【ケンコー全裸系水泳部ウミショー マガジン38号 Another Side】
海猫市と緒ノ島を陸でただ一つ繋ぐ、天弁橋。
緒ノ島1丁目に家のある沖浦要と、2丁目――の海岸に家(?)の停泊している蜷川あむろは、今その橋を渡ろうとしていた。
帰る方角が一緒だから、と連れ立って帰ることになった二人。
無邪気に、不意に見つめられる。
天然なのか、ねらっているのか。無防備すぎるあむろに、要は終始ドキドキさせられっぱなしであった。
「かなめちゃん一緒にかえろ――――」
「かなめちゃんあたし剃ろうとしてたよね?」
「かなめちゃん家ってどこなの?」
あむろの言動のひとつひとつが、要を気恥ずかしくさせていく。
その要因の最たるものが、彼女からの二人称――「ちゃん」付けであった。
一旦あむろから顔をそむけてから、そのことについて止めてくれるよう話そう、と要は考えた。
――たっ、たっ……
橋へ向かって駆けていく足音。そして「たっ」と地面を蹴った音がした。
「その…「ちゃん」付け、やめ……あぶな!!」
あむろを振り向きながらそこまで言いかけて、要の言葉は中断されてしまった。
要が目にしたのは、橋の手すりに飛び乗ったあむろの姿。
細い足場の上でこともなげに両足をすっくと伸ばして立ち上がり、遠くを見ようと上半身を曲げていた。
ただでさえ短いスカートが、海風を受けてひらひらとひらめいて――、
「――――っっ!?」
要は目を見開いた。
短いスカートだから、パンチラするかとは思っていたのだったが――。
あむろの短いスカートの下、健康的にすらりと伸びた脚の付け根には本来あるべきもの、
――下着が、なかったのだ。
風で強くまくれあがるスカート。その下には、健康的な肌色のお尻があった。
今日の練習で少しだけ日に焼けたのか、ついさっきまで水着を着ていた部分の肌の色が違っていた。
尻たぶを境に、お尻の割れ目に向かう部分は白い肌色。
脚へと向かう部分は小麦色というにはまだ遠いが、太陽の光に恩恵を受けた濃い目の肌色になっていたのだ。
白い部分とのコントラストが、余計にあむろのお尻を卑猥に見せていた。
驚きに声も出せないまま、要はあむろのお尻を凝視することしか出来ない。
「…………ぁ……!」
そんな要が、小さく叫びをあげた。
伸ばした右手を眉の上にあてて、あむろは水平線の先でも見ようとしているのか更に前へ乗り出していく。
お尻を突き出すようにして、膝を曲げずに。
スカートは、先の海風で既に完全にまくれたままで背中に折り重なっている。
――何一つ、遮るものはなくなっていた。
肉の果実を割るように、開かれていくあむろのお尻。
その中は、普段ハダカで海を泳いでいるときにも日の元に晒されない秘密の場所。
水着に隠されていた白い肌よりも尚白く――、しかし、中央のすぼまりは少しだけ濃い肌色だった。
そしてその下には、頭髪と同じ若草色の恥毛が生えたあむろのアソコがあった。
しかも、あむろが遠くの船を見るなどして歓声をあげたりするたびに、お尻の穴はひくつきを繰り返した。
――ドキドキさせられている女の子の剥き出しのお尻を見せられただけではなく、
お尻の穴も、おまんこまでもを見せ付けられた要は、どうすることも出来ずに呆然としているしかなかった。
「ん?」
やがて、ようやくさっきの叫び声に気がついたのか、不思議そうに振り返るあむろ。
あむろの視線で我に返った要が、照れ隠しとアソコを覗いていた事に対する後ろめたさに無闇に声を荒げる。
「お…落ちたらど――すんだよ!?」
至極まっとうな要の言い分にも、あむろは得意げに言い返す。
「海だからへ――き」
「そ――じゃなくて!!」
両手を広げ、バランスを取りながら手すりの上を平均台のように歩いてさえ見せた。
「あたしバランス感覚いいから大丈夫だよ――」
そう言いきるあむろに付いて行きながら、要はチラチラとスカートの中をうかがう。
落下防止のために、橋の手すりは1,2mほどの高さがある。
要があむろの斜め後ろでちょっと視線を向けるだけで、スカートの中――その、白いお尻が丸見えなのだ。
さすがに歩いていてはお尻の穴などは見えるべくもないが、
歩くために脚を交互に動かすたびにきゅっ、きゅっと交互に動く尻肉の姿は、要を前かがみにさせるのに十分過ぎた。
(わ、…わかっててからかってるのか…? ――それとも、ろ、露出……)
淫猥な妄想に考えが及び、慌てて頭を振ってよこしまな想いを打ち消そうとする。
だが、そうすればするほどに目はお尻に吸い寄せられ、ズボンの中のペニスも硬くなってしまう。
「ん? なに?」
「……い、いいえ」
よこしまな熱い視線を察知したのか、またも振り返るあむろ。
顔を真っ赤にして目をそむけた要をしばらく見つめて、…そして、思い至った。
「水着脱いじゃったからノーパンだよ――」
笑顔で「ぺろん」とめくられたスカートの下には、さっき後ろから垣間見た恥毛と――割れ目。
表情のさわやかさとは裏腹に、下半身は淫靡な雰囲気たっぷりであった。
「いっ、いちいち見せんでいい!!」
「あはは、朝から水着着ちゃってたから下着忘れちゃってー」
だったら体操着でもなんでも着てくれば――、と思わないでもない要であったが、言葉は出なかった。
それよりも目の前の状況、あむろのアソコに目が釘付けになってしまっていたのだった。
「き、君は…恥じらいとか、ないの…?」
つい口をついてでた言葉に、あむろは少し半目になって要を睨むようにする。
「恥じらいとかあるほうがかなめちゃんは好きなんだ?」
「じゃなくてっ!!」
あむろは要の奥底を推し量るように見つめ。
要は自分の性的嗜好を思い返し「好きだけど」という言葉を隠して無防備さを咎めるように声を荒げる。
一瞬の沈黙のあと。
「――……あるよっ」
そのとき要が聞いたあむろの声は、いつもの快活なソレとは違う声だった。
「――気にいった人の前以外だと、ハダカ恥ずかしいもん」
まるで(実際そうだが)乙女のような恥じらい表情で、そう告げた。
それを聞いて、要はあむろが一応恥じらいを持っているということを知って安堵しつつ――、
あむろが数度、自分の前にハダカで姿をあらわしたことを思い出す。
(じゃ…じゃあ、オレのことは……!?)
要の思考を遮るように、あむろの声。
「――それにね」
「……そ、それに……?」
「気になる人には、もっと見せたくなるんだよ――っ」
既にあむろは手を放していたので元通りになっていたが、海風に吹かれてばたばたと再び舞い上がるスカート。
要が再び目にしたソコは、陽光に照らされてキラキラと濡れ光っていた。
今日はここまで、と言わんばかりにくるりと身を翻し、手すりの上を歩いていくあむろ。
それに惹かれるように、引かれ。
要は足早に後を追いかけた。
おわり