている。
それは主人に絶対服従をする奴隷の証であった。
宇宙人は鎖をいったん手前に引いて少女の体を引き寄せ、肩に手をかけると、思い切り白絹を突き飛ばした。
両手を拘束された白絹は体をかばう動作さえとれずに、地面の上に投げ出される。
イモムシの様に転がる白絹の体の下で、運転手に廃棄された乗用車が何台かつぶれていった。
「フハハハハ、見たか、地球人達よ。今までお前達を守っていたアルティメットガールは我々ナクール星人の前に敗れた。
もはやお前達の守護神は私の所有する奴隷に堕ちたのだ。
今からお前達地球人がたどる未来を、この奴隷の身をもって見せつけてやる。
この娘のみじめな姿を見ながら、せいぜい覚悟を決めることだな」
ナクール星人が高らかに勝利を宣言した。
『な、なんという事でしょう。我らのアルティメットガールが…、貧乳が、悪辣な宇宙人に敗北してしまいました。
こんな光景が信じられるでしょうか? 今、貧乳は全身を縛り上げられ肉の塊のように地面に転がっています。
私たち地球人はこのまま、あの凶悪な宇宙からの侵略者によって支配されてしまうのでしょうか?
ああ、アルティメットガールよ、立ち上がってくれ。もう一度君の勇姿を我々に見せてくれ。頼む、アルティメットガール!』
マイクに向かって絶叫する岡村の言葉はじかに戦いを見ている、
そしてテレビの前に釘付けになっている全国の何万という人々の気持ちそのものであった。
「アルティメットガールが負けた……」
「これから一体、どうなるんだ……」
不安を訴えるざわめきが町々に広がっていく。
【つづく】