アシャンティ。浮遊城ガルバ近傍。美しい草花の生い茂る豊かな森林地帯。  
次元の回廊を抜け、アシャンティへと降り立った、「ヴァリスの戦士」優子と麗子。  
ゼルの兵士や監視ポッドが存在しない事を確認した後、陽子の救出策を練り直す。  
 
「侵入は、陽が沈んでからの方が良さそうね。それまで、少し体を休めておきましょう」  
 
時空の狭間を渡る移動で、やや疲労の色の目立つ優子を気遣う麗子。  
不測の事態に備えて、自らの剣を実体化させた上で、手近な木の幹に体を預ける。  
柔らかい下草の上を選んで腰を下ろした優子は、額の汗を手の甲で拭いつつ、その姿を静かに見上げた。  
 
「・・・・何よ。私の顔に何か付いてる?」  
 
怪訝そうな顔で訊ねる麗子に、クスッ、と、微笑む優子。  
 
「ごめんなさい。でも、久しぶりだから・・・・麗子のその鎧」  
 
「何言ってるのよ、自分でメガスの城から持って帰って来たくせに。  
貴方のその貧乏性のおかげで、ヴァリア様から新しいのを貰いそびれちゃったのよ」  
 
「・・・・その話は・・・・また今度にして・・・・」  
 
何故か気恥ずかしそうに下を向き、口ごもる優子。  
おや、と、少し意外そうな表情を浮かべ、しばらくの間、値踏みするような視線で優子を眺める麗子。  
やがて、ラベンダー色の瞳に悪戯っぽい笑みを浮かべると、さりげない足取りで、優子の背後に回り込む。  
無警戒な色白のうなじに、チラリ、と、視線を走らせたかと思うと、  
次の瞬間、空中から獲物に向かって急降下する猛禽のような動作で、優子の背中へと覆い被さる。  
 
「・・・・きゃっ!・・・・なっ・・・・何っ・・・・!?麗子・・・・ちょっと・・・・やめてよ・・・・!?」  
 
突然の事に腰を浮かせる優子にじゃれかかりながら、巧みに体重を乗せて押さえ込みにかかる麗子。  
ほんのりと汗の香りの漂う蒼髪を掻き分け、甘い吐息を吹きかけると、  
ピクン、と、敏感な反応が、優子のむき出しの背中を駆け抜けた。  
押し付けられた胸のふくらみから、ひんやりとした胸当て越しに、隠しきれない心臓のわななきが伝わる。  
 
「へェ、一体、どんな話なのかしら?興味あるわ・・・・聞かせてよ」  
 
形の良い、清潔な耳たぶに口を寄せ、甘い声で囁きかける麗子。  
みるみるうちに、優子の頬が薄紅色に染まっていくのを、愉快そうに横目で眺めながら、  
腋の下から回した左手の指を、ヴァリス・スーツの胸当ての縁に沿って、すす〜っ、と這わせていく。  
反射的に、優子の左手が重ねられ、その動きを妨げようとしたものの、  
麗子の指先は、機敏な小動物を思わせる動きで指の間をかいくぐり、微細な刺激を送り続けた。  
 
「・・・・や、やめてってば・・・・んっ・・・・こんな事してる場合じゃ・・・・くっ・・・・んあっ・・・・!?」  
 
肩当ての先が、ピクン、と震え、鼻にかかったような短い喘ぎ声が洩れる。  
右に左に身体をよじって、押さえ込みを外そうと試みる優子だが、  
地面に腰を下ろした姿勢で、背後からのしかかられた不利な状態からの脱出は困難だった。  
むしろ、もがけばもがくほど、体のバランスが崩れ、押さえ込みが決まっていく。  
 
「・・・・ううっ・・・・麗子・・・・やめて・・・・!・・・・ヘンなところ・・・・ひうっ・・・・さわらないで・・・・んんっ!」  
 
優子の抗議など無視して、今度は右手を使い、柔らかな脇腹をくすぐり始める麗子。  
やがて、更に下の方、軽くて丈夫な素材で織られた純白のスカートへと指を伸ばす。  
柔らかく触り心地の良い布地の感触を感じながら、しなやかな太腿の内側を愛撫する。  
スカートの上から、優子の右手が、何とかその動きを押し止めようとあてがわれるものの、  
既に力が抜けかかって動きの鈍った左手と同様、全く物の役には立たない。  
 
「だったら、正直に白状しちゃいなさい。さもないと、イカせてあげないわよ?  
もう、身体に火が点いちゃったんでしょ?ガルバ城に入ってから、我慢できなくなっても、知らないわよ〜?」  
 
意地悪く笑いながら、優子の耳を、つるりと舐める麗子。  
そんなこと無いわよ、と、躍起になって否定する優子だったが、  
言葉とは裏腹に、体の奥では、生温かく、じっとりと湿り気を帯びた感覚が頭をもたげ始めていた。  
無論、優子の肉体を隅々まで知り尽くしている麗子は、その変化を手に取るように読み取っている。  
 
「・・・・んあぁっ!・・・・そ、そこは・・・・くっ・・・・あふっ・・・・ダメ・・・・ひゃうぅぅっ・・・・!!」  
 
敏感地帯を覆うショーツの上から、人差し指と中指を使って、割れ目をなぞり上げる麗子。  
頤を大きく仰け反らせ、ハァハァ、と、大きく息をはずませる優子。  
手足の筋肉からは急速に力が抜け去っていくのと前後して、肌には無数の小さな汗の粒が浮かび上がる。  
 
「・・・・ふぁああっ・・・・や、やめてぇ・・・・!・・・・は、話すから・・・・お、お願い・・・・これ以上は・・・・ひああっ・・・・!!」  
 
だが、麗子は、もはやそんな事はどうでもいいとばかりに、両手の動きを止めようとしない。  
その指先の奏でる快楽に、どうしようもなくのめり込んでいく自分に気付き、必死に逃れようとする優子だが、  
焦れば焦るほど、その動きは見透かされ、先回りされて、より強烈な刺激を与えられてしまう。  
そのたびに、優子の体はガクガクと揺れ、熱を帯びた甘いよがり声が喉を震わせる。  
いつしか、瞳は潤み、口はだらしなく半開きになって、それぞれ涙滴と唾液とを一杯に溜め込んでいた。  
 
「・・・・ふあぁあ・・・・あうう・・・・あああぁ・・・・うむぅぅ・・・・んあぅ・・・・くむぅ・・・・んん・・・・」  
 
両腕から完全に力が抜け、地面に落ちて動かなくなるのを合図に、じりじりと両脚が開いてゆく。  
優子の反応に感情を燃え立たせ、愛撫の技を、より一層冴え渡らせる麗子。  
薄いショーツの布地越しに、じわぁぁっ、と染み出してくる生温かい愛液が、右手の指を濡らし、  
押し上げられた黄金の胸当ての下の、じっとり汗ばんだ乳房が、左の手の平の中で弾んでいる。  
 
「・・・・フフッ、可愛いわよ、優子。  
ヴァルナ様も陽子も他の「戦士」たちも、それぞれに可愛いけれど、やっぱり、私には貴方が一番ね・・・・」  
 
満足げな微笑みを浮かべ、腕の中でヒクヒク震える優子の身体を、いとおしそうにかき抱く麗子。  
日没までの寸暇を惜しむかのように、優子への愛撫を、更に力強く、濃厚なものへと高めていく。  
その情熱的な求愛の前に、優子もまた、戦いの事など忘れ、束の間の愛の宴に溺れてゆくのだった・・・・・・・・。  
 
 
浮遊城ガルバ。牢獄。  
 
この牢獄の設計者であり管理者である男が、「ヴェカンタの炎」と名付けた毒々しい色の光の帯が、  
邪悪な波動を、空中に吊り下げられた囚人の身体へと、情容赦なく照射し続けている。  
囚人、すなわち、囚われの身の「レダの戦士」朝霧陽子の身体を包む「レダの鎧」は、  
「ヴェカンタ」の波動に晒され続けた結果、もはや、鎧どころか、着衣とすら言い難い惨状である。  
いまや陽子の抵抗を支えているのは、最後まで残った一掴みの理性のみ。  
・・・・・・・・だが、それも、執拗に繰り返される陵辱の前に、いよいよ崩壊の瀬戸際まで追い詰められていた。  
 
「・・・・はぁっ・・・・ああうっ・・・・あぁ・・・・やめて・・・・ぐっ・・・・うう・・・・!!  
・・・・はひっ・・・・うぐぅ・・・・ま、また・・・・ひうっ・・・・イク・・・・イッちゃうぅっ・・・・うあっ・・・・あああん・・・・!!」  
 
青みがかった金属光沢を放つ鎧の残骸から顔を覗かせる、上気しきった柔肌には、  
材質も形状も様々な、大小の触手が絡みつき、入れ替わり立ち代り、快感と苦痛とを送り続けている。  
とめどなく流れ落ちる、涙と、唾液と、汗と、愛液とで、空中に吊り下げられた陽子の身体は妖しくぬめり、  
下の床は勿論、壁際に設置された拷問機械にまで、幾つもの染みが出来ていた。  
 
「・・・・ひはぁっ・・・・お、お願い・・・・たすけ・・・・て・・・・ああっ・・・・・!!  
・・・・うあっ・・・・と、止まらない・・・・止まらないよぉっ・・・・!!・・・・あぁぁっ・・・・あふっ・・・・んふあぁっ・・・・!!」  
 
既に、陽子の肉体は、数え切れないほどの絶頂に達し、何度も何度も気を失っては、  
その度に、強制的に意識を呼び戻され、休む間もなく、悪夢のような陵辱に晒され続けている。  
普通ならば、とうの昔に、体力を使いきり、生命の維持すら危うくなっている筈だが、  
どれだけ激しく責め抜かれ、搾り取られても、そのたびに異質なエネルギーを流し込まれ、回復させられていく。  
 
「・・・・大したものだな、「ヴェカンタ」の力というやつは」  
 
官能地獄の中でのたうちながら、気をやり続ける陽子の痴態を見上げて、感嘆の呟きを漏らしたのは、  
手入れの行き届いた象牙のような白い肌に、中東の君侯を思わせる、丈の長い、豪奢な装束を纏い、  
見開かれた目の形状に宝玉をあしらったターバンを頭に頂く、アシャンティの支配者、総統ゼルその人だった。  
傍らに侍る宦官ダリスが、揉み手をしながら、卑屈に合いの手を入れるのを、傲然と聞き流し、  
悲鳴と嬌声とを交互に上げ続ける陽子の表情を、飽く事も無く見つめ続ける。  
 
「彼女・・・・「ヨーコ」とか言ったか・・・・あの娘が使っていた力とは、異なる性質のもののようだが」  
 
「何の、「ヴァリス」の力ごとき、「ヴェカンタ」の前では、出来の悪い手品も同然。  
そこの「戦士」が、あのように惨めな姿を晒しておりまするのが、何よりの証拠ではございませぬか・・・・」  
 
自信たっぷりに答えるダリスに、頷き返しながら、唇の端を歪めて薄く微笑むゼル。  
 
「・・・・確かにな、ヨーコの力は、安定はしていたが、出力はそれほどでもなかった。  
それに比べて、「ヴェカンタ」の力は、扱いにくいが、非常に強力だ・・・・フフッ、私好みの力だな・・・・」  
 
「左様左様。・・・・ささ、総統閣下、その力、思う存分、お楽しみなされませ」  
 
うやうやしく一礼すると、拷問装置の操作板に指を走らせるダリス。  
新たに数十本の機械仕掛けの触手が、蛇のように体をくねらせながら這いずり出す。  
鎌首をもたげて襲い掛かるその様子を、牢獄の随所に設置されたカメラ・アイが、様々な角度から撮影し、  
苦悶に喘ぐ陽子の映像を、余すところなく、ゼルの目の前の空間に投影した。  
 
「きゃあああぁぁぁぁっっ!!!!」  
 
絹を引き裂くような悲鳴を上げ、手足をばたつかせる陽子。  
勿論、そんなことでは拘束具はびくともせず、はずみで、「レダの鎧」の欠片がいくつか剥れ落ちただけである。  
恐怖に顔を引き攣らせながら、身体をよじり、触手から逃れようとするものの、元より儚い抵抗でしかない。  
いっそ、失神できたならば、どんなにか幸せだっただろうが、  
陽子の意識状態は、常時、センサーによって読み取られ、強制的に一定の水準以上に保たれている。  
そのデータは、拷問装置本体にも伝達され、陽子を嬲り続ける責め具の動きへと反映されるのだった。  
 
「・・・・はっぐうぅぅ・・・・い、いやぁ・・・・だめ・・・・こないで・・・・ひぐっ・・・・たすけて・・・・うあああ・・・・!!」  
 
いくら泣き叫んでも通じる筈も無く、触手の群れは、ボロボロになった「レダの鎧」などものともせず、  
度重なる絶頂の連続で極端に感じやすくなった陽子の肉体を、無慈悲に貪り続ける。  
窒息の危険を避けるためなのか、あるいは、ひっきりなしに発せられるよがり声を楽しむためなのか、  
口唇にだけは、触手をあてがわれていなかったものの、  
それ以外の性感帯は、一つの例外とて無く、容赦のない愛撫に晒されて、性的快感を引きずり出されていく。  
 
「・・・・うあっ・・・・きひぃっ・・・・き、気持ちいいっ・・・・!な、何なの・・・・これは・・・・あうっ・・・・くふぁぁっ!!」  
 
既に、高々と突き上げられていた陽子の腰が、びゅくん、びゅくん、と、ひときわ激しく跳ね回った。  
先端部分がゴムのような素材で出来た触手が、秘裂に沿って裂けたビキニ・アーマーの中に深々と突き刺さり、  
小刻みに振動しながら、収縮運動を繰り返している。  
よく見ると、表面にもいくつもの小さな突起があり、触手本体が膨らんだり縮んだりする度に、  
不規則な間隔で、飛び出したり引っ込んだりを繰り返して、秘裂の中の粘膜に複雑な刺激を与え続けていた。  
 
「・・・・あがっ・・・・ひぃっ・・・・だめぇ・・・・!・・・・もうだめ・・・・イ、イクっ・・・・イッちゃうよぉっ・・・・!!」  
 
充血して質感を増した陰唇粘膜に絡み付く、伸縮自在の触手の快感に、喜悦の涙を流してよがり狂う陽子。  
頭の中で、真っ白な閃光が炸裂するたび、卑猥な言葉が口をついて飛び出していく。  
集音マイクが、そのはしたない言葉を拾い集め、スピーカーが、大音量でがなり立てると、  
恥ずかしさのあまり、幼児に戻ったかのように激しくかぶりを振り、泣きじゃくった。  
 
・・・・よがり声の中、とどめの一撃とばかりに、触手の先端が膨張を始め、膣壁への圧力が倍増する。  
 
「・・・・ああっ・・・・ひぃっ・・・・うっ・・・・ふ、太い・・・・あううっ・・・・太すぎるぅっっ・・・・!!  
・・・・ひぎぃっ・・・・や、やめて・・・・これ以上は・・・・あぐぅっ・・・・だ、だめ・・・・裂けちゃう・・・・!!」  
 
十分にほぐれて柔らかくなっているとは言え、まだまだ固さを残す陽子の膣口にとって、その膨張は急激過ぎた。  
だが、拷問機械は、あくまで冷酷に、肉孔を割り開き、凸レンズのような形をした先端部分を捩じ込もうとする。  
ギチィ、ギチィ、と、今にも皮膚が弾け、鮮血と共に肉が飛び出しそうになる不気味な軋み音と共に、  
肉が引きちぎれるような激痛が下半身へと襲いかかり、白目を剥いて悶絶する陽子。  
 
「・・・・はぁっ・・・・はぁっ・・・・ふっ・・・・くっ・・・・ううう・・・・ふはぁっ・・・・はぁっ・・・・はぁっ・・・・」  
 
しかし、今回もまた、正しかったのは、陽子ではなく拷問機械の方だった。  
まさに紙一重のところで、かろうじて触手の先端部分を通過させることに成功し、  
脂汗で全身ドロドロになりながらも、ひとまず安堵に胸を撫で下ろす陽子。  
と、突然、陽子の目の前に、天井からぶら下がったモニターの一つが、するすると降りてきて、  
なにやら薄暗く狭い洞穴のような場所の映像が映し出される。  
首をかしげる陽子だったが、次の瞬間、本能的に、それが、何処の、否、何の、映像であるか、を理解した。  
 
「・・・・ひぃっ・・・・いやあぁぁっ・・・・!!やめて・・・・やめてぇ・・・・!!  
・・・・お願い、お願いだから・・・・あああっ・・・・こんなところ、映さないでぇっっ・・・・!!」  
 
狂ったように叫び声を上げ、モニターに映る、自分自身の膣道の光景から目を背ける陽子。  
しかし、目を瞑ろうが何をしようが、本来ならば、一生目にする事の無い筈の映像は、  
「ヴェカンタ」の作用で、陽子の頭の中に、くっきりと形を結び、色鮮やかに浮かび上がってくる。  
五感の全てが、肉孔を貫く巨大な異物感へと集中し、陽子に残っていた理性は、最後の一片まで吹き飛ばされた。  
 
「・・・・ふああぁ・・・・いやぁ・・・・もう、いやぁ・・・・うう・・・・もう・・・・もう・・・・耐えられない・・・・。  
・・・・んんっ・・・・ぐっ・・・・ううう・・・・たすけて・・・・たすけて・・・・あああ・・・・ここから出し・・・・てぇ・・・・」  
 
―――――――際限ない恐怖と羞恥と屈辱感とが、陽子の感情を徹底的に蹂躙し尽くし、  
無力な自分への怒りと泣けど叫べど誰一人助けに来ない絶望感とが、陽子の精神を完膚なきまでに打ちのめす。  
 
・・・・心の中の何処かで、何かとても大事なものが、音を立てて崩れていくのが分かる。  
 
実のところ、この時、陽子が待ち焦がれていた救出の手は、すぐそこまで近付いていたのだが、  
そんな事など知る由もない陽子の心は、為す術も無く、底知れぬ闇の中へと呑み込まれていくのだった――――。  
 
 
 
浮遊城ガルバ内。鉄骨とセラミックの構造材が連なる狭い通路。  
警戒の手薄な区画を突破し、城内への潜入を果たした優子と麗子。  
しかし、既に、幾度か、ゼルの兵士との戦闘を交えており、隠密行動は不可能になりつつあった。  
 
「人為的な手段で、本来の空間を歪めている場所が二つ・・・・。  
一つは、陽子を監禁している場所だとして、もう一つは・・・・ゼルの居場所、と考えるべきね。  
問題は、どちらが陽子のいる牢獄なのか?だけど、悠長に調べて回る時間はもう無いわ。  
ここからは、二手に分かれて、行動しましょう・・・・いいわね、優子?」  
 
あくまで冷静に現状を分析し、選択しうるものの中で最善の策を提示する麗子。  
その事は十分理解していたにもかかわらず、だが、敢えて、優子は何か言いたげに口を開きかける。  
・・・・一瞬、麗子の、静かだが、強い意志を秘めた視線が、優子の双眸へと注がれた。  
 
「・・・・分かったわ・・・・でも、気を付けてね、麗子・・・・」  
 
気迫に押され、「考え直して」という言葉を飲み込んだ優子。  
麗子は表情を崩すと、今度は、少しだけ意地悪な笑みを浮かべた。  
 
「・・・・優子こそ、途中で変な物見付けても、迂闊に手を触れたりしないようにね」  
 
「・・・・・・・・」数刻前の痴態が脳裏に浮かび上がったのか、思わず顔を赤らめる優子。  
麗子は、遠慮なくクスクスと笑い声を漏らし・・・・その後で、さりげなく付け加えた。  
 
「・・・・でも、ありがと。感謝してるわ・・・・本当よ」  
 
「・・・・えっ!?」と、戸惑いの声を上げる優子を尻目に、全力疾走で通路の奥へと駆け出していく麗子。  
見る間に小さくなっていくその後ろ姿を眺める優子の口元から、小さなため息がこぼれ落ちる。  
 
「・・・・麗子・・・・まったく、あなたって人は・・・・本当に、いつもいつも、自分勝手なんだから・・・・」  
 
――――グワァァァン!!!!  
 
裂帛の気合いと共に撃ち出した光弾が、牢獄の頑丈な合金製の耐爆扉を突き破り、木っ端微塵に粉砕する。  
最後のロボット兵士が、プログラムの命じるままに追いすがってくるのを、  
麗子は、正確に間合いを見極めた動作でかわし、直後に、つんのめる相手の後頭部へ強烈な斬撃を喰らわせる。  
ギンッ!という鈍い金属音と共に、ロボット兵士の頭部が綺麗に切断され、宙を舞った。  
その時には、既に麗子の姿はその場所には無く、牢獄の奥へと飛び込んでいる。  
 
「・・・・陽子っ!しっかりして!すぐに助けるからっ!!」  
 
空中に吊り下げられたまま、意識を失ってぐったりとしている陽子の姿を認め、  
駆け寄ると同時に、素早く両手両足の縛めを切り裂く麗子。  
支えを失った陽子の身体が落下してくるのを、剣の実体化を解いて、両腕でしっかりと抱きとめる。  
耳元で、陽子への呼びかけを連呼すると、ややあって、陽子の口元からくぐもった声が洩れ始めた。  
 
「・・・・ううっ・・・・麗子・・・・麗子なの・・・・?本当に・・・・本当に、麗子なの・・・・?」  
 
腕の中から聞こえる、たどたどしい誰何の声に、何度も何度もうなずき返す麗子。  
陽子は、麗子の身体にすがりつくと、がくがくと体を震わせた。  
 
「・・・・お願い・・・・麗子・・・・何処にも行かないで・・・・!ずっと一緒に居て・・・・!わたしと一緒に居て・・・・!」  
 
「・・・・もう、大丈夫・・・・心配ないわ。大丈夫だから、安心して・・・・陽子」  
 
凄惨な尋問の名残りの、乱れてほどけかけたポニーテールを、優しく撫でつける麗子。  
陽子は、わあああっ!と、叫び声を発し、麗子の胸に顔を埋めて、幼児のように泣きじゃくった。  
その身体を優しくさすりながら、子供をあやす母親のような声で落ち着かせようとする麗子の視線が、  
致命的な損傷を受けた「レダの鎧」へと伸び、見る間に、固く強ばっていく。  
傷付き疲れきった陽子の身体を抱きしめる腕に、我知らず力が込められた。  
 
――――――――その刹那、視界全体が、カッ、と、真っ赤に染まった。  
 
天井から、幾筋もの毒々しい色の光の帯が降り注ぎ、麗子の背中に突き刺さる。  
突然の異変に表情を変え、反射的に上体を起こして、剣を実体化させようと精神を集中させる麗子。  
次の瞬間、完全に無防備となった鳩尾の下に、鈍い衝撃が走った。  
一瞬、何が起きたのか分からず、半ば茫然と自分の身体を眺めた麗子の瞳がとらえたもの  
・・・・それは、急所を狙って正確無比な一撃を繰り出した陽子の拳だった。  
 
「・・・・よ、陽子・・・・!?・・・・そんな・・・・一体・・・・どうして・・・・!?」  
 
絶句する麗子の手から、ぬばたまの光沢を帯びた剣がこぼれ落ち、実体を失って消失していく。  
直後、目の前が、すーーっ、と、真っ暗になったかと思うと、  
体中の感覚が無くなって、平衡感覚が失われ、前のめりに沈み込む麗子。  
陽子は、意識を失った麗子を膝に抱き、優しくその頬を撫でた。  
焦点の失せた瞳孔の中で、どす黒い波動を帯びた「ヴェカンタの炎」を赤々と燃え盛らせながら。  
 
「・・・・クックックッ、いい格好じゃな、麗子よ。今の気分はどんな具合じゃ・・・・?」  
 
意識を取り戻した時、麗子の身体は、四方から伸びる拘束具によって、幾重にも絡め取られていた。  
上半身が低い位置に固定され、特に、頭部は石床に押しつけられている一方、  
腰は、大きく開脚を強いられている両脚のつま先が、かろうじて床に着くぐらいの高さに吊り上げられている。  
三日月状に反り返った背中の上で交差させられ、緊縛されている両手の拳をブルブルと震わせながら、  
首だけを僅かに動かして、嘲笑の声の主を、きっ、とを睨み据える麗子。  
 
「・・・・ダリス、貴様だったのか。ゼルを誑かし、狂気の独裁者へと変貌させたのは」  
 
自由を奪われた屈辱に、端正な顔を歪ませつつ、かつて残忍王メガスの側近だった男を睨みつける麗子。  
対するダリスは、憎悪と侮蔑の笑いを、かつて暗黒王ログレスの「戦士」だった少女へと投げ返した。  
 
「誑かした、とは心外な。ワシは、ゼル閣下のご大望に、知識と技術を以ってお応えしたまでの事、  
そのように悪し様に言われねばならぬような事はしてはおらぬのじゃが・・・・はてさてどう説明したものかのう」  
 
大袈裟な身振りで嘆息しながら、傍らに立つ陽子を一瞥するダリス。  
僅かに抵抗の意志を瞳に浮かべる陽子だったが、「ヴェカンタ」に冒された精神に、命令を拒む力は残っていない。  
無表情なまま、こくん、と頷いて、麗子に近付くと、  
美尻の丸い曲線を覆う、黒いスカートをめくり上げ、シルクの様な光沢を放つ同色のショーツを露わにする。  
麗子の喉から、しめつけられるような低いうめきが洩れ、ダリスを睨む双眸に悔し涙が浮かんだ。  
 
「・・・・絶対・・・・絶対に・・・・私は、二度と「ヴェカンタ」の力には屈しはしない。そう、優子に誓ったのだから・・・・」  
 
唇を震わせながら、語気鋭く言い放つ麗子。  
対するダリスは、その言葉自体は冷然と聞き流したものの、「優子」という名前には、違った反応を示した。  
 
「優子じゃと・・・・!?フフン、成程のう・・・・侵入者が二人と聞いて、もしや、とは思うていたのじゃが。  
・・・・クックックッ、これは面白い事になってきたわい。  
いま、ここで、あの優子を仕留めたならば、ヴェカンティの諸侯とて、ゼル閣下の力を認めぬ訳にはいくまいて。  
そうなれば、あるいは、本当に、ゼル閣下がヴェカンティの王となられる目が有るやもしれぬわい・・・・」  
 
その言葉に、麗子の目が鋭く光る。  
 
「・・・・やはり、そうか。貴様、最初からゼルを噛ませ犬にする気で・・・・」  
 
麗子の洞察力に、一瞬、教師に悪戯がばれた生徒のような、ばつの悪そうな表情を浮かべるダリス。  
だが、すぐに、彼我の置かれている状況の圧倒的な差を思い出したのだろう、舌打ちと共に元の貌へと戻ると、  
開き直ったような態度で、陽子に向き直り、再度目配せを送る。  
大きく広げられた麗子の脚の間に膝立ちになり、ショーツに覆われた尻たぶに顔を近づける陽子。  
よく引き締まった内股の括約筋の間で、細かく震えている柔らかいふくらみに鼻を押し当て、匂いを嗅ぐと、  
麗子の喉が、ヒクッ、と、小さく震え、太腿から背中にかけての毛穴が、ざざっ、と鳥肌立った。  
鼻腔をくすぐる体臭に、陽子の呼吸が乱れ、湿り気を帯びた吐息が熱を帯びる。  
薄い布地越しに伝わる陽子の体温とわななきに、麗子もまた、我知らず、性感を昂ぶらせていく。  
 
「・・・・はふっ・・・・くっ・・・・負けない・・・・私は・・・・んぁっ・・・・こんな事では・・・・ふあ・・・・ぁあっ・・・・」  
 
こめかみから汗の粒を滴らせながらも、気丈な言葉を発する麗子。  
だが、その声は、陽子の吐息が柔らかい内股をそよがせるたび、途切れて弱々しくなっていく。  
対する陽子は、嗅覚を満足させた後は味覚を、という訳なのか、今度は麗子の尻肉に口を寄せた。  
両手を前に回して、下着越しに恥丘の上を優しく愛撫しながら、  
くっきりと浮き出た尻の割れ目に沿って、唾液をたっぷりと含んだ唇を這わせ、びちょびちょに濡らしていく。  
同時に、先端を尖らせた舌を一心不乱に動かし回り、ショーツの中の柔肌に刺激を送ると、  
麗子は、思わず、ううぅん、と、低く呻き、既に汗に覆われて白く輝いている背中を、ビクン、と揺らした。  
 
「ほぉぉ、どうした?もう感じ始めたのか?まったく、淫乱な娘じゃわい・・・・転生しても、まだそのザマか・・・・」  
 
「・・・・い、言うな・・・・くうぅぅっ・・・・!・・・・い、今の私は・・・・はうっ・・・・ぐぐっ・・・・「ヴァリスの戦士」!  
お前の知っている・・・・うっ・・・・ログレスの手駒では・・・・無いっ・・・・ああっ・・・・んっ・・・・うあああっ!!」  
 
息を切らしながらも、ダリスの嘲弄に反駁する麗子。  
だが、その声には、微かな震えと共に、官能への甘い期待感が滲み出ていた。  
今は亡きヴァリアの手で、ヴァニティの住人として転生させられる前の、前世での記憶が脳裏に蘇る。  
腐敗と堕落に満ちたログレスの宮廷で受けた、おぞましくも魅惑的な調教の情景が・・・・。  
 
「・・・・クックックッ、さぁて、それはどうかのう・・・・?  
こうして見る限り、亡きログレス陛下の後宮に居た時と、大して違いがあるようには思えぬのじゃが?」  
 
ログレスの死後、メガスによる短い治世を挟んで、ヴェカンティを覆い尽くした苛烈な権力闘争の中を、  
天性の狡猾さと、誰にでもすり寄る無節操さとで生き抜いてきた宦官は、  
陽子の舌技に表情を歪め、快感の波に堪え続ける麗子の苦悶を眺めてニヤニヤとほくそ笑んだ。  
 
「・・・・ううっ・・・・ひっ・・・・そ、それは・・・・!・・・・ああっ・・・・まさか・・・・んあっ・・・・ああああっ!!」  
 
戦慄に凍りつく麗子の視線の先で、リベット付けや溶接によってよじりあわされた無数の鉄片からなる触手が、  
キィキィと不快な音を立てて軋む無骨極まりない身体を、壁際の装置の中からのぞかせる。  
兇悪極まりない責め道具の登場に、麗子の顔には、はじめて恐怖の表情が浮かび上がった。  
ダリスに命じられるまま、尻肉への責めを一時中断して、それを手に取る陽子。  
ずっしりとした重量感に慄然としつつ、塗装もされていない、ごつごつした地金のままの先端部分を口に含むと、  
滑りを良くするため、ピチャピチャと音を立てながら舐め回し、たっぷりと唾液をなじませる。  
 
「・・・・ああっ・・・・い、いやよっ・・・・!・・・・やめ・・・・ううっ・・・・やめてぇ・・・・あっ・・・・あああ・・・・!!」  
 
口唇奉仕を続ける一方、陽子の左手が、麗子のショーツへとかかり、するすると器用にずり下ろしていく。  
途端に、濃厚な体液の臭いが発散し、秘裂の中に溜まった愛汁が、銀色の糸を引きながら流れ落ちた。  
黒い下着が、伸縮性の限界に達して、これ以上下ろせなくなると、  
汗と唾液に濡れて白く輝く尻たぶに熱い視線を注ぎつつ、固くすぼめられた菊門に、指の先を近づける陽子。  
 
「・・・・ふあっ・・・・そ、そこは・・・・!・・・・んぁっ・・・・ああっ・・・・触らないで・・・・!・・・・ひぃっ・・・・あああ・・・・!!」  
 
眉間に皺を寄せた麗子の口から、動揺を隠しきれず、弱々しく震える喘ぎ声が漏れる。  
拘束具をギシギシ揺らしながら、必死に身体をよじり、しなやかな太腿の筋肉を、ビクビクッ、とひくつかせる。  
陽子の細い指が、すぼまりの表面に触れるたび、押さえ切れないゾクゾク感が背中を駆け上がり、  
頭の中で火花となって弾けては、性への欲望を掻き立て、自制心を削り取っていった。  
 
「ほぉぉ、成る程、これは、お主の言うた通りじゃな。ちぃっとばかし言葉を言い直さずばなるまい・・・・。  
以前よりも、ずうっと感じ易く、淫乱なカラダになっておるようじゃ、とのう・・・・ヒッヒッヒッ」  
 
ヘラヘラ笑いながら、陽子に向かって、顎をしゃくるダリス。  
陽子は、こくん、と、頷き、触手のために場所を空ける。  
束の間の解放に、深く息を注ぎながら、とにかく呼吸を落ち着かせようとする麗子。  
だが、唯一の弱点を暴き立てられてしまった衝撃のためか、心の中は、ザワザワとさざ波立ち、  
無意識のうちに、生ぬるい汗に濡れた美尻が、悩ましい動きを始めてしまう。  
 
(・・・・あふぅ・・・・だめ・・・・お尻が・・・・お尻の穴が・・・・。  
・・・・くううっ・・・・だめよ・・・・しっかりしなけりゃ・・・・ああ・・・・でも・・・・お尻の穴が・・・・熱い・・・・・)  
 
涙と涎とでヌルヌルになった床石に頬をこすりつけながら、弱々しくかぶりを振る麗子。  
白濁しかけた意識の中で、欲望と自制心とがせめぎ合い、正常な判断が出来なくなっていく。  
だが、彼女の懊悩など何処吹く風といった風情で、鉄製の触手が、その兇々しい体を尻肉に近づけた次の瞬間、  
青白い火花が、バチッ!!と、弾け、「ヴァリスの鎧」の護りが発動した。  
 
「糞っ、またしてもか!・・・・ええい、ならば、奥の手じゃ!!・・・・陽子!!」  
 
麗子の排泄器官を目の前にしながら、不可視の障壁に行く手を阻まれた触手の姿に激怒するダリス。  
荒々しい舌打ちを漏らしながら、陽子に向かって、二言三言、指示を出す。  
びくっと、身体を震わせた陽子だったが、どれだけ足掻こうとも、「ヴェカンタ」の強制力には逆らえず、  
機械のような動作で、先端部分が焼け焦げた触手を掴み取り、さらに、麗子の尻肉の割れ目を割り開く。  
一時的に正気を取り戻した麗子が、ダリスの意図に気付き、ああっ、と、声を震わせた。  
 
「・・・・だ、だめ・・・・だめよぉ・・・・お願い、陽子、やめて・・・・!!あああ・・・・だめ・・・・挿入れちゃダメぇ・・・・!!」  
 
(・・・・う・・・・うう・・・・体が・・・・言う事・・・・聞かない・・・・ああ・・・・許して・・・・麗子・・・・)  
 
再び、鋳鉄製の触手の先端が、尻肉の間の浅い谷間に押し当てられる。  
だが、「レダの戦士」の手が添えられているそれに対しては、「ヴァリスの鎧」は、何ら危険性を認識しない。  
己の判断の正しさに満足し、うんうん、と、大きく何度もうなずくダリス。  
 
「いいぞ、いいぞ!・・・・この方法を使えば、優子の方も、手間をかけず簡単に落とせるじゃろうて!」  
 
「やめてぇっ!優子には、手を出さないでっ!!」  
 
ダリスの言葉に、血を吐くような叫び声を上げる麗子。  
端正な顔を引き攣らせ、プライドも何もかなぐり捨てて、涙声で哀願の言葉を連ねる。  
ダリスは、丸い身体を揺らしながら、ゲラゲラと蛙のように下品な笑い声をほとばしらせた。  
 
「・・・・いやいや、それはならぬぞ、麗子よ。  
お主一人、陽子を独り占めにして、優子を悶々とさせるとは、何ともむごい話じゃからのう。  
仲良う悦びを分かち合うてこそ、本当の仲間と言えるのじゃろうが?・・・・のう、陽子よ・・・・?」  
 
不意に向けられたダリスの問いかけに、思わず真剣に考え込む陽子。  
無論、ダリスの問いが、自分達を侮蔑し、嘲笑する意図から発せられたであることは重々承知の上だったのだが。  
 
(・・・・優子・・・・麗子の一番大切な人・・・・?・・・・あたしよりも・・・・ずっと大切な・・・・?)  
 
陽子の意志とは関係なく、「ヴェカンタ」に支配された肉体は、操り人形のように、カクン、と首を縦に振る。  
何を訊ねられようが、何を命じられようが、そのようにしか反応出来ないようにされているのであるが、  
しかし、陽子は、(この時だけは)何故か、その事に対して深い安堵にも似た感情を感じずにはいられなかった。  
 
「・・・・ひぃぃっ・・・・い、いや・・・・やめて・・・・こんなの入らない・・・・ああ・・・・陽子・・・・お願い、やめてぇ・・・・」  
 
肛門に押し当てられた、冷たく固い鉄の塊りに、ありったけの悲鳴を搾り出す麗子。  
必死に腰を動かして、最悪の責め具から逃れようとするものの、すぼまりの中に人差し指を突き入れられると、  
鈍い痛みと共に、悪寒に似たゾクゾク感が背中を駆け抜け、息が詰まって体の動きが止まってしまう。  
 
「・・・・ふぁっ・・・・いっ・・・・ひあっ・・・・!・・・・くうっ・・・・ううう・・・・がっ・・・・はあっ・・・・ふはあっ・・・・!」  
 
狭い直腸の中で、陽子の指が蠢くたび、快感と苦痛とが交互に麗子の顔を歪ませ、喘ぎ声を搾り出す。  
腸液でヌルヌルする肉襞に指が押し込まれると、手足の関節が白く浮き出るほど全身の筋肉に緊張が走り、  
引き抜かれれば、反対に、体中の緊張が一気に緩み、ゴム人形のようにグニャグニャになってしまう。  
やがて、腰の奥が異様な熱気を発して、全身の感覚があやふやになる頃には、  
麗子の菊門は、薄く黄色に光る体液で、びちょびちょに濡れそぼり、三本もの指を咥え込んでひくついていた。  
 
「・・・・ふあぁぁっ・・・・ううっ・・・・だ・・・・だめぇ・・・・気持ちイイ・・・・良過ぎるぅ・・・・!  
・・・・ああ・・・・もう・・・・もう、だめぇ・・・・・んあっ・・・・くあああっ・・・・お尻の穴が・・・・壊れちゃうぅぅ・・・・!!」  
 
熱病患者のような眼差しを空中にさまよわせながら、卑猥な言葉をぶちまける麗子。  
大粒の涙がぼろほろと零れ落ち、視界が、薄ぼんやりとぼやけて歪んでいく。  
ダリスの嘲笑も、もはや耳に入らないのか、陽子の指の動きに合わせて、自ら腰を前後させると、  
秘裂から滲み出した愛液が、太腿を伝い、石床に垂れ落ちて、見る間にその面積を広げていった。  
 
「・・・・フフン、ようやく自分の本性を認める気になったようじゃな、麗子よ。  
所詮、お主は、ヴァニティより、我らがヴェカンティの側に近しき者、転生したとて変わる事など無いわ・・・・」  
 
操作盤の上へと伸びたダリスの手が、「ヴェカンタ」の出力レベルを上限近くまで増大させた。  
天井から降り注ぐ赤黒い光が、その色合いを深め、輝きを増していくのに比例して、  
麗子の口元から漏れ出す嬌声とも悲鳴ともつかない叫び声も、一層、大きく、激しいものへと変化していく。  
 
「・・・・ひぃぃぃっ・・・・ああっ・・・・だめぇ・・・・だめよぉ・・・・!あああ・・・・もう・・・・もう、我慢できないぃっ・・・・!  
・・・・お、お願い・・・・挿入れてぇ・・・・お尻の穴・・・・くっ・・・・はぁううぅっ・・・・掻き回してぇっっ・・・・!!」  
 
下半身を焼き尽くす灼熱感に耐え切れず、凄絶な絶叫と共に、全身を痙攣させる麗子。  
汗と涙と涎と鼻汁とで、ぐじゅぐじゅになった凄惨な表情は、既に人間の顔とは言い難いまでに歪みきっている。  
・・・・・・・・ダリスの顎が、ゆっくりと縦に振られるのを合図に、陽子の手が添えられた醜怪きわまる触手が、  
これから始まる快楽への期待と激痛への恐怖にブルブルと震えている、すぼまりの上へと誘導された。  
陽子の腕に力が込められ、邪悪な鉄の怒張を、麗子の尻穴の奥へと、ゆっくりと押し込んでいく。  
 
・・・・次の瞬間、魂消えるような悲鳴と共に、麗子の意識は弾け飛んだ。  
 
 
――――――――TO BE CONTINUED.  
 
 

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