---冷たい空気を漂わす浮遊城ガルバの王の間、その豪奢な玉座でワイングラスを手にくつろぎながら水晶球に視線を向けるゼルは彼についてなんの知識もない者がみるとさぞかし絵になる光景であろう。
しかし先ほどまでは氷の様に冷ややかだった視線もいつの間にか熱を帯び一点に集中していた。
その視線の先にある水晶球に写る異様かつ淫靡な光景−−−巨大な蟲に弄ばれる半裸の少女−−−は今まで数多くの同様な場面を演出してきたゼルが想像していたよりもはるかに刺激的であった。片手に持たれたグラス、しかしそれはもうだいぶ前から口元に運ばれておらずよく冷えていた中のワインもすっかりと温くなりながら不満げにたゆっている。軽くにぎっていた左手にもじわじわと汗が滲んできていた。だが今のゼルにとってそのような事ごとは完璧に意識の外に存在していたのである。
そして水晶球の中、少女が蟲の責めによって絶頂を極めさせられたとき、ゼルは唇の端を妖しく歪め陰湿な笑いをその端正な顔に浮かべる。
「たかがあれしきの児戯で達するとは・・・少々興醒めではあるな。ふふ・・・しかし、伝説のレダの戦士といっても所詮は小娘にすぎん、ということか。」
一見、余裕にみちあふれたゼルの言葉。しかし、ゼル本人も気づいていない微かな安堵感がその中に含まれているのであった。
話は1ヶ月ほど前にさかのぼる。
あらゆる手を使いアシャンティを我が物としたゼルに対して当然反発は強く各地で未だに抵抗するレジスタンスも多い。
しかしほとんどがまともな武装すらなく散発的に攻撃をしかけては殲滅されるようなレベルである。
そんな中においてゼルが少々てこずって苦々しい思いをしているのがかつての自分の同胞達であるレダ教の神官の残党達が組織した部隊であった。
彼らは広く根付くレダ教の教えにある救世主、レダの戦士の降臨を唱え反乱分子を糾合しゼルの繰り出す機械兵部隊を相手に粘り強くゲリラ戦を展開し徐々に勢力を強めつつあった
もっとも、そうは言うものの物量の差はあまりに激しく現段階ではゼルにとって結局のところ『小うるさい蝿』程度の存在にしかすぎずゼルの支配体制は磐石かと思われていた。
つい2日ほど前にも彼らのある拠点を制圧しそこの部隊を統率する女神官を捕縛したばかりである。
かつての同胞の手に落ちたその女神官はゼルの前に引き出された際、ひとしきり彼に怒りと怨嗟の声をあげたあとは守秘の沈黙を通そうとしたが、ゼルの技巧に耐えれ様もなく拷問部屋にて数々の淫らな責めによりよがり狂い最後にはすすり泣きながらレジスタンスの情報を漏らしてしまったのである
実のところゼルには最初からレジスタンスの情報などに興味がなかった。
ゼルの慢心といえば慢心ではあるのだが彼我の戦力差が歴然としていることと各地に送り込んでいるスパイや密告者の働きによりレジスタンスの動きなどは筒抜けであることなどから彼としては今更にまどろっこしいことをする必要はなかったのである。
この時もただ単に小癪にも自分に刃向かう美しい女神官を嬲り抜いて墜とし屈服させるのが目的だったにすぎない。
ただ、『情報目的の拷問』という建前で責めた方が屈服したさいに女により大きい精神的ダメージを与えることができる事をゼルは経験上知っていた。
まして相手は「清らかなる愛を尊ぶ」レダ教の神官である女である。
その効果は絶大である事もまたゼルは知っていたのである。
そのような思惑故に、息も絶え絶えになりながら話す女神官の口から『レダの戦士の降臨』についての情報が流れだすとわずかな動揺がゼルの内に走った。
---まだ幾人か残る高位の神官達が中心となり異世界ノアより伝説のレダの戦士を召喚するために祈りを集中させ次元の扉を開こうとしている----
---おそらく、そう遠くない時期に必ずやレダの戦士が降臨する。---
そこまでしゃべったあと、責めに屈した自嘲心と屈辱に突き動かされたように女は再びゼルにむけて自暴自棄に叫んでいた。
---レダの戦士さえ降臨すれば、あなたはお終いです。今の内にせいぜい私を辱めて最後の権力を味わうがよろしいですわ。伝説はあなたもよく存じているのでしょう?---
この期におよんで勝ち誇ったような暴言をはく女神官に心の動揺をさらに大きくしたゼルは激怒した。
彼にしては珍しいほど顔を怒りで歪め、生意気な女神官の肛門に自らの剛直をねじ込むと女の苦悶など無視して精を肛内にぶちまけるまで荒々しく動いたあと配下の機械兵たちに女神官をぼろぼろになるまで犯させたのであった。
怒りにまかせ女を犯したのち、一息ついたゼルは玉座に戻るとしばし記憶を巡らせる。
レダの戦士の伝説。アシャンティが乱れ、レダの力が悪しき行いに使われるとき、異世界ノアから異次元の道を通りレダの戦士が降臨し、これをはばまん。
「・・・くだらん。」
はき捨てるようにゼルがつぶやく。そう、実にくだらない。
レダの戦士だと?そのような救世主伝説なぞ腐るほどある。その内の誰か一人でも私の前に立った者がいるか?誰もいないではないか!
異世界ノア?次元の扉?そんなものがこのアシャンティのどこに存在するのか?カビの生えたレダ教の経典の中だけではないか!
するとレダの戦士とやらは経典の中から飛び出し細工みたいに現れてくるとでも言うのか?馬鹿馬鹿しい!
なにも、今に始まる考えではない。
レダ教団の中に身を置いていたころから野心多きこの男はこの種の伝説の類を嫌悪しきっていた。
この不信心さを持ちつづけた故に、ゼルは今の地位を得たのである。
ゼルにとってレダ教と信徒たちとはただ単に自分の野望を達成させるためだけの道具でしかなかったのだ。
「実に馬鹿げた話だ・・・しかし・・・」
ゼルは言葉を切るとしばし考え込む。
確かに、伝説の救世主をあてにする、という発想自体は馬鹿げている。
しかしレダ教の高位神官、少なくとも自分に逆らう連中は馬鹿ではない。
どんなに相手を軽蔑してもその実力を見誤るという愚を犯すことの危険性をゼルは知っていた。
その肝心な時に冷静な判断を行えるのがゼルの才幹の一つである。
レダの戦士を召喚する。おそらくそれはレジスタンスや反抗的な愚民どもの士気を高め神官たちのもと、より命令系統を強固なものにしようという思惑のためのデモンストレーションであろう。
そして異次元の扉などの舞台を作り上げ、そこからレダの戦士役の者が後光をまといながらあらわれる、という筋書きといったところか。
だが、やはりゼルはもう一つの可能性について無視を決め込むことができなかった。
神官達がレダの戦士の召喚の方法を発見した、つまり伝説が本当であるという可能性である。
おそらくその可能性は低いであろう。しかし、ゼルの情報網をかいくぐり神官達が秘密裏に計画を進めていた事が少なからず意外であり不気味でもあった。
先ほどの女神官の顔がと言葉を思い出し、ゼルは不快感に捕らわれる。
どのみち、いつまでも野放しにしとく連中でもない。
分をわきまえていればいま少しは遊びとしてつきあってやったのだが・・・
「潰すか・・・」
ゼルは決断した。災いの元はできるだけ早く取り除く方が良い。
真実であれ嘘であれレダの戦士の降臨など世間に広まれば後々面倒なことにもなりかねない。
即日機械兵の大部隊を動員したゼルはレジスタンスが拠点としていた地方都市を強襲する。
そこはもともとアシャンティの中央から遠く以前からゼルの独裁に対し快く思わない市民が大半をしめる都市で、表立った反抗はしないもののレジスタンスへの密かな協力という形でその意志を表していたのであった。
戦闘の勝敗は短時間で決した。
もともと戦力の優越など明白であったがいざ直接戦闘をまえにしてこの都市の代表が降伏を申し入れたからである。
都市を戦火から守るにはそれしか手段がなかったのだがレジスタンスは最後になって裏切られた、といえよう。
それでも先の女神官が捕らわれたことからこの攻撃を予測していたのであろうか、レジスタンス側の抵抗は激しく苛烈な市街戦が展開されその結果、多大な犠牲を払いつつも一部のメンバーの脱出に成功する。
しかし、その脱出したほとんどは実戦部隊や末端のメンバーでゼルの軍がアジトに突入した際に数多くの幹部クラスのメンバーが捕らえられたのだ。
特にレダ教の神官たちは祈りの間の扉が打ち壊されて機械兵たちが侵入してきてもレダの戦士を召喚する祈りを止めることがなかった。
こうしてゼルの軍隊のてにおちた人々は其のままその都市の大広場へ引きずり出され、男達はそこで皆殺しにされ数多くの女達は衆人が見守る中、機械兵や脅された市民達によって廃人になるまで輪姦されたのである。
この一連の出来事で事実上、ゼルに真っ向から反抗する勢力は壊滅した。
未だに刃向かう者達にもいい薬になったことだろう。
しかし、この襲撃の際、ある一人の女神官を取り逃がしてしまったことがゼルには腹立たしかった。
神官ヨニ。年齢からは想像できないほど小さな少女のような外見を持ち、つつましさを美徳と考える神官たちの中においてその歯にきぬきせぬ言動と体に見合わぬ行動力とで異彩をはなっていた女神官はなによりも驚くほど洞察力がよく早い時期からゼルの本質を捉えていた。
日々ことあるごとに自分を弾劾するヨニをゼルは最初は黙認していたのだが彼女がゼルの数々の裏の行いを調べ始めるにあたりさすがに放置できず、神官会議を開きヨニを辺境への宣教神官として中枢から排除することに成功した。
それはすでにレダ教の神官の多くがゼルによって買収されていたことの証明であった。
もっとも、ヨニ本人のほうもそんな上層部に嫌気がさしたのであろう。露骨な左遷人事であったにも関わらずさっさと辺境に旅立ったのである。
思えばこの時の前後にヨニを謀殺しなかったのが今までの中でゼルの失敗らしい失敗の最大のものであった。
ゼルがアシャンティを実質支配下においた時、レダ教内で数多くの神官たちが粛清され、一部は逃亡した。
その神官たちを手引きしレジスタンスとして再編した立役者の一人がこのヨニだったのである。
以前同様、今回もヨニを取り逃がした事にゼルはおよそ彼らしくないのだが一抹の不安を覚えた。
そしてレジスタンス掃討より20日ほどたち、ゼルの不安を一層あおる出来事が起きたのである。
アシャンティの上空に突如として現れた奇怪な蜃気楼・・・それは当初、不規則に短い時間しか現れていなかったのだが日が経つにつれ徐々に長い時間発生するようになっていた。
さらにその蜃気楼は明らかに異質な文化の建造物が立ち並んでいる風景だったのである。
ちまたではゼルによりレダの戦士の伝説を口にすることが禁止された。
にもかかわらず伝説を知る者は口々にささやいていた。
--ごらん、あれが異世界ノアの姿だ。そう遠からず、レダの戦士様が降臨なされるぞ。--
伝説をただの世迷言と軽蔑しきっていたゼルにとってはまったくの予想外であった。
あれが作り物である、という都合のいい仮定はアシャンティの科学力から考えると到底正しいとはいえなかった。
なにしろアシャンティ最高の科学力はゼルそのものが握っているのである。
そのゼルの元にあれほどの画像を空中に出現させる技術がないのだ。
と、すれば事態は深刻である。
それは現実に異世界ノアが存在している、ということでありレダの戦士なる者の存在も匂わすものであった。
ゼルは焦った。
決して表面上にその焦りをだすことはなかったがとにかく早急になんらかの手を講じねばならなかった。
ゼルはその持てる情報収集力をレダの戦士の捕捉に集中した。
各地に機械兵中心の探索部隊を展開し、自らは浮遊城ガルバの思念増幅機を用いレダの戦士の精神を捕捉しようとした。
間違ってもレジスタンスの残党ども、特に件のヨニにだけは先を越されてはならなかった。
そうなってしまっては今はくすぶっているゼルへの反抗心が再び燃え広がってしまいかねない。
ついこの前に大規模な掃討戦を行った手前それだけは避ける必要があったのである。
捜索は2日、3日と続いたが未だレダの戦士らしき人物を捕捉するにいたらずゼルは苛立ちを覚えていたが異世界の蜃気楼を見やっているうちにある考えが心の中に芽生えてきていた。
---異世界ノアを我が物にする---
一度浮かんだ野望はアシャンティを支配したゼルにとって実に魅力的であった。
そう大それた野望でもあるまい。なにせ自分はこのアシャンティを自分の才覚で手中におさめたのだ。
ノアへ侵攻しより大きな力は求めるのはごく自然の考えではないか--。
そこまで思考がいきついたゼルにとってレダの戦士の伝説など、再びとるに足らない物になりはてていた。
無論、完全に無視するつもりはない。都合のいいところだけ抜粋し自分の為に役立てればよいのだ。
いつしかゼルの中でレダの戦士は『自らの権力を脅かす存在』から『異世界ノア侵略への鍵』へと変貌していった。
そして、今日。
いつもと同様に広げていたゼルの精神の捜査網に遂に一人の人物がかかったのである。
それが若く美しい少女であったことがゼルを喜ばせた。
彼にとってこのような娘の女を責めて陥落させることなど造作もないことだ、と思ったからである。
それが例え伝説のレダの戦士であろうとしてもだ。
そしてゼルは自らの遠見の能力を使いレダの戦士の位置を特定するとすぐさま近くにいた捜索部隊を捕獲へと向かわせたのである。
ここまでは面白い様に事が進み、程なくレダの戦士と思われる少女はゼルの手中に落ちると思われた。
しかし、である。
捜索部隊に追いたてられた少女が運悪く食虫植物に捕らえられその中に取り込まれたとき、それまでの状況が一変する。
光に包まれ食虫植物の花びらから無傷で姿を現した少女の姿は下着のように僅かに身を覆う美しい青い光沢を放つ鎧をまとい一振りの両刃の剣を手にしていた。
ゼルは一瞬、その美しさに目を奪われると同時に淫らな想像を働かせたのだが次の瞬間には低く唸り声をあげずにはいられなかった。
戦士として生まれ変わった少女はまさに『伝説の戦士』と謳われても過言ではない強さを発揮したのである。
ゼルご自慢のカエル型機械兵を中心とした戦闘部隊30名近くのうち半数が瞬く間に撃破されたのだ。
それだけの戦いをこなしたというのに少女の方はかすり傷一つつかず、若干汗を滲ませていたものの疲労などには程遠い様子であった。
『アシャンティが乱れ、レダの力が悪しき行いに使われるとき、異世界ノアから異次元の道を通りレダの戦士が降臨し、これをはばまん。』
ゼルの脳裏にレダの伝説がうかびあがる。無表情を装う端正な横顔に冷たい汗が流れ落ちる。このままではまずい。このままでは---
ゼルの中にしばし忘れていた恐怖と焦りが首をもたげつつあった。だが・・・
いまやレダの戦士である少女はその美しい半裸の身体を汚らしい粘液にまみれさせながら下等な蟲に弄ばれている。
先ほどまでの凛々しく高潔な意志をもった顔は淫らな感覚に翻弄され、潤みきった瞳と唇からは大粒の涙と甘い喘ぎ声が流れつづけていた。
最高の眺めであった。
レダの戦士の少女は剣以外何一つ装備を失ってはおらず、その身を守る肩当、ロングブーツとガントレット、そして彼女の女を隠すビキニのブラとパンツは依然として健在である。
しかしところどころ粘液の糸をひくそれは、今はむしろ少女を卑猥に彩る衣装と化していた。
絶頂を極めさせられた少女の股間、ひときわ濡れて窪んでいる布地を再び鬼甲虫が押し込む。
弛緩した身体をびくん、と反応させながら鬼甲虫の爪先にじゅわ・・・と新たな蜜を吹き出す少女を見ながらゼルの手は知らず知らずおのれの剛直へと向かっていた。
北の森の一画。レダの戦士、朝霧 陽子ははじめて味わう狂おしい絶頂感の余韻に浸っていた。
全身が心地よく脱力し、筋肉という筋肉が弛緩しきっていた。
頭の中の靄は晴れず股間を占領している巨大な蟲への嫌悪感すらも霞んでしまっていた。
(・・・いっちゃっ・・た・・・わたし・・・いかされちゃった・・)
再び頭を地面に横たえながら陽子は力無く反芻する。
一度精神力を絞りきって絶頂を押さえ込んだ陽子に鬼甲虫の秘部への攻撃を耐え切る余裕はすでになかった。
そしてとどめにGスポットを引っかかれたとき陽子の身体は意志に反して悲しいほど純粋に快感に反応してしまったのである。
(・・こんな・・の・・・嫌・・なのに・・・死んじゃいたいほど・・・恥ずかしい・・のに・・・)
陽子は思わず目をつぶる。
(・・・気持ち・・・よかっ・・た・・・)
そう心の中でつぶやくと陽子の両目の端から涙がこぼれ落ちた。
想いをよせる少年に対して純粋で一途な陽子はその一途さ故に彼に心も身体も全て捧げたいという強い願いを持っていた。
少し冷静に考えればロマンチストの夢想に過ぎないといわれても仕方がない願望であるのだが、それを持ち続けてたことが陽子のレダの戦士への覚醒につながっていたのだ。
無論、それについては陽子自身、そして彼女の痴態を楽しむゼルも知らないことではあるのだが。
そしてその願望の中には当然のように『彼から与えられるべき甘くすばらしいオルガズム』というのが存在していたのである。
陽子は自らを慰め果てる際、いつも彼の姿を脳裏に浮かべては快感に打ち震えていたのであった。
しかし、そんな甘い願望がひとつ、失われてしまったのである。
こともあろうにグロテスクな巨大な蟲の舌と爪で。クリトリスと膣口を好き勝手にいじり倒されて。
(・・・ごめん・・なさ・・い・・わたし・・・汚れ・・・ちゃった・・・)
陽子の胸は愛する少年への申し訳なさで一杯になる。
いざ絶頂をむかえた瞬間、陽子の中からは愛しい彼の姿が消えていた。
ただ純粋に我を忘れるほど『気持ちよかった』のである。
このことが純真で生真面目な陽子には彼に対する背信行為をおかしたような後ろめたさを与えていたのだ。
(・・嫌だったのに・・・あなただけに・・して欲しかったのに・・・うあ・・んんっ・・・また・・・)
悲しみにくれる時間を鬼甲虫はそう長くは許してはくれなかった。
陽子の泉にふたたび爪先をねじ込みじっくりと掻き回して新たな蜜をパンツの上に染み出させると細い銀糸をひきながら引き抜く。
足と入れ替わりに赤く良く動く舌が蜜をたたえた窪みにはまると、まるで汲み出すかの様に上下に動き、その赤い表面に水飴のごとく陽子の蜜を絡め取っていた。
「んっ・・・ふぅ・・ん・・・い、いや・・やだ・・・・」
(そん・・な・・・わたしの・・・はず・・かしい・・・の、舐められちゃて・・る)
つい先程達してしまった体は驚くほど感度が高まってしまい、いまだ顔をあげる気力無く打ちひしがれていた陽子の脳裏にダイレクトに股間の様子が伝わる。
自分の秘部から溢れ出す愛液をまるで樹液の様に蟲に舐め取られている、その認識がますます陽子の羞恥心をあおり、心に反して膣口からは新たな愛液を吹き出してしまうのである。
そして物の数分もせぬうちに二回目の絶頂を陽子は迎えていた・・・
「あっ・・ああっ・・んああぁぁ・・・」
再び弱弱しく身体をひくつかせながら陽子は絶頂をむかえ、愛液を滲ませる。
もう何度目の絶頂であろうか。
無理やりいかされては愛蜜を舐めとられる。
執拗に蜜を搾り取られる内に陽子の純で貞淑な心と身体はぐずぐずに崩れてしまっていた。
上気し汗と体液にまみれた身体は快楽に悶えるだけで、もはや形ばかりの抵抗すら放棄しており、悩ましげな眉の下、潤みきった瞳は空ろに視線を漂わせながら歓喜の涙を流してしまっていた。
途切れなく熱っぽい喘ぎ声を上げる口もほとんど開きっぱなしでだらしなく涎をたらしていた。
しかし、その口からは頻繁に愛する少年の名前が漏れ、横たえた頭も絶頂をむかえる際は未だに必死になってそれを拒もうとふるふると揺れる。
その健気でいじらしく、そして淫らな姿は、遠く、浮遊城ガルバで陽子を見つめるゼルの嗜虐性をより刺激するのであった。
「ふふふ・・・口では嫌がっていても身体の方はずいぶんと喜んでいるようだね・・・いけない娘だ・・・。」
水晶球を撫でつつ思わず陽子にむけて話し掛けるゼル。
ゼルにしては随分と俗な言葉ではあったのだが、それはいかに彼女に入れ込んできているのかを証明していた。
「さて、そろそろ・・・次の段階の頃合であるはず。どんな姿をみせてくれるのかな?」
ゼルの言葉が届いたわけではないであろうが、陽子の蜜をたっぷりと味わい尽くした鬼甲虫はおもむろに舌を引いて責めを中断する。
更にパンツの上から不規則にいたる部分を突付いていた前足も動きを止める。
責められ愛液を搾り取られ続けていた陽子はぼんやりとした思考の中、鬼甲虫の責めが中断していることにしばらくして気が付いた。
(はぁ・・・は、あぁ・・も、もう・・・終わった・・・の?)
濃厚な快楽を感じつづけていた頭はかなり朦朧としてたものの事態がわかりかけてくるにつれ安堵感とともにわずかな失望感が湧き上がる。
(・・・ど・・どうにかして・・・逃げ・・なきゃ・・・でも・・・もっと・・・)
思わず浮かび上がるふしだらな感情を慌てて打ち消そうとする陽子。
パンツ越しとはいえ散々にクリトリスや秘部の粘膜に催淫効果のある唾液をすり込まれたせいで物理的に責められなくとも股間はじんじんと疼き新たな快感を求めるかのようにひくついて陽子の思考を鈍らせる。
霞む思考の中、何とか打開策はないかと周囲にゆっくりとした動きで視線を巡らす。
先程まで散々に身体を嬲っていた蟲も今はただ腹の上にいるだけで新たな動きをみせていない。
下手に刺激して蟲にこれ以上責められるのだけは避けねばいけなかった。
(・・・これ以上エッチなことされたら・・・私、変になっちゃう・・・)
何度も絶頂を極めてしまった身体は粘液で束縛され自由になりそうもなかった。
と、すれば何かで蟲を追い払うしかない。そういえば、あの剣はどうしたんだろう---
ぐぐっ
「!」
まとまりかけていた陽子の思考は腰をしっかりと押さえ込んでいる鬼甲虫の足の圧迫により途切れてしまう。
慌てて腹の上の占領者に視線を向ける陽子。
まだ僅かにぶれる視界の中で巨大な蟲は深呼吸をしているかのように胴体を上下させている。
硬い前羽を微かに開きやわらかい腹部を波打たせてる姿はまるでなにか力を溜めている様にもみえる。
「あぁ・・・ま、また・・・なの・・・?」
ふたたび愛液を搾り取られる・・・その恐ろしい予感に思わず声に出して怯える陽子。
その言葉に何ら反応を示さず陽子の腹の上で力をこめる鬼甲虫が徐々に震え始める。
羽も次第に大きく広がり終いには孔雀のごとく4枚の羽を大きく震わしていた。
その鬼甲虫の動きを理解できず困惑する陽子の目の前で腹部が大きく膨らみ空に向けて反り返っていく。
(な、なにをしようというの・・・?)
先程までと様子が違う事に気づいた陽子の中で女の本能が警鐘を鳴らし始めていた。しかし・・・
ギィィィ・・!
それまで黙々と陽子を責めていた鬼甲虫の口から音の狂ったバイオリンのような不快な声が上がり、身体を激しく震わしながら硬直する。
天に向けて掲げていた腹部がより反り返り一回りほど太くなる。
それと同時に腹部の先端から濁った色の粘液を噴き出していた。
びちゃあ!!
「きゃっ!」
粘液の一部が顔に降りかかり陽子は短い悲鳴をあげる。
ねっとりと、とろみが強く黄土色に近い濁った粘液はなんとも言えぬ嫌悪感といやらしい臭いを放ち陽子の鼻腔を蹂躙した。
多少なりとも想像力が豊かな者が見れば巨大なペニスが少女の顔に精を放出した、と捕らえたであろうその行為にはまだ続きがあった。
擬似顔射を受け新たにこの場に加わった粘液の汚らわしさに嫌悪の表情を浮かべる陽子の目の前に大きく膨らんだ鬼甲虫の腹が降りてくる。
思わずそれに目を向ける陽子は一瞬呆然として目を見張った。
鬼甲虫の腹部の変化は単に太さだけではなかった。
腹部の先端が広がりそこから毒々しいピンク色をした肉の管が突き出しており、その表皮に幾つも存在するイボからは例の粘液を分泌していた。
さらにその肉管の先端も巾着状にすぼまっており、その入り口からやはり粘液を滴らせながら何やら白っぽい物を覗かせていたのである。
「そ、そんな・・・まさ・・・か・・・!」
鬼甲虫の腹の先から覗くその白い物体の正体に気づいた時、陽子は先の予感が甘かったことを知った。
(い、いや!そんな・・・卵なんて!!)
この蟲が卵を産みつけようとしている!!
その恐ろしい事実を突きつけられ陽子は戦慄する。
そんな陽子に構わず本来の目的をはたす準備が整った鬼甲虫は最後の仕上げにかかる為に陽子の腹の上で向きを変えるともっともがっしりとした後ろの脚を用いて陽子の太ももを左右に押し広げようと力をこめはじめた。
「ひっ!いや!いやぁ!」
鬼甲虫の意図を察し慌てて抵抗する陽子。
責めの余韻で弛緩しきってた身体も最後の一線だけは超えさせまいと懸命になり足を閉じる力を搾り出していた。
(・・・!)
股をしっかりと閉じ身をよじって必死の抵抗をする陽子はあることに気づく。
手足が、身体が先程よりも随分自由に動くのだ。
身体を束縛していた粘液の粘着力が徐々に落ちてきているようであった。
(・・いける!片手でも自由になれば・・・)
陽子の中に一条の希望の光が差し込む。
もともとこんな形でさえなければレダの戦士となった陽子には鬼甲虫など物の数ではない。
今の陽子は片手さえ自由になれば腹の上で無表情に光る鬼甲虫の複眼に手刀を突き刺してでも追い払おうと決意していた。
それから3分ほど陽子の股間を巡る攻城戦が続いていたが、いまだ鬼甲虫は陽子の両足を開くことができず、陽子も股間に気をとられて片腕の自由を獲得してはいなかった。
それでも優劣は陽子の方に傾いてきており、ついに鬼甲虫の顎に手がとどくところまできていた。
(もう少し、もう少しで・・・!)
陽子が最後の力で右手を動かす。
すでにいつでも突き刺せるように徐々に力をいれた拳を手刀の形へと変え初めていた。
しかし、そんな陽子の腹の上で鬼甲虫の動きに変化がおこる。
陽子の予想以上の抵抗に業を煮やした鬼甲虫は顎を開くと口を陽子のへその上あたりに押し付けてきたのである。
チクリ
(っ痛!!)
短いが鋭い痛みが陽子の身体を駆け巡る。それは注射をうけた時の感覚に良く似ていた。
「くっ!こ、このぉ!!」
痛みをうけた怒りを力に加え、遂に陽子の右腕が鬼甲虫の複眼を射程に収めた。
そして勢いのまま手刀を突き立てんとしたその時。
ドクン!
(・・・えっ?)
一回鼓動が高く鳴ったかと思うと急激な脱力感が陽子を襲う。
それは今まで味わった絶頂後の心地よいものでは無く、無理やりに力を吸い取られたような異常な物であった。
自由になった右手は2、3度震えると力無く垂れ下がりびちゃりと再び粘液の罠に捕らえられてしまう。
(ど、どうしたの・・・?身体が・・・痺れ・・て・・・)
突然の身体の変化にとまどう陽子。
必死になって手足を動かそうにも痺れた身体はまるでスローモーションを見ているかのようにゆっくりにしか反応しない。
そんな状態では当然、力のこめ様も無く自由になりかけた身体は再び粘着力の落ちた粘液に絡め取られてしまった。
それは鬼甲虫に注入された毒のしわざである。
獲物の抵抗力を削ぐために注入されるこの毒は運動神経に作用するものの感覚には何の影響も与えないものであったが、それは陽子にとって敗北を決定づけるものであった。
動揺する陽子を尻目に毒の効き目を確認したのか、再び鬼甲虫は脚に力をこめる。
ぐっ・・・ぐぐぅ・・・がぱぁ!
「きゃあぁ!」
ささやかな抵抗を示したあととうとう陽子の両足は左右に大きく開かされてしまい濡れそぼる股間をさらけだされてしまった。
「あ・・・あぁ・・・いや・・・やめて・・・」
怯え、目に涙をうかべながら震える陽子の視線の先で鬼甲虫は体勢を整えると陽子の両足を完全に押さえ込む。
太く葉巻の様に伸びた腹部がぐぐっ、と下の方、陽子の開かれた足の付け根へと湾曲する・・・
「・・お願い・・・やめて・・・おねが・・い・・」
ぽろぽろと涙を流しながら絶望的に哀願する陽子に無慈悲な宣告が下されようとしている。
くちゅり・・・
湿った音とともに熱く震える陽子の入り口にパンツの上から硬く、冷たい感触が押し付けられる。
「ひぃ!い、いや!いや、いやぁぁぁぁーーー!」
北の森の静寂を切り裂くような悲鳴が響き渡る。
レダの戦士、朝霧 陽子は今、最悪の瞬間を迎えつつあった・・・。