-浮遊城ガルバ、ほの暗く広くそして冷たい静寂にみちた廊下をひとつの人影が駆けて行く。  
いや、その足取りは駆けて行く、というのにはあまりに洗練さに欠けていた。しかし時折つんのめる様に  
歩を乱すその滑稽な走りはその人影の正体・・・小柄ででっぷりとしたヒキガエルのような男にはむしろ  
似合っているのかもしれない。  
 息を荒げながら走る小男、チザムは玉座の間にいるガルバの主たる男の前まで駆け寄ると肩で息をしながら夢中でしゃべり始める。  
「ゼ、ゼル様!先ほど北の森におくった攻撃部隊から連絡がはいりまして、その、レダの戦士を補足、交戦して・・。」  
「捕らえたというのだろう。」  
 
報告を行う側の期待を裏切り、うける側は男はまったく動じる様子もなくその様子がチザムの熱狂を急激に冷ましていった。  
ゼル。浮遊城ガルバの主にしてかつてのレダの大神官だった美貌の青年。だがその美貌は冷たく見る者に威圧感を与えていた。  
そのゼルの顔の前に掲げた右手には水晶玉が乗っており北の森の景色を映し出していた。そしてそこには一人の少女がぐったりとした様子で横たわっている。  
 その少女はいまだに若干の幼さを残しながら徐々に女へとかわっていく年頃のようだ。長い髪を横で結び整った可愛らしい顔は今は苦しげに瞼を閉じていた。そしてまだ熟れきっていないみずみずしい体は青を基調にしたつややかな光沢を放つビキニ状のアーマーをまとわしただけであった。相当抵抗したのであろう、その肌はピンク色に上気し、時々くるしげにうめく様はたまらなくエロティックだった。我が手にかかればさぞや良い声で鳴いてくれるであろう・・  
 
「・・・ル様、ゼル様。」  
その呼びかけに不意に現実に引き戻されたゼルはやや不快げにチザムを睨み付ける。その目に気圧され萎縮しながらチザムは言葉をつづけた。  
「それでどういたしましょう?すぐさま連行してお取調べになりますか?」  
「そうだな・・・」  
ゼルはしばし考え込む。本来ならすぐにでも連行して自ら尋問したいところではある。ただ目の前の姑息な副官に心を見透かされたような気がするのが不快であった。そしてもともとレダの大神官であった自分が一時とはいえ小娘に心を奪われたのも癪であった。  
「・・・娘を捕らえたのは北の森だったな。」  
ややあってゼルの頭にひとつの考えが浮かぶ。  
「左様で・・・。」  
「そうか。ならば放っておけ。」  
「は?い、いまなんと?」  
「放っておけ、といったのだ。いや、あの場から逃げれぬよう処置だけはしとけ。解ったらはやくかかれ!」  
「は、はい!」  
きた時と同様に無様に走りさるチザムに眼もくれず、ゼルは一人思考をめぐらせる。  
(・・・確かこの時期はやつらの繁殖期だったはず。ふふ・・・こいつは面白い。)  
みると、水晶玉の中の少女に捕縛用の粘着液がふりかかり始めていた。ピクンと反応しながらも目覚める気配はない。  
「お手並みをみせてもらおうか、レダの戦士よ・・・。」  
 
 
-浮遊城ガルバの北に広がる森、そこは表面上はけっして人を拒絶するような過酷な環境ではない。  
木々の茂りも鬱そうとしたものではなく、よく差し込む日の光によって地面にも広範囲に緑の絨毯がひろがりそれを彩る様々な草花などが咲き誇っていた。もし初めてここに紛れ込んだ旅人がいたとしても未知の空間への不安よりあたたかでのどかな景色への安堵感の方が強いであろう。  
 
 だが、経験をつみ賢明な旅人たちはそこに近づくことは滅多に無い。独裁者ゼルの居城であるガルバのお膝元であることも昨今の理由の大半であったがその残りの理由はその森そのものにあった。一見華やかに見える草花の多くが実は食虫植物であること、木に芸術的にからまった蔦が寄生生物であることなどこの森の裏の顔を知っているからである。  
しかもその奇怪な生き物たちには共通した点があった。それは単に事実としてはごく単純ではあるがそれがもたらす結果は人々をかの場所より遠ざけるに十分であった。その事実とはひとえに『巨大である』ということである。そしてそれが結果として『食虫植物』ほ『食人植物』たらしめていたのだった。そしてそれは何もそこに存在する植物だけの特権では無かったのである----  
 
 
水晶玉の中には「レダの戦士」と呼ばれた少女が今は無残にも汚らわしい粘液によってビキニ状の鎧をまとったままの美しい体を地面に貼り付けられていた。見様によってはまるで大量の男の精液の水溜りにその身を横たえ時折苦しげに小さな呻き声をあげて肌も露な体をよじる姿はそれだけで経験の浅い男たちにとって射精を引き起こすに充分であろう。むろん、それを見つめるゼルにとっても性的な昂ぶりは存在している。性の技に長け、女体に関して知り尽くしたゼルではあるがその分身は隆々と勃起しシルク地のたおやかなズボンを押し上げその存在を誇示していた。しかし、それ以外はまるで普段と変わらない様子なのがゼルの性に対する自信と実力をあらわしている。  
 
目を血走らせることも、唇を舐めることもなく冷ややかな笑みを浮かべながら水晶玉を覗くゼルに時間はそう忍耐を要求しなかった。  
横たわる少女の脇の茂みがガサガサと揺れると一つの影が映像に入ってきたのである。その姿を確認したときゼルの口元が妖しくゆがむ。  
新たに映った影は1匹の昆虫であった。黒々とした艶を放つ硬い外皮に覆われ大きな二つの複眼と節だった6本の足を持つ蟲は少女の来た異世界ではカブトムシと呼ばれるものに近かったのだが、まるでその森の生物の標準であるかの様にその大きさは巨大で子犬ぐらいはあろうかというサイズであった  
 
当然だがゼルには異世界の蟲についての知識などない。あったとしてもそれはこの場面でなんら必要なものではないのだ。  
その蟲はしばらく倒れた少女の様子を伺うかのようだったがすぐに無抵抗だとみてとると少女のむき出しの白いお腹に這い上がってきた。  
その際も少女は僅かに反応したがいまだ目をさますにいたらない。  
ゼルにとって必要なのはこの蟲の能力、正確にいうと本能であった。一見無害な蟲もこうも巨大になるだけで、人の嫌悪感と恐怖感を飛躍的に増幅させる。  
そして蟲自体もその大きさに見合う生態にかわるのだ。  
 
蟲のがっしりとした顎をそなえた頭部が少女の艶やかな光沢をはなつビキニパンツに包まれた下半身にむかう。  
これから行われる行為と少女の反応を思い浮かべゼルは水晶玉を台座に置き自らは玉座に腰を下ろす。  
かたわらに控える従卒ロボにワインをはこばせると、口元で香りを楽しみながらひとりごちる。  
「まるでくもの巣にかかった蝶のようだな。蝶は運がいいと逃げれる時もあるらしいが・・・楽しませてもらおうか。」  
そういうとグラスをかたむける。良い味であった。おそらくそう時間もたたぬうちにより良い味を楽しめるだろう。  
今日のところはさしずめ前菜みたいなものだ。しばらくはその味を楽しむ余裕をゼルは持ちはじめていた。  
 
 
ーーいまや美しい半裸の身体を投げ出した少女は先のゼルの言をもってするとさしずめ前菜の素材といったところであろうか。  
そしてそれはまさに料理人によって調理され始めるところである。  
本来、常人ならあまり興味を持ちたがらないであろうこの黒く無遠慮な6本の手をふるう料理人のことを意外にもゼルはよく知悉していた。  
この料理人ー黒く巨大な蟲ーの名は背中にある2つの突起からデュアルスパイクという。  
 
もっともその突起が辺境などに生息する鬼(オグル)といわれるモンスターの角を連想させるとして  
鬼甲虫などという通称の方が世間では広まっていた。そしてその名は女性、特にゼルの支配による  
現体制に批判的な者にとって多くの恐怖心とごく僅かな好奇心を与えるのだった。  
多くの人がその蟲の名を口にする時必ずといってある言葉を付け足すのだ。『鬼甲虫は女を狂わせる』と。  
そしてこの時、鬼甲虫を『有効活用』していたごく一部の人間のなかでゼルほどその扱いに長けたものはいなかったのである。  
 
鬼甲虫は元々はその巨体にもかかわらずその他の普通の虫と同様滅多に人間には近づくことは無い。  
雑食性ではあるが特に好むのは樹液などであって北の森自体でそれに困ることもないのである。  
はっきりといえばただ単純に無害な虫が大きくなっただけなのだ。ただし、ある時期を除いて。  
 
ある時期、すなわち子孫を残そうという本能が働く繁殖期になると本来おとなしい生物の気性が荒くなったり攻撃的に成るのは鬼甲虫に限ったことでなく別段めずらしいことではない。  
ただ繁殖の仕方が鬼甲虫の場合そのサイズとあいまって問題になった。鬼甲虫はその卵を他の動物に産み付けるのである。  
そしてその生殖本能を満たすため普段とは比べ物にならないほど積極的に苗床を襲うのであった。苗床となる運の無い獲物のほとんどが森の中に生息する動物、特に好奇心旺盛で注意力に欠ける子供であったがごく稀に不注意にも鬼甲虫のテリトリーに侵入した賢明でない旅人たちもそこに含まれていたーーー  
 
2、3年ほど前、まだレダ教が1大宗教としてひろく信奉されていた頃の話である。  
レダの教えが宗教である限りにおいて必ずといってそれに反目する勢力が規模の大小を問わず存在していた。  
それらに対しての処理が当時のゼルの職務のひとつであった。ゼルの反レダ教組織への処置は武断的で容赦がなく抵抗する多くの者が殺されやはり多くの者が「改宗の為」捕らえられた。  
その虜囚のほとんどがうら若き少女や妙齢の美女などであったがそのことが表沙汰になることはけっしてなかったのである・・・  
   
 レダの一神官であった当時のゼルは鬼甲虫の繁殖時の無差別さに目をつけた。そしてそれを異端者への拷問の小道具として活用しようと考えたのである。  
道具としての完成度を高めるために数多くの女がレダ教への改宗の為の『教育』と称して拷問部屋へと連れ込まれていった。  
衣服を剥ぎ取られ冷たい実験台に縛り付けられたほとんどの女は黒々とした凌辱者が腹の上にいるのをみて悲鳴をあげ、気丈にも耐えたわずかな女は膣を卵管に貫かれてあえぎ、それすら耐えた数人の気高き女も肛門を押し広げ流し込まれる卵の感触に悶え許しを請うた。  
 
研究と実験の末に鬼甲虫の優れた能力-−この場合、女を辱める拷問具としての--が判明する。  
産卵の場所は主に膣と肛門であること。行為の際に分泌する体液の全てに催淫効果があること、そして牙から獲物の抵抗力を削ぐ麻酔効果のある毒を注入することなどである。  
これらの能力をいつでも使用可能なようにホルモン調節され常に腹をふくらまし、女をより辱めるため卵管にイボ状の突起を追加され改造された鬼甲虫はその拷問具としての性能をいかんなく発揮しゼルの歪んだ嗜虐心を大いに満足させたのであった。  
 
今やアシャンティの一大支配者となったゼルの目の前でまた再びその光景が再現されようとしていた。  
既に少女のふっくらとした恥丘にまで頭をすすめた鬼甲虫はその丈夫な顎を少女の股間に軽く押し当てていた。 
小さく身体を揺らし伏せたまつげを切なげに震わす少女をよそに虫は何かを探るようにビキニパンツに頭を押し付けて左右にうごかす。  
敏感な部分を広く擦られるような刺激に気を失ったままの少女の身体は徐々に反応を示してきた。  
先の激しい戦闘で流れた汗は今はほとんど乾いていたのだが今また肌は上気し、うっすらとメスの発情臭を含んだ汗を滲ませており、口元は震え、力なく下がる眉根も鬼甲虫の頭の動きにあわせ眉間に悩ましげな皺をよせていた。  
 
次第に熱を帯び上下する腹の上でしばらくその動きを続けていた鬼甲虫は目的の物を探りあてたのであろう。  
股間に押し付けていた頭を上げ少女のパンツの中にある一点をまるで透視でもしているかのように無機質な複眼で凝視していた。  
そこは注意して見ないとわからないほどわずかに盛り上がりパンツの青い光沢に若干の変化を与えてささやかに己の存在を主張しているかのようであった。  
しかし、その控えめな自己主張はそれを喚起させた者にとってははっきりと届いていたのである。  
まるでそれに答えるかの様に鬼甲虫の両顎のあいだからは赤く細い舌が顔をのぞかせる。そしてそれはゆっくりとパンツの膨らみまで進むとその奥ゆかしさを誉めるかの様に自己主張するもの--クリトリス--を優しくなであげたのだ。  
 
「んあっ・・・!」鬼甲虫の舌にパンツの上から敏感な真珠をなぞりあげられた瞬間、今までとはうってかわって電気がかよったかのようにビクン!と反応する少女。  
いまだに気を失ったままの顔の苦しげに沈黙していた桜色の唇からも驚くほど艶っぽい声が流れ出してしまい、徐々に上気していた頬も一気に朱がさしてしまっていた。  
右手が無意識に動き刺激の元を確かめようとするも粘液に自由を奪われているため所在なく拳の開閉を繰り返すのが精一杯であった。  
 
 その反応に気をよくしたのであろうか、鬼甲虫はたっぷりと唾液らしき粘液をまぶしながらその赤い舌を右へ左へ、下から上へと走らす。  
その度に透明な唾液がまるではけで塗りつけられたかの様にパンツの上に淫らな軌跡を描き、ふくらみの上に舌を走らされるたびに少女の口からは甘い吐息がとめどなく流れていた。  
小さな肉筆の動きが水平から垂直へとかわり軽くノックを繰り返すようにふくらみを小突くと「う・・・く・・・」と小さく途切れがちに喘ぐ少女。  
もはや唾液を塗りこめられ水気をたっぷり含んだパンツは少女の甘美な真珠にぴったりと張り付きその存在を示してしまっていた。  
そしてその敏感な突起はパンツごと鬼甲虫の舌にぐりぐり、と執拗に揉み込まれてしまう。  
「ふあぁ・・くっ・・うぅ・・」先ほどまでと違いその声は既に隠しようもないほど潤んでしまっていた。少女が気を失いつつも鬼甲虫の責めに快楽を感じているのはもはやゼルの目にはあきらかであって水晶玉ごしの少女の官能の高ぶりとともに徐々に自らも昂ぶってきていることを彼は自覚していた  
 
「あぁ!い・・・やぁ・・・」不意にさきほど以上にあえぎ身を震わす少女。  
さしものゼルにもその反応の訳はわからなかったのだが少女のクリトリスは何度も上から押し込まれ転がされていくうちに小さな、しかし少女には強烈な凶器によってその身を隠す肉鞘を剥きあげられてしまったのである。  
いまや剥きだしになったクリトリスはパンツとの摩擦にも甘い刺激を受けてしまう。さらに追い討ちとばかりに鬼甲虫の肉舌に揉み込まれるのだからたまらない。  
口からはとめどなく喘ぎ声が漏れ、赤く上気したその身体は既に快楽による汗でぐっしょりと濡れ始めていた。  
レダの戦士である少女に対する淫靡な調理がこうして始まったのである・・・  
 
 
(・・・あ・・れ?わた・・し・・・どう・・・したんだ・・ろ・・・?)  
(・・・何か・・・大切な事・・・あったよ・・ね?)  
 ぺちゃ・・・  
(あ・・・ん・・・そう・・だ。あの曲・・・あれを・・・あの人に・・贈って・・・そして・・)  
ぴちゃ・・・くちゅ・・・  
(ふぁ・・あ・・そして・・・今日・・こそ・・言うの。『あなたが好き・・』)  
 
ぐり・・・ぐにゅ!  
「んあぁ!!」  
股間から伝わる甘美な電流によって遂にレダの戦士である少女の意識は夢想の逃避から悪夢の現実に引戻されてしまう。  
だが、うっすらと瞼を開けるレダの戦士---朝霧 陽子は意識を取り戻したとはいえ現状をまったく把握できないでいた。  
まだ焦点のあわぬ瞳に映る地面、植物。木々の合間から差し込む日差しのせいだろうか、体が火照って熱っぽい。  
(・・・なんだか・・・体がだるい・・・。それに・・ここは・・・)  
何とか困惑から立ち直ろうと陽子は気だるげに頭を横たえたまま今までのことを思い出しはじめる。  
体の火照りのせいかなかなか秩序だった思考ができずにいたが徐々に記憶の断片が頭の中に浮かんできた。  
譜面・・・ピアノ・・・テープレコーダー。鏡に映った自分に決意の言葉をかけて家を出る。明るい日差しがこぼれる並木道。  
向こうから近づいてくる見間違えようもないシルエット。自分でもはっきりわかる胸の動悸・・・  
(ああ、そうだ・・・やっと、やっとあの曲ができたから・・・今日こそ言うつもりだったんだ・・・)  
(あの、いつもの並木道で・・・はっきりと・・・)  
(あなたが好きです、って。でも・・・)  
「・・・言えなかった・・・」  
陽子は力無くつぶやく。告白どころかまともに顔も見れずいつものようにすれ違う。  
背中ごしに遠ざかる微かな足音を聞きながら一途で初心な少女は激しい後悔と自己嫌悪にかられてしまっていた。  
なにが『今日こそ』よ、いつもといっしょじゃない・・・  
ある種の悲壮なまでの決意を込めて告白にのぞんでいた自分が馬鹿みたいであった。  
そして今の自分がどうしようもなく情けなく、陽子は心の中で強く思ったのだ。  
どこかに消えてしまいたい、と。  
 
(そうしたら・・・光に包まれて・・・見たことの無い森にいて・・・)  
(しゃべる犬がテープを拾ってくれて・・・そうだ。リンガムっていってた・・・)  
くち・・・  
(う・・ん、それから・・・変な人達にあの曲をとられちゃって・・・夢中で逃げて・・・)  
「!!」  
おぼつかなかった視野が急激に収斂する。霞がかかっていたかのような頭も急速に覚醒し始めていた。  
(そうだ・・・逃げてるうちに大きな花に取り込まれて、暖かい光に包まれて・・・私は変わったんだ!!)  
まるでストロボを焚くかのように次々に脳裏にフラッシュバックする記憶。  
 
 
陽子が花から生まれ出たとき、それまで着ていたミニスカートの私服は消え青い光沢を放つビキニ状の鎧を身にまとっていた。  
大きくはないが形の良い乳房と早熟気味の質感を漂わす臀部を覆い隠すだけの肌も露な格好であったが、自分でも信じられないのだがなぜか恥ずかしくはなかった。そしてこれも信じられないことであるが陽子は襲い掛かる男たちや怪しげなロボットたちを鎧とともに手にした剣で次々と切り倒していったのだった。しかし・・・  
(リンガムは・・・無事なのかしら・・・それにあのテープも・・・)  
陽子は不安げに眉をしかめる。  
 
レダの戦士として覚醒した陽子の戦いぶりに危機感を感じた襲撃者たちはその矛先を陽子の味方であろう学者、犬のリンガムに向けたのである。  
そうして襲撃者達の実に8割を打ち倒した陽子が気づいた時にはリンガムは敵のカエルのようなロボットに尻尾を掴まれ首に鎌状の刃物を突きつけられ申し訳なさそうにうなだれていたのだった。  
そうして陽子は剣を地面に投げ捨てざるを得なくなったのである。  
 
「リンガム・・・」  
記憶を辿りながら陽子は悔しそうに唇を噛む。別にリンガムを恨んでいる訳では無い。  
戦いに夢中になって彼に気を配らなかった自分にも非があるのだ。  
むしろこの世界---リンガムはアシャンティといった---に飛ばされ不安だった陽子に対し親身になってくれたことに感謝していた。  
だから陽子はリンガムを人質にとられた際、素直に剣を捨てたのである。  
もっともその時の陽子は自分の今の力を信じていたし、隙をみつけたら反撃するつもりであった。  
端的に言うと怖いもの知らずの状態だったといえる。  
 
しかし、襲撃者に両手を後ろで縛られ、陽子は当面の反撃の機会を失ってしまう。  
そして襲撃者の一人がどこかと連絡をとっている間に陽子は予期せぬ出来事に襲われていた。  
いや、陽子が以前の陽子ならば真っ先に予期していたかもしれない。  
襲撃者の残党の内二人の男が顔をにやつかせながら近づくといやらしい目つきで陽子の体を舐めるように見始める。  
レダの戦士として覚醒した陽子はさして気にもとめていなかったのだが戦いの後の上気した彼女の下着姿同然の格好は男たちの欲望を喚起するに充分すぎた。  
一人が陽子の後ろにまわるとようやく陽子も男たちの意図を悟ったのだが陽子が抵抗するより前に4本の手が陽子に襲い掛かったのである。  
 
時間にしてはおそらく2分もあるかどうかだっただろう。  
連絡を入れていた男が陽子の前までくると責めを嫌がっている顔に無力化するガスを吹き付けるまでのその短い間に陽子は4本の腕により胸を揉まれ、白いお腹や太ももを擦られ、股間をまさぐられ、尻の谷間を  
撫で上げられていた。  
 たった2分とはいえ初めて異性に、しかも2人がかりでむりやりに体を愛撫された陽子のショックは大きかった。  
あらん限り身をよじり攻め手から逃れようとしても前後からはさまれているためたいした効果をあげることができず、やがて顔にガスのような物を吹きかけられ、体をまさぐる6本の攻め手を感じ  
ながら陽子の視界は暗転したのであった。  
陽子の記憶はここでとだえていた。  
 
戦士としての自分を取り戻し、それまでの記憶を整理していた際、一時的に陽子の集中力は高まり体の芯からくる火照りを忘れさせていた。  
しかし思考の回復は思い出したくも無い男たちの猥雑な手の感触まで陽子に思い出させたのである。  
それは荒々しく嫌悪すべき感触だったのだがそれと同時に僅かではあるが陽子の女芯に快楽の火をつけたのも確かであった。  
思わずそのことに対し恥ずかしさと罪悪感が沸きあがり陽子の張り詰めた緊張と集中力が緩む。  
まさにその時であった。  
 
ぐりり!  
「きゃうっ!!」  
陽子を襲う突然の衝撃。それは股間から湧き上がる強烈に甘美な刺激であった。  
「あっ・・ああっ・・!な、何!?」  
陽子はあえぎ反射的に腕を異常の元へと向かわせるが、その腕はなにかに捕らわれたかのように僅かに動くのが関の山であった。  
そして陽子は初めて自分が怪しげな液体によって動きを封じられていることに気づく。  
それは汚らしい、そう風邪をひどくした時の鼻水のような黄緑色をしたゲル状の粘液で痰のような強い粘り気と形容しがたい臭いを放っていた。  
 
「ち、ちょっと・・なによこれ・・・はうっ!」  
再び強い快楽の波動が陽子の顎をのけぞらせる。  
その力に圧倒されながら困惑する陽子の脳裏に先に男たちに悪戯されたときの記憶がふたたびよぎった。  
戦慄とともに恐ろしい予感が陽子の顔からさぁっと血の気を引かせる。  
(・・!やだ、私・・・犯されてるの!!)  
陽子は焦り必死に起き上がろうともがく。  
しかし陽子を捕らえた粘液はある程度までは伸びるのだがそこから先を許さず少女を消耗させる。  
動かしていた足の太ももになにか硬いものがあたる。さらにさっきから腹に圧迫感を感じていた。  
 
(お腹の上に誰か乗ってる!!)  
おそらくその不埒な何者かが恥ずかしいことをしているに違いない。  
陽子は少なからず苦労して顔をあげ自分に不当な快感を与えている者に抵抗と非難の言葉を浴びせようとし・・・我が目を疑った。  
大きく見開かれた陽子の瞳に映る陵辱者は不気味に黒い光沢を放つ胴体に節くれだった6本の足を持つ驚くほど大きな昆虫だったのである。  
陽子の反抗の意志があっけなく飛散する。そして・・・  
「きゃああああぁぁ!!」  
かつての哀れな女達と同様、陽子は大きな悲鳴をあげた。  
いくらレダの戦士として目覚めたとはいえ決して以前の繊細な陽子で無くなったわけではない。  
ただでさえ女性はあまり虫に好感をいだかないのが陽子のいた世界では一般的であった。  
まして巨大でグロテスクな虫がこともあろうに腹の上にいるのだ。  
悲鳴をあげるな、という方が酷であろう。  
 
「いやっ!いやあぁ!!やめて、やめてぇ・・・あぅ!」  
粘液に束縛されているのも構わず半狂乱になり必死に虫を追い払おうとする陽子に三度強烈な快感が襲い陽子の体をのけぞらせる。  
(あぁ、こんな・・・こんなのって・・・あ・・ん!・・いやぁ・・)  
自分が何をされているのかをはっきり認識した今、陽子の体は今までが嘘のように快感を享受しはじめる。  
そしてしばし身を潜めていた女悦が解き放たれたように陽子の全身を駆け巡った。  
頭の中に急激にピンク色の霧がかかり、陽子は一瞬恍惚とした顔をしかける。  
 
「は・・ぁ・・駄目、駄目・・よ。こん・・な・・こと。」  
途切れがちになりながら、声にして自分を叱責する陽子。何とかしてこの虫を追い払わなければ。  
そして早くリンガムと・・・あの曲を取り返さなければ。  
陽子は気力を振り絞り再び頭をあげ恐怖を押さえ込みながら腹の上の虫を見やった。  
その虫---鬼甲虫は陽子が意識を取り戻し、ささやかな抵抗を試みたにも関わらずまったく逃げ出す気配は無かった。  
そして悠然と腹に鎮座しながら陽子のパンツの上に頭をかぶせ赤い舌のような物をパンツの表面にこすりつけていた。  
 
「あ・・ふあぁ・・・くぅ・・・」  
陽子はたまらず色っぽい吐息を上げてしまう。先ほどから陽子を悩ます快感の源がついに判明したのだ。  
しかしそれが判ったところで鬼甲虫が舌の動きを止める訳ではない。  
細い肉の鞭によりクリトリスをぴたぴたとたたかれるたびに陽子は身を震わせ喘いでしまう。  
「そ・・そこ、そんなに・・・しないで・・・。あふっ・・や、なめちゃ・・だめぇ。」  
陽子は初心な娘ではあったがまったく性に関して知識が無いわけではない。  
異性とのセックス自体の経験はないが友人やら雑誌やらでそれなりには情報を得ていたしオナニーの経験だってある。  
そして彼に出会い恋心を抱いてからは頻繁に彼に抱かれる事を夢想しながら行為に浸るのだった。  
その際に何度も彼の指使いを思いながらクリトリスを刺激していたりもした。  
 だが、実際に他者から与えられた刺激は陽子の想像をはるかに凌ぐものであった。  
これには鬼甲虫の唾液の催淫作用の影響も多分にふくまれてはいるのだがその快感は陽子を翻弄した。  
 
「はぁ、はぁ・・ぁ、いやぁ・・・うっ、ん・・やめて・・・あはぁ」  
必死に快感に抗おうと声をあげるももはやその声はほとんど喘ぎ声と区別が無かった。  
そして陽子は容赦なく官能の限界までおしあげられつつあった。  
(あぁ・・・だめ・・・このままじゃ・・・このままじゃわたし・・・くぅぅ・・・い、いっちゃう・・よぉ・・・)  
執拗に敏感な真珠をこねまわされ陽子は息も絶え絶えになりながら何とかその瞬間だけは避けようと必死に耐えていた。  
鬼甲虫の舌の動きは今はまた上からクリトリスを押し込む責めになっていたがしばらくそれを続けるうちに今までと違う動きをはじめる。  
舌をクリトリスの根元までいっぱいにのばし舌を丸めその赤くふくらんだ肉珠にまきつけるときゅっきゅっと軽く締め上げる。  
陽子の目の中でぱしっと何かが小さくはじけ始めた。股間がじゅん、と湿るのがわかった。  
ついに陽子は絶頂への断崖においつめられてしまう。  
 
(くうぅぅ・・!!だ、だめ、陽子、いっちゃ・・・だめ!)  
歯をくいしばり目と手のひらをぎゅうっと閉じあらんかぎりの精神力で陽子は甘美な絶頂への誘いに耐えていた。  
しばらく息を止め食いしばっていた歯のあいだからはぁ・・というため息が漏れる。  
(・・・はぁ、はぁ・・・な、なんとか耐えれた・・・けど・・・)  
奇跡的に断崖のふちで踏みとどまった陽子。  
しかし、あいかわらずクリトリスは舌にしごかれていたし、早くも次の官能の波が陽子の中でたち始めていた。  
(も、もう・・・だめかも・・・。)  
絶望的な状況になりながらもなんとか次も耐え切ろうと悲壮な決意を固める少女に鬼甲虫は無慈悲にも新たな責めをくわえる。  
節くれだった足の1本で陽子の左の太ももを抱え込むと持ち上げ横へと押し開げたのだ。  
 
(え?あ・・な、なにを・・・)  
今まで違うその行動にとまどう陽子。  
その股間、濃厚な女の蜜をたたえた泉に虫の前足がつぅ・・と向かうとその爪先で泉を覆う布地をつんっと突付いたのである。  
「ひあぁ!そ、そんな・・・やめてぇ!!」  
くちっくちっ、と爪が軽くパンツにめり込むたびに微かな水音がひびく。  
この虫がクリトリスだけではなく女の大切なところも責めようとしていることを感じ取り陽子は恐怖におののいた。  
そして・・・  
 
じゅぷっ!!  
「い、いやああぁ!」  
驚くほど卑猥な水音をたて鬼甲虫の爪がパンツ越しに陽子の膣口に潜り込む。  
生まれて初めて他の者、いや人ですらないものに秘部へ侵入された衝撃に陽子の意識がとぎれかける。  
しかし鬼甲虫はそれを許さないとばかりに爪を動かし陽子の浅い部分をかき回しクリトリスを締め上げる。  
陽子は気を失うこともできずふたたび絶頂へと追い詰められていた。  
 
「あ、はああ!やぁ・・やだ・・ぁ。おねが・・い・・・あん!も、もう・・・くぅ・・・ゆる・・して・・」  
もはや恍惚とした顔に涙をうかべながら陽子は力無く懇願する。  
目の前で弾ける物の間隔がどんどん短くなってくる。抱え込まれた太ももが小刻みに震え始める。  
真っ白になってる頭の中で陽子は無意識に愛しい彼の面影を思い出していた。  
鬼甲虫の舌がより一層強く陽子のクリトリスを締め上げひっぱる。  
僅かに持ち上げられた後ちゅるっと抜け落ち、その刺激が陽子の頭から彼を霧散させる。  
ぐりゅ!  
一瞬おくれて膣口をかき回す爪が尿道の裏の敏感な部分をひっかく。  
致命的であった。  
 
 
「はぅ!やっ、いや、いやああああああああぁぁ!!!。」  
顔をのけぞらせ固くとじた目のふちから涙をこぼし陽子は激しく痙攣しながら絶頂を迎えていた。  
こうして陽子の愛する彼にささげるべき大事な物がまた一つ、失われたのである。  
 

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