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「・・・・ラダの小娘か・・・・」  
 
人間界。東京。「グラメスの塔」最上階。  
両脇を屈強な魔族の近衛兵に固められ、広間の中央に引き据えられたチャム。  
正面の玉座には、物憂げな表情を浮かべつつ、縄打たれた虜囚を眺める魔王グラメスの姿。  
父親の仇を目の前にしながら身動き一つ出来ない悔しさに、鬼族の少女は、ぎりっ、と奥歯を噛みしめた。  
 
人間の年齢に換算すれば、一四、五才といったところだろうか、  
その身体は未だ発育の途上で、少女というよりも少年のそれに近い。  
肩口までで切り揃えた、クセの無い赤茶色の毛髪に、  
よく日に焼けて健康的な焦茶色に染まっている褐色の肌。  
額の真ん中からは、鬼族の特徴である節くれだったツノが湾曲しつつ伸びている。  
 
華奢と言って良いだろう、その身体に纏う衣服は、所々擦り切れた赤い袖無しシャツと半ズボン。  
その上から軽い皮製の鎧を着け、手足には薄い皮帯を巻き付けて防具代わりにしている。  
戦闘時以外は丸い輪にして腰に下げている自慢の鞭と太腿に帯びた非常用の短剣は、  
今は奪い取られて、傍らに立つ近衛兵の手の中にあり、  
その代わりに、麻に似た材質の繊維で出来た細縄が小麦色の肌にきつく食い込んでいた。  
 
(・・・・フン、父親に似て、肝の据わった目だ)  
 
恐怖ではなく、屈辱と怒りによって小刻みに震えている小柄な身体を眺め、ニヤリとしたグラメスの許には、この時既に、地上のレイから「ヴァリスの剣」奪取の報告が入っていた。  
 
(・・・・そいつを教えてやったら、一体、どんな顔をするか・・・・?)  
 
絶望に打ちひしがれるか、それとも自棄に陥るか・・・・物憂げな視線を向けたまま、静かに思考を巡らせる。  
 
・・・・いずれにせよ、魔界を裏切って夢幻界の女王と手を結び、  
「ヴァリスの戦士」の片腕となって数多の魔族の生命を奪った大罪人には、  
その両人と共に然るべき報いを受けさせねばならない。  
否、優子もヴァルナも、魔族にとっての憎むべき敵には違いないが、  
彼女達は魔界の住人ではなく、自らの世界を守るために戦ったという正当な理由が存在する。  
だが、チャムの場合は、単に父親がグラメスに殺されたという私怨だけで、  
全魔族を敵とみなして戦ったのだから、魔族達の間での評価は最悪で同情を示す者など皆無に等しかった。  
 
・・・・彼らの感情を考えれば、ただ首を刎ねて終わり、という訳には到底いかないだろう。  
内心、既に魔族の王である事にさしたる意義を感じなくなりつつあるグラメスではあったが、  
そこはやはり思案のしどころというものだった。  
 
(・・・・ちくしょう。親父の仇が目の前にいるってのに・・・・)  
 
口元に嵌められた猿轡のせいで面罵する事も叶わず、  
碧色の瞳を血走らせながら目の前のグラメスを睨み付けるチャム。  
罪人の身にあるまじき不遜な態度に憤った近衛兵たちが、  
槍の柄で背中を押さえつけ、無理やり平伏させようとすると、  
低く呻きながら、後ろ手に拘束された体を激しく揺らして抵抗を試みた。  
 
「威勢が良いな・・・・死ぬのは怖くないか、小娘?」  
 
多勢に無勢、しかも捕縛された身体では如何ともしがたく、怪力の近衛兵たちによって押さえ付けられ、  
額のツノを石床にこすりつけながら悔し涙を滲ませるチャムの頭上に、グラメスの言葉が降りかかる。  
カッと頭に血が上って顔を上げようとした途端、激怒した近衛兵の一人が槍の石突で背中を殴りつけた。  
背骨が折れたかのような激痛に呼吸を詰まらせた少女に、感情に乏しい魔王の声が追いうちをかける。 
 
「分かってはいるだろうがな、そう簡単に死なせてはやらん。  
小娘。お前は、ただの反逆者じゃあねぇからな・・・・もう良い、放してやれ」  
 
なおも殴打を続けようとした部下たちを制止すると、  
グラメスは側仕えの魔族を呼び寄せ、何事かを耳打ちする。  
指示を受けた魔族は、苦痛に呻きながらも必死に体を起こそうとするチャムに向かって、  
侮蔑に満ちた視線を投げかけた後、玉座の前から退出した。  
 
(・・・・く、くそっ・・・・何を考えてやがる、グラメスの奴!  
ちくしょう・・・・どんな事をされたって・・・・あたいは絶対に諦めないからなっ・・・・!!  
絶対にお前を倒して・・・・親父の仇を討つ!!)  
 
背中に走る痛みに表情を歪めつつも、必死に顔を上げ、真っ直ぐな目で自分を睨む鬼族の娘を、  
魔王は玉座の上から傲然と見下ろし、くつくつと笑いを漏らす。  
 
(・・・・さぁて・・・・その威勢の良さが何処まで保つことやら・・・・フフフ・・・・)  
 
「準備万端、整いましてございます。どうかご下知を」  
 
しばらくして玉座の間に戻ってきた先程の魔族の後ろには、兵卒らしき4人の魔族と、  
これから始まる処刑劇を見物に来たのであろう、百人は下らぬ数の野次馬達がひしめき合っていた。  
思わず失笑したグラメスは、しかし、特に咎め立てる風も無く、観客たちにも入場を許す。  
騒々しいざわめきと共に自分の周りを取り囲んだ群衆の目が、  
一様に下卑た輝きを帯びているのを目の当たりにして、  
チャムは、初めてこれから自分がどんな目に遭わされるのかを悟った。  
 
(・・・・き、汚いぞ、グラメス!!殺すなら、さっさと殺せ!!)  
 
怒りに青ざめながら、玉座の主を見上げるチャム。  
だが、その瞳には、先程までは微塵も感じられなかった焦燥感と怯えとが確実に混じっている。  
フン、と興醒めした様に鼻を鳴らすと、短く、「始めろ」と命じる魔王。  
側仕えの魔族が、連れてきた4人の兵士たちに向かって顎をしゃくると、  
彼らはチャムの傍らに近付いて、身に着けていた鎧と衣服を脱ぎ始めた。  
 
(・・・・くっ・・・・くそうっ・・・・!・・・・こんな・・・・こんな事で・・・・あたいは・・・・くううっ!!)  
 
思わず顔を背けるチャムの仕草に、周囲の人垣から、どっ、と嘲笑のどよめきが上がり、  
大儀そうに玉座の肘掛にもたれかかったグラメスも、くくっ、と低く喉を鳴らした。  
クソッ、と毒づき、正面に向き直ったチャムだったが、下帯一本になった4人の姿が目に入ると、  
ほとんど反射的に、幼児じみた動作で瞼を固く瞑ってしまった。  
まだ裸の男を見ただけだというのに、顔面がカァァッと熱くなり、心臓がバクバクと慌てふためく。  
再び観衆の間から嘲りの声が湧き上がる中、グラメスの指示で猿轡が取り去られ、  
続いて、ずっと縛り付けられていたせいで感覚が麻痺しかかっていた両腕も解き放たれる。  
 
「く、くそったれ!!放せっ・・・・放せったら!!」  
 
玉座の間の高い天井に鬼族の少女の甲高い怒声が木霊する。  
気迫のこもった視線に睨み付けられ、4人の中の一人が思わずギクリと首を縮めて後ずさりした。  
 
「ガタガタ抜かすんじゃねぇ!この裏切り者がっ!!」  
 
毛むくじゃらな分厚い胸板に丸太のような手足の獣人族の古参兵が、濁声を発して少女を罵倒し、  
同時に、青白い肌の下級兵士――――妖魔族の若者に、じろり、と恫喝的な視線を投げつける。  
慌てて輪の中に戻ったその兵士たちの口からも、おっとり刀で少女を罵る言葉が発せられたものの、  
獣人族の罵声とは異なり、それには明らかに気迫が不足していた。  
 
「・・・・お前、妖魔族だろ!何だって、こいつらの命令に従うんだ!?  
お前らの長はグラメスに殺されたんだぞ!!・・・・あたいの親父と一緒に・・・・!!」  
 
目の前の少女――――今は亡き鬼族の長・司祭長ラダの娘、チャムの叫びに再び押し黙る若い兵士。  
獣人族は激怒し、妖魔族の肩口を掴むと濁声を張り上げた。  
 
「おい、貴様っ!!グラメス様のお言葉を忘れたのか!!  
貴様ら妖魔族は、乱を企てたルシアに加担した罪で、男は皆殺し、女子供は奴隷に売り払われるって所を、  
グラメス様のお慈悲で、特別にお咎めなし、って事になったんだぞ!!  
・・・・よもや、そのご恩を仇で返そうってんじゃねぇだろうなぁ・・・・!?」  
 
怒鳴り付けられた若者は、恐怖のあまり口も利けなかった。  
元々彼ら妖魔族は魔族の中では例外的に争い事が苦手で、兵士などには向いていない者が多い。  
指導者であったルシアも、グラメスの唱えた夢幻界と人間界への侵攻案に対して、  
鬼族の長であったチャムの父親と共に反対票を投じ、挙句、粛清されてしまっている。  
ルシアを失って恐慌状態に陥った妖魔族は、  
獣人族、幽鬼族を主力とするグラメスの大軍の前にさしたる抵抗も出来ず降伏し、  
助命と引き換えに、グラメスを王と仰ぎ軍務に服する事を誓約させられたのだった。  
 
「・・・・大体ねぇ、この小娘の父親が死んだのも、どうしようもない腑抜けだったからだよぅ!?  
"神"とやらいう益体もない奴を拝んでばかりで、  
亜空間の接近から魔界を守るための策を何も講じようとしなかった  
・・・・そりゃあ、グラメス様のお怒りはごもっともさ。そう思うだろう?」  
 
近衛の一員らしい幽鬼族の青年が、六本ある腕を芝居がかった動作で動かしながら口添えをする。  
獣人族と違って、発音は明瞭で語彙も豊富だったが、  
その話し振りは中途半端に中性的で、魔族の感覚から見てすら非常に悪趣味なものだった。  
・・・・もっとも、彼ら幽鬼族の間ではこれが普通の喋り方なのであるが。  
 
「・・・・親父を・・・・親父を馬鹿にするなっ!!このオカマ野郎っ!!」  
 
猫科の動物を思わせるような逆三角形の小さな目に悔し涙を光らせながら、  
精一杯の気迫を込めて幽鬼族の顔を見上げるチャム。  
去勢者のような生白い顔が、ピクリ、と引き攣った次の瞬間、強烈な蹴りがその脇腹に炸裂する。  
あぐぅっ、と呻いて、横薙ぎに吹き飛ばされる鬼族の娘。  
無防備な身体が床に激突する寸前に、横合いから伸びた今一人の魔族の腕がこれを受け止めた。  
 
「・・・・なっ・・・・お、お前・・・・なんで・・・・こんな所に・・・・!!」  
 
危うく難を逃れた少女は、しかし、相手の顔を見るなり絶句して、次の瞬間、怒りに声を震わせた。  
4人目の魔族は、チャムと同じく額から湾曲した角を生やした紛れも無い鬼族の男、  
それも、司祭長ラダのもっとも気心の知れた友として鬼族の尊敬を集め、  
チャム自身、幾度と無く親しく言葉を交わした事のある人物だった。  
ラダが不帰の客となったあの日、共に魔王の城に赴き命を落としたものとばかり思っていたのだが・・・・。  
「・・・・すまん。ラダには・・・・悪い事をしたと思っている。  
・・・・だが・・・・分かってくれ。我ら鬼族もまた、魔族なのだという事を・・・・」  
 
チャムの身体から手を離すと、亡父の親友だった男は、  
やや俯きがちに目線を沈めながらも淡々とした口調で言葉を紡いだ。  
魔界の滅亡が神の意志なら、魔族もまた、世界と共に死を受け容れるべきなのだ、と説いたラダの言葉に、  
心の底から賛同していた者は鬼族の中ですら少数派に過ぎなかったのだ、と。  
ラダと彼の指導下にあった神官たちの権威の前に、あえて口には出そうとする者はいなかったものの、  
その多くは、崩壊する魔界を捨て別世界への侵攻に活路を見出すというグラメスの構想に賛同しており、  
ラダの死後、多くの鬼族がグラメスに従い、むしろ、率先して夢幻界侵略に協力したのだ、とも。  
 
「・・・・ば、馬鹿な・・・・そんな・・・・それじゃあ・・・・親父の・・・・あたいの・・・・してきた事って・・・・!?」  
 
衝撃的な言葉に愕然と目を瞠り、次いで、躍起になってかぶりを振るチャム。  
――――だが、その時既に、その碧色の瞳は捉えてしまっていた。  
周囲を取り囲んだ魔族達の間・・・・さすがに最前列には出て来ようとはしないものの、  
獣人族や幽鬼族の背中に隠れるようにしながら、そっと自分の姿を覗き見ている何人もの鬼族の姿を。  
「・・・・う、うそだ・・・・そんなデタラメ・・・・あたいは信じない・・・・信じるもんかっ!!」  
 
強い口調で否定の言葉を並べはするものの、細いその身体はガタガタと震え、  
打ちのめされて青ざめた表情は、今にも泣き出しそうなくらいに凍えきり歪みきっていた。  
冷酷な現実に打ち負かされまいと、鬼族の少女は心の中に最も敬愛し信頼する友の勇姿を思い描くと、  
ほとんど祈るような気持ちで、助けを求め、その名を口にする。  
 
(・・・・優子・・・・たすけて・・・・お願い・・・・早く来て・・・・優子ォ・・・・!!)  
 
――――無論、その優子とは、この直後、考え得る中で最悪の形で再会する事になろうとは、  
この時のチャムには知る由もない事だった・・・・。  
 
「・・・・ああっ!!・・・・や、やめろっ・・・・あたいに触るなっ!!」  
 
必死の抵抗も空しく、皮製の鎧を切り剥がされ、赤い胴衣を引き裂かれた惨めな姿を晒したチャム。  
両手首と胴に絡み付いた幽鬼族の六本の腕が、  
周囲を取り囲んだ観客たちによく見えるよう、少女の華奢な体を吊り上げる。  
金切り声を上げながら精一杯凄んでみせるものの、  
もはや魔族たちの間から聞こえて来るのは嘲笑まじりの下卑た笑い声だけだった。  
羞恥心に顔を赤らめつつ、網に掛かった魚のように褐色の肌を跳ね回らせる鬼族の少女の腰の後ろから、  
幽鬼族の手指が、わざとらしく勿体をつけるような動きで最後に残った半ズボンの上に伸びると、  
観客の息遣いと眼差しが、更に熱を帯び昂ってゆく。  
 
「・・・・あああ・・・・ち、ちくしょう・・・・やめろ・・・・やめろよぉ・・・・んんっ・・・・その手を・・・・どけろぉ・・・・」  
簡素な半ズボンの布地越しに、幽鬼族のヒルのような指先に敏感な場所をまさぐられて、  
知らず知らず弱々しい口調になってしまう鬼族の少女。  
半ば本能的に、しなやかな太腿をよじり合わせ、執拗な指先から逃れようと左右に腰を振り動かす。  
周囲で見守る何百もの魔族の目に、その身体の動きがどのように映っているのかは明らかだったものの、  
戦士としてはともかく、一人の女性としては、心身ともに成熟には程遠いチャムにとって、  
心を落ち着かせて幽鬼族の愛撫を無視し続ける事など到底不可能な芸当だった。  
 
「・・・・げへっ、へへっ、へへへっ、どうしたんだ、チャム?  
その指が随分とお気に召した様子だが、俺様のコイツを味わってみる気はあるか?」  
 
粗末な腰布の下から勃起した自慢の一物をそそり立たせた獣人族が、下品な笑い声を響き渡らせる。  
周囲の魔族たちの間からも、獣人族特有の唸る様ながらがら声で、  
「やっちまえ」「突き立てろ」「ぶっ壊しちまえ」と発情した叫びが湧き上がった。  
気を良くした獣人族は、荒々しい仕草で腰布を取り去ると、  
紫色の血管が浮き上がる特大の性器を振り立て観客の前でアピールして見せる。  
 
(・・・・ひっ・・・・いっ・・・・!!・・・・いや・・・・いやぁ・・・・いやだぁ・・・・!!)  
 
早くも先走りの体液に濡れて、ビュクンビュクンと脈打っている極太の凶器が視界に入った途端、  
恐怖のあまり表情を凍りつかせる鬼族の娘。  
一般に、魔界の住人は人間界や夢幻界の住人と比べ、性については大らかな考え方をする傾向にあり、  
それは鬼族とて例外ではなかったため、この時既にチャムも初体験は済ませていたのだが、  
だからと言って、性行為に対する免疫が出来上がるにはまだまだ未熟に過ぎる段階である。  
初体験の相手――――幼馴染の鬼族の少年だった――――とは比べ物にならない大きさの、  
いきり立つ男根を正視できず、視線を背けたチャムだったが、  
嗜虐心を燃え立たせた魔族達から発散される粘ついた体臭には、息を詰まらせ盛大に咽せ返るしかない。  
 
「へっへっへっ、それじゃあ、あんまり皆の衆を待たせるのも悪いんで、そろそろ・・・・おわわっ!!」  
 
両目をぎらつかせながら、怯えるチャムににじり寄ってきた獣人族が、  
唐突に、素っ頓狂な声を上げて、飛び跳ねながら、二、三歩、大きく後ずさった。  
何事か、と注目した観衆の視線の先で、赤い半ズボンがより濃い色へと変じていき、  
やがて、布地の端からわずかに黄金色の輝きを帯びた水滴が滴り落ちる。  
幽鬼族が、ぎゃああっ、と気色の悪い悲鳴を上げながら手を放すと、  
チャムの身体は前のめりに倒れ、石床の上に広がった自らの屎尿の上へと崩れ落ちた。  
 
「・・・・キィィィッ!!こ・・・・この、餓鬼・・・・よくも、あたしの・・・・あたしの美しい身体にィ・・・・!!」 
 
白粉を塗りたくり口紅まで差した顔を怒りに歪め、幽鬼族がチャムの背中に掴みかかる。  
・・・・もっとも、周囲の魔族たちのうち、その激昂に同調したのは同じ幽鬼族の者だけで、  
やたらと飾り立てた衣装の中から六本の腕を振りかざし、足を踏み鳴らして怒りを露わにする彼らの様子に、  
それ以外の種族の者は皆、失笑を浮かべるか露骨に嫌そうな顔をするかのどちらかだったのだが・・・・。  
 
「・・・・ああっ・・・・や、やめて・・・・!!・・・・ひぃっ・・・・いやぁっ・・・・んんっ・・・・ぐうぅぅっ・・・・!!」  
 
大部分の観客たちの冷やかな反応にはお構いなく、怒りに我を忘れた幽鬼族は、  
起き上がろうとしてもがくチャムの背中の上に馬乗りになると、  
赤茶色の髪の毛を掴んで、少女の顔面を小便溜まりの中に何度も何度も押し付けた。  
弱々しい悲鳴と共に、アンモニア臭を漂わせる飛沫がピチャピチャと水音を立てて跳ね上がり、  
額のツノが床石と擦れ合う、ギシギシという不快な音が鈍く響き渡る。  
 
「こりゃまた、ひでぇ事になっちまったな。・・・・どうする気だ、おめえ?」  
 
ようやく幽鬼族の怒りの発作が一段落した頃には、  
鬼族の少女の顔は、涙と小便と床の埃とが交じり合った得体の知れない粘液で無残に汚れ果て、  
無数の擦り傷によってボロ雑巾のような有様になっていた。  
さすがに鼻白んだ様子で、汚物にまみれたチャムの体を爪先でつつく獣人族に向かって、  
内心ではまだ不足と思っているのか、面白く無さそうに鼻を鳴らした幽鬼族は、  
凄惨な情景に必死で吐き気をこらえていた妖魔族の若者を振り返る。  
 
「ほらっ、お前の出番だよ!ぼさっと突っ立ってないで、こっちに来てこいつを綺麗にしておやり!」  
 
「・・・・えっ・・・・あっ・・・・は、はい・・・・かしこまりました。・・・・で、でも・・・・一体、どうやって・・・・!?」  
 
突然の指示にしどろもどろになる妖魔族を、苛立たしげに睨みつける幽鬼族。  
オドオドと首をすくめた若者に下した命令は簡潔で、そして、容赦が無かった。  
 
「そんなの決まってるじゃないか!舐め取るんだよ、お前の舌で!ホラ、さっさとおしっ!!」  
 
「・・・・ひっ・・・・そ・・・・そんな・・・・ああ・・・・い、いえ・・・・何でも・・・・何でもありません・・・・」  
 
泣き出しそうな表情になりながら、妖魔族の若者はチャムの側に近付くと、  
目線を合わせないよう、異臭をまとわりつかせた少女の身体を小便溜まりから引っ張り出そうとする。  
憐れみを催した鬼族の男が歩み寄り、脱ぎ捨てた短衣を使って体の表面の目立つ汚れを拭き取ってやり、  
・・・・そして、妖魔族とチャムにだけ聞こえる小さな声で、呟きを漏らした。  
 
「・・・・これがな、我々、魔族の・・・・生き方というものだ・・・・」  
 
――――――――ぴちゃッ、ぴちゃぴちゃッ。  
 
妖魔族の若者の尖った舌先が、微かにひくつく褐色の肌の上を丹念にしゃぶり立てていく。  
少しでも手を抜こうものなら、鋭い叱責の声と共に六本の腕が容赦なく振り下ろされるため、  
鼻腔に突き刺さるアンモニア臭も口の中に広がる不快な感触も、  
妖魔族の表情を苦痛と嫌悪の形に歪めこそしたものの、その舌の動きを鈍らせる事はありえなかった。  
 
「・・・・ひいっ・・・・ぐっ・・・・は、放せっ・・・・放しやがれぇっ・・・・!!  
・・・・んんっ・・・・くぅっ・・・・くそ・・・・や、やめろ・・・・ひっ・・・・き・・・・気持ち・・・・悪い・・・・あううっ・・・・!!」  
 
水音と共にグネグネとうねる蒼紫色の舌先が、日に焼けた浅黒い肌を舐め回すたび、  
少女の柔肌から汗と小水と床の塵芥が混じりあって出来た汚泥がこそぎ取られ、  
代わりに、全身を夥しい数のナメクジが群れ這いずるかのようなおぞましい感覚を植え付けていく。  
必死に手足をばたつかせて抵抗を試みるチャムだったが、  
両手首を鬼族に、両足首を獣人族に、それぞれしっかりと押さえ付けられてはそれも叶わず、  
生理的な嫌悪感に全身の毛穴を粟立たせながら、執拗な舌先に喘ぎ続けるしかない。  
 
「・・・・はひっ・・・・んんっ・・・・あっ・・・・や・・・・やめて・・・・ううっ・・・・そこ・・・・しゃぶらないで・・・・!!  
・・・・はわわ・・・・だ・・・・だめっ・・・・んくぅっ・・・・あひっ・・・・あああ・・・・そこ・・・・だめぇ・・・・!!」  
 
・・・・だが、舌の表面のザラザラ感と白濁した唾液のヌルヌル感とを、  
繰り返し繰り返し何十回も何百回も塗り重ねられていくうち、チャムの感覚にも変化の兆しが現れる。  
自分では気付かないまま、少しずつ少しずつ敏感さを増していた柔肌が、  
気持ち悪さしか感じなかった筈のヌメヌメした舌が通り過ぎるたび、むず痒いような感触を感じ始めた。  
少女の限られた性の知識では、それが性的興奮の前兆であると理解するのは不可能だったのだが、  
そんな事とは無関係に、次第に堪え難いものとなる痛痒感は着実にその肉体を興奮させていく。  
 
(・・・・んっ・・・・くっ・・・・あぁっ・・・・あああっ!?な、何・・・・何なの・・・・この感じ・・・・!?  
・・・・き、気持ち悪いのに・・・・気持ち悪いだけなのに・・・・ああっ、くぅぅっ・・・・!!  
どうして、こんなに・・・・うあぁぁっ・・・・い、一体・・・・どうしてッ・・・・!!)  
 
理解不能な快感に半ば混乱し半ば恐怖しつつも、肉体は確実に敏感な反応を返してしまう。  
ぎこちない動きでありながら、そこには観衆の視線を釘付けにするのに十分な淫猥さが漂っていた。  
欲情と嗜虐の悦びに満ちた、何百ものぎらつく視線に晒された鬼族の少女は、  
肩で息をしながら、いまや憤怒ではなく羞恥心によって赤く火照った顔を苦悶に歪める。  
 
「・・・・あっ・・・・くっ・・・・ううっ・・・・んっ・・・・ぐっ・・・・んあっ・・・・むぅん・・・・」  
 
いつしか吐き出される息は熱を帯び湿り気を増して、時折、切ない喘ぎ声すら混じるようになる。  
屈辱の極みの中にあって、これまで辛うじて涙を宿す事だけは堪え続けてきた双眸の奥からも、  
じわああっ、と生温い水滴が湧き出し、最後の抵抗線を突破してポロポロと流れ落ちた。  
チャムの変化に感化されたかのように、褐色の肌の上を一心不乱に行き来する青い舌の動きも激しくなり、  
間断なく湧き上がり続ける唾液も、少女の吐息と同じく温度と粘り気を増していくかのように感じられる。  
 
「ひあっ・・・・んっ・・・・くうっ・・・・あうう・・・・いあっ・・・・い・・・・いひっ・・・・あっ・・・・んあぁっ・・・・!!」  
 
眼尻に大きな涙の粒を浮かべ、イヤイヤと首を揺する鬼族の少女。  
先程までの威勢の良さは何処へ消えたのか、時々手足を力なく揺らしながら、すすり泣く事しか出来ない。  
妖魔族の若者は、大きくしゃくり上げる頤にまで達したその舌先を、なおも貪欲に動き回らせる一方で、  
惨めな変貌ぶりに興奮を覚えたのか、チャムのそれとほとんど変わりない太さの太腿の間の、  
先端部分が半分だけ剥けた未成熟な陰茎を、ピクピクと小刻みに震わせつつ精一杯反り返らせていた。  
 
「・・・・あう・・・・うぅ・・・・ん・・・・むぅ・・・・んぐ・・・・んぅぅ・・・・」  
 
無抵抗な少女の姿に、ますます大胆な気分を催して、妖魔族は震えおののく唇を奪い強く吸った。  
一瞬、大きく目を見開き、拒絶の意志を露わにしたチャムだったが、  
すでに全身を覆い尽くした脱力感と火照りとがそれ以上の行動を起こす気力を奪い取る。  
初動の成功に気を良くして更に欲情を増した若者は、少女の口腔の甘酸っぱい香りを堪能しながら、  
青紫の舌先をねじ込むと、ヌルヌルする感触を楽しみつつ、縮こまっているピンク色の舌を絡め取った。  
ピチャピチャと音を立てながら、小さな舌を強引にしゃぶり、唾液を流し込む濃厚な口唇愛撫の前に、  
碧色の瞳は、とろん、と蕩け、酩酊したかのような視線をフラフラと彷徨わせ始める。  
 
「・・・・あふぁっ・・・・んっ・・・・んくっ・・・・うむぁっ・・・・ああっ・・・・!?」  
 
――――突然、妖魔族の接吻が中断されると身体がどんどん離れていく。  
直後、チャムの身体も乱暴にひっくり返されて、うつ伏せの姿勢を強要された。  
思わず、小さな声で、いやぁっ、とくぐもった悲鳴を漏らした少女の口元に、  
奪い取られた妖魔族の唇に代わって鬼族の半勃ちになった肉棒が押し当てられる。  
咽せ返るような牡の体臭に反射的に顔を背けようとしたチャムだったが、  
素早く伸びた幽鬼族の手が、万力のような力で無理やりに元の方向に戻そうとする。  
 
「・・・・くけけけっ、今更、何をそんなに恥ずかしがってるんだい?  
こいつのキスにメロメロになって、アンアン喘いでいたのは何処のどいつだったっけ?」  
「へっへっへっ、そんなにがっかりするこたぁねぇぞ・・・・  
もうじき、こいつのベロなんかより、ずっとずっと気持ちイイ物をお見舞いしてやるからよォ」  
 
さぁこれから、という所で待ったをかけられ、さすがに未練を禁じえないらしく、  
物欲しげな視線をチャムの背中に注いでいる妖魔族の若者を指差しながら、ニヤニヤと笑う幽鬼族と獣人族。  
ぐっ、と言葉に詰まったチャムに向かい、観客席からは卑猥な野次が次々と投げ付けられ、  
獣人族の欲情したガラガラ声にも「いいぞ、やっちまえ!」と黄色い声援が返ってくる。  
目の前の鬼族の男だけが、うんざりしたような表情で「くだらない」と吐き捨てるように呟いた。  
 
「・・・・くだらない?・・・・だったら、なんで、どうして、こいつらの言いなりになるんだ・・・・!!  
魔族だからか!?魔族だから、こんな生き方しか・・・・むぶっ・・・・んむぅううっ・・・・!?」  
 
わずかな期待を込めて言葉を紡ぎ出したチャムだったが、  
その答えは有無を言わせずねじ込まれた鬼族の太い一物だった。  
「こんな生き方しか選べないのか!?」という問いかけが、喉の奥で濁った泡に変わり消滅する。  
口の中に広がる異物感に悲鳴を上げながら、陰茎を吐き出そうとした少女の頬を、  
男は怒気を露わにしてしたたかに打ち据え、更に喉の奥深くへと亀頭を突き立てていった。  
 
「・・・・他に、どんな生き方があると言うんだ・・・・!!」  
 
喉を犯され苦しげに喘ぐ親友の娘に向かって、血を吐くような声を叩きつける鬼族の男。  
血走ったその目が、チャムと同じ、否、それ以上の苦痛をたたえて鈍く光る。  
 
「・・・・我々が、望んでこんな生き方を選んだとでも思っているのか!?  
自ら望んで、友を売り、一族の長を裏切り、長年崇め尊んできた神の教えにすら背いた、と。  
ああ、そうとも・・・・確かに我々はこの生き方を選んだよ・・・・だが、他に我々の生きる道があったのか!?」  
 
「・・・・むがっ・・・・んぐっ・・・・ううっ・・・・ぶっ・・・・んんっ・・・・うぐぐぅ・・・・」  
 
呼吸が出来ずもがき苦しむチャムの口の中を、  
鬼族の怒りと悲しみが乗り移ったかのように怒張した肉棒が暴れ狂う。  
赤茶色の髪を振り乱しながら、必死に振りほどこうと足掻き続けたチャムだったが、  
幽鬼族の許しを得た先程の妖魔族がその身体の上に馬乗りになり、  
濡れた半ズボンに覆われた可愛らしい尻丘に一物を擦り付けながら、背中全体に舌を這わせ始めると、  
背筋を這い上がってくるゾクゾク感に抗しきれず、甘いさえずりを漏らしてしまう。  
 
「・・・・なんだ、感じているのか!?・・・・畜生、ふざけやがって!!  
生きるために血の涙を流して今の境遇に耐えている我々を責め蔑んだ、その舌の根も乾かないうちにか!!」  
 
どす黒い怒りに顔を歪め、何かに取り憑かれたような勢いで腰を使って、少女の咽喉を犯し続ける鬼族。  
こちらも必死の形相で男の言葉を否定しようとするチャムだったが、  
響き渡るのは、じゅぽっ、じゅぽっ、という卑猥な水音か、そうでなければ、切ない喘ぎ声の何れかだった。  
背中を這い回る妖魔族の舌先も濡れた半ズボンに押し付けられた肉棒の脈動も、  
それぞれに特徴のある淫靡な波動となって、身動きできない少女の肉体を責め苛み理性を蕩かしていく。  
 
「・・・・ああ・・・・ぶふっ・・・・んぶっ・・・・あむっ・・・・んんん・・・・あうぅん・・・・」  
 
いまや口腔を一杯に埋め尽くすまでに怒張した肉根によって執拗に口唇を貫かれるうち、  
チャムの肉体の奥に、とろ火で炙られていくような不可思議な熱っぽさが広がり始める。  
背中を舐めしゃぶる事だけでは飽き足らなくなったのだろう、  
妖魔族の手が腋の下を潜り抜け、じっとりと汗ばんだ胸のふくらみへと伸びると、  
瞼の裏に火花が飛び散り、鬼族の一物を口に含んだまま、んん〜〜っ、という甘い鼻声を漏らしてしまう。  
時間の経過と共に、いつしか口中の異物感も薄らいでいき、嫌悪感も抵抗感も麻痺していった。  
 
(・・・・あああ・・・・熱い・・・・身体が・・・・熱くて・・・・うう・・・・だめェ・・・・何も考えられないよぉ・・・・)  
 
手足だけでなく表情からも力が抜け落ちて、だらしなく弛緩しきる頃、  
意識が、ぼぉぅっ、と霞んでいき、耳に飛び込んでくる男の荒い吐息が異様に大きく聞こえるようになる。  
頭の芯が、じぃん、と痺れていくにつれ、口の中の陰茎がその存在感を増していき、  
舌先に伝わる熱さが堪らなく心地よいものに感じられて、無意識のうちに舌を押し付け絡めてしまう。  
せわしなく弄り回される未成熟な乳房からも、軽い痛みを伴った快感が立ち昇ってきて、  
荒々しく上下する少女の肩口を粟立たせていった。  
 
唾液まみれの柔らかい舌先に包み込まれた肉根がぴくぴくと痙攣し、筒先から先走りの液体が滲み始める。  
極限まで膨張した亀頭部分をちゅぷちゅぷと舐めしゃぶられて、  
鬼族の男は低い呻き声を発しながら、少女の頭を掻き抱くように強く抱き寄せた。  
無論、その舌先の動きは、舌技と言うにはあまりにぎこちなく幼稚な代物でしか無いのだが、  
自らの裏切りにより命を失った友の愛娘をその仇の前で犯しているという背徳感が、  
男の感覚を昂ぶらせ、性的刺激に対して普段の何倍も敏感に変えていた。  
 
「――――グウオォォォォッッッ!!!!」  
 
獣のような咆哮を上げ、上体を後ろに反り返らせる鬼族の男。  
限界を迎えると同時に、肉根がチャムの口の中で爆発し、  
大量の白濁液を撒き散らしながら、狭い口腔粘膜の間を狂ったように飛び跳ねる。  
時を同じくして、快楽の頂点に達した妖魔族の若者も、  
汗ばんだ双乳を、ぎゅううっ、と握り締めたまま、赤い半ズボンの上に精液の滴を舞い散らせた。  
 
「・・・・・・・・っ・・・・!!・・・・ぶっ・・・・う・・・・ぐぅ・・・・げはぁっ・・・・!!ぐはっ・・・・はぁはぁ・・・・!!」  
 
二本の肉棒の先からぶちまけられたドロドロの粘液が、  
唇の間からは喉の奥を、尻たぶの上からは反り返った腰椎を目がけて、それぞれ流れ下る。  
決壊した堤防から溢れ出る奔流のような熱い白濁液の迸りは、  
少女の感覚を一時的に麻痺させていた甘ったるい快感を押し流すと、再び屈辱と苦痛のどん底に叩き落した。  
死人のような顔色のチャムは、口の中一杯に広がる生臭い匂いとおぞましいヌルヌル感とに耐え切れず、  
何度もえずいて白く染まった胃液を吐瀉し続けた挙句、激しい喘鳴と共に泣き崩れた。  
 
「・・・・ホラホラ、用が済んだら、モタモタしないで早く離れておくれ。  
後がつかえてるんだから、いつまでもくっついてないで、さっさと退いた退いた」  
 
嘲笑を浮かべた幽鬼族が、少女の背中にしがみついたまま快楽の余韻を貪っていた妖魔族を蹴り飛ばし、  
虚脱しきった表情で、白濁液にまみれたチャムの顔をぼんやりと見下ろしていた鬼族の体を引き剥がす。  
かりそめの自由を手に入れた鬼族の娘は、朦朧とした意識の中、床の上に茫然と座り込んでいたが、  
長い爪の生えた六本の手と三十本の指が恐怖に震える褐色の体に触れた途端に、  
一体何処にこんな力が残っていたのか、と誰もが目を丸くするような勢いで、  
屠殺される直前の家畜のような鋭い悲鳴を上げ、闇雲に石床の上を逃げ惑い始めた。  
 
「・・・・も、もう・・・・いやあぁぁっ・・・・!!たすけて・・・・お願い・・・・たすけてぇっ・・・・!!!!」  
 
謁見の間の高い天井に、悲痛な叫び声が響き渡る。  
だが、その場を囲んでいた魔族の中の誰一人として、助けを求める声に応じる者はなく、  
反対に、口々に罵声を浴びせつつ、半裸の少女を足蹴にして、床の上を転がる無様な姿を笑うのみである。  
やがて、最後に残った体力が尽きると同時に抵抗の意志も完全に失われたらしく、  
人垣の隅に追い詰められたチャムは、プライドも何もかもかなぐり捨てて許しを請う。  
その姿に持ち前の嗜虐心が火を吹いたらしく、無抵抗な体を羽交い絞めにして抱え上げた幽鬼族は、  
唯一残った半ズボンの縁に手をかけると、観客の目の前で、ゆっくりと引き摺り下ろしていった。  
 
「・・・・ううっ・・・・いやっ・・・・やめて・・・・やめてぇ・・・・あああっ・・・・み、見ないでぇ・・・・!!」  
 
淡い草むらが少しずつ露わになるにつれ、獣欲にたぎる何百もの視線が、未発達な下半身へと突き刺さる。  
羞恥心とおぞましさとで歯の根も合わないほど震えながら、  
必死に体をよじり、幽鬼族の六本腕から逃れようと足掻くチャムだったが、  
手足はまるで言う事をきかず、抵抗らしい抵抗も出来ないまま、最後の着衣も剥ぎ取られてしまう。  
絶望のどん底へと叩き落された少女の口から甲高い悲鳴がほとばしると、観客の興奮も最高潮に達した。  
 
(・・・・あああ・・・・い・・・・いやぁ・・・・みないで・・・・ううっ・・・・おねがい・・・・みないで・・・・ぇ・・・・)  
 
生温い空気が肉付きの薄い恥丘を撫で、未だ生え揃っていない縮れ毛をそよがせる。  
秘裂の隙間からは、汗や小水と共に、それらとは明らかに違う質感の半透明な粘液が滲み出して、  
柔らかい太腿の内側をべっとりと濡らしこびりついていた。  
欲情にぎらつく視線に晒されて、身体中がどうしようもなく熱く火照っていくのを止める術とて無く、  
鬼族の娘は、もはや弱々しく体を震わせながら、迫り来る破滅の刻を待つ事しか出来なかった。  
 
「へっへっへっ、・・・・覚悟はいいか、チャム。今からこいつをぶちこんでやるぜ」  
 
ニヤニヤ笑いながら、充血した巨大な肉棒をチャムの下腹に押し付ける獣人族。  
己れの逸物を誇示するかのように、肉根の先を褐色の肌に押し当てグリグリと擦り上げると、  
じっとりと汗ばんだ柔らかい脇腹が圧迫されて、先走りの体液でヌラヌラと妖しく光る亀頭を押し包む。  
息を止めたまま少女は大きく目を見開いて、ビクビクと脈打つその物体に怯えた視線を注ぐ。  
周囲を取り囲んだ魔族たちは口々に歓喜の声を叫びながら、股座を固く勃起させて発情し、  
中には我慢できずに着衣の下から肉根を掴み出すと、他人目も気にせずしごき始める者まで現れた。  
 
(・・・・ああ・・・・あああ・・・・ダメ・・・・こんなの入らない・・・・壊れちゃうよぉ・・・・)  
 
腹筋の上を這い回る恐るべき凶器の質量に、  
チャムの五感は恐怖におののき、思わず意識が遠退き始めた。  
すると、背後から、たっぷりと唾液をふくませた舌先が耳たぶの裏に押し当てられ、  
汗ばんだ髪の毛越しに、ピチャリピチャリ、と卑猥な音を立てしゃぶり始める。  
性感帯を刺激する淫靡な舌の動きに、ゾクッ、と敏感に反応した少女の耳元に息を吹きかけながら、  
幽鬼族はねばついた笑いを浮かべて囁きかける。  
 
「こらこら、しっかりおしよ、子猫ちゃん。  
失神するのは、あたしたちをたっぷりと楽しませてからにしておくれ、クックックッ」  
 
嘲弄と共に股間をむくむくと膨れ上がらせ、隆起した槍先をチャムの尻たぶへと押し付ける。  
とてつもなく嫌な予感がして、反射的に腰を引こうとした少女だが、  
そうすると今度は獣人族の剛直に柔らかい下腹部をより深々と抉られる事になってしまう。  
悪辣な体位の罠に嵌り、身動きが取れなくなったチャムの耳元で、幽鬼族の音程の外れた笑いが木霊した。  
 
「・・・・キヒッ、キヒヒヒッ、さぁて、それじゃあ、そろそろ楽しませて貰いましょうかねぇ。  
まずは、前と後ろ、どっちの穴を責めて欲しいか言ってごらん。それぐらいは選ばせてやるよ」  
 
邪悪な囁きを口にしながら、尻肉の曲線をなぞるように固く勃起した肉棒を上下させる幽鬼族。  
真っ青になってぶんぶんとかぶりを振るチャムの仕草に、周囲の魔族達から、どっ、と失笑が湧いた。  
彼らの目の前で、獣人族が丸太のような腕に力瘤を作り、分厚い胸板を誇らしげに反らして見せる。  
 
「ありがとよ、チャム・・・・こいつの貧相なセガレなんぞより、俺様の方が良いってんだな。  
へへっ、気に入ったぜ!お望みどおり、腰が抜けるまでたっぷりと可愛がってやる・・・・!!」  
 
「・・・・ああっ・・・・ち、違う・・・・違うよぉっ・・・・!!」  
 
必死に否定を繰り返すチャムの声は、獣人族の勝ち名乗りに熱狂した観客の歓声によって掻き消された。  
面白く無さそうに、ちっ、と舌打ちした幽鬼族が、少女の手足を放して乱暴に突き飛ばすと、  
素早く駆け寄った妖魔族と鬼族がその身体を引き起こして仰向けにし、  
両腕と両脚を大きく割り開いた上、身動き出来ないよう左右からしっかりと押さえ込む。  
もはや声を上げる気力すら喪失して、耳を聾するような嘲笑の渦の中に横たわるチャムの上に、  
怒張した巨根をしごき立てながら近付いてくる獣人族の影が、禍々しく垂れ落ちた。  
 
・・・・・・・・そして、破滅の瞬間がやってくる。  
 
「・・・・っ・・・・ひぅ・・・・ぎっ・・・・いっ・・・・いやああああっっっ!!!!」  
 
両脚の間に真っ赤に熱した鉄の棒を突き入れられるかのような激痛が走り、瞬時に視界が赤く染まった。  
限界を超えた痛みに、発狂したかの如く悲鳴を上げ続ける鬼族の少女。  
しかし、獣人族は一向に意に介する様子も無く、太い腕でチャムの腰を引き寄せると、  
巨大な肉茎を奮起させて秘裂を掻き分け、狭い肉の通路を強引に押し開きながら一路子宮を目指す。  
 
「・・・・いあぁっ・・・・い、痛いっ・・・・!!・・・・あぐぅっ・・・・ひぃぃっ・・・・さ、裂けるぅぅっ・・・・!!」  
 
可憐なピンク色の秘唇がグロテスクな肉の塊によってめくり返されると、  
チャムは貫かれる恐怖に表情を引き攣らせ、哀切な叫び声をほとばしらせる。  
痛みに引き攣った顔を仰け反らせ、細い裸身をよじらせる少女の秘裂は、  
妖魔族の執拗な前戯によってほぐされてはいたものの、獣人族の逸物を受け入れるにはまだまだ未熟だった。  
十分に愛液を滴らせているにも関わらず、小さな膣口はミシミシと軋み今にも弾け飛びそうな状態である。  
 
「・・・・あがぁぁっ!!痛い・・・・痛いぃっ!!ひあぁぁっ・・・・痛いよぉぉっ!!」  
 
真っ赤に染まった顔を汗と涙でびっしょりと濡らし、苦悶にのたうつ鬼族の少女。  
その姿は獣人族の残忍な欲望をすこぶる刺激して、股間の怒張を限界まで膨張させた。  
固い入り口を強引に押し広げ、狭い膣道を埋め尽くす極大亀頭の圧力に、  
半ば酸欠状態に陥ったチャムは、口をパクパクさせ、空気を求めて喘ぎ続ける。  
子宮口を通り抜けた先端部分が胎壁をグンッと突き上げると、  
目の前を無数の火花が飛び交って、視界全体がチカチカと明滅を始めた。  
 
「おおっと、おネンネするのはまだ早いぜっ!!・・・・動かすから、身体の力を抜け!!」  
 
失神寸前のチャムに喝を入れるかのように、獣人族は腰を動かし、  
キリキリと食いしめてくる膣口の締め付けをものともせず、抽送運動を開始する。  
内臓にまで達するほどに感じられる極太の肉棒は、  
実際、子宮の奥壁まで到達してもまだ根元から三分の一近くを残していた。  
張り出したエラが襞肉を抉るたび、全身がバラバラになるかのような激痛を感じ続ける少女は、  
気絶することすら出来ずに、細い頤を突き上げ、手足をピクピクと痙攣させながら悶え泣く。  
 
「へっへっへっ・・・・いいぜぇ、その泣き顔、ぐっと来るモンがある。  
もっともっと突きまくって、ヒィヒィいわせてやるから覚悟しやがれっ!!」  
 
耳障りなガラガラ声で高笑いしながら、おぞましい宣告を言い渡す獣人族。  
涙で曇った焦点の合わない瞳を彷徨わせるチャムの下半身に、  
自慢の巨大な肉根を容赦なく突き立て、捻じ込み、掻き回していく。  
・・・・だが、その抽送が十回を数え、二十回に近くなる頃になって、少女の肉体にも変化が訪れた。  
 
「・・・・ひっ・・・・くぅっ・・・・んん・・・・ふはぁっ・・・・ううっ・・・・んぁあっ・・・・はふぁあっ・・・・!!」  
 
熱を孕んだ秘裂から愛液がトロトロと滲み出し、厚みを増した陰唇の粘膜が抜き差しされる肉棒に絡みつく。  
小さな性器全体が捻じ入れられた陰茎を奥へと吸い込むように卑猥に蠢動を始め、  
苦悶に満ちていた筈の泣き声も、知らず知らず甘い愉悦の響きを帯びていく。  
チャムの変化により一層欲情をそそられて、獣人族は、妖魔族と鬼族に合図を送り、  
少女の腰を持ち上げさせると、そのまま下に降ろしてズブズブと自分の太腿の間へと沈み込ませた。  
下から突き上げるこの形では、チャム自身の体の重みで一段と密着度が増大するせいもあって、  
小さな蜜壷の奥の奥まで、まさに完膚なきまで犯し尽くす事が可能となる。  
 
「あああっ・・・・!!い、いやぁぁっ・・・・!!・・・・な、なに・・・・何なの、この感じ・・・・!!  
うああぁっ・・・・お、おかしくなるっ・・・・あひぃぃっ・・・・だめ・・・・こんなの、だめぇっ・・・・!!」  
 
押し寄せてくる快楽の大波を否定すべく、死力を振り絞ってかぶりを振り続けるチャム。  
だが、一度燃え上がってしまった感覚を打ち消すことなど最初から不可能な話で、  
むしろ、否定しようとすればするほど、却って、余計に性感を増す結果につながっていく。  
激しい、だが、短い抵抗が失敗に終わった時、汗だくの顔に残っていたのは絶望と諦めだけに過ぎなかった。  
 
ゴツゴツした逞しい肉の凶器に突き上げられながら、喜悦に喘ぐ鬼族の娘。  
いまや身を引き裂く苦痛は妖しい疼きへと変わり、さらに、ゾクゾクするような快感へと昇華していく。  
身体の奥から湧き出してくるような熱気の塊りに対して、  
性の経験をほとんど持たない少女は全くの無力で、為す術を知らなかった。  
もはや抗う気力も失せ、ただ陵辱に身を委ねるだけのチャムに、更なる恥刑が執行される。  
 
「ホホホ、いい声で啼くようになったじゃないの。ご褒美にもっとよがらせてあげる。それッ!!」  
 
それまで獣人族の陵辱に屈していく無残な姿を、悪趣味な笑いを浮かべつつ眺めていただけだった幽鬼族が、  
チャムの背後から、汗に濡れてべとべとに汚れたしなやかな腰を、ぐいっ、と掴む。  
あああっ、と叫びながら、上体を前に倒したはずみで、プルン、と突き上がった丸い尻丘を割り開き、  
細い皺の集まった小さな菊座に向かって、人指し指を、ブスリ、と深く突き立てる。  
 
「・・・・がっ・・・・はぁっ・・・・!!・・・・んぁっ・・・・あひぃっ・・・・ぎひぃぃっ・・・・!!」  
 
チャムの背中が大きく揺れ、見る見るうちに弓なりに反り返っていく。  
貫き通された肛門は、無論、激しい悲鳴を発するのだが、獣人族の巨根に秘裂を貫かれた痛みとは異なって、それは痛覚以外の感覚全てを感じなくするようなストレートで圧倒的なものではなく、  
痛さとむず痒さと屈辱感と羞恥心とが無秩序に綯い交ぜとなった複雑な痛みであり、同時に快楽だった。  
初めて味わう奇怪な肉悦に、少女の心はたやすく掻き乱され、幽鬼族の術中に訳無く嵌り込むと、  
次に気が付いた時には、完全に尻穴を犯される快感の虜となり果てていた。  
 
「・・・・ああっ・・・・んっ・・・・あぐぅっ・・・・いっ・・・・ぎっ・・・・ぎもぢ・・・・ぎもぢいい・・・・!!  
うがぁっ・・・・んがっ・・・・むぐぅうう・・・・も・・・・もっど・・・・がぎまわじでぇぇっ・・・・!!」  
 
幽鬼族の節くれだった指先がゆっくりと菊門をこじ開け、中に押し入っていく。  
直腸内をほじられる鈍痛が異様に心地よく感じられて腰が笑い、  
肛門の皺を一本一本展ばすように、指の腹でこそがれるたび、ゾクゾクと鳥肌が立ってしまう。  
菊座を犯す指が二本に増え、捻りと回転が加わるとそれはさらに強まって、  
敏感な粘膜を巧妙に絶え間なく擦り立てられる、耐え難いまでの快美感が全身を震え上がらせた。  
目の前に散り始めた星屑が、灼熱感を伴って次第に大きくまばゆいものになっていく。  
 
「クックックッ、どうしたんだい?  
こっちに挿入れられるのは初めてだろうに、  
もう指だけじゃ足りないって言いたそうに、お尻の穴をヒクヒクさせてるけど?」  
 
嘲りの笑いで唇の端を歪めつつ、幽鬼族は薄黄色の粘汁にまみれた指先を一度引き抜くと、  
真っ赤に腫れた肛門の周囲を、円を描くようにゆっくりとなぞり上げる。  
案の定、焦らしに耐え切れなくなった少女の口から漏れる哀願の言葉に、残忍な口調で言い放つ。  
 
「・・・・んん?続きがして欲しいのかい?だったら、ちゃんと声に出して言ってごらん」  
 
一瞬、否、半瞬だけ、躊躇と恥じらいの感情を露わにしたチャムだったが、  
この時既に肉体の疼きは限界を超え、戦士の誇りも乙女の羞恥心もズタズタに切り裂かれて、  
性への欲求を妨げ得る何物も残されてはいなかった。  
おずおずと口を開いた少女は、何を言ってるのか自分でもほとんど意識できないまま、  
懊悩と渇望に満ちた決定的な屈従の言葉を紡ぎ出す。  
 
「・・・・い、挿入れて・・・・お願い・・・・意地悪しないで・・・・。  
・・・・あ、あたしの・・・・お尻に・・・・お尻の穴に・・・・挿入して・・・・掻き回して・・・・お願い、早くぅっ!!」  
 
「ぐへへへ・・・・、こいつぁ、いいぜ。締め付けが、一段ときつくなりやがった。  
チャム、おめぇ、餓鬼だと思ってたが、とんでもねえ淫乱だったみてぇだな、へっへっへっ」  
 
チャムの背中越しに、ゲラゲラと耳障りな笑い声を立てる獣人族を見やりながら、  
幽鬼族は今度は指ではなく勃起した肉棒を少女の肛門にあてがうと、力を込めて押し込んでいく。  
すぼまりの中にゆっくりと潜り込んでくる亀頭に、可憐なピンクの菊花がぴったりと吸い付いたかと思うと、驚くべき事に、さしたる抵抗を示す事もなく呑み込んでしまった。  
鈴口の張り出しの部分が括約筋の肉の輪を潜り抜けるのに少し手間取った以外は、  
遮るものも見当たらず、ニュルニュルと直腸の奥深くにまで侵入を許してしまう。  
 
「・・・・ぐあっ・・・・うっ・・・・ぐはぁ・・・・あがっ・・・・い、いたい・・・・ぐひっ・・・・いいっ・・・・!!」  
 
指を受け入れたときとは比べ物にならない異物感が内臓を圧迫し、押し上げてくる。  
我慢できず胃液を吐きそうになる寸前で、幽鬼族はそろそろと腰を引き、  
チャムの唇から安堵の息が漏れるのを確認すると、再びグイグイと押し込んでいく。  
何度かそれを繰り返されるうち、少女の腸壁粘膜はそのリズムに慣れ、  
いつしか異物感も消え失せて、軽い痺れのような電流が背筋を走り始めた。  
 
「あふぁううっ!!な、なに・・・・なんなの・・・・これっ!!  
・・・・ひぃあぁぁっ!!・・・・だ、だめぇっ・・・・お、お尻が・・・・熱いっ・・・・熱いよぉぉっ!!!!」  
 
敏感な反応を返し始めた少女の肉体を眺めつつ、幽鬼族は抜き差しのリズムを速めていく。  
緩急を付け、捻りを加えながら腸腔を犯す逞しい陰茎に合わせ、チャムの動きも艶かしさを増した。  
ビクンビクンと波を打つその背中に、汗ばんだ胸板を密着させながら、  
空いている二本の腕で幼い乳房を揉みしだき、尖りきった乳首をつまみ上げると、  
鬼族の娘の口元から甘い泣き声が漏れ、淫靡な感覚が暴風のような勢いで全身を駆け巡るのが良く分かる。  
 
「・・・・あああっ・・・・だめぇっ・・・・もうだめぇっ・・・・!!  
き、気持ちいい・・・・気持ち良すぎて・・・・もう・・・・うああっ・・・・ああああっ!!!!」  
 
めくるめく快楽の虜となり、大きくのたうちながらよがり続ける少女の肩越しに目配せを送る幽鬼族。  
大きく頷いた獣人族は、チャムの腰を引き寄せると、ひときわ力強く腰のストロークを叩き込む。  
子宮の前と後ろから激しく突き上げる一対の肉根が、薄い膜を挟んで擦れ合い、  
ビュクン、ビュクン、と狂ったように収縮する二つの肉穴の中を暴れ回った。  
秘裂と肛門とを、同時にゴリゴリとえぐられる地獄の責め苦に、  
汗まみれの身体を反り返らせた鬼族の娘は、白目を剥きながら口泡を噴き始める。  
 
「そぅら、仕上げだよっ!!ケツの中にたっぷりと注いでやる!!」  
「がはははっ、なら俺様も、特別濃い奴をぶちまけてやるっ!!・・・・おらァッ、覚悟しやがれっ!!」  
 
歓喜の雄叫びを上げながら、熱く煮えたぎった精液をチャムの体内へと迸らせる二人の魔族。  
少女もまた性的快感の最終局面を迎え、甲高い絶叫と共に断末魔の痙攣に襲われる。  
小さな身体を穢し尽くした凄惨な陵辱の果ての絶頂は、全ての面で鬼族の娘の肉体の限界を超えていた。  
 
・・・・・・・・突然、糸の切れた操り人形のように、ぱったりと動かなくなる少女の裸体。  
オオッ、という観衆のどよめきと共に、力を失った手足が獣人族の胸板に向かって倒れ落ちる。  
意識の無くなる最後の瞬間、血の気の失せた唇が弱々しく動いて、  
ついに姿を現す事の無かった救世主の名を形作った。  
 
(・・・・・・・・ゆ・・・・う・・・・・・・・こ・・・・・・・・・・・・)  
 
 

――――――――TO BE CONTINUED.
 
 
 

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