麻生優子、桐島麗子、ヴァルナ・・・・日本テレネット『夢幻戦士ヴァリス』シリーズより。
『戦士集合!』は、PC版『夢幻戦士ヴァリスU』終了の数ヶ月後、という設定です。
従って、麗子は夢幻界の住人として転生を遂げています。
本能寺飛鳥・・・・竹書房『変幻戦忍アスカ』より。
『戦士集合!』では、麗夢やライディと共に、優子や陽子たち夢幻界側の<戦士>の敵として登場します。
シルキス・・・・二次元ドリームノベルズ『白翼の姫騎士ナイトスワニィ』より。
朱鷺田茜、紺野藍子、竹川みどり・・・・フランス書院『ブレイブガールズ〜異世界戦士・茜』より。
――――夢幻界。ヴァニティ城。
「はぉおおッ!!うぁッ・・・・あォおおおッッッ!!!!」
沐浴場の壁面に響き渡る、あられもない叫び声。
大理石のタイルで覆われた床に這い蹲らされ、牝犬のように腰を高々と持ち上げられた屈辱的な姿勢で、
肛虐の苦痛と快感に全身を打ち震わせているのは、この城の主の側近たる<ヴァリスの戦士>・・・・桐島麗子。
小綺麗に切り揃えた赤毛を無様に振り乱し悶絶するその横顔に、冷やかな眼差しを注ぎつつ、
白桃色の尻肉の間で、汗と腸液にまみれている恥ずかしい排泄器官を容赦なく責め立てているのは、
メタリック・シルバーの生体装甲に身を固めた、<変幻戦忍>・・・・本能寺飛鳥。
そして、彼女に命じられるがまま、両手両足を押さえ付けているのは、
淫術に敗れ、子宮に植えつけられた魔蟲によって意志を封じられた<戦士>たち・・・・
ララマザーの<白翼の騎士>シルキス王女と、<アルテナの三守護者>朱鷺田茜、紺野藍子、竹川みどり。
「フフ、あたしの術を喰らって、まだ屈服しないなんて、大した精神力ね」
半ば本気で驚嘆しながら、
飛鳥は、足元で苦吟する黒衣の<戦士>と、蕩け切った表情を浮べている4人を見比べる。
「こいつらなんて、膣内に蟲を捻じ込んでやったらあっという間だったのに。
・・・・さすがに、<ヴァリスの戦士>は鍛え方が違う、ってトコロかしら?」
辛辣な嘲弄に、シルキスたちの眉が、ピクン、と跳ね上がる。
・・・・だが、次の瞬間、彼女達のささやかな矜持は、
肉壷の奥から込み上げてきた淫靡な波動の前に雲散霧消してしまった。
「ハハハッ、ムダな抵抗はやめときなよッ!!
お前らみたいな三下に、あたしの術が破れるもんかッ!!」
嘲りの言葉に反論すら出来ず、
少女たちは情けない喘ぎを漏らし、全身をびくつかせる。
各々の身に纏った4色の甲冑――――シルキスのパール・ホワイト、茜のワイン・レッド、藍子のダーク・ブルー、みどりのエメラルド・グリーン――――の股間部分は、
まるで失禁でもしたかのように、半透明な蜜液にぐっしょりと濡れそぼっていた。
「あああッ、ダ、ダメ・・・・ダメですぅッ!!」
「無理だわ・・・・口惜しいけれど、あたしたちには無理・・・・!!」
「ひあぁあッ!!ア、アソコが熱くて、蕩けちゃいそうッ!!」
「お、お願いですッ!!も、もう逆らったりしませんから、この疼きをどうにかしてぇッ!!」
「フン、ザコの分際で楯突こうとするからよ。
まぁ、いいわ、今回だけは許してあげる。
余計な事は考えずに、おとなしくあたしの言うとおりにしてなさいッ!!」
その言葉と同時に、4人の子宮内で暴れ回っていた蟲たちがおとなしくなる。
ほっと安堵の息を漏らした少女たちは、なるべく麗子と目を合わさないように下を向いたまま、
命じられた通りに手足を押さえ付け、自由を奪った。
「く、くうぅッ・・・・!!」
唯々諾々と敵の命令を受け入れるしかない、<戦士>たちの惨めな姿に愕然となりながらも、
懸命に歯を食いしばり、肉体を蝕む魔悦に抵抗を試みる赤毛の少女。
すでに肌は滲み出した脂汗の粒でヌルヌルに濡れまみれ、
大きく左右に割り拡げられた太股の間からは生温かい愛汁が溢れ出して、
大理石のタイルの上に淫靡な水溜りを形作っていた。
「ウフフ、さすがに限界が近いようね。
もうアソコの中は催淫液でメロメロのハズ・・・・
ほら、クリトリスも肛門もこんなにプックリと赤く膨らんで、今にも破裂しそうじゃないッ!!」
ニヤニヤと笑いつつ、女忍者は、手にしたバイブを、ペロリ、と舐めた。
先程まで排泄器官を抉っていた責め具の先端は、
大腸壁から滲み出したネバネバ液に濡れそぼり、てらてらと妖しいぬめり気を帯びている。
「はぐぅッ!!・・・・あ、甘く見ないで・・・・これしきの責めで、私は堕ちたりしないッ!!」
気が遠くなりそうな快感の大波に流されまいと、
必死に理性を振り絞り、抵抗を続ける<ヴァリスの戦士>。
・・・・だが、気丈な口ぶりとは裏腹に、彼女の防戦は終局に近付きつつあった。
膣口と尻穴の両方から体内へと侵入した恐るべき魔蟲は、
今や子宮と直腸の奥深くに根を下ろして、強烈な催淫効果を帯びた体液をせっせと分泌し続けている。
「はぁはぁはぁッ・・・・あんなになってるのに、まだ堪えられるなんてッ!?」
麗子の右腕を固めていた<三戦士>の一人・・・・朱鷺田茜が、驚愕の声を漏らす。
両手の前後腕に巻きつく黄金細工の篭手に、膝下を守る銀製の脛当て。
『胸当て』の名前通り、着用者の乳房を隠すだけの面積しかない胸甲に、
ビキニタイプのアーマー・ショーツとパレオを思わせるスカート。
燃え上がるような真紅の色調で統一された甲冑は、しかし、今や、涙と汗と唾液とでぐじゅぐじゅに濡れそぼり、
バスケ部で鍛えた肉体は、酒に酔ったようにピンク色に上気している。
(ダ、ダメだッ!!我慢出来ない・・・・ま、また、イッてしまうッ!!)
三人の中では最も<戦士>としての適性に富み、使命感も責任感も人一倍だった彼女は、
他の二人が屈した後も、最後まで諦めず、魔性の快楽に対して抵抗し続けたものの、
何時果てるともなく押し寄せる肉悦の大波の前についに屈服し去り、
今では、完全に快楽の虜と成り果てて、命じられるがままに黒衣の少女の自由を奪っていた。
おぞましい触手生物に乗っ取られてしまった子宮が、ビクン、ビクン、と、あさましく飛び跳ねる度、
えもいわれぬ快美な電流が下半身全体を駆け巡り、熱く沸騰した愛液を生み出している。
「く、口惜しいですけれど・・・・わたくしにはとても真似できない精神力ですわ」
荒い吐息の下から相槌を打ったのは、
流れるような黒髪を夜叉の如く振り乱しながら、麗子の左肩を押さえ付けている、紺野藍子。
彼女の甲冑は、茜のものと良く似た形状だったが、
色は濃紺で、胸元やビキニラインの切れ込みも深く、際どいデザインとなっている。
その上、前はV字にがっちりと食い込み、後ろは尻の割れ目にぴったりと嵌まったアーマー・ショーツは、
秘所から溢れる大量の蜜汁を吸って、恥ずかしいデルタ地帯をギリギリと喰いしばっていた。
(あああ・・・・わ、わたくしには、とても耐えられないッ!!
恥ずかしい・・・・口惜しい・・・・で、でも、やっぱり、わたくしには・・・・!!)
数日前、衆人環視の中で大立ち回りを演じて以来、
赤毛の少女に対して、執念深くライバル心を燃やしていた<フッカイチョー>だったが、
必死に気力を振り絞っても到底堪え抜けなかった、淫ら忍術の秘技に、
これほどまでにしぶとく抵抗し続ける彼女の姿には、嫉妬心を意識せざるを得ない、という心境らしい。
もっとも、その想いは、麗子に負けてなるものか、と自分を叱咤する方向には働かず、
反対に、堪え性も無く肉欲に流されてしまう、弱い己れを蔑み、責め苛んで、
結果的に、自分自身を更に追い込んでいく悪循環へと追いやっていたのだが・・・・。
「あああ・・・・だ、だめぇッ!!手が・・・・勝手に動いて・・・・止まらないッ!!」
あられもない叫び声を放ち上げながら、
碧色の鎧の隙間から突き入れた指先で、ぐっしょりと蜜に濡れた秘所を掻き回しているのは、
<三戦士>の最後の一人・・・・竹川みどり。
三人の中で、最も発達したプロポーションを誇る彼女は、
同時に、性的興奮に対して最も耐性が少ない――――つまり、感じ易い体質の持ち主だった。
(ま、また・・・・暴れてるッ!!アソコの・・・・子宮の中で、触手がぁッ・・・・!!)
Dカップ、いや、Eカップはあるだろうか、高校生離れした巨乳が、
生汗を跳ね飛ばしつつ、ブルン、ブルン、と激しく揺れ動く。
茜や藍子の甲冑と違い、みどりのそれは、
上半身部分と下半身部分を守るパーツが分離していない、ワンピース水着の様な形状をしていた。
だが、いま現在、上半身の防具は自らの手で剥ぎ取られており、
下半身部分もまた、愛液に濡れそぼった指先を秘裂に出し入れする際の妨げとならないよう、定位置から大きくずらされてしまっている。
「ああッ・・・・申し訳ございません・・・・麗子さん・・・・で、でも・・・・わたくしには・・・・ひぁああッ!!」
ポロポロと大粒の涙をこぼしながら、謝罪の言葉を並べるのは、
<白翼の騎士>こと芸術王国ララマザーの王女、シルキス。
<アルテナの三戦士>たちより、やや年下であるためだろうか、
聖なる白鳥の力で物質化した純白の魔法甲冑に包まれたその身体は、
しなやかで均整の取れたプロポーションには違いないものの、
女性としての発育ぶりは、まだまだ、と言わねばならないものだった。
「あうう・・・・だ、駄目なんです・・・・!!
こんなコトいけないって・・・・耐え抜かなくちゃならない、って分かってても・・・・!!」
王族として己れの身を厳しく律する教育を受けてきたせいだろうか?
快楽に流されまいとして必死に抵抗を試みたシルキスだったが、
欲情に打ち克てなかった絶望も、その分だけ大きかった。
今や、白い肌を淫熱に赤く染め、華奢な手足を震わせながら無力さを呪うしかない彼女の中では、
完膚なきまでの敗北によって目覚めさせられてしまった被虐の快感が急速に勢力を増し、魂を蝕みつつある。
――――無論、それは、他の三人にも共通していた。
「そ、そんな目で見ないでよぅ・・・・」
「わたくしたちだって、抵抗はしたのよ・・・・でも・・・・」
「ダメなの・・・・どんなに頑張っても、この快感には・・・・」
屈辱感に身を震わせながらもなお、
媚肉を貫く魔性の喜悦には抗えず、咽び泣くだけの三人の<戦士>。
シルキスと同じく、少女たちの双眸は、厚く垂れ込めた絶望に覆い尽くされ、
刹那の快楽――――たとえ、敵に強いられての行為によるものであっても――――に耽る事によってしか、
性の奴隷と化した惨めな現実を忘却出来ない悲惨な精神状態へと追い込まれている。
「アハハハッ、それでいいのよッ!!
所詮、アンタたち三下は、ムダな抵抗などせずにヨガリ狂ってる姿がお似合いよッ!」
敗残の<戦士>たちの慟哭に、嗜虐の笑みを満面に浮かべる<変幻戦忍>。
汗粒にまみれた麗子の背中に、どっか、と腰を下ろすと、
尻穴にめり込んだ極太バイブを、これでもか、とばかりに、深々と押し込んだ。
魂も凍りつかんばかりの悲鳴を発して、床に崩れ落ちた赤毛の少女は、
想像を絶する苦痛と快楽に、呼吸すらままならず、
張り裂けんばかりに開いた唇を陸に打ち上げられた魚のようにパクパクさせる。
「ぐがッ・・・・はがぁあああッッッ!!!!」
「そぉら、お前も、もうイッちまいなッ!!
絶頂に身を任せて、何もかも全部忘れちまえッ!!」
失神寸前に陥りながらも、必死にかぶりを振る<ヴァリスの戦士>。
忌々しげに舌打ちを漏らすと、飛鳥は、ビショビショに濡れまみれた後ろ髪を掴み、
万力のような膂力で、タイル張りの床面へと押し当てた。
汗と涙、唾液、鼻汁、誰のものかすら判然としない膣液が渾然一体となったの汚れ汁の中に、
まるでボロ雑巾のように押し付けられ、引き摺り回される、赤毛の少女・・・・。
僅かばかりの酸素を得ようとして開かれた口元にさえ、容赦なく入り込んだヌルヌル液の感触が、
呼吸困難によって引き起こされる意識の混濁をさらに加速する。
――――――――そして・・・・。
ブシャアァァァッ!!!!
情けない破裂音と共に、括約筋の守りが決壊した。
膣襞に溜め込まれていた大量の愛潮が鉄砲水の如く噴出し、
断末魔の痙攣に喘ぐカラダの下に、巨大な水溜りを形作っていく。
凄惨を極めた死闘の最後にふさわしい、壮絶な屈服の瞬間を迎えた宿敵の上で、
勝利者たる女忍者は、狂ったような笑いを放ち上げた。
「アーハッハッハッ!!ついにやったわッ!!
これで、アンタはあたしの奴隷、ヴァルナも、夢幻界も、全てあたしのモノよッ!!」
――――その、刹那。
「させないッ!!!!」
凛、とした声に続いて、強烈な剣圧が、アスカの身体を横薙ぎに払う。
うっ、と呻きながら、反射的に体を反らし、
自ら床に転がり落ちる事で、かろうじて直撃だけは免れる、<変幻戦忍>。
・・・・もっとも、さすがに無傷とまでは行かず、
白銀と黒で彩られたディフェンス・スーツが肩口から脇腹にかけて大きく切り裂かれ、
グレープフルーツ大の乳房が、無様にまろび出てしまっていた。
「だ、誰だッ!?」
愕然として周囲を見回す飛鳥だったが、
答えを待つまでもなく、自分をこんな目に遭わせた人物の目星はついていた。
沐浴場の周囲に張り巡らせていた結界をものともせずに侵入に成功したばかりか、
いかに麗子への責めに没頭していたとはいえ、
<変幻戦忍>たる自分に充分な回避の暇すら与えず、斬撃を叩き込める人間など、
この城には――――否、おそらく、全ての多元宇宙を探したとしても一人しかいないだろう。
「優子ッ!!貴様の仕業かッ!!」
はだけた胸元を隠そうともせずに、アスカは、眼前に姿を現した、蒼髪の少女を凝視する。
対する<ヴァリスの戦士>は無言のまま、
静かに呼吸を整えて、いつでも第二撃を繰り出せる体勢を崩さない。
さらに、各々の武器を手に、彼女の両翼を固める<戦士>たち・・・・。
「あたしたちも一緒よッ!!」「よくも麗子をこんな風にッ!!」
「タダじゃ済まさないんだから、覚悟してよねッ!!」
<レダの戦士>朝霧陽子、<魔物ハンター>真野妖子、<ラルの聖戦士>キャロン。
クッ、と奥歯を噛み鳴らしたツインテールの少女に、銀色に輝く投げ短剣が襲いかかる。
反射的に、大きく後ろに跳躍して回避する<変幻戦忍>・・・・
その動きにタイミングを合わせて、
真紅の鎧に身を包んだもう一人の<戦士>が今まで彼女のいた場所へと駆け寄ると、
力尽きて床に倒れ伏していた麗子の身体を抱き起こした。
「――――大丈夫、気を失っているだけよ」
素早く脈を取り、無事を確認したのは、銀髪の少女・・・・<カナンの銀の勇者>レムネア。
的確な行動に、優子、そして、仲間たちの表情から、初めて、険しさが消えた。
「チッ、あたしとした事がッ!!」
レムネアにしてやられた、と気付き、激しく舌を打ち鳴らすアスカ。
「・・・・ヴァルナさまにお願いして、空間転移は封じて貰っているわ。
もう、何処にも逃げ場は無いわよ。おとなしく、武器を捨てて降伏しなさい」
対する蒼髪の少女は、<ヴァリスの剣>を油断無く構えたまま、極力感情を押し殺した声を発した。
・・・・だが、その語尾は、最愛の親友を傷付けられ、嬲り者にされた怒りによって小刻みに震え、
眼差しには、この場にいる人間の誰一人として目にした事の無い、苛烈な光が宿っている。
(くそッ、さすがに分が悪いな)
形勢逆転を悟る、<変幻戦忍>。
シルキスと<三戦士>は未だコントロール下にあるとはいえ、
彼女達が束になってかかったトコロで、優子には到底太刀打ちできないだろう。
麗子の身柄を押さえていれば、人質にとって動きを封じる手も使えた筈だったが、
レムネアの機転によってそれも不可能となってしまった。
・・・・となれば、残るは逃げの一手しかないのだが、
先程の言葉通り、周囲の空間には、この城の主によって何重にも結界が張り巡らされ、
突破するのは事実上不可能な状態にある。
――――だが、彼女には、まだ奥の手が残されていたのだった。
「残念、逃げ道ならあるわよ・・・・ほら、こんな所にねェッ!!」
甲高く叫んだアスカが、後方に大きく跳躍する。
予想外の行動に、5人の少女は、ばかな、と、一瞬、自分の目を疑った。
女忍者の背後には、沐浴場の壁とそこに貼られた大きな鏡しか無い。
――――だが、次の瞬間、少女達の鼓膜に響き渡ったのは、
クリスタル・ガラスの鏡面が粉々に砕け散る破砕音ではなく、
飛鳥から発せられた、けたたましい哄笑だった。
「な、何ッ!?」「ただの鏡じゃなかったのッ!?」
交錯する驚愕の声を尻目に、
鏡の中の<変幻戦忍>は、スーツの裂け目からまろびでた双乳を惜しげもなく晒しつつ、胸を反らした。
「フフフ、転移結界の力も、ココにまでは及んでいないみたいね。
・・・・フン、でもまぁ、今日のところはこれぐらいにしといてあげる。
次に会った時は、お前たち全員、あたしの蟲でヒィヒィよがり狂わせてあげるから、覚悟しておくんだねッ!!」
捨て台詞を残して、鏡の奥へと消えていくツインテールの少女を、
居並ぶ<戦士>たちは、為す術も無く、見送るしかなかった・・・・。
――――数刻後。
「・・・・どうなんですか、ヴァルナ様、麗子の容態は!?」
病室から回廊に出るなり、駆け寄ってきた優子を気遣ってのものだろう、
夢幻界の女王は、深い疲労を滲ませつつも、努めて穏やかな口調で返答する。
「大丈夫です。取り憑いていた悪しき存在は取り払いました。
今は疲れて眠っていますが、しばらくすれば元気を取り戻すでしょう」
「良かった・・・・」
心から安堵した面持ちの、蒼髪の少女。
そこには三界最強と謳われる<ヴァリスの戦士>の表情は無く、
親友の無事を喜ぶ、十七歳の女子高生としての素顔が浮かんでいた。
「シルキスたちも、落ち着いています。
休んではどうかと勧めたのですが、麗子が目を覚ましたらすぐに謝りたい、と言って聞きませんので、
ベッドの傍に付き添って貰っていますわ」
「そんな・・・・彼女達だって消耗し切っている筈なのに」
そうは言ったものの、優子には、同じ<戦士>として4人の気持ちも理解できた。
いかに不意を打たれたとは言え、飛鳥の忍術によって一方的にあしらわれ、
あまつさえ、目の前で苦しんでいる仲間に対して、何一つ助けを差し伸べられなかった無力な自分が、
口惜しくて、情けなくて、とても寝てなどいられない気分なのだろう。
「・・・・それで、鏡の奥に消えた、あの女忍者は、やっぱり・・・・」
ややためらいがちにヴァルナに問いかけたのは、
間一髪のところで、麗子を捕囚の運命から救い出した、銀髪の女勇者。
問いかけられた女王は、表情を固くしながら、慎重に答えを返した。
「ええ、残念ですが、行方の分からなくなっていた一人、
<変幻戦忍>こと本能寺飛鳥に間違いないでしょう・・・・」
「ま、まさかッ!?」「信じられないわッ!?」
「それが本当の事だとしたら、もしかして、ライディや麗夢たちも!?」
異口同音に驚愕の声を上げる、<ラルの勇者>、<レダの戦士>、<魔物ハンター>。
生まれた<世界>と<戦士>として選ばれた経緯は違えども、
<明>の力の加護を受けて、各々の使命を果たしてきた仲間が、敵となって襲ってきた事実への、
恐怖とショックが、彼女たちの心を冷たく鷲掴みにしている。
「確実にそうだ、と断定は出来ませんが、
ライディや麗夢たち、消えた<戦士>たちもまた、
我々の敵に与している、もしくは、与する事を強制されている可能性は否定出来ません・・・・」
見て下さい、と、<幻想王女>は空中を指差した。
指し示す先に、淡いエメラルド色の光点と同じ色の光条が現れ、
幾重にも交差しながら、蜘蛛の巣のような立体映像を描き出していく。
「・・・・これは?」
「平行世界の相対位置と相関関係を視覚化したものです。
平たく言えば、<現実界>を構成する無数の<世界>の地図・・・・
そう、あなた方の言葉で言えば、『天球儀』のようなものですわ」
「無論、ここに映し出されているのは、平行世界の中でも主だったものだけ。
<現実界>の名で総称される<世界>の総数は、わたくしですら正確には知り得ません。
――――もしかしたら、母上ならば、正確な数を把握されていたのかもしれませんが・・・・」
小さく嘆息を漏らす、当代の<幻想王女>。
先代の女王であり、実の母でもあったヴァリアの跡を襲ってしばらく経つが、
未だ<夢幻界>の勢力は小さく、結果として、時空は常に不安定に揺れ動いている。
「ログレス、メガスとの戦い、そして、彼らが滅んだ後、現在に至るまで続く<暗黒界>の後継者争い。
それらがもたらした混乱によって、多元宇宙の均衡は大きく崩れつつあります。
無論、わたくし達は努力を続けていますが、一度傾いてしまった天秤を元に戻す作業は容易ではありません。
今こうしている間にも、時空の何処かで、幾つもの世界が消え去り、あるいは、生まれ出ようとしているのです」
「・・・・・・・・」
無言のまま、優子は、エメラルド色に光り輝く天球儀を眺めやった。
己れ自身、そして、麗子を守るための戦いだったとはいえ、
ログレスやメガスを打ち破り、彼らを永劫の闇へと帰した事が、
<明>と<暗>の均衡を乱し、新たな危機をもたらしてしまった、という皮肉な現実は、
胸の奥に小さなトゲとなって突き刺さっている。
強大すぎる<ヴェカンタ>の力が<現実界>を混沌へと引き摺り込むのと同様に、
強大すぎる<ヴァリス>の力もまた、危険極まりない存在となり得るのだ――――と。
「・・・・あまりにも漠然とした話で申し訳ないのですが、
わたくし達は、今回の一連の事件と関わりのある<世界>があるのでは?と分析しています」
「関わりのある、<世界>?」
思わず、身を乗り出す<戦士>たち。
夢幻界の女王は、慎重に言葉を選びつつ、重大な事実を告げる。
「残念ながら、現時点では特定できていません。
・・・・ですが、手がかりならばあります。
わたくしによって召喚された訳でもないアスカが、どのようにしてこの城に潜入出来たのか?
わたくし達はその方法を突き止めたのです」
「!!」
「<鏡面世界>・・・・鏡の中に存在する世界を通って、彼女は幾つもの次元を行き来しているのです」
――――――――TO BE CONTINUED.