――――サザーランド。ニゼッティーの地下神殿。
真っ黒な煤煙がゆっくりと吹き流れ、
ヴェールの向こう側にいる人物の輪郭が徐々に明らかになっていく。
「・・・・麗子・・・・」
微かに震える口調で、かつてのクラスメイトの名を口にする<ヴァリスの戦士>。
冷やかな笑みを浮かべつつ、悠然と前方に進み出てくるのは、
<暗黒界>の<戦士>の正装たる、漆黒の甲冑に身を固め、
刀身から禍々しい瘴気を立ち昇らせる魔剣を手にした赤毛の少女・・・・桐島麗子。
(・・・・もう一人いる?)
旧友の背後に佇んでいる男は優子には見覚えの無い人物だった。
古代のギリシア彫刻を連想させる、簡素なトーガを巻き付けた、冴えない容貌の中年男性。
ニゼッティーとヴァルナを振り返るが、二人もまた、かぶりを振って、面識は無い、と告げる。
――――と、次の瞬間。
黄金の胸甲の間に嵌め込まれた紅玉
――――<戦士>の力の根源、<ファンタズム・ジュエリー>を保護する防御機構の外装部分――――から、
一条の光芒が発せられ、彼に向かって延びて行く。
「<ジュエリー>が反応してる・・・・という事は、暗黒五邪神ッ!!」
「まさか、あなたは・・・・ヴォルデス!?」
ほぼ同時に叫び声を上げる、現実界と夢幻界の少女。
いかにも、と、落ち着き払った態度で応じた<暗黒界>の宿将は、飄々とした仕草で一礼した。
「適当な姿が思い付かなくてね。こんな格好で失礼するよ」
「何故、サザーランドへ・・・・?」
予想に反して、丁重な挨拶が返ってきた事に内心困惑しつつも、問いを発する優子。
すると、ヴォルデスの方もまた、ほう、と軽く眉を上げながら、驚いたように周囲をぐるりと見回した。
「サザーランド?まさか、ここがかね?」
その仕草に、思わず顔を見合わせる夢幻界側の三人。
トーガの中年男もまた首をかしげ・・・・
(少し考え込んだ後で)成る程、と、ぽん、と手を叩いた。
「おそらく、君の持つ<ジュエリー>に引き寄せられたんじゃないかな?
石の数で言えば、4対1なんだから、そう考えるのが妥当だろう。
・・・・まあ、何にせよ、我々は気が付いたらこの世界にいたのであって、
別に<ヴァリスの戦士>の後を追って来たんじゃあないんだよ、夢幻界のお嬢さん方」
苦笑を浮かべる暗黒五邪神。
彼の説明に完全に納得できた訳ではなかったものの、
少なくとも、すぐに襲い掛かってくる気はないらしい、と悟ったのだろう、
ヴァニティのプリンセスはひとまず警戒を解き、優雅な動作で礼を返した。
「・・・・大変、失礼をいたしました。
初めてお目にかかります、ヴォルデス卿。
幻想王女ヴァリアが一子、ヴァルナ、と申します。」
暗黒五邪神、という物騒な肩書きに似合わず、剣呑な雰囲気を全く感じさせない彼に対して、
ヴァルナもまた、まるで夢幻界の王城で貴人に接しているかの如く、恭しい態度をとる。
実際、金鱗の雷竜ヴォルデスと言えば、
ログレスの台頭以前、ヴェカンティの覇権を掌中に収めかけていた時期さえあった、という実力者であり、
その名を知る者は夢幻界にも多いほどの高名な武人である。
<暗黒界>の住人――――しかも、アイザードのような異世界出身者ではない、生粋の――――とはいえ、
粗略な扱いをして良い存在では決してなかった。
一方、事の成り行きに仰天したのは麗子である。
「サザーランドだか何だか知らないけど、夢幻界の王女ですってッ!?
・・・・というより、アンタ、この状況で何を呑気に構えちゃってるのッ!?」
両目を血走らせながら、ヴァルナとヴォルデスを交互に睨み付ける。
優子との戦いは当然予想していたが、ヴァリアの娘まで加わるのは全くの計算外だった。
もっとも、短い間とは言え、<ヴェカンタの戦士>として戦場を渡り歩いた経験は伊達ではない。
素早く冷静さを取り戻すと、目の前の少女の実力を測りつつ、一から計算をやり直す。
(どのみち、私の<アンチ・ヴァニティ>能力が相手では<ヴァリス>の力など無力。
ヴォルデスにこの魔道士を牽制させて手出しをさせなければ、勝機は充分あるわ)
だが、肝腎の暗黒五邪神は、老人特有のマイペースぶりを発揮して、
まるで茶飲み話でもしているかの如く、のんびりと会話を楽しんでいる。
からかわれているような気がして、猛烈に腹が立ってきた赤毛の少女は、
<影の剣>を抜き打ちで一閃させ、おしゃべりの輪の中に強烈な斬撃を叩きつけた。
ドゴォオオオオッッッ!!!!
全力では無いとはいえ、凄まじい剣圧が襲いかかる。
反射的にヴァルナを背に庇い、二本の剣を構えて防御姿勢を取る優子・・・・
ほう、と、感嘆の声を漏らしたのは暗黒五邪神だった。
咄嗟の事態に対して、これだけ機敏で的確な動きが出来たのは、完全に警戒を解いていなかったからに相違ない。
(さすがは、夢幻界を守護する者。
アイザードが入れ込んだのも頷ける。それに、あのもう一本の剣は・・・・)
盛大に埃をかぶったトーガの裾をはたきながら、
ヴォルデスは少女の左手に収まっている<剣>に、チラリと視線を走らせた。
右手の剣・・・・今までログレス軍の精鋭を悉く屠り去ってきた、<ヴァリスの剣>とは明らかに異なる、
重厚な存在感を漂わせるフォルムの大振りの長剣。
一方で。本来、腕一本では扱えるようには作られていないものを強引に振り回したせいだろう、
蒼髪の少女の左腕は、遠目にも明らかなほど白く引き攣り、ヒクヒクと細かく震えていた。
よくよく観察すれば、顔色も心なしか蒼褪めている様子である。
(<アンチ・ヴァニティ>の力に触れたためか?
いや、麗子は、まだそこまで本気を出してはいなかったハズ・・・・やはり、あの剣が問題だな。
<ヴァリスの戦士>でも容易には扱えない武器・・・・まさか、な?)
(くぅっ、<レーザスの剣>・・・・確かに強力だけど、使いこなすのは大変だわ)
優子自身もまた、荒々しく息を弾ませながら、
獲得したばかりの新たなパワーに驚きを隠せないでいる。
もっとも、たったの一振り、しかも、攻撃ではなく、麗子の斬撃を防御するために使っただけで、
これほど酷く体力を消耗するとは、さすがに予測の範囲外だったのだが。
(これじゃあ、危なっかしくて、普通の戦闘には使えないかも)
放出した大量の魔力の余韻だろう、未だ慄えの止まらない左手を見下ろしつつ、
小さくため息をついた蒼髪の<戦士>は、精神を集中して、<レーザスの剣>の実体化を解除した。
それだけで、辺りを圧していた強大な磁場が消え、身体が軽くなったように感じられる。
幾分安堵しつつ、背後に目をやると、多少は護身の心得もあるらしいヴァルナが、
戦闘能力の無いニゼッティーを庇い、杖を構えて呪文詠唱の準備を整えていた。
「フン、見慣れない武器だと思ってちょっと用心してたけど、
どうやら単なる虚仮脅しだったみたいね。
いいわ、すぐケリをつけてやるッ!!・・・・ヴォルデス、援護をお願いッ!!」
戦闘準備を整える二人を前にして、俄然、闘志を漲らせる赤毛の少女。
<ヴェカンタ>を宿した剣を構え直し、呼吸を整える。
・・・・だが、背後の中年男から返ってきた言葉は、彼女の意気込みをあっさりと打ち砕くものだった。
「いや、私は御免蒙るよ。君もやめておいた方が良い」
「ハァ!?」
唖然としてパートナーを振り返る麗子。
両目を白黒させながら、何と言ったか?聞き返す。
・・・・だが、<暗黒界>の宿将はつれない返事を繰り返しただけだった。
「ちょ、ちょっと、アンタ、自分の立場分かってるの!?
いいトシして一体何考えてんのよッ!!」
唖然とする<ヴェカンタの戦士>。
「いいトシだからさ・・・・正直、もう戦いには疲れたんだ。
<ファンタズム・ジュエリー>を預かったのも、
アイザードから、戦わずに引き篭もっていれば良い、と言われたからだし。
知っての通り、私は、ログレスの世界征服ごっこなんぞには、全く興味は無いからねぇ」
「なッ・・・・なッ・・・・!!」
他ならぬ暗黒五邪神から飛び出した言葉に、
麗子は両目を大きく見開いたまま、口をパクパクさせるしかない。
たしかに、今までも、ヴェカンティの支配者に対して好意的ではない素振りではあったが、
まさか、ここまでだったとは・・・・!!
一方、夢幻界人の側には、彼の態度を意外とは思わなかった者がいた。
「貴方が暗黒界でどんな扱いを受けているのか、という事に関しては、アイザード卿もよく話していたよ。
暗黒五邪神の一将とは名ばかり・・・・その実力故に、恐れられ、疎まれる、というのは不憫なものだな」
黒衣の裾をはたきながら、いたわりの視線を送るニゼッティー。
なに、今更愚痴を言っても詮の無い事さ、と、ヴォルデスは自嘲気味に肩をすくめてみせる。
ならば、と、水を向けたのは、夢幻界の魔道士だった。
「・・・・でしたら、私たちと共に戦っては頂けませんか?
それが無理ならば、<ファンタズム・ジュエリー>を返して頂くだけでも」
「な、何だとォッ!!」
またしても目を剥く思いの、赤毛の少女。
先刻から驚き呆れる事の連続で、(優子の目の前で無ければ)髪を掻き毟りたくなりそうだった。
当の暗黒五邪神は、フム、と口ひげを弄びつつ、少し考え込む表情になる。
「折角のご提案だが、辞退させて貰うよ。
さっきも言ったように、もう戦う気はないんだ。
石も出来れば返してやりたいところだが・・・・
何の後ろ盾も無い今の私には、これぐらいしか、切り札になるものが無いからねぇ」
「ふざけるのもいい加減にしてッ!!一体、どういうつもりなのよッ!?」
ついに堪忍袋の緒が切れたのだろう、
漆黒の<戦士>は、怒りに震えながら、黒光りする切っ先をヴォルデスに向けた。
裏切られた口惜しさに表情は歪み、紫色の双眸が赤く血走っている。
「私は戦うッ!!たとえ、一人になったとしても!!」
「・・・・・・・・」
その時になって初めて、今まで一切口を挟もうとはしなかったもう一人の少女が、
スッと<ヴェカンタの戦士>と暗黒五邪神の間に割って入った。
たちまちのうちに麗子の相貌に更なる朱が注ぎ込まれ、鬼女のような形相へと変貌していく・・・・。
「じょ、上等だわ、優子ッ!!今度こそ、アンタを地獄に叩き落してあげるッ!!」
他方、かつてのクラスメイトから痛罵の言葉を浴びせられた、蒼髪の<戦士>は、
哀しみと諦めが入り混じった口調で、短く、言い放っただけだった。
「・・・・いいわ。外に出ましょう」
――――暗黒界。ヴェカンタニア上空。
近衛軍団を中核に、各方面の精鋭部隊を選抜して編成された次元航行艦隊の艦列が、
厚く垂れ込めた暗雲のようにヴェカンティの帝都の空を覆い尽くしていた。
眼下に広がる街路では、いよいよ夢幻界への侵攻が開始されるのだ、と誤解した群衆が、
今や艦上の人となった彼らの絶対的支配者の名を熱狂的に歓呼し、称揚し続けている。
「ベノンめ・・・・面白い置き土産を残してくれた」
ひときわ威容を誇る、艦隊旗艦に置かれた総司令部。
幕僚達に囲まれて玉座に座した暗黒王ログレスは、
会議卓の上に映し出されたモノクロームの立体映像に見入りながら、
無機質な仮面で隠された口元に冷やかな笑みを湛えていた。
目の前には、地震や津波、巨大な風水害などの天変地異に見舞われて滅亡に瀕している、
幾つもの世界の姿がリアルタイムで投影されている。
「あやつが刺激した、<地球>の<ヴェカンタ>の流れ。
よもや時空の壁を超えて、異なる世界にまで影響を及ぼすとは、な・・・・」
満足そうに独りごちた<暗黒界>の支配者は、居並ぶ臣下たちを睥睨しつつ、
重々しい動作で片手を挙げ、ゆっくりと振り下ろしてみせた。
待ちに待った進軍開始の合図に、その場に侍る事を許された側近たちが次々に賛意を示し、
旗艦の、そして、空を埋め尽くした艦隊の、全ての将兵からも、応、という歓声が響き渡る。
「<ヴェカンタ>の力は刻一刻と昂ぶりつつある。
最早ヴァリアがどのような策を講じたところで、<古の封印>が破られるのは時間の問題だろう。
旧き時空の消滅、そして、新たなる時空創造の日は近い・・・・!!」
――――ゴゴゴオォォォォッッッ!!!!
艦底にある機関部から地鳴りのような駆動音が轟く。
ログレスの玉座から俯瞰できる位置に置かれた旗艦の戦闘指揮所が一斉に活気づき、
各艦隊の指揮官や艦長達との間で、様々な交信が矢継ぎ早に飛び交い始めた。
『各艦、機関異常なし』
『所定高度に到達次第、速やかに巡航速度へ』
『異空間座標、変位誤差修正確認、宜候』
『第一艦隊航次元隊形完了、続いて第二艦隊完了』
『進路クリアー。汎次元機関稼動、臨海出力に移行せよ』
・・・・だが、彼らの支配者自身は、
出陣を前に高揚する部下たちの喧騒を醒め切った目で見やりながら、
戦いとは全く別の問題への思考に関心の殆どを傾注していたのだった。
(麗子め・・・・ヴォルデスと共に消息を絶ったまま報告も寄越さぬとは、あるいは・・・・)
無機質な光沢を湛えた仮面の奥で、暗い眼光が瞬く。
ヴォルデスが彼女の救援に入った、と、密偵からの報告を受けた時点で、
あるいは、という危惧は抱いていたのだが、どうやら的中だったらしい。
(あの老いぼれに唆されたか?
フン、アイザードの時と言い、今度と言い、こうも易々と感情に流されて立場を変えるとは・・・・)
所詮は<現実界>の小娘か、と吐き捨てるように毒づく暗黒の王。
せっかく、アイザードから施された洗脳を解いてやったにも関わらず
――――正確には、彼の洗脳の上から更に洗脳を書き重ねただけなのだが――――、
またしても手玉に取られるとは、度し難いにも程がある。
(・・・・まあ、良い。どのみち、予から逃げられはせんのだから、な・・・・)
『――――目標サザーランド!全艦、発進せよッ!』
――――サザーランド。研究施設。
「んはぁッ・・・・うむぅん・・・・はふぅッ・・・・うはぁあッ・・・・!!」
触手生物によるデルフィナへの陵辱は、
倦む事も疲れる事も知らず、延々と続いていた。
葛湯を張ったボウルの中で両手を揉み洗いしているかのような、
粘り気と水気をたっぷりと含んだ抽送音が、
掻き回される肉孔から身体を這い登り、辺りの空間まで湿らせていた。
分厚い強化ガラスで出来た培養槽で外界と隔絶されていなければ、
ピンク色に上気した肌から立ち上る甘い汗の香りと酸味を帯びた愛液の薫りとが混じり合い、
棟内の空気を妖しく霞ませていたに違いない。
ぬちゅッ・・・・ぐちゅッ・・・・ぶちゅる・・・・ぬちゅちゅるッ!!
狂おしく強い痺れが、ねちっこく弄ばれる蜜壷から柳腰へ、
次いで、なめらかな背筋を伝って白いうなじへと伝染していく。
頭の中は既に白一色に染まっていたが、加えて、平衡感覚すら失われてしまったらしく、
重力を全く感じなくなり、自分が立っているのか、伏せているのかさえも分からなくなっていた。
びゅくッ・・・・びびゅッ・・・・どびゅるッ・・・・びちゅるるんッ!!
水気の多いヨーグルトのような愛汁を跳ね飛ばしつつ、深々と膣襞を抉った異物が、
ぐぐぐっと膨張しては激しく爆ぜ、熱い汚濁を執拗に注ぎ入れる。
それも、ただの分泌液ではなく、人体に対して強い毒性を持った<ヴァリス・オア>を吸収して、
比較的無害な――――あくまで、本来の性質に比べれば、の話だが――――物質へと変換、
相手の体内組織に定着させるための特殊な化合物・・・・触媒である。
溶け込んだ魔道鉱石の影響なのだろうか、異様に五感が鋭くなったデルフィナは、
異形の精汁を流し込まれるたびに頤を跳ね上げ、何度も何度も絶頂へと昇り詰めてしまう。
「ふぁぐぅ・・・・あがぁはッ・・・・ひぐぅあううッ!!!!」
ドロドロにぬかるんだ膣内を小刻みに捏ね続ける、触手群のざわめきが堪え難かった。
ひくつく子宮壁に白濁した飛沫が飛び散るたびに、
ひりつくような熱さに負けて、あられもない悲鳴が喉元を震わせ、
縛めに絡め取られた手足が壊れた自動人形の如く、惨めにのた打ち回る。
にちゅッ・・・・みちゅううううッッッ!!
どす黒い緑色をした肉の塊りが、
割り拡げられた尻の谷間へと近付き、じわじわと押し付けられる。
禍々しく変化した先端部分の長さはデルフィナの手首から先と同じくらい、
直径は人差し指と中指と薬指を揃えた幅にほぼ等しかった。
不気味に脈打つ幹は醜いイボイボによって覆われ、
その間で、太い血管がボコボコと不規則に浮き沈みを繰り返しながら己れの出番を待ち構えている。
「ひにゃあッ・・・・ひぎぃああああああッッッ!!!!」
粘りの強い先走り液を滲ませた、いびつな形の亀頭冠が、
僅かばかりの抵抗を排除し、すぼまりの奥へと押し入ってくる。
エメラルド・グリーンの瞳を見開き、哀しげな悲鳴に喉を震わせるエルフ女・・・・
恥ずかしい排泄器官を深々と貫かれた感触が恐るべき圧力となって体内を暴れ狂い、
内臓も何もかも飛び出してしまいそうな嘔吐感がこみ上げてくる。
ずんッ、ずんッ、ずんッ、と、逞しく突き入れられるたび、
金髪剣士は息を詰まらせながら口をぱくつかせ、大粒の涙を溢れさせた。
苦しさのあまり、全身の産毛が逆立ち、
魚の嘴のように尖りきった尿道口から、煌く液体が、ピュピュッ、と走り出てくる。
その様子に、(本来ならばあろう筈の無い)嗜虐心を燃え立たせたのだろうか、
汚らわしい異物はより一段と動きを激しくし、ピストン運動の速度を速めていった。
(ら・・・・らめぇ・・・・もう・・・・なにも・・・・かんがえ・・・・られ・・・・な・・・・)
美しいブロンドを頂いた頭が、くなくなと揺れた。
秘唇を捲られ、子宮を激しく掻き回されるのみならず、
肛門の奥まで好き放題に蹂躙される屈辱感と無力感で、意識がぼうっとなってしまう。
さらに、カラダの両側から迫ってきたイソギンチャク状の触手が、
固く屹立した乳首を乳輪ごと絡め取り、チュパチュパと吸い始めた。
「いひゃあッ・・・・あくぁッ・・・・・うはぁあああんッ!!」
腋の下から頂に向かって豊かな稜線を螺旋状に這い進んでくるおぞましい肉鞭。
デルフィナの胸の膨らみはソフトクリームの如く引き捻られ、中心に向かって盛り上げられた上、
とどめに、カチカチにしこりきったチェリー・ピンクの突起を、ねっとりと責め嬲られてしまう。
女剣士は眉を寄せたまま、唾液に濡れまみれた唇をわななかせるだけ。
すでに、心も肉体も、被虐の快感に馴れ切ってしまい、
流れ込んでくる爛れた喜悦に対して、抵抗の試みはおろか、嫌悪を覚える事さえ、もはや無い。
ぐちゅぷッ・・・・ぬちゅる・・・・ぷちゅちゅッ・・・・ぶじゅにゅるッ・・・・!!!!
イヤになるぐらい精をぶち撒け続けたにも関わらず、
燃え盛る肉塊は、まるで膣内に根を下ろしでもしたかの如く出て行く気配がなく、
それどころか、またぞろ、いやらしい抽送運動を再開して、消耗し尽くした乙女の心身を責め嬲りにかかる。
連続絶頂によって息も絶え絶えの有様の女囚エルフは、
汗だくの裸身をガクガクと痙攣させながら、弱々しい啜り啼きを漏らすのが精一杯だった。
トロトロに蕩けた子宮の中で、おどろおどろしい肉蛇の動きがどんどん加速してくる。
粘着質なピストン運動に合わせて、結合部から白く泡立った蜜液が溢れ、
のたうつ繊毛に包まれた異形の突起が出入りする度、
大きく広げられた下腹部に、むっちりと張り詰めた太股に、
心地よい火照りが、ジワリジワリと広がっていくのが自分でもよく分かった。
つん、と鼻をつく、和合水の芳香が、たまらなく淫靡に感じられて、
哀れな女剣士は恍惚の表情を浮べつつ、荒々しく肩で呼吸を繰り返す。
(はぁうあぁ・・・・もう・・・・きもちよすぎて・・・・あああ・・・・おかひくなるぅ・・・・)
形の良い尻たぶが、無意識のうちにゆったりと左右に揺れ始める。
陵辱者の抜き差しに合わせて、時に控えめに、時に大胆に、打ち震える白桃色の肉丘・・・・
腰を回せば回すほど、腰椎の奥からムズムズするような切迫感が湧き出してきて、
背筋を走り抜ける快美なバイブレーションが強く大きくなっていく。
脳髄を打ち抜く、痛烈な刺激が堪らない。
むっちりとした太股の間から粘ついた水音が木霊するたび、
全身が、カァァッ、と熱く燃えて、えも言われぬ甘美さがゾクゾクと結合部を戦慄かせた。
栗花臭い汚濁液をドピュドピュと勢い良くぶち撒けられると、
お尻がビクンビクンとあさましい痙攣を発して引き攣っていく。
殆ど夢見心地になって汚い生殖器官を締め付けながら、
めくるめく法悦の頂点を目指し、急勾配の坂道を駆け上っていく女剣士――――。
びゅくッ!!びゅるる・・・・びぴゅるぴゅッッッ!!
一体、これで何回目だろうか?
灼熱の感覚に膣壁全体が燃え盛り、濃密な精臭によって満たされるのは。
野太い突起を激しく突っ込まれる都度、半ば条件反射的に、括約筋がきつく食いしばられ、
咥え込んだ野太い肉縄を、ぎゅうううッ、と、千切り取らんばかりに締め付ける。
「あぅくッ!!・・・・ひ、ひくぅッ・・・・ま、またぁ・・・・らめへぇェェッ!!!!」
快楽中毒に陥り、呂律さえ怪しくなったデルフィナに、
射精のリズムに連動した、身の毛もよだつエクスタシーが、
次から次へと、速射砲よろしく、連続攻撃を仕掛けてくる。
満足に呼吸する事すらままならない、屈辱的な連続絶頂を強いられているというのに、
ピンク色を通り越して滲んだ血のような真紅の色合いに染まった陰唇粘膜は、
忌まわしい陵辱者にかぶりついたまま、決して手放そうとはしなかった。
「ふはぁ・・・・はへぇあああッ!!!!」
膨張して水風船のようになった子宮を満たす、トロトロ液が堪らなかった。
・・・・逞しい肉棒でもっともっと膣口を抉り立てて欲しい。
・・・・沸騰した体液を流し込んで、腹腔をパンパンにして欲しい。
・・・・ユルユルに緩んだ肛門を舐り回して、頭の中が真っ白になるまで責め立てて欲しい。
脂汗に濡れまみれたブロンドを振り乱しながら、
囚われの乙女が甲高い嬌声を放ち上げ、飛沫を飛ばす精液の感触にひたすら酔い痴れると、
触手生物たちもまた、彼女の淫らな望みに全力で応え続ける。
「・・・・デ、デルフィナぁ・・・・」
――――強化ガラスの向こうで延々と繰り広げられる、凄絶なまでに淫靡な陵辱劇に、
一種の畏れにも似た近寄り難さを覚えて、ドラゴは無意識のうちに壁際まで後ずさった。
緑色の鱗に覆われた小さな体がカタカタと震え慄いているのは、
恐怖ゆえだろうか?それとも、何か途方も無い事が起きようとしている予兆を感じ取ってだろうか?
目の前のエルフと同じく、アイザードの実験によって生み出された風のドラゴンは、
まるで魂ごと吸い寄せられてしまったかの如く、眼前の光景をじぃっと見入っていた・・・・。
――――ビュオオオオッ。
各々の武器を手に正面から向かい合った少女たちの間を、冷たく乾いたビル風が駆け抜ける。
コンクリートの壁面に四方を囲われた殺風景なビルの屋上は、
夢幻界と暗黒界、二つの<世界>に分かたれた姉妹たちの対峙の場となっていたが、
そこに漂う空気には、神聖な決闘場というよりもむしろ、陰鬱な霊廟を連想させる気配が満ちていた。
「・・・・どうしても、やるの?」
問いかけるのは、黄金の甲冑に身を包んだ蒼髪の少女。
相対する赤毛の少女は、一言、「くどい」と切り捨てると、
漆黒の剣に力を込め、いつでも斬りかかる事が出来るように重心を前に傾ける。
「ニゼッティーが言っていたわ。私たちは元は一つの・・・・」
「それが、一体、何だって言うの?
元が一つであろうが三つであろうが、ヴェカンティに生れ落ちた時点で、
私はログレス様の手駒として生きるしかなかった・・・・これが運命なのよ」
「じゃあ、あなたが<現実界>で・・・・わたしたちと一緒に過ごしてきた時間は何だったの!?
わたしやみんなとの想い出も何もかも、無意味だって思ってるのッ!?」
冷え冷えとした目で、かつてのクラスメイトをねめつける<ヴェカンタの戦士>に対して
押し殺し切れない苦悩を滲ませながら、<ヴァリスの戦士>はなおも言い募る。
悲しみを湛えたディープ・ブルーの瞳・・・・
そこに浮かんだ、深い喪失の痛みが、ほんの一瞬だけ、麗子をたじろがせた。
――――だが、しかし。
「あなたには分からないわ。
私の・・・・真実を知ってしまった時の、私の気持ちは・・・・」
――――そう、自分は何も知らなかった。
いや、知る必要すら感じる事無く、ただあの世界で生きていたのだ。
プラチナ・ブロンドの髪をなびかせた青年――――アイザードに出会った瞬間まで・・・・。
――――――――to be continued.