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 奈央、孝一、真央へ……  
 
  奈央へ  
 今、私のところに光覇明宗から連絡がありました。にわかには信じがたい話だとは思いますが、以前話した「白面の者」との決戦が近く、  
「白面の者」はその戦いの前に記憶を操作する作戦に出る様子があるそうです。  
ですから私はこの手紙を書いてすぐにある場所へと向かい、それを防ぎます。場所は言えません。  
言えば貴女が引き止める事は解っていますから。  
貴女の気持はありがたいのですが、我々が戦わなければ、日本は滅ぼされてしまいます。私は家族の為に戦うつもりです。  
駄目な夫で申し訳ありませんが、どうかその事を解ってやって下さい。  
この手紙は、私がその戦いが済んでも帰らなかった時にのみ、子ども達に読んでやって下さい。  
 
 今、こうして偉そうに書いていますが、本音を話すと躊躇いも無くはありません。  
こんな事になるのなら、もっと貴女と過ごしたかった。子どもと接したかった。  
そんな事ばかり考える私は、父としても光覇明宗の法力僧としても失格かも知れませんね。  
勿論、この負ける訳にはいかぬ戦い、精一杯戦って来ますが、死ぬつもりは毛頭ありません。  
ですから、帰って来たら、今まで無駄にしてきた時間を家族の為に遣い、良い夫、父親を目指してみようと思います。  
奈央、ありがとう。貴女が妻で本当に良かった。愛しています。  
 
 私が帰って来られたら、貴女との初めてのデートで行った海のみえる丘公園にみんなで行きましょう。きっと帰って来ます。  
 
P.S.万が一の時は、貴女は新しい幸せを探して下さい。貴女にはその権利がある。  
でも、時々で良いので私の事も思い出して下さいね。  
 
 
  孝一へ  
 おまえはヒーローなんてTVの中だけのそんざいだと思ってるみたいだけど、本当はちがうんだ。父さんは日本のため、家族みんなのために戦った。  
そのことをおぼえておいてくれ。そして、もうおまえを釣りにも連れて行けない駄目な父親を許してはくれないだろうか。  
 
 強くなれ。おまえは私の息子で、山本家の長男だ。父さんに代わって母さんを助け、真央を可愛がってやってくれ。駄目親父のさいごの頼みだ。  
私もおまえたちと離れるのは辛い。出来ればおまえたちと一緒に居たかった。  
それでも戦わねばならぬ場合があるということを、おまえも理解する時が来るだろう。  
そして、その時のために強くなっておけ。大切な人達を守るには、強さが必要だと私は考えている。  
今おまえが習っている空手もそうだが、心もきたえておけ。どんなに辛いことでも耐え抜ける、弱さを見せない心を養え。  
 
 おまえに言わせると、「男同士の約束」って奴だ。来週の釣りの約束、破ってごめんな。  
 
 
  真央へ  
 まだ言葉も話せない貴女がこれを読める様になり、理解出来る様になるのは何時の事でしょうか。  
ママそっくりな貴女の成長した姿はきっと、それは美しい事でしょう。直に見てみたいとも思いますが、駄目だった様です。  
貴女の名前は、パパとママの名前から一文字ずつ取りました。  
パパは貴女にママの様な美しく、優しい女性に育って欲しいという願いを込めて。  
ママの方には、直接尋ねてみて下さい。  
 
 パパは貴女の成長が楽しみで仕方ありません。ずっと見守っています。  
 
 
  みんなへ  
 説教好きな親父はまだまだ言っておきたいことが沢山在りますが、そろそろ行って来ます。みんな、大好きです。  
お父さんはきっと負けません。必ず帰って来ます。では…家族みんなが幸せで居られます様に。  
 

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