「きゃあっ!」  
 ルインは左脚に大きな傷を負っていた。スペクトラルナイトの槍が突き刺さったのだ。  
 ドラゴンオーブがない今、この奉竜殿はほぼ遺跡と化している。それでもかつて此処に眠っているであろう宝物を求めて入り込んだ旅人たちが遺したものがあるかもしれない。それを求め、アリーシャに自由を与えられたルインとファルクスは此処に居た。  
「大丈夫か?!」アイアンゴーレムを片手で捩じ伏せたファルクスが叫ぶ。  
「う……うん、でもキリないよぉ!」  
 確かに、月のレリーフが掘られた扉の向こうからはまだたくさんの魔物が入ってきている。  
「あっちの小部屋に逃げるぞ!」ファルクスは怪我をしてまともに歩けないルインを背負うと、もう一方の扉めがけて歩く。途中襲い掛かってきた魔物たちは空いた手で追い払う。  
 一辺が六メートルほどの小部屋に出ると内側から扉を閉め、大剣を閂代わりにして開かないようにした。  
「……これで大丈夫か」  
 ファルクスはルインを段差に座らせ、包帯を取り出し、必要な長さに歯で千切って彼女の脚に巻いた。  
「いたた……」  
「情けないな。仮にもアンタトレジャーハンターだろ?」ファルクスは微笑した。  
「煩いなぁ。アタシだってミスするときゃするのよっ。アンタのほうこそ、罠かなんかもっと用意してくりゃよかったのに」  
「これだけの数には対応できねぇ」  
 二人は暫く黙り込んだ。扉の向こうではまだ魔物が蠢くような音がするが、扉をこじ開けようとするような兆しは見られない。  
 だが、ファルクスは感づいていた。ルインの様子がおかしいことに。  
「……どうした?具合でも悪いのか?」  
「怖……い……」ルインの口からは確かにそう聞こえた。  
「え……?」  
「一人で……死にたくないの……暗くて……寒くて……淋……しい」そして彼女はファルクスに抱きついてきた。  
 ルインはあの薄暗く寒い遺跡で、たった一人で死んでいった。表には出さなかったものの、そんな彼女の悲しみがファルクスには痛いほど分かった。彼もまた、両親を不死者に殺された過去を持つからだ。  
 だが、どう声を掛けたらいいのか分からない。彼はただ彼女の体を抱きしめてやることしか出来なかった。  
「あったかい……」ルインは微笑んだ。そして、いきなり口づけをした。  
「…………!」  
 彼女はファルクスの下半身に手を伸ばし始めていた。  
「ねぇ…………して」  
 ファルクスは一瞬固まった。  
「いいでしょ?……お願い」  
 彼は暫く戸惑っていた。だが、徐々にある感情がこみ上げる。  
(ああ……でも……この女を……めちゃくちゃにしたい……!)  
「きゃ……!」  
 ファルクスはルインを押し倒し、強引に唇を奪った。  
「んんっ…………」   
 彼は顔を上げると言い放った。  
「……そんなに欲しいならくれてやるよ……!」  
 彼はルインの鎧を無理やり外し、木綿の服だけにした。そして服の上から右の乳房に吸い付いた。  
 
「んっ…………ぁんっ……」 彼女の顔は歪んでいたが、そのおくには明らかに快楽に溺れているとも取れる表情が見えた。  
 彼はそれだけでは足りなかったのか、彼女の下着の中に手をねじ込む。そのまままだ濡れていない秘所に指を挿し入れた。  
「ひっ……ぐぅっ!」その痛みに耐えかねたルインの体が弓なりになり、首を左右に激しく振る。だがファルクスは空いたほうの手で彼女の頭を押さえつけた。  
「…………あんまり動くと痛い目に遭うぞ」  
 ルインの秘所の中で指が蠢く。徐々に蜜が溢れてきた。それを指に絡め、主張し始めた突起を擦る。  
「はぅん、うんんっ…! あっ…! あっ……、ひぁっ!」  
 身動きが取れないルインは溢れんばかりの快楽を紛らわそうとひときわ大きな声を上げる。  
「……素直だな」愛撫を続ける手を少し休めたファルクスが呟く。いきなり愛撫を止められてルインは少し驚いたような顔をした。  
 その顔にさらにそそられたのか、耐え切れなくなったファルクスは猛りきった自身をさらした。  
「ひっ……!」ルインの目が大きく見開かれる。おそらくソレを見たのは生まれて初めてなのだろう。  
「…………いくぞ」  
 ルインがコクン、と頷いた。  
「ぅんっ…………!」彼女は唇を噛み締め、ファルクスの肩を握る手に力が入り、爪の跡を残していた。彼は徐々に腰を沈めていった。  
「くっ…………うっ……」彼女の中は思ったよりもきつく、締め付けられる感覚に思わず呻き声が漏れる。  
 楔が根元まで埋まりきると、ファルクスはルインの頭を押さえていた手を離し、彼女の肩の傍に両手を付く。  
「さぁ……もういい。好きなだけ動け」  
 彼は腰を振り始めた。  
「ふぁっ………ん!ぁあっ………!」  
 ルインも全身を使ってそれにあわせ、快楽を共有する。  
 先端ぎりぎりまで引き、また深く貫く。単純な作業だが、彼女には途方もないまでの痛みと快楽を与える。その訳はすぐに分かった。 結合部の地面には愛液と破瓜の印が滴り落ちていたのだ。  
「アンタ…………初めて……なのか」  
「だって…………んぅっ……こん……なっ……!」  
 二人の動きはどんどん激しくなる。ルインの膣はひくひくと痙攣し、ファルクスの快楽をさらにかき立てる。  
「あ――――っ…………!」  
 彼女はそれが来る直前、ファルクスの顔を引き寄せ――深く口付けた。  
「んっ…………!」  
 二人は同時に達した。ルインの中に熱い種が注ぎ込まれた。  
 
「ルイン…………」  
 ファルクスは顔を上げ、埋まったままの自身をゆっくり引き抜く。  
「ねぇ……絶対に……一人にしない?」ルインは涙ぐんだ目でそう尋ねる。彼はすぐに答えを出した。  
「……するわけねぇだろ」  
 

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