教室に着いたら幸い先生はまだ来てないみたいです。……けれど後になって、私は教室に先生が居てくれれば……と思う事になるのでした。 授業は始まっていなかったけれど、  
クラスのみなさんは席についていたので、私は教室の後ろを通ってそそくさと自分の席につこうとしました。  
 
「橘さんもう……顔色はさっきよりもいいみたいだけれど……」隣の席の結佳さんが私を見て、驚いたような呆れたような表情でそう言いました。 「はい、もう大丈夫ですから……ご迷惑をお掛けしました」私は無理やり笑顔を作って言ったつもりでしたけど、  
多分引きつった顔になってるのは自分でも分りました……。 結佳さんはまだ呆れた顔で私を見上げていたけれど、イスを引いて席につく。  
 
……お尻とアソコが直にイスに当たる……。直ぐにイスは私の体温で冷たくはなくなる……。 ……さっきは授業中にオナニーをして、今は下着を着けないで授業に出て……  
とても惨めな気持ちになる……。 私はスカートを下に引っ張って、どうにかしてアソコとお尻を隠そうとしました。……けれど、そんな行為は意味が無いという事を私は知るのです……。  
 
教室のドアが開いて、担任の日向先生が入って来ました。おかしいです、四時限目の授業は数学だから日向先生のはずじゃ……。 そんな事を思っていると  
 
「あー、今朝話した通り、四時限目は文化祭の出し物決めたり、合唱の自由曲決めたりするからな。……これも今朝話した通り、先生は所用で早退させてもらうけど……」  
 
朝のホームルームと1時限目に居なかった私達は知らなかったけれど、四時限目はホームルームになるようでした。……こんな状態じゃ授業に集中出来ないので、  
ホームルームになるのは助かる……そう思いましたけど、それは大きな間違いでした……。  
 
「それじゃぁ、橘」不意に日向先生に名前を呼ばれ、私は驚いて、「は、はい?」と返事をするのがやっとでした。日向先生の言葉は  
「今日は学級委員長の清水が欠席してるから、副委員長のお前が議長を……と、思ったが病み上がりというか、まだ本調子じゃないんだろ?」私は教壇に立って、ホームルームの進行をやらないといけなくなると思って、  
心臓の動悸が周りに聞こえてしまうのではないかと思うほど、早くなったけれど、日向先生の最後の言葉を聞いて「はい……」とだけ答えてホッとしました。……でも……  
 
「あ、せんせー、じゃあ議長はあたしがやるよ」皐月ちゃんが名乗りをあげました。たしかに皐月ちゃんなら声も大きいし、人前で喋るのがそれほど得意じゃない私よりは適任です。  
「そうだな。議長代理は多岐川に任せるか」日向先生も承諾してくれて、私は心底ホッとしました。「そういう訳だから一夏ちゃんはいつも通りでお願いね」え……? い、いつも通り……。  
そう……学級委員長が進行を担当して、副委員長が決まった事項などを黒板に書いていく……。いつものホームルームは日向先生が作ってくれたプリントをクラスのみなさんに配ってそれで進行させるから、  
私はいつもはプリントを配布して、委員長さんの分のプリントを書くくらい。……たまに黒板を使う事があるけれど、そんなに背の高くない私は、背伸びしたりイスに上がらないと後ろの席の方が見えるようには書けません。  
 
……今、この股間ギリギリの長さのスカートで……下着を穿いてない状態でそんな事をしたら……クラスの皆さんに……。  
私は慌てて何か言おうとしたけれど、皐月ちゃんが「後は任せてよ。先生、早くしないと遅刻しちゃうんじゃない?」日向先生は何か言おうとしたけど「じゃあ頼んだぞ」と言って  
出て行ってしまいました。  
 
皐月ちゃんが教壇に立って「一夏ちゃん、早く」と急かされました。私は仕方なく、席を立って皐月ちゃんの隣へいきます。 ……足が震える。下着を穿いていないからいつもより寒い  
という事もあるのでしょうけど……。 クラスのみなさんの視線が私に集まってる……。そんな事は私の勘違い……自意識過剰という事であって下さい……。 私は床に視線を落としました。  
 
「きりーつ。 ……礼。 ちゃくせき」  
皐月ちゃんの声でホームルーム開始の号令が行われます。私はその間もスカートを下に引っ張って、アソコを隠そうとする……。誰が見ても不自然な格好、行動……。  
着席したらすぐに教室からヒソヒソと話し声が聞こえてきました。きっと私の事を言ってるんだ……。みなさんの方を見なくても分る、私に対する奇異の目……。 聞かないようにしても  
囁き声が耳に入ってくる……。  
 
「静かにしてよ〜。他のクラスは先生居るんだから、騒いでたら怒られちゃうよ? 後で日向先生にも」  
皐月ちゃんがそう言うと、話し声は取りあえず止んだようでした。  
「先ずは文化祭でやる出し物決めよっか。去年見た感じだと模擬店とかも面白そうだったけど……何かアイディアあるひと〜〜……って言ってもすぐには思いつかないよね。それじゃぁ……5分だけ周りの人と  
相談してもオッケーって事で。席も自由に立っていいけど、あんまり大きな声出すと怒られるかもしれないから」  
 
「……橘さん、どうしちゃったのかな……?」 「……さあ……イメチェンじゃないの……?」 ……クラスでやる文化祭の出し物を何にしようか、みたいな事を話している声に混じって、  
私の事を話してる声も聞こえてきます……。先生が居てくれれば、注意されはするでしょうけど、直ぐにスカートを戻すように言われるのに……。  
「一夏ちゃん? 一夏ちゃんは文化祭の出し物、何かアイディアある?」皐月ちゃんにそう聞かれ、特に思いつかなかった……というよりも、そんな事を考えられるような心理状態じゃなかったので、  
私は何も……と答えるしかありませんでした。「そっか。あたしもだ。考えるのはみんなに任せちゃおう。何にしても初めてだから、きっと楽しいよね」いつもの皐月ちゃんにしか見えません。  
演技なのでしょうか……今までの優しかったみなさんの方が演技なのでしょうか……。  
 
「はーい!それじゃぁ、5分経ったからみんな席に戻ってー。途中でもいいから、思いついた事とか適当に教えてよ?」  
 
皐月ちゃんの声が教室に響いて、クラスのみなさんは一斉に席につきました。  
 
「はい、は〜い!」  
 
蛍子ちゃんが大きな声で手を上げてる。きっと何かいいアイディアがあるんでしょう。「じゃあ蛍子は何をやってみたいの?」  
 
「メイド喫茶とかコスプレ喫茶!」  
 
蛍子ちゃんの発言が終ると「え〜? 何それ〜?」という声が教室中から聞こえてきました。都会にはそういう変ったお店があるという事は私も知ってはいました。……そういえば今年の夏は、  
みんなで皐月ちゃんのお兄さんのお店を手伝ったりした事もありました。……コスプレ、というか、水着にエプロン着用なんていう変った格好で。「それでメイド喫茶で何出すの?」  
と皐月ちゃんが聞くと「あ、それは考えてなかった……」と蛍子ちゃん。皐月ちゃんは呆れて  
「んもう〜、蛍子ったら……。それじゃ、一夏ちゃん? 候補に入れるかどうか分んないけど、一応書いといて」  
 
皐月ちゃんにそう言われ、私は急に現実に引き戻されたような錯覚を覚えました。 ……無理をして高いところに書こうとしなければ大丈夫ですよね……。 私は慎重に回れ右をし、  
黒板へ向いて、片手でスカートを下に引っ張って字を書こうとしました。  
「……橘さん、ぱんつはいてないんじゃない……?」 「……ね? ……だからさっき言ったでしょ……?」  
 
クラスのみなさんにもバレてしまってる……。 動悸が早くなるのが自分でも分る……また体が震えてくる……。 無駄だと分ってるけど、私はスカートを引っ張る手に力を入れました。  
「……もしかして、漏らしちゃって下着捨ててきたのかな……?」 「……じゃあなんであんなにスカート短くしてるんだろ……」 ……私にも分りません。どうしてこんな事をしているのかなんて……。  
私は惨めで恥ずかしくって、もう耐えられそうにありません……。涙をこらえるのが精一杯……。  
 
 
「だから、うるさくしてると怒られるんだってば〜」  
 
皐月ちゃんがそう言うと、話し声は一旦止みました。……けれど、こんな恥ずかしい格好をクラスのみなさんに見られてる事に変りはありません……。 今、この場で私が我慢できなくなって  
泣き出したら、クラスのみなさんは私の事を心配してくれるのでしょうか。皐月ちゃん達にいじめられている事を話したら、私の味方をしてくれるのでしょうか……。  
 
「あれ?一夏ちゃん? 一夏ちゃんって左利きだったっけ?」  
 
皐月ちゃんの言葉を理解するのに少し時間がかかりました。 ……たしかに私は右手でスカートを押さえて、左手でチョークを持って黒板に字を書いてました。 私は左利きじゃないし、両利きという訳でもありません。  
でも、黒板に書いた字は、動揺していつもよりは崩れているけど、利き手じゃない方で書いた字には見えませんでした。 ……あまりにも動揺し過ぎて、無意識の内にそうしたのかもしれない、と思う事にしました。  
 
……ホームルームの間、私はずっと誰の方も見ないようにしていました。時折聞こえるヒソヒソとした話し声全てが、私の事を話しているように聞こえてくる気がしました。  
……だから、私は何も考えないように、機械みたいに誰かが言った事を黒板に書く……。  
 
四時限目終了のチャイムが鳴る。皐月ちゃんの号令でホームルームが終ります。 ……ちょっとすると、となりのクラスの学級委員の子が、明日の連絡事項を伝えにきてくれました。 学級委員長の清水さんが  
お休みしているから、副委員長の私が連絡事項を聞く事になります。……隣のクラスの学級委員の子は、私の格好を見て驚いて目を丸くしていました。……それは当然だって自分でも  
分ってるけど……。「図書委員の子に読書感想文を返すのは月曜日になるって伝えて。……それと月一回の服装検査があるから。それを伝えて」服装検査……。来週まではこの格好で  
いさせられる事は無いと思うけど、こんな格好をしている私が「来週は服装検査があります」なんて言えません……。 私は未知留ちゃんの側へ行って、今だけでいいですから、スカートと紐ネクタイを元に戻させて下さいってお願いしたけれど、  
「……帰りのホームルームを始めて下さい……みんな待ってますよ……?」 そんな……。たしかにみなさん、午前中で学校が終るんだから早く帰りたいんでしょう。  
もうみなさん勉強道具をカバンにしまって席についます。 私は図書委員の子に連絡事項を伝えました。 ……今度はクラスのみなさんに連絡事項を伝えるために教室の前に立ちました。  
 
「あ、明日……じゃなくって、来週……月曜日、は服装検査があります……」  
 
教室からクスクスと笑い声が聞こえてきました。「……まさか橘さん、来週もあのカッコでいるつもりなのかしら……?」 「……中学途中デビューってやつ?」 「……他の公立校とか変な私立なら分るんだけどねぇ……」  
 
あ……もうダメ……。 帰りの挨拶をしないといけなかったけれど、言葉が出てこない。その代わり涙が止まらない。私は俯いてみなさんに見られないようにしたけど、私が泣いてる事は分かるでしょう……。  
涙が落ちて上履きに当たったのが見えました。教室から話し声が聞こえてきます。……私がいじめられてるって言えば、クラスのみなさんは私の味方をしてくれるのでしょうか?  
……でもそんな事したら、未知留ちゃん達は……。 自分を守るために未知留ちゃん達を……。四人での楽しかった事を思い出すと余計に涙が止まらなくなります……。  
 
その時、私は未知留ちゃんに手を引かれ、教室の外に連れ出されました。 教室からはざわざわとした話し声が聞こえてくるけど、離れたらすぐに聞こえなくなりました。  
 
「……うぅ……う……うぇっ、ひっく……」  
 
人気の無い廊下の端まで連れてこられたみたいでした。 ……どうしてなのか分らないけど、こんなにひどい事をされてるのに、私は未知留ちゃんに抱きしめてほしかった……。  
しゃくり上げる私の背中をさすってほしかった……。  
 
「あ、居た居た」皐月ちゃんと蛍子ちゃんが駆け寄ってきます。「まさか来週服装検査あるとは思わなかったよ〜」 「あんなとこで笑いを取っちゃうとはね」  
 
……私がこんなに辛い思いをしてるのに、みなさんはそれを面白がってる……。 もう、本当に未知留ちゃん達は私の知ってる未知留ちゃんじゃないのでしょうか……。  
いえ、私の方が思い違いをしてたのでしょうか……。  
 
「……感想はどうでしたか?」  
 
感想……。そんな事は言わなくっても分るはずです。私をもっと辱めるために私の口から言わせようとしてるのでしょう……。……私は初めて、未知留ちゃんに対して怒る  
という気持ちを抱きました。   
 
「ふ〜ん、そうやって友達を睨んだりするんだ」  
 
皐月ちゃんにそう言われ、自分が未知留ちゃんに怒りを露にしてたことに気付きます。 皐月ちゃんが私と未知留ちゃんの間に入ります。……もしかしたらぶたれるのかもしません。  
私は怖くなって体を硬直させると、未知留ちゃんは少しだけ表情を変えて「……構いませんから……」と言いました。 「ねぇねぇ、もう帰ろうよ? 明日明後日お休みで、今日なんて午前中で学校終ったんだよ? どっか寄り道してこうよ」と蛍子ちゃん。  
 
「……それなら……江ノ島なんてどうでしょうか?」  
 
「え?どうして、今の時期江ノ島行っても寒いだけじゃ……」  
私も嫌な予感がしました。……まさか、秋も深まるこの時期に江ノ島で泳がされる事になるんじゃ……なんて不安を抱いたけど、何かひっかかる事がありました。  
「海に向かって叫んだりするの?泳ぐのはちょっと無理だと思うんだけど」と蛍子ちゃん。 「ん〜……まあいっか。別にどこだっていいんだし。……じゃあいこっか」  
 
「あ、ま、待って下さい……。あの……私、下着と制服……」  
 
この格好のまま街中を歩いたり、電車に乗ったりするなんて絶対に嫌でした。……学校でも恥ずかしい事に変りは無いけれど、学校に居るのは職員の方を除いてみんな女の子。  
……でも鎌倉の街には当たり前の事ですけど、男の人もたくさんいる……。  
 
「ああ、うん。ちゃんと返してあげるって。後でね。それと、制服はそのまんまだからね」  
 
「そんな……ッ! あ、あんまりですッ! ……私、こんな格好でいるところを他人に見られたら……」  
 
「ミニスカートは嫌?それならスカート脱いだら?」  
 
「……私、帰ります」  
 
「そう。それなら今朝の映像とさっきのホームルームの時の映像。その辺の人だけじゃなくて、世界中の人に見てもらう事になるけど。 もちろん、一夏ちゃんのお父さんの  
居るイタリアにもね」  
 
私は逃げられない……。直ぐに家に帰りたかった。……今朝携帯電話のカメラに撮られた私の映像が誰かに見られるなんて絶対に嫌だったけど、お母さんに相談して学校を転校して……いいえ、  
理由を話してお父さんの転勤先のイタリアへ行く事だって……。未知留ちゃん達だって頭はいいんですから、今朝の映像が私に対する抑止にならなくなれば、腹いせにそれを世界中に……なんていう事はしないはずです。  
……でも、私の考えは甘かったようでした……。私の考えそうな事はお見通しなのです……。また涙が出てきます……。  
 
「一夏ちゃん、早くぅ〜」  
 
私は太ももがほとんど見えてしまっているスカートと胸元をだらしなく開けた制服で、皐月ちゃん達の後について歩いてます。……下着が見えてしまいそうなミニスカートで歩いてる女の人は  
夏ならよく見かけたけれど、季節はもう秋です。……それに私はショーツを穿いてないから、普通の歩幅で歩いていたら、アソコとお尻が見えてしまいます。だから気をつけて歩いてると、当然みなさんに置いていかれる事になります。   
 
……不幸中の幸いなのが、他の公立校は通常通りの6時間、あるいは7時間8時間の授業だという事でした。 私達が駅へ向かう方向にはそれほどお店も多くないので、  
お勤めしている人がお昼休みで食事をするために行きかっている……という事もありません。でも……  
 
「あんまり人が居なくて面白くないね」  
私の先を歩いてる皐月ちゃんが振り返り、私にそう言います。……私の言葉は皐月ちゃん達には歪めて捉えられてしまうので、私は何も言いません。  
「あ、そうだ皐月ちゃん?」と蛍子ちゃんが皐月ちゃんに寄り添い耳打ちを始めました。  
……私はまた嫌な予感がしました。 案の定皐月ちゃんが「じゃあ、これからあたし達がメールで一夏ちゃんに司令を出すからッ」と言って私を指差しました。  
「未知留ちゃんは監査官兼カメラマンねッ」  
 
私は皐月ちゃんの言葉を聞いて、胸が圧迫されるような重くなるような感覚に襲われました。 ……私がまた嫌な事をされて、未知留ちゃんがそれを携帯電話のカメラで撮影する……。  
 
駅の構内に入ると、人がちらほらといました。みなさん、自分の事で忙しいのでしょうか私の事は誰も気に留めてはいないようでした。 ……でも、ホームで座ってる男の人が  
私達の方を見ているようでした。蛍子ちゃんもその事に気付いたみたいで「ほら、一夏ちゃん?あの人、一夏ちゃんの事見てるんじゃない?」  
私は何も言わないで俯いていると、電車が着きました。皐月ちゃんと蛍子ちゃんは私達とは別な車両に乗るようです。  
 
電車の中は空いていました。私は立っていると、座ってる人からスカートの中が見えてしまうと思って、空いている席に座りました。……今度は電車のイスのザラザラした感じが  
直にお尻とアソコに伝わって気持ちが悪かった……。未知留ちゃんは、私とは斜め前の席に座りました。……きっとそこから私の姿を撮影するんでしょう。  
 
電車が動き出して少ししたら、マナーモードにしていた私の携帯電話が振動しました。びっくりするのと同時に、皐月ちゃん達に嫌な事をさせられるんだと思って、とても重い  
気分になります……。 私はスカートがめくれてしまわないように、気をつけながら携帯電話をポケットから取り出します。そこには  
 
「件名:司令その1  
 
本文:足を広げて開脚全開」  
 
携帯電話を持つ手が震えてる……。周りを見渡すと、私達の乗ってる車両には今は誰も居ないけれど、もし誰か来たら……。……未知留ちゃんの方を見ると、未知留ちゃんも  
自分の携帯電話を操作していました。私がここで足を広げてアソコを見せるのを待っているのでしょうか……。  
 
「み、未知留ちゃん……ッ! む、無理です……ッ!私……そんな事ッ!」  
 
どうにかして止めてもらおうと、私は未知留ちゃんに言いました。「……誰も居ないから丁度いいじゃないですか……?」そう突き放されたようでした……。すると、私達の居る車両に  
誰か入って着て、私はとっさにカバンを膝の上に置いてスカートを隠しました。  
 
「一夏ちゃんダメじゃな〜い、ちゃんとやってくれなきゃ〜」  
蛍子ちゃんが私の様子を見にきたようでした。「でも誰も乗ってないね。これじゃつまんないから、他のとこいってみる?私達のとこはお客さん何人かいたけど」  
嫌……嫌ですッ。 私は言われた通りにしますからと言って足を広げました……。 私達以外は誰も居ないっていっても、公共の場所でこんな恥ずかしい事してる……。  
私はまた泣きそうになって、目をつぶろうとしたけど、もし誰かが入ってきたらと思うと、車両の出入り口に注意しないではいられません。  
 
電車が駅で停車しました。ドアが開いて私達の居る車両にも人が乗りこできました。私は慌てて足を閉じて、膝の上にカバンを置きました。お客さんは二人。大学生っぽい男女の方です。  
座ったのは私の斜め前。お喋りをしていて私の事は気にかけていないようでした。ホッとしていると、蛍子ちゃんに「一夏ちゃん、まだ司令は終わって無いよ? ……りょうかいは?」  
 
そんな……。人が……他にお客さんが居るのに、そんな事……。 私は媚びるような許しを請うような表情で蛍子ちゃんを見つめてたと思います。でも……  
 
「あの人達だけに見られるのと世界中の人に見られるの、どっちがいいの? ……あの人達に見られてもちょっとは話題になっちゃうかもしれないけどさ。『電車にロッシュツキョーの女の子が居た』って」  
 
私はヘンタイロッシュツキョーの子と友達だと思われたくないから、と私の耳下で囁いて蛍子ちゃんは立ち上がりました。「分ってると思うけど、もしやんなかったらどうなっても知らないよ」  
と付け加え、皐月ちゃんの居る車両に行くようでした。  
どちらにしても私はまた嫌な事をされる……。 私の斜め前に座ってるお客さんはお喋りに夢中だし、距離もあるし……。 ……私は足を広げました。周りに聞こえるんじゃないかと思うくらい  
心臓がドキドキしてる……。 早く、早く駅に着いて下さい……。  
 
「それでさあ……ねえちょっと見てよ、あの子」 「ん?うえっ!?なんだあのスカート、それにパンツ穿いてないぞ」  
……女の人の方が私の格好に気付いたみたいで、一緒に居る男の人に教えたのです……。どうして……黙っていてくれれば男の人には見られないで済んだのに……。  
男の人にアソコを見られてるなんて、死にたくなるほど恥ずかしい……。  
 
「寝てるのかしら?あのおんなじ制服着てる子、教えてあげればいいのに。……でも、何でパンツ穿いてないんだろ?」  
 
「あんな年で露出狂なんじゃねーの? ……カメラで撮っておこうや?」  
やめて!そんな事はどうか止めて下さい……ッ! ……私は目を閉じて心の中で必死に叫びました。他の誰かに見られたく無いから、こんな事をしてるんですから……ッ!  
 
「バカ。そんな事したらタイホされるわよ?つまんない事で訴えられる世の中なんだから」  
女の人が男の人の行動をいさめてくれたおかげで、私は知らない人に恥ずかしい姿を撮られる事はありませんでした。  
 
電車が江ノ島に着いて、男の人と女の人が降りていきます。私も本当は降りないといけないんですけど、私は立ち上がる事が出来ませんでした……。  
 
皐月ちゃんと蛍子ちゃんが私達の車両に入ってきました。  
 
「ばっちり撮れてたね。あのカップルの人達の声まで」  
皐月ちゃんが私の隣に座って、未知留ちゃんが撮影して皐月ちゃん達に送った私の今さっきの映像を見せようとします。……私はすぐに目を背けました。  
 
「……集音マイクが欲しかったですけど、意外と周りの音も拾えるんですね……」  
 
「……一夏ちゃん、今度こそ感想を聞かせていただきたいのですが……」  
……とても恥ずかしかったです。死んでしまいたいくらい……。  
 
「もっと詳しく〜。男の人に生理中のアソコを見られた時はどうだった?」  
…………。  
 
「ロッシュツキョーって言われた時は?」  
 
「……う……うぐ……うわあぁぁぁぁあん!!」  
私は大声で泣きました。泣いても今の未知留ちゃん達には同情されない事は分っています。それどころか、面白がってもっとひどい事をするかもしれません……。  
だけど私は泣くのを我慢出来ませんでした。  
 
……泣いていると、未知留ちゃんが私を胸に抱いてくれました。 どうしてそんな事をするのか分りません。未知留ちゃん達が私に  
させた事で私が辛い思いをしてるのに……。……でももっと分らないのは、今の私自身……。未知留ちゃんを突き飛ばそうとしたけれど、どうしてなのかそうする気が起きない事……。そんな事をしたら、きっと私はまたぶたれるからそれが怖いからなのでしょうか……。  
それならいいようにされる事しか出来ない、抵抗する事の出来ない悔しさがあるのに……。私がまだみなさんの事を友達だと思っているからでしょうか……? ……それとも……  
 
 
皐月ちゃん達に解放されて、制服を元に戻して下着を着けるのを許された私は、重い足取りで家に帰りました。  
 
「ただいま」  
 
「おかえりなさい、一夏ちゃん。……どうしたの?暗い顔して」  
ううん、何でもないのと告げて、今日はみんなで蛍子ちゃんの家にお泊りしようと思ってるんですけど……とお話しました。  
 
少し前の事です。  
 
『今日は蛍子ん家にみんなで泊まらない?』  
皐月ちゃんの提案でした。 蛍子ちゃんははしゃいでいたけれど、私は気が乗りません……。……きっとまた嫌な事をされるのでしょうから。  
 
『お風呂入ってくるんなら早目にね。夜遊びに行こうと思うからさ、湯冷めして風邪ひいちゃうでしょ』  
未知留ちゃんも異存はないとの事でした。 ……私はもう嫌です……。夜でも、人が少ないっていっても……。  
 
『一夏ちゃんももちろん来るよね?』  
 
『分りません。お母さんに聞いてみないと……』  
そう答えるしかありませんでした。私が嫌だと言っても……いいえ、私が嫌だとは言えない事は分ってるんでしょうから。  
 
「それはいいんだけど、一夏ちゃん?あなた体調でも悪いんじゃないの? 今朝から元気無いし……。」  
大丈夫ですからと返事をして、「蛍子ちゃんの家に行くのは夕方だから、今の内にお風呂に入っちゃいます」と告げて自分の部屋に戻りました。  
 
少しするとお母さんがお風呂が沸いた事を伝えにきてくれました。私はお礼を言って、着替えを持ってお風呂場に行きます。 ……脱衣所で服を脱いでショーツを下ろそうとした時、  
生理中にも関わらず、ナプキンをつけていなかった事と下着越しにオナニーをしていたせいで、私のショーツの股間が触れる部分は汚れて染みになっていました。  
お母さんにこんな下着を見せるのは……洗ってもらうのは恥ずかしいから、一度部屋に戻って汚れた下着を隠してきました。その際にお母さんに、どうしたの?と聞かれたので、  
適当な事を言おうとしたけれど、私はそういうのが得意じゃないみたいでどもってしまいました。……余計にお母さんを心配させてしまいました。  
 
裸になって湯船に入るとどうしても今日の事を思い出してしまいます。……皐月ちゃん達に、クラスのみなさんに、知らない人達に見られた……。 一番人に見られたくないところを……。  
昨日と今日で何回泣いたか分りません……。泣いてもどうにもならない事ですけど、涙が止まりません……。こんな事、忘れたいけど絶対に忘れられない……。   
 
……? わすれ、たいけど……? また……また何か引っかかるような感覚……。でもそれが何なのか分らない……。  
 
「一夏ちゃん?」  
お母さんが脱衣所から呼びかけます。私は返事をすると「歯ブラシとかはどうするの?旅行用の持ってく?」と聞かれ、私は前に林間学校で使ったのを持っていきます。  
と伝えました。「それと夕ご飯は食べていくんでしょう?」と聞かれたので、私は食べていくと答えました。……私が居ないと、お母さんは一人で夕飯を食べる事になるんでしたよね。  
お父さんが単身赴任でイタリアに行ってからは、私はなるべくリビングでお母さんと一緒に居るようにしていました。お父さんが居なくて寂しいと思って。  
 
「……ごめんなさい。お母さん……」  
 
「何か言った?」  
ううん、何でもないの……。  
 
私はお風呂から上がって、少し眠る事にしました。眠くなってきたけど考える事は止めませんでした。……考える事を止めてはいけないような気がしたから。  
……どうすればいいんですか? 私、どうしたらいいんですか?   
……でも自分ではどうする事も出来ない。誰にも話す事も出来ない……。……いえ、先生やお母さんに相談すれば、私の今日の恥ずかしい姿を撮られた映像が誰かに見られる代わりに、未知留ちゃん達にいじめられる事は無くなる。  
それが自分が唯一選べる、一番だと思う方法。……でもそれは出来なません。あの映像を見られるのも嫌だけど……。  
 
いつの間にか眠ってしまってたんですね。気がつくと窓からは夕陽が差し込んでいました。ベッドの上に倒れこむようにしていたから、私はお布団を何もかけていなかったはずでしたけど、  
タオルケットと毛布がかけられていました。お母さんがかけてくれたのでしょうか。 そう思っていると  
 
「……おじゃましています……」  
 
「! 未知留ちゃん?」  
 
「……すいません。……おばさんが通してくれたので……。驚かせるつもりはなかったんですけど……」  
 
「い、いえ……」  
そうしていると、ドアを叩くノックの音が聞こえたので返事をすると「あら、一夏ちゃん寝てたの?……もしかして未知留ちゃんが来る前から寝てたのかしら?」  
はい……。  
「そうだったの……。ごめんなさいね、二人とも。……そうだ。よかったら未知留ちゃんも夕飯食べていかない?」  
お母さんがそう言うと未知留ちゃんは「……それではお呼ばれさせていただきます……」と言って、私達は三人で軽めの夕ご飯を食べる事になりました。 ……その間は<私の知るいつもの未知留ちゃん>のようで、時折お母さんとお話をしたりもしていました。  
……この時から私は未知留ちゃんや皐月ちゃん、蛍子ちゃんに対する違和感みたいなものをはっきりと感じられるようになりました。……言葉や行動だけじゃなくって、上手くいえないけれど、  
いつもと全然違う感じだったり、いつものみなさんのようだったり……。  
 
「それじゃぁ、お母さん……」  
 
「いってらっしゃい。わかってると思うけど、迷惑かけちゃダメよ?」  
 
「はい」  
 
「……お邪魔しました……。……夕ご飯、ご馳走様でした……」  
お母さんは未知留ちゃんにまた来てねと言って、私達を玄関まで見送ってくれました。  
 
 
「……どうかしましたか……?」  
 
「いえッ……あの、未知留ちゃんは……」  
私の知ってる未知留ちゃんなんですか? そこまで言葉が出かかると「あ、こっちこっち〜!」皐月ちゃんと蛍子ちゃんが十数メートルくらい先で手を振っています。  
 
「遅いよ〜。もう〜」  
蛍子ちゃんのお家までは蛍子ちゃんのボディガードさんの車の乗せていってもらいました。  
 
 
蛍子ちゃんのお部屋に着いて「ねぇみんな何持ってきたの?」  
と蛍子ちゃんが私達にたずねたので、私は歯ブラシと着替えを持ってきましたと告げます。蛍子ちゃんはクスクスと笑って「歯ブラシや着替えならお客さん用のもあったのに」  
 
未知留ちゃんはカバンの中から金具がついたロープを取り出しました。自動車のケンインロープだそうです。……一体何に使うのでしょう? 皐月ちゃんが持ってきたのは  
ビデオカメラ。……これは何に使うのがすぐに分りました。「携帯のカメラもいいんだけどさ、やっぱりあんまり長い時間だと撮れないでしょ?」  
……やっぱり私はまた嫌な事をされてそれを撮影するんだ……。 私はこれからされる事を考えると不安で怖くて憂鬱になってきます……。  
 
「で、蛍子は何用意したわけ?」  
 
「それが家の中色々探してみたんだけど、面白そうなものはなくって……」  
残念そうに蛍子ちゃんが言いました。 あ、でもと付け加えて部屋の隅にある冷蔵庫から何かを取り出してきました。  
 
「じゃじゃーん!」  
蛍子ちゃんが持ってきたのはビール。お家の冷蔵庫からこっそり持ってきたそうです。……いつもならそんな悪い事はいけませんって、私は注意するところですけど、  
今は何も言いませんでした。  
 
「はいッ、一夏ちゃん!」  
 
「きゃッ!」  
私は頬に冷えたビールの缶を当てられ、驚いて悲鳴をあげてしまいました。「本当はジュースみたいなかんちゅーはいの方が良かったんだけど、これしか無くって。  
他のはニホンシュでちょっと飲めなさそうだったから」  
 
当たり前ですけど、まだ中学生である私はお酒なんて飲んだ事はありません。 蛍子ちゃんは飲んだ事あるんですか?と尋ねると「ううん。私は飲んだ事無いよ。……ほら、飲んでみてよ?」  
 
「み、未成年の飲酒は法律で禁止されて……」  
私の抗議は無視されて、蛍子ちゃんは缶ビールのふたを開けました。それを目の前に差し出されりるとビールの独特の匂いが漂ってきます。  
 
私は助けを求めるように皐月ちゃん達の方を向いたけれど、皐月ちゃんは持ってきたビデオカメラを回して「一夏ちゃん飲酒の現場、ちゃあんと撮影してあげるからね」  
 
「や、やめて下さいッ!そんな事誰かに知られたりしたら……ッ!」  
 
「冗談だよ、冗談。ビデオで撮ったりはしないから早く飲んでみてよ?」  
 
私は蛍子ちゃんから缶ビールを手渡され、飲み口に恐る恐る口をつけて、一口すすってみました。 ……味は、何だかとても苦くて美味しいとは感じられません。  
 
……私はその後、結局缶ビール二本を一気飲みさせられて、気持ちが悪くなってしまいました。……私がお酒に強いのかどうかは分らなかったけど、酔っ払ってしまうという感じじゃなくて、  
苦さとたくさんの量を一度に飲んだ事によるものでした。 その間、蛍子ちゃん達もお酌をすると言って、遊びながら少し飲んでみたようです。  
 
「うぇ〜、美味しくないね〜……。口直しにお茶でも飲もうか」  
蛍子ちゃんが人数分のコップとお茶のペットボトルを持ってきてくれました。 私にも入れてくれたお茶を飲もうとしたら、未知留ちゃんがコップを取って  
 
「……一夏ちゃんには私が飲ませてあげます……」  
 
「だ、大丈夫ですよ。私、酔ったりしてませんから」  
 
「……そう言わずに……」  
そう言うと未知留ちゃんはお茶を飲んで……いえ、お茶を口に含んで私のすぐ側ににじり寄ってきました。  
 
「わ!未知留ちゃん、もしかして……」  
未知留ちゃんは私に口移しでお茶を飲ませてくれるようです。抵抗しようと思ったけれど、すぐにあきらめて私は未知留ちゃんの唇から口の中にお茶を流し込まれました。私はすぐに未知留ちゃんに口で移されたお茶を飲み込みました。  
口の中に残っていたビールの味は薄まったけれど、未知留ちゃんはすぐには私の唇を解放してくれませんでした。 ……昨日、学校の玄関でされたように未知留ちゃんの舌が  
生き物みたいに私の舌に絡み付いてきたり歯や歯ぐきを舐め回されたり、唇を軽く噛まれたりもしました。……お酒が効いているのでしょうか。口を塞がれて息がしずらいからでしょうか。頭がぼーっとしてきます……。  
 
未知留ちゃんに唇を解放された時に、耳元でそっと何かを囁かれました。何て言ったのかは聞き取れなかったけれど。  
 
「未知留ちゃん酔っ払ってるんじゃなーい?」  
 
「……私は飲んでないですけど……。 ……それじゃあ一夏ちゃん、お洋服を脱いで裸になってもらえますか……?」  
私は皐月ちゃんと未知留ちゃんのやり取りをぼーっとしながら聞いていました。そして未知留ちゃんの言葉の後半を聞いてハッとして未知留ちゃんを見上げます。  
 
蛍子ちゃんの部屋でなら学校や外と違って他の誰かに見られるという心配はないけど……何度も、それにクラスのみなさんや知らない人達にまで見られたくないところを  
見られたけれど、それでもやっぱり裸になるなんて恥ずかしい……。  
 
ヒュン  
 
何かが風を切る音が聞こえました。何かと思って音のした方向を見てみると、皐月ちゃんが未知留ちゃんの持ってきた自動車のケンインロープを短く持って振り回していました。  
……先には金具がついています。まさかあれで私を……。  
「きゃっ!皐月ちゃん危ないよ〜」  
私の不安を察するように未知留ちゃんが「……安心して下さい。あれで一夏ちゃんをぶったりしようというわけじゃありませんから……。……でも早く裸になってくれないと……」  
 
性的な事をされるのは嫌でしたけど、痛い事をされる方が私は怖かったから言うとおりににするしかありませんでした。 ……私は立ち上がってブラウスを脱いでスカートのホックを外します。  
スカートを脱ごうとしたところで手が止まります。「どうしたの?早く脱いでよ」私は昨日から、始まっちゃってる……。今朝も無理やしショーツを下ろされ、ナプキンを取られてしまうなんていう  
事をされたけれど……何度も見られたからっていっても恥ずかしさが薄れるわけではありません。  
 
「あの……私、今日、あの日だから……だから、汚いですから……」  
……自分が生理中で、その事を申告して自分で自分のアソコを汚いなんていうのは恥ずかしかったけど……みなさんも知ってるのは分かってるけど……  
 
「知ってるよー。でも女の子ならしょーがない事だしさ」  
やっぱり許してはもらえませんでした……。私はスカート脱いで、ブラジャーを外してショーツを脱ぎました。  
 
「靴下だけ穿いてるのって何だかエッチだね」  
 
「……く、靴下も脱いだ方がいいんですか?」  
 
そう言われて私が靴下も脱ごうとすると「別に靴下は穿いててもいいけど」って言われたけど、そっちの方が何だか変みたいなので脱ぐ事にしました。  
 
私は裸になってその場に立っていると、みなさんが私を囲むように私の周りに来ます。……私は恥ずかしくて誰の顔も見る事が出来ません。 私が俯いてると手の甲に誰かが触れたみたいでびっくりして「キャッ!」と悲鳴をあげてしまいました。  
私に触れたのは未知留ちゃんでした。皐月ちゃんと蛍子ちゃんまで驚かせてしまったようです。「え?え?どうしたの?」  
 
「……一夏ちゃんの肌に触ってみたんです……」と言って未知留ちゃんが後ずさりした私の方へ歩みよってきました。私が身をすくめると「……こうやって……」と言って、今度は  
私の肩に指先で触れました。くすぐったいような変な感じでした。私の体はピクンと反応します。 蛍子ちゃんが「こう?」と私の肩に触ったけれど、くすぐったい感じはしたけど、  
未知留ちゃんに触られた時のような感じはしません。 今度は未知留ちゃんが私の腰から背中にかけて指をなぞらせたのか触れたのかは分らなかったけれど  
「ひゃうッ!?」  
その感触に私は背筋を仰け反らせてしまうくらいに驚きました。「えー?どうやるの?一夏ちゃんの髪の毛で見えなかったよー」 私も何をされたのかよく分りませんでした。  
 
未知留ちゃんは「……いいですか……」と私の方に指を伸ばします。私は思わず身構えてしまいます。未知留ちゃんの指先が私の太ももに触れて少しだけ撫でられたようでした。  
その瞬間私は体の力が抜けてその場に座り込んでしまいました。  
 
「……指のお腹じゃなくて、本当に指先で触れるか触れないかくらいです……」  
 
「こう?」  
 
「あッ……」  
蛍子ちゃんが私の胸の辺りを未知留ちゃんが言ったように撫でます。私はまたくすぐったくて思わず声を出してしまいます。  
 
「一夏ちゃんが敏感なの?それともどこ触っても……」  
皐月ちゃんが不思議そうにしていると、未知留ちゃんが私にしたように皐月ちゃんの首筋に触れました。「きゃぁッ!? ……な、何するんだよッ!」  
 
「……敏感なところは人によってそんなに変りはありませんよ……。……それでは一夏ちゃんの敏感なところを探してみましょうか……」  
 
こうして私はみなさんに指先で体中を触られました。首筋……頬……耳……お腹やわきの下……。私は指で撫でられる度に体をよじらせて、犬が鳴くような……いいえ、  
犬が鳴くよりももっと情け無い声を出しました。  
 
 

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