ふざけんじゃねぇ!
こんなクソ田舎からとっとと出て行きたいところだが、海賊ごときで船が出せないだと?!全く、ここのやつらは皆平和ボケしてやがる!――エルドはそんなことを延々と考えている。
何も、ゾルデの穏やかな雰囲気が彼の性に合わないだけではない。あの煩い女が皮肉にも隣に住み付いたのだ。
何か話しかけられたらどうしよう?まぁあの頃は互いにいろいろあったから突き返すわけにも行かない。面倒だから会わないようにしよう。
エルドは頭から邪念を振り払うと、空気の入れ替えのため窓を開けようとした――そのとき。
「やっほ――♪遊びに来たよ――――ん!」フィレスだ。
「うぇ……」
来たよ、煩いのが……だがもう遅かった。
「聞いて聞いて!さっきヴィルノアの花屋に行ったらね、花屋のむっちゃカワイイ女の子が――あ、でも私には及ばないよ!ぜんぜん!それでね、なんでも期間限定だって言ってね、ジャスミンティー分けてくれたんだよ!」
「あー……はい、そうですか……」
聞き流したいところだが、ここまで詰め寄られては何も出来ない。仕方ない、今回ばかりは最後まで話を聞いてやろう。だが次は無いぞ!
「それでさ、ちょうど二人分あるから、誰か一緒に飲んでくれる人いないかなーって、もちろん一緒に飲んでくれるよね?ね?」
「あ、ああ……」
部屋の中の円卓には椅子が一つしかない。なのでベッドに座って飲むことにした。ナイトテーブルはそれほど大きくないから手がぶつからないようにしなければ。
フィレスは慣れた手つきで紅茶を淹れる。
「ねぇ、砂糖いる?実はね、この砂糖もわざわざクレルモンフェランまでいって取り寄せたんだよ」
「え……まぁ……あるんだったら入れてくれ」
「ところでさぁ……正直、姉さんのことどう思う?」彼女はエルドの隣に座ってきて言った。
「アイツ?……ゼノンに賛同したとかなんだとか言っていたが……どうだかな」
「ふー……ん」フィレスはなにやらニヤニヤしている。
この直後、エルドはやはりこの女を家に入れるべきではなかったということを痛感させられる。彼はフィレスにベッドに押し倒されたのだ。
「?!」
彼女はそのまま隠し持っていた細い布でエルドの両手を縛り、頭の上に上げてベッドの飾り部分に括りつけて解けないようにした。
「テ、テメェ、何しやがる!解け!解かないとぶっ殺すぞ!」
「あんたのせいでねぇ……姉さんがどれだけ惨めな思いしたと思ってんの?!姉さんはあんたらに捕まったあとあんたに毎日毎日責められて、ぼろぼろだったんだよ!」
あの拷問のことだ。あれは軍部でもほかに話してはいないから、おそらくセレス本人が打ち明けたのだろう。
「だから……ここであんたに全部お返ししてやるんだから!」
「テメェ自分で何してんのかわかって…………っ?!」突如エルドの体がビクンと痙攣し、目が見開かれる。
(……来た)フィレスはにやりとした。
「か、体……が……熱いっ……!……何を……し……た?!」
「ふふふ〜ん、紅茶に入れたのは砂糖じゃなくて媚薬だよ。でもね、クレルモンフェランで買ったのはホントだよ」
その間に彼女はエルドのズボンを弄り、前を開けさせた。媚薬のせいかすでに天を仰いでいた。
フィレスはそれを右手で覆い、軽く握ってみる。もうそれはびっくりするほどに硬くなり、少し触れただけでも脈打つのが感じられた。
「あ…………くぅっ……!」彼は歯を食いしばり、下腹部から生まれる快楽に耐えることしか出来ない。括り付けられた布が手首に食い込み、赤い痕を残している。
彼女はそのままそれをくわえ込んだ。舌で十分に翻弄し、唇で根元を刺激する。
「はぁ…………はぁ……っ!」一方、エルドのほうは汗が止まらない。媚薬のせいでほんの少しの動きでも快楽に思えてしまう。
とうとう、彼はフィレスの口の中に熱いものを放った。そして、コクリという小さな音が聞こえた。
「ふぅ……」彼女はうれしそうな顔で一息ついた。エルドはいまだに喘いでいる。
「もう……やめてく……れ……おかしく……なり……そう……」
「……嫌よ」
フィレスはそっけなくそう言うと、自らも下を脱いだ。そして、再び彼にのしかかって自らの秘所に彼のそれをあてがった。
「うあっ……!」彼女の秘所はもう熱くなっており、それを感じたら余計に大きさと硬さを増してしまう。
その間にも、秘裂を何度もなぞらせ、そのたびに愛液がこぼれる。
「…………いくよ」
とうとうそれが秘裂を押し分け、中に入っていった。愛液がとろとろと流れながらも、徐々に秘裂の間にうずまっていき――二人は完全につながった。
「…………っ!」彼は目をつぶった。
フィレスが腰を振りはじめる。
「……ぅんっ!あんっ!……あんたの中……熱……いっ…………んっ!」
互いの動きが激しくなり、そのたびに秘所からはぐちゅぐちゅという淫乱な音が響き渡っていた。
「うぅ……や……やばいっ……出……る!」
エルドの脳内はスパークし、再びフィレスの中に種を放った。
「……テメーよくもこの俺を……!」エルドはまだ頭がくらくらする。
「いいじゃない。楽しかったしさ。また来てもいい?」
「もう来るな!」
フィレスはそそくさと帰ってしまった。内心、エルドはこんな週末もありか、と考えている。だがやはり面倒だったのか、結局はこういう結論に達した。
鍵を取り替えよう――。