「ふあ…」  
欠伸をするウィルフレドの眼前でばちっ、と薪が弾けて火花を散らす。  
目の前で煌々と燃える炎を眺め、ふと考える。  
(俺も父さんがいれば、家族がバラバラにならなければ普通に生きてたのかな…)  
 
顔をあげるとシェリファの寝顔が、その隣で寝息を立てるロクスウェルが見える。  
クレルモンフェランとの関所で二人は命をかけてお互いをぶつけ合い、ついに家族になれた。  
そして二人は自分の妹の墓参りのため、家に戻りたいという願いを快く聞きいれてくれ、  
その道程、野宿の火番をウィルフレドが買って出たのだった。  
 
(父さん母さんがいて、エルシーも死なずに済んで、アンセルと、ティルテと…)  
思えば思うほど胸が締め付けられるのは気のせいではない。  
底から湧きあがってくる怒り。全ての根源、戦乙女へと向けられるべき憎しみ…  
懐からエインフェリアに選定された証、純白の女神の羽を取り出す。  
この羽が「咎」により黒く染まった時こそ、戦乙女に挑む時。そうエーリスは言った。  
(その時には、俺の心も真っ黒に染まってるのかもな…)  
自嘲気味にふ、と笑う。まあ、神を殺す程の力が何の代償も捧げずに手に入ると思ってはいないが。  
 
炎に手頃な大きさの木を放り込んで立ちあがる。  
彼はこんなもやもやした気持ちになった時は剣を振ってスッキリすると決めている。  
例え魔物が出ても、それで死ぬようじゃ復讐なんてできっこない。  
寝ている二人も元暗殺者だ、そう簡単に死にはするまい。そう考えて適当な場所を探して森を歩く。  
 
(中々いい感じの場所がないな…)  
月明かりが所々差し込む中、広い所を探して森を歩く。右手には常に剣が握られ、  
魔物が襲って来ても即一刀両断してやる、という気迫と警戒心が滲み出ている。  
その集中力の賜物か、ふとどこかで話し声が聞こえたような気がした。  
声のする方へ慎重に、物音をたてずに近寄ると、確かに冒険者がいた。  
若い男女二人組のようで、なぜか火も起こさずにひそひそと話をしている。  
 
「いいじゃねえか、少しぐらい」  
「やあよ。大体こんな所で、魔物でも出たらどうすんのよ?」  
「まま、口でしてくれるだけでもいいからさ、な?」  
 
(何の話だ…?)  
二人組の方はウィルフレドの存在には気がつかないようで、二人の世界に入っている。  
後ろから急に襲われたら成す術もなくやられてしまうのでは…?  
何をする気か知らないが、とりあえず注意を促すため話しかけようとした時だった。  
女の方が男のズボンのジッパーを下したのだ。  
「うわっ…あたしまだ何もしてないわよ?」  
暗闇の中でも、股間の所が盛り上がっているのがウィルフレドにははっきり見えた。  
そのことを認識した瞬間、会話の内容が一気にパズルのように組みあがり、  
これから何が目の前で行われるのか頭ではなく心で理解した。  
「へへ、もう待ちきれなくてな。お前だって早く終わらせたいんだろ?」  
つまり、  
「まあそりゃね。それじゃとっととするわよ」  
こいつら、  
「うおっ、いきなりむしゃぶりついてくるじゃねえか。本当はお前もしたかったんじゃないのか?」  
変態だーーーーーーーー!!  
「うるふぁいわね、らまっへらひゃい…!」  
思わず後ずさった右足がちょうど小枝を踏み折った。  
二人もウィルフレドも全身がびくっとし、直後、汗が全身から流れ出る。  
「馬鹿!だからこんなところでやるのはやだったのよ!」  
「るせー、お前だって結局乗り気になってたじゃねえか!」  
どたばたと服を整えながら情事を中断して二人は逃走、後には心臓が早鐘のように鳴る少年のみが残された。  
 
復讐を果たすため、ただそれだけのために生きてきた少年には少し刺激が強すぎた。  
鼓動は一向に治まらず、手足が震え、そして体のある一点に血液が集中している。  
「ウィルフレド様」  
「うおわぁっ!?」  
緊張が極限まで高まっていたところに、突然後ろから自分の声がコールされ思わず飛び上がる。  
振り返らずともわかる。気配もない所からいきなり現れたこの声は…  
「大丈夫ですか?お体が震えているようですけれど」  
エーリスだ。大丈夫かと言われたら全く大丈夫ではない。  
だがどうしろと言うのか、「他人の情事を覗き見してハァハァしてますた」とでも言えと?  
「あ、あぁ。少し眠け覚ましに歩いてたから、冷えたのかもしれないな…もう戻るさ」  
背中越しにどうにか言い繕うしかできないが、パニック状態の頭にしてはそれなりの答えだろう。だが。  
 
「う そ つ き」  
一度として聞いたことのないエーリスのドスの利いた声とともに、  
背中と股間に未知の感覚が去来する。即ち、おっぱいと他人の手が押し付けられたのだ。  
「はあぁっ!!」  
押し付けられるむにゅりとした双球と股間を撫で上げられる感触に危うく射精しかけた。  
襲い来る初めての快感の前に、ただ息を荒げることしかできない。  
「私は姿を消せるんですよ?そんな嘘をついてもすぐわかるに決まっています」  
そうだ。頭ではわかっていた。いきなり後ろから現れたのもそれじゃないか。  
つまり冒険者達に出会った時からこうなるのは決まっていたということか。  
 
「わ、悪かった!悪かったからやめてくれ!」  
どうにか拘束から逃れようとするも、腰にまわされた左手でしっかり固定され身動きのとりようがない。  
まさしく俎上の鯉、と言ったところである。  
「そうおっしゃらずに…ここはもう窮屈そうにしていますよ?」  
言うが早いか、ベルトを外し下着ごと服を一気にずらされ、下半身を露わにさせられる。  
真夜中の冷たい外気にさらされる中、ウィルフレドのそれは異様な熱気を放っていた。  
ひっ、と悲鳴にも聞こえる声が漏れるも彼女は全く意に介さない。  
「出したくなったらいつでもよろしいですよ」  
純白の手袋をまとった右手が右の脇の下を通り、赤黒く硬く張りつめた肉棒に添わせられる。  
その時点で殆ど頭が真っ白だったが、手が上下運動を始めるともう口をパクパクさせることしかできない。  
「ウィルフレド様…可愛い…」  
耳元で囁くとますます右手の中のそれは硬度を増し、先端から粘液を垂らす。  
とどめの決め技、とばかりに紅潮した右の耳にかぷりとかみつく。  
「うあはあぁぁぁーーっ!!」  
堰きとめられていた理性が決壊するように、押し留められていた白濁液が放出され  
目の前の茂みを、足元の地面を白く染めていく。  
旅の途中、夢精以外では出す機会などなかった精液は相当な量と粘度を誇り、  
先に垂れ下がっている残滓は垂れ落ちる様子がない。  
エーリスはそれを指先で掬い取り、唇に運び舐めとる。  
「うふふ…」  
 
頭がぼーっとして、何も考えられない。目の焦点が合っていないのが自分でもわかる。  
全身の力が抜け、自分の精液だまりに倒れこみそうになるのをエーリスに支えられた。  
はぁはぁと息を大きく吸い、散乱する意識を収集する。  
「私はウィルフレド様が無心で咎を集められるようにするのが務め。いかがでした?」  
頼む、黙ってくれ。まだそんな質問に答えられるような状態じゃないんだ。  
「…あら、まだ満足されておられないようですね」  
は?  
下を見るとまだ自分の息子は硬度を保ったままである。ガッツでも発動したのだろうか?  
「流石お若いだけありますね。…では少々失礼します」  
エーリスはまだ体を支え切れないウィルフレドをゆっくりと座らせ、自分はその足の間に割って入る。  
スカートが汚れることなど全く気に留めている様子もない。  
そして今度はあの冒険者たちがしたように、口で刺激を加え始めた。  
「あくうぅっ!!」  
冷たい空気にさらされていた肉棒がぬるりとした口腔内に取り込まれ、  
手で、唇で、舌で、あらゆる方法でまたしてもウィルフレドを攻め立てる。  
エーリスの顔が上下するたびに快感が突き抜け、手は玉袋を絶妙な力加減で揉み上げる。  
次から次へと加えられる初めての感覚にもう気が狂ってしまいそうだった。  
その時、突如肉棒への刺激が途絶えた。  
 
「っぷう…最後はとっておきでいきますね」  
口から引き抜かれたそれは、唾液とそれ自体の分泌する液でぬめりにぬめっている。  
エーリスは一旦体を起こし、上を脱いで上半身だけを露出させる。  
ウィルフレドの視線からは、非常に立派な二つの球体を見上げる形である。  
男冥利に尽きる状況であるが、当の少年はもうなんでもいいから誰か早くどうにかして…といった状況であった。  
「えいっ!」  
そんなウィルフレドを尻目に、掛け声と共に双球の谷間に肉棒がにゅるりと滑り込む。  
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ」  
もはやバキもかくや、声にならないほどの衝撃が全身を襲う。  
柔らかいおっぱいに挟み込まれ、擦られることで手扱きの3倍、いつもの2倍のぬるぬると  
二つのおっぱいで12倍の120万パワーだとかなんとか。とにかく凄いのである。  
「出そうになったら言ってくださいね…」  
そう声をかけるも、もう彼の耳には届いていない。両手で何とか体を支えるのが精一杯なのだから。  
初体験の彼がこんな責苦(?)に何分も耐えられるはずもなく…  
「うああぁっ…!」  
「きゃっ!」  
1度目よりは劣るものの、もし然るべき場所で出せば然るべき結果になるであろう量と濃さの  
液体が容赦なくエーリスの顔を襲い、胸の谷間に溜まっていく。  
おそらく口で受け止める予定だったかもしれないが、どの道同じ結果であろう。  
ギリギリで支えていた腕からも力が抜け、後ろに倒れこむと同時に少年の視界は暗転した。  
 
 
「朝だぞー!起っきろーっ!」  
けたたましい、しかし可愛らしい叫び声が脳天を直撃し、文字通り叩き起こされる。  
目を開けるとおさげの少女が眼前5センチぐらいまで迫っていた。  
「…顔が近いんだが」  
「あはは、でも目ぇ覚めたでしょ?」  
体を起こし、周りを見回すと昨日野宿をしていた場所だ。焚火の跡も残っている。  
昨日のあれは一体…?夢だったのか?でもその割にはやけにリアルだったような…  
「どしたの?きょろきょろして」  
考え込んでいるとシェリファに突っ込まれる。  
「いや…もうすぐ俺の村だ、行こう」  
うん、そうだ。きっと夢か何かだったんだ。真夏の夜の淫夢ってやつさ。  
荷物を背負って立ちあがると、紙切れがひらひらと舞い落ちた。  
「む、これは…?」  
ロクスウェルが拾い上げ、俺に手渡す。  
…なんだこれ。  
 
「溜めこみすぎはいけませんよ」  
 
 

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