11月25日  20:26   雪平・蓮見・三上・・・もつ兵衛  
      23:12   蓮見・・・帰  
      23:58   三上・・・帰  
11月26日  00:03   雪平・・・帰  
 
 
携帯に打ち込むと、安藤一之は自宅PCへとメールを送る。  
雪平への憎しみと豊への思いをこめて・・・  
 
夜、雪平の尾行をするのは5年前からの日課である。嵐の日も、雪の日も・・・  
もちろん雪平の行動を把握するためでも、ある。しかし最も重要なのは・・・  
「憎しみを、風化させないため・・・」  
小さくつぶやくと、安藤は一歩足を前に出した。  
 
 
雪平夏見は左右にふらふらと体をうごめかせ、タクシーを呼ぶために手をあげる。  
その姿を確認しながら、安藤は携帯をもう一度覗き込んだ。  
 
と、安藤の目の前に突然大きく光る何かがはじけとぶように穿孔をきらめかした。  
瞬間、安藤の体は浮き上がり、近くの茂みへと投げ出されていく・・・  
 
 
遠くなる意識のなかで・・・雪平の叫び声が・・・聞こえたような気がした。  
 
 
・・・  
 
・・・  
 
・・・ここは新宿の小さなコインロッカー・・・  
 
赤ん坊のぼくは必死で泣き声をあげる・・・  
 
・・・タスケテ・・・ボクハココニイルヨ・・・  
 
雑踏に飲み込まれ、ぼくの声は誰にも届かない・・・  
 
 
 
 
 
 
 
「大丈夫よ・・・ちゃんとここにいるわよ!」  
誰かが優しく僕の腕をさすりながら叫ぶ。  
「先生・・・目が・・・動いています!」  
 
 
 
 
だれだ・・・  
 
 
 
 
「もう心配ないようです・・・両腕以外に特に外傷はありませんから・・・」  
 
 
ゆっくりと安藤は目をあけた。まぶしい光と共に、誰かが覗き込んでいる。長い髪がかすかに揺れた・・・  
「・・・ぼく・・・?っここは・・・???」  
思うように声が出せない。  
次第に焦点が合ってくると、女の安心したような笑顔が瞳にうつる。  
「もう大丈夫よ・・・君・・・事故にまきこまれたのよ。突然で・・・怖かったでしょう。でも、もう大丈夫。」  
小さい子供に言うように、その女・・・雪平夏見はゆっくりと安藤に語りかけた。  
「両腕でとっさに頭をかばったのね。・・・痛む?」  
ふっと両手に目をやると、包帯でぐるぐる巻きにされていた。  
「あの・・・あなたが・・・ついていて・・・くれたんですか?」  
優しく頷きながら、雪平はそっと立ち上がった。  
「・・・携帯電話はぐちゃぐちゃに壊れてしまっているし・・・あなた、身分を証明するもの・・・何も持っていなかったから。」  
そう、安藤は免許証や学生証などの素性を知られるものは持ち歩かないようにしていた。いつ、復讐の機会が訪れるかもしれない・・・そんな思いで。  
「あの・・・ぼくっ・・・ぼく・・・なにも・・・思い出せない・・・」  
「それは、仕方ないわよ。誰だって事故の瞬間のことなんて・・・」  
遮るように安藤は小さく叫ぶ。  
「ちがうんです!・・・ぼくは・・・いったい・・・だれなんですか?」  
「!!!!!」  
 
「一時的なものだと思いますよ。脳波にも問題はないし・・・とにかく、うちとしては、両手の怪我くらいではそう何日も入院させるわけにいかないんです。」  
「でも!彼は何も覚えていないんですよ!」  
「とにかく!あなたが付き添っていらしたんですから・・・お願いしますよ。」  
 
事故の翌日精密検査を受けた安藤だったが、脳に何も問題はなかった。突発性健忘症・・・ほんの一時的なもので、すぐに全て思い出すだろう・・・医者はそう言う。  
はぁっとため息をつくと、雪平は振り返って笑顔を見せた。安藤を不安にさせてはいけない。  
「とりあえず・・・行きましょうか。」  
病院の外に出ると、雪平は安藤を気遣ってゆっくりと歩きはじめる。  
「・・・すみません・・・ぼく・・・なんとかなりますから・・・」  
「なに。何か思い出した?」  
小さく頭をふる。  
「なにも・・・でも、あなたにこれ以上ご迷惑をおかけするわけには・・・」  
「・・・乗りかかった船。って知ってる?それに・・・」  
あごで安藤の両手をさしながら、  
「そんなんで・・・なんとかなるも何もないでしょ。」  
雪平は優しく微笑んで、安藤の目を見上げた。  
「大丈夫!すぐに何もかも思い出すって!ほら行くよ!」  
タクシーをとめ、乗り込みながら雪平は安藤に尋ねた。  
「そうだ・・・きみのこと・・・なんて呼べばいいかな・・・?」  
「・・・か・かず・・・」  
「?」  
「誰か身近な人に・・・そう呼ばれていたような気がします・・・」  
雪平は嬉しそうに、安藤の背中をどんっと叩く。  
「ほらっ!もう、ひとつ思い出したじゃないっ!」  
安藤はちょっと照れくさそうに、笑った。  
 
 
 
雪平の部屋に来て4日が過ぎ、安藤の包帯も小さなものに変わった。  
まだ入浴は許されていないが、雪平が今日は髪を洗ってくれるそうだ。  
ほんの数日、そばで過ごしただけだが・・・雪平は安藤にとってかけがえのない存在になり始めていた。  
口は悪いし、部屋は汚いし、酒癖は悪いし、裸で寝るし・・・  
思いながら安藤はくすっと笑う。  
・・・でも、本当に心の綺麗な人だ・・・  
みおの描いた楽しそうな家族の絵を、寝る前に必ず見ている。  
安藤が悲しそうな表情をしていると、いつも明るい声で冗談を言う。  
罪を心の底から憎んでいる。  
父親を殺した犯人を、この手でつかまえると心に決めている。  
数年前に犯人を射殺したときのことを・・・今でも時々夢に見ている・・・  
 
安藤は小さく頭をふると、冷蔵庫へと向かった。  
本当は料理もしてやりたいが、この手では掃除機をかけるくらいしか出来ない。  
缶ビールを1本取り出すと、怪我をした手で必死にあけようと苦戦している。  
 
玄関の鍵がカタリと外れ、少し疲れた表情の雪平が顔を出す。  
安藤は嬉しさで、思わず大きな声を出した。  
「おかえりなさいっ!!!」  
雪平も嬉しそうに微笑む。  
「・・・ただいま。」  
どさりと荷物をソファに放りなげ、雪平はコートを脱ぐ。  
「なんか・・・いいね。」  
「???」  
安藤はもう1本ビールを取り出すと、雪平に手渡しながら首をかしげる。  
「誰かがうちにいて・・・お帰りなさいって・・・言ってくれるのって。」  
 
安藤は、このまま雪平のそばで毎日彼女の帰りを待って暮らす自分の姿を思い描く。  
悪くない空想だ・・・  
「何か・・・あったんですか?」  
雪平は明らかに悲しげな表情を浮かべている。  
「・・・なんでもないっ・・・あっ!!!そうだぁ〜今日は髪。洗ってあげるって約束してたね。お湯たまってる?」  
「あっ・・・でも・・・ほんとにいいんですか・・・?」  
「なに遠慮してんのよっ!ほら・・・お風呂場行くよっ!」  
もじもじする安藤を引き立てるようにして、雪平はバスルームへと向かった。  
 
「ほら・・・さっさと脱ぐ!」  
自らもシャツを脱ぎ捨て、キャミソールとショートパンツ姿になった雪平は、長い髪を束ね上げながら安藤に命令する。  
「え・・・だって・・・髪を洗うんですよね?」  
「なに言ってんの・・・?服着てどうやって頭だけ洗うの・・・?」  
「いや、えっと・・・何とかなるんじゃないですか・・・?最悪濡れても着替えればいいし・・・」  
「おまえ・・・男だろ?!ごちゃごちゃ言ってないで・・・ほら、早く!」  
無理やりスウェットをずり降ろそうとする雪平の手から必死で逃れると、安藤は背中を向けてしぶしぶ脱ぎ始める。  
「・・・見ないでくださいよ・・・」  
雪平の視線を感じて、安藤がくぎをさす。  
と、のぞきこむような雪平の気配を感じ、とっさに股間を隠した。  
「・・・馬鹿か、お前は。」  
雪平は笑いながら言うと、さっさと浴室へ消えていった。  
 
バスタオルを腰にしっかりと巻きつけるようにし、安藤は意を決してドアを引いた。  
暖かい湯気が立ち上っている。  
「風邪ひくといけないから・・・ほら、湯船につかって。」  
「はい・・・」  
消え入りそうな声でつぶやき、暖かい湯に体を浸すと、心地よさに思わず声を漏らした。  
「んん〜〜〜〜〜っ」  
「気持ちいいでしょ?久々だもんね・・・」  
優しい母親のような声に、安藤は身も心もゆっくりと解きほぐされていくのがわかった。  
雪平はその笑顔を見つめ、優しく微笑んだ。  
勢いよく、シャワーを出すと安藤の髪を優しく流し始める。  
たっぷりとシャンプーを手にとると、頭皮を刺激するようにゴシゴシと洗う。  
「気持ちいいです・・・」  
目を細めて安藤が呟く。  
「・・・最後にみおにシャンプーしてあげたのって・・・いつだったかなぁ。」  
雪平は遠い目で語り始めた。  
「今日ね・・・みおに・・・会いにいっちゃったんだ・・・」  
「え・・・会えたんですか?」  
うっとり目を閉じていた安藤は、その瞳を慌てて雪平に向ける。  
「ん・・・会えた・・・けど・・・」  
「けど?」  
「会えたけど・・・みおは・・・あたしのこと見て・・・走って逃げてっちゃった・・・」  
安藤は小さく息をのむ。  
「・・・笑っちゃうでしょ。娘に逃げられる母親って・・・そうはいないよね。」  
「笑いません・・・僕は笑いませんよ。」  
「・・・」  
「だって・・・雪平さん・・・泣いてるじゃないですか・・・」  
「っ!!泣いてないよっ」  
安藤は目を閉じている。雪平の目に小さく浮かんだ涙は見えないはずだ。  
「僕・・・わかるんですよ・・・雪平さんが・・・泣いてるときって。涙は、流れていなくっても・・・泣いてるんだって・・・」  
数日前に初めて会った、この若い男に・・・何故こんなにも心を開いているのか・・・雪平は自分でも不思議だった。  
「・・・ありがと。」  
小さく口の中で囁くと、涙を振り払うように、勢い良く泡を流した。  
「体も・・・洗ってあげようか・・・?」  
「え・・・」  
「せっかくだし・・・気持ち悪いでしょ・・・?」  
「・・・そ・そうです・・・ね。たしかに・・・」  
雪平は無言で安藤を立たせる。かろうじて、巻きつけられたタオルはとれていなかった。  
「じゃ・・・ここ座ってごらん。」  
洗い場に置いてある小さな椅子に安藤を腰掛けさせると、しっかりと泡立てたバススポンジで意外と広い背中を洗い始めた。  
優しく首筋を洗うと、安藤は心地よさそうに目を閉じている。  
男らしく締まった腰のあたりに手を伸ばしながら、雪平の胸がざわざわと騒ぎ立てた。  
「つぎ・・・こっち向いて・・・」  
 
動揺を隠すように、事務的に言う。  
安藤はゆっくりと雪平の瞳を見つめながら、体をこちらに向けた。  
優しく泡を滑らせるようにしながら、丁寧に安藤の体を磨きたてていく・・・  
柔らかな刺激が、次第に安藤の男性自身に固さを与えていった。  
筋肉質な肩、締まった腹・・・意外に毛深い下腹部にまで雪平の白い手が伸びる。  
見ないように見ないように・・・と思うと、何故か股間に視線がいってしまう・・・  
雪平は雑念をふり払うように、丁寧に安藤の引き締まった足を洗った。  
全ての泡をゆっくりと流すと雪平はふぅとため息をついた。  
「さ・こんなもんかな・・・」  
「・・・雪平さん・・・まだ・・・ですよ?」  
優しく、しかし湿り気を帯びた声で安藤がつぶやいた。  
「え?」  
「洗ってないとこ・・・あるじゃないですか・・・」  
「えぇっ・・・そんなとこ・・・そこは我慢しなさいよ・・・」  
ばっと安藤はバスタオルを取り去った。  
「!!!」  
思わず、雪平は息をのみ、安藤の体の中心にそそり立つ肉の塊に目を奪われていく。  
「すご・・い・・・」  
びくんびくんと脈打つように立ち上がるそれは、安藤の優しげな表情からは想像できないほど大きく荒々しかった。  
「ちょ・・・やだ・・・」  
雪平は急いで立ち上がろうとする。  
安藤は無言で立ち上がると、ドアの前に立ちはだかった。  
「責任・・・とってくださいよ・・・こんなに・・・したの・・・雪平さんですよ・・・?」  
さっきまでの恥じるような様子は、全くない。  
ほら・・・とでも言うかのように安藤は自身を突き出して雪平におしつけようとした。  
「ま・・・ちょっと・・・まって・・・やだ・・・」  
雪平は首を振りながら後ずさりする・・・しかしそう広くない浴室に、雪平の逃げ場はどこにもなかった。  
 
「雪平さん・・・僕じゃ・・・僕じゃだめですか?」  
「?」  
真剣な表情で安藤は続けた。  
「雪平さんのそばにいるの・・・僕じゃだめですか・・・?」  
「何・・・言ってんの・・・まだ・・・会ったばかりじゃない・・・」  
安藤は首を小さく振る。  
「僕は・・・雪平さんのこと・・・もしかしたら誰よりも知っている・・・そんな気がするんです・・・」  
そう、雪平も同じことを思っている。この青年は自分を誰よりも理解してくれている・・・そして自分も・・・彼のことを全て・・・知りたい。  
安藤の瞳を見つめると、うっすら涙が浮かんでいる。  
そして多分・・・自らの瞳にも。  
思わず、雪平は安藤の裸の胸にすがりついた。  
「・・・だめじゃないっ」  
安藤は激しく雪平を掻き抱き、雪平の髪に顔をうずめた。  
「だめじゃないよ・・・かず・・・あたしの・・・あたしのそばに・・・いて。どこにもいかないで・・・あたしから・・・逃げないで・・・」  
最後は泣き声になり、雪平は安藤に懇願するよう叫んだ。  
「どこにも行きません。僕は・・・あなたのそばにずっと・・・ずっと一緒ですよ・・・」  
体を引き離し、安藤は少しかがんで雪平の唇を激しく奪った。  
雪平の心にも、もう迷いはない。  
舌を絡め、唇をこすり合わせ、まるでお互いを貪るように激しく口づけを交わしていく・・・  
そっと唇を離すと、肩で息をつきながら、雪平は黙って髪を下ろしキャミソールを脱ぎ去った。  
豊かな乳房が弾むように現れる。直接刺激をしていないにも関わらず、乳首は痛いくらいに立ち上がっていた。  
「きれいだ・・・」  
こうして間近で見る雪平の裸体は、あまりにも美しく、安藤は思わず呟いた。  
そっと洗い場に安藤を横たえるようにすると、雪平は優しく体を重ねていく・・・  
「手・・・大丈夫・・・?」  
もちろん安藤の両手はまだ完治していない・・・無理させないようにしなきゃ・・・  
「痛くないですよ・・・?」  
雪平の優しい気遣いが、心の底から嬉しい。  
「あたしが・・・するから・・・」  
雪平はバスソープを少し片手にとリ出すと、そのまま安藤自身に手を伸ばした。  
ぬるぬるとした泡の感触と、雪平の細い指が絡まる刺激に、安藤は女の子のようにびくっと体を震わせた。  
「んっ!」  
可愛い喘ぎ声に雪平も思わず、腰をうごめかす。  
そのままゆっくりとしごき上げるように指をうごかしながら、激しく安藤の唇を吸う。  
ぽってりとした柔らかな唇が、安藤の男らしい唇をこじあげ、ねっとりと舌をさしこんでいく。  
 
「・・・!!!んん〜〜〜っ!」  
太い怒張に添えられた雪平の柔らかな指・・・押し当てられた豊かな乳房・・・その先端でいやらしく尖りきっている乳首が安藤の乳首をこりこりと刺激していく。  
唇には小さな舌が差し込まれ、安藤の口の中でくちゅくちゅとうごめいている。  
「ゆ・ゆきひら・・・っさんっ!!!僕・・・ごめんなさいっ!!!もぉっ!!!」  
片手で揉みこむように睾丸を刺激しつつ、ぬるぬるの指で激しく肉棒をしごき上げられた瞬間、安藤はどろりとした精を思い切り吐き出した。  
どくんどくんと睾丸が脈打ち、先端をぴくぴくと震わせながら、安藤ははぁはぁと息をあらげている。  
「ご・・・ごめんなさい・・・ずっと・・・処理もしてなかったんで・・・」  
確かに両手を怪我してから、もう1週間がたっている。若い安藤にとっては刺激的すぎたのかもしれない・・・  
「いいよ・・・すっきり・・・した?」  
安藤の吐き出した白い液で汚れた手のひらと、まだ少し固さの残る安藤のモノをそっと洗い流しながら、雪平は微笑んだ。  
「・・・まだ。」  
「えっ?!」  
「まだ・・・です・・・ちゃんと・・・雪平さんの中に入るまで・・・すっきりなんてしません。」  
少し照れくさそうに、しかし真剣な表情で、安藤は言う。  
雪平は安藤を立ち上がらせながら、小さく頷く。  
「じゃ・・・ベッド行こうか・・・」  
浴室を出ると、雪平は優しく安藤の体を拭いていく。  
手を伸ばして髪をごしごしと拭いてあげると、ふっとみおの小さかった頃が脳裏をよぎる。  
安藤は黙って気持ちよさそうに、雪平のされるがままになっている。  
安藤にとって、髪を、体を、優しく拭いてもらった経験など・・・あるはずもなかった。  
まるで捨て猫のような表情で、安藤は雪平の瞳をじっと見つめている。  
「・・・?」  
目で問い掛けると、安藤はいきなり雪平の腰をひじで押さえるようにしながら乳房に吸い付いた。  
じゅぽっちゅっ・・・  
突然の刺激に、雪平の膝ががくんと砕け落ちそうになる。  
「やっ!!!あっあぁっ!!!いっはぁっ!」  
小さく嬌声を上げる雪平は、一心不乱に乳首へ舌を這わせる安藤の頭を思わず掻き抱くようにする。  
安藤はほぉっとため息をつくと、雪平の背に手をまわしてベッドへと歩きはじめた・・・  
 
シーツにそっと腰をおろし、クッションにもたれかかると、雪平の細い体を自らの上にまたがらせるようにして座らせる。  
そのまま激しく唇を奪い、舌を絡めて唾液をすすりあげていく。  
「ふっぅぅ・・・んっ」  
鼻にかかった喘ぎ声を聞くだけで、安藤のモノに固さが蘇っていった。  
「ゆ・ゆきひら・・・さん・・・すきだ・・・ゆきひらさん・・・」  
柔らかな長い髪に顔をうずめ、安藤はかすれた声でうわごとのようにつぶやいている。  
雪平は嬉しそうに微笑むと、安藤の首筋に舌を這わせていった。  
太い首筋から大きな愛らしい耳にそっと息をふきかけ、そのまま柔らかな唇で吸い上げるようにしてしゃぶる。  
ちゅっちゅっと優しいキスをしたかと思うと、耳に舌をさしこみ直接脳を刺激するように甘い吐息を聞かせていく。  
「か・・・か・ず・・・?き・・・もち・・・いい・・・?」  
細い指で乳首をこりこりと刺激しながら、安藤の耳に優しく問い掛けた。  
こくんと子供のように、安藤が頷く。  
「ふふっちくび・・・かたくなってる・・・おんなのこ・・・みたいだよ?」  
ずきっと鈍い快感が腰を走り、安藤自身の亀裂からどろりと我慢の証が滴り落ちた。  
「ゆ・・・ゆきひらさん・・・きもち・・・いっ・いい・・・それっ!」  
雪平は顔をゆっくりと下へと移動させ、優しくついばむように安藤の乳首を舐め始めた。  
くりゅっくりゅっ・・・  
大きく舌を突き出して、安藤のびんびんに立ち上がった乳首を愛撫する。  
豊かな乳房が安藤の怒張におしつけられ、安藤は苦しそうに天を仰いだ。  
そのまま、ゆっくりと唇を引き締まった下腹部へと這わせながら、雪平は安藤の快感に苦悩する顔をじっと見つめている。  
先端をちろっとなめると、しょっぱい先走り汁がどろりと雪平の舌を汚す。  
「おいし・・・」  
恥ずかしさのあまり、安藤は顔を赤らめた。  
大きく口を開くと、雪平は一気に安藤自身をしゃぶりたてる。  
じゅぼっじゅっじゅぽっ・・・  
亀頭に舌を絡め、安藤の瞳を優しく見上げながら、うっとりと肉棒を味わっていく。  
先端を吸うようにしながら、根元を指でぬちゅぬちゅとしごきあげると、安藤はたまらず叫んだ。  
「〜〜〜っ!!!だ・だめですっ!!って・・・ゆ・ゆきひらさんっ・・・!!!」  
急いで腰をひくと、安藤は肩で息をつく。  
「ぼく・・・ぼくが・・・雪平さんを・・・感じさせたいのに・・・」  
ちょっぴり悔しそうに唇を噛む安藤が、たまらなく愛おしく、雪平は思わず泣き出しそうになった。  
「・・・あたしは、かずの・・・そんな顔見てるだけで・・・」  
またいでいた安藤のひきしまった腿に、そっと自らをこすりつけた。  
 
「・・・ね?」  
既に、雪平の秘所はどろどろの濡れそぼっていた。  
にゅるりとした愛液がこすりつけられると、太ももにすら性感帯があったことに安藤は素直に驚いた。  
「ん・・・すっごい・・・です・・・ね。ぐちょぐちょだ・・・」  
恥ずかしそうに安藤の唇をふさぐ雪平は、もう我慢できないというように激しく舌を差し込んでいく。  
「ん・・・んんっ・・・」  
安藤は雪平の陰核をこすりあげるようにして、ぐりぐりと腿を秘所へと押し付ける。  
「ん・・・っも・ぉ・・・い・いれて・・・?」  
安藤の怒張は痛々しいまでに反り返り、引き締まった下腹部を叩くようにぴくぴくと震えていた。  
無言で安藤は、雪平をそっと横たえ、顔の横に両肘をつくようにして覆い被さっていく。  
「あし・・・ひらいて・・・」  
一瞬小さく息を吸い込むと、安藤は静かに腰を繰り出した。  
手を添えずに、腰だけでぐぐっと挿入していく。先端がぐちょぐちょの秘所をこじ開ける感覚に雪平は静かに息をのむ。  
「・・・んっふっんんっぅ・・・っん・・・!」  
張り出した太い先端がのめりこむと、ごぽりと奥から愛液が吐き出され、安藤の肉をねっとりと濡らしていった・・・  
「あぁぁ〜〜〜〜・・・すっごい・・・き・きもち・・・いいっ!!!」  
思わず安藤はうわずった感嘆の声を漏らす。  
「ゆきひらさんっ・・・すごい・・・すごいです・・・熱くて・・・すっごいぐちょぐちょ・・・してます・・・よっ!!!」  
「や・だ・・・いわない・・・でぇっ・・・っ!!!」  
「だって・・・すごい・・・ほんと・・・めちゃめちゃ・・・きもち・・・いいっ!!!」  
あまりの快感に安藤は苦しそうに、しかしそれ以上に嬉しそうに叫ぶ。  
ぐりゅっじゅっじゅぼっ・・・  
はぁはぁと雪平の髪に顔をうずめ、必死で腰を振る安藤は、狂おしいまでの快感に必死で耐えている。  
「はぁっ・・・あっあっ!!!す・・・・きもち・・いいよぉ・・・っ?」  
雪平もこらえきれないような喘ぎ声をあげ、安藤の背中に腕をまわした。  
お互いの胸がぴったりと密着し、まるで1人の人間になったような、奇妙な錯覚を覚える。  
「ゆきひらさんっすきだっすきだっ!!!」  
激しく腰をうちつけながら、いつしか安藤の声がかすれ、哀しげな響きを含んでいく・・・  
「か・かず・・・?・・・泣いて・・・るの・・・?」  
そっと顔をあげると、安藤は子供のようにぼろぼろと涙をこぼしていた。  
 
「ど・・・した・・・の?」  
激しく抜き差しをしながら、安藤はまだ頬を濡らしつづけている。  
「かず・・・泣かないで・・・あたし・・・ここにいるから・・・」  
安藤は涙に濡れた瞳で静かに雪平の瞳を見つめ返した。  
「雪平さん・・・」  
「ね・・・ずっと・・・ずっといっしょ・・・だから・・・ね?」  
優しく髪に手を伸ばし、よしよしと頭をなでる。  
長い髪がベッドに広がり、大きな瞳は安藤を優しく見つめる。  
上気した頬が柔らかな線を描き、形の良い唇は安藤自身の唾液でぬらぬらと濡れていた。  
無防備なまでに、安藤に体を開いた雪平は、何も言わずに彼の欲望を受け止めてくれている・・・  
安藤は荒々しく雪平細い喉に唇を寄せ、そのままがぶりと首筋に噛み付いた。  
「痛っ・・・!んっあっ・・・」  
一瞬ちくりとした痛みを感じるが、安藤はそのまま優しく甘噛みを始めた。  
ちゅっちゅ・・・  
優しく首筋へと刺激を与えながら、ぎんぎんに屹立した怒張は雪平の膣奥を激しく突き上げている。  
安藤は顔を上げ、今度は雪平の左の乳房に吸い付く。  
ちょうど心臓のあたりに激しいキスの雨を降らせ、安藤はさらに激しく腰を繰り出した。  
「んっんっはぁっ・・・あっぁぁ!!」  
「ゆきひらさん・・・すきだ・・・ぼくは・・・あなたが・・・すきだ・・・」  
ぐりぐりと子宮口を刺激するように腰を揺すると、心の底からの叫びを安藤はあげた。  
「すきだっすきだっ・・・!!!」  
「〜〜〜〜っ!!!か・・・ず・・・もぉっあたし・・・イっちゃぅ・・・っよっ?」  
「ぼくもっ・・・もうっ!!!」  
「な・なかに・・・なかにしてっなかでっいっぱい・・・だしてっ・・・!!!」  
うんうんと小さく頷くと安藤は一際大きく腰を突き上げる。  
「んっで・出るっ!!!」  
「イっ!!!〜〜〜〜っイ・・・イっちゃぅぅう〜〜〜〜っ!!!」  
同時に叫ぶと、安藤は思い切り2度目の精を雪平の最奥へと吐き出していく・・・  
ぐっぐっと尻がすぼまり、美味しそうに安藤の精液を吸い取る秘裂を更に犯すようにねじ込みながら、2人は同時に果てた。  
 
「ね・・・ずっと・・・いっしょ・・・だから・・・ね・・・どこにも・・・いかないで・・・ね・・・」  
うとうとと眠りに落ちながら、雪平は小さな子供のように安藤に囁く。  
雪平の小さな頭を抱えるようにしながら、やさしく髪をなでていた安藤はおだやかに笑った。  
いつしか、雪平は夢の中にいる。  
小さい頃、父の胸で眠りにつくとき・・・歌ってもらった歌がどこからか聞こえてくるようだ。  
 
きらきらひかるおそらのほしよまばたきしてはみんなをみてるきらきらひかるおそらのほしよ  
 
久しぶりに訪れた深い安らかな眠りに、今日は悪夢も遠慮してくれるだろう。  
 
 
 
 
次の朝・・・雪平はひとり冷たいベッドで目覚めた。  
 
 
 
 
 
安藤はそっと雪平の部屋を見上げる。  
小さな鍵をポケットで握り締め、白い息を吐きながら一歩足を踏み出した。  
 
 
1週間ぶりにがらんとした自らの部屋に足を踏み入れる。  
部屋中に貼ってある×マークで汚された雪平の写真を見回すと、安藤はおもむろに一枚、また一枚とむしり取るように写真をはがし始めた。  
はぁはぁと肩で息をつきながら、全ての写真をはがし終わる頃には安藤の頬は涙で濡れていた。  
PCの電源を入れると、ブーンと言う無機質な音をたて罰サイトが立ち上がっていく・・・  
安藤は届いたメールを開くこともせず、すべてゴミ箱へと削除していった。  
ふと誰かがこちらを見ているような気がして横に目をやると、小さな写真たてから豊が優しい笑顔を安藤にむけていた。  
濡れた瞳で、豊に問い掛ける。  
「ゆたか・・・ぼくはっ・・・ぼくは・・・もう・・・ひとりじゃない・・・ごめん・・・ゆたか・・・ぼくにはまだ・・・しあわせになるけんりが・・・あるかな?」  
いつもと変わらず安藤を見つめる豊は、最初から・・・安藤の幸せだけを願って微笑んでいた。  
 
「・・・おはよう。」  
「ゆきひら〜〜〜っまぁた昨日も朝まで飲んでたんだろう?」  
三上の派手なベストが、雪平の二日酔いの頭をさらにずきんと刺激する。  
あれから数日がたった・・・雪平はまだ安藤を失ったショックを癒せず、毎晩浴びるように酒を飲んでいた。  
「・・・薫ちゃん・・・朝からテンション高いね・・・」  
「おぉ〜!今日は新人が来る日だからね〜〜っどんなやつか楽しみなんだよ・・・!」  
「おはよう、雪平!なんか新人くん・・・結構可愛いらしいよっ!」  
またもやテンションの高い蓮見が大きな声で耳元で言うと、雪平の頭がさらにがんがんと音をたてた。  
「〜〜〜〜〜っちょっと・・・あたし・・・コーヒー飲んでくる・・・」  
「だぁめだって!!あっほらほらっ!!キターーー!!!ほらっ可愛い!」  
蓮見が嬉しそうに雪平を肘でつつくと、雪平は顔をあげる・・・  
 
「今日から捜査一課に配属になりました。安藤一之です。どうかよろしくお願いします。」  
雪平は驚きのあまり、声もだせずに目を見開いた。  
「・・・っ?!」  
「将来は、雪平さんのような・・・フェアな刑事になりたいと思っています。」  
ほんの少しはにかんだような安藤の笑顔を見ると、雪平は思わず盛り上がる涙を隠すようにすっと目をそらした。  
 
・・・と、山路管理官の怒声が飛ぶ。  
「新宿区下落合2丁目コープ山岸103号にて男性の変死体を清掃会社職員が発見。全員ただちに急行せよ!!雪平ァ!!」  
「は・はいっ・・・!!」  
現実に引き戻された雪平は、はっと慌てて山路を振り返った。  
「そこの・・・新人・・・おまえが面倒見ろ。」  
「えっ」  
「ほらっ早く行けっ!」  
「・・・っはいっ・・・い・行くよっ!!」  
出かかった文句を飲み下すようにすると、雪平は安藤に声をかけた。  
「はいっ!!!」  
雪平と安藤は肩を並べて歩く。  
「雪平さん・・・雪平さんってば・・・!」  
ほとんど駆けるようにして雪平はずんずん進んでいく。  
「ちょ・・・雪平さんっ!!!今晩・・・何が食べたいですか・・・?」  
「?!」  
慌てて足を止め、安藤をきっと睨みあげるようにして雪平は唇を噛んでいる。  
「・・・今日・・・家・・・行ってもいいですか・・・?」  
「来ても入れない。」  
「・・・じゃ・・・勝手に入ります・・・」  
「???」  
ポケットから小さな鍵を取り出して、雪平の前にかざすと  
「合鍵。これからは毎日・・・ずっと・・・いっしょですね。」  
子供のように無邪気な笑顔を浮かべて、安藤は囁いた。  
「馬鹿かおまえは・・・っ安藤っ!!」  
「は・はいっ!!!」  
「行くよ!」  
雪平はそっと微笑むと、すぐに厳しい表情に戻りまた、歩き出す・・・  
でも・・・もうひとりではない。  
隣には、安藤が、いる。  
 
 
 

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