何処とも知れぬ場所。漆黒の闇の中。  
 
(――――ここは、一体・・・・?)  
 
一寸先も見通せない暗闇に立ち竦む蒼髪の少女・・・・優子。  
死闘の末に、水邪キーヴァから取り戻した<ファンタズム・ジュエリー>に手を伸ばした途端、  
途轍もなく強大な力によって全身を絡め取られたかと思うと、  
次の瞬間には、この不吉な空間に投げ出されていたのだった。  
周囲に充満する濃密な闇の気配に、得体の知れない不安が胸の奥で急速に膨れ上がり、  
露出度の高い黄金の甲冑からのぞく、しなやかな肢体の上を微かな震えとなって這い回っている。  
 
「・・・・だ、誰ッ!?」  
 
不意に、背後に気配を感じ、上擦りかけた誰何の声を上げる少女。  
振り返った先には、巨大な――――圧倒的なまでに巨大な黒い影。  
 
「・・・・お前が、今度の<戦士>か。  
なかなかの腕前だ。まずは誉めてやろう・・・・」  
 
ジュエリーを手にしたあの時と同じ、押し潰されるような圧迫感が、華奢な体を包み込んだ。  
これまでに一度も経験の無い、強大で威圧的な存在感の前に、  
少女の意志は凍りつき、身動きはおろか視線を外す事すら困難になる。  
 
中世の宗教画に描かれた地獄の門を連想させる、禍々しい巨体。  
遥か頭上から流れ落ちる長大なマントは、  
死と腐敗とによって染め上げられ、恐るべき力を宿した肉体を覆い隠している。  
相貌は、美しく精緻な作りでありながら、温かみなど全く感じられない、黄金細工の仮面に包まれ、  
表情は一切窺えず、喜怒哀楽を推し量る術は皆無だった。  
 
その姿は、正邪の別を問わぬならば、  
ある意味、あのヴァリアと名乗った夢幻界の女神と極めて似通った要素を孕んでいたのだが、  
無論、優子が受けた印象は完全に正反対のものだった。  
果てしなく邪悪で、欲望に煮え滾った、持てるもの全てを破壊のためにしか用いようとはしない、  
恐怖による支配と残虐非道な殺戮とを、呼吸するかの如く平然とやってのける事の出来る魔性の王・・・・。  
 
「お、お前は・・・・誰?」  
 
体中の勇気を総動員して、ようやく問いを口にする優子。  
だが、魔王にとっては、どのような内容であれ、自分の前で言葉を発した事自体が意外だったらしく、  
仮面の奥の双眸を僅かに細め、青白い炎を燃え立たせた。  
 
・・・・だが、(所詮は)それも僅かな時間の出来事に過ぎない。  
 
「フフフ、どうした、声が震えておるぞ。  
貴様も<戦士>の端くれならば、ログレスという名ぐらいは聞いた事があろう・・・・」  
 
(――――ログレス!!こいつがッ!!)  
 
驚愕が、氷点下の冷気となって、鳩尾を滑り落ちる。  
無意識のうちに、手にした<ヴァリスの剣>を、ギュッ、と握り締めたものの、  
その加護の力を以ってしても、暗黒王の威圧感に抗し切るのは不可能だった。  
心に浸み渡る原初的な怯えが、激しい息切れと動悸となって少女を責め苛み、  
あたかも、塩の柱と化してしまったかのように、手足の筋肉を萎縮させてしまう。  
 
「フン、無力な小娘が必死で戦う様を眺めるのも一興、楽しませてもらったぞ」  
 
発した言葉とは裏腹に、  
恐怖に負け、竦み上がった少女の姿に失望を覚えたらしく、  
彼の口調には明らかに退屈そうな響きが舞い戻っていた。  
 
(くううッ!!)  
 
唇を噛み締める、<ヴァリスの戦士>。  
だが、彼我の間に横たわる力の落差は、依然として、五体を金縛り状態に留めている。  
無視された口惜しさも侮蔑への憤りも全身を絡め取る冷たい鎖を断ち切る事は出来ず、  
僅か一、二度、弱々しい痙攣となって、蒼ざめた頬筋の上を走り抜けただけに過ぎなかった。  
 
その事実を確認したヴェカンティの支配者は、暗く無機質な光沢を放つ仮面の裏で小さく笑みを浮かべ、  
・・・・それから、怒声を張り上げる。  
 
「だが、それも・・・・ここまでだッ!!!!」  
 
「余の」  
 
凝縮された怒りと憎しみが怨念の波動と化し、  
奈落の底から響く地鳴りの如く、幾重にも木霊し合いながら周囲を圧していく。  
 
「邪魔をする者は」  
 
少女を取り囲む闇が、一層、禍々しい気配を増して、  
ねっとりと絡み付かんばかりに濃密化する。  
 
「何人たりとも」  
 
極限まで存在感を増した漆黒の闇の中に、  
人とも獣ともつかない、異形の者共の顔が出現し、  
生ある者全てに対する、果てしない怨嗟の呻き声が湧き起こる。  
 
「生かしては」  
 
悪意に満たされた世界の中で、不浄な炎を噴き上げる、目、目、目・・・・。  
暗い欲望を漲らせた無数の視線が追い求めるのは、  
虚無の世界でただ一人、血肉をそなえ、生命の光を宿す、無力な小娘――――。  
 
「・・・・おけぬ!!!!!!」  
 
「ひぃッ!!な、何なの、これッ!?」  
 
瘴気の中から這い出てくる亡者達の群れが、  
優子に向かって一斉に腕を伸ばし、掴み掛かり、引き千切ろうとする。  
<ヴァリスの剣>を振り回し、必死の抵抗を試みる<戦士>だったが、  
斬っても斬っても、幽鬼たちは次々と闇の胎内から産み落とされ、  
激しい憎悪を煮え滾らせながら、執拗な肉薄攻撃を仕掛けてきた。  
 
「きゃああああッッッ!!!!」  
 
しなやかなカラダを覆い尽くす、腕、腕、腕・・・・。  
ぞっとするような冷気を纏わりつかせた異形の指先は、  
想像を絶するおぞましい感触によって、彼女の戦意を打ち砕き、理性を狂わせる。  
絹を引き裂くような悲鳴を発した蒼髪の少女は、  
蜘蛛の巣に羽根を絡め取られた蝶の如く、拘束された四肢を痙攣させながら泣き叫んだ。  
容赦なく捩じ上げられた右手から<剣>が零れ落ち、  
足元の闇へと吸い込まれて視界から消え去ってしまうと、パニックは更に拡大していく。  
 
「あ、ああ・・・・や、やめて・・・・やめてェッ!!  
わたしは・・・・<戦士>なんかじゃないのッ・・・・あああ、お願い、信じてッ!!  
ただ・・・・ただ、訳も分からず、連れて来られて、戦え、って命令されただけなのよォッ!!」  
 
弱々しくかぶりを振り、両目から大粒の涙を溢れさせながら、哀願の言葉を並べ立てる優子。  
不浄な爪や牙が食い込んでいるところから、全身の生気がジワジワと搾り取られていき、  
何百本もの腕に押さえ込まれ、締め付けられた手足の関節は、  
ミシッ、ミシッ、という不気味な軋み声を漏らし始めている。  
 
「フン、自分は無関係だと言いたいのか、愚かな人間よ。  
・・・・しかし、そうはいかぬ、何故ならば・・・・」  
 
ベキッ、バキッ、と、ひしゃげた音を立てて、少女の肩先から黄金の防具が引き剥がされる。  
愕然とする囚人の目の前で、肘当てが、ブーツが、そして、乳房を覆う胸甲までもが後に続いた。  
どんな攻撃にも耐え得る筈の<鎧>が、造作も無く破壊されていく光景に、  
彼女は打ちのめされ、わずかに残った反抗心の残滓さえ萎え縮んでいく。  
もはや、泣き喚く気力さえ喪失した蒼髪の少女は、  
半ば茫然とした表情を浮べたまま、ヴェカンティの支配者の宣告に耳を傾けるしかなかった。  
 
「何故ならば、余は、今在る全てを滅し、全てを忘却の彼方へと葬り去る者だからだ。  
そう、三界に生きとし生ける者全ての運命は、余の手の中にあるも同然・・・・」  
 
絶望に打ちひしがれる哀れな虜囚を冷たく見下ろしながら、  
低いが良く通る声で、神をも恐れぬ高言を傲然と言い放つ魔王ログレス。  
恐怖に青褪めた優子の表情が、更に醜く惨めなものへと歪んでいく。  
 
「全てが余の意のままとなった今、調和など無用のもの・・・・もはや、夢幻界も現実界も要らぬわッ!!」  
間もなく、暗黒界の覇権は揺るぎなきものとなろう。  
小娘よ、お前の如きちっぽけなものに、一体何が出来ると言うのだッ!?」  
 
ビリビリビリィィ!と、鋭い悲鳴を発して、丈の短いスカートが引き裂かれた。  
本能的に両膝を閉じ合わせようとした少女だったが。  
勿論、力の抜け落ちた下半身には全く無理な話で、抵抗らしい抵抗など最初から不可能である。  
太腿に絡みついた幽鬼の腕は、万力のように内股を割り拡げ、  
彼女の体内で最も恥かしい場所を強引に暴き出してしまった。  
 
「お前の存在など、余にとっては目の前のチリに等しきもの。  
せいぜい己の無力さを噛み締めるが良い・・・・死にも勝る恥辱の中でなッ!!」  
 
侮蔑と嘲笑に満ちた魔王の言葉が終わるや否や、  
主の許しに歓喜した亡者の群れは、怯えすくむ少女に殺到した。  
引き攣った肌の上に指を這わせ、舌をくねらせ、噛み付き、吸いしゃぶり・・・・、  
ありとあらゆる手練手管を駆使して、おぞましい饗宴を繰り広げる。  
 
(ひぐぐぅッ!!い、嫌ァ・・・・放してッ!!  
うああ・・・・ダ、ダメぇ・・・・触らないでぇッ!!)  
 
火が付いたように泣きじゃくる優子だが、  
その悲鳴は無数の黒い手によって遮られ、外界に漏れ出すのはくぐもった呻き声のみ。  
もっとも、万に一つ、彼女の哀訴が伝わったとしても、  
生者への怨念に凝り固まった悪しき者達はせせら笑うだけだろう。  
彼らの望みはただ一つ、この無力な獲物を嬲り回し、弄び、身も心も破壊し尽くして、  
最後には、自分達と同じく、闇の中を永劫に彷徨い歩く不浄の存在へと堕とす事なのだから。  
 
(ヒィィッ!!や、やめてッ!!そこは・・・・あぁあああッ!!)  
 
少女の体を取り囲んだ異形たちは、  
しなやかさと充実感とが絶妙なバランスを維持している二本の太腿を強引に割り開くと、  
今やズタズタに引き裂かれて、襤褸同然の有様となっているスカートを捲り上げた。  
内側にある禁断の聖地を守っているのは、厚さ1ミリにも満たないショーツのみ。  
極薄の布地越しに感じる邪悪な感触に恐慌は頂点に達し、  
巨大な絶望と化した無力感が、断末魔の苦悶にのたうつ自我を押し潰そうとする。  
 
(い、嫌ぁああぁあああッ!!!!)  
 
恥かしい場所が淫虐に弄ばれる様子を、哀れな獲物自身が目にする事が出来るよう、  
上半身が、ぐぐぐッ、と持ち上げられ、下半身を見下ろすのに一番都合が良い位置で固定された。  
――――直後、四方八方から殺到した数え切れない腕によって、  
乙女の純潔を隠す最後の布きれは毟り取られ、千切れ飛んでしまう。  
 
塞がれた口の中で吹き荒れる、言葉にならない絶叫。  
蒼髪の少女は狂ったように手足をばたつかせ、邪まな縛めを振り解こうともがき続ける。  
だが、所詮は多勢に無勢、死に物狂いの抵抗はなけなしの体力を消耗させただけで、  
後には、強烈な疲労感以外、何も残りはしなかった。  
 
(や、やめて・・・・お願い、やめてぇ・・・・!!)  
 
大きくV字型に開脚させられた屈辱的な姿勢で、優子の下半身は一切の身動きを封じられ、  
容赦なく暴き立てられた秘密の谷間は羞恥に震え慄いていた。  
まだ繁茂している面積も狭く、密度もさほどではない草叢の下からは、  
剥き出しにされた青い果実が恥かしげに顔を覗かせている。  
 
(はァ・・・・はァ・・・・んはぁ・・・・ふはぁあぁッ・・・・)  
 
一方で、恥溝の上端部に、ぷっくりと頭を突き出している突起物は、  
未知の感覚に対する密やかな期待を反映してだろうか、  
表面を覆う包皮の中で、ピクン、ピクン、と、敏感に脈動を続けていた。  
今の所、その様子は、肉莢の陰に隠れて、陵辱者達には気取られずにいるものの、  
本格的な責めが始まれば、苦も無く露見してしまうに違いない。  
 
――――ゾロリ。  
 
怪物の群れから、ひときわ巨大で、禍々しい瘴気を纏わり付かせた一体が立ち上がる。  
ノソノソと身体を寄せてくる姿を一目見るなり、  
優子は嫌悪感に表情を歪め、今にも泣き出しそうになった。  
かろうじて人の形はしているものの、彼の全身はどす黒く爛れて饐えた異臭を放ち、  
特に顔面は、目も口も鼻も殆ど見分けが付かない程に朽ち果てている。  
 
(ひぃぃッ・・・・う、うそ・・・・こ、こんなのッ!?  
あああッ・・・・こ、来ないで・・・・ダメ・・・・来ちゃだめぇッ!!)  
 
腐り果てた体の中で、唯一、まともな形状を留めているのは、  
両脚の付け根から生えている筒状の肉の塊だけ。  
しかも、それは、少女の記憶に存在する、ある物体に酷似していた――――否、生き写しだった。  
 
(・・・・し、信じられない・・・・あれって・・・・お、男の人の・・・・ああッ、いやぁああッ!!!!)  
 
・・・・小学校に上がる以前の記憶にある、父と一緒にお風呂に入った際に見た、毛むくじゃらの物体。  
・・・・好奇心旺盛なクラスメイトたちのヒソヒソ話に何度と無く登場した、男子の『アレ』。  
・・・・学校の保健の教科書にグロテスクな図解付きで載っていた、異性の生殖器官。  
 
長さは自分の二の腕ほどもあり、内径は手首よりも一回り近く太い、というサイズの違いを除けば、  
目の前の逞しい槍先は、それらと全く外観を有していた。  
他の部分が、どれをとっても、次の瞬間にもボロボロと崩落しかねない状態なだけに、  
余計に異様さは際立ち、ゾッとするようなおぞましさを感じさせる。  
これまでに一度も味わった事の無い精神的苦痛は、  
彼女の心を底無しの絶望へと突き落とすのに充分なものだった・・・・。  
 
(いや・・・・いやよぉ!!こ、こっちに・・・・来ないでぇッ!!)  
 
張り裂けんばかりに見開かれた双眸に映る、肉の刃先。  
パニックに陥り、真っ白になっていく優子の頭の中を、  
級友達の間で語り交わされていたおどろおどろしい言葉が、走馬灯のように駆け巡る。  
 
(・・・・男の人のアソコってね・・・・)  
(・・・・そうなの、アレを入れられた瞬間って、凄く痛いんだって・・・・)  
(・・・・ショックで気絶したり、出血が止まらなくて病院に運ばれたりする人もいるみたいよ・・・・)  
(・・・・運が悪いと死んじゃう、って話も聞いたわ・・・・)  
 
「うぅ・・・・ああ・・・・うああ・・・・ああああッ!!!!」  
 
薄毛に覆われた恥丘の上に、黒々とした怒張が押し当てられると、  
蒼髪の少女は半狂乱になり、悪魔の槍先から逃れようと手足を必死にばたつかせた。  
だが、亡者達の縛めは冷酷なまでに執拗で、揺らぐ気配など微塵も無い。  
最後の足掻きも徒労に終わり、敗北感が疲れきった全身を支配した、次の瞬間、  
眼前の怪物は、股間のイチモツをゆっくりとスライドさせ、  
色素の沈着など一片も無い、真ッ新なピンク色をした秘唇の正面へと占位させた。  
 
――――じゅぶり。  
 
鈍い音を立てて、陰唇の城門が突き破られ、真っ黒な破城鎚が膣襞の内側へと雪崩れ込む。  
最初に感じたのは、ゴツゴツとしたコンクリートの塊のような、粗く硬い肌触り。  
だが、それは、すぐに、赤熱した焼け火箸を無理矢理体の奥へと突っ込まれたような、  
凄まじい熱量を伴った苦痛へと変じて、陵辱される下半身を駆け巡った。  
 
「あぐ・・・・あぎぃッ!!ぐぐぅ・・・・ううう・・・・ぐぎひぃぃッッッ!!」  
 
あまりの激痛に正気を失った少女は、手負いの野獣の如く、唸り声を上げながら、  
口元を覆った黒い手の平に歯を立て、力任せに噛み締める。  
腐肉の弾ける、ぶじゅじゅうッ、という不快極まりない感触と共に、  
ぞっとする臭気を漂わせる濁った血液が口の中に溢れ返り、  
喉から肺へと流れ込んで、ごぼッ、ごぼぼッ、と、気味の悪い音色を響き渡らせた。  
 
その間にも、邪悪な侵入者は、狭く窮屈な膣穴を強引にこじ開け、  
聖なる空間を汚らわしい怒張によって埋めながら、少しずつ少しずつ奥へと進んでいた。  
未だ異性を受け入れた経験の無い乙女の潜戸は、どこまでも固くぎこちなく、  
しかも、殆ど前戯らしい前戯もなしに男根の挿入を受けたため、左右の膣襞は乾き切っていたのだが、  
異形の怪物は、委細構わず、恐るべき凶器を押し込むのを止めようとはしない。  
およそ、相手への愛情や思いやりに類するものなど微塵も無く、  
ただただ、前方に広がっている牝孔を、貫き、抉り、掻き回したい、という、利己的な願望のみを糧として。  
 
(いッ、ひぎッ・・・・嫌ぁッ!!さ、裂ける・・・・千切れちゃうッ!!)  
 
想像を絶する恐怖に、全身を激しく痙攣させる優子。  
下半身を串刺しにされる激痛が増大していくにつれ、  
理性はズタズタに切り刻まれ、意識はドロドロに混濁していく。  
周囲の亡者達が、一様に名状し難い陶酔感に酔い痴れ、グロテスクな歓喜に身を震わせる中、  
肉槍の先端は、膣道と子宮との境目にある純潔の象徴へと到達した。  
 
「あ・・・・あ・・・・ぐぅ・・・・ううう!!」  
 
今にも張り裂けんばかりに見開かれた双眸。  
周りでは毛細血管が次々と破断して、視界全体がピンク色のヴェールに覆われていく。  
おぞましい圧力が、薄い肉膜のみならず、子宮口全体にかかると、  
滲み出した大粒の脂汗が不気味な斑点となって顔中を覆い尽くしていった。  
子宮が、いや、内臓の全てが押し上げられる不快さが強烈なえずきとなって喉奥を暴れ回り、  
やがて、青白い胃液の混じった気泡が唇の端からブクブクと漏れ始める。  
 
――――ぶちィィんッッッ!!!!  
 
実際にその音が発生したかどうかは定かではなかったが、  
処女膜が千切れ飛んだ瞬間の悲痛な音色は、打ちひしがれた心に甲高く響き渡り、  
目の前が真っ暗になるような絶望をもたらした。  
鋭利な刃物でハラワタを抉られ、グリグリと掻き回される痛みが急速に遠のき、  
代わって、カラダの真ん中にぽっかりと空洞が空いたような寒々しい感覚が広がっていく。  
 
(あ・・・・あぁ・・・・も、もうダメ・・・・わたし・・・・もう・・・・)  
 
生温かい液体が、膣口に突っ込まれたままの陰茎を伝って流れ落ち、  
ポタポタポタッ、と、真っ黒な大地に吸い込まれていった。  
肉棒を握り潰さんばかりにきつく噛み締めていた括約筋から、すうッ、と力が抜けて、  
聖なる門を突き破った事に気を良くして、さらに怒張を増した侵略者が、  
くびれの向こうに広がる大広間へと突き進んでいくのをみすみす看過してしまう。  
 
(・・・・わ、わたし・・・・穢されて・・・・わたし・・・・わたし・・・・!!!!)  
 
意識が朦朧となり、思考も感情も五感も何もかもが曖昧になっていった。  
もはや、完全に虚脱し、身心共にボロボロに傷付いた少女には、  
消耗し切った己の魂が永劫の闇の底へと吸い込まれていくのを止める術は残されていない。  
 
――――ヴァリアの<声>が聞こえてきたのは、まさに間一髪のタイミングだった。  
 
『幻覚に惑わされてはなりません、優子ッ!!』  
 
力強い、何より、優しさと思いやりに溢れた、懐かしい響き。  
ハッ、として意識を取り戻した少女の身体から、絡み付いていた腕が消え失せていく。  
 
「グゥオオォォォッ!!」  
 
つい今しがたまで、目の前の肉体を好き放題に蹂躙し続けていた筈の漆黒の化け物が、  
挽き潰された呻き声と共に、カーボン粉末のような細かい塵に変じて崩れ落ちる。  
前後して、自我を抑え付けていた呪縛がぷっつりと途絶え、  
自由になった体が、フワリ、と宙に浮くのを感じた蒼髪の少女は、  
そのまま、逆送するジェットコースターに乗せられたかの如く、天頂に向かって引っ張られていった。  
 
『気を確かになさい、優子』  
 
みるみるうちに遠ざかっていく暗黒の世界、  
その中心で、忌々しげな視線を上空に放ち上げているログレスを呆然と眺めていた少女に、  
どこまでも温かく、慈愛に満ちた女神の思念が語りかける。  
 
『あなたが、ファンタズム・ジュエリーを二つ取り戻してくれたおかげで、  
わずかではありますが力を回復させる事が出来ました。  
ありがとう、優子・・・・今はこの程度の助力が精一杯ですが、いずれはもっと・・・・』  
 
あれほど巨大に見えた魔王がどんどん小さくなっていくにつれ、  
<暗>の気配が薄れ、やがて、全く感じられなくなった。  
何かに気付いた少女が視線を巡らせると、  
粉々に打ち砕かれた筈の黄金の甲冑も、ビリビリに引き裂かれた筈の純白のスカートも、  
まるで何事も無かったかの如く、元の姿を取り戻している。  
――――そればかりか、彼女の五体からは、あの激烈な痛みや堪え難いほどの喪失感は元より、  
あの惨めな破瓜の在った事を示す一切の痕跡は跡形も無く消え失せて、  
清らかな肌と健康的な乙女の肢体が舞い戻っていた。  
 
(幻だったというの?ログレスも・・・・あの空間も?)  
 
『ええ、そうです。ですから、何も心配は要りません。  
あなたが心をしっかりと保ち、挫けずに戦い抜こうとする限り、  
<ヴァリスの剣>は無限の力を与えてくれるのですから・・・・』  
 
ヴァリアの言葉に、思わず、安堵の涙が頬筋を伝った。  
一瞬だけ、自分がこんな思いをしなければならないのは、元は全てこの女のせいではないか、  
という不満が脳裏をよぎったものの、以前、夢幻界で対面した時ほどの反感は湧いてこない。  
彼女のその態度に内心ほっとしたのだろう、女神もまた、安心したように一つ頷くと、  
少女を次なる試練の場へと続く次元の狭間に誘う直前に、もう一言だけ、付け加えた。  
 
『・・・・今は、慣れてくれ、としか言えません。  
戦いとは無縁の生活をしてきたあなたに背負わせるにはあまりにも酷な運命ですが、  
あなたを信じて待つものがいるのを忘れないで下さい・・・・』  
 
 
――――死と腐敗の気配に満ちた、闇の中。  
死人の肌のように青白い炎が、豪華な墓石のような玉座を陰鬱に照らしている。  
 
『・・・・ふん、邪魔が入ったか。ヴァリアめ・・・・』  
 
まるで、何かに掴み掛かろうとしていたかの如く、  
空中に伸ばしていた右手を静かに下ろし、ジロリ、と視線を落とす玉座の主、  
ヴェカンティの支配者、<暗>の力を体現する者――――暗黒王ログレス。  
 
『・・・・まあ、良い。<戦士>の始末には、あの者を遣わせば済む。  
もっとも、それでカタが付かなかった場合には・・・・』  
 
仮面の奥で暗い眼差しを湛えていた瞳が、すっ、と細められ、  
鋭い鉤爪の生えた指先が、ぎりりッ、と不気味な音を立てて、拳を握り締める。  
 
――――漆黒の闇の中、くぐもった笑い声が低く流れていった・・・・。  
 
 
(慣れる・・・・?)  
 
煌く純白の光が、瀑布へと向かう急流のように、  
ゴウゴウと逆巻きながら、下界へと流れ落ちていく。  
 
(わたしが・・・・殺し合いに?)  
 
ヴァリアの言葉を反芻しながら、奔流に身を任せ、遥かなる水底へと下っていく優子。  
しなやかに伸びる肢体に纏う<ヴァリスの鎧>が光り輝く粒子を乱反射して、  
肌の上は、あたかも何億個ものダイヤモンドをぶちまけたかの如く、眩い輝きに覆い尽くされている。  
 
(・・・・そんなわたしなんて・・・・想像できない・・・・そんな・・・・わたしなんて・・・・)  
 
ゴオォォォッ、という激しい耳鳴りのような異音が近付いてくる。  
天空を吹き荒ぶ突風のうねり?それとも、大地に降り注ぐ驟雨の轟きなのだろうか?  
希薄化した意識の中では、感覚も思考も全くと言って良いほど働かず、音の正体は皆目見当も付かない。  
 
――――ただ一つ、確信が持てたのは、  
此処もまた、ファンタズム・ジュエリーの導く、戦場・・・・殺し合いの場であるという事実だった。  
 
――――サァアアアッ。  
 
風がそよいでいる。  
樹木の匂い、水のせせらぎ・・・・どうしてだろうか、とても懐かしい気がしてならないのは?  
 
「いつまで寝てるつもり?さっさと起きなさいよっ」  
 
誰だろう?  
たしかに、何処かで聞き覚えのある声なのに・・・・思い出せない。  
 
ポチャン!!  
 
何かが水面に投げ入れられ、撥ね上げられた水飛沫が顔面にかかる。  
その冷たさが、まどろんでいた優子を、薄明の世界から(ようやく)連れ戻した。  
川べりの岩場の上に倒れ伏していた身体を持ち上げ、  
キョロキョロと周囲を見回す蒼髪の少女・・・・声の主と視線が合ったのはその直後だった。  
 
(――――えッ、ま、まさかッ!!!!)  
 
「ようやく、お目覚め?  
・・・・いい加減、待ちくたびれたわ」  
 
漆黒の鎧に身を包んだ少女が、渓流の対岸で冷やかな笑みを浮かべていた。  
自分と同じくらいの背丈、体つきは幾分細身な感がある。  
色白の肌と鮮やかなコントラストを為す、赤みを帯びたブラウンのショートヘア。  
そして、鋭く挑発的な眼光を湛えた、ラベンダー色の双眸。  
 
「麗子・・・・本当に、麗子なの?」  
 
「眠ってる間に殺っちゃったら、さすがに寝覚めが悪いものね。  
・・・・第一、面白くも何ともないし」  
 
驚愕に打ち震えながら問いかけた優子に対し、  
川向いに陣取った<戦士>は直接答えを返そうとはせず、  
代わりに、左右の手の平を胸の前にかざして何事かを念じた。  
 
現れたのは――――。  
 
(<ヴァリスの剣>!?いや、違う、これは・・・・)  
 
細身の外見と精緻な細工を施された黄金の柄は自分の愛剣のそれと同じものだったが、  
刀身には、聖なる白銀の輝きではなく、  
黒水晶の塊を磨き上げて作られたかのような、漆黒の光沢を湛えられている。  
赤毛の少女が、軽く一振りしてみせると、  
切っ先から迸った、美しい、だが、この上なく禍々しい気配に満ちた霊光が空気を鳴動させ、  
次いで、二人を隔てた水面に、大岩を投げ込んだかのような水柱を高々と立ち昇らせた。  
 
「その姿・・・・ヴァリアが言ってた暗黒界の<戦士>って、まさか・・・・?」  
 
青褪めた唇から零れる、戦慄の呟き。  
自分のものと同じく、防具と言うのが憚られる程きわどい形状の胸甲に、丈の短いプリーツ・スカート、  
肩当てと肘当て、ブーツ、首に巻いたスカーフに至るまで、  
漆黒の甲冑は、まるで<ヴァリスの鎧>と同じ鋳型に別々の鉱材を流し込んで鋳造したかのようである。  
違いらしい違いと言えば、頭に巻いているバンダナぐらいに過ぎないその形状は、  
彼らの主たる麗子が、夢幻界の<戦士>とは対極に位置する存在だという事実を、  
(逆説的ではあったが)何よりも雄弁に物語る証拠に他ならなかった。  
 
「ふふッ、そのまさかよッ!!」  
 
鋭く叫び返した麗子の爪先が、タン、と足元の岩場を蹴る。  
フワッ、と宙に浮いたその身体は、美麗なアーチを描きながら、  
軽く10メートルはある渓流を楽々と飛び越え、現実界で級友だった少女の傍へと着地した。  
――――次の瞬間、優子の頭上を、魔剣の旋風がうなりを発して通り過ぎ、   
剣圧に巻き上げられた蒼髪の幾筋かを寸断して、空中へと舞い散らせる。  
 
「さあ、楽しませて貰うわよッ!!」  
 
黒光りする切っ先をかつての友の心臓へと向けた麗子は、  
制止の叫びを無視して、いかにも楽しそうに剣を振り上げた。  
不吉なうなりと共に落下してくる、鋭い太刀筋・・・・  
紛れも無い殺意が込められた一撃を、蒼髪の少女はすんでの所で身を翻し、切り抜ける。  
しかしながら、息つく間もなく繰り出された第二撃は、  
<ヴァリスの剣>に頼らずにかわし切るには荷が勝ちすぎていた。  
 
「くっ・・・・」  
 
やむなく、自らの武器を実体化させる優子。  
しかし、<剣>を振るう腕の動きは極端に鈍く、消極的で、  
反撃はおろか、相手の動きを牽制するためのフェイント動作にすら、  
万が一、手元が狂って麗子を傷付けては、と躊躇う事がしばしばだった。  
そんな彼女を、もう一人の<戦士>は、汚物でも見るような目で眺めやりながら、  
斬撃を浴びせかけ、同時に、情け容赦ない罵声を飛ばして心理的に追い詰めていく。  
 
「それにしても驚いたわ。  
あんたみたいなグズがここまで生きて辿り着くなんて!  
自分の意思でこの世界に来た訳でもないくせに!」  
 
交差する聖剣と魔剣。  
刀身同士がぶつかり合うたびに、じぃん、と痺れるような感覚が優子の肘を突き抜ける。  
純粋に筋力だけを比較すれば、大差ないと言える一方、  
技量の差は一目瞭然で、荒々しく息を注ぐ蒼髪の少女がすでにびっしょりと汗をかいているのに対し、  
赤毛の少女は涼しげな顔つきのまま、呼吸にもまったく乱れた様子は無い。  
 
「じ、自分の・・・・意思ですって!?」  
 
信じられない、という表情で問い返してくる、夢幻界の<戦士>に、  
暗黒界の<戦士>は薄笑いを浮かべながら頷いてみせた。  
――――もしも、このとき、対峙する二人の様子を傍から眺めている者がいたとしたら、  
おそらく、彼は、その態度の違いの中に、単なる能力面での優劣以上の、  
<戦士>としての根本に関わる部分での格差を見出したに違いない。  
 
「その通りよ。ログレスの力を借りはしたけど、現実界を出たのは私自身が決めたこと。  
今だって、私は、あんたみたいに受け身で、イヤイヤ戦場に駆り出されている訳じゃない。  
そうよ、私はあんたとは違う・・・・戦いたいから戦ってるのよッ!!」  
 
ガキィィィン!!!!  
 
ひときわ甲高く、耳障りな音と共に、<ヴァリスの剣>が巻き上げられ、空中高く弾き飛ばされる。  
ヒュルヒュルと回転しながら、あらぬ方向に飛び去っていく銀色の軌跡を、愕然とした眼差しで追う優子。  
・・・・直後、喉元に突きつけられた漆黒の切っ先が、彼女から全ての動作を奪い去った。  
 
「フフッ、勝負あったわね、<ヴァリスの戦士>」  
 
ニヤリ、と唇の端を吊り上げる麗子。  
後ろで、ドボンッ!!と、派手な水飛沫が上がって、  
天空から墜落してきた聖なる武器が渓流の底へと吸い込まれていく。  
ゴクリ、と息を呑んだ敗北者は、表情を強張らせ、怯えに満ちた視線で目の前の親友を凝視した。  
 
「ま、まさか・・・・麗子?わ、わたしたち・・・・友達でしょう!?」  
 
赤毛の少女は答えを返す代わりに、  
黒々とした刀身を油断無く構えたまま、敗者の顔を、じっ、と睨みつける。  
深いラベンダー色の瞳の奥で噴き上がる暗い炎に気付いた蒼髪の少女は、  
恐怖に我を忘れ、歯の根も合わない程ブルブルと震え慄きながら、  
上擦った声で、情けない哀願の言葉をまくし立てた。  
 
「フン、やれやれ・・・・仕方ないわね」  
 
低く吐き捨てた麗子は、切っ先を下ろし、足元の地面へと突き立てる。  
一瞬、喜色を露わにしかけた優子だったが、  
かつての級友は静かにかぶりを振りながら、その誤りを指摘した。  
 
「勘違いしないで。私は情にほだされたりはしない。  
ただ、こうもあっさりとカタが付いたんじゃあ、面白くも何ともないから、  
もう少しくらいは遊んであげる事にしたの・・・・それだけよ」  
 
「あ、遊ぶって、どういう意・・・・んッ?うううッ!?」  
 
真意を量りかねて、混乱した表情を浮べる優子。  
だが、暗黒界の<戦士>は、もはや答えようとする素振りすら見せる事無く、  
少女の傍に走り寄ると、両肩を掻き寄せ、唇を奪った。  
そして、予想だにしていなかった行動に動転し、目を白黒させる彼女にはお構い無しに、  
生温かい唾液をたっぷりと含ませた舌先を口腔内へと捻じ込んでいく。  
 
「ふぶぅッ!!んむむ・・・・うう・・・・んむぅ・・・・んぶぅううッ!!」  
 
張り上げようとした驚愕の叫びが形の良い唇に吸い込まれ、弱々しい吐息の羅列と化してしまう。  
完璧な奇襲攻撃を成功させた舌先は、象牙色をした清潔な歯並びを押し割り、  
あまりの出来事に茫然自失となり、行き場を失っているもう一枚の舌へと絡みついた。  
一見乱暴な、だがその実、巧妙に計算し尽くされた技巧が、  
甘く痺れるような波動を生み出し、口の中を侵食し始める。  
 
(――――い、いやぁ!!)  
 
驚愕の大波の後に続いたのは、羞恥心の暴風雨。  
同性の、しかも、ついこの間まで同じ教室で机を並べていた人間に弄ばれているのだと思うと、  
みるみるうちに顔面が赤く染まり、目元には大粒の涙が滲んでくる。  
嫌悪感に表情を歪めた優子は、必死にかぶりを振りながら、  
ありったけの力を込めて麗子の肩を掴み、カラダから引き剥がそうと試みた。  
 
「チッ、往生際が悪いわねッ!!」  
 
想定外の抵抗に、一旦、唇を離す暗黒の<戦士>。  
・・・・だが、すぐに不敵な表情を取り戻した彼女は、  
口元を押さえながらえずき込んでいる物分りの悪い級友の、  
首周りを飾る深紅のスカーフに手をかけると、重心を前に傾けつつ体を引き寄せた。  
バランスを喪失した優子の身体は、大地の上に踏み止まれず、ブザマに宙を泳ぐと、  
川面に突き出した岩場の上へと落下して、したたかに背中を打ち付ける。  
 
「アハハハッ、おもしろ〜い!!  
戦士の体って、頑丈でいいわよねぇ。  
痛めつけてもなかなか死なないし・・・・ホント、嬲り甲斐があるわ!!」  
 
肩口で切り揃えた赤髪を打ち振りながら、麗子はケラケラと愉快そうな笑い声を上げる。  
たしかに、彼女の言葉通り、身に纏った黄金の甲冑のおかげで、  
砕け散ったのは優子の背骨ではなく、岩石の方だったが、  
その際に生じた衝撃の全てを防ぎ切る事は、さしもの<鎧>にも不可能だった。  
全身を貫く激痛に堪えられず、渓流の中をのた打ち回る蒼髪の少女・・・・  
どうにか岸に辿り着いた頃には、半死半生の体たらくで、もはや、身を起こす事さえままならなかった。  
 
「フフフ、だらしないカオ・・・・やっぱり、あんたはイジメられてる方がお似合いねぇ」  
 
頭上から降り注ぐ侮蔑の言葉。  
――――違う、と、否定しようとした優子だが、  
引き攣った口元から漏れ出したのは、消耗と疲労の極に達した弱々しい吐息だけ。  
フン、と小さく鼻を鳴らした麗子は、  
殆ど虚脱状態に陥って、ぐったりと横たわる蒼髪の少女の身体を仰向けに転がすと、  
ずぶ濡れ状態で太腿に張り付いている、丈の短いスカートの上へと屈み込んだ。  
 
「ふああ・・・・も、もう、止めてぇ・・・・」  
 
蚊の鳴くようなか細い抗議を完全に無視した暗黒界の<戦士>は、  
目の前の布きれを捲り上げ、大量の水分を含んで半ば透き通っている極薄ショーツに手を伸ばす。  
屈辱感を煽り立てるために、必要以上にゆっくりとした動作で摺り下ろしていくと、  
案の定、羞恥心に苛まれた少女は、満足に身動きも出来ない筈の体をビクビクと震わせながら、  
恥ずかしい谷間を隠そうと、濡れそぼった下半身を懸命に捩り合わせようとした。  
 
「どう、優子?今の気分は?  
クククッ、こんな事になるぐらいなら、剣でひと思いに殺される方が楽だったかもねぇ・・・・」  
 
サディスティックな笑いを満面に湛えながら、  
元クラスメイトは冷酷に指先を動かし、恥丘を覆う薄い草叢を撫で付けた。  
心ならずも、ピクンッ、と敏感な反応を返す、哀れな獲物に、容赦ない罵声を浴びせかけ、  
人差し指の先端を、大陰唇のラインに沿ってゆっくりとスライドさせる。  
 
「あはぁ・・・・うッ・・・・あああッ・・・・んう・・・・むふぁあああッ!!」  
 
喘ぎ声のトーンが、急速に激しく、小刻みなテンポになっていく。  
一方で、その表情からは苦痛の色が抜け落ち、嫌悪感も影を潜めて、  
こみ上げてくる妖しい感覚への、羞じらいと戸惑いの感情だけが際限なく脹らんでいった。  
しなやかな人差し指が湿った音を立てて秘裂を捲り上げ、媚肉の内側へと侵入を開始すると、  
喘ぎ声はますます強まり、息遣いもカラダの震えも加速度的に荒々しさを増していく。  
 
「あらあら、ちょっといじっただけで、いやらしいおツユがこんなにたくさん。  
あんた、処女のクセに敏感すぎるわよ・・・・まったく、最高のオモチャだわッ!!」  
 
薄くピンク色に色付き始めた耳元に、生温かい吐息を吹きかけながら、  
赤毛の少女は、心なしか厚みを増したように感じられる花弁の奥深く指先を没入させ、蜜を浚った。  
指先で銀色の糸を引く淫らな液体を舐め取り、自らの唾液と捏ね合せると、  
あまりの恥かしさに、顔を背けようと躍起になる優子を力ずくで振り向かせ、再び唇を奪う。  
麗子の意図に気付いた蒼髪の少女は必死に抵抗を試みたものの、  
すでに性感の虜となりかけていた口腔粘膜は、  
水飴のような粘りを帯び、何とも言えない淫靡な牝臭を漂わせる液体を易々と受け容れてしまった。  
 
「・・・・はぁッ・・・・はぁ・・・・んぅはぁぁ・・・・」  
 
喉の奥に、じゅわあああっ、と広がっていく、己れ自身の愛液の味。  
咽せ返るように濃厚で生臭い中に、ほんのりとした甘酸っぱさが入り混じる複雑な味覚は、  
執拗なまでの貪欲さで性感を求め続ける口唇愛撫と相まって、  
(麗子の読み通り)少女の理性と感情の双方を、千々に掻き乱していく。  
 
(あぁあ・・・・な、何・・・・何なの、この感じ?  
いやなのに・・・・こんな事されたくないのに・・・・何故・・・・どうして、こんなッ!?)  
 
カラダの奥底から湧き上がってくる得体の知れない快美感の前に、  
性の経験など無いに等しい優子は怯えすくみ、翻弄されるばかりで為す術を知らない。  
悪辣きわまる責めは、ウブな五感を着実に絡め取り、  
いまや、粘膜を這い回る、唇も、舌も、それどころか、唾液や吐息ですらも、  
一種の悪寒にも似た、名状し難いゾクゾク感を呼び起こす存在と化していた。  
生温かい舌先同士が、くちゅッ、くちゅッ、と卑猥な吸着音を立てながら絡み合うたび、  
えもいわれぬ悦楽が頭の中を席巻し、真っ白な靄が意識を飲み込んでいく。  
 
「他愛もない・・・・」  
 
くたぁ、と脱力し、腕の中に倒れ込んできた蒼髪の少女に、失笑を漏らす暗黒の乙女。  
ピチャピチャと卑猥な楽の音を奏で続ける秘裂からは、粘ついた液体が絶え間なく湧出し、  
半透明な光沢を湛えた小川となって、柔かい内股を濡らしていた。  
熱い涙滴の中でフニャフニャにふやけきった薄青色の双眸は、  
まるで悪酔いでもしたかの如く、トロリ、とした曖昧な光に包まれ、  
夢と現実の狭間で、甘く虚ろなまどろみを貪っている。  
 
・・・・くちゅッ・・・・くちゅッ・・・・くちゅるるッッ!!  
 
蜜壷へと挿入された指先は、いつの間にか2本に増え、  
さらに3本目が加わるのも時間の問題となっていた。  
まるで火傷しそうなくらいの火照りに覆われた膣壁粘膜は充血して厚みを増し、  
押し広げてやると、内側に溜め込まれていた大量の愛液がじゅくじゅくと溢れ出てくる。  
処女特有の、固く、ぎこちない動きは随所に残っているものの、  
少なくとも、膣道の内部では、すでに性への欲求が抵抗感を上回り、大きく引き離しにかかっていた。  
 
――――その事を確認した後、麗子の指は最深部へと前進していく。  
向かう先には、優子の純潔の象徴である、聖なる肉膜が無防備な姿を晒していた。  
 
 
 
――――TO BE CONTINUED.  
 

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