目が覚めた時には昼間だった。相変わらず全裸の状態だったが、ベッドの上で毛布を掛けられ、確認してみると陰茎に付着していたはずの血や精液などは綺麗に拭き取られていた。
シーツも俺が寝ていた箇所以外は新しいものに取り替えられており、壁時計の針は十四時十七分を示していた。十時間近く眠っていたことになる。
俺は慌てて起き、脱いだ服が見当たらないため毛布を身体に巻いてリビングに行ってみることにした。
リビングでは四人揃って食事を取っている最中だった。全員私服に着替えており、聞けば、皆で一緒に入浴したらしい。確かに風呂場は四、五人同時に入っても無理のない大きさだ。
混ざれなかったことを残念に思いつつ尋ねてみると、俺とほとんど同時に火凛も寝てしまい、一人残された雫は個別に毛布を掛け、後片付けなどをし終えてから眠ったとのことだ。
其々が起きたのも昼過ぎで、故に食べているのは朝食だと言う。
一緒に食べるかと聞かれて俺は頷き、いそいそとキッチンへ向かう火凛を見て少しだけ笑った。昨日の昼間の雫と同じく蟹股だったからだ。多分、そよぎも凛音も同じ状態だろう。
「皆、まだ痛むか?」
新たな食事を用意してくれた火凛が自席に戻ってから、俺はそう尋ねてみた。
「私は、もう大丈夫です。まだちょっと、脚は開いちゃいますけど」
「私も平気だ。歩く時には違和感があるが、痛みは和らいでいる」
「私はちょっとだけ痛いかも。でも、治まっては来てるし、走らなければ問題ないよ」
「私、まだ少し痛い。でも平気。兄ぃ兄ぃと、その、出来ただけでも嬉しいから……」
雫、そよぎ、火凛に続いて申告してきた凛音の言葉に一同が満足そうに笑った。思いは同じということだろう。
俺にとってもそう思って貰えるのは嬉しいことだ。出会って一週間程度だが、もう四人がいない生活なんて考えられそうにない。
「今日は休むとしてだな、完全に痛みが引くまでは、前に決めた順番は無しにしておくか」
俺としては気配りのつもりだったのだが、そよぎは首を横に振った。
「平気だ、明日までには治す」
どう治すつもりなのかは判らなかったが、考えてみれば順番だからと言って別に無理して性交することもない。
俺は笑って何度か頷くと、目の前に並べられた料理を食べる為に自分の箸を手に取った。
月曜日のそよぎは朝から頬を赤く染めていた。授業中も俺の方を見ては赤くなって俯き、一旦顔を戻した後、また振り返って見つめてくる。
雫と火凛は少しばかり拗ねた表情をしていたが、それさえもお構いなしだ。放課後に家に帰る途中では腕を絡めて身を寄せてもきた。
「ちょっと、そよぎ。凪君が歩き辛そうじゃない」
「そうそう、もうちょっと私たちに遠慮してよ」
「今日は私が独占していい日なのだろう? 本当ならば学校を休んで二人でいたかったところだ。それに、明日は火凛の日だろう? あまり私に言うと、そのまま明日言い返すぞ?」
勝ち誇った顔でそよぎはいい、悔しそうな雫の前で俺の頬にキスをしてきた。明日のことでも考えているのか、火凛は少しだけにやけ顔だ。
凛音はそんな皆の様子を微笑ましく見つめている。どうやら一番幼い少女が一番の大人のようだ。
「もう、そよぎがそういうつもりなら、私だって順番の日にはもっとベタベタしちゃうから」
「雫がどうしようと構わんが、それなら私はその次の番の時にもっとベタベタするだけだ」
「ねえ、ナギ、明日は学校休んで本津島にでも行かない? デートしようよ」
「ちょっと待て。お前らなあ、こんなことで喧嘩すんだったら、順番の取り決めなんて止めるぞ? こんな調子で共同生活なんて出来ねえだろうが」
俺がそう言うと三人は黙り込んだ。
「……節度が大事」
慰めるような口調で三人にそう言った凛音に俺は笑いかけ、そよぎを振り払って近付くと、ランドセルごとお姫様抱っこして自宅まで運んでやることにした。
凛音は心底嬉しそうに微笑み、俺の首にそっと腕を回してきた。
「そんな、凪君、私もそれして欲しいです」
「待ってくれ龍神、私にも頼む」
「何だかんだ言って、凛音って要領いいのよね。実の妹ながら一番の強敵かも……」
自室で宿題と予習を終えた後に全員分の夕食を作り、食べ終えて洗い物を済ませた後は風呂だ。
当初の取り決めから、一番風呂には可能な限り俺が入ることになっている。俺はどうでもいいのだが、自分の後の湯に龍神である俺を入れることは出来ないのだそうだ。
自室で着替えを用意して脱衣所に行くと、既にそよぎが全裸で待ち受けていた。どうも一緒に入る分には構わないらしい。
雫たちが何も言ってこないのは、一応は同意を得ているからだろう。俺は苦笑しながら服を脱いで裸になった。
「一緒に入るのは構わないけどな、またしちまうかもしんねえぞ?」
「当然、そのつもりだ。だから毎日薬を呑むように言ったのだろう?」
確かに昨日、俺は朝食を取り終えた後に、これからは特に指示がなくても毎日避妊薬を呑んでおくようにと全員に告げた。各人の処女を奪った後では、機会と余力があれば迷わずに性交を挑むつもりだからだ。
それにしても一昨日処女を失ったばかりだというのに、そよぎのこの落ち着きは何なのだろう? 俺は意地悪く尋ねてみることにした。
「そんなにそよぎはセックスが気に入ったのか?」
「む、その、何というか、龍神に触れられるのは嫌ではないが、なんだな、そういうことではなくてだな、確かに心地よいが、その、特別気に入ったとかではなく……」
顔を赤くして言いよどむそよぎが妙に可愛くて、俺は更に意地悪をしてやりたくなった。まずは残念そうに言ってみる。
「気に入らなかったんじゃ、自分でするしか仕方ねえな」
そう言って俺は、自分の勃起した陰茎を見せ付けるようにして扱き始めた。
「なっ、龍神、なにを?」
恐らく男の自慰など見るのは初めてなのだろう。そよぎは目を丸くしながら、怯えたように後退さっていく。
「何って、そよぎの裸を見てオナニーしてんだよ。あんまり嫌な思いはさせたくねえけど、それぐらいはいいだろ? それとも、もっと協力してくれんのか?」
「きょっ、協力って、なっ、なにをすればっ、そのっ」
「そうだな、そこの壁に手をついて、立ったまま尻をこっちに突き出してみろよ?」
そよぎはぎこちなく頷いて、指示通りに尻を差し出してきた。俺はその背後に立ち、擦り続けている陰茎の先で陰唇の間をなぞってやった。
「んあっ、龍神っ、ふあっ、こんなことっ、はうっ、こんなことっ」
「安心しろよ、そよぎの嫌なセックスはしねえから。チンポでマンコをなぞられるの、気持ちいいだろ?」
「はうっ、そんな私はっ、くあっ、嫌だなんてっ、んくっ、そんなことは一度もっ」
やはり一番敏感なのはそよぎのようだ。こんな行為だけでも陰唇から僅かに蜜を溢れさせ、先走り汁と交じり合って何とも淫靡な様相を見せてくれている。
「でも、好きでも気に入ってもいねえんだろ? 悲しいけど、これで我慢するから」
言って、空いた手で背筋を撫で上げてやると、そよぎはもどかしそうに左右に尻を揺らし始めた。合わせて愛液の量も増え始めている。
「ふはあっ、好きいっ、んくはっ、好きだからあっ、はうあっ、こんなことはあっ」
「こんなことが、どっちなんだよ? 止めて欲しいのか? もっとちゃんとセックスして欲しいのか? 言ってくれなきゃ判んねえだろ?」
少しだけ亀頭を陰唇の間に入れ、膣口を直接擦ってやる。このまま入れても大丈夫かと思えるほど愛液は白く濁り始め、粘度も増してきた。
「はうあっ、してえっ、ひふあっ、セックスしてえっ、んくひっ、龍神の好きなようにいっ」
「じゃあ、言ってみろよ。そよぎの濡れ濡れオマンコに勃起オチンポ入れてくださいって。言えなきゃ俺が何度出そうがこのままだ。俺はどっちでもいいぞ?」
ついでとばかりに背中を愛撫していた手を回し、大きな乳房を揉んでやると、そよぎは自分から腰を陰茎に押し付けてきた。
俺は挿入してしまわないように注意深く腰を引いて、膣口だけを責めてやる。が、陰茎もそろそろ限界だ。
「早く言え、そよぎ。言わなきゃ、このまま出すからな」
「くふうあっ、言うからちゃんとセックスしてえっ、あふひうあっ、そよぎの濡れ濡れオマンコにぃ、はふくはあっ、勃起オチンポ入れてくださいいいっ!」
「偉いぞ」
俺は膣奥へと一気に陰茎を突き入れ、そのまま子宮へ精液を浴びせてやった。
「んくひうはああっ、熱いのがあっ、あくふひいいっ、一番奥にぃ、くっはあああああっ!」
腰をブルブルと震わせながらそよぎは膣内を締め上げてきた。多少はまだ痛むのだろうが、矢張り快感の方が勝っている様子だ。その反応に感触に満足しながら、俺は淡々と言ってやった。
「お前の好きなセックスで、もう一度出すからな。このまま頑張れよ?」
「んひはあっ……勃起オチンポすごいっ……ひふはあっ……濡れ濡れオマンコ気持ちいいっ……あひはあっ……セックス大好きぃ……ふひはあっ……勃起オチンポ大好きいっ……」
脱衣所で俺が二度目の膣内射精を終えた頃には、そよぎは痛みを訴えることもなく快楽の虜となった。
相変わらず尻を突き出したまま両手を後ろに伸ばして俺に掴まれ、背後から陰茎で膣を突き刺すように責められても拒絶する素振りは全くない。
教えた淫語を躊躇わずに口にし、揺れ動く乳房の先を尖らせ、膣内の精液と共に愛液を周囲に撒き散らしている。性交自体はまだ二回目だが、身体の相性がいいとしか言いようがない。
感じるほどに膣内は陰茎をきつく締め上げ、その柔肉の感触が堪らなく心地いい。
「そよぎ、そろそろまた出すぞ? さっき教えたおねだり言ってみろ」
「あくひあっ……オマンコ穴の奥までえぇ……んくひはあっ……熱いオチンポ汁で臭い付けしてくださいいっ……ひふはあっ……勃起オチンポ気持ちいいっ……
うくひはあっ……私もまたイきそううっ……はふひあっ……濡れ濡れオマンコまたイきそううっ……」
「いいぞ、一緒にイこうな。ほら、受け取れっ」
「ひきくはあっ……奥まで熱いのがあっ……んくひいいっ……染みるのが気持ちいいっ……あきひふはあっ……イくイくううっ……はひくはああっ……濡れ濡れオマンコイくうううっ!」
「どうだ? 中出し気持ちいいだろ?」
「んひいいっ……中出し気持ちいいっ……はうああっ……中出し気持ちいいっ……あひっくはぁ……まだ出てるうっ……くひあはあっ……まだ中出しがあっ……あ……くっ……はぁ……」
背を弓なりにさせて何度も腰をくねらせた後、そよぎは脱力して首を下ろした。脚が未だ震えているのは絶頂の余韻ではなく身体に力が入らない為だろう。
俺は掴んでいた腕でそよぎの上半身を引き上げると、背後から抱き締めて一物を引き抜いた。膣から混じり合った互いの体液をボタボタと垂らしながら、そよぎは横顔を俺に向けて弛緩した笑みを浮かべた。
気の強さなど感じられない依存しきった顔だ。俺は頬にキスをしてやってから、耳元に口を寄せて優しく問い掛けた。
「どうだった? 今日のセックスも気に入ったか?」
「……大好きぃ」
普段とは違う甘い口調で囁いたそよぎの唇に、俺は笑って口付けをした。
一緒に風呂に入った後、俺は雫の破瓜の時と同じようにそよぎを連れて自室へと移動した。とは言え、流石に二人ともパジャマを着てからだ。駅弁体位で移動中に誰かに会ったりしたら喧嘩の元になりかねない。
ベッドの上で再び互いに全裸になると、俺はそよぎの身体中に舌と指先を這わせた上で、正常位で交わり始めた。既に三回射精しているが、もう一、二回はいけそうだ。
それ以上になると明日が辛くなる。その内、一日の上限回数を決めて全員に告げておいた方がいいかもしれない。
「くひあっ……勃起オチンポ気持ちいいっ……んひあっ……セックス大好きいいっ……」
痴態を晒し続けるそよぎを前にして、俺はあることを思いついた。
「なあ、そよぎ。お前、今度からセックスの最中だけは敬語を使って、ご主人様って言ってみろ。他の時は今まで通りでいいから。いいな?」
「はふあっ……判りましたご主人様あっ……ふうあっ……オチンポ気持ちいいですうっ……んくあっ……ご主人様のオチンポおっ……あふはっ……ご主人様の勃起オチンポおおっ」
そよぎは提案を受け入れながら強くしがみ付き、両脚を俺の腰に絡めてきた。子宮を突かれるのと同時に、陰茎の根元で陰核をも刺激して欲しいらしい。俺は腰の動きを変え、望むようにしてやることにした。
「ひうはあっ……それいい気持ちいいですううっ……んひああっ……すごくてオマンコがああっ……あひふあっ……濡れ濡れオマンコがおかしくなるううっ……
ふくはあっ……またイくイきそうですううっ………はへああっ……ご主人様イっちゃうイっちゃいますううっ……」
四人の中で一番大きな胸を絶え間なく俺に押し付けながら、そよぎはだらしない顔で喘ぎ続けている。
眼鏡越しに虚ろな目をして一突き毎に股間から水音を立てる様は、平素の硬い態度からは想像も出来ないほどの淫靡さと愛くるしさだ。徹底的に快楽を叩き込み、もっと淫らな身体へと開発してやりたくなる。
「もう少しで俺も出すから、それまで我慢しろ」
「はくひああっ……無理ですううっ……あはくふあっ……イきたいイきたいですううっ……んふくああっ……身体が勝手にいいっ……うひはうあっ……
勝手にイっちゃううっ……くうあああっ ご主人様早くううっ……ひうはああっ……早くオチンポ汁出してくださいいいっ……」
「そんなに精液が欲しいか? おねだりしてみろよ?」
「くふあひあっ……オマンコ穴の奥の奥までええっ……んくひはああっ……熱いオチンポ汁で臭いをああっ……ひうあはああっ……もうダメイくイくううっ……
ひゃうはああっ……濡れ濡れオマンコイくうううっ! ひくっくあはああっ……あひゃあああっ……んくううあっ……」
例えそよぎが全身を跳ね上げて絶頂を迎えていようとも、俺としては手加減する気は毛頭ない。とは言え、膣内の柔肉のうねりと締め上げは殊更激しく、射精の限界が近いのも確かだ。
俺は更に腰の動きを加速させ、破瓜の時と同様に、そよぎに絶頂の余韻の中で精を浴びる喜びを教え込んでやることにした。
「出すからな、こぼさずに受け取れよ?」
「うくひあはっ……ダメ今はダメですうっ……はうあひあっ……まだイってるからダメですうっ……あひふああっ……今出されたら本当におかしくなるうっ……ふうひはあっ……
お願いですからちょっと待ってええっ……んくひはあっ……今はオチンポ汁出さないでええっ……」
「無理だな、ほらよっ」
「あひゃくひはあああっ……あひっ……くはあっ……イくイくイくイくううっ……ああっ……オチンポ汁でええっ……んくふあああっ……オチンポ汁でオマンコがイくううううううっ!」
翌朝。脱衣所にある洗面台の鏡を覗くと、目の下に隈ができていた。無理もない。風呂場で三度、自室で四度射精し、そよぎの膣から陰茎を引き抜いた時には夜中の四時を過ぎていた。
その後は一緒に自室のベッドで眠りについたものの、俺が目覚めた時点でもそよぎはぐったりとしていて、今日は学校を休むように言い聞かせたところだ。
つい勢いで回数を重ねてしまったが、やはり上限の目安はあった方がいいかもしれない。
「あっ、おはよっ」
そう言って二階の脱衣所に入ってきたのは火凛だった。嬉しそうに笑いながら横に並んで自分の歯ブラシを取り、俺を見つめて一瞬で険しい顔つきになった。
「ちょっとナギ、どしたの? なんか顔色悪いよ? クマもできてるし」
「……睡眠不足と体力不足だな」
「ええっ? そよぎが無茶させたの? ちょっと私、文句言ってくるっ!」
「待て待てっ、無茶させたのは俺だ」
歯ブラシを持ったまま脱衣所を出て行こうとする火凛を、俺は慌てて止めた。火凛は不貞腐れた顔で俺に視線を戻し、怒気を含んだ声で尋ねてきた。
「ふぅん、そよぎとするの、そんなに良かったんだ?」
「何か流れでな、つい」
「……今日は私の番なのに」
拗ねた口調で言いながら、火凛は俺の額に左手を当てた。
「……うん、熱はないみたいね。良かった。でも、今日は学校休んで」
「そよぎにはそう言った。けど、俺は大丈夫だ」
「ダメ、無理しないで休むの。私も休んで看病したげるから」
「いや、それじゃお前に迷惑かけるし」
「いいの。ナギは龍神なんだからね? もしものことがあったら大変なんだから。そよぎの看護も私がするから、部屋に戻って寝てなさい」
言われてみれば、こんな状態の俺を外に出すことは巫女として出来ないのかもしれない。
「……判ったよ」
俺がそう言って自室に戻ろうとすると、火凛は素早く腕を掴んできた。
「ちょっと待って。そよぎはまだナギの部屋にいるの?」
「ああ。一度起こして休むように言ってから、また眠るように言った。もう寝てんだろ」
「じゃあ、ナギは私の部屋のベッドで寝てて」
「何でだよ?」
「同じベッドで寝てたら、またしちゃうかもしんないでしょっ!」
そう言いながら、火凛は俺の腕の肉を強く抓った。
お昼過ぎまで火凛のベッドで眠ってから、俺は朝食を取る為にリビングへと向かった。が、階段で火凛に会い、食事は部屋に運ぶから寝ていろと言われ、指示に従うことにした。
布団に包まって二度寝の誘いと戦っていると、程なくして火凛が大きなトレイの上に食事を載せてやってきた。
てっきりお粥か何かを出されると思っていたのだが、ベッド脇のテーブルに並べられたのは肉と野菜の炒め物、きのこのチーズ焼きなど、スタミナ食と言っていいものばかりだった。
火凛は甲斐甲斐しく俺の口に料理を運び入れ、食事を取り終えると口元についた油を舌で舐め取ってくれた。聞けば、そよぎも既に食事を終え、シャワーを浴びた後に自室に戻って寝ていると言う。
様子を見た限りでは何事もないとのことで、俺は安堵の息を吐いた。
「じゃあ、俺もシャワー浴びて自分の部屋に戻るか」
俺が言うと、火凛は今朝のように額に手を当ててきた。
「うん、別に熱もないみたいだからいいよ。でも、大丈夫? 私も一緒に入って洗ってあげよっか?」
「襲い掛かっちまうかもしんねえぞ?」
「それはダメ。そりゃ、私だってナギに触れて欲しいけど、今日は我慢するから、ナギも我慢して。風邪でもひいたら大変だもん」
窘めるようにそう言うと、火凛は心配そうに俺の目を覗き込んできた。寵愛を得ること以上に、本気で俺の身体のことを気遣ってくれているらしい。そんな火凛の素振りに、俺は胸が熱くなった。
「なあ、キスぐらいはいいだろ?」
堪らずにそう言うと、火凛は自分の唇に右手の人差し指と中指の腹を押し付け、その指を俺の口に押し付けた。
「今日はこれで我慢すんの。私だってイチャイチャしたかったんだからね?」
(今回分、終わり)