身体の自由を奪い、強烈な性への欲求をもたらすヴェカンティの魔薬に屈し、
淫らな欲望に身を委ねた挙句、麗子の前で絶頂を迎えてしまった、ヴァリスの戦士・優子。
全身を不規則に痙攣させながら、快楽の余韻に浸る優子を見下ろしながら、麗子は呟く。
「下準備は、これぐらいで良い。重要なのは、これから・・・・失敗は許されない」
ぐったりと脱力した体を仰向けに横たえ、薄目を開けてぼんやりと宙を見つめる優子。
汗にまみれ、紅潮した柔肌から、うっすらと白い湯気が立ち上る。
頭の中は、ピンク色の靄がかかったような状態で、四肢の感覚がふわふわと妙に頼りなく感じられた。
(・・・・わたし・・・・イッてしまったのね・・・・麗子の・・・・目の前で・・・・)
無力感と敗北感とが入り混じり、我知らず眼尻に涙がたまっていく。
「・・・・どうして?・・・・麗子・・・・どうして・・・・こんなことするの・・・・?」
力の失せた、かすれがちな言葉が、優子の口から漏れる。
麗子は、フン、と鼻を鳴らし、もはや身を起こすことすら出来ない優子の傍へと、大股に歩み寄る。
「・・・・何を今更、とぼけるんじゃないわよ!
お互い、こういう立場で出会った以上・・・・とうの昔に覚悟は出来ているはずでしょう!」
言い放つなり、磨き上げられた黒曜石のような、ぬばたまの光沢を帯びた抜き身の長剣を、
優子の頬から僅か数センチのところに勢いよく突き立てる麗子。
思わず、ぎゅっと目を閉じ、体を硬直させた優子に、冷たい嘲笑が降り注ぐ。
「まだ分からないようね
そっちには無くても、こっちにはちゃんとした理由があるのよ。私の役目はね・・・・」
・・・・一瞬、否、半瞬だけ、麗子の貌から、一切の表情が消え失せる。
石像のような眼差しを空中に漂わせ、何事か思案する麗子。
「・・・・。
私の役目はね、あなたがヴェカンタリアへ行くのを阻むことよ」
(・・・・私の「役目」は、ね・・・・)
誰にも聞こえない言葉を、口の中で静かに繰り返す麗子。
その直後、全てを掻き消すような激しい勢いで、優子を挑発する。
「学校では随分いじめたものね、仕返ししたら!?
決闘場にはもってこいの場所でしょう!?」
沈黙。
「・・・・そんな・・・・そんなつまらない理由で・・・・殺し合うなんて・・・・」
相変わらず弱々しい声で、しかし、まがりなりにも反論の言葉を口にする優子。
麗子は、軽い驚きと共に、彼女の表情を推し量る。
(・・・・予想の範囲内の反応ではある。
でも、攻め口は、少し変えた方が良さそうね・・・・)
やにわに、優子の傍にしゃがみこむと、その肩を掴み、乱暴に上体を引き起こす麗子。
驚愕と困惑が入り混じった表情で抗議する優子の視線を、情念の炎をまとった歪んだ微笑で受け止める。
「・・・・れ、麗子・・・・何を・・・・むぐっ!?」
問いかける優子の口を塞ぐ、麗子の薄い唇。
予想だにしなかった突然のキスに、優子の目が大きく見開かれる。
白い歯並びを押し割って、麗子の舌が優子の口中深く入り込んでいく。
不敵な侵入者は、突然の出来事に口腔の奥で慌てふためいている優子の舌を絡めとり、舐りまわす。
「んンッ!・・・・むぅンッ!・・・・んんんんッッ・・・・!!」
息が続かなくなるまで、執拗に舌を絡め、たっぷりと唾液を流し込む麗子。
唇が離れると、銀色にきらめく唾液の糸が、つぅ~、とのび、束の間、二人の少女の唇を繋ぐ。
口元を押さえ、今にも泣き出しそうに表情を歪める優子。
対する麗子は、荒く息をつきながら、凍てつくような怒りをたたえた形相を作り出す。
「・・・・つまらない理由、ですって・・・・!?
そう・・・・随分もったいぶるのね・・・・。
フン、まぁいいわ・・・・貴方には私なんかより、醜いヴォーグ達の方がお似合いでしょうよ!」
「・・・・麗子・・・・どういうこと・・・・!?分かるように話し・・・・うぐぐっ・・・・!?」
困惑しきった表情で、なおも問いかけを続けようとした優子に、麗子の唇が再び襲いかかる。
両手を使って、優子の拒絶を押さえ込み、形の良い口元を強引にこじ開けて、
その中に舌を滑り込ませていく。
「むぐ・・・・うぅぅぅんっ!!」
不躾な舌が歯列の内側をなぞり、なめらかな上顎の裏を巧みに刺激する。
逃げようとする舌を絡めとり、舌同士をぬるぬると交差させる。
さらに、歯の裏側に至るまで、優子の口腔内をくまなく丹念に舐め上げていく。
「・・・・うぅん・・・・むぐぅ・・・・んん・・・・ンンン・・・・」
麗子から離れようと、優子は懸命にもがき続ける。
しかし、未だ五体にまとわりついて離れない魔薬の呪縛と、先程までの激しい自慰による体力の消耗のため、
満足に手足を動かすことさえままならない。
それどころか、麗子の乱暴な接吻によって、一旦は鎮まりかけていた肉体の火照りが、
急速な勢いで疼き始め、再び呼び覚まされた淫靡な感覚が全身に燃え広がっていく。
「・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・くぅ・・・・はぁ・・・・ううぅ・・・・」
再び唇が離れた時、そこには、額に大粒の汗を浮かべながら、弱々しく肩を震わせる優子がいた。
耳たぶまで真っ赤に染めて、両目を涙で潤ませながら、喘ぐように息をつぐ。
きめの細かい色白な肌をじっとりと濡らす汗が、てらてらと妖しく光る。
「・・・・逃げても無駄よ」
唇の端から滴り落ちる唾液の糸を、手の甲で拭いながら、優子の瞳をじっと見据える麗子。
「もうリアリティには帰れない。
この世界にいる以上、転生している訳だからね・・・・」
鬼気迫るような麗子の視線に射すくめられ、肌を粟立たせる優子。
「・・・・私達の記録も、痕跡も、人々の記憶さえも、全てが消えているのよ・・・・」
「・・・・そんな・・・・そんなことって・・・・」
言葉を失う優子。麗子は、冷徹に言い切る。
「・・・・私と貴方が、リアリティで、何を考え、どう生きていたのか、記憶しているのは私達二人だけ。
もし万が一、戻る事が出来たとしても、学校の皆も、家族も、誰一人、私達のことなど覚えてはいないわ。
・・・・最初から、世界には存在していないことになっているのだから」
衝撃的な麗子の言葉に、優子は激しくかぶりを振る。
「・・・・そんなの、嘘よ」
しかし、咄嗟にそう反論しつつも、優子は、その言葉に関する限り、麗子は嘘などついてはいないことを、直観的に悟っていた。
「・・・・嘘よ・・・・嘘に決まってる・・・・お願い、嘘だと言って・・・・!」
堰を切ったように、涙が溢れ出し、嗚咽が止まらなくなる優子。
麗子は、泣きじゃくる優子に腕を回し、赤子をあやすように抱きかかえる。
そのままの姿勢で、優子の長い青髪を優しく撫でさする麗子。
「・・・・優子。世界中で貴方だけなのよ。私の、今迄生きてきた道を覚えているのは・・・・」
それまでの、冷ややかな、あるいは、鋭い怒気をはらんだ口調とは明らかに違う、
哀切な響きを帯びた言葉を、優子の耳元でささやく麗子。
次の瞬間、麗子の読み通り、優子の目は麗子の顔へと吸い寄せられる。
一粒だけ、涙が光っている麗子の目元へと。
「・・・・麗子・・・・?」
その刹那、三たび重ねられた麗子の唇が、優子のその後の問いを遮った・・・・。
――――――――TO BE CONTINUED.
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