様々な店の辺りの電気料金が高くなる季節。白々しいほどのイルミネーションが街を包み込んでいる  
 
「…雪平さん」  
帰りの途中、安藤は、助手席に座る雪平を呼んだ。  
「ん〜?」  
「今日、買い物してから帰っても良いですか?」  
「…いいけど、何するの?」  
「一応、調理です」  
 
 
安藤は、不思議がる雪平を脇目に買い物を済ませている。  
「…今日、何食べたいですか?…」  
「…美味しければなんでも良い」  
雪平は安藤を見て答えた。安藤はそんな小さな動作さえも愛しく感じ、ここが家の中だったら良かったのに、と後悔した  
「…」  
「雪平さん、」  
「何?」  
「…この会話、夫婦っぽくないですか?」  
「…馬鹿かお前は。夫婦っぽい会話って何だよ」  
「…すいません」  
安藤は先に行ってしまいそうな雪平を追い掛けた  
 
買い物を終え、雪平の家に帰ると安藤は中から買ってきた材料を取り出し、冷蔵庫にしまった。  
 
「…何作んの?」  
「…クリスマスですから、お菓子とか」  
「…」  
「甘いもの…苦手じゃないですよね」  
「…別に」  
安藤は、手早く下準備を済ませ、材料を取り出した。  
スポンジは買ってきた為、早く終りそうだ。  
「雪平さんも手伝って下さいね」  
「…」  
「…雪平さん?」  
「分かってる」  
雪平は、ブラウスのボタンを面倒臭そうに外した。  
 
彼女特有の甘い香りが動く度に漂う。  
 
安藤は雪平にあまり視線を向けずに調理に取り掛かった。  
目を向けると、ブラウスから時折覗く白い肌の誘惑に負けてしまいそうになる。  
 
 
あとは生クリームをスポンジに塗り、デコレーションするだけだ。机の前に座る安藤と雪平は、真剣そのものでケーキに向き合った。  
近くには銀色に光るボールがおいてある。  
「…」  
「…」  
ソファの前に並んで座り、真剣になったこともあり、完成したケーキの見た目も中々美味しそうだ。  
 
「…」  
「あとは味ですよね」  
安藤は、隣に座る雪平を見た。  
「…多分、大丈夫」  
そういうと雪平は、安藤の指先についた生クリームを舌で舐めとり、  
「美味いじゃん…」  
と笑う。  
安藤は、白い歯を少しだけ覗かせて笑う雪平を眺め、唇を重ねた。  
 
雪平は恥ずかしそうに視線を外すと、安藤に腕を回す。  
甘える様に腕に力を込める雪平を安藤は汚さない様に抱き締めた。…安藤は雪平の肩に自分の体重をかける  
 
そのとき、雪平か、安藤の体が机に触れたのだろう、机の上に乗ったボールが落ち、衝撃によって雪平の胸元に生クリームが広がった。  
「…大丈夫……ですか?」  
「…大丈夫じゃないだろ。どう考えても」  
雪平は、べたつく体をシャワーで洗い流そうとして、起き上がった。  
が、安藤はもう一度雪平を倒した。  
「…何?」  
「僕は…このままが良いです」  
「は?」  
 
安藤は自分の下に寝ている雪平を眺める  
「…可愛いです。お菓子みたいで…」  
「……」  
「食べちゃいたいぐらい…」  
「…っ安藤」  
雪平はボタンを外す安藤の手を制した。  
「何です?」  
「…」  
ボタンを外し終え、器用に下着を外すと体温で柔らかくなった生クリームを舐めとり、もう一度唇を重ねる。  
「…甘…」  
雪平は、胸の奥で何かを感じているのが分かった。  
安藤に触れられる度にその思いが強くなっていくのが分かった。  
 
普段感じる愛情とも違い、これからに対しての羞恥心とずっと愛されていたいという想いが混ざり合って、欲望になる。  
その想いが体を支配し、全てを溶かした。  
そして、更に安藤の  
体も求めはじめる。  
安藤は雪平の口腔内に舌を入れ、雪平の唾液を絡ませる。  
甘味の強いその感覚は安藤の舌を痺れさせた。  
 
安藤は舌を抜かず、絡め合ったままで白く細い腰を引き寄せた。  
「…安藤」  
雪平は唇を離し、安藤の名前を呼ぶ。  
「…」  
雪平が飲み込みきれなかったどちらのものか分からない唾液が溢れおちた。  
 
「触って……?」  
雪平は安藤に押し広げられた白く長い脚を閉じることなく、安藤を見る。  
安藤はボールに残った生クリームを手で掬い上げた。  
「どうせ…もうべとべとなんですから、良いですよね」  
安藤はそう呟くと雪平の其処に手を伸ばした。  
 
「ひゃぁ…ん!…部屋汚れる…!!…」  
安藤は、雪平の大きく、美しい胸や細い腰、長い脚にとろとろと溶け出すような生クリームを塗った。  
ぬるぬると滑るそれは、まるでローションの様で、二人は、何とも言えない感覚に浸る。  
「…どちらにしろ雪平さんは掃除しないじゃないですか……」  
 
既に沢山の生クリームがついている其処は、雪平の中から溢れでるものと混ざり合って白濁色の水溜まりを作っていた。  
「…っ」  
安藤は浅く腰を埋め、先の部分だけで中を掻き回す。  
ふいに、腰が浮くような感覚に襲われ、雪平は安藤に深く抱きついいた。  
「…もう……頂戴?」  
雪平は艶のある声で呟き、イきそうになっている体を安藤に委ねる。  
 
その声で呼ばれた安藤はこれ以上耐えられる筈もなく、そのまま雪平に深く埋めた。  
そして其のまま激しく腰を動かす。  
 
雪平の伸びた脚は、強い快感に耐えることが出来ず、安藤の動きに合わせ揺れる。  
 
「あ、っや…安藤、……イっちゃ…う」  
雪平は安藤の首筋に顔を埋めたまま、安藤に限界が近いことを知らせた。  
「…良いですよ。イっても」  
安藤は一度動かしているものを抜くと、入り口にあてがい、一気に奥まで突く。…そして、雪平の一番良いところを刺激する。  
既に、何度も肌を合わせている為、既に分かっていた。  
 
「…ぁ…ぁぁああ!!…安、藤…」  
雪平は、びくりと身を揺らし、ゆっくりと安藤のキスを受け入れた。  
安藤はそれと同時に雪平の体内からそれを抜いた。  
相変わらず、甘いのだろう。雪平はゆっくりと安藤を見た。  
「……早くお風呂入んないと…髪、固まっちゃいますよ」  
安藤は雪平の髪を撫で、ずっと重ねていた体を離す。  
できればずっとそうしていたいと思っていたが……  
 
 
 
雪平は、一人シャワーを浴びていた。  
「…」  
髪を洗い終え、水気をきっていたとき、ふいに扉をあけた。  
 
「…何…安藤?」  
「一緒に入って良いですか?」  
 
「馬鹿かお前は…駄目に決ってんだろ」  
「じゃあ、…僕はいつまで…べたべたのままでいれば良いんですか?」  
「…」  
雪平は仕方なく安藤を入れた。  
 
 
雪平は湯船につかり、安藤をなるべくみない様に視線を外す。  
「…」  
「…雪平さん」  
「…何?」  
「…ちょっとあっち向いて下さい」  
「…?」  
雪平は不思議に思いつつも、体ごと向こうを向いた。  
一度扉が開く音が聞え、その後再び安藤が戻ってくる。  
雪平の首筋に冷たい感覚が伝わった。  
「…何?」  
「今日、一応イブですよ?プレゼントぐらい買いましたよ」  
「…」  
雪平は、首筋に光るものをみた。  
その隙に、安藤は雪平の隣に入る。  
 
雪平と安藤、二人で入ると浴槽は狭かったが、それさえも幸せだった。  
「…それ、…似合って良かったです」  
安藤は雪平を眺め、幸せそうに笑う。  
「ミニサンタの衣装も着て欲しかったんですけど…理性が働いて、やめました」  
「…馬鹿かお前は、」  
安藤は、雪平を後ろから抱き締めた。  
「……何?」  
「雪平さん?」  
「…だから、何?」  
雪平は後ろから抱き締めている安藤の顔を見る。その瞬間、安藤は雪平に唇を重ねた。  
「…ん、…」  
雪平は、先ほどの快感が残っている体を安藤に預けた。  
「ねぇ、…安藤…」  
「はい?」  
雪平は、顔を赤く染め、恥ずかしそうに呟いた。  
「…背中に…あたって…痛い」  
「…なんか、したくなっちゃいました……」  
安藤は、悪びれずに雪平の首筋に顔を埋めた。  
 
「ん、…ぁ…あ」  
浴室には、雪平の甘い声が響く。  
 
 
 
イブの夜は、もう少し、長くなりそうだ。  
 
 

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