人間界。焦土と化した東京市街。
征服地の中心に聳え、荒廃した地上を睥睨する、魔族の王宮兼最高司令部「グラメスの塔」。
「・・・・優子が、来ます」
美しい、だが、奇妙に抑揚に欠けた言葉に、魔王グラメスは顔を上げ、声の主に視線を送る。
全身を覆う白を基調とした色合いの長衣に身を包み、玉座の傍らに佇む麗人、占い師レイ。
無機質な微笑を浮かべながら、手にした水晶球を、目の前の主にかざしてみせる。
「・・・・分かっている」
無骨な、しかし、深みのある声で応じる魔王グラメス。
堂々たる体躯に、装飾性を排した実戦向きの甲冑を纏ったその姿は、王というよりも武人のそれに近い。
手にした大剣からは、低い地鳴りのような震動と共に、赤黒い妖気が立ち上っている。
「・・・・「レーザスの剣」が共鳴している。優子め、また一段と力をつけたようだな。
フフ・・・・俺と優子と、生き残るのはどちらか・・・・戦いの結果を占ってみろ」
「・・・・・・・・」
無言のまま、水晶球の表面へと視線を走らせるレイ。
その横顔を、ちらり、と眺めつつ、グラメスは、「いや、いい」と、前言を翻した。
「レーザスの剣」の黄金の柄に置いた手指に力がこもる。
「・・・・俺の生き方は、俺が決める」
「・・・・ならば、わたくしは、優子を迎え撃ちに参ります。陛下」
物静かな口調を崩すことなく、出撃の許可を求めるレイに対して、やや間を置いて頷き返した魔王。
だが、「レーザスの剣」は、主の心に湧き立った、さざ波を見抜いたかのように、
ひときわ強大な妖気を放ちながら、グオォォン、と鳴動する。
苦笑いを浮かべて、再考するような顔付きになったグラメスは、
だが、結局のところ、退出しようとするレイの背中に向かって、もう一言、付け足したに過ぎなかった。
「”陛下”はよせ。・・・・俺の柄じゃねぇ」
同時刻。新宿副都心。
醜く焼け爛れた高層ビルが墓標の如く無残な姿を晒し、
瓦礫の山と化した家屋や商店が延々と連なるかつての街並みを駆ける、ヴァリスの戦士・優子。
サザーランドのニゼッティーによって、真の力を解放された「ヴァリスの剣」を携え、
白銀の鎧を纏ったその姿は、勇ましくもあり、同時に、優美でもある。
強い意志の力を感じさせる瞳。すらりと通った目鼻立ち。きりりと引き結んだ口元・・・・。
魔界の軍団による破壊と殺戮の惨状を目の当たりにした表情は厳しく、強ばっていたが、
それでも、女性としての成熟へと向かう途上にある時期の少女に特有の清純な愛らしさは隠せない。
均整の取れたプロポーションに、やや色白ではあるが、申し分なく健康的な肌。
特に筋肉質である訳でも、体格に秀でている訳でもないが、
バネのある柔軟な身体は、優子の戦士として闘いに十分な俊敏さを与えており、
清浄な銀色の輝きを放つ鎧も、その特性を最大限に活かせるような造りとなっている。
頭部を護るのは、豊かな蒼髪の間から突き出した二本の前衝てが特徴的な白銀のティアラ。
適度なボリューム感のある形の良い胸のふくらみの上は、
喉元の急所を護る立て襟の付いた二重構造の肩当てと一体となった胸甲で、守りを固めている。
程よくくびれたウェストラインとやや縦長の浅い臍の下には、
大ぶりな緑色の宝玉をあしらった草摺と、「ヴァリスの戦士」の象徴ともいえる、清楚な純白のスカート。
手足には、手の甲までを覆う赤い肘当てと、膝までの長さのある同色のブーツを着けている。
全体として、ニゼッティーに会う以前に身に帯びていた黄金のヴァリス・スーツに比べて、
より重厚なデザインとなり、それに比例して防御力も増しているのだが、
敏捷な動きを妨げるような要素は最大限に排除されているため、
決して窮屈ではなく、また、少女らしい、しなやかな曲線美を損なう事も皆無と言って差し支えなかった。
・・・・しかしながら、今、この瞬間、優子の目には、珍しく焦りの色が浮かんでいる。
「グラメスの塔」への道を探し、廃墟と化した新宿を、随所に配された魔族の伏兵と闘いながら進むうちに、二人の仲間、ヴァルナとチャムの姿を見失い、小一時間にもなろうとしているのである。
魔界の軍団による人間界・夢幻界への侵攻が始まる以前の平和な時期、
女子高の級友たちと共に何度か訪れた事のある新宿ではあったが、
至る所、焼け落ち、倒壊した建物の残骸で埋め尽くされた街は、巨大な迷宮と何ら変わりない。
その上、厚く垂れ込め、日光を遮っている暗雲と、いまだ燻り続けるビルから吐き出される煤煙のせいで、
昼間だというのに、周囲は薄暗く、視界は驚くほど悪い。
(・・・・ヴァルナ、チャム、二人とも・・・・無事でいて・・・・!!)
ともすれば悪い方向にばかり向かってしまう思考を打ち消し、振り払いながら、仲間の姿を捜す優子。
時折、物陰から襲い掛かってくる魔族に対しては、正面から切り結ぶのではなく、
的確に間合いを読んで攻撃をかわし、姿勢の崩れたところに、素早く反撃を加える方法で仕留めていく。
「ヴァリスの剣」の危険感知能力、鋭敏な五感、素早い反射神経の三つが揃って初めて可能となる戦術だが、無論、読みが外れれば、第一撃をかわし損ねて、反撃に移る事か出来なくなるばかりか、
最悪、槍や長剣、弓矢、鋭い爪や牙、炎、酸、毒液など、多岐に渡る敵の攻撃を回避出来ない事すらある。
勿論、新たな力を得た鎧の堅牢な護りが働いて、致命的な打撃を蒙る事はありえないのだが、
それでも、完全に防ぎきれなかった切先の幾つかは、優子の肌に小さな傷を残していた。
(・・・・早く二人を見付け出さないと・・・・。このままじゃ、体力的に不利になる一方だわ・・・・)
身体の各所、特に、剥き出しの腕や太ももなどの傷口から発する鈍痛に顔をしかめつつ、額の汗を拭う優子。
受けた傷はいずれも浅く、行動に支障をきたす程のものではないのだが、
断続的に続く戦闘による体力の消耗は、疲労の形で着実に全身に蓄積しつつあった。
真の力を解放された「ヴァリスの剣」を手にする優子ですら、その有様なのだから、
ヴァルナとチャムの二人にとっては、まさに一秒毎に寿命が縮んでいく思いをしているに違いない。
焦りは禁物と頭では分かっていながらも、優子の感情は焦燥感によって蝕まれ、
知らず知らずのうちに、そのバランスを崩していくのだった・・・・。
「・・・・見付けた。優子、あなたの心の、一番脆弱な部分」
真ん中付近から上が完全に崩落したビルの窓辺に立ち、
高熱で飴の様に溶けてねじれたガラス越しに、瓦礫の間に見え隠れする白銀の輝きを追う、占い師レイ。
目の前にかざした水晶球は狙った者の精神に作用して、記憶と思索の全てを覗き見ることを可能にする。
いま、その中に映っているのは、人間界と夢幻界を通じて現時点における最強の戦士の過去の記憶。
己の力不足ゆえに、為す術も無く死に至らしめてしまった二人の女性・・・・。
美しい、だが、彫像の如く無表情だったレイの口元に、小さな笑みが浮かんだ。
「その姿を、重ね合わせる、か・・・・あの、二人に」
(・・・・優子・・・・っ・・・・)
微かに自分を呼ぶ声が聞こえたような気がして、足を止め、周囲を見回す優子。
・・・・瓦礫の向こう、炭化した街路樹の根元に誰かが蹲っているのが見えた。
視界が悪く、良くは判らないが、優子よりやや小柄な体格と、赤茶色の髪の毛には見覚えがある。
「チャムっ!!」
友の名を叫びながら、駆け寄ろうとした優子は、
しかし、破砕されたコンクリートとガラスの小山と化したビルの角を回ったところで、急停止した。
(・・・・う、うそ・・・・チャム・・・・じゃない・・・・あ、あれは・・・・まさか・・・・!!)
愕然としてその場に立ち尽くす優子。
目の前の少女は、確かに優子よりやや小柄な赤茶色の髪の持ち主だったが、鬼族の娘ではなかった。
磨き上げられた黒曜石のような漆黒の鎧に身を包み、漆黒の剣を帯びたその少女の名は・・・・。
「・・・・麗子・・・・まさか、そんな・・・・」
(・・・・ど、どうなっているの・・・・!?なぜ・・・・麗子がここに・・・・!?)
驚きと困惑とで思考が混乱し、動揺を隠せない優子。
再三、目を凝らして見るが、
かつて、幻夢皇帝メガスの復活を知らせるため、自分の前に現れた時のような霊体とも、
あるいは、少し前、サザーランドへと続く道すがら、目にしたような幻像とも違って、
質感もあれば、弱々しいながら息遣いも感じられて、どう見ても生身の肉体を備えているとしか思えない。
すぐにでも抱き起こして訳を聞きたい、という衝動に抗し切れず、駆け寄ろうとしたその時、
今度は、もう一人の女性の声が、背後から優子を呼び止めた。
(・・・・優子・・・・)
ヴァルナの声とよく似た、だが、もっと深みのある重々しい響きに、あやうく心臓が止まりそうになる優子。
反射的に振り返った目の前には、ヴァルナよりもずっと長身でふくよかな身体を、
清浄な純白の長衣で包んだ、静謐な面立ちの女性が佇んでいた。
「・・・・ヴァ、ヴァリア・・・・さま・・・・!!」
(・・・・一体・・・・一体・・・・どうなっているの・・・・!?
・・・・死んだはずの・・・・麗子とヴァリアさまが・・・・何故っ・・・・!?)
「・・・・それはね、優子」
耳元で囁かれた麗子の声に、優子の肩当てが、ピクン、と跳ね上がる。
いつの間にか、後ろに忍び寄っていた麗子が、しなだれかかるように優子の体を軽く抱きすくめていた。
ひんやりとした鎧の感触と柔らかく張りのある人肌の温もり、そして、うなじにかかる優しい吐息・・・・
それらは紛れも無く、在りし日に経験した最愛の友の抱擁に間違いない。
優子の心の中を、強烈な既視感が駆け巡り、
様々な感情と記憶の詰まった抽斗を片っ端から開放しては、ごちゃごちゃに掻き回していく。
「・・・・それはね、優子・・・・」「・・・・優子、それは・・・・」
前後から発せられた二つの声が優子の頭の中で共鳴し合い、官能的な和音となって鳴り響く。
たったそれだけの事だったが、優子の思考は完全に混乱してしまい、
大きく目を見開いたまま、全身をがくがくと打ち震わせるだけの状態に陥ってしまった。
・・・・「ヴァリスの剣」から発せられる、危険を知らせる光と振動にすら気付かない状態に。
「・・・・もう一度、優子の気持ちを確かめるためよ・・・・」
「・・・・もう一度、あなたの意志を確認するためです・・・・」
記憶の中の姿そのままの、柔和な微笑をたたえて歩み寄ってきたヴァリアが、
限度を超えた感情の輻輳によって、一時的な意識の混濁に陥った優子の身体を掻き抱く。
膝の力が抜け、前のめりに沈み込んでいく優子の顔が、目の前のふっくらとした胸の谷間に埋まった直後、
後ろから麗子の手が動いて、握力の失せた右手から「ヴァリスの剣」を抜き取り、放り捨てた。
――――――――キィィィン。
廃墟の中に木霊する物悲しい金属音に耳を澄ませていたレイの口元が、
妖艶という表現する以外無い、静かな笑みを形作ったのは、その直後の事である――――。
「・・・・うはぁっ、ふはぁっ・・・・!!・・・・ふぁ・・・・はぁっ・・・・!!・・・・あぁっ・・・・ふぁああっ・・・・!!」
湿り気をたっぷりと含んだ喘ぎ声が、薄暗い廃墟の中に響き渡る。
交尾する牝獣のように四つん這いの姿勢を強要され、全身にびっしりと汗の粒を浮かべている優子。
純白のスカートはめくり上げられ、麗子の柔らかい舌が、ショーツ越しに敏感な割れ目を舐め上げていく。
そのショーツも、既に十分汗を吸って透き通りかけ、柔肌に貼り付いて淫猥な感触をもたらしていた。
快感の昂ぶりに比例して、しなやかな太ももの上で揺れ動く白い尻が、ぐいぐいと持ち上がっていく一方、
上半身を支える腕からはガクガクと力が抜けていき、遂には、惨めにも地面に顔をこすりつけてしまう。
「・・・・ああっ!?・・・・うっ・・・・うぶぅっ!?・・・・むぁっ・・・・むぅううん・・・・!!」
下半身から這い上がってくる快美感に抗しきれず、唇の端から涎の糸を垂らしながら悶え続ける優子。
その優子の顔を、膝の上に優しく抱き上げると、ヴァリアは胸元を大きくはだけ、
嬰児に授乳する母親のように、豊かな乳房の先端を口に含ませた。
口腔に広がる生温かい液体の、濃厚な匂いとほのかに甘い味に、最初は戸惑いの表情を見せた優子も、
すぐにその虜となり、夢中で乳首に吸い付きながら、その香しい体液を喉の奥へと流し込んでいく。
「・・・・はぁうっ・・・・むふっ・・・・くうっ・・・・うふぅうっ・・・・!!
・・・・あぐぅっ・・・・うう・・・・むぁあっ・・・・んんっ・・・・うあぁああっ・・・・!!」
感じ方の微細な変動に応じて、強弱や間隔を的確に変化させつつ、丹念に動き回る麗子の舌と唇に、
優子の子宮は熱く煮えたぎり、ビュクビュクと激しく痙攣しながら、淫肉の悦びを開花させた。
まるで失禁でもしたかのような大量の愛液が、突き上げられた股間の下を水浸しにしていく。
交互に、間断なく、口元にあてがわれ続ける左右の乳首からは、止め処も無く白桃色の乳液が湧き出し、
飲み下すことが出来なかった分は、快楽に酔い痴れ、だらしなく開いた口元から、
ゆったりとした長衣の布地に包まれた、むっちりと充実した太ももの上へと垂れ落ちていく。
わずかに残った理性が、悲鳴とも怒号ともつかない勢いで警鐘をかき鳴らしても、
もはや優子の意識は、白濁した闇のヴェールに覆い尽くされて、
より巨大で刺激的な快楽を求め続ける事だけにしか関心を持てなりつつあった。
「・・・・ねぇ、優子。聞いてもいい・・・・?」
光沢を帯びたぬばたまの胸甲を外し、やや小ぶりだが整った形状の乳房を露わにした麗子が、
目の前の、汗と唾液と愛液とでびしょびしょに濡れそぼった下着の縁に指を絡めながら、訊ねかける。
「あなたを動かしているのは、一体、何なの・・・・?どうして、あなたは戦っているの・・・・?」
問いかけと共に、ゆっくりと指を動かし、びちょびちょの布地を器用に巻き取っていく麗子。
火照った媚肉が外気に触れると、優子は、ヴァリアの乳房を咥えたまま、むああっ、と羞恥の声を上げた。
「・・・・あうう・・・・くっ・・・・!!・・・・そ、それは・・・・ううっ・・・・せ、正義・・・・んああっ・・・・!!
・・・・そ、それは・・・・ああっ・・・・弱き者たちの・・・・あひっ・・・・い、いの・・・・り・・・・くぁあっ!!
・・・・力強き者の・・・・ふぁうっ・・・・!!・・・・しゅ・・・・しゅく・・・・め・・・・いっ・・・・ああああああっ!!!!」
歓喜の嗚咽で途切れ途切れになりながらも、半ば本能的に、麗子の問いに答えを返す優子。
咄嗟に口をついて出たのは、かつて、サザーランドへと至る聖なる道、ニルヴァーン・ロードにおいて、
賢者ニゼッティーの下した問いに対して答えたのと同じ言葉ではあったが、
無論、その際の凛とした口調と態度は見る影も無く、快楽と羞恥に震える甘声に取って代わられている。
それが、堪らなく惨めで、また、情けなく感じられ、
優子は、恥辱の涙を溢れさせながら、ガクガクと全身を打ち震わせた。
「むふぁあああ・・・・い、いやぁ・・・・そ、そこは・・・・だめぇっ!!
あああ・・・・やめて・・・・おねがい・・・・うあぁっ・・・・おねがいだからぁあっ・・・・!!」
汗ばんだ尻たぶの間に唇を寄せると、とろとろに蕩けて解れかけた菊門に舌先を這わせる麗子。
淫虐心に火を付けられた優子の懇願を無視して、ぴちょぴちょと音を立てながら、震える粘膜を舐め回す。
弓なりに、ピン、と反り返った背中を激流となって流れ下るゾクゾク感に堪えきれず、
優子は、口元から盛大に母乳を撒き散らしつつ、甲高い叫び声を迸らせた。
「あらあら、一体、どうした事かしら・・・・?
”強き者の宿命”なんて、ご大層なセリフを言ったそばから、こんな調子だなんて・・・・?
フフフッ・・・・意地を張るのはおよしなさい。優子。あなたは、”強い者”なんかじゃないわ。
・・・・だって、本当は、あなた、そんな事、これっぽっちも望んでいないんだもの・・・・」
そうでしょ?と、囁きかけながら、麗子は、尖らせた舌先を、すぼまりの奥へと突き入れる。
その上、右手を使って、完全に蒸れ上がったスカートの中をまさぐり始めたたかと思うと、
包皮を押し上げ、ピンク色の真珠のような表面を露わにしていた陰核を捜し出し、
指の腹を使って、キュキュッ、と器用にしごき立てていく。
「・・・・ねぇ、そうなんでしょ?正直に告白なさい。
自分は”強い者”なんかじゃない・・・・”強い者”になる事なんか求めていない、って・・・・」
「むあぁあっ・・・・!!い・・・・ひぃぃっ・・・・ち、ちが・・・・麗子・・・・あうううっ・・・・!!
わ、わたしは・・・・ひゃああっ・・・・!!ヴァ・・・・ヴァリスの・・・・戦・・・・士・・・・ひぎぃぃっ・・・・!!」
舐め啜られ、いじくり弄ばれる尻穴と陰核から発せられる、気も狂わんばかりの快感の衝撃に、
優子は被虐感を燃え立たせ、白銀の鎧をガチャガチャと揺らしながら、のたうち回る。
だが、「戦士」としての本能の為せる業か、麗子の言葉に対してだけは断固としてかぶりを振り続けた。
軽く舌打ちを漏らしつつ、反り返った優子の背中越しにヴァリアを一瞥する麗子。
夢幻界の先代女王はおもむろに頷き、ゆっくりと口を開いた。
「・・・・では、優子。わたくしも、一つ、訊ねます・・・・。
・・・・あなたは、一体、何を求めているの・・・・?あなたの戦いの後には、何が生まれるというの・・・・?」
まるで催眠術でもかけるかのような、おだやかな口調で語りかけるヴァリア。
上体を屈めて優子の背中に手を伸ばし、胸甲と肩当てとを繋ぐ金属の帯に沿って指を這わせていく。
微細なタッチに、引き締まった背筋が、ピクピクッ、と鋭い反応を示しながら鳥肌立ち、
アアッ、という切ないあえぎ声が、連続して喉を震わせた。
「んふぁああっ・・・・そ、それは・・・・あぁっ・・・・!!し、しん・・・・ぐぐっ・・・・真実っ・・・・ううっ!!」
ヴァリアの動作に合わせて、麗子も陰核への責めを一時中断し、すぼまりの中から舌先を引き抜くと、
それを、わざと緩慢なリズムで、尻たぶや太ももの内側の柔肌に絡めていく。
すると、先程までの激しい責めに馴らされた優子の下半身は、刺激が足りないと感じたのか、
まるで、さかりのついた牝犬が尻尾を振って媚びるかのように、淫らにうねり始めた。
その一方、僅かに残った自制心は、あさましい肉欲を否定しようと涙ぐましい抵抗を演じ、
弱々しくかぶりを振らせつつ、滂沱の涙を溢れさせている。
「・・・・ち、違う・・・・!!こんなの違う・・・・!!・・・・私が求めるのは・・・・ひああっ!!
・・・・闇を・・・・んぁあっ・・・・闇を照らす・・・・ひ、ひ・・・・ひかりィっ・・・・!!
へ、平和な世界を・・・・はぐぅうっ・・・・創る・・・・ための・・・・くっ・・・・ああっ!!
・・・・いっ・・・・いしっ・・・・いしず・・・・え・・・・ああっ・・・・ああああああっ・・・・!!!!」
最後には、あえぎ声ともよがり声とも判別の付かない悲鳴じみた叫びと混じり合い、
ほとんど聞き取れなくなりながらも、かろうじてヴァリアの問いに答えきる優子。
その事に軽い驚きを禁じえなかったのか、ヴァリアの手が、一瞬だけ、動きを止める。
・・・・だが、次の瞬間、それは、鳩尾の上にある緑色の宝石の下に隠された、左右の胸甲の留め金へと伸び、
複雑な造作の繋ぎ目をものともせずに、じっとりと蒸らされた白い胸のふくらみを剥き出しにした。
「・・・・光!?・・・・平和!?・・・・この闇に閉ざされた世界の、何処にそんなものがあるというのです・・・・!?
夢幻界は蹂躙され、人間界もまた、魔族の手に落ちました。
・・・・その魔族たちとて、亜空間の接近によって崩壊に瀕した魔界を追われようとしています・・・・!!
優子、あなたの戦いに意味など無いのです・・・・戦いの後に残るものなど、何も無いのですよ・・・・!!」
全身を焼き焦がす快感に表情を引き攣らせ、苦悶の叫びを上げる優子の目をじっと見つめながら、
ヴァリアは、娘の乳房を、根元から頂上に向かって、少しずつ力を加えながら、ゆっくりと絞っていく。
ああっ、あああっ、と上ずった声で喘ぎながら、かぶりを振る優子。
腹筋が、ビュクビュクッ、と波打ち、左右に断ち割られた胸甲が、ブラブラと揺れた。
「・・・・あああ・・・・そ、そんな・・・・ヴァリアさままで・・・・んぐっ・・・・うううっ・・・・そんな言葉を・・・・」
すでに上気しきった優子の頬を、脂汗と共に多量の涙が流れ下る。
それは違う、と反論しようとするものの、乳房を揉み込むヴァリアの指の前に、
口をついて出てくるのは弱々しい悲鳴と快楽に震えるよがり声ばかりだった。
しかも、ヴァリアの嘆きの言葉は、実は、優子自身の心の中にずっと前から存在していた疑念でもある。
その通りかもしれない、という思いが、頭の中で次第に力を増していき、抵抗の意志を殺ぎ取っていった。
「フフフ、ようやく、自分の心に正直になれたのね、優子。
・・・・そうよ、あなたは、もう戦わなくたっていいの。戦いなんて忘れて、普通の女の子に戻れるのよ・・・・」
優しく囁きかけながら、麗子は、固く尖りきった乳首にたっぷりと唾液をからめると、
乳房もろとも優子の尻たぶに押し付け、曲線に沿って、しゅるぅっ、しゅるぅっ、と上下に走らせ始めた。
指や舌とはまた違う、密着感と圧迫感、そして、勃起した乳首の感触に、
優子の性感帯は悲鳴を上げ、ぱっくりと口を開いた秘裂は粘り気を増した潤沢な愛液で洪水と化す。
それを確認しつつ、麗子はさらに、両腕を優子の脇腹に回して、上からしっかりと抱きすくめると、
さらに密着度を増したその姿勢から、舌まで使って、背中全体に容赦のない愛撫の嵐を見舞っていく。
「そうです、優子。今までずっと、苦労のかけ通しでしたが・・・・もう、いいのです、何もかも。
・・・・そう、これでやっと、「ヴァリスの戦士」の宿命から、あなたを・・・・愛する娘を取り戻すことが出来ます」
愛しそうに微笑みつつ、ヴァリアは、両手の親指と中指を使って優子の乳首を挟み込むと、
人差し指の先端で、クィッ、クィッ、と捻りを加えていく。
麗子のそれに勝るとも劣らない巧みな指遣いに、ただでさえ敏感になっていた乳首は、
極限まで膨張してジンジンと疼き出し、痺れるような快楽のパルスを全身に向かって発射し続ける。
目もくらむような快感に、優子は、甲高い悲鳴を張り上げつつ、よがり狂う事しか出来なかった。
「ご覧なさい、優子。ここから、あなたはこの世界に生れ落ちたのですよ・・・・妹のヴァルナと共に」
もう片方の手で、何のためらいも無く、下半身を覆った薄い絹地の衣を取り払うと、
ヴァリアは、こんもりと繁った縮れ毛の間に咲き誇る、真っ赤に充血した花弁を引き延ばしてみせる。
盛り上がった恥丘、濃密な陰毛、肉厚な大陰唇、ビー玉程の大きさもあろうかと思えるクリトリス・・・・。
未だ発育過程にある優子や麗子のそれと違い、既に充分に成熟したヴァリアの牝穴は、
熱くたぎった蜜壷から湧き出る愛液に濡れそぼったオブジェとなって、優子の意識をからめとった。
「・・・・あああ・・・・すごい・・・・こんなに・・・・濡れて・・・・んんっ・・・・べとべとしてるぅ・・・・。
・・・・うう・・・・だめ・・・・身体が・・・・勝手に・・・・だめぇ・・・・止まらない・・・・我慢できないよぉ・・・・」
まるで磁石に吸い付けられる砂鉄のように、優子の顔が前に出る。
待っていましたとばかり、自分からも身体を密着させ、優子の唇を割れ目の前へと迎え入れるヴァリア。
むっとするような濃厚な牝の匂いが鼻腔を突き、むせ返った優子の顔面を、
白く柔らかな太ももで左右から挟み込み、グチョグチョに濡れた膣口を押し付ける。
「・・・・むふぁああっ・・・・や、やめてぇ・・・・!!うぶぅっ・・・・ヴァリア・・・・さまぁっ・・・・!!
・・・・だ、だめですぅっ!!・・・・うぐぅっ・・・・わ、私たちは・・・・んむぁっ・・・・ふぁぁあああっ・・・・!!」
――――母娘なのにィィッ!!という悲痛な叫びは、
口元を覆う粘膜から滲み出した、半透明な熱い液体によって行く手を遮られ、喉の奥へと押し戻された。
代わりに、身体の奥底から湧き上がってきた、赤熱した火砕流のような衝動の塊りが、
禁断の行為への恐怖と罪悪感とを意識の片隅へと押しやり、性への欲求を激しく燃え立たせる。
残された最後の理性と良心が、淫欲の火竜が吐き出す業火の中で焼き尽くされるのを感じながら、
優子は、母親の秘肉に舌を這わせ、溢れ出る愛汁を啜りながら、背徳の悦びに全身をわななかせた。
「・・・・はぶぅううっ・・・・!!・・・・き・・・・気持ちいいっ・・・・気持ちいいよぉっ・・・・!!
・・・・うむぁああっ・・・・!!ヴァリアさまの・・・・あ、あそこ・・・・ひぃううっ・・・・すごく熱くて・・・・!!
んくうぁぁぁっ・・・・!!・・・・もう、だめぇ・・・・!!・・・・気持ち良すぎて・・・・変になるぅっっ・・・・!!!!」
女王と「戦士」、そして、母と娘という一線を踏み越えた瞬間から、
優子の頭の中には、ピンク色の靄が立ち、眩暈と共に、全身の感覚が失われていった。
子宮の肉襞が、ビュクン、ビュクン、と激しく痙攣し、
愛液と共に、煮えたぎる溶鉄のような熱く重い衝動の大波が吐き出される。
麗子の舌と唾液によって、掻き立てられ、昂ぶらされていた肛門も陰核も、
それに呼応するかのように淫靡な官能の波を送り出し、瞬く間に下半身を席巻すると、
入念な愛撫によって覚醒させられた背筋の性感をも取り込みながら、脊髄の中を駆け上っていく・・・・。
「・・・・うふふ。優子のココ、もう、今にもイッちゃいそうね・・・・。
・・・・いいのよ、たっぷり感じて。・・・・あなたはもう、「戦士」なんかやらなくたっていいんだから・・・・」
「・・・・そうですよ、優子。あなたは、もう戦わなくてもいいのです。
グラメスも、夢幻界も、もうあなたには関係ない。ずっと、こうしていていいのですよ・・・・」
耳朶を蕩かす甘い囁きと熱い吐息。
忘我の境地で、優子はその言葉を聴き、受け容れ、そして、屈服する。
程なく、優子の肉体は快楽の絶頂に達し、優子の意識は灼熱の渦の中で弾け飛んだ――――。
「・・・・終わったようね」
ひび割れたアスファルトの上に、脱力しきった身体を横たえた優子を見下ろす占い師レイ。
傍らで片膝をつくヴァリアと麗子の姿がぼやけ始め、じゅぷじゅぷと耳障りな音を立てながら、
本来の姿である、半透明な体表、否、細胞膜に覆われた、アメーバ状の不定形生物へと戻っていく。
やがて、二つの原形質の固まりは融合して、本来の手足も顔も持たない姿形を取り戻した。
「・・・・ご苦労。だが、お前には、もう一つ、働いて貰う事が、ある」
再び抑揚の無い声に戻ると、水晶玉をひと擦りし、映し出された少女に無感情な視線を落とすレイ。
足元の原形質生物が、びくん、と震え、そして、再度、主の望む姿へと変化を始めた。
傍らで、魂の抜けたような笑みを浮かべたまま、浅いまどろみの淵に沈んでいる少女の姿へと・・・・・・・・。
――――――――TO BE CONTINUED.