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ぐち・・・ぐ・・ぬち・・・ぬちゅ・・  
「いやぁ・・やだぁ!だ・・めぇ!やめてぇ!!」  
大きく割り開かれた足の付け根、自らの吐き出した愛蜜と汚らしい粘液にまみれて濡れそぼる陽子の秘裂は今まさに貫かれようとしていた。  
必死の抵抗も毒で力を奪われ再び粘着液の虜囚となった今ではもはや何の効力ももたず、遠く浮遊城ガルバ内で恥辱の宴を鑑賞するゼルを喜ばせるだけである。  
「くくく・・・さすがのレダの戦士殿も必死のようだな・・・。あの拒みよう、おそらくまだ男を知らぬとみえる。しかし・・・」  
(蟲ごときにくれてやるのも少々惜しい気もするがな・・・)  
言葉の終わりは口にはださないゼルの中で僅かながら躊躇が芽生える。  
 
鬼甲虫の催淫体液の影響とはいえゼルからすれば前戯にすらあたらぬ幼稚な責めであれほどの痴態をさらけだすのだ、自分が本腰を入れてじっくりと可愛がってやると一体どれほど淫らな反応を示すことだろうか。  
無論、最初は嫌がるであろう。そうでなければ面白くない。そういう女を責めおとすのがたまらないのだ。  
無理やり処女の証を突き破りまだ未開拓の秘洞を力まかせにこじ開けもっとも深い子宮の入り口を小突く様に責め立てる。  
純潔を奪われた処女戦士は破瓜の痛みに悶え、泣き叫びながら抗うであろう。  
先ほどからしきりに口にしているのは想い人の名前だろうか?しかしその健気な唇も、すぐに濡れた声で私の名前しか呼べなくなるのだ・・・  
 淫らな空想の翼を広げかけ、ゼルは苦笑しながら現実に意識を戻すと、らちもないことを、と微かな声でつぶやく。  
いかにゼルがアシャンティの支配者とはいえガルバから北の森まで瞬時に移動できる手段はない。  
レダの戦士を襲っているのが機械兵ならば少女をガルバまで連行するよう指令もおくれるのだが相手は野生の生き物である。  
鬼甲虫が警戒するのを避けるため、当初陽子を捕獲した部隊も今は森の外縁部まで撤収させており今から向かわせたところで間に合いそうもなかった。  
 
結局、ゼルはこの淫らなショーの観客に甘んじるしかなく、そのショーの出来の良し悪しは演じる俳優たちの力量しだいであった。  
「・・・まぁ、それもよかろう。あの娘にしても初めての相手が下等な蟲というのもなかなか味わえるものではないからな。」  
今のところ、演劇を進行する俳優たち、特に女優の演技は申し分がない。  
そしてその熱のこもった淫靡な演劇はただ一人、アシャンティの総帥として君臨する自分の為だけに演じられているのだ。  
そう考えるとこれはこれでなかなかの余興ではないか。  
上機嫌に視線を水晶球に戻すゼルの脳裏に不意に悪辣な思いつきが浮かぶ。  
「・・・未だに私に逆らう愚民どもがこれを見たら一体どう思うものかな?」  
自分たちが救世主として待ち望んだ者が獣ですらない下等な一匹の蟲によりよがり狂わされている。  
しかも伝説にあるレダの戦士の姿のままで。  
「もっともっと乱れるがいい、レダの戦士よ。すでにお前は地に落ちた伝説なのだから。」  
今、また新たな楽しみが増えたゼルの瞳の奥に冷たく陰湿な光が宿り、その光は水晶玉の向こうの少女に注がれるのであった。  
 
(あぁ・・ああぁ・・・だめ・・!は、入る、入って・・きちゃうっ!)  
絶望的な状況に怯え体を振るわせる陽子。  
しかし彼女の秘密の入り口は本人の意思に反して徐々にほころびながら濃厚な呼び水を吐き出し続けていた。  
このような状況に陥っているにも関わらず傷一つついていないビキニ状の鎧。  
そのビキニの、陽子の雌の部分を包みこむパンツがなければ包皮が剥けぱんぱんに膨らみきったクリトリスやわずかに広がり弱弱しい間欠泉の様に白味をおびた愛液を噴き出す膣口、  
未だ陵辱を受けてはいないのに自らの恥蜜でしっとりと濡れるすぼまった肛門などがすべて露わにされてしまうところである。  
 だが、いかに魔力が付与され物理的に強固とはいえベースは布の様な物であり、多くの液体を吸ってぐっしょりと濡れて変色したそれは陽子の性感の高ぶりまでは隠してはくれなかった。  
 
ぐ・・・ぐぐ・・ぐにっ・・・  
「ひぅ!や、やめてぇ・・・。も、もう・・・ゆるし・・て・・・」  
 そしてパンツのもっとも濡れ色が濃く変色している窪みは鬼甲虫の醜悪な卵管にぐりぐりと押し込まれつつあり、陽子は膣口を少しずつ押し広げ処女の証を圧迫する固く冷たい卵の感触に  
泣きながら通ずるはずもない許しを請う。  
そう、もはや陽子には許しを請うことしかできなかった。  
どんなに必死になって拒んでいてもそれまで散々に快楽の炎に炙られつづけていた身体はすでに快感に逆らえなくなっており、パンツの上から膣口に押し付けられる恐ろしい凶器の感触さえも  
今の陽子にとってはたまらない刺激となってしまっていたのだ。  
 
ぐぬ・・・ぬじゅ・・っ  
「うっ!くぅっっ・・」  
(あ・・ん・・・ま、また少し・・・入って・・・)  
いくら身体に毒が回り、貞操を守らんとする力が込められぬとはいえそもそも爪と卵管とでは太さが違う。  
爪での責めの時とは違い、卵管の進行は意外にも遅々としたものであったが、かえってそれは陽子にいやでも陵辱者の形を認識させてしまうことになった。  
彼女の純潔を奪わんとする、先端に卵を覗かせ表面にいくつもの卑猥ないぼを浮き立たせた卵管の一番太い部分は実に陽子の手首近い胴回りであり、卵を包み込む辺りがまるでまだ皮の剥けていないペニスの亀頭の様相を示していた。  
その包茎状の卵管から3分の1ほど顔を覗かせていた卵は、パンツを巻き込みつつ陽子の膣口を浅く蹂躙しており、動きが加わるたびににちゅにちゅと、粘っこく嫌らしい水なりを奏でてしまう。  
 
「はぁ・・・そんな・・・音・・・たてちゃ・・・わたし・・・・ふぁぁ・・・」  
自分の股間から発せられるはしたない音にすら陽子は感じてしまい熱い吐息をもらす。  
(も・・・もう・・・だめ・・・・わた・・し・・・こん・・な・・・蟲に・・・犯され・・・ちゃう・・・)  
「やだ・・・そん・・な・・の・・・だっ・・て・・・そこ・・・は・・・あの人の・・・あ、あうぅぅ・・・」  
すっかりピンク色の靄に支配されてしまった思考の中、僅かに残る理性をかき集めて何とかして正気を保とうとする陽子。  
しかし、すでに処女を奪われる恐怖よりも膣口を圧迫される快感の方が勝ってしまっており、卵管のちょっとした動きすら残る陽子の理性を掻き消すのに充分であった。  
汗と涙、そして涎と粘液でびしょびしょになり、熱病のように上気した顔を力なく空に向け、遠い向こうの世界にいる愛しい少年の面影を思い返す。  
普段の穏やかで優しげな顔、部活動でみせる眩しいくらいに溌剌とした姿、友人達とおしゃべりしている時の屈託の無い笑顔・・・  
 
(私ね・・・あの並木道ではじめてすれ違った時から、ずっと気になっていたの・・・・あなたの事・・・)  
(1年半前・・・私はまだ中学生だった・・・)  
(最初はただ、やさしそうな人だなぁ、とおもっていたの・・・そう、やさしそうな、でもわたしとは関わりのない人、って・・・)  
(だから・・・だから私、高校に入学して初めてあなたを見かけた時、心臓が止まっちゃうかと思うぐらい驚いた・・・)  
(だって・・・それまでずっと気になっていた人が同じ学校の先輩だったなんて・・・すぐには信じられないぐらいだったんだから・・・)  
(でも・・でもそれからは気がつくといつもあなたのこと、探していた・・・)  
(なにか理由を見つけては2年生の階にいってみたり・・・)  
(放課後はあなたがサッカー部でグラウンドを走る姿を、私ずっと、音楽室から見ていたの・・・)  
(・・・好きだった。自分でも戸惑ってしまうぐらいに。でも・・・気持ち、伝えるのが・・・怖かった・・・)  
冬の気配を忍ばせはじめた赤い夕日の差し込む音楽室。  
ただ一人グランドピアノと向かい合う自分。  
ピアノの譜面立てには流れるように音符の群れが連なり穏やかな小夜曲(セレナーデ)を形どっている。  
そう・・・とても切なくて恋しくてどうしようもないから・・・あの曲を作ったんだ・・・  
私の・・・あの人への・・・全ての想いをこめて。  
 
ぐりゅ・・ぐりゅりゅ・・・  
「ふ、ふあっ!は・・・はひっ・・・」  
時間にしたらおそらく5秒もなかったであろう。  
ごく短い時間とはいえ、陽子の意識は一時的に完全に今の状況から逃避していた。  
だがその逃避も卵管の新たなる挙動によりあっさりと引き戻される。  
鬼甲虫は卵管の先端、肉の筒から今か今かと出番を待つ卵を膣口の中心に押し付けるとまるで渦を描くように入り口をなぞり上げながら圧力を増してきていたのだ。  
「あ・・・あぁ・・・入れられ・・・ちゃ・・・・う・・・。はぁぁ・・・。」  
その動きが明らかに最終的な突貫を意味していることを陽子は本能で悟る。  
 
しかし、陽子はもはや抗わなかった。  
それどころか秘部をこねまわす卵管の動きの心地よさに色っぽい吐息を漏らしながら、肉管の先端をねだるかのように力の抜けた腰をくねらしている。  
ぬりゅ・・ぬりゅ・・といった汁気を帯びたパンツと卵の間から聞こえる淫らな衣擦れの音を聞きながら陽子は陶酔の表情を浮かべていた。  
「うっ・・ん・・・はぁ、は・・あぁ・・・お・・・おねが・・い・・・も、もう・・・私・・・」  
ついさっきまであれほど嫌だった卵管による下の口へのキスも今や物足りなく思うほどに陽子は堕とされてしまっていた。  
とろける中心に力が加わるたびにクリトリスや肛門に貼りつく濡れたパンツの感触も堪らない。  
裂けるには至らぬものの柔らかい処女膜も卵管の太さを教え込まれるようにじっくりとのばされては離される。  
直接触れられてもいない乳房では桜色の突起がびんびんに屹立しておりビキニのブラとこすれてむず痒い快感を生み出していた。  
徹底的に弄ばれ大事な股間に大量の媚薬粘液を塗りこまれ既に全身が性感帯と化してしまい微かな刺激にさえあられもない声をあげて身を震わせてしまう陽子の姿はレダの戦士として剣を振るっていた人物とはまるで別人の様であった。  
 
快感のあまりに流した涙で潤む両の目が腹の上の巨大な蟲に向けられる。  
その目は完全に色に溺れており鬼甲虫への嫌悪感などは跡形もなかった。  
むしろ微かに微笑みを浮かべてすらあるその顔はまるで恋人に向けているかの様でもある。  
実際、その時陽子は鬼甲虫の黒い影にぼんやりと愛する少年の幻影を重ねていたのだ。  
『陽子、僕の可愛い陽子・・・愛してるよ・・・だから・・・ね?・・・』  
悦楽の涙のせいか愛しい彼の姿がぼんやりとしかみえない。  
それでも頭の中に聞こえる幻の声は明らかに彼のものであり、陽子は甘えるような声で問いかけに応える。  
 
「うん・・・いい・・よ・・・来て・・・・」  
ずっと夢に見ていた瞬間を迎え、陽子は恥じらいながらもためらわなかった。  
意識の混濁した陽子は無理やり大きく割られている太ももから力を抜くと、すぐさま鬼甲虫により恥ずかしく足を広げられてしまう。  
両腕が粘液にとらわれてなければおそらく自らの手で愛蜜を滴らせる秘裂を左右に広げてみせたに違いない。  
ぬち・・・と、音がして渦を描く動きをしていた卵管の先端を涎を垂らした秘孔が捕らえるとぞくぞくっ・・・と甘美な電流が陽子の背筋を駆け上がった。  
 
「あ・・は・・・来て・・・入れてぇ・・・」  
待ち望んでいた瞬間を迎えた陽子はすっかりと蕩けきった表情ではしたなく自分から愛しい人の物をねだりとろけきった声をあげてしまう。  
もちろん陽子の膣口に押し付けられているのは鬼甲虫のおぞましい卵管であり愛する少年のペニスではない。  
だが陽子の防衛本能は無意識に鬼甲虫に彼の姿を重ねることで、望まぬ破瓜の精神的なショックを和らげようとしていた。  
そんな陽子のおねだりに答えるかの様にぐぐっ・・・とパンツ越しに押しつけられた卵管に力がこもり始める。  
ミチ・・ミチチ・・・  
限界にむけ引き延ばされつつある薄い肉膜の音をうっとりとした顔で聞きながら陽子はゆっくりと目を閉じ、その瞬間を迎えようとしていた。  
 
 
この時、このまま心が倒錯した状況で一気に貫かれた方が陽子にとってむしろ幸せだったといえる。  
入れられた後はともかく、彼女にとってもっとも残酷な瞬間を残酷な現実で受けとめないで済んだのだから。  
例え幻でも、愛する男と結ばれることができたのだから。  
だが。  
 
 
ずりゅん!  
「ふあぁぁん!」  
陽子に対し、現実は頑なに残酷であり続ける事を選んだらしい。  
陽子の処女を散らすべく充分な力を込められて突き込まれた鬼甲虫の卵管は歓喜の瞬間を前に無意識に震える陽子の腰の動きとあらゆる粘液でぬるぬるになっているパンツのぬめりによりポイントをはずしベクトルがずれてしまったのである。  
先端に卵を包み込みふくれあがった卵管の太さ自体もすっかり潤んでいたとはいえ処女の陽子が受け入れるのには易しくない物であった。  
その結果、矛先をかわされた卵管は装飾されたイボをパンツにこすりつけながら陽子の臍あたりまで滑ってしまっていた。  
ここにきて強烈なすまた同様の刺激である。  
 
しばし直接的な責めから解放されていたクリトリスもしこたま肉管とぼつぼつとしたイボに擦りあげられ、たまらず陽子は軽い絶頂を迎える。  
「あはあっ!・・・はぁあ・・い・・やぁ・・・いじわる・・・しないで・・・」  
軽く達してしまった陽子であったが未だに残酷な現実が目の前に迫っていることを認識できずにいた。  
すっかり夢見心地な陽子はむしろ甘くとろけた口調ですんでのところで焦らす幻の恋人にすねてみせさえしたのである。  
だがその幻の正体である鬼甲虫にとっても予定外のパンツとの摩擦は強烈だった。  
陽子を押さえつけている6本の足に一層の力がこもると徐々に胸から頭をのけぞらしながらぶるぶると震え始める。  
のけぞった頭部では顎がせわしなく開閉を繰り返し、少し前まで陽子を狂わせていた赤い肉舌も落ち着かない様子で出し入れされていた。  
今し方の絶頂の余韻にひたる陽子は気づいていなかったのだが臍の上に横たわっていた卵管も震えながらその先端を持ち上げ始めている。  
卵管を腹部から露出させた時とよく似たその鬼甲虫の動きの意味するところは男を知っている女がみれば一目瞭然であるに違いない。  
それは男の絶頂・・・すなわち射精の兆候と酷似していたのだ。  
 
処女でうぶな陽子には当然、そのような発想が浮かびようもない。  
知識として男性の絶頂時には精液を放出する『射精』というものがある、ということぐらいしか知らないのであった。  
たとえ、浮かんだとしても今の性欲と幻想につつまれた陽子ならむしろ喜びの表情を見せるに違いない。  
「はぁ・・あは・・・おねがい・・・やめないで・・・」  
先程の絶頂感が薄れつつある陽子はようやく彼--鬼甲虫の変化に気がつくと気怠げに頭を起こすと自分の下腹にあるたくましい男根---卵管に悩ましげな視線を絡ませると、再び淫らに求め始める。  
陽子もおぼろげではあるが男の物の形は知っている。  
もっともそれは学校の保健体育の授業で説明される程度の物で年頃から考えると微笑ましいを通り過ぎて『ねんね』といわれても仕方ない性知識と言えた。  
 
ただでさえあやふやなペニスがさらにピンク色にぼやけてみえる中、陽子の瞳はその先端の白い部分に釘付けになってしまっていた。  
ぴたりと陽子の顔に向いた先端が妖しく震えて、まるで催眠術でもかけるかのように陽子を一層淫らに狂わしていく。  
(ふあぁ・・彼の・・・あんなに・・・・大きくなって・・・ぴくぴくして・・・なんだか・・・可愛い・・)  
おのずと涎と喘ぎで濡れる口が開き蠱惑的な舌が処女とは思えぬ程いやらしい動きで唇を舐め回す。  
彼の分身を口に含んだらいったいどんな感触がするんだろう?舌でなめたらどんな味がするんだろう?----  
以前なら考えただけでも恥ずかしさに赤面し自己嫌悪に陥りそうな疑問をためらいもなく考えながら思わず陽子は唾を飲んでしまうのだった。  
 
そんな陽子の視界の中、彼の肉棒の震えが激しくなりより大きくなったように見え、あぁ、と陽子は切ない溜息をあげる。  
実際、それは見間違いではなく鬼甲虫の卵管はぶるぶると震え、全体が卵の雁首と同様に大きく膨れていたのである。  
そして。  
ギィィィッ!!  
ぶぴゅ!!ぶりゅっりゅっ!  
再び鬼甲虫の口から神経に障る鳴き声が発せられると共に卵管がさらに一回りふくらむ。  
ほんの半瞬の後、卵管の巾着状の先端がぐぽり、と開いたかと思うともの凄い勢いで白い物体と濁った黄土色の粘液が噴出される。  
それはまさしく決壊という表現がぴったりの勢いであった。  
 
勢いよく吐き出されたおびただしい量の精粘液が陽子のむき出しの白いお腹や胸を覆い隠すブラジャーにぶちまけられ、一部は喘ぎっぱなしの口内にまで届き舌を蹂躙する。  
そして粘液が陽子の体に新たなデコレーションを施す前に、白い球体が粘液の尾を引きながら鬼甲虫の卵管からとろけた陽子の顔の間のわずかな空間を飛翔していた。  
うつろに卵管の先に目を向けていた陽子の視界を一瞬に白い物体が占領し、陽子は反射的に目を閉じる。  
 
ぐちゃ!・・・・べちょ・・・  
「きゃんっ!」  
切なげに皺をよせる眉間に何か固い物があたり、つぶれた様な音を発しながら胸のあたりに落ちる感触に陽子は短く声をあげるといぶかしげに瞼を開く。  
陽子の額をしたたかに小突いた物体は今はブラの留め具である赤い宝玉の手前、ちょうど胸の谷間にあたるところに転がっていた。  
幻の恋人との甘い一時を邪魔する無粋な物体を陽子は不満げに睨み付けその正体を見定めようとする。  
桃色の幻想と悦楽の涙でぼやけていたその物体の輪郭が徐々にはっきりし始めると陽子はいささか困惑してしまうのだった。  
 
(・・あれ・・・なんだ・・ろ?・・・ピンポン・・球・・?)  
胸の谷間に転がっている白い球体。  
確かにそれが完全な形であったならばピンポン球かゴルフボール前後の大きさであったに違いない。  
だが、それは白一色ではなく転がってもいなかった。  
(・・・なんか・・・まわり・・・泥みたいな物・・・ついて・・・それに・・・潰れて・・・)  
ピンポン球大の白い物体は若干黄色みを帯びておりその所々には汚らしい黄土色をした粘性の強い液体が付着して一部が陽子の白い肌に糸を引きつつ垂れ落ちてきている。  
球体はその下3分の1程度がひしゃげ、その裂け目からこれもまた粘った白い液体が流れ出していた。  
(・・・潰れて・・・なにか・・・出てる・・・あれ・・って・・・)  
陽子はその物体が自分の知っている何かと符号することに気付き、ぼやけた頭でそれについて思考を巡らせる。  
そう時間もかけずに陽子の脳裏に元の世界で普通に口にするある食材が浮かび上がる。  
白い殻の内部にどろりとした黄色と透明な液体を一杯にたたえた物・・・  
 
(あれ・・って・・・卵・・みたい・・・・卵・・・卵?)  
女の防衛本能が必死に陽子を夢の中に留めようと働く中、不意に沸き上がったちょっとした違和感。  
その些細な違和感はより大きな疑問を生み、その疑問は容赦なく理性を揺さぶって陽子を悲惨な現実へと引きずり戻す。  
(・・どうして、卵が・・・?それに・・・わたし・・・一体・・・?)  
幻想から現実への突然の変化に思考はまだ追いつけず、陽子は軽いパニックに陥っていた。  
べちゃ・・・  
混乱する中、胸から伝わる小さな、しかし奇妙で不快な動きを感じ陽子は慌ててその動きの元に目を向ける。  
青の光沢を放ち宝玉であつらえられた見慣れぬブラジャーの胸の谷間に位置する奇怪な潰れた卵。  
白い粘液が漏れ出す割れ目の奥からその不吉な動きが伝わって来ていた。  
まるで凍り付いたかの様に胸元を凝視する陽子の前でまだ球体の原形を留めていた卵の殻が揺れゆっくりと横倒しになると、その内包物が全て露わになる。  
 
胸元に溜まる白い粘液の中に同様に白っぽく半透明の固体があった。  
それは未だに凝固していないのか、液体との境は混じり合ってどこからが固形物として成り立つのかあやふやではあった。  
だがおぼつかないながら形を成している部分はそれが成長したらなんになるのかを明確に表していたのだ。  
弱々しくうごめく顎、細く頼りない小枝の様な節足、胸部のまだふやけた外骨格にはすでにわずかながら2つの盛り上がりが存在している。  
色素の沈着していないその白い不完全な姿の中で唯一、今は黒く色づく複眼だけが奇妙に目立っており、恨めしそうな虚ろな光を放ちながら陽子の顔を見つめ返していた。  
 
「ひ・・・ひいぃぃ!!」  
ピンク色の甘い幻想が真っ黒な恐怖に瞬時に塗りつぶされ陽子の喉から空気を絞り出すような悲鳴じみたうめきがもれる。  
陽子の涙に濡れた瞳孔が恐怖で大きく広がり、涎と粘液でべちゃべちゃになった口は固く閉ざされカチカチと歯を鳴らしていた。  
まだ幼生にすらならぬ鬼甲虫が陽子に直接の危害を加えるわけもない。  
現に不完全な状態で外界に放り出された蟲の素は既に絶命しており動きは無くなっていたのだが、陽子はその黒く濁る複眼から目を反らせずにいた。  
望まぬ誕生から望まぬ死までのほんの数十秒、しかしその極々短い一生はレダの戦士であり処女の陽子にとって決定的なダメージを与える事となり、決して無駄では無かったといえる。  
すくなくとも、これからクライマックスに向かう恥辱のショーを鑑賞するゼルにとっての話であるが。  
 
「い、いやぁ!!やだぁ!取って、取ってよぉ・・!いやぁあぁ!」  
こころならずもそのショーの主演女優である陽子にとっては話を盛り上げた端役の短い一生などに気を回している余裕はなく、痺れる体を懸命に揺すり溶けたようにグロテスクな蟲の死骸を取り除こうと躍起になっていた。  
本人がいくら必死に動いているつもりでも毒により麻痺した体はろくに応えてはくれず、まるで蟲の怨念がこもっているかの様に溶解した死骸は陽子の胸の谷間に留まり続け彼女の心身を苛む。  
「はぁ・・はぁ・・ね、お願い・・だから・・・それ、取って・・・怖い・・よぉ・・・」  
歓喜の涙を怯えた涙に変えながら、思わず陽子は潰れた卵と死骸の向こう、自分の腰を抱え込み処女を奪わんとしている愛しい少年に懇願し助けをもとめてしまう。  
 
『・・・・・・』  
さっきまであれ程、心地よく耳に響いていた彼のささやく声。  
しかし、陽子の必死の訴えに対してなんの返答もない。  
「お願い・・お願いだから・・意地悪しないで・・!これ、取ってよぉ・・!!」  
まるで蛇ににらまれた蛙のごとく卵の残骸から視線をはずせずにいた陽子はやっとのおもいで目をぎゅっと閉じると、涙をこぼしながら首を左右に振り、助けを求め続ける。  
ややあって自分の腰を押さえていた圧迫が弱まりつつ、腹から胸の方へと移動し始めるのを感じると陽子は目を閉じたまま微かに安堵の溜息が漏れる。  
きっと彼が身を乗り出してあの気持ち悪い蟲の死骸を取ってくれるに違いない---  
そう思っただけで嘘だったみたいに恐怖心が薄らいでいくのが解る。  
胸の上に残る不快な感触もそれだけでさほど気にならなくなってしまっていた。  
「・・・良かった・・・あなたがいなかったら、わたし・・・怖くて・・・・」  
大げさだが素直で他愛の無い彼への感謝の気持ち。  
まだ抜けきってはいない怯えの口調の中にも微かに笑顔の分子を含んだその声に胸のあたりから愛しい少年が言葉を返してくる。  
 
『・・・・ギィ・・・』  
(・・・え?)  
目を閉じた陽子の耳に届いた彼の声はそれまでの物とは全く異質であり、陽子を驚かせた。  
その声、声といっていい物か解らないそれはごく短く発せられた物であったが陽子の耳には聞き覚えがあった。  
それがなんであったか陽子はとっさに思い出せずにいたが、ひどく不吉で恐ろしいと感じる響きである。  
睫毛を震わせながらおそるおそる目を開ける陽子。  
急速に大きくなる言いしれようがない不安を感じながら陽子は体の上にいる愛する少年の姿を求め顔を向ける。  
怯える両目に映るのは潰れた卵、蟲の死骸、様々な粘液で汚れた胸元、そして陽子が求めていた優しい少年の面影・・・はそこにはなかった。  
頼もしさすらある彼の体の重みを感じている下腹には彼ではない、黒く大きな物が居座っており、じっ、と無表情な2つの大きな緑色の複眼が陽子を冷たく見つめていた。  
 
「あ・・・・・。」  
その緑色の視線と真っ向から目を合わせてしまった陽子の中で一瞬思考が硬直する。  
(え・・・あの人・・じゃ・・・ない?そん・・な・・・だって・・・)  
自分を見据える物の正体をすぐには思い出せず、陽子の中で目まぐるしく記憶が交錯する。  
しかし現実は二度も陽子に悠長に記憶を遡る時間を許さなかった。  
ギギ・・・ギィィ・・・  
黒い影から再び発せられる心を引きつらせる耳障りな音。  
そしてその影にある2つの角の様な突起を見いだしたとき、陽子の中に稲妻のごとき戦慄が走る。  
 
赤い肉筆に散々転がされ押し込まれたクリトリス、鋭いつま先でいじり倒されたGスポットから無理矢理与えられた愉悦から、はしたなくも何度も絶頂に上らされたという衝撃。  
自分でも消え入りたいと思うほど恥ずかしくあふれ出す女の蜜を無遠慮に舐め回されたという恥辱。  
そして、あられもなく大きく割られた両の足の付け根、ぐっしょりと濡れたビキニパンツの張り付く秘裂に押しつけられた卵管の感触。  
そしてそれらが全てこの黒い影・・・巨大な昆虫によりもたらされたという信じられぬ事実。  
その蟲が進行形のまま中断している行為の恐ろしい内容と結果に、陽子の怯えた両目はさらに見開かれ、わななく唇からは恐怖により震えた悲鳴があがり周囲の空気を微動させる。  
 
「ひあ・・・ああぁ・・・い、いやぁ・・・・いやぁ!!」  
その悲鳴は懸命になって働いていた陽子の防衛本能がついに残酷な現実に破られたという証明であった。  
陽子の脳裏から愛する人と迎えるロストヴァージンという甘い幻想はもろくも霧散し、入れ替わりに目前に迫る無慈悲な体験に対する認識が広がっていく。  
すなわち『蟲に犯される』という、陽子のいた世界の常識からは遙かにかけ離れた奇怪な体験である。  
しかもただ犯される訳ではない。  
陽子の愛する少年に捧げようと心に決めていた多くの物のもっとも侵されてはならぬ神聖な乙女の証を奪われてしまうのである。  
それだけでも充分陽子にとっては死んでしまいたくなるほどの苦悶の屈辱であるのに、こともあろうに突き入れられるのはペニスではなく卵管であり、流し込まれるのは精液ではなくピンポン球のような卵なのである。  
そして、その卵の中にはおぞましき生命がおぞましき姿を形成しつつあるのだ。  
いま陽子の胸の谷間に存在している物の様に。  
 
「そんな・・・そんな・・の・・・だめ・・やめ・・て・・・」  
我に返り、現実を直視し理解した陽子は幻想に溺れていた時とはうって代わり怯えきった声で鬼甲虫に許しを求めていた。  
つい今し方までは自ら秘裂で卵管を喰わえ込もうとあさましく腰を使っていた事などすでに忘却のかなたに押しやって、必死になって最後の一線だけは越えられまいと陽子は弱々しくも再び抗い始める。  
陽子が再び絶望的な抵抗を見せ始めたのを契機に、鬼甲虫はおもむろに半液体状と化した我が子に細く赤い舌をのばすと生死を確認するかのように2,3度突つき、何の反応も示さないのをみると体を微かに震わせながらギイィィ・・と低い鳴き声を発する。  
動揺する陽子の目にはこころなしか表情の無い緑の複眼に怒気が漂っているように見えるのであった  
 
「あ・・・あぁ・・・」  
それはあたかも子を殺された親が怒りと憎悪を募らせているかのようであり、本能的にそれを感じ取った陽子は気圧されるようにおののいてしまう。  
客観的にみれば陽子はあわれな被害者であって、鬼甲虫が例え怒りを感じていたとしてもそれはただの逆恨みにすぎない。  
だがこの場は法廷ではなく、当事者の一方に至ってはは人間ですらないないのだ。  
子孫を残そうと卵を産み付ける者と卵を産み付けられる者とがあり、それがたまたま巨大な寄生虫と一人の少女であっただけのことである・・・。  
 
 
つづく  

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