――――時空の狭間。<暗黒界>へと続く次元の回廊。  
 
無数の光と無限の闇とが連なる混沌の大河を一条の光芒が駆け抜けていく。  
<ヴァリスの戦士>たる現実界の少女・優子、同じく夢幻界の王女・ヴァルナ、  
そして、暗黒界の女剣士・デルフィナと大気を司る竜族・ドラコ。  
 
数奇な運命によって出会った彼女たちの目指すのは、  
漆黒の闇に閉ざされし絶対的な<暗>の領域・ヴェカンティ。  
・・・・だが、そこには、決して欠けてはならない筈の<戦士>の姿が欠けていた。  
 
(お願い、麗子・・・・生きていて!!)  
 
ともすれば、不吉な方向にばかり向かいがちとなる思考を幾度と無く打ち消しながら、  
前方・・・・次第に深くなる闇の気配の集中する漆黒の空間を見据える、蒼髪の少女。  
いつもにも増して、厳しく険しい眼差しは、  
時折、脳裏をかすめる不安を完全に振り払えてはいない事の裏返しだった。  
 
(・・・・あの時、わたしが傍を離れなければ・・・・)  
 
胸の奥で、何度、自問を繰り返しただろうか・・・・?  
こうして問い続けても詮の無い話だ、と重々承知の上であっても、  
深い悔恨の念故に思い返さずにはいられない、あの戦い――――。  
 
――――数刻前。サザーランド上空。  
 
「フフ・・・・」  
 
虚空に浮かび、死と破壊に覆い尽くされた世界を傲然と見下ろす、仮面の王。  
夜の闇よりもなお深い、漆黒の長衣から覗く青白い手には、  
片腕と片足をもぎ取られ、意識を失った少女のカラダが絡め取られている。  
 
血糊のこびり付いた華奢な肢体に一瞥を投げかけ、  
黄金の仮面の奥で笑みを発した彼――――暗黒王ログレスは、  
冷やかな視線を、おっとり刀で駆け付けて来た、もう一人の<戦士>へと向けた。  
 
「身の程を知らぬ者共・・・・実に憐れなものだな。  
・・・・そうは思わぬか、<ヴァリスの戦士>よ?」  
 
「ログレス、麗子を放してッ!!」  
 
夜空に木霊する、甲高い叫び声。  
<レーザスの剣>を構え、宙空に浮かぶヴェカンティの支配者を睨み付ける優子。  
その表情は、最愛の友を傷付けられた怒りによって、醜く歪んでいたものの、  
同時に、宿敵の、圧倒的なまでの威圧感を前にして、容易に近付く事が出来ずにいる。  
彼女の様子を眺めやり、<暗黒界>の支配者はほくそ笑んだ。  
 
「お前に何が守れるというのだ、<ヴァリスの戦士>よ?  
<現実界>はおろか、自分の周りに近しき者ですら――――  
たった一人の小娘ですら、救えぬお前に・・・・?」  
 
「くうッ!!」  
 
口惜しげに唇を噛み締める優子。  
ククッ、と低く喉を鳴らした暗黒王は、  
己の無力を痛感している少女の姿をしばし愉しむと、  
優越感を滲ませた口調でおもむろに言い放つ。  
 
「助けたいか、この裏切り者を?  
ならば、来るが良い、予の城へ・・・・来れるものならば、な」  
 
・・・・待っているぞ、気長にな。  
最後にそう言い残すと、ログレスは転移門を開き、  
気を失った麗子の体を抱えたまま、次元の狭間へと身を躍らせた。  
 
「あッ・・・・ま、待てッ!!」  
 
弾かれたように飛び出した蒼髪の少女を嘲笑うかの如く、  
時空の門は、目の前で、ピシャリ、と閉じられ、消失してしまった。  
一人取り残され、切歯扼腕する<ヴァリスの戦士>・・・・  
その哀しみも冷めやらぬうちに、更なる悲劇が追い打ちをかけてくる。  
 
「ヴォルデス!!しっかりしろ、ヴォルデス!!」  
 
悲痛な叫びに振り返ると、  
瀕死の重傷を負った雷竜に向かって、デルフィナとドラコが必死に呼びかけを繰り返していた。  
優子よりも一足早く駆けつけたヴァルナが急いで回復の呪文を唱えようとしていたが、  
もはや手の施しようが無いのは誰の目にも明らかだった。  
双頭の片方は根元から無残に断ち折られて、跡形も無く千切れ飛び、  
もう一方の頭も深々と手傷を負って、流れ落ちる血液が黄金色の鱗を黒々と染め上げている。  
 
「もう構うな・・・・どのみち、助からん」  
 
苦しい息の下から精一杯の声を絞り出す、雷のドラゴン。  
巨大な体を鎧う黄金色の鱗は醜く切り裂かれ、焼け爛れて、  
夥しい量の血液によって見るも無残な有様と化してしまっている。  
 
「・・・・」  
 
肩を落とし、悄然と立ち尽くす優子に向かい、  
ヴォルデスは、死に瀕したカラダに残る生命の最後の一滴を振り絞って、言葉を紡ぐ。  
 
「行ってくれ・・・・<暗黒界>へ・・・・。  
もう・・・・時間がない・・・・麗子を・・・・頼む・・・・」  
 
「う、うん、必ず・・・・必ず助けるからッ!!」  
 
声をつまらせながら答える、蒼髪の<戦士>。  
その返事を聞いて安堵したかの如く、  
ドラゴンの双眸から静かに光が失われていく・・・・。  
 
「優子・・・・己れを、見失うな・・・・。  
目に見えるものに・・・・惑わされ・・・・る・・・・な・・・・」  
 
(ヴォルデス・・・・)  
 
末期の息を引き取った老竜の肉体が、ゆっくりと実体を失い、塵と化していく。  
わずかな時間でしかなかったが、志を分かち合い、共に戦った友の散華を目の当たりにして、  
生き残った者たちの間に重苦しい沈黙が垂れ込める――――。  
 
――――ヒュオオオオ・・・・。  
 
大地に流された血と炎に焙られた鉄の臭いを大量に孕んだ熱風が、  
廃墟と化したサザーランドの市街地を吹き抜ける。  
 
赤々と燃え盛る業火が照らし出す中、  
悲しみに沈む少女たちの目の前で、最後の暗黒五邪神は無情にも消滅し、  
・・・・同時に、彼の骸によって視界から隠されていた、もう一つの無残な光景が姿を現した。  
 
「・・・・ああ・・・・あれは・・・・」  
 
上腕部の丁度真ん中辺りから断ち切られた、麗子の右腕。  
血の気の失せた指先は、戦いの前に貸し与えられた<ヴァリスの剣>をきつく握り締め、  
戦闘中に取り落としてしまうのを懸念してのものだろう、  
上から更に、愛用のバンダナを巻き付けて、剣の柄に固定されていた。  
 
「・・・・・・・・」  
 
風に揺れる布切れを無言で見つめる、蒼髪の少女。  
かすかに震える細い肩と青白く引き攣った頬筋とが、受けた衝撃の深さを物語っていた。  
凄惨な光景に、ヴァルナもデルフィナもドラコもかけるべき言葉を失い、  
沈鬱な表情で互いの顔を見交わすばかりで口を開こうとする者は誰もいない。  
 
――――ジャリ、ジャリ。  
 
熱に焙られて脆くなった瓦礫を踏み締めながら、  
まるで墓標の如く大地に突き立てられた親友の腕へと近付いていく優子。  
 
「もう、ここから先は・・・・」  
 
錆びた鉄のような血臭と冷たく硬直した肉の感触に僅かに眉根を寄せつつも、  
<ヴァリスの戦士>は地面に突き刺さった愛剣を引き抜いた。  
血糊のこびり付いた麗子の腕を胸元に掻き抱くと、  
抑え込んできた感情が堰を切って溢れ返る。  
くぐもった嗚咽が、重く垂れ込めた沈黙の帳を引き裂いて漏れ出し、  
瞼の裏側に溜め込まれていた涙滴が、銀色に光り輝く水流となって頬筋を伝う。  
 
「・・・・無傷じゃ済まないでしょうね・・・・」  
 
(・・・・死ぬかもしれない)  
 
涙を浮べたまま、優子は仲間たちを振り返る。  
ヴァルナ、デルフィナ、ドラコ・・・・生まれた世界は異なれど、心を通わせた大切な戦友たち。  
彼女たちが、麗子やヴォルデスのように、無残に切り裂かれ、四肢を?がれて、  
血の海に横たわっている様子を想像し、身体の震えが止まらない。  
心優しき現実界の少女にとって、それは、自分自身の死以上に、辛く恐ろしい事なのだから・・・・。  
 
(それでも・・・・)  
 
胸に抱き締めた、麗子の一部にそっと目を落とす。  
硬く強張った手指が、あたかも、これだけは守り通さねばならないのだ、と言わんばかりに、  
今もなお、握り締めたまま放そうとしない、聖なる<剣>。  
 
――――その輝きは、未だ失われてはいなかった。  
 
「行って・・・・ケリをつけなきゃ」  
 
躊躇いを振り払うかのように、決然と眦を見開く、優子――――<ヴァリスの戦士>。  
覚悟を決めた眼差しを注がれて、同志たちもまた、顔を上げた。  
 
「ああ・・・・分かっているさ。  
ヴェカンタニア、敵の本拠地に乗り込むんだからな」  
 
三人を代表して、金髪の女エルフが口を開く。  
何を理解しているのか?は、敢えて問うまでもない。  
他の二人・・・・夢幻界の王女と暗黒界の風のドラゴンも、無言で頷き合った。  
ありがとう、と小さく呟いた少女は、まだ濡れたままだった目許を拭い去ると、  
黒雲に覆われた虚空を静かに見つめつつ、澄み切った声を放ち上げる。  
 
「行きましょう、<暗黒界>へッ!!」  
 
 
――――帝都ヴェカンタニア。ログレスの居城。地下空間。  
 
青白く揺らめく、不浄な炎に照らし出された地底の暗渠は、  
牢獄というより、むしろ、墳墓の玄室を連想させるかの如き不吉な静寂によって満たされている。  
 
「・・・・お前たち、<戦士>は・・・・」  
 
漆黒の中、周囲の闇よりもなお深い、神聖ならざる気配を漂わせながら佇む、暗黒の王。  
禍々しい仮面の視線の先には、古めかしい石造りの祭壇。  
 
――――その上には、右腕と右足を失い、  
大量の出血によって死の淵に瀕した、赤毛の少女が横たわっていた。  
 
「・・・・希望、にすがって戦うが故に・・・・」  
 
無残に焼け焦げ、ひび割れた肩当ての下、上腕部の半ばを残してもぎ取られた右腕、  
そして、脚部を守るブーツもろとも、ふくらはぎ真ん中から断ち切られてしまった右脚。  
他にも、麗子の身体には大小の傷が至る所に走り抜け、  
合計すれば致死量に達するほどの夥しい血液が、祭壇を伝って滴り落ちていた。  
元々、透き通るような色白の肌の持ち主だった彼女だが、  
今やその相貌は血の気を失って蒼白に蒼褪め、死相さえ浮かび出ている。  
 
「・・・・絶望からは逃れられぬ・・・・夜の海の如く、暗い絶望からな・・・・」  
 
憎悪に満ちた冷笑も、聞こえているのかどうか。  
あるいは、かろうじて耳にだけは入っているとしても、  
それを意味のある言葉として知覚し得る力は、  
燃え尽きようとしている生命の内には残ってはいないのかもしれなかった。  
フン、と鼻を鳴らした黒衣の支配者は、  
長衣に包まれた両腕を祭壇の上に掲げ、短く呪詛の祭文を詠唱する。  
 
「暗黒界に生を享けた者が、易々と<ヴェカンタ>の頚木から逃れられるものか。  
簡単に死ねると思うなよ、麗子」  
 
混濁しかけた意識の中に、どす黒い魔性のエネルギーが滲み込んで来る。  
皮肉にも、その衝撃で正気を取り戻した赤毛の少女は、  
自分の置かれている状況に気付くと、声にならない悲鳴を発しつつ本能的に抗おうとする。  
 
(い、嫌ッ!!<ヴェカンタ>に染め上げられるのは、もう嫌ぁッ!!)  
 
自我を冒し、感情と思考を呑み込んでいく魔性の力。  
恐怖に慄きながらも、必死に自分を保とうとする麗子。  
闇に呑み込まれまいとして足掻き続ける彼女の脳裏に、  
ログレスの呪縛から解放され、真の自分を取り戻した瞬間の記憶がフラッシュバックする――――。  
 
 
――――清らかな光の中。正面から向かい合う二人の少女。  
 
「これって、<ヴァリス>の・・・・」  
 
茫然と呟きを漏らす、赤毛の少女。  
自らの五体を包んだ甲冑を驚きの目で眺めやり、  
ぬばたまの漆黒から燦然たる黄金へと変わっていく、変貌の光景に心を奪われる。  
 
<ヴェカンタの戦士>の象徴であり、<暗黒界>に忠誠を誓った証であった筈の漆黒の鎧が、  
見る見るうちに、色褪せ、ガラスのように透明になり、  
眩いばかりの光を放つ金無垢――――目の前の<ヴァリスの戦士>が身に纏う甲冑と同じそれ――――へと変じていく。  
驚きのあまり、声も出せないでいる麗子・・・・と、彼女の手を優しく包容する感触があった。  
 
「・・・・おかえり、麗子」  
 
戸惑う親友の手をとり、固く握り締めたのは  
――――薄青色の双眸に涙を浮べた、蒼髪の少女。  
 
「きっと、それがほんとの気持ちだよ・・・・」  
 
「優子・・・・」  
 
気が付けば、赤毛の少女の目元も熱い涙に濡れている。  
 
トクン・・・・トクン・・・・トクン・・・・。  
 
高らかに響き合う、心音のリズム。  
――――共鳴し合う、心と心。  
抗い難い衝動が二つの魂を衝き動かし、引き寄せ合う。  
 
「あ・・・・ぅん」  
 
どちらからともなく顔を近付け、唇を重ねる優子と麗子。  
何処までも優しく、蕩けるように甘い口付けの感触が、  
無意識の底に封じ込められた創生の記憶を呼び覚ましていく・・・・。  
 
(そうよ・・・・あの頃、わたしたちは一つだった・・・・)  
(一つの存在になるべくして生み出され、育まれていた・・・・)  
 
「ふぁ・・・・ん・・・・あふ・・・・ふはぁッ」  
 
少女の唇が、熱く柔らかく、もう一人の少女の口元へと絡み付き、  
甘く蕩ける唾液にまみれた舌を滑り込ませてくる。  
熱い吐息を吹きかけながら、優しく口腔を攪拌する味蕾の感触・・・・。  
甘美なる電流が頭の芯を痺れさせ、くねり始めるカラダを止める事が出来ない。  
 
「んッ・・・・はぁふッ」  
 
恥ずかしげに瞼を閉じながら、呻く声。  
頬は赤く染まり、背筋を甘い震えが走り抜ける。  
 
「はぁはぁ・・・・ん・・・・ふぅん」  
 
束の間離れた唇の間に、蜂蜜のような唾液の糸。  
背後に回された指先に髪を梳かれて、心地よさに思考が働かなくなり、  
抗う事を忘れて抱擁に身を委ねる。  
心の臓だけがトクントクンとせわしない律動を刻む中、  
母親の乳を求める赤子さながら、ひたすら目の前の相手を欲し続ける二人・・・・。  
 
(・・・・ああ・・・・優子・・・・)  
(・・・・うくっ・・・・れ、麗子・・・・)  
 
艶めかしく弛緩した手足を摺り寄せつつ、  
愛欲に濡れた眼差しで互いを見つめ合う、魂の姉妹たち。  
カチャリ、という小さな音がして、胸元を覆う黄金の胸当てが外れ、  
未だ成熟の極みには達していないものの、均衡の取れた美しさに恵まれた双乳が姿を現す。  
 
「あぁ・・・・んッ・・・・そ、そこは・・・・ッ!!」  
 
うっすらと汗の滲んだ乳房が触れ合うたび、  
切ないため息と鼻にかかった喘ぎとが交互に漏れ出して、  
快美な気配が脹らみの奥からじんわりと湧き上ってくる。  
硬くしこったピンク色の乳首同士が擦れ合うと、  
全身が感電したかの如く、ビクビクッと痙攣し、ゾクゾク感が腰椎の間を駆け巡る。  
 
(はぁはぁ・・・・お願い・・・・麗子・・・・)  
(はふぁ・・・・来て・・・・優子・・・・)  
 
うなじを、つぅ〜〜〜ッ、と舐められ、恍惚とした表情を浮べる少女たち。  
腋の下から臍穴にかけての敏感な場所を小指の先でなぞられると、  
腰から、すぅ〜〜〜ッ、と力が抜け落ちて、足元がふわふわと怪しくなる。  
 
「はぁふッ・・・・くすぐったぁい・・・・」  
「ひぃん・・・・だめ・・・・はずかしいよぉ・・・・」  
 
乳房をぷにゅぷにゅと捏ねられるだけでも気が遠くなりそうなのに、  
もう一方の手は、臍から更に下へと這い進んでくる。  
くすぐったい、はずかしい、などと言って誤魔化そうとしても、  
喘ぎ声に混じる甘い上擦りは明らかにそれ以上の感覚への反応であり、期待の表れに他ならなかった。  
 
「あぁ・・・・か、感じちゃう・・・・」  
「んくぅ・・・・もっと・・・・触ってぇ・・・・」  
 
浅いプリーツの入った、丈の短いスカートが捲り上げられ、  
太股の内側にある秘められた花園に向かって、しなやかな指先が忍び込んでくる。  
極薄のショーツは、既に湧き出した愛蜜によってしとどに湿りそぼっていたが、  
布地の上からやんわりと圧迫されると、ヌルヌルの体液が、じゅわぁ・・・・、と溢れ返り、  
手の平の辺りまでビショビショに濡らしてしまう。  
蠕動する肉穴からは絶え間なく蜜汁が噴出し、  
ぶじゅっ、ぶじゅっ、という淫靡な水音が絶え間なく鳴り響いていた。  
 
(ああ・・・・麗子・・・・いっぱい、濡れてちゃってる・・・・)  
(とても敏感なのね・・・・優子・・・・もっと、気持ちよくしてあげる・・・・)  
 
ますます興奮の息を弾ませながら、秘裂をまさぐり合う。  
ショーツの縁を捲って這い進んできた指が充血し熱を帯びた大陰唇に直接触れると、  
呼吸が止まるような衝撃が下半身から突き上げてきて、頭の中で、バァン、と炸裂する。  
 
「ひぁああッ・・・・!!っぁあぁああッ・・・・!!」  
 
重なり合う悲鳴と嬌声。  
その間にも、少女たちの両手は、  
休む間もなく、サーモンピンクの花弁をまとわりつかせつつ、クチュクチュと膣内をかき混ぜている。  
力を入れ過ぎて痛くならない程度に弱く、  
かと言って、物足りなさを感じる事の無い程度には強く、  
絶妙な強弱を付けた蠕動運動で性感帯を掘り起こしてくる。  
 
「んふはぁッ!!そ、そこ・・・・もっと、お願いッ!!」  
「はぁうううッ!!いいわ・・・・もっと激しく、掻き回してぇッ!!」  
 
本来、一つの存在となるために生み出された者同士のためだろうか?二人の相性は抜群だった。  
相手の肉体の何処をどう刺激してやれば、  
どのような反応が返ってくるのか、直感的に理解出来る・・・・。  
 
「はぁッはぁッ!!・・・・凄い・・・・優子のアソコ、大洪水だわ・・・・!!」  
「んぁあッ!!・・・・れ、麗子の方だって、おツユが足元まで垂れて、びしょ濡れじゃない・・・・!!」  
 
くぱぁっ、と女陰を開帳されると、濡れそぼった秘唇に空気が触れて、  
下着を脱がされた訳でもないのに無防備な不安と羞恥心がこみ上げてきた。  
乳房全体をねちっこく揉みしだいていくと、直接触れてもいないのに乳首の感度が倍増して、  
指の間でビクンビクンと卑猥なダンスを踊り始める。  
留まる所を知らない愛欲に煽られるままに、エクスタシーの頂を目指して突き進んでいく恋人たち・・・・。  
 
「ひぁああううッ!!!!く、来る・・・・何か、凄いのがぁッ!!」  
「あああ・・・・こ、怖いよ・・・・!!ダメッ、もう、ダメぇえええッ!!」  
 
潤滑蜜をたっぷりと絡ませた指で、秘裂を上へとなぞっていくと、  
被っている包皮を今にも脱ぎ捨てそうになっている、ショッキングピンクの肉粒へとぶつかる。  
 
女体の快感の中枢・・・・陰核だった。  
 
「・・・・」「・・・・」  
 
――――刹那の沈黙。  
ゴクリ、と息を呑み、視線を交差させる優子と麗子。  
ここを触れば、性感は爆発し、理性の箍は完全に弾け飛んで、  
昂ぶり狂う衝動が支配する、愛欲の嵐の真っ只中に踏み込む事になるだろう・・・・。  
 
(・・・・本当に良いの?)(後悔・・・・しない?)  
 
無言のまま、覚悟を確かめ合い――――そして、次の瞬間。  
 
「あぁッッ、アァアアァ――――ッ!!!!」  
 
脳裏が眩くスパークし、歓喜の衝撃波が幾重にも押し寄せた。  
びゅくん、びゅくん、と、狂ったように陰核が跳ね回る中、  
同じく充血の極みに達した乳首が、膣壁が、激しく波打ち、戦慄する。  
全身の毛穴という毛穴から、沸騰した汗粒が官能臭を甘く漂わせながら滲み出し、  
脈打ち続ける子宮へと快美な感覚をもたらしてくれる衝動を引き入れようと、  
陰唇粘膜が愛液の分泌をいや増しながら緩み開いていく・・・・。  
 
めくるめく快楽の大渦巻きに飲み込まれ、  
肉体も精神もバラバラになるほど激しく攪拌されながら、  
二人の少女は互いの魂が溶け合い、一つになっていくのを確かに感じ取っていた――――。  
 
 
・・・・再び、闇の中。  
 
「金無垢の<ヴァリス・オア>か・・・・お前には不似合いな衣装だ」  
 
パキィン・・・・!!  
 
甲高い音を立てて、麗子の身体から光を失った甲冑が剥がれ落ち、  
ログレスの邪悪な手の中へと集まっていく。  
全ての感情を消し去った眼差しで、  
宙に浮かぶ鎧の断片と、祭壇に横たわり、恐怖に歪む赤毛の少女の表情とを見比べる、暗黒の王。  
 
「もう一度、思い出させてやる・・・・<ヴェカンタ・オア>の力をッ!!」  
 
「あ・・・・ああ・・・・ッ!?」  
 
黒衣から伸びた禍々しい鉤爪の間で、清浄な黄金色の輝きが不浄な瘴気に包まれていく。  
戦慄する<戦士>の瞳が絶望の色に染まっていくにつれ、  
<ヴァリス>の加護を受けていた筈の聖なる鎧は、漆黒の輝きを放つ多面体の結晶へと変わっていく。  
やがて、その先端部は、今にも破裂せんばかりに激しく脈を打つ心臓の真上にまで到達した。  
 
「お前に最後の役目をやろう。予の盾となる名誉を、な・・・・」  
 
絶対零度の宣告を発する暗黒王ログレス。  
直後、漆黒の大槍と化した<ヴェカンタ>の化身に両手を添えて、  
何の躊躇も無く、一気に少女の胸を刺し貫く。  
 
「ひぃ・・・・ぐぎぃあぁあああああッッッ!!!!!!」  
 
闇を引き裂く、絶叫、絶叫、絶叫――――!!  
魂も凍りつかんばかりの恐怖と苦痛の中、三たびの変容を遂げていく麗子。  
三界のうちで、最も愛しく想い、全てを擲ってでも守り抜きたいと願った、少女の名を叫びながら、  
彼女の意識は二度とは戻れぬ暗黒の底へと沈んでいくのだった・・・・。  
 
 
 
――――――――TO BE CONTINUED.  
 
 

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