〜恋は真夏のように・前〜  
 
僕たちとワるきゅーレが一緒に住み始めて数ヶ月になる。  
不意の事故から同居に至るのだが、ワるきゅーレはまだ8歳。  
無論、男と女ののつながりなど一切ない。  
あくまでも「同棲」ではなく、「同居」であり続けること。  
それが、僕とワるきゅーレが同居する際の暗黙のルールだった。  
そう、あの日までは…。  
 
就寝前のくつろぎのひととき。  
先に風呂に入った僕は、居間でテレビを見ていた。  
僕の前に風呂に入ったワるきゅーレは、じっと居間の入り口に立ったまま、僕を見ていた。  
いつもなら、風呂上がりにはジャレついてくるのに…。  
なぜそんな所につったってるんだ?  
 
不審に思った僕は、ワるきゅーレに尋ねた。  
 
「ワるきゅーレ、どうしたの?」  
「和人、あのね…」  
 
ワるきゅーレは顔を真っ赤にして、もじもじしている  
 
「今日ずっと様子がおかしいな。一体どうしたんだ」  
「あのね、和人、怒らない?」  
「怒るも怒らないも、聞かなきゃわかんないよ」  
 
意を決したかのように、ワるきゅーレは姿勢を正して言った。  
 
「あのね、昨日の夜…。ワるちゃん見ちゃったの…」  
「見た?」  
「和人が、一人でしているトコ…」  
 
そう言うと、ワるきゅーレは顔を真っ赤にしてうつむいた。  
 
「一人でしてるって…まさか?」  
 
そこまで言いかけて。僕もハッとなった。  
ワるきゅーレを除くとおいしそうな女の子ばかりのいるこの時乃湯で  
一つ屋根の下に暮らしながら、指一本、触れられないもどかしさに  
感覚が段々マヒして悶々としてる僕は、小まめに性欲を処理しなければならない。  
その時もそんな溜まってた欲求を自己処理してたんだけど夢中で気付かなかった。  
でもまさか見られてたとは…  
 
「ワるちゃんね、喉が渇いて台所に降りようとしたら…。和人が大人のワるちゃんの事呼ぶのが聞こえて…和人の部屋のドアの隙間から、和人が大人のワるちゃんの名前を呼びながら、独りでシてるのが見えて…」  
 
いつか戻るワるきゅーレの元の姿…。今はほとんど触れる事の出来ないのその肉体を、頭の中で凌辱していたのだ。  
 
「あ、あのね、ワるきゅーレそれは…」  
 
必死で弁解しようとする僕をさえぎって、ワるきゅーレは言葉を続けた。  
 
「リカちゃんに聞いたよ…。男の人は、好きな女の子の事を思って…その…自分でスるんだって。三日に一度しないと、男の人は苦しいんだって」  
 
僕はあちゃあ、と天を仰いだ。間違っちゃいないが、リカ、お前は何をワるきゅーレに吹き込んでるんだ?  
 
「でもうれしかったよ…。和人が大人でもワるちゃんの事を思って…その、シてくれて」  
 
そこまで言うと、ワるきゅーレはうるんだ瞳で僕の顔を見上げた  
 
「ワるちゃんが和人のお嫁さんだったら、その…自分でシなくても、ワるちゃんがしてあげられたのに…」  
 
やめてくれ!こんな子にオナニーを見られて同情されるなんて!ミジメになるだけだ  
 
「だから・・和人がキモチよくなるの、ワるちゃんが手伝ってあげる」  
 
ワるきゅーレの言葉に、僕は自分の耳を疑った。  
 
「和人、大人のワるちゃんの事を考えて独りでスるんだったら…今のワるちゃんを見ながらシてよ」  
 
真っ赤にした顔をそらしながら、ワるきゅーレはパジャマのシャツをたくしあげた  
白い肌と、かすかな二つの丘が露になる。  
子供だ子供だと思っていたが、ほんの少し丸みを帯びて、それなりにオンナらしい体に近づいていた。  
なによりも、目をそらしながらうつむいている恥ずかそうなワるきゅーレの顔に、僕はすっかり興奮してしまった  
 
「ワるきゅーレ、馬鹿なことはやめなよ」  
 
そう言ったつもりだった。  
だが、僕の口からは、全く違う言葉が吐き出されていた。  
 
「キレイだね…。ワるきゅーレ…。」  
 
目の前の小さな女の子を前にその大人の姿の幻影を重ねていたのかも・・・  
気がつくと僕は、両手のひらでワるきゅーレの細い腰を包むように触れていた。  
その瞬間、ワるきゅーレはピクン、とケイレンするかのように身を震わせた  
 
「やっ、和人、ダメ…」  
「あ…ごめん、」  
 
あわてて両手を引っ込める僕に向かい、消え入りそうな声でワるきゅーレは呟いた。  
 
「違うの…。触わられるのはヤじゃないの…。だけど、だけど、ワるちゃん、オカシくなっちゃうよぉ…」  
 
顔をそらせたまま、せつなそうに声をあげるワるきゅーレのけなげさに、僕は胸を打たれた。  
 
「ワるきゅーレ…。こっちを向いて」  
「やだ、恥ずかしいよぉ…」  
 
僕はワるきゅーレの細いあごにそっ、と触れ、こちらを向かせた。  
 
「恥ずかしがるワるきゅーレの顔が見たいんだ」  
「あ…和人、ワるちゃん、ワるちゃんっ…」  
 
無理矢理、僕の方を向かされたワるきゅーレは、それでも僕の目を見る事は出来ず、猛禽に狙われた小鳥のように震えていた。  
僕はそんなワるきゅーレがたまらなく愛おしく。  
抱き寄せると、キスをした。  
 
 
僕達の間は性行為はモッテノホカだったが、キスは大人になる時のこともあり暗黙の了解で許されていた。  
変身の時以外は、オヤスミ前にホッペにチュ、程度の可愛らしいものだったが。  
恋人同士のキスをワるきゅーレがねだる事があったが、それも中学生がするような、数秒、唇を重ねあわせる程度の、アイサツにも等しいキスだった。  
そうでないと大人のワルキューレに変身するからだ。  
もしかしたら、ワるきゅーレは「キスとはそういうものだ」と思っていなかったかもしれない。  
そして、僕は、その時。  
むさぼるような、性行為としてのキスを、初めてワるきゅーレにした。  
舌でワるきゅーレの唇を押し開ける。  
一瞬、弱々しい抵抗を感じたが、次の瞬間には容易く口内に侵入した。  
 
「むふーっ。んー!」  
 

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