ユグドラシルでの戦闘の際、敵の攻撃によって戦場から弾き出されてしまったフィレスは、ため息を付きながら敵がいなさそうな場所に腰を  
 
下ろした。  
「…は〜あ、アリーシャもルーファスもラブラブよねー。」  
 ため息を付きながらこのダンジョンに来るまで時の二人を思い出す。  
「懐かしいな…。アタシもあんな時があったわねぇ。」  
 過去に思いを馳せながらフィレスは、生前の夫との事を想う。  
(ふふふ、あんな事もあったわね。)  
 二人で家臣の目を盗んで城を抜け出し、遠駆けに行った事。  
 そして、初めてのキスと、想いを交し合った事。  
(あの時にクリスを授かったのよね…。)  
 ロマンティックな思い出とは裏腹に、久しぶりに情欲に火がついたフィレスは、我知らず服の上から胸をまさぐっていた。  
「んっ…!」  
(いけない…こんなの、誰かに見られたら…。)  
 そう思いながらも、一度始めた事はなかなか止められない。  
 夫の姿を思い浮かべながら、双丘をやわやわともみしだく。  
「ハァ……ッ…!」  
 そうして体に触れているうちに、かつて彼がフィレスに囁いた言葉が甦ってくる。  
『フィレス、もっと俺を感じて…。』  
 同時にあの日の情事を思い出し、更に体が熱く火照る。  
 胸の先端に触れ、そこを軽く擦ると自分の体が喜んでいるのがわかった。  
「アアッ!」  
 それだけで下腹部は甘く疼き、切なさが湧き上がる。  
 堪えきれず、パンティの中へ手を伸ばせば、既に触れて欲しくてたまらなくなっている彼女の敏感な部分がぷっくりと己を主張していた。  
「ふ…ああん…。」  
 初めはそっと。だが全身を走り抜ける快感の波にそこに触れる指の動きが激しくなる。  
「ンッ…クゥッ…あ…ハァッ!」  
 同時に呼吸も次第に荒くなり、抑えようとしても口からは快楽の喘ぎが突いて出る。  
(シ…フェル…寂しいよ…シフェル…。)  
『足を開いて、フィレス…。俺を受け入れてくれ。』  
 彼を想うと同時にまた彼が彼女の耳元で囁いた言葉が蘇る。  
 邪魔になったパンティを下ろし、足を開けば、熱くなった秘所と冷たい外気が混ざり合い、新しい快感が生まれた。  
 それが更に彼女を追いつめてゆく。  
「は……あッ…。も、ダメ…。」  
 先程から間断なく訪れる快楽の波が、彼女の目の前を白く染め、脳裏にあった夫の姿も遠くする。  
 そして…一際激しく指を動かすと、凄まじい衝撃が彼女を襲った。  
「あはぁぁぁぁぁっ!」  
 ビクビクと体を数回震わせ、フィレスは一人で達してしまった。  
「あ…ああっ…。シ…フェル…。」  
 そのまま壁によりかかって余韻に浸る彼女の目に、彼女を探しに来たらしい仲間の魔術師の、白いフード姿と目が合ったのはその時だった。  
 
終わり  
 
 

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