「再びお目にかかれたことを嬉しく思います。」
どんな運命の因果か
目の前にいるのはかつて自分が唯一愛した女性。
フレイア神の加護を受けたかけがえの無い存在。
彼女が国王の下から逃げ出し、その日以来共に過ごした幸せな日々。
子供にも恵まれ、以前なら鼻で笑い飛ばした人並みの幸せな生活が
自分にも送れるのではないかと錯覚するほどに。
しかし待っていた結末は、邪悪な魔術師として自分に与えられた死と、
そして彼女らには不貞の王妃と、その不義の子という烙印というものだった。
死後に己の評判と、彼女が自ら命を絶ったと聞いたときには
王も、世間をも恨んだ。
しかし今、自分も彼女も運命の女神の手によって、生前そのままの姿を現わした。
冷たい目をした戦乙女に感謝しよう。
そしてもう一度、彼女を抱き締めよう。
はかなげで無鉄砲な世界一美しい彼女を。
「リリア。」