辻合が目を開けると、そこは体育倉庫だった。オレンジ色の夕日が窓に下ろされた  
ブラインドの隙間から差し込んでいた。  
「ん、なんだ? ボールを片付けているときに急に眠くなって……」  
 目を擦りつつ顔を上げると、そこに誰かがいた。  
「こんにちはっ、辻合」  
「ん? 仁菜……じゃない、仁?」  
 それは男性化した仁菜だった。傍らに寄り添うように、男になった亜由、「あゆお」も  
立っている。  
「どうしたん――あ、アレ?」  
 辻合は身体の異変に気がついた。声が変だと思って身体を見たら、なぜか女子の体操服を  
着ていたのだ。しかも、その体操服の胸の部分が微かに盛り上がっているように見えた。  
「ゴメン! あのね、信之助がどーしても切ないっていうから、手伝ってあげたんだ」  
 仁の後ろに隠れるように立っていた人物がおずおずと前に出てきた。  
それは人間化した信之助だった。  
「あのね、宏基。この間はオスとオスだったらまずかったって、リオに聞いて分かったんだ。  
だったら、って。宏基をメスにしてもらったんだよ」  
 信之助は、ゆっくりと、しかし両手を広げて近づいてきた。思わず、辻合は座ったまま  
後ずさりする。  
「それは違うだろーーーーー、うぐっ!」  
 辻合は黄色い声で叫んだが、信之助に野生動物の素早さで抱きしだかれて唇を奪われて  
しまった。目を思いっきり開いたが、信之助のざらりとした舌が喉の奥の方まで侵入してきた。  
 息苦しくて眩暈がした。しかしなぜか同時に、身体の内側のどこかが「キュン」と感じた  
ような気がした。  
 
(お、オレは男だーーー)  
 内心で悲鳴を上げるが、信之助は服の上から容赦なく胸を揉みしだいてきた。膨らみかけた  
ばかりの胸の中心がこりっと硬くなったのが分かる。なぜか全身に力が入らなくなって、  
思わず嬌声を上げそうになった。努力してなんとか口を離し、呟く。  
「や、ヤメて……」  
 しかし信之助は辻合を愛撫する手を緩めなかった。片手でしっかりと抱きつつ、器用に  
体操服をぽんぽんと脱がせてゆく。辻合のTシャツの下には、大人びた黒いブラがあった。  
(オレ、トランクス派だったんだけど、なんでこうなるんだ)  
 どこかで冷静に仁菜の魔法に驚いていると、あっという間に最後のショーツまで  
脱がされてしまった。恥ずかしいと思う間もなく、大事なところをまさぐられる。  
肉球に似た、ぷにぷにした感触の信之助の心地よい指づかいに、辻合は歯を食いしばって  
必死になって絶えた。もうどうにかなってしまいそうだと思ったそのとき、耳元で囁かれた。  
「じゃあ、宏基、いくよ」  
 身体を貫く衝撃に、辻合は今度は悲鳴をあげた。  
 
「さて、ぼくたちもいこうか、亜由ちゃ……じゃなかったあゆおクン」  
 辻合と信之助の激しい様子に頬を赤らめて、もじもじしていたあゆおの手を取って、  
仁は呟いた。  
「こんな経験、めったにできないよネ? あゆおも、男の子の感じって経験してみたいって  
言ってたジャン」  
 仁は果てて少し落ち着いた信之助をそっと横にどけると、あゆおを跪かせた。  
そして身体が変形した部分を辻合のものに押し当てた。  
「な、あゆ、アっ」  
 挿入された辻合はまったく抵抗ができなかった。しかしあゆおはそのままの姿勢で  
オタオタしていた。  
「これから、ど、どうするの?」  
 仁は、あゆおに動かすんだとアドバイスする。あゆおがぎこちなく腰を動かしだすと、  
しかし辻合は目から涙を流して嬌声を上げつづけたのだった。  
 
 ……狂乱の宴は夜が明けるまで続いた。  
 飼育小屋の鶏の声で目が覚めた信之助は、横で裸のまま埃にまみれて疲れた顔で寝息を  
たてている辻合に向かって囁いた。  
「宏基、今度は猫になってやろうよ。リオや仲間も呼んで来るからさ」  
 信之助は、にやりと犬歯を見せて微笑んだ。そしてまた女のままの辻合をぎゅっと  
抱きしめて、あっという間にまた眠りについたのだった。  
 
 

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