「行ってきます」  
家には誰もいないのに習慣的にそう言ってしまってから、和人は自分の行為のおかしさに微かな笑みを浮かべて秋菜との約束で家を出た。  
今日秋菜の誕生日である。  
 
(それにしても……)  
秋菜と待ち合わせした場所に向かいながら、和人は数日前の会話を思い出していた。  
「秋菜。もうすぐ誕生日になるけど、今年はどんなプレゼントが欲しい?」  
「えっ……!? で、でも…………」  
和人の問いかけに、秋菜は俯いてしばらく考えた後に、  
「か、和人……物とかじゃなくてもいい?」  
何故か少し顔を赤らめて質問を返す。和人はどうして秋菜がそんな態度でそんな質問をしてくるのかはさっぱりわからなかったが、だからといって何も問題があろうはずもない。  
「もちろん、かまわないよ。高いプレゼントをねだられるよりそっちの方が僕としても助かるくらいだ。……できないことを言われたら困るけど」  
和人の言葉を受けて、秋菜は今度こそ自分の望みを告げる。  
「そ、それじゃあ……和人、誕生日一緒に……出かけない…」  
「え?」  
和人はあまりに簡単なお願いに拍子抜けした。  
「そんなことでいいの?」  
確認するように訊くと秋菜はこくりとうなずいた。  
「……その……見たい映画があったのよね……だから……」  
頬を赤くして俯き加減に言葉を紡ぐ秋菜。  
「わかったよ。じゃあ……わるきゅーれ達もさっそてみるよ」  
「えっ……」  
秋菜はなにやら落ちこんだ表情をして、  
「そっ、そうよね皆でね……」  
「どうかしたの?顔色よくないよ」  
「んーん、大丈夫……」  
「ならいいんだけど」  
その後、当日の待ち合わせの予定を決めたのだった。  
しかし、わるきゅーれと真田さん、ハイドラ、コーラスはバルハラ星に呼び出され、リカも模試のため今日は参加することができなくなってしまった。  
 
そして当日……  
 
(しかし秋菜も誕生日だってのに僕なんかと遊んでていいのかな?いい加減彼氏でもつくらないと心配になってくるよ……陰で泣いてる奴とかいるんじゃないか?)  
秋菜の姿を思い浮かべてそんなことを考えていた。だが、それでホントに秋菜が誰か他の男に笑顔を向けているような場面を想像しかけると、  
(……でも、その辺の男なんかと一緒になるくらいなら、ずっとこのままの法がいいさ!)  
すぐにさっきの考えを撤回していた。  
 
「…………よし、ピッタリ」  
考え事をしている間に着いていた和人は、腕時計に視線を落として約束の時間ちょうどであることを確認して、呼び鈴を鳴らした。  
ピンポーン  
呼び出し音が鳴ってからほとんど時間をおかず  
「和人!」  
待ってましたとばかりに、玄関の扉を開けて秋菜が顔を見せた。  
「お、おはよう……秋菜」  
秋菜の勢いに気圧されたように和人は少し言葉を詰まらせて挨拶する。  
「あっ……!?」  
その和人の態度にはっとして秋菜は玄関のドアを開けたままの形で固まったようになって顔を赤く染めた。  
「……お、おはよう、和人。その……」  
赤い顔を俯き加減にしたまま口の中で呟くような声で言う秋菜に、和人は少し鼓動が早くなるのを感じたが平静を装い、  
「さっ、いこうか」  
「うっ、うん」  
2人は映画館へ向って歩き出した。  
 
2人が映画館に着いた時間は早すぎず遅すぎず、ちょうどいい時間だった。かなりいい席に並んで座ることができた2人は、たわいない会話に興じていたが、上映時間が来て館内が暗くなると、画面に集中し始めた。  
(へえ……)  
今注目の恋愛映画とういことは知っていたが、和人自身としてはあまり興味はなかった。しかし、映画が始まると予想外に面白かった。いつの間にか映画に惹きこまれていたが、終盤の盛り上がりが近づいてきたところで、  
ぴとっ  
肘掛けの上で軽く握っていた手に触れた感触に、はっと我に返る。その感触の正体は隣りで映画に見入っている秋菜の手だった。映画に集中している秋菜の手が自然に動いて隣りにいた和人の手を握ったのだろう。  
「………………っ」  
和人はそれと気づいて声にならない声を上げかけた。秋菜の方は映画に見入っていて自分の手が和人の手に触れていることにも気づいていないようだったが、和人はそれに気づいてしまった。  
そうなると、どうしても秋菜の手が気になってしまい、さっきまでのように映画に集中することはできなくなってしまった。  
(柔らかい、な……)  
それどころか、逆にどんどん意識は自分の拳の上に重ねられた秋菜の手に向かってしまう。その柔らかい感触のこころよさに一瞬、"異性"を意識してしまった。自分の頬が少し熱くなっていることが自覚できた。  
(暗くてよかった……)  
秋菜と手が触れて、興奮したように頬を染めてしまったところなど誰にも見られたくはない。だが、問題は映画が終わって明るくなるまでに自分が落ち着きを取り戻すことができるかということだ。  
もし秋菜に自分の今のような様子を気づかれたら気まずいことこの上ない。  
あとは、映画が終わるまでに、握ってきたとき同様に自然と秋菜の手が離れることを期待することか。  
 
「…………………………」  
和人が動揺している間に映画はクライマックスに来てさらなる盛り上がりを見せているようだったが、和人はもうそれどころではなかった。  
だが、幸いにして秋菜の手はクライマックスシーンが終わって少しした時点で離れていき、和人はなんとかスタッフロールが流れて映画館が明るくなってしまう前に平静さを取り繕うことができた。  
自分の手の動きも、それによる和人の動揺も気づかなかった秋菜は、映画の感想を嬉しそうに和人に語りかけながら映画館を出た。  
その後は秋菜は和人のお任せで、昼食を済ませてショッピングや喫茶店等、適当に繁華街周辺を回っていると、やがて日も傾き始める。  
そろそろ秋菜の方からもういいという言葉が出ることを予想しつつ、和人はそれを望んでいなかった。  
そして、そんな自分に戸惑ってもいた。  
映画館でのことをきっかけにして、和人の秋菜へ向ける目が急激に変化しつつあった。  
これまで何も感じていなかったような秋菜の何気ないしぐさに"異性"を感じ、まるで彼女とデートしているかのような錯覚を覚えてしまう。  
動揺と興奮を隠して秋菜の前でいつもの"幼馴染"を演じるのは困難だった。いや、秋菜は何も言わないがとっくに和人の普段と違う態度に気づいていたのかもしれない。  
「和人、もうすぐ夕方ね」  
秋菜がある店の前でふと声をかける。  
来た、そう思った。秋菜の前で自分を取り繕うことに多大な努力を強いられながらも、和人は秋菜と一緒の時間をもっとすごしたいという気持ちをどこかに抱いていたが、ついに終わりの時が来たのだと思った。  
しかし、秋菜が続けた言葉はそれとは逆の言葉だった。  
「和人よければ、だけど……ケーキ買って家で休憩するのはどう? いろいろ回って疲れちゃったし……今日はハイドラもいないし、一人ってのも味気ないから……」  
和人は予想外の展開に一瞬驚いたが、すぐに笑みを浮かべて  
「いいよ。じゃあ、早速買おうか。どのケーキがいい?」  
と言うと、すぐそこにあったケーキ屋に目を向けた。  
秋菜もこの店が目に入ったからそんなことを言い出したのだろう。  
2人で少しだけ考えたが、結局は普通に苺のショートケーキを2つ買っていくことに決めて、和人が店員を呼んで勘定を済ます。  
 
「それじゃ、行こうか」  
まだしばらく秋菜と一緒の時間をすごせることに妙な嬉しさを感じながら、和人はケーキの箱を受け取ると秋菜にそう声をかけて家路に着いた。  
秋菜の方でも同じように感じていたのか、楽しく談笑しながら歩いていく。  
半日一緒にいて、もういろいろと話したにも関わらず自然に話題が出てきて会話には困らない。  
そのせいかいつもより家までの道が短いようにも感じられてしまった。  
しかし、そんな気分も和人の家に着くまでだった。  
玄関のところまで来て、挿し込んだ鍵をガチャリと回したところで、和人ははっと気 づく。  
いつもと違い、今日は家には誰もいない。  
つまり中に入れば秋菜と2人きりということだ。普段なら何も気にしないことだった のだが、今は秋菜のことを異性として感じ始めてしまっている。  
どうにも"2人きり"というのを意識せずにはいられなかった。  
「…………………………」  
ドアを開けてリビングまでは通したのだが、さっきまではすらすら出てきたはずの話題が、ぱったりと出なくなってしまう。  
ケーキの箱を置いたテーブルを挟んで向かいに座った秋菜にもそれがうつったのか、どことなく赤い顔で俯いたままどこか落ち着かないようだった。  
急に押し黙ってしまった和人の態度に居心地の悪さを感じているのかもしれない。  
「……そ、そうそう! ケーキ食べるんだったら、お茶を淹れてこないとね」  
先に妙な沈黙を破って席を立ったのは和人の方だった。  
何も言わずずっと秋菜のことを見つめていると、自分を保てなくなってしまいそうで、それからの逃避でもあった。  
(……ふう。どうしちゃったんだ、僕は)  
たった数時間の間に秋菜に対してこれまでとは違う愛しさがどんどん膨れ上がる自分に戸惑う。  
もし、この状況で何かまたきっかけがあれば、一線を本当に越えてしまいかねない。  
だが、その危険を承知の上でまだ秋菜を返したくないと思う自分もそこにいた。  
 
「……お待たせ」  
紅茶を淹れながら自分の思いを整理しようとして、しかし何も整理できないまま和人は紅茶を淹れた2つのカップを盆に載せてリビングへ運んだ。  
秋菜はと言えば、和人が出て行く前と変わらないように俯いたままで、ケーキの箱も開けられていなかった。  
「はい、秋菜」  
仕方なく、和人は箱を開けて中からケーキを取り出すと、紅茶のカップと一緒に秋菜の方に差し出した。自分の思いもそうだったが、秋菜の様子もまた、和人には不可解だった。  
「……あ、ありがとう、和人……」  
自分の前にケーキが出され、ようやく秋菜は少し顔を上げた。  
そのとき和人は初めて秋菜が一見同じようで実は様子が変わっていたことに気づいた。  
頬は真っ赤に紅潮し、思いつめたような極度の緊張状態に見えた。  
それを見て和人はますます秋菜がわからなくなる。  
2人とも無言のままケーキを口に運ぶことになった。カチャカチャとフォークを使う音だけがリビングに時々響いていた。  
「……ケーキ、食べ終わったね」  
結局、そのまま一言も言葉を交わさないまま、ケーキはそれぞれの口の中に消える。  
とりあえず言葉をかけたものの、和人は次の行動を決めかねていた。  
「……か、和人!」  
やはりもう家まで送るべきかと、悩んだ末に和人が結論を出そうとした直前、秋菜は不意に大きくはないが、言葉に込められた重さを感じさせる声で和人を呼んだ。  
「な……何?」  
何か重大なことを言おうとしているのが感じられて、和人も緊張しつつ先を促した。  
秋菜は切り出したもののやはりまだ言いにくいのか、さらに何拍か置いて口を開く。  
「ホ、ホントは私……もう1つお願いがあったの」  
「え?」  
秋菜が何を言おうとしているのか、和人はさっぱりわからなかった。  
しかし、秋菜の方はとうとう意を決したのか、真っ赤な顔で和人に告げる。  
「私の本当の気持ちを聞いて欲しいの……」  
 
「本当の気持ち……?」  
「私……私和人のことが……好きなの……ずっとずっと好きだったの」  
どうしても恥ずかしいのか、それは囁くような声だった。  
しかし、秋菜の言葉に集中していた和人には、しっかりと意味が伝わっていた。  
「あ、秋菜…………」  
思いもよらない秋菜の言葉に、和人は絶句した。  
だが、和人が呆然としている間に秋菜はその反応を拒絶と受け止めたのか、両眼を急 速に潤ませていく。  
「やっぱり……私は……ただの幼馴染……友達でしかないの?」  
涙をこぼし始めた秋菜の姿に和人ははっと我に返る。  
入れ替わりに、秋菜に対する愛しさが際限なくどんどんと膨らんでいく。  
「秋菜…………!」  
和人は感情のままに秋菜の身体を抱きしめた。  
そのまま初めての唇を重ねる。唇の味は涙が伝って少しだけ塩気があった。  
 
「秋菜……本当にいいの……?」  
そのまま抱きかかえるように秋菜を自室のベッドまで運んだ和人は、互いの着衣を脱ぎ去ったところで確認するように秋菜の目を見た。  
秋菜は裸を見られることの羞恥に頬を染めながらも、ベッドの上で和人に身を委ねるためにおとなしくしている。  
その瞳には初めての行為に緊張している和人自身の姿が映っていた。  
こくん……  
秋菜の首が静かに縦に振られる。それを受けて、和人は再び唇を重ねた。  
「んんっ……」  
今度はただ唇と唇を合わせるだけのキスではない。舌を絡め合わせ、互いの唾液を交換する、性交の前の準備儀式としての口付けだった。  
双方にその意志があっても、互いに初めての行為であるために最初はどうしてもぎこちなさがあったが、やがて慣れ始めたのか舌の動きが滑らかになっていく。  
それと同じくして和人の手は秋菜の胸に伸びた。  
少女の身体はどこも柔らかかったが、中でも特に柔らかい胸の膨らみをそっと優しく感触を確かめるように揉んでいく。  
「あっ…ゴメンね……胸…小さくて……」  
「そんなことないよ。凄く綺麗だよ秋菜」  
一番柔らかい部分とはいっても、成長途中にあるためその芯は逆に硬い。  
力余って秋菜に苦痛を与えたりしないよう、和人は細心の注意を払いながら秋菜の身体を愛撫し続けた。  
 
「あっ……!」  
最終的な目的が性交にある以上、そこへの愛撫は避けて通れない。  
しかし、まだ生え揃ってはいない淡い茂みの下にある女の子の部分に和人の指が触れようとすると、秋菜はさすがに恥ずかしがって抵抗するような声を出した。  
「……大丈夫。僕も初めてだからうまくできないかもしれないけど、できる限り優しくするから」  
小さく身を捩った秋菜の耳元に和人が優しく囁きかけると、緊張しかけた秋菜の身体が元に戻る。  
改めて和人は秋菜のあそこに手を伸ばしていく。  
くちゅっ  
和人を受け入れたいという秋菜の思いの賜物か、和人のぎこちない愛撫が意外に感じさせていたのか、初めての経験にも関わらずそこはすでに濡れ始めている。  
和人はそれを嬉しく感じながらも、初めて触れる異性の性器を手探りで愛撫していった。しかし、本などで一応知ってはいるが、実際に触れるのは初めてであるため、どこが何だとかいうことはよくわからない。  
己の股間で先走りの涙を流しながら出番を待っている男性自身を挿し入れる場所くらいは確認しておこうと思うのだが、それもままならない。  
「はぅっ……!」  
そうするうちに指先が何か小さな突起のようなものをかすめて、秋菜はその衝撃に身を跳ねさせた。おそらくそれが秋菜のクリトリスだったのだろう。  
和人はそう気づくと、今の刺激で量を増したあそこから染み出す液体を指先に付けて指を滑らかにさせてから、さっきの場所を再び探した。  
女性の中でも一番敏感な場所だということは聞き知っていたので、胸を愛撫するとき以上に慎重にその突起を探り当てる。  
「あっ……はぅっ……か、和人…………!」  
刺激が強くなりすぎないように注意しつつその秘芯を愛撫していくと、秋菜の口から明らかに快感の喘ぎが洩れる。  
自分の愛撫で感じていることをはっきり実感すると、和人はもう我慢ができなくなった。  
「あ、秋菜……そろそろ……」  
本番への突入を告げる和人の声は興奮に上擦っていた。どこまですれば愛撫が十分かということもわからない和人は、そう言うことで秋菜の準備ができているのか確かめたかった。  
「う、うん……来て……和人……」  
秋菜の答えを聞いて、和人は身体をずらして男性自身を秋菜のあそこに押し当てた。  
 
「い、行くよ……!」  
ぬるっ  
呼び掛けとともに腰を前に突き出したが、初めてであるためうまく場所が合わなかったのか、中に入っていかずに滑ってしまう。  
「あ、あれ……?」  
焦って和人はもう一度試してみるが、やはりうまくいかない。  
2度、3度と繰り返すが、焦れば焦るほど男性器はちゃんと目的地にはうまく辿り着けなかった。  
「和人……?」  
覚悟していた痛みがなかなか来ないために、秋菜は戸惑ったような目で和人を見上げる。その視線に和人はさらに焦りそうになったが、  
「私、和人が相手だったら我慢するから……」  
自分のことを気遣ってなかなか和人が挿れられないのだと思ったのか、真剣な声音の秋菜のその言葉に和人ははっとなった。  
自分はうまく最後まで繋がれないことに焦るばかりだったが、秋菜はそんな自分が秋菜を気遣ってうまくできないのだと思ってくれている。  
しかも、うまくいけばおそらく秋菜は破瓜の激痛に耐えなければならなくなるというのに。  
「ゴメン……! 初めてだからうまく場所がわからなかったんだよ。でも、今度こそ……」  
我に返った和人は、焦っては同じことの繰り返しだと落ち着いて照準を合わせ直す。  
ずず……  
慎重に腰を前に進めていくと、今度こそ和人の男性器は秋菜の処女穴をまっすぐ突き進んでいった。  
 
「うっ……!」  
狭い穴を押し広げるようにして進んでくる和人のモノに秋菜は少しだけ顔を歪めたが、小さなうめきを洩らすだけでその痛みに耐える。  
「だ、大丈夫? あと少しだから……」  
気遣う声をかけながらゆっくりと腰を進めていった和人の男性器の先端が、何かにぶつかってその進行が止まる。  
秋菜の処女膜に違いなかった。  
これさえ突き破ってしまえば、秋菜の処女は和人のものだ。  
「ぐううぅっ……!」  
意を決した和人が腰を突き出すと、男性器の侵入を拒んでいた薄膜は、経血を通すためにあった裂け目を亀頭に押し広げられ、純潔を証すその役目を終えた。  
秋菜は歯を食いしばってその痛みに耐える。  
「あ、秋菜……!?」  
その痛々しさに和人は思わず引き抜いてしまいそうになったが、  
「だ、大丈夫だから……! 止めないで……和人……」  
瞳一杯に涙を溜めながら、秋菜は行為の継続を願った。  
文字通り身を裂くような苦痛に苛まれても行為の完了を願う秋菜の健気さに、和人も覚悟を決めて一旦引き抜きかけた男性自身を再び秋菜の中に埋めていった。  
「うっ……」  
最後の障害を抜けてしまったため、後は簡単に根元まで秋菜の中に入り込んでしまった。温かい粘膜に男性全体を包まれて、和人は初めての快感を感じていた。  
秋菜の感じているであろう苦痛を思うと申し訳なかったが、すぐに達してしまいそうなほどの快感だ。  
 
「う、動かすよ……」  
男性自身を根元まで秋菜の膣に収めたまま、しばらく慣れるのを待つようにじっとしていたが、和人はそう言った。  
秋菜が微かに首肯するのを確認してから、和人は慎重に腰を揺らし始める。  
ずっ…………ずっ…………  
秋菜の負担をなるべく減らすために、動かす幅も速度も小さなものだったが、初体験の和人にはそれでも十分すぎる快感があった。  
早く和人が達してしまえば、秋菜はそれ以上の苦痛は味わうことはない。  
そんな計算をする余裕も無く、和人はすぐに限界を迎えてしまった。  
「ううぅっ…… で、出るっ……!」  
このまま膣内に射精して取り返しがつかなくなったら、と一瞬頭によぎったが、抜き出されるのを待たず、和人の男性自身は秋菜の膣内で精を吐き出してしまった。  
ぴゅっ、ぴゅびゅっ、びゅるっ……  
大量の精液があっという間に秋菜の膣内を満たしていく。  
ずるっ……  
もう手遅れとは知りつつも、和人は吐精途中の途中の男性自身を秋菜の膣内から引き抜いた。  
びゅ、びゅびゅっ……  
尚も精を吐き続けていた男性自身は、そのまま和人の鼠蹊部と淡い茂みをもべっとりと白く汚していった。  
膣内で吐き出された精液は破瓜の血と混ざって薄ピンク色の濁液として膣口から溢れ始める。  
「はぁっ……はぁっ……はぁっ……はぁっ……」  
秋菜の中と外にありったけの精液を吐き出した和人は、しばらくの間は射精後特有の虚脱感にあったが、やがて頭がはっきりとしてくると秋菜の身体を気遣う思いが戻ってくる。  
「秋菜……大丈夫かい?」  
自分が吐き出したもので汚してしまった秋菜の身体を綺麗にしてあげようとティッシュを箱ごと手に取って尋ねる。  
問われた秋菜はまだ和人が入っていた部分にじんじんする痛みと異物感が残ってはいたが、自分を気遣おうとする和人に笑顔を返した。  
「ありがとう……和人」  
その後、2人は交代でシャワーを使い、自分たちの身体とベッドの痕跡を綺麗にした。  
 
名残惜しかったが、今日はもうお別れだった。  
本当はこのまま秋菜に泊まっていってほしかったが、いつワルキューレ達が帰ってくるかもしれないので今日は別れることにした。  
今2人で他の人の前に出たら、さっきまでのことを隠しきれる自信がなかった。  
もし秋菜とのことがみんなにばれてしまったら、とんでもないことになるのは目に見えている。  
秋菜にも危険が及ぶかもしれない。  
いつかちゃんと説明をしなければならないが、今はまだ2人秘密しておいたほうがいいだろう。  
 
せめて見送りくらいは、と和人は玄関の辺りまで一緒に来たのだが、秋菜は靴を履くと玄関の扉を開ける前に和人に手招きをした。  
「うん?」  
何の疑いも無く和人が近づいてくると、  
チュッ  
秋菜の方からも顔を近づけてきて、唇と唇が軽く触れ合って、すぐに離れた。  
「和人、大好き!」  
最後にそう改めて告白してから、秋菜はドアを開けて自分の家へ帰っていった。  
僕の唇に幸せの足跡を残して。  
 
 
〜その頃バルハラ星では〜  
「いったいどういうことです、ハイドラ!」  
「だからよ、メームの姉貴……ちょっとした悪戯で……」  
「なにがちょっとした悪戯ですか、あなたのその悪戯で八皇女が集まることになったのですよ!!」  
「…………」  
「まったく、あなたは以前から皇女としての自覚が……」  
(ったく、メームの姉貴の説教は長くて叶わねえや……それはそうと、秋菜の奴上手くやってるかな? ったく俺がいなきゃなーんもできねぇからなぁ……友達思いの俺に感謝しろよな)  
「ハイドラ!聞いているのですか!」  
「はっ、はい」  
 
それからメーム様の説教は十時間以上も続けられたのだった・・・  
 
 

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