(・・・・どうして・・・・麗子・・・・)  
 
・・・・・・・・・・・・ピトン・・・・。  
 
『お別れのね・・・・』  
 
・・・・・・・・ピト・・・・ン・・・・。  
 
『ちょっと遠くへ』  
 
・・・・ピト・・・・ン・・・・。  
 
『行かなくちゃ・・・・』  
 
・・・・どうして・・・・私たちが・・・・!?  
 
 
 
――――――ピチャンッ!!  
 
暗がりの中。  
頬に触れる、何かひんやりとしたもの。  
 
(水滴・・・・?)  
 
おそるおそる顔を上げ、瞼を開く。  
余程、固く瞑っていたのだろうか、目が慣れるまでの時間が異様に長く感じられる。  
ようやく見えるようになった双眸に飛び込んできたのは・・・・廃墟と化した地下鉄のホーム。  
 
「な・・・・何?ここは・・・・」  
 
破壊の限りを尽くされた構内には夥しい数の死体が散乱し、  
溢れ出した血液が真っ赤な小川となって放置された骸の間を流れていた。  
錆びた鉄骨を思わせる独特な臭いが容赦なく鼻腔を刺激し、  
胸が悪くなるようなえずきが喉奥から込み上げてくると、  
蒼髪の少女はその場にへたり込み、真っ青になって胃液を吐き散らし始める・・・・。  
 
(・・・・そ、そうだわ・・・・あの、鬼みたいな化け物が現れて・・・・)  
 
次々とフラッシュバックする、陰惨な殺戮の記憶。  
 
・・・・地の底から這い出してきた、赤銅色の肌の醜悪な巨人・・・・。  
・・・・逃げ惑う人々・・・・振り下ろされる巨大な拳・・・・。  
・・・・断末魔の叫び声・・・・噴出する血飛沫・・・・破裂した頭蓋骨から飛び散る脳漿・・・・。  
・・・・紙人形のように引き千切られる胴体・・・・散乱する色とりどりの内臓・・・・。  
 
「やめてッ!!もう、やめてぇッ!!」  
 
激しくかぶりを振りつつ、泣きじゃくる。  
恐怖にひび割れた嗚咽が暗渠の底で幾重にも反響し、不吉な和音を奏で上げた。  
だが、血みどろのイメージの奔流は、本人の拒絶を無視して、いや、むしろ、嘲笑うかの如く、  
後から後からとめどなく溢れ返り、消耗した心を責め苛んでいく。  
 
アイザードの居城。地下研究室。  
 
「・・・・血中アドレナリン濃度上昇。心拍数増加・・・・」  
「・・・・データ採取、今終わりました。転送します・・・・」  
「・・・・よし。次の作業に移行する。パターンBを用意しろ・・・・」  
 
羊水に満たされた胎盤を連想させる、薄紅色の薬液の詰まった培養槽。  
中に漬け込まれた少女の顔が、一瞬だけ、苦悶に歪む。  
――――だが、周囲を取り囲んだ有翼の魔法生物達の手早い処置のお陰で、  
優子の意識は人工的な眠りへと誘われ、更なる悪夢のステージへと導かれていった。  
 
「・・・・パターンB、準備完了。投影を開始します・・・・」  
「・・・・各生体反応、概ね正常値。意識障害は確認できません・・・・」  
「・・・・脳波に注意しながら作業を続けなさい。異常があれば、ただちに報告を・・・・」  
 
廃墟。かつて、東京と呼ばれていた都市の残骸。その一角。  
 
「――――ぐへへへ、オネンネにはまだ早いぜ、お嬢ちゃん」  
「う・・・・うう・・・・」  
 
饐えた臭いを放つ野太い手に揺すぶられて、束の間の安息から引き戻される優子。  
涙に曇った瞳でぼんやりと見上げた空は真っ黒に煤け、  
まだ昼間だというのに、辺りは日没後の如く薄暗い。  
行き交う人々の喧騒に満ちている筈の商店街はシーンと静まり返り、  
訪れる者も無く打ち捨てられた墓地のような、不気味な死の気配が立ち込めていた。  
 
「まだ生き残ってる奴がいたか・・・・」  
「ヒヒヒ、しかも、女だぜ・・・・こいつはついてやがる」  
「まったくだ。オレらの分はもう残ってねぇとばかり思ってたんだがな」  
 
口々にはやし立てるのは、地下鉄のホームで人々を切り刻んだ怪物達と同じ、  
身の丈3メートルはありそうな有角の巨人達。  
彼らもまた、体毛の無いゴリラのような巨体は分厚い筋肉と赤銅色の皮膚で覆われ、  
少女の目の前で起きた惨劇の被害者のものではないが、  
凄惨さにおいては何ら変わるところの無い、大量の返り血と肉片で装飾されている。  
 
「い、いやぁ・・・・やめて・・・・放してぇ・・・・!!」  
 
弱々しく啜り泣きながら、表情を歪める蒼髪の少女。  
怯え竦む体を包んだセーラー服は土埃にまみれ、  
命からがら地下から脱出した際に、あちらこちらに破れやほつれを生じている。  
 
しなやかな手足には、植物とも動物ともつかない、緑がかった色の紐状の生物が絡みつき、  
全身の自由を奪い取ると同時に、ぞっとするような感触で心を凍りつかせていた。  
ヘビのようにうねる不気味な触手の群れは、  
地面から生えた、数メートルもあるサボテンに似た異界の植物の幹から伸びており、  
まるで味見でもするかの如く、獲物の身体を這い回っている。  
 
「へッへッへッ、そろそろじゃねぇか?」  
 
ニヤニヤといやらしい笑いを浮かべ、好色な目線を浴びせる怪物たち。  
直後、触手共の先端が、プゥッ、っと脹らんだかと思うと、  
むぅッとするような濃密な臭気を放つ、クリーム状の粘液が滲み出してきた。  
 
「きゃあああああッッッ!!!!」  
 
絹を引き裂く悲鳴が、廃墟と化したアーケードの中に響き渡る。  
恐怖に引き攣った視線の先で、おぞましい樹液に触れた衣服がジュルジュルと溶け崩れ、  
腐りかけの魚介類を思わせる異臭を発しながら、流れ落ちていく。  
 
「ヒィィッ!!か、身体が、溶けちゃうッッッ!!」  
 
狂ったように泣き叫びつつ、絡め取られた手足をジタバタと打ち揺らす優子。  
・・・・だが、不気味な植物から伸びた不浄の触腕を振り解くには、彼女は消耗し過ぎていた。  
反対に、五体を縛める緑色の拘束はさらに力を強めていき、  
それに比例して、おぞましい溶解液の分泌量も増大していく・・・・。  
 
「グフフ、別に暴れなくたって構わねぇぜ。そいつは体には害は無いからよ」  
「もっとも、暴れてくれた方が、邪魔な布ッ切れが早く無くなって嬉しいんだがなァ」  
「ヒャハハハッ、違いねぇッ!!オラ、嬢ちゃん、もっと派手に足掻いてくれよッ!!」  
 
(本人の意志とは無関係に)展開されるヌードショーに、  
周囲を取り囲む魔界の観客たちが黄色い声を放ち、卑猥な言葉を連呼する。  
悪魔の樹液は体には無害だと聞いて、わずかに安堵したのも束の間、  
合繊製のセーラー服とスカートの面積はみるみる減少し続け、  
ついには、蒼髪の少女のカラダの上から完全に姿を消し去ってしまった。  
 
(ああッ!?・・・・だ、だめぇッ!!)  
 
かすれきった悲鳴は、すでに言語としての態を成していなかった。  
今にも張り裂けんばかりに大きく見開かれた瞳の前では、  
ごく控えめなデザインのブラジャーが白濁した汚液と化して溶け消え、  
中から、サイズは目立って大きいとは言えないものの、  
色つや、形共にすこぶる健康的で、瑞々しく張りのあるバストが零れ落ちている。  
 
「おおッ、結構上玉じゃねぇか!?」  
「顔はまだガキだが、なかなかそそるカラダしてやがる」  
 
美しい獲物の肢体を見物人の目にもっと良く映るように、というサービス精神を発揮して、  
触手の群れは、彼女の体を高々と持ち上げたばかりか、  
しなやかな手足を割り拡げて、あたかも空中でバンザイをしているような格好にする。  
為す術も無く屈辱的な姿勢を強いられた囚われの少女は、もはや、思考すら途切れ、  
地上から湧き上がる欲情した歓声に包まれて、真っ青な表情でかぶりを振り続けるだけ。  
 
・・・・それでも、悪辣な触腕の魔の手が、  
残された最後の衣服――――秘部を覆う極薄のショーツへと近付いてくると、  
かろうじて羞恥の感情が恐怖心を上回り、悲痛な叫びを放ち上げた。  
 
「誰か・・・・誰かたすけてッ!!お願い、だれかあぁぁぁッッッ!!!!」  
 
救いを求める絶叫は、  
ズタズタに切り裂かれて骨組みだけとなった商店街のアーケードを越え、  
無人と化したオフィス・ビルの壁面に反射して、コンクリートの廃墟の間を空しく反響し合う。  
 
「ヒャハハハ、大声出したってムダムダ」  
「ここいらの連中は、全部オレたちが狩り尽くしてやったからよ」  
「まったく、ちょろい仕事だったぜ・・・・張り合いが無くって退屈だったくらいだ」  
 
声を嗄らして救いを求める優子に浴びせられる、嘲笑、侮蔑、罵声・・・・。  
何より、呼べど叫べど何処からも返事の来ない冷酷な現実が、抵抗の意志を急速に萎ませた。  
やがて、気力も体力も限界に達した蒼髪の少女は、  
五体をぐったりと脱力させ、代わって、双眸から滂沱の涙を溢れさせる。  
むっちりとした太腿に絡みついた緑色の陵辱者が、妖しくうねる触腕を恥部へと近付けてきても、  
もはや、指一本動かす事も出来ず、  
絶望しきった眼差しで、最後の砦が陥落する様を見つめているだけだった。  
 
じゅる・・・・じゅりゅるるッ!!  
 
サテンで縁取られた股ぐりの間から侵入した触腕が、  
少し青みがかった色合いの縮れ毛をそっとかすめ、ショーツの生地へと絡み付いた。  
クロッチ部分が、グググッ、と持ち上げられると、  
観客達は一斉にどよめき、欲情した視線が束になってその一点に押し寄せてくる。  
 
・・・・・・・・ぷつん・・・・!!  
 
儚い断裂音と共に、極薄の下着が弾け飛び、  
少女の肉体の中で最も秘されねばならない場所が公衆の面前に暴き立てられた。  
股間を撫でる冷え冷えとした空気の感触に、最後の望みを打ち砕かれた優子は、  
『いやぁ』という言葉の形に開いた口元から、悲鳴の代わりに、ヒュウヒュウとか細い吐息を漏らし続ける。  
これから自分の身に降りかかるであろう、おぞまし過ぎる運命を想像して生きた心地すらなく、  
蜘蛛の巣のように空中に張り巡らされた緑色の捕り網の上で、ブルブルと震え慄いている。  
 
「オイオイ、あんまりイジりすぎて壊すなよ?」  
「オレらの分もとっといてくれや」  
 
一糸纏わぬ美少女が怯え竦む姿に、嗜虐本能をそそられて、  
怪物たちの声はますます熱を帯び、獣欲のわななきを滾らせていく。  
一方、彼らの羨望を一身に集める形となった緑色の曲芸師たちもまた、  
熱烈な声援に応えるかのように肉鞭をくねらせると、  
太腿を限界まで押し広げ、未だ陰毛も十分に生え揃っていない恥丘を露呈させた。  
 
(いや・・・・おねがい・・・・やめ・・・・てェ・・・・)  
 
必死に脚を閉じようと試みる蒼髪の少女だったが、  
恐怖に支配された下半身は、全く意のままにはならなかった  
そうこうしているうちに、触手の群れは割り拡げた両脚を折り曲げにかかり、  
丁度、アルファベットの『M』の字の形に固定してしまう。   
そして、恥ずかしさの余り、卒倒寸前の彼女に見せ付けるかの如く、  
触腕の先端部分を、今度は、イソギンチャクのような繊毛状の突起物へと変形させるのだった。  
 
「ヒヒヒ、すげぇ眺めだなッ!!」  
「そいつに掻き回されたら、他の事はもう考えられなくなるぞォ〜!!」  
「気が変になっちまうかもなァ・・・・」  
 
次々と上がる卑猥な叫び声が、最後まで踏み止まろうとしていた理性を粉砕し、  
漆黒色の闇となって心の中を侵食する。  
フラフラと頭を揺らしつつ、花弁へと近付いてくる触手から身を捩る優子。  
繊毛に覆われた先端部は、先程の溶解液とは明らかに異なる半透明な体液に濡れまみれ、  
まるで獲物を追い詰めた猛獣が飛びかかる前に品定めをするかの如く、  
目の前に曝け出された未成熟な秘密の花園をじっくりと凝視していた。  
 
・・・・にゅるり・・・・。  
 
粘ついた感触が、生白い内股を左右同時に撫で上げ、  
すっきりと引き締まった下腹の表面をグネグネと這い回る。  
声にならない悲鳴を漏らした少女は、本能的に、残った力の全てを掻き集めて、  
秘貝の肉扉をきつく食いしばり、魔性の者達のおぞましい愛撫に対して、絶望的な抗戦の構えを取った。  
 
「・・・・あうッ・・・・ひああッ・・・・!!」  
 
ぷっくりと隆起した恥丘を這い上ってくる陵辱者たち。  
・・・・しかし、少女の予想に反して、彼らは決死の抵抗を試みる陰唇の堅城をあっさり迂回すると、  
その外れにある小豆大の突起・・・・莢の内側から半分だけ姿を覗かせた幼い陰核を、剥き上げにかかった。  
暗黒界のエンターテイナーたちは、植物然とした見かけによらず、獲物の弱点を探し当てる名人であり、  
何処をどう責め立てれば、最も効率的に相手を屈服させる事が出来るのか、経験的に熟知していたのである。  
 
「ふひぁあッ!?そ、そこは・・・・ひぁうッ・・・・だ、だめえェッ!!」  
 
肉突起によるブラシ責めの効果は覿面で、ものの一分と経たたないうちに、  
蒼髪の少女はあさましく総身をひくつかせ、盛大によがり始めた。  
膣穴と違って守る術とて無い女体の泣き所に何本もの繊毛が巻き付き、  
情け容赦なく、淫らな樹液を塗り重ねたのだから、無理もない。  
包皮を強引に引き剥がされ、強制的に露出させられた陰核が、  
今にも破裂しそうな勢いで、ビュクン、ビュクン、と痙攣を催すたび、  
信じ難いほどの性的な刺激が電撃の矢と化して脊髄を穿ち抜き、脳髄へと突き刺さる。  
催淫作用の含まれたヌルヌル液は真っ赤に充血した真珠玉の表面から体内へと浸透し、  
ヒリヒリと焼け付くような熱さを帯びた灼熱の性感となって、  
固く閂を閉ざした大陰唇と括約筋へと襲いかかるのだった。  
 
「ひぃ・・・・ぐぅうッ!!や、やめてぇ・・・・も、もう・・・・ひはぁあああッ!!」  
 
渾身の力を込めて封印を維持してきた秘密の谷間が、  
ブルブルと情けないわななきに包まれ、ギシギシと軋み始める。  
――――感じてはならない、ここで負けたらお終いだ、  
と、必死に歯を食いしばりながら、下半身の守りを維持しようとする優子。  
対する陵辱者たちは、陰核を執拗に弄ぶ一方で、  
陥落の瀬戸際にある大陰唇自体にも攻撃の矛先を向けてくる。  
 
「アアアッ!!だめッ・・・・もう、ダメッ・・・・我慢出来ないッ!!」  
 
綴じ合わされた二枚貝の間に出来つつある僅かな間隙を、目ざとく見付けた繊毛が、  
何とかして潜り込もうと、半透明な粘汁を潤滑油代わりに塗りたくりながらいやらしく跳ね回る。  
努力の甲斐あって関門を滑り抜ける事に成功した肉ミミズたちは、  
すでに愛蜜の滴に濡れそぼっている秘口に到達するやいなや、  
今までの苦労を倍にして返してやろうとばかり、猛然と掻き回しにかかった。  
 
「あ、あ、ああッ・・・・開く・・・・開いちゃ・・・・うぅッ!!!!」  
 
内側から込み上げてくる荒々しい性感と外側から忍び込んでくる微細な刺激・・・・。  
双方向からの波長の異なる責めは秘穴の中で複雑に絡み合い、  
絶妙なハーモニーを奏でて、最後の抵抗を捻じ伏せていく。  
愛液の分泌は自分自身でもそうと分かるほどに勢いを増し、  
花びらの表面を、ぞわわッ、ぞわわッ、と羽根箒木でくすぐられるようなむず痒さが走り回っていた。  
子宮の一番深い所から異様なゾクゾク感が湧き起こり、  
快楽の巣窟と化しつつある膣道を逆流して、封じられた肉門へと押し寄せてくる――――。  
 
「やぁッ・・・・んッ!!ひくぅ・・・・だ、だめ・・・・らめぇェッッッ!!!!」  
 
こじ開けられた秘裂に無数の繊毛が挿入され、一斉に蠢動を開始すると、  
ただでさえ淫熱を帯びていた陰唇粘膜が擦れて今にも燃え上がらんばかりになり、  
甘酸っぱく香る恥ずかしい蜜が、じゅわわわ〜〜ッ、と溢れ出した。  
内部からの水圧でパンパンに膨れ上がった尿道が、びくん、びくん、と、激しい痙攣を発するたびに、  
魚の嘴のように尖りきった尿道口から、ピュピュピュッ、と半透明な体液が迸り、  
膀胱に溜め込まれた水量が危険水位に達している事を露呈する。  
 
プッシャアアアッッッッ――――!!!!  
 
限界に達した括約筋が勢い良く弾け、  
鮮やかなサーモンピンクの充血花弁が、くぱぁぁぁッ、と、あさましく開花した。  
ひたすら堪えに堪えてきた膣道のヒダヒダが、  
流れ込んできた外気に触れた途端、狂ったように奮い立ち、  
細かく刻まれた肉溝という肉溝から、溜め込まれていた愛液がシャワーのように噴出する。  
 
「ふああッ・・・・しゅ、しゅごい・・・・しゅごいよォォォッ!!  
ひゃああッ・・・・らめぇ・・・・と、とまらにゃい・・・・とめられにゃいィィィッ!!!!」  
 
凄まじい肉悦の嵐が脳味噌をグチャグチャに掻き乱しているせいで、  
放たれる叫びは音程も外れ、呂律も回らなくなってしまっている。  
勿論、自分が何を喚いているかなど、とうの昔に判別出来なくなっていた。  
一呼吸おきに、陰核と子宮から、各々微妙に異なる性感のパルスが襲ってきては、  
頭蓋骨の内側で次々と炸裂し、視界を極彩色の光で埋め尽くしていく。  
心臓は今にも爆発しそうなくらいの勢いで律動を繰り返し、煮え滾る血液を送り込んでいたものの、  
狂乱を続けるカラダ――――とりわけ、脳と子宮――――の要求は過当さを増す一方で、  
破綻を余儀なくされるのは、もはや時間の問題だった。  
 
「ひぎぁァァァ!!・・・・ま、またぁ・・・・く、くるぅッ・・・・しゅごいの・・・・こみあげてッ!!  
いひぃッ!!も、もう・・・・らめぇッ・・・・こ、こわれひゃう・・・・ふひゃあぁああッッッ!!!!」  
 
瞼の裏側に、まばゆく輝く真っ白な光の塊が現れ、  
このまま失明してしまうのでは?と感じる程の猛烈な勢いで、広さと輝きの強さとを増殖させていった。  
恐慌に駆られた悲鳴とも快楽に酔い痴れる嬌声ともつかない、甲高い絶叫が大気を鳴動させるのと同時に、  
目尻からは涙滴が、口元からは唾液が、鼻腔からは鼻汁が、奔流となって溢れ出し、  
絶頂の快感に歪んだ少女の顔面をベチョベチョに濡れそぼらせていく。  
 
――――ぷしゃあッ!!!!しゃしゃあぁぁぁァァァッ!!!!  
 
最初の吐淫が終わらないうちに、第二、第三の潮吹きが秘唇を突き上げ、  
壊れかけの噴水宜しく、次々と巨大な水柱が空中に噴き上がって観客席に降り注ぐ。  
下半身から押し寄せてくる凄まじい快感が、  
理性も、思考も、感情も、一切合財を奈落へと押し流し、  
五体の全てを、底無しの欲情に奉仕する、肉奴隷へと変えてしまう。  
信じ難い程の衝撃を浴びた優子は、激しく全身を打ち震わせながら何度も何度も絶頂へと上り詰め、  
やがて、ショッキングピンクで埋め尽くされたイメージの底へと吸い込まれていった・・・・。  
 
再び、研究室。  
 
「・・・・脈拍数増加。呼吸回数、血圧共に正常値を上回っています・・・・」  
「・・・・脳波乱れています。神経系統に伝達障害の兆候発生・・・・」  
「・・・・これ以上は危険か。やむをえん。一旦、イメージ投影を中断する・・・・」  
 
昼夜兼行での意識走査と記憶改竄の連続作業は、  
選ばれたエリート達の能力を以ってしても相当な難事業だったが、弱音を吐く者は誰もいない。  
誰もが、アイザードのために働く事を当然の義務とみなしている共同体では、  
そのような惰弱な感情はあってはならないものだし、実際に存在していなかった。  
そう、彼女達にとっては、偉大なる主によって与えられた生命を彼の人のために捧げる事だけが、  
人生の最終目的であり、同時に、最大の喜びに他ならないのである。  
 
「・・・・脳波形状に変化。ノンレム睡眠状態からレム睡眠状態に移行・・・・」  
「・・・・意識走査、開始します。意識深度ゼロ、1、2、3・・・・」  
「・・・・意識深度ゼロからレベル7まで異常なし。レベル8から9にかけて投影体の定着を確認・・・・」  
 
意志を奪われた<ヴァリスの戦士>に対する精神操作は、  
禁断の魔道の技を駆使した的確な施術により、最終段階を迎えつつある。  
これに伴い、冷徹無比な研究者たちの動きも、異様なほどの熱気を帯び始めていた。  
何しろ、『造物主』に命じられた刻限まではまだ十分に余裕があり、  
彼からの賞賛という何物にも代え難い栄誉を獲得できる可能性は高いと言えるのだから。  
 
「・・・・よし。イメージ投影を再開する。パターンD準備・・・・」  
 
 
――――みたび、悪夢の中。  
無人の廃墟と化したオフィス・ビルの屋上。  
 
「・・・・う、嘘・・・・でしょ・・・・」  
 
眼下に広がる光景に絶句したまま、塩の柱と化したかのように立ち尽くす優子。  
目の前に広がる大地・・・・かつて、東京と呼ばれていた、地球上で最大の都市の一つ・・・・は、  
パニック映画に出てくる終末の状景そのままに、無数のクレーターに覆われ、醜く焼け爛れている。  
 
「そ・・・・そんな・・・・父さん・・・・母さん・・・・みんな・・・・!!」  
 
所々、市街地の残骸らしき一帯も残ってはいるものの、  
大震災にも耐えられるよう設計されていた筈の高層ビル群は、まるで将棋の駒のように押し倒され、  
より小規模な建造物――――公共施設、工場、デパート、学校、マンション・・・・、は、  
天空から降り注いだ悪意によって粉々に砕かれて、原形を留めているものは皆無に等しかった。  
 
溢れ出す涙を拭おうともせず、手すりから身を乗り出して自宅や学校のあった方角を遠望し、  
生命の残滓を見出そうと躍起になる蒼髪の少女。  
・・・・だが、視界には、ひときわ禍々しく地表を穿った隕石孔が黒々と口を開けているだけで、  
生きている人間はおろか、焼け残った樹木や草花の一本すら発見する事は叶わなかった。  
 
「これがログレスに狙われた世界の末路だ。  
命あるものはこの地上から消えてしまった・・・・」  
 
背後に立った青年の声が冷酷な現実を突きつける。  
 
優子よりも幾分背の高い、均整の取れた体躯。  
端正な面立ちと強い意志と理知の輝きを湛えたエメラルド色の双眸。  
赤茶けた砂塵混じりの強風に舞う、プラチナ・ブロンドの長い毛髪・・・・。  
足元まである水色の長衣を纏った姿は、  
アラビアン・ナイトの世界から飛び出してきたかのような現実離れした雰囲気  
――――もっとも、人食い鬼や謎の触手に比べれば、まだ安心できる部類だったが――――を漂わせている。  
 
アイザードと名乗った彼は、優男然とした風貌とは裏腹に、  
強力無比な風の魔力を駆使して、瞬く間に怪物たちを切り刻まれた肉塊へと変え、  
おぞましい宴から蒼髪の少女を救出し、安全な場所へと逃してくれた恩人である。  
同時に、地上で起きた出来事をかいつまんで説明してくれた人物でもあったのだが、  
真実を知った彼女の衝撃は大きく、今の所、その行為に対する感謝は受け取っていなかった。  
 
(・・・・麗子・・・・どうして、こんな事を・・・・)  
 
手すりにしがみついたまま、肩を震わせ、啜り泣きを漏らし続ける優子。  
暗黒界という名の異世界を統べる魔王ログレスとの盟約により、麗子が召喚した異界の悪魔達は、  
あの時目にした者達が全てではなかった。  
地下鉄での襲撃と同時に、世界中で暗黒の軍勢が出現し、虚空からは燃え盛る炎の塊が降り注いで、  
わずか一昼夜で、地上は死の世界と化してしまった――――と、語ったアイザード。  
彼の言葉が嘘でない事は、目の前に広がっている、  
廃墟となった市街と廃墟さえ残っていないクレーターだらけの荒野を見れば一目瞭然だった。  
 
「うっ・・・・うっうっ・・・・本当に・・・・みんな・・・・死んでしまったのね・・・・。  
わ、わたし・・・・一体・・・・どうすればいいの?」  
 
流れ落ちる涙が銀色の小川となり、  
引き裂かれたセーラー服の代わりに魔道士から手渡された、薄青色の長衣の襟を濡らしていく。  
家族も友達も一人残らず消え去り、家も学校も何もかも無くなってしまった世界で、  
一体、どうやって生きていけば良いのだろう?  
――――あるいは、こんな思いをするくらいならば、  
事情も何も知らずに、先刻の化け物達に殺されていた方が、ある意味、ずっとマシだったかもしれない・・・・。  
 
(そ、そうだわ・・・・いっそ、このまま・・・・手すりを乗り越えて・・・・!!)  
 
「――――まだ、全ての希望が消えた訳じゃない」  
 
まさしく絶妙と言う他ないタイミングで、小刻みに震える肩口に置かれた青年の手が、  
虚無の淵へと誘われようとしていた心を現実へと引き戻す。  
反射的に自分を振り返った少女に向かって、  
アイザードは、優しく、しかし、有無を言わさぬ強い口調で、ゆっくりと語りかけた。  
 
「まだ、君が残っている・・・・最後の希望である君が。  
君の力があれば、あるいは、世界を元に戻せるかもしれない」  
 
「・・・・希望?・・・・力?でも、わたしは・・・・ただの高校生で・・・・」  
 
蒼髪の少女の不思議そうな表情を、無言で受け止める異世界の魔道士。  
神秘的な輝きを帯びた緑色の双眸に見つめられて、  
泣き腫らした目元を瞬かせつつ、半ば無意識のうちに声を途切れさせた優子に、  
フッ、と小さく微笑み、一語一語、噛んで含めるように囁きかける。  
 
「・・・・君は、まだ何も知らないだけだ・・・・。  
君がその気になれば、この時空の支配者にだってなれるし、  
あの娘・・・・麗子を、暗黒の王から取り戻す事も出来るだろう・・・・」  
 
「・・・・本当に?わたしに・・・・わたしなんかに、そんな事が可能なの・・・・!?」  
 
手すりから離れ、自分の顔をまじまじと見上げてくる少女を、  
プラチナ・ブロンドの青年は両腕で引き寄せ、力強く抱き締める。  
 
「大丈夫。私が導いてあげるから・・・・」  
 
薄青色の瞳と碧色の瞳――――絡み合う二つの視線。  
二つの吐息が重なり、お互いのぬくもりが体を熱くする。  
トクン、トクン、と、胸の奥で律動を刻む心音が響き合うたび、  
二つのクチビルは近付いていき・・・・やがて、両者の距離は零となった。  
 
甘美な・・・・頭の中にあるもの全てを忘れ去ってしまいそうなくらい、甘く官能的な・・・・口吻け。  
巧妙ではあったものの愛情の一片も感じられなかった触手生物の肉ブラシとは全く異なる、  
どこまでも温かく、柔かい感触が、冷え切っていた感情を静かに溶かしていく。  
頬をくすぐるプラチナ・ブロンドは細くしなやか、  
擦れ合う肌は滑らかで、背中をさすってくれる指先はとても優しく、情愛に満ちていた。  
 
「・・・・君を、善き方向へ・・・・」  
 
「・・・・意識深度レベル10、投影体の定着を確認しました・・・・」  
「・・・・脳波正常。各生体反応、良好に推移。特に異常は認められません・・・・」  
「・・・・よろしい。では、優子さまを起こして差し上げなさい・・・・」  
 
研究主任からの許可が下りるやいなや、研究室の中に歓声が湧き上がった。  
誰もが、最後の関門をクリアして、唯一絶対の主人からの期待に応える事の出来た喜びに沸き立ち、  
温かいねぎらいの言葉と褒賞への期待感に胸を膨らませている。  
――――まだ仕事は残っている、気を抜くんじゃない、と、  
慌てて部下達を叱りつけた主任の声でさえ、何処となく浮ついた口調である点では変わり無かった。  
 
「・・・・さあ、お目覚めの時間ですよ、優子さま・・・・」  
 
誰かが口走ると、美少女たちは、一瞬、水を打ったように静まり返り、  
――――それから、一様に妖しい微笑みを浮べて、  
被験者の体を培養槽から真っ白なシーツの敷き詰められた寝台へと移動させた。  
そして、血の色をした薬液を拭き取り、全身に取り付けられていた電極やカテーテルを取り除きつつ、  
目の前の少女の様子を、素早く、かつ、詳細に観察する。  
 
邪悪さに満ちた眼差しの先にある肉体は、  
比喩的な表現を用いるならば、未だ完全に熟し切る前の青い果実、  
あるいは、開花を間近に控え、花弁の先端を僅かにほころばせ始めたばかりの蕾、といった所だろうか?  
ふんわりとしたマットレスの上に横たえられた、しなやかな肢体には、  
随所に年齢相応のあどけなさが残っているものの、  
胸元や腰周りにはやや早熟気味な豊かさの兆候も見え隠れしていた。  
やや色白だが、すこぶる健康的な色艶を帯びた乙女の柔肌には、  
黄金の光沢を帯びた<ヴァリスの鎧>がよく映えて、その美しさを一層引き立てている。  
だが同時に、この神秘的な甲冑は、彼女の肉体を巧妙に矯正する箍の役割をも担っている事実を、  
アイザードの側女であり、優秀な<戦士>でもある、有翼の魔法生物たちは鋭く見抜いていた。  
 
「あ・・・・うぅ・・・・」  
 
ベッドに移動させられてから数分後。  
人為的に低く抑えられていた体温が徐々に上昇し、血行が回復した優子が薄目を開ける。  
徹底的に繰り返された自我への介入の影響で、未だ思考の大部分は目覚めておらず、  
視界はぼんやりとして、顔色も優れないままだったが。  
 
「わた・・・・し・・・・」  
 
白衣を脱ぎ捨て、きわどいデザインの革の胴衣へと着替えた研究主任がそっと近付いてきて、  
未だ感覚の覚束ない右手を取り、やんわりと握り締める。  
指先から伝わる微かな温もりに、ほんの少しだけ正気を取り戻した少女は、  
ひどく擦れた聞き取りにくい声で、切れ切れに言葉を紡ぎ出した。  
 
「死ん・・・・だ・・・・の?ここ・・・・もしか・・・・して・・・・天国・・・・?」  
 
一瞬、居並ぶ侍女たち全員のクチビルに、ニィィッ、と、陰気な笑みが咲き誇った。  
直後、魔法生物の一人が、ぐぐッ、と身体を乗り出すと、  
未だ焦点さえ定まりきらない薄青色の双眸を覗き込みつつ、  
まるで、催眠術でもかけるように、ねっとりとした口調で囁きかける。  
 
「フフフ・・・・そう、天国に等しいトコロですわ、この場所は・・・・」  
 
――――どういう意味なの?と、問い返そうとした途端、  
美少女の両眼が赤々と燃え盛り、悪意に満ちた眼光が瞳を金縛りにした。  
ほぼ同時に、たっぷりと唾液で湿らせたクチビルが急降下して、  
開きかけた口元に覆い被さり、発しようとした質問を封じ込めてしまう。  
 
「むぅッ!?・・・・んふッ・・・・うむぅん!!」  
 
見開かれた目元に浮かぶ、驚愕と怯え。  
・・・・だが、巧緻を極める口唇愛撫の技の前に、両者はすぐに姿を消し、  
代わって、羞恥と欲情の気配が顔面へと湧き上がってきた。  
むにゅむにゅと擦れ合う柔かい感触に頬が赤く染まり、  
とめどなく注ぎ込まれる生温かい体液が、口腔粘膜を妖しく蕩かしていく。  
理性を取り戻しかけていた自我が、再び、すううっ、と希薄化していき、  
五感がフニャフニャと腰砕けになっていくのが自分でも良く分かった――――。  
 
「・・・・ん・・・・くッ・・・・んふぁ・・・・ふぁううう・・・・」  
 
抵抗らしい抵抗も叶わないうちに、口元がこじ開けられ、  
隙間から唾液をたっぷり纏わりつかせた肉ブラシが挿し込まれた。  
女体の一部と言うよりも、むしろ、別の生き物の如く器用に動き回る舌先が、  
唇の裏を、口蓋を、歯茎を、チロチロと舐めしゃぶっていくにつれ、  
頭の芯が、じぃん、と熱く痺れ、心臓の鼓動が激しさを増していく。  
 
(・・・・あはぁ・・・・だめぇ・・・・なにも・・・・かんがえ・・・・られ・・・・ない・・・・)  
 
忘我の境地へと誘われていく意識とは裏腹に、  
全身の汗腺は目を覚まし、毛穴という毛穴から甘酸っぱい匂いのする蒸気を立ち昇らせていた。  
滲み出した汗の滴が薄いピンク色に色付いた柔肌の上でキラキラ輝く様子は、  
まるで、何千個もの真珠を縫い付けたかのようで、殆ど神秘的ですらある。  
 
「むふぅ・・・・ふああ・・・・んあッ・・・・ぅくぅ・・・・くはあッ・・・・ふはあぁぁん!!」  
 
急速に高まりつつある性感のせいだろう、呼吸は荒くなる一方で、  
貪欲な愛撫の合間に漏れる吐息にも次第に欲情の響きが滲み始めていた。  
いつの間にやら、手足は微細なわななきに覆い尽くされ、  
体中が性感帯と化してしまったかのように、不規則な痙攣が至る所に噴き出している。  
 
「ククク・・・・大丈夫、さあ、気を楽にして・・・・」  
「恐れることはないわ・・・・」  
「力を抜いて・・・・私たちを受け容れるの・・・・」  
 
うなじへ、首筋へ、腋の下へ、脇腹へ、太腿へ・・・・、  
蛇のようにうねる細長い指先が這わされ、敏感なポイントを探り当てていく。  
丈の短いスカートが捲り上げられ、じんわりと蜜を含んだ純白のショーツが暴かれると、  
幾筋もの煮え滾る視線が降り注ぎ、陵辱者の動きが加速していった。  
 
「アイザード様がいらっしゃる此処は、まさに楽園と呼べる場所・・・・」  
「アイザード様は、とても慈悲深い御方・・・・」  
「あなたを正しく導いてくださるのは、世界に唯一人、アイザード様だけ・・・・」  
 
――――アイザード、アイザード、アイザード。  
・・・・幾つもの囁きが、聖歌隊の合唱の如く、幻想的な和音となって響き合う。  
高熱にうなされる病人のような表情で瞼を開くと、  
双眸に映ったのは、視界一面に重く垂れ込めたピンク色の濃霧の奥で赤々と瞬く、無数の瞳だけ。  
この世のものとも思えない恐ろしい光景に、本能的に叫び声を上げようとした瞬間、  
全身の性感帯をまさぐる手指の動きが急激に烈しさを増した。  
 
紡ぎ出された高密度な快感が高圧電流となって脳髄をしたたかに打ち据え、  
・・・・眼底の奥で弾けた真っ白い光が、小さな太陽となって意識を焼き尽くしていく。  
 
「ああッ・・・・ふはぁああッ!!!!」  
 
ジョボジョボジョボッ、と、生温かい液体が下穿きから溢れ、  
ピンク色に上気した内股を濡らしつつ、シーツの表面に薄黄色のシミを広げていく。  
濃密なアンモニアの臭気がベッドの周りに充満するのを感じて、  
周囲を取り囲んでいた有翼の魔法生物達が、さああッ、と身体を引き、  
・・・・続いて、一斉に嫌悪と侮蔑の入り混じった目線で、黄金色の液体にまみれた少女を睨みつける。  
 
当の優子はと言えば、膀胱内に溜まっていた水分を一気に放出した心地よさに酔い痴れ、  
童心に戻ったかのようなあどけない表情を浮べたまま、  
カラダの芯から湧き出でる肉悦に全身をあさましく波打たせていた。  
五感の中枢で起きた超新星爆発は、凄まじい衝動と化して未だ頭蓋骨の内部を吹き荒れており、  
脳味噌をグチャグチャに掻き乱して正常な思考を奪っている。  
視界はまばゆく輝く真っ白な火花によって埋め尽くされ、  
時折、極彩色の光のかたまりが、バァン、バァン、と炸裂しては、  
散々に打ちのめされ、ボロボロになった理性を、更なる業火で焼き焦がそうとしていた。  
 
「・・・・あらあら、大事なお召し物が汚れてしまいましたわ・・・・」  
「ウフフフ・・・・これはこれで情緒があって素敵ですけれど・・・・」  
「・・・・でもまぁ、脱がして差し上げましょう・・・・見苦しいものは、何もかも・・・・」  
 
痴態を曝け出した優子の姿に、自分達の役目を思い出した侍女達は、  
冷たい蔑みに満ちた笑いと共に、再び忘我の境地に佇む少女へと近付いていく。  
未だうっすらと湯気を立てる黄金色の排泄液に怯む事無く、淫らな愛撫を再開し、  
同時に、快楽に悶え続ける哀れな虜囚から、  
夢幻界の庇護を与えられた者の証である、<ヴァリスの鎧>を引き剥がしにかかった。  
 
――――パキンッ!!カラン、カラン、カラン!!  
 
呆気ないほど簡単に、守護すべき体から取り除かれた左右の肩当てが、  
大理石の石床へと放り投げられ、妙に乾ききった金属音が発生する。  
本来ならば、優子自身が望まない限り、取り外す事はおろか、触れる事さえ叶わない筈の聖なる甲冑が、  
何の抵抗も無く肌の上から滑り落ち、易々と敵の手に渡ってしまったという事実。  
・・・・それは、彼女を<ヴァリスの戦士>たらしめていた資質、  
すなわち、明暗の均衡がもっとも高い次元で保たれていた筈の精神に生じた、  
決定的な変容を何よりも雄弁に物語るものに他ならない。  
 
(<ヴァリスの鎧>が・・・・そ、そんな・・・・!!)  
 
さすがに事の重大さに気付いたらしく、ふらつく意識を叱咤し、上体を起こそうとする優子。  
だが、なけなしの気力を振り絞った抵抗の結果は、  
切迫した吐息と限りなく嬌声に近い喘鳴とが、周囲の空気を僅かに震動させただけに終わった。  
最後の反撃を粉砕した事に気を良くした魔法生物達は、  
今や、ベッドに抑え付けられ、身動き一つ出来ないでいる少女を嘲笑しつつ、  
<加護>の力を喪失した甲冑を毟り取り、あられもない姿へと変えていく。  
 
「あッ・・・・あう・・・・くぅッ!!はふぅ・・・・ううう・・・・ふあぅううッ!!」  
 
巧緻を極める愛撫に手足がクネクネと卑猥なダンスを踊り、  
寝台のスプリングが、ギシッ、ギシッ、と重々しく軋む。  
尻や太腿が執拗に舐め回されるたび、捩れる背筋に電流が流れ、  
見事な三日月形のカーブを描きつつ、弓なりにしなっていった。  
緩急を使い分ける舌技と指技の前に、各地の性感帯は次々と陥落し、  
扱き立てられた乙女の柔肌がゾクゾクと疼いて、あさましいよがり泣きが止められない。  
 
「・・・・忘れてしまいなさい、余計な事は・・・・」  
「・・・・不要なモノは全て脱ぎ捨てるの・・・・」  
「・・・・何もかも捨て去って、あの御方におすがりするのよ・・・・」  
 
肩当てに続いて、両腕を守る肘当てが、脛当てと一体化したブーツが、  
手際良く取り外され、脱力しきった身体から引き剥がされていく。  
今まで何度と無く、絶体絶命の危機を撥ね退けてきた防具が、  
為す術も無く奪い去られてしまった事実に打ちのめされる、囚われの<戦士>。  
無力感に苛まれる心には、めくるめく快楽に流されていく自分自身への嫌悪がジワジワと広がり、  
同時に、(略奪者たちの思惑通り)今や無力なガラクタと化してしまったヴァリアの<鎧>に代わって、  
新たに庇護を与えてくれる存在への渇望が密かに芽吹き始めていた。  
 
(・・・・そうだ・・・・わたしを・・・・助けてくれた・・・・あの人なら・・・・)  
 
脳裏をよぎる、偽りの想い出。  
絶望にひしがれていた自分を優しく抱き締めてくれた温かい抱擁が、  
生きようとする意志を取り戻させてくれた力強い眼差しが、まざまざと蘇ってくる。  
その記憶は贋物だ、アイザードは敵なのだ、と、僅かに残った正気が悲痛な叫び声を上げるものの、  
一旦、坂を転がり出した感情を引き戻せるだけの力は、もはや、何処にも存在しなかった。  
 
――――あの人だったら・・・・わたしをここから救ってくれる。  
――――あの人だったら・・・・もう一度、わたしにチャンスを与えてくれる。  
――――あの人だったら・・・・わたしを・・・・。  
 
(・・・・ああ・・・・アイザード・・・・さま・・・・)  
 
穏やかな微笑を湛えたプラチナ・ブロンドの青年の顔を思い浮かべるだけで、  
カラダの芯がじんわりと火照って、目元が、トロン、と酒に酔ったようにふやけていく。  
柔肌を這いずり回る指先の感触と身体の内側を灼く淫靡な感覚とが渾然一体となり、  
全身が羽毛のかたまりと化してしまったかのようなフワフワ感が五感を支配下に収めていった。  
 
――――ピキッ・・・・パキィィィンッ!!!!  
 
澄み切った音色と共に、優子の体に残った最後の守り・・・・黄金の胸当てが、  
双丘の谷間にある紅い宝石飾りの下に隠された留め具を断ち割られ、真ッ二つになった。  
汗ばんだ乳房の表面を滑り落ちる冷たい金属の肌触りに、  
いやぁっ、とも、いいっ、ともつかない、曖昧な鼻声を発する蒼髪の少女。  
 
際立って目立つ程のボリューム感はないものの、  
お茶碗を伏せた形の美しく整った二つの稜線はすでに十分蒸らされて、  
頂から山裾に至るまで透明な汗の粒にびっしりと覆われ、甘酸っぱい芳香を発散している。  
山頂にそそり立つ乳首は、今にも血を噴き出しそうなくらい、真っ赤に充血し、  
コチコチに固くなって、時折、プルン、プルン、と不規則なひくつきに見舞われていた。  
 
・・・・一瞬、その美麗な光景に息を呑み、静まり返った陵辱者たちは、  
我に返るやいなや、山開きの日を迎えた山男さながらに両目を血走らせ、  
聳え立つ銀嶺を征服する欲望を満たすべく、処女地に向かって押し寄せてくる。  
 
(くはあああッ!!気持ち良いッ・・・・気持ち良すぎて・・・・あ、頭・・・・真っ白・・・・にィ・・・・!!)  
 
肘当てを失った両腕は為す術もなく引き上げられ、  
ブーツから暴き立てられた両脚は大きくV字型に割り開かれて、  
各々、アイザードの侍女が一人ずつ、拘束と性感帯責めを受け持っていた。  
天蓋つきの豪勢なベッドの上には、さらにもう三人の魔法生物が上がり込んでおり、  
うち二人は、つい先刻、剥き出しになったばかりの乳房を左右から奪い合い、  
残ったもう一人が、黄金細工の飾り帯を抜き取られ、生白いウェスト・ラインが丸見えの下腹部から、  
全ての<鎧>を失った今、最後の衣服となったスカートと下着をずり下ろそうとしている。  
 
小気味良いリズムに合わせて揉み込まれていく、二つの乳房。  
頂上では、いつもは桜の蕾のように淡い色合いの肉豆が、真っ赤なバラの如く咲き誇っていた。  
外見からは想像も出来ないほど、優しく肌にフィットして保護してくれていた胸甲が消え去った今、  
熟しきった木の実のように脹らんだ乳首はカチカチに硬くしこり、  
ただでさえデリケートな表皮が一段と感度を増して、空気の揺らぎを感じただけでビンビンになっている。  
ましてや、直接、指先で摘み取られ、シコシコと擦られでもすれば、  
赤熱した焼きゴテを押し付けられたかのような灼熱感が乳腺の内側から溢れ返り、  
それだけで軽く達してしまいしそうになる程の狂悦が白濁した意識の中を駆け巡るのだった。  
 
(はぁッ・・・・はぁはぁ・・・・もう・・・・だめぇッ・・・・気がヘンになっちゃうぅッ!!)  
 
すでに、スカートは膝まで摺り下ろされ、  
少女の最も恥ずかしい部分を覆い隠しているものと言えば、  
飾り気の無いシンプルなデザインのショーツ一枚きり。  
その純白の下穿きにしても、これまでに加えられた色責めで滲み出した愛液により、  
じっとりと濡れそぼり、半ば透き通らんばかりの有り様へと変じている。  
 
このままでは頭がおかしくなってしまう、という優子の直感は、妄想でもなんでもなかった。  
実際に、あともう数回、快楽の電流がしなやかな体を駆け抜けたならば、  
間違いなく、優子の最も恥ずかしい場所は大洪水に見舞われ、  
溢れ出す濁流が最後の薄布を押し流してしまう事は疑いないだろう。  
 
キィ・・・・。  
 
蝶番の軋む不吉な音色と共に、寝室の扉がゆっくりと開け放たれ、  
不敵な微笑を湛えた男の、一糸纏わぬ裸身が、スルリ、と、部屋の中に滑り込んでくる。  
気配に気付き、慌てて礼をとろうとする侍女たちを無言で制し、  
そのまま、まるでかくれんぼを楽しむ子供のように息を殺しつつ、  
部屋の奥に設えられた、豪奢な天蓋付きのベッドへと忍び寄っていく、プラチナ・ブロンドの青年・・・・。  
 
「フフッ。<戦士>としての力が無ければ、鎧など役には立つまい」  
 
寝台の傍らに立った、彼――――暗黒五邪神が一将、風邪アイザードは、  
しばらくの間、冷え切った眼差しで横たわる蒼髪の少女をねめつけた。  
改めて確認するまでも無かったが、配下の魔法生物達の仕事ぶりは完璧であり、  
仰向けに転がされた優子のカラダは、薄暗がりの中でさえはっきりと分かるほど、完全に上気し、  
キラキラと光り輝く無数の汗粒によって覆い尽くされている。  
 
「はぁ・・・・はぁ・・・・んく・・・・はぁはぁ・・・・ふはぁん・・・・」  
 
涙に曇った薄青色の瞳は焦点を失い、ぼんやりと空中を彷徨っており、  
だらしなく半開きになった口元からは、涎の糸が銀色の小川となって流れ落ちていた。  
主の入室に驚いて作業を中断したらしく、花弁を隠せるギリギリの位置で停止した下穿きだけが、  
微妙な可笑しさを誘っていたが、同時に、何とも言えない官能の気配を漂わせてもいる。  
――――そう、真っ赤に熟しきって、今しも枝先から零れ落ちようとしている果実のような、  
際どいバランス感覚が醸し出す、喩えようもなく淫猥なエッセンスを・・・・。  
 
「待っていたよ、優子。君が私の元へやってくるのをね・・・・」  
 
執拗に繰り返された性感帯責めによって掘り起こされた欲情のせいで、  
しなやかさと適度な豊満さが同居する美しい裸身の上では、あさましい痙攣が引っ切り無しに噴出している。  
破れかけた肺腑の奏でる乱れきった吐息は瀕死の重病人のように切迫していながらも、  
女体の内側で燃え盛る欲望の炎によって沸騰し、触れれば火傷しそうな位に熱を帯びていた。  
 
「・・・・君は、自分が何者なのか分かっていない。  
目の前の敵をただ闇雲に恐れ、破壊するだけだ・・・・一体、何のために?」  
 
今の彼女の耳には届く筈もないと承知の上で、  
魔道士は、放課後、成績の悪い生徒に、昼間の授業の要点を再度教え聞かせる教師よろしく、  
虚ろな瞳で自分を見上げる虜囚に向かって、静かに囁きかける。  
案の定、表情を失った少女の反応は皆無だったが、  
アイザードは、焦点を結ぶ事すら忘却してしまった薄青色の瞳孔を覗き込んで満足げにうなずき、  
おもむろに、傍らの侍女・・・・優子の足元にいた一人に向かって合図を送った。  
 
「君が今まで見聞きした事の全てが真実とは限らない。  
・・・・本当は、優子、君自身が一番良く理解しているんじゃないのかな・・・・?」  
 
襟元を飾る深紅のスカーフが手際よく解かれ、枕元に置かれるのと時を同じくして、  
すでに膝まで下ろされていた白いスカートが完全に剥ぎ取られ、若鹿のような下肢が露わにされる。  
肉悦に蕩けきった視線を漂わせる少女の前を、  
純白のショーツが、半透明な愛蜜の糸を引きながら摺り下ろされ、  
内側にキュッと丸められた爪先の方向に向かって、ゆっくりと滑り降りていった。  
 
「今の君は、まるで、糸の切れた凧のような存在だ。  
誰かが傍らにいて正しい道を示してやらねば、いつか自分自身の力によって破滅するだろう・・・・」  
 
あたかも、陥落させた都に入城する征服者の馬前に捧げられる戦利品の如く、  
侍女によって恭しく献上される極薄の下穿き・・・・。  
クロッチの部分にたっぷりと染み付いた蜜汁が、  
玄妙なる芳香と化して鼻腔をくすぐり、牡の本能をズキズキと刺激するのを感じて、  
暗黒界の魔道士は、一瞬、ニィィッ、と、唇の端を吊り上げた。  
そして、何を思ったか、目の前で唾液を溢れさせている口元に指をかけると、  
抵抗する暇を与える事無く、手にした下着を、無理矢理、口腔に押し込んでしまう。  
 
「うッ・・・・んううッ!?んぐッ・・・・ぐッ・・・・うぐぅううう・・・・!!」  
 
突然の凶行に目を白黒させ、異物を吐き出そうともがく囚われの少女。  
そうはさせるものか、と、魔道士は居並ぶ部下達に目配せを送った。  
次の瞬間、寝台の上の五人から、十本の腕と五十本の指先が、一斉に優子へと襲い掛かり、  
抵抗する術とて無い身体を、快感という名の革鞭でしたたかに打ちすえ、絡め取ってしまう。  
自らの膣壁から湧き出した蜜汁の染み込んだ下着を咥えさせられたまま、  
半哀れな女囚は、窒息しかけた顔面を、ビクッ、ビクッ、と痙攣させた。  
恥辱に蒼褪めた頬筋を、銀色の涙が、つううっ、と伝っていく・・・・。  
 
「そうなってしまう前に・・・・私は君を導きたい」  
 
凍てつくような碧色の双眸の先では、  
大きく割り広げられた下半身の真ん中で、場違いなくらい鮮やかに咲き誇った媚肉の大輪が、  
ビュクビュクとあさましい戦慄きに包まれ、ぱっくりと口を開けている。  
滲み出した半透明な蜜は、花びらの縁を軽々と乗り越え、  
先刻の失禁によって出来た黄色い湿地帯に、白い水玉模様を描き込んでいた。  
 
「君と、・・・・そして、世界を・・・・」  
 
薄い笑みを浮かべたアイザードの唇が、咥え込まされた下着の端が飛び出した口元へと近付いていく。  
優男然とした外見とは裏腹に、彼の体躯は引き締まった見事な筋肉で覆われ、  
毛穴から滲み出る汗には、獣臭に似た荒々しい男性ホルモンが滲み出していた。  
くっきりと割れた腹筋の下には、ライオンの鬣を思わせる剛毛が密生し、  
逞しく振り返った雄々しい逸物が天に向かって聳え立っている。  
 
「より善き方向へ・・・・」  
 
荒々しい息遣いが、少女の頬を無遠慮に撫で回した。  
湧き上がって来た本能的な恐怖が、焦点を失くした薄青色の瞳に影を落とし、  
滲み出る涙滴となって、青白く引き攣った頬筋を流れ落ちていく。  
欲情を滾らせた口元が、猿轡を嵌められたまま、半ば凍えついた唇へと押し当てられると、  
侍女達によって抑え付けられた四肢の筋肉が、ビクッビクッビクッ、と跳ね回り、  
重厚な造作の寝台が、ギシッ、ギシッ、と大きく軋みながら揺れ動いた。  
 
――――ア・・・・アアッ・・・・アアアアッ!!!!  
 
動きを止めた優子の上に、鍛え上げられた牡獣の肉体が重ね合わされ、  
熱く燃え盛る肉の刃が、淫らな愛汁にまみれた花弁を、ズブリ、と正確に抉り抜いた。  
そのまま、一気に奥まで刺し貫かれた蒼髪の少女は、  
想像を絶する激痛と凄まじい喜悦の間で、狂ったようにのたうち回る。  
 
・・・・圧倒的な力によって捻じ伏せられ、犯し抜かれる自分の中で、何かが音を立てて崩れ去り、  
同時に、その残骸の間から、得体の知れない存在が立ち現れるのを感じながら・・・・。  
 
 
 
――――――――TO BE CONTINUED.  
 
 
 

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