牧村に撃たれ、表向きは死んだことになった安藤は処置を施され、前より格段に綺麗になった雪平の家で一人、時間を持て余していた。
テレビをつけても、真相を知らない癖に、勝手な意見を述べている放送番組や元〇〇という肩書きだけで出てくる評論家気取りの番組しかやっていないし、掃除・洗濯も、終わらせた。
ベッドに戻った安藤はパソコンを開いた。 新着メール―1件―
「メール?」
安藤は疑問に思いメールを開いた。
「今日は早く帰る
雪平」
安藤はメールを消去した。
―かなり、嬉しい―
しかしまだ3時だ。
安藤はまた暇になり、パソコンを閉じた。
「ん…」
安藤が目を覚ますと、隣では雪平が新聞を読んでいた。
「雪平さん…?」
「…あたしが薫ちゃんに見える?」
「そうじゃなくて、服……きません?」
「別に安藤に迷惑かけてないでしょ?」
雪平は安藤を試すような視線で見つめた。
「いや、その、目のやり場に困るんです…」
「もしかしてやりたくなった?」
「違いますよ、でも、何かの間違いが起きちゃうかもしれないじゃないですか」
「…起こせるものなら、起こしてみれば?」その雪平の一言をきき、安藤は雪平を自分のしたに組敷いた。
「その前に、怪我人はおとなしくしてた方がいいんじゃない?」
雪平は訳ありのような顔をした。
「今更負け惜しみですか?雪平さんらしくないですね」
そういうと雪平の唇に触れ、
「僕の勝ちです」
と言った。
「…バカかお前は」
「はい?」
突然のことに驚いた安藤は逆に雪平に組敷かれた
「これで傷口ひらいたら面倒でしょ?」
「だからと言ってこれは…」
普段と正反対の体位になると、いきなり恥ずかしくなった安藤は、どうにかしようと必死だ。
「その台詞は女の下になって感じてるひとの台詞じゃないんじゃない?」
雪平は意地悪そうな顔をして安藤自身を服の上から撫でた。
「ちょっ、待って下さい」
安藤は雪平の手を止めた
「…何?」
「あの…かなり、恥ずかしいんですけど」
「猫耳とか付けられるよりはましでしょ?」
「それはそうですけどそんなもの雪平さんがもってるはずがないじゃないですか」
「薫ちゃんに貰った」
「三上さんはどんな趣味なんですか?」
雪平は安藤を納得させると自身を口に含んだ
「っやっぱ、無理です」安藤は雪平の与える快感に悶えながらいった
「今更、遅い」
「喋らないで下さい」
雪平は安藤のことなど関係無い、というようには苦いものを美味しそうに舐めていた。
外で雨が降り続く音と、猫がミルクを舐めるような音が雪平な部屋に響いた。
「っそろそろ…ヤバいかもしれないです…」
安藤がそう呟くと雪平は上目使いで一段と強く吸いあげた。
「んっ…」
そう小さく呟くと同時に雪平の形の良い口で白濁色の液体が飲み込まれた。
「…すいません、雪平さん」
安藤は雪平の顔色を伺うために急に上半身を起こした。
「痛っ」
「だから起き上がるなって言ったでしょ?」
雪平は勝ち誇ったように言った。
「僕、雪平さんのその表情、大好きです」
「何?誘ってんの?」雪平は安藤の上に馬乗りになったまま笑った
「先、進めていい?」
雪平は安藤の胸元に手を置いた。
「雪平さんには、絶対逆らえませんよ」
雪平は安藤の頬に手を添え、深めのキスをした。
「安藤」
白い腕を安藤の首に絡ませ耳元で囁いた
「…何ですか?」
「―」
雪平は首筋から唇を離した。
安藤にしか聞き取れないような小さな声で囁いた後、雪平は、安藤自身を優しく包みこんだ。
「熱っ」
雪平は少しだけ笑うと、安藤自身を更に奥に入るように、体位を少しだけ変えた。
「雪平さんの中、っキツイです」
「仕方ないでしょ?」
そういうと雪平は安藤の傷口に負担が掛らないように様に優しく、だが、ねっとりとした動きを始めた。
部屋の中に重い水音が響いた。
「どうして今日、雪平さんは、そんなに平気な感じなんですか」
安藤は雪平が与え続ける快感の合間に雪平に聞いた。
「…だって、恥ずかしいじゃない?」
雪平はそういうと、顔を赤くし、動きを早めた。
安藤は下から、雪平に自身を押し上げた
「っん、はあっ」
雪平は不意に声を上げた。
「普段、雪平さんを下から見ることないんでなんか新鮮です」
イキかけている雪平に安藤はいった
「確に安藤を見下ろすことは絶対ないけど」
雪平はそういって腰を深く下ろし、安藤に口付けた。
「安藤が怪我してる間は…頻繁に見るかもね」
安藤は、深い刺激と煽情的な表情と言葉に耐えきれずに雪平のなかに白濁色の液体を出した。
それと同時に雪平もいき、安藤の上に倒れこんだ。
心地良い倦怠感が二人を包んだ。