個別に風呂に入ってから就寝となり、俺は自室のパソコンで昨日紙に書き出したものを購入することにした。  
ついでに市販されたばかりだという『ネオピル』という名の新型の経口避妊薬も大量に注文した。備えあれば憂いなしだ。  
その避妊薬は呑んで十数分後から約二十四時間の効果があるとのことだったが、時期は自由に選べるものの、月に一週間ほどは薬を飲まない期間を作って生理期間を設ける必要があるらしい。  
凛音に生理がきているのかどうかは知らないが、一週間毎に生理期間をずらせば、常時三人とはコンドームなしで性交が出来ることになる。  
 更に今後のことを考えて四人に着せる為の露出度の高い下着やコスプレ衣装、様々な淫具や一階の部屋を性交場所に特化するために必要な品々などを大量に注文し、全ての手続きを終えた頃には夜もかなり更けていた  
。何しろヤエから貰った金がある。これだけ使ってもまだ全然余裕があるほどだ。  
 一応は状況を報告しておくかとニューヨークにいるオヤジへと携帯から電話をし、性行為以外の成り行きを伝えると、オヤジは大笑いした後に俺の立場を羨ましがった。  
あまりにも簡単に受け入れたのは、ヤエに以前から俺を新たな龍神とすることを聞いていた為だろう。  
母さんが巫女だったことを秘密にしていた件と、俺が龍神として暮らす予定になっていたことを黙っていた件とを詰ると、それほど急な話になるとは思っていなかったので後に話す予定だった、とオヤジは言い訳を始めた。  
話の最後には謝罪のつもりなのか、まだ当分は島には行けそうもないが、その分生活費を先日約束した割り増し額よりも多めに送ると言ってくれた。  
少女たちと同居を始めた以上、親が不在で金が増えるというのは大変に有り難いことで、それで俺も許す気になった。  
 電話を切って欠伸をし、ベッドの上に身体を横たえた瞬間、ノックの音がした。  
「開いてるよ」  
 そう声をかけると、雫、そよぎ、火凛の三人がパジャマ姿でドアから入ってきた。全員、恥ずかしそうに笑っている。何事かと思って問い変えようとしたその時、雫が先に口を開いた。  
「あのっ、そのっ、添い寝をして差し上げようかと思いましてっ」  
 緊張しているのか、その声は声が上擦っていたが、そよぎも火凛も同調するかのように頷いてた。断るのも勿体無いが、どうも使命感で先を争っているだけのようにも思える。  
「気持ちは嬉しいけど、今日は止めとこう。さっきも言ったけど、いずれ寵愛は一人一人にゆっくりと。そうじゃねえと、俺が我慢できなくなっちまうかもしんねえからさ」  
「私は構わない。龍神がしたいのなら、今すぐ好きにしてくれていい」  
「私も、ナギ様がしたいんだったら、いつでもいいよ?」  
「も、もちろんっ、私もですっ」  
 そよぎ、火凛、雫と続けて言ってきたが、俺は否定するように手を振った。  
「それなりの覚悟をしてこの部屋に来たんだろうけど、今日はこれ以上何もなし。各自部屋に戻って寝てくれよ」  
 
 
 火曜日の授業が終わると、俺は引き立てられるようにしてそよぎの家へと向かった。  
だが、既に近所の家に頼んでおいたという荷物を運送屋が運び去った後とのことで、昨日の雫の家と同様、俺の運ぶべき荷物はない。  
「別に俺、必要なかったんじゃねえか?」  
 家に上がってお茶の間に通された後、昨日と全く同じ口調で同じ言葉をそよぎに告げると、少し待っていてくれと言う。  
もしかしたら別に用意しておいた荷物でもあるのかと思い、俺は出された茶を飲みながら卓袱台の前に座って待つことにした。  
「……龍神、その、入ってもいいか?」  
 しばらくすると、俺のいる和室の向こうの部屋から襖越しにそよぎが問い掛けてきた。  
「自分の家だろ? どうしたんだよ?」  
 そう問い返すと襖が開き、どう見ても全裸の上からバスタオルを巻いただけの姿でそよぎが部屋に入ってきた。  
乳首や局部は何とか隠れているが、少し動けば見えそうな格好だ。当然、俺は口の中の茶を全て噴き出した。  
「ちょっ、お前っ、こんな昼間っから何してんだよっ!」  
「落ち着け、龍神。今は夕方だ」  
 冷静な口調でそよぎは言ってきたが、頬だけでなく全身が薄っすらと赤く染まっている。  
「待て待てっ、落ち着けっ、まずは服を着ろっ!」  
 大声で俺が怒鳴ると、そよぎはその場に膝を付き、次いで両手も付いて哀しそうに顔を伏せた。  
「……私ではダメなのか? 私では龍神の相手に相応しくはないのか?」  
 どうも深く落ち込んでいる様子だ。考えてみればそよぎには出会った時から生真面目で不器用そうな印象があった。俺はそよぎに近づきながら制服のワイシャツを脱ぎ、そっと肩から掛けてやった。  
「お前は巫女の前に女の子だろ? 役目に振り回されんな。それに、俺はお前のことが嫌いじゃねえよ。お前にはお前の魅力があんだから、ダメとか相応しくないとか、もう言うな」  
「……いいのか? こんな私でも、いいのか?」   
 項垂れたまま呟く様は、自問自答しているようにも見える。俺はそっとそよぎの肩を抱き、顎に手をかけて顔を上げさせ、その唇を奪った。  
口を離して微笑みかけてやると、そよぎは恥ずかしそうに、それでいて嬉しそうに笑い、俺の手を取って自身の乳房に強く押し当てた。  
「おい?」  
「さ、昨晩は、その、とても心地よかった。少しでも龍神に喜んでもらえることがしたい。これは役目ではなく、私の本心だ」  
 素振りを見ていると、自分に自信がないのかもしれない。ならば、そよぎの為にも愛撫を与えてやるべきだろう。俺はタオル越しに乳房を揉み上げながら尋ねてみた。  
「この家に布団は残ってるか?」  
 その問い掛けにそよぎが頷くのを確認してから、俺はワイシャツとバスタオルとを剥ぎ取った。  
 
 寝室として使っているという和室に布団を敷かせた後、俺は服を脱ぎ捨てて裸になり、そよぎと並んで横になった。  
何度も口づけを交わしながら互いの性器を弄り合い、ついでに淫語も教え込んだ。  
案の定、そよぎは乳首だけでも軽く達してしまう程に全身が敏感で、立て続けに三回ほど絶頂に導いてやると、従順に肉情に溺れるようになった。  
「はふあっ……濡れ濡れオマンコが気持ちいいっ……んくあっ……もう最後までしてえっ……あふうっ……この勃起オチンポで私を龍神のものにいっ……」  
 熱く湿った吐息と粘つく愛液とを漏らしながら陰茎を扱く様には気の強さなど感じられず、巫女としての清廉さも見当たらない。  
俺はその痴態を楽しみながら、陰核を指の腹で何度も優しく押し潰してやった。  
「セックスはまだ駄目だ。それより、ほら、これ気持ちいいだろ?」  
「んくひあっ……クリトリス気持ちいいっ……ふはひうっ……またイってしまううっ……あひはあっ……また濡れ濡れオマンコがイっちゃううっ……」  
「まだ我慢しろ。もう俺も出すから、一緒にイこうな?」  
「はふうあっ……なら早くうっ……ふはひあっ……早くオチンポ汁出してえっ……うくひあっ……全部飲むからあっ……ひはうあっ……綺麗にもするからあっ……」  
 そう言ってそよぎは俺の手を払い、姿勢を変えて陰茎を口に含んだ。自分の快楽よりも俺への奉仕を優先してくれているらしい。俺は改めて手を伸ばし、そよぎの臀部を撫で上げた。  
「んぶっ……もがっ……むぼっ……んごくっ……あむっ……んむっ……むちゅっ……」  
 そよぎは尻をくねらせながら熱心に一物に舌を絡め、先走り汁を飲み込んでいる。考えてみたらまだ風呂に入ってないのだが、一向に気にしていないらしい。  
そんな素振りを見ている内に陰茎は臨界点を超え、俺はそよぎの口中へと精を吐き出した。  
「んぶもごっ……むもぼおっ……んごくごくっ……んむぐもっ……むぐぼもおっ……」  
 眼前の白い背中を震わせながらそよぎは精液を嚥下し、次いで再び射精直後の陰茎へと滑った舌を這わせ始めた。その蝕感は素晴らしく甘美で、呻き声を上げてしまいそうな程だ。  
お返しに俺は尻たぶを撫でていた手をそよぎの股間へと移し、膣口の周囲を指でなぞってやることにした。  
「んろれろっ……むれろおっ……ぷはあっ……んくひあっ……まだ綺麗にし終わってないのにいっ……あくひあっ……そこ気持ちいいっ……ふひはあっ……オマンコイっちゃううっ……」  
「飲んでくれた礼だ、遠慮せずイけよ」  
「あひくふっ……イくイくうっ……んかひあっ……濡れ濡れオマンコイっくうううううっ!」  
 十六歳の全裸少女は歓喜の声と共に腰を跳ね上げ、背筋を反らせたまま硬直し、やがて全身を弛緩させた。  
余韻に浸ってぐったりとしながらも、蕩けた笑みを浮かべて一物に再度舌を当ててくる。その隷属しきった様子を見ながら次は何をしてやろうかと俺が考えていると、不意に玄関の方から声がした。  
「そよぎ様ぁ、こんにちは――!」  
 
 そよぎの家にやってきたのは同じクラスの静江だった。隣室に隠れて話を聞いている限りでは、手料理の差し入れに来たとのことで、そよぎの身の回りの世話は今まで静江がやっていたらしい。  
道理で料理が苦手だというのに一人暮らしが出来ていた訳だ。引越しの荷物を頼んでおいた近所の家というのも静江の家なのかもしれない。  
「ほんとに済みません。お風呂に入られようとしてるとこ、お邪魔しちゃって」  
「もういいと何度も言っているだろう。で、用件はこの鍋の料理だけか?」  
 顔は見えないが、明らかに困った口調でそよぎが言った。一方の静江は話し掛けられる度に嬉しそうに答えている。  
そよぎに傾倒していると言うよりも、同性愛者が好いた相手との語らいを楽しんでいるかのような雰囲気だ。  
「はいっ。お口に合うといいんですけど。あ、それと、もうひとつあります」  
「何だ? 何か相談事か?」  
「いえいえ、そよぎ様がお風呂に入られるなら、私がお背中お流ししようと思いまして。全身隈無く洗って差し上げます」  
「いつも言っているだろう? そういう冗談は勘弁してくれ」  
「冗談なんかじゃありません。そよぎ様は巫女神様なんですから、肌の手入れなどは私のような下の者にお任せください。完璧に磨き上げて差し上げます」  
「いらん。それと、今後はしばらくの間、巫女三人で合宿というか、同居することになったのでな。差し入れも当分は不要だ」  
「ええっ? 雫様と火凛様もですかっ? わわ、私も住みますっ! 一緒に住みますっ!」  
「いや、ダメだ。巫女以外の者を招くことは固く禁じられている」  
「そんなぁ、こんな美味しい機会を逃すなんてっ。一緒にお風呂とかおトイレとか入りたいですうっ。お背中お流ししたり、拭いてあげたり、色々として差し上げたいですうっ」  
 風呂はともかくトイレは無理だろう。と言うか、やはりそっち系の人なのか。多少は好みのタイプだっただけに残念だ。  
が、いずれ巫女三人と性的行為をする時にでも呼べば、二つ返事でやってきそうでもある。  
「無理を言うな。とにかく、今日はもう帰りなさい。私も色々と準備で忙しいんだ」  
「じゃあ、その準備を手伝わせて頂きます。その間にそよぎ様は入浴なさってください。絶対に絶対に覗いたり裸で押しかけたりしませんから。それならいいですよね?」  
「いい加減にしなさい。準備は一人で出来る。さあ、帰りなさい」  
「あんっ、今きたばかりなのに〜」  
 
 静江が帰った後、俺はそよぎと自宅に戻ることにした。聞けば、寵愛を得る為に家に呼んだだけで、特に持っていく荷物は残っていないとのことだったからだ  
。もしかしたら火凛も明日そんなつもりでいるのだろうかと、俺は少々頭が痛くなった。  
 帰宅途中、そよぎは歩きながら目についた個々の場所についての説明をしてくれた。のんびりと海沿いを歩きながらそよぎの話を聞いていると、こんな穏やかな時間の過ごし方もいいと思えてくる。  
東京に住んでいた頃とは時間の流れが違うようだ。忙しさと喧騒に呑み込まれていた時には感じ得なかった、穏やかな安らぎがこの島にはある。  
高校卒業後は東京の大学に進学しようと考えていたが、四人の少女たちとの同居が続けられるのならば、ずっとこの島で暮らすのもいいかもしれない。  
「――でな、龍神。その、つまり、そういうことなんだが、どうだろうか?」  
 問い掛けられて我に返ると、そよぎが俺をじっと見つめて照れ臭そうに身を竦めていた。今後の暮らしに思いを馳せていた為、直前の言葉を聞き逃してしまっていたようだ。俺は正直に謝ることにした。  
「悪い、考え事してて、ちゃんと聞いてなかった。真剣に聞くから、もう一度言ってくれ」  
「いや、そんな大声で言ったわけではないのでな、謝るのは私の方だ。あの、つまりだな、まだ不安なんだ。私が龍神の傍にいていい存在かどうか。だから、その、もう一度、証をくれないだろうか?」  
 そよぎは真っ赤な顔で囁くと、視線をさ迷わせ始めた。恥ずかしいというよりも、周囲に人がいないか確認しているよう素振りだ。俺も合わせて辺りを見回してみたが、夕暮れ時の波止場の影ということもあり、近くに人影はない。  
「証をもう一度をって、キスのことか?」  
 そよぎは黙って頷くと、目を閉じて唇を差し出してきた。俺は再度四方に目を配ってから、その唇にキスをした。  
そのまま抱き寄せ、頬に手を当てて優しく撫でてやると、そよぎはゆっくりと俺の背に手を回し、少しずつ力を入れて抱き付いてきた。  
そのぎこちなさが何とも可愛く思え、俺は口の中に舌を挿し入れて絡めてやった。そよぎも拙く舌を動かし、互いに唾液を飲ませ合った後に唇を離すと、その瞳は少しだけ虚ろになっていた。  
「……私は龍神に気に入って貰えるよう、懸命に努力しよう」  
 昨日の雫同様、そよぎは宣誓するかのようにそう言うと、その場に屈み込んで俺の右手を取り、自らの額を押し付けてきた。その直向きな物言いと態度に、俺は思わず尋ねてみた。  
「そよぎ、無理はしなくていいんだぞ?」  
「無理などしていない。無理などしなくとも、私、御剣そよぎは龍神の、あなたの全てを受け入れる。それをここに誓おう」  
 真剣な口調でそう言うと、そよぎは立ち上がってもう一度唇を差し出してきた。今度は周囲の視線など気にもせず、俺はその唇を奪った。  
 
 
 約束通り水曜日の放課後は隣宅、火凛の家だ。一旦自宅に戻ってから、火凛は雫とそよぎに絶対に来ないように念を押し、俺を引き連れて自分の家へと戻った。  
呆れたことにやはり持っていく荷物などはなく、単に自分の部屋を見せたかっただけらしい。  
凛音と二人で使用していたという部屋は広く、女の子らしい色彩に溢れ、インテリアなども可愛らしいものばかりだった。  
「どう? ナギ様、私の部屋」  
「いいんじゃねえか? と言うか、こっちの部屋の方が広いし居心地もいいだろ? 無理して同居なんかしなくてもいいんだぞ?」  
「ふっふーん、それはダメぇ。雫もそよぎも私が見張ってないと何するか判んないもん。それで、ひとつ、ナギ様にお願いがあるんだけど?」  
 床に敷いたクッションの上に胡坐をかいた俺に背中から抱きつきながら、火凛は甘えた口調で言ってきた。慕ってくれる以上は、俺にできることなら願いを叶えてやってもいい。  
「何だ? 言ってみろよ?」  
「あの、この前から雫、ナギ様のこと凪君って呼んでるよね? 私も、その、もっと親しく呼びたいんだけど……」  
「別に構わねえぞ? で、何て呼ぶつもりなんだ?」  
 そう問いかけると、火凛は背後から首を伸ばして俺の頬に頬擦りを始めた。  
「もっと、その、恋人っぽく、ナギ、なんて、呼び捨てはダメかな?」  
 実際に言われてみると違和感がない。元々快活的な火凛にはその言い方が合うようだ。  
「いいぞ、呼び捨てでも。俺も呼び捨てにしてるしな」  
「ほんとに? やったぁ、なんかこれで一歩抜きん出た感じ」  
 俺は火凛の喜ぶ様に釣られて笑いながらも、その言葉には疑問を感じた。やはり話しておいた方がいいのかもしれない。  
「なあ、火凛。俺のことで争ったりするのは止めてくれ。一緒に暮らしてるんだし、そんな必要なんてないだろ?」  
「だって、ナギは一人しかいないもん。そうなると最終的には相手も一人でしょ?」  
 少しだけ拗ねた口調で火凛が言った。やはりこういう親しみのある口調がよく似合う。まるで幼馴染とかそんな感じだ。  
「必要なら三人、いや、凛音ちゃんも含めて四人に平等に接したいと思ってんだよ。あまり煽らないでくれよ、頼むから」  
 そう言うと、火凛ははしゃいだ素振りを止めて俺から身体を離し、正面に回って正座をしてきた  
「だって私、巫女の中じゃ三番目だし……」  
 火凛は真顔で俺を見つめ、少しだけ寂しそうな口調で言った。 どうも三人の巫女たちは其々に余計なコンプレックスを抱えているらしい。  
それを打ち消して自然なままの女の子にしてやるのが、当面の俺の役割なのかもしれない。龍神としてではなく、俺個人として可能な限りはそうしてやりたい。  
 
「巫女の序列なんて俺には判んねえけどな。お前は女の子として三番目じゃねえだろ? もっと自信を持てよ。俺は順番なんか関係なく、お前は可愛いって思うぞ?」  
「……ほんとに? 雫は? そよぎは? 凛音は?」  
 俺を見つめる火凛の瞳には無邪気さも朗らかさもなく、ただ真実のみを知りたいという希求心のようなものが感じられた。  
ここで耳に優しい言葉だけを告げても意味がない。俺は正直な気持ちを話すことにした。  
「正直に言うからな、これは他の人間に絶対に言うなよ?」  
 その言葉に火凛が頷くのを待って、俺は語り始めた。  
「まず雫は俺の理想のタイプだ。大人しそうに見えて責任感も強えし、無邪気なとこもあるしな。身体も好きだ。そよぎは不器用だけど、そこがまた可愛いとも思う。  
懸命さが伝わってくるし、もちろん身体も含めて好きだ。凛音ちゃんは可愛いし愛しい。あんな妹がいる火凛が羨ましいくらいだよ。抱っこしたいと思うし、その気持ちが募ったら最後までしちまうかもしんねえ。  
あんな幼い子に酷なことだとは思うけど、元から俺、好色だしな。で、火凛、お前だけど――」  
 そこで言葉を切ると、火凛は黙って喉を鳴らした。  
「お前とこうして話していると、不思議なことに何でも話せちまう気になってくる。気を使うとか使わねえとかじゃなくて、俺に安心感とかそういうもんを与えてくれてる。  
もちろん、お前の性格も容姿も身体も好きだ。四人共タイプは違うけど可愛いと思うし、俺はどんどん好きになってきてる。可能ならこの先、誰か一人なんて選ばずに全員と一緒にいたい」  
「……好色で欲張りってこと?」  
 苦笑いしながら火凛が問いかけてきた。その瞳にはつい先刻までの暗さがなくなっているようだ。  
「まあ、そういうことだな。でもな、俺は自信を持って言えるぞ。お前のことも好きだ」  
 火凛は呆れ顔をしながらも、徐々に笑い出した。一頻り腹を抱えて笑うと、正面から俺に抱き付いて唇にキスをし、元の位置に座り直して睦言のように囁いた。  
「好きになってもいいんだよね? ナギのこと、今以上に好きになってもいいんだよね?」  
「ああ、多分な。お前の婆ちゃん、おばぁもそのつもりで同居させたんだろ。それに、火凛が俺のことを好きになってくれたら、俺も、もっと火凛のことを好きになるしな」  
 そう言うと、他の二人と同じく、火凛は俺の右手を取って甲に額を押し付けてきた。  
「私、南雲火凜はもっともっとナギのことを愛します。どんなことも受け入れて、いつでも傍にいることを誓います」  
「好色で欲張りだぞ?」  
「いいよ、それでも。私も欲張りだし、ナギに色々とされたから、もう好色になりかかってるもん」  
 そう言って火凛は少しだけ恥ずかしそうに笑った。  
 
 その後、火凛と一緒に雑談をしているとヤエが姿を見せ、今日の昼間に宅配便が届いたと言って小包を差し出してきた。  
火凛は嬉しそうにそれを受け取り、いそいそと封を切って中身を取り出した。入っていたのは色取り取りの下着で、雫やそよぎ、凛音に頼まれた分も火凛が通販雑誌を見て注文しておいたのだと言う。  
ヤエから同居に当たって金銭を受け取った際、必要なものがあれば俺が買うから言えと全員に告げておいたにも関わらず、各人が自腹で購入するつもりだったらしい。  
俺は同封されていた支払い伝票を手に取り、記載されていた分以上の金を火凛に渡してやった。不測の事態に備えてある程度の金は常に持ち歩いている。  
今後は購入の際はちゃんと言えと伝えると、火凛は悪戯が見つかった子供のように舌を出して頷いた。  
ヤエはそんな俺たちを見て満足そうに笑い、もし所持金が足りなくなったら再度自分に言ってくれればいい、と話した後に部屋から出て行った。  
 ヤエが姿を消すと、火凛は発注者別に下着を分け始めた。よく見ると、俺がネット通販で注文したの物よりも際どい物が何点も混じっている。  
誰が注文したのかとその行方を追っていると、露出度の高い下着は均等に各人に振り分けられていった。  
「ちょっと待て」  
 俺がそう声をかけると、火凛は手を休めて視線を向けてきた。  
「どしたの?」  
「これ、凛音ちゃんのか? こっちはそよぎか? これも、これも、中身丸見えだろうが」  
 言葉通り、俺が指差したのはどれもこれもが透けている。凛音のパンツなんて子供用とは思えないほどの露出度の高さだ。単なる紐にしか見えない。  
「うん、そうだよ? ちゃんと本人から頼まれた物。凛音のは少しサイズを調整してやんなきゃなんないかもしんないけど、そのくらいなら私が出来るし」  
「いや、そういう問題じゃなくてだな。例えば凛音ちゃんのこれ。こんなの、学校に穿いて行けねえだろうが」  
「当たり前でしょ、学校になんかに穿いて行かせないわよ。だって全部、ナギから寵愛を授かる時用のだもん。それとも普通の下着の方が良かった?   
ほら、アニメとかの絵の付いてるやつとか、苺柄のとか。そういうのがいいなら凛音に言っておいてあげるけど……」  
 そう言われて不意に疑問が生じた。凛音は火凛の妹だ。  
「なあ、お前、凛音ちゃんが寵愛を受けること、嫌だったり心配だったりしねえのかよ?」  
 その問い掛けに、火凛は真顔で横に首を振った。  
「……凛音はね、元々すごく引っ込み思案で、知らない人に懐くなんて、今まで見たことなかった。  
ナギが龍神だからって理由もあるとは思うけど、凛音は凛音なりにちゃんとナギのことが好きなのよ。だから嫌じゃないし、何も心配してない。  
同じ仲間として応援してあげたいくらいなの。ナギも凛音の望むようにさせてあげて」  
 火凛の凛音に対する気持ちは判ったが、当人が紐を穿こうとするのは止めた方がいいのではないだろうか。と言うか、誰か入れ知恵している人物がいるような気がしてならない。  
「ちなみにこれ、凛音ちゃんが自分でカタログ見て選んだのか?」  
「うん。まあ、最初は私が薦めたんだけどね。雫やそよぎの透け透けのやつとかも」  
「お前が犯人かよっ!」  
 思わずそう叫んで、俺は苦笑しながら肩を落とした。  
 
 雫やそよぎはともかく、あまり極端なことを凛音に教えないよう注意をすると、火凛は少しばかり項垂れた。俺と凛音の為に良かれと本気で思っていたらしい。  
多少は可哀想に思えて頭を撫でてやると、火凛は俺に抱きつき、もっと色々と好みとかをちゃんと教えて欲しいと囁いてきた。  
突然に好みとか言われても比較対象がないことには何も思い浮かばず、そうしている内に火凛の柔らかな抱擁を受けて陰茎が反応し始めてきた。  
火凛もそのことに気付き、手か口でしてあげようかと言ってきてくれた。俺は少しだけ迷ってから頷き、制服のズボンとパンツを脱いでクッションの上に座り直すと、後ろに座って背後から一物を手で扱くよう火凛に告げた。  
火凛は指示通りに俺の後ろに身体を密着させて座り、怯えることもなく手を回して陰茎を擦り始めた。  
「どうかな? 気持ちいい?」  
「ああ、凄く気持ちいい。火凛の手つき気持ちよくて、そんなに我慢もできなさそうだ」  
「ナギになら一日中こうしてあげててもいいよ? 他もたくさん触ってあげる」  
 火凛はそう言って空いていた左手を俺のワイシャツの内側へと潜り込ませ、艶めかしい手つきで胸や腹などを撫で始めた。思わず俺はその心地よさに浸ってしまい、堪らずに小さく呻いた。  
「くっ」  
「ふふっ、ナギが気持ちいい時の声ってほんとに可愛い。それにいい匂いがする。もっとうんと気持ちよくしてあげるね?」  
 妖しい声で笑いながら火凛は両手を忙しなく動かし、倒錯的な状況に興奮しているのか、俺の身体に全身を強く押し付けて微かに震わせてきた。  
同時に俺の体臭も嗅いでいるらしく、背後からは鼻を啜っている音が聞こえてくる。俺も火凛の匂いに包まれながら愛撫を受け、陰茎の先からは我慢汁が溢れてきた。  
だが、このまま出したらワイシャツに飛び散りそうだ。  
「火凛、そろそろ出るから前に回って飲んでくれ。この体勢だとワイシャツが汚れちまう」  
「じゃあ、脱いじゃお? 脱がせてあげる」  
 うっとりとした声で呟き、火凛は陰茎を扱きながらも俺のシャツの前ボタンを外し始めた。  
「おい、火凛? ちょっと待てよ、おい?」  
「ちゃんと脱ぎ脱ぎさせてあげるから心配しないの。飲んであげたいけど、ナギが出すとこ見てたいし。ナギは気持ちよく出していいからね? 後から全部舐め取ってあげる」  
 瞬く間にシャツのボタンを外し終えると、火凛は半ば強引に片袖ずつ腕を抜き取り、結果的に俺を全裸にさせて再び胸や腹を触り始めた。無論、陰茎への愛撫は継続中だ。  
制服姿の少女に身体を弄ばれているという背徳感に背筋が震え、俺は耐え切れずにそのまま精液を放った。  
 
 肌の上に飛散した精液を舐め取らせ、次いで舌で陰茎の掃除をさせた後、俺は火凛を裸に剥いてベッドの上で四つん這いにさせた。  
わざと大きな音を立てて陰部の臭いを嗅いでやると触れてもいないのに濡れ始め、そのことを指摘すると更に濡れ、今では白い粘着質の愛液に塗れている。  
口では恥ずかしいと言いながらも火凛は姿勢を変えようとはせず、脚を大きく開き、湿った陰毛も薄く色素を帯びた尻穴も、そして殆ど剥き出しになった陰核も全て曝け出したまま、従順に俺の行為を受け入れている。  
自ら陰茎を扱きながら、亀頭で火凛の身体のあちこちをなぞり始めて数十分。既に顔も乳首も尻も腋の下も、俺の先走り汁が充分に塗りつけられている。  
「ふはあっ……ナギ恥ずかしいよおっ……はくうっ……こんなの恥ずかしいよおっ……」  
「今度はここに塗り付けてやるからな」  
 俺はそう言って濡れた亀頭を火凛の尻穴へと押し付けた。  
「んくはあっ……ナギそこ嫌あっ……ふうはあっ……お尻は嫌あっ……くふううっ……お願いダメえっ……あふああっ……お尻はダメえっ……はひああっ……お願い許してえっ……」  
 途端に火凛はガクガクと腰を震わせ始めた。だが、それでも逃げようとはしない。どうも尻穴に陰茎を当てられるのが嫌と言うよりも、そこから得る快感に戸惑っているような様子だ。もしかしたら一番の性感帯なのかもしれない。  
「何だよ、お前、ここが気持ちいいのか?」  
 試しに亀頭を外して左手の小指で菊門を擽ってみると、腰の震えは大きくなり、秘所からは愛液が大量に溢れてきた。  
「あひはあっ……変な感じがするだけだもぉんっ……んくひあっ……気持ちよくなんかないよおっ……ふくひあっ……だから止めてえよおっ……うひはあっ……お尻は嫌あっ……」  
「けど、すっげえ濡れてきてんぞ? いいぞ、別に尻で気持ちよくなっても」  
「ひふはあっ……だってお尻だよおっ……はくひあっ……お尻で気持ちよくなっちゃうなんて嫌あっ……んふああっ……お願いナギ止めてえっ……ふひはあっ……恥ずかしいよおっ……」  
「正直に言わねえなら、こうだ」  
 俺は一物を擦る速度を上げながら、小指をゆっくりと尻へと呑み込ませていった。第一関節まで挿入したところで、そっと腸壁を撫で上げてやる。  
「ひゃんふあっ……嫌それ嫌ああっ……んひくはあっ……ほんとにお尻で気持ちよくなっちゃうよおっ……いきひはあっ……それだけは嫌あっ……あはひはあっ  
……変な子になっちゃううっ……んきひいあっ……ダメ我慢できないいっ……ふくはひいっ……お尻気持ちいいっ……」  
 火凛が腰を捩り始めたのを見て俺は指を抜き、少しだけ拡がったそこに再度亀頭を当てて擦り上げてやった。  
「そろそろ出そうだ。ここに出してもいいよな?」  
「はひくはあっ……なら早く出してえっ……んひいああっ……これ覚えちゃう前にいっ……あふくはあっ……出して早くお願いいっ……はくふはあっ……お尻がおかしくなるうっ……」  
「少しだけ我慢しろよ?」  
 尻穴に先走り汁を大量に塗り付けた後、俺はそう告げて亀頭だけを強引に火凛の腸内へと入れ、直腸の締まりに感嘆しつつ精液を放ってやった。  
「あひっくひはあっ……お尻に熱いの出されてるうっ……んくひはふあっ……ヤダヤダ染みてくるよおっ……くふはへひあっ……お尻がお尻がああっ……かはひふはあっ  
……イっちゃうかもイっちゃううっ……私イっ……くっ……イくイくっ……イくうううううううっ!」  
 悩ましく腰を揺らしたせいで自分から陰茎を半ばまで尻穴に挿入し、火凛は全身を小刻みに痙攣させ、後に腸壁を蠢かせながらシーツの上へと崩れ落ちた。  
くぐもった水音と共に陰茎が抜け、ぽっかりと開いた尻穴からは白濁液が流れ出てきている。隠微な光景だが、当初はここまでするつもりは俺にはなく、単に勢いに乗ってしまったに過ぎない。  
一応は謝っておいた方がいいかと、俺は火凛に声を掛けた。  
「火凛、悪ぃ、なんつうか、その――」  
「はふうっ……気持ちよかったぁ……んあっ……もうナギのバカぁ……ふはぁ……こんなの覚えちゃったらぁ……ふぅ……毎回して欲しくなっちゃうよぉ……はぁ……責任取ってよねぇ」  
 その言葉に目を丸くした俺に、火凛は蕩けた笑みを浮かべてきた。  
 
 

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