・・・・麗子との闘い・・・・実力の差を痛感させられた敗北・・・・ログレス城での屈辱の一夜。
・・・・あれから、どれだけの戦いを経験し、何体の敵を屠ってきたのだろう?
気が付いた時、優子は、ヴァリスの剣と共に、
ヴェカンティとヴァニティとの境界に程近い、荒涼たる平原に倒れ伏していた。
「きっと、ヴァリア様が助け出して下さったのだわ。そうに違いないわ」
無論、優子はそう考え、ヴァリアの加護に感謝の祈りを捧げた。
・・・・真実は、それとは程遠いことを、未だ優子は知らない。
「・・・・ふうっ・・・・」
奇妙にねじくれ、節くれだった植物が繁茂するヴェカンティの森。
ヴォーグの一群を切り伏せ、額の汗を拭うヴァリスの戦士・優子。
周囲には、もはや敵意を持つ者は存在しないことを、
ヴァリスの剣の柄に嵌め込まれた深紅の宝石が教えてくれる。
束の間の安息。
大木の根元に腰を下ろし、疲れた身体をその幹にあずける優子。
前屈みになって両膝を抱えると、静かに瞼を閉じる。
(・・・・大丈夫、危険が迫れば、ヴァリスの剣が教えてくれる。
今は、少し身体を休めておかないと・・・・)
・・・・・・・・。
(・・・・うぅっ・・・・麗子・・・・お願い・・・・もう・・・・やめてぇ・・・・)
汗に濡れた長い蒼髪が、漆黒のビロードを敷き詰めた寝台の上に乱れて広がっている。
両手両足を革紐で繋がれ、麗子の情欲の赴くままに、肉体と精神を弄ばれ続ける優子。
端正な目鼻立ちの顔を苦悶に歪め、絶え間なく襲い来る性感の大波に、必死で堪えている。
だが、それも、麗子の巧緻を極める指技舌技の前では、せいぜい時間稼ぎ程度にしかならない。
疲れを知らぬ麗子の、いつ果てるとも知れぬ執拗な愛撫と、
優子の弱点を的確に見極め、最も効果的な手段で苦痛と快楽とを引き出す狡猾さの前に、
優子の防禦は後手後手に回り、迂回され、あるいは、力ずくで押し切られていくのみ。
反対に、時間が経てば経つほどに、優子は気力体力を消耗し、
次第次第に、麗子の刺激に火をつけられた身体の奥からこみ上げる熱い疼きに、
身を任せる外なくなっていく。
(・・・・あああ・・・・もう・・・・だめ・・・・気持ち良過ぎて・・・・何も考えられない・・・・)
もはや完全に麗子の術中に堕ち、身体を弓なりに反らせて腰を高く持ち上げている優子。
ヴァリス・スーツの丈の短いスカートで、かろうじて隠れている両脚の付け根からは、
半透明の液体がとめどもなく滴り落ち、敷布の上に大きな染みを作っている。
それを指ですくいとり、美味しそうにぴちゃりと舐める麗子。
さらに、その指先を、優子の口の上にかざし、自分の唾液と混ざり合った彼女自身の分泌物を、
とろりと垂らす。
「どう、優子?美味しい?」
鼠を嬲る猫のような意地の悪い眼差しをたたえつつ、わざとらしく優しい声で訊ねる麗子。
(・・・・ううう・・・・いやぁ・・・・こんなのって・・・・)
僅かに残った理性が、悲痛な叫び声を上げる。
が。
全身を走り抜ける悪寒にも似た悦楽の前に、羞恥も嫌悪もかなぐり捨てて、
メスの本能のままに衝き動かされる優子の肉体は、それを黙殺し、
舌を麗子の指先に絡めては、甘酸っぱい匂いの液体をひたすらにしゃぶり続ける。
「・・・・あらあら、どうしたことかしら?
ヴァリスの戦士が、こんなに簡単に悪の心に負けちゃっていいのかしら?」
愉快そうに笑いながら、優子の口腔の触感を楽しむ麗子。
とろんとした目で、ぼんやりと麗子の貌を見上げながら、
その指先を咥えて離そうとしない優子。
次の責めに取り掛かるため、麗子が指を引き抜くと、
切なさに表情を歪めて、物欲しげに唇を震わせる・・・・。
(・・・・ちがう・・・・ちがう・・・・こんなの、わたしじゃない・・・・!)
!
ハッと我に返る優子。
「・・・・夢・・・・だったの?」
ほっと息をつく優子。が、次の瞬間、激しくかぶりを振る。
「・・・・違う、夢なんかじゃない。あの夜、あの部屋で麗子から・・・・」
ぶるっ、と体を震わせ、両腕で白い肩を抱きしめて、
脳裏に蘇る苦痛と屈辱の記憶に耐える優子。
淫夢の影響だろうか、じっとりと汗ばんで火照っている柔肌の上を、
幾筋もの汗の粒が流れて落ちる。
「・・・・くぅっ・・・・どうして、どうして、忘れられないの?」
瞼をきつく閉じ、歯を食いしばって、
泣き出したくなるのをかろうじて堪える優子。
心臓が早鐘を打つようにどきどきとし、頭の芯がずきずきと痛む。
「・・・・わたし、強くなったわ。今なら、麗子にだって負けない。負ける筈がないわ!」
惨めな思い出に押し潰されそうになる自分を奮い立たせるかのように、声に出して言う。
その刹那。
「あら、そうなの?」
聞き覚えのある、否、忘れることなど決して出来ないその声に、
愕然として、目を見開き、慌しく周囲を見回す優子。
「そのわりには、私がこんな近くまで来ているのに、全然気付かなかったようだけど?」
「なっ!れ、麗子!ど、何処にいるの!?」
弾かれたように立ち上がり、ヴァリスの剣を構えようとするが、
足をもつれさせて、背後の大木の幹に、したたかに背中を打ちつけてしまう。
「ここよ」
わずかに十歩ほどを隔てた木の陰から、悠然と優子の前に姿を現す麗子。
冷やかな視線と口元に浮かぶ皮肉をたたえた微笑が、
薄暗がりの中でもはっきりと見てとれた。
「・・・・な、何故?ヴァリスの剣には何の反応も無かったのに・・・・?」
視線を剣の柄に落とす優子。
嵌め込まれた宝玉には、何の変化も見当たらない。
訳が分らず当惑する優子を、麗子はせせら笑った。
「・・・・その剣には少し細工をしておいたわ。
貴方が、ベッドの上で白目を剥いて、おネンネしている間にね。
・・・・ウフフ、そうでなければ、もう何度かは、
貴方がはしたない大声を上げて、さかりのついたメス犬のように欲情にまみれながら、
絶頂を迎える様子を見る事が出来たのだけれど、まぁ仕方が無いでしょうね」
麗子のその言葉に、あの夜の出来事を思い出し、思わず顔を背ける優子。
首筋から背中にかけて、冷たい汗がどっと噴き出し、
腕は小刻みに震えて満足に剣を構える事すらできない。
「ふふふっ・・・・どうしたの?今では、私よりもずっと強くなったんでしょう。かかってきたら、どう?
・・・・ああ、心配なら無用よ。その剣に施した仕掛けは、私が近くに来ても感知できなくなる、というだけのものだから。
他には何もしていないわ」
相変わらず、余裕たっぷりの姿勢と口調で、優子を挑発する麗子。
対する優子は、体の震えを抑える事が出来ず、
ともすれば下へ下へと沈んでいく剣先を持ち上げているのがやっとの有様である。
(・・・・おかしい。いくら麗子が目の前に居るからって、こんなことって・・・・)
はぁはぁ、と肩で息をしながら麗子を見定めようとする優子。
額の汗が目にしみたせいか、焦点が合わせづらい。
心なしか、集中力も途切れがちになり、五感も靄がかかったように頼りなく感じられる。
何よりも、手にしているヴァリスの剣が、これまで感じたことも無い程、重く重く感じられた・・・・。
「・・・・麗子、何をしたの・・・・!?」
頭を大きく何度も横に振り、なんとか意識を保たせながら、優子は叫ぶ。
麗子は、薄ら笑いを浮かべつつ、中途半端にとぼけてみせた。
「何をしたの、っていうのは、その剣に対して?それとも貴方自身に対してかしら?」
平衡感覚を失い、ふらふらと体のバランスを崩す優子。
手近な木の幹に寄りかかり、かろうじて倒れることだけは防いだが、
指先から力が抜け、汗でぬるぬるとする右手からは、
ヴァリスの剣が滑り落ち、地面に落ちてぱたりと倒れる。
もはや、優子にも、今しがた浅いまどろみに落ちている間に、
麗子が自分に何をしたのか、充分過ぎるほどに良く理解できる。
だが、時すでに遅く、優子の体は思うに任せず、
自らの迂闊さを呪いながら、目の前の麗子を睨みつけるのが精一杯である。
「・・・・麗子、あなたって人は・・・・!」
――――――――TO BE CONTINUED.
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