――――――――夢幻界。ヴァニティ城。食堂。
十分に熱せられた鉄網の上、脂の乗った極上の肉片の焼ける香ばしい匂いが、
集まった<戦士>たちの食欲を掻き立てていた。
じゅうじゅうじゅう。
「やっぱ、仕事が終わったあとは焼肉だよねぇ」
「そうですね」
「ちょっとぉ、麗夢ったら、何ブツブツ言ってんのよ?気持ち悪いわね」
ジュウジュウジュウ。
「な、何よッ!陽子、私は今のこの幸せの・・・・って、ソレ、私が焼いてたヤツじゃないッ!!」
「うっさいわねぇ、誰がどれだなんてセコイ事言わなくたって――――ったくもう」
じゅーじゅーじゅー。
「セ、セコイとは何よ、セコイとはッ!!私はね、タン塩が大好きなのッ!!」
「カンケーないでしょ。てゆーか、肉ばっかり食べてると太るわよ、野菜も食べたら?」
「あ、ウーロン茶二つお願いします」
じゅーじゅーじゅー。
「ちょっとぉ、レムネアもさっきからヒレ肉ばっか食べないでよねッ!!」
「もう、麗夢ったら、いい加減に仕切るのやめなさいよ。ほら、カルビだって食べてるじゃない」
「レムネアは年寄りなんだから、ヒレ肉食べるのは仕方ないわよ」
ガシャン!!!!
「な、なんですってェェェッ!!」
「麻衣ッ!!アンタもさっきから見てれば、レバ刺しと御飯ばっかり頼んで。
今日は焼肉なんだから、肉を焼きなさいよッ!!」
「人がどういう食べ方したって良いじゃないですかッ!?
それより、麗夢さん、ツバを飛ばさないで下さい、汚いからッ!!」
「キャロン、あたしゴハンおかわりね」
「はい、わかりました」
じゅうじゅうじゅう。
「私は汚くなんかないわよッ!!
ちょっと、キャロン、サンチュはそうやって食べるんじゃないのッ!!」
「え、だって、面倒だなぁと思って・・・・」
「も――――ッ、いい、見ててよ?
こうやって焼いた肉を葉っぱの上に取るでしょ、そして、こっちのミソをつけてぇ・・・・。
でもって、こう、巻いてから、ん――――うまいッッッ!!!!」
がちゃがちゃ。
「クッパ頼んだの、誰?持ってきてくれたわよ」
「・・・・あ、私です。ビビンバはキャロン?」
「きゃあああッ、エビの頭から、変な液体がッ!?」
じゅーじゅーじゅー。
「え、あたしじゃないよ。レムネアじゃない?」
「私?頼んでないわよ。麗夢じゃないの?」
「私はね、焼肉とゴハンだけなのッ!!あとはいらない!!」
「じゃあ、あたしが食べるわ。いいっていいって」
だんッ!!!!
「だーかーらー、さっきからヒレばっかり食うなって言ってんのにッ!!」
「なによ、そういう麗夢だって、上ロースばっかり食べてるじゃないのよッ!?」
「あち――――ッ!!ネギの中がっチチチッ!!水、水持ってきて、早く――――!!」
ジュウジュウジュウ。
「骨付きカルビ来たよ・・・・?」
「あ、こっちこっち、コレがまた、美味いのよぉ!!」
「コーラください」
パチンパチン。
「そういえば、優子と麗子はどうしたの?」
「えっと、『おスシ』ってのを食べに別の部屋に行ったみたいだよ」
「あ――――、私もお寿司の方が良かったなぁ!!」
「麻衣ッ、さっきから聞いてれば、アンタには焼肉を食べる資格は無いわ!!出てってちょうだい!!」
ガタンッ!!――――ガシャァァアンッ!!!!
「・・・・で、出て行けばいいんでしょッ!!
何よ、麗夢なんて・・・・私だって・・・・私・・・・だって・・・・ううう・・・・!!」
「あーあ、泣かしちゃった。あたし、知ーらないっと」
「さすがに、大人げないわよ」
「麻衣・・・・大丈夫かしら?」
「・・・・も、もう、なによ、麻衣ったら、焼肉ぐらいで本気で泣き出したりしてッ!!
――――って、もう、何度言えば分かるの、ヒレばっかり食べないでよ、レムネアッ!!
陽子も、そんなにゴハンばっかり詰め込んで、気持ち悪いッ!!
キャロン、デザートを食べるのはまだ早・・・・あああッ!?」
――――――――バキッ、ボコッ、ドガァッ・・・・!!!!
<完>