「枢さま…?」  
首筋の髪を払う枢の手に、優姫はふと目覚めた。  
「ああ、ごめん。優姫。起こしてしまったね」  
枢はナイトチェストに置かれていた水差しから作ったタブレット入りの赤い液体を片手に、  
“目覚め”とともに長くなった優姫の髪を梳く。  
遮光カーテンの隙間から差し込む一条の太陽光は、強く鮮烈に薄闇に沈む部屋を切り裂いていて、  
今がヴァンパイア達にとって深夜であることを示していた。  
「…喉が渇いたのだったら、起こしてくれればよかったのに」  
唇を少し尖らせて上目遣いに拗ねる優姫に、枢は困ったかのような笑みを小さく浮かべる。  
「ありがとう優姫。でも、寝ている優姫に牙を突き立てて起こすのは忍びなくて…」  
「ううん。起こしてくれるほうが良かった。  
私の血じゃなくて、そんな味気ないものを枢さまに飲ませるなんて、私が嫌なんです」  
きゅっと枢の服の袖口を握る優姫に、枢はますます困った顔をする。  
「優姫、前に教えたよね。僕たちヴァンパイアは恋情を覚えた相手の血を吸いたくなる。でも僕は今、優姫の血も、優姫自身も、欲しくてたまらないんだ」  
「あ…」  
枢の指すことがわかり、優姫は赤くなって視線を伏せた。  
枢にあの雪の降る中目覚めさせられたとき以来、枢は優姫に愛を囁き、  
互いに血を与え合ったが、口付けすら交わしていなかった。  
「李土や錐生くんのことで優姫が思い悩んでいることは知っているし、  
何より僕自身が目覚めたばかりの優姫に“許婚”だからって無理をして欲しくないんだ。  
タブレットを飲んでソファででも寝ようかと思っていたのに、  
寝ている優姫を見つめていたら離れがたくて、結局起こしてしまった」  
枢は優姫の額に唇を落とす。  
「さ、わかったらこの手を離して、もう1度おやすみ。僕たちの“朝”にはまだ大分ある」  
力をなくした優姫の手から自分の手を取り戻した枢は、  
理解していてもやはり一抹の寂しさを覚えながら、  
優姫のためだと自分を言い聞かせて寝台から立ち上がろうとした。  
 
「行かせません」  
枢が背を向けた瞬間、優姫は体を起こして、枢の広い背中に縋りついた。  
「優姫…」  
枢の胸に回した手のひらから枢の力強く少し早い心拍が、伝わってくる。  
「困った子だね。言っただろう。さあ離して」  
体を捻って向き合った枢を、優姫はしっかりと見つめる。  
「私が記憶を忘れていた間、枢さまはずっと私を想っていてくれました。  
まだ力のコントロールもうまくできなくて、枢さまに迷惑をかけてばかりだけど…」  
優姫は枢の右手を両手で包み、持ち上げる。  
不安になったとき、いつも頬を撫でてくれた優しい手。  
「私、ずっと枢さまに憧れていました。  
お母様によって記憶を失っても、世界の始まりは枢さまでした。  
私、ちゃんと…兄だからとか許婚だからとかじゃなくて、異性として枢さまのこと、好きです。  
だから枢さまに無理して欲しくない。私も…心のどこかで待っていた」  
優姫は枢の掌へ、そして手首へ口づけた。  
掌へのキスは“お願い”  
手首へのキスは“欲望”  
枢は優姫からのキスが、単なるスキンシップではなく、意思表示のサインだと気付く。  
「優姫」  
枢は優姫の肩をそっと掴んだ。  
肩から感じる枢の手の熱さをやけに意識し、優姫はごくりと唾を飲み込む。  
「いいんだね?」  
じっと優姫を見つめるダークレッドの瞳。  
極力優姫へヴァンパイアとしての姿を見せまいとしていた枢が、  
今、血への渇望を、何より優姫自身への欲望をその瞳に露にしていた。  
「はい」  
枢はじっと優姫を見つめると、頤を引き上げてゆっくりと唇を重ねた。  
「んッ」  
欲望に煙らせた瞳を細めて、2人は吐息を交し合う。  
「ぁ…」  
侵入してきた枢の舌が、優姫の牙をなぞってから舌に絡みついた。  
 
優姫は枢の舌技に翻弄されながら、溢れる唾液を飲み下し、拙くも舌を絡める。  
飲みきれなかった唾液が口の端から零れて、  
普段はストイックな枢と淫らなキスをしているという意識が興奮する精神に拍車をかける。  
背筋がぞくぞくとし、体の中心から熱が上がっていくようにも、たまり続けていくようにも感じる。  
「ふぁ…んぅ………ぁ」  
枢の舌に誘われて、優姫の舌が枢の口内に招かれる。  
「んっ…はぁっ…」  
遠慮がちに入ってきた優姫の舌を、枢は優しく牙で噛み、微かに滲んだ優姫の血を味わう。  
キスを交わしながら、枢は優姫の寝間着の前身ごろをくつろげて押し倒した。  
「優姫…」  
「あっ」  
露わになった乳房に、綺麗な筋が浮き出た大きな枢の手が触れる。  
唇が辿った肌は唾液に塗れて差し込む陽光に淫靡に光った。  
まだ少女の域にある優姫の乳房は、成熟した女性にはない初々しい硬さと美しさがある。  
手に吸い付くような白い肌へ紅い花を散らす行為は、  
まるで処女雪に足跡をつけるような征服感を枢にもたらした。  
「あん、やっ…枢、さま……」  
掌にすっぽりと収まり、己の意に合わせて形を変える乳房を、枢は優しく揉みしだいた。  
淡く色を変えた頂を口に含まれると、優姫はたまらずに枢の頭を掻き抱いた。  
「ああっ」  
のけぞった優姫の背の下に右手を差し入れると、いっそう胸が枢にむかって突き出されたようになる。  
ぷっくりと腫れた頂の感触を味わい、また優姫にそこがどんなになっているか知覚させるために、  
枢は執拗に舌先で嬲り、軽く歯を立てる。  
ちゅっと乳首を吸ってから枢は顔を上げた。  
「優姫、腕を抜いて」  
与えられる愛撫にぼんやりと熱に浮かされたようになっていた優姫は、途端に理性が戻って赤面する。  
枢は優姫に袖を抜かせると腰に腕を回して上げさせて、ワンピースタイプの寝巻着を下からするりと取り去った。  
素肌の背中に感じる髪とシーツの感触が常とは違う状況を意識させる。  
「枢さま…あの…」  
ショーツ1枚になった優姫と比べて、枢は未だきっちりと服を着ている。  
優姫は羞恥に胸を両手で覆って、視線を横に泳がす。  
「わかってるよ優姫」  
枢は優姫から体を離すと、1度寝台から下りて着ていた服をすべて脱ぎ去った。  
 
戻った枢は優姫の両手にキスを落として胸から手をどかせる。  
羞恥心から視線を伏せたままの優姫の頬へキスをすると、おずおずと視線が合わされた。  
素肌に直に伝わる互いの体温が、気恥ずかしくも安心感を覚える。  
引き寄せられるように抱き締めあうと、優姫の太腿に枢の屹立したものが触れる。  
「枢さま、あの…」  
「うん。優姫が欲しいからね」  
熱く、柔らかくも芯の硬さを感じさせる肉の感触に、  
優姫は緊張と羞恥に体を強張らせ、未知の体験へ目元を赤らめる。  
「優姫」  
瞳を閉じて枢とのキスに溺れると、わき腹を撫でる枢の手に体が鋭敏に反応してしまう。  
枢は愛撫の手に肢体をはねさせる優姫の反応を楽しみながら、  
ゆっくりとわき腹から太腿、太腿から内股へと手を滑らせる。  
優姫は枢の手の動きに合わせて、閉じていた膝を少しだけ開いた。  
「はぁ…んん」  
汗ばんだ内腿を愛撫するたびに、優姫は身悶えてゆっくりとさらに脚を広げていく。  
ショーツの上から秘芯を触ると、びくりとそこが収縮するのがわかった。  
「優姫。いい?」  
優姫は快感と行為への緊張で返事など返す余裕がなく、小さく頷くだけで精一杯だった。  
枢は伸び上がって優姫の瞼に安心させるようにキスを落とし、ショーツをゆっくりと脱がせた。  
下着と塗れた秘芯から溢れた愛液が糸のように繋がり、切れる。  
枢は優姫の膝に手をかけると脚の間に体を入りこませた。  
「ほら、わかるかい優姫。下着が汚れてしまったよ」  
「それはッ」  
「それは?どうしてこんなになってしまったのかな?」  
答えられるはずもなく、優姫はただ全身を羞恥に染めて上目遣いに枢を見つめる。  
「優姫?」  
枢はそんな優姫を許さず、くすりと微笑むと優姫の頬を両手で挟み、額を触れ合わせて覗き込む。  
「意地悪をするなんてひどい…」  
「そうだね。僕はひどい男だよ。優姫に恥ずかしいことを言わせて、優姫を抱きたくて、  
優姫の血を飲みたくてたまらない、愚かな男だ」  
ダークローズの瞳で至近距離から見つめられると、  
くらくらと眩暈がして優姫は全てを委ねてしまいたくなる。  
 
「枢さまが…」  
「僕が?」  
「枢さまの手が気持ちよくて…」  
優姫はこれ以上は察してといわんばかりに枢の唇に齧りつくようにキスをする。  
「ん、あぅ、んん」  
枢はご褒美とばかりにリップノイズをさせてキスをし返す。  
「もっと優姫を気持ちよくさせてあげる」  
「あ!」  
体をずり下げた枢はさらに脚を広げさせてゆっくりと優姫の秘所を曝した。  
ふっと1度息を吹きつけて敏感に震える秘芯を見て、おもむろに舌で舐め上げた。  
「ひゃあッあ、だめ枢さま!おかしくなる!!」  
感じたことのない感触に、背筋がそそけ立つ。  
感覚の全てが行為に対して働いているようで、頭が沸騰して何も考えられなくなる。  
「いいんだよ優姫。もっと僕にきみの全てを見せて」  
まだ誰も受け入れた事のない場所に、枢の舌がねじ込むように入ってくる。  
「いやあ!だめっ…はあ」  
熱い舌の感触から逃れようと身悶えるが、しっかりと腰を掴まれて枢の顔を太腿で挟むだけに終わる。  
形良い枢の唇が自分の花芯を嬲っているのだと思うと、優姫は羞恥にシーツを掴んで身をくねらせた。  
枢が舌を使って頭を動かすたびに、優姫の汗ばむ肌を髪が滑る。  
「ん…溢れてきたね」  
秘芯をちゅるっと吸われると、たまらなくなって爪先でシーツを蹴るようにもがく。  
つぷりと長くしなやかな枢の指先が割れ目に侵入した。  
「あっ!」  
「痛い?」  
顔を上げて問う枢に、優姫は首を振る。  
枢の舌によって熱く蕩けた秘所は飲み込んだ指先の質量に違和感こそあるが、痛みはなかった。  
枢は優姫を安心させるように微笑むと、添えた親指で割れ目の上部を擦って快楽を与えながら、  
優姫の反応を伺いながら内部を傷つけないようにゆっくりと人差し指を収めていく。  
「あ…っ」  
「どう?」  
「平気…です」  
微かに鈍い痛みを感じていたが、初めて指を受け入れるときの表情を注視されていたことで、  
ダークローズの視線に惑わされるように優姫の体の奥が熱く蕩けていった。  
愛液を掻き出されるように音を立てて指を抜き差しされると、  
体の奥から枢への愛しさと甘い疼きが湧き上がってくる。  
 
割れ目の上部を擦られながら指を動かされると体の奥底から快楽が全身に広がって、  
四肢が弛緩して快感だけが蓄積していく。  
それなのに枢が溢れた愛液を舐め取ると、太腿が敏感に慄いてさらに愛液を溢れさせてしまう。  
「んん、ふっ…ああ!」  
「優姫のここ、熱くて柔らかい」  
枢は優姫の耳元で囁くと、耳たぶを軽く噛み、耳朶を舐める。  
普段は優姫への穏やかさや優しさだけで構成された枢の声が、今はただ優姫への欲望に上ずり、  
下肢で立てられる淫らな粘着質な水音と一緒に、優姫から理性をそぎ落としていく。  
「んっ…あぁ…はあんっ」  
枢は熱に浮かされたように喘ぐ優姫にキスをすると、  
円を描くように胸を揉みながら、挿入する指の本数を増やしていく。  
締め付ける内部の襞を味わうように緩く擦り付けるように指を前後に動かすと、  
甘えるように優姫が枢の首に縋りついてきて愛しいが募る。  
「あんっ」  
指を引き抜くと、追い縋るように優姫の内部が閉じていく。  
枢は愛液に塗れた指を一舐めすると、  
与えられる快楽がなくなってぼんやりと見上げてくる優姫にキスをして、腕を己の背に回させる。  
膝を抱えて屹立を入り口にあてがうと、取らされた体位に優姫の瞳に理性が戻る。  
「枢さま…」  
「優姫。僕の優しいお姫様。愛してるよ」  
初めての行為を前に緊張した優姫をリラックスさせるように、  
枢は額、瞼、頬、そして唇へとキスを落としていく。  
「私も枢さまのこと、大好き。愛してます」  
劣情を掻き立てるキスではなく愛情を込めた軽いキスを、  
2人は互いの唇の感触を味わうように何度も交わす。  
優姫がキスの合間に息をついたときを見計らい、枢の屹立が進入した。  
「あああ!!」  
枢は処女膜の軽い抵抗を感じると、そこでいったん腰を進めるのを止めて、優姫の様子を伺う。  
腰を揺らさないように、優姫の汗ばんでこめかみに張り付く髪を梳き上げた。  
「優姫」  
「か…かなっ…枢さま、枢さま!」  
まるで痛みから逃れる術は枢の名前を呼ぶ事だというように、優姫は痛みに喘ぎながら枢を呼ぶ。  
優姫は自分の内部が、枢の屹立の先端に沿って開いていることを枢の熱でもって感じた。  
「優姫、落ち着いて息をして」  
枢は慄く優姫の唇の線を指で撫でる。  
「枢さま!ふうっ…んん」  
優姫は枢の背中に縋りながら、キスをねだる。  
枢も優姫の呼吸を妨げないように、キスをして唇で頬を慰撫する。  
 
「優姫、僕を見て」  
優姫と枢の視線が交わる。  
初めて枢を受け入れる苦痛に喘ぎながらも、優姫は1度も止めてと言わなかった。  
今も枢の屹立に文字通り処女地を開かれながらも、健気に枢に縋りついてくる。  
熱く締め付けてくる内部は心地よくて、  
枢は更に膨らもうとする欲望を体から逃すように熱い息をつく。  
このまま優姫の体も省みずに思う様穿って血を啜りたい衝動に流されそうになる。  
だがこのままでは優姫も己も中途半端で、  
己はともかく優姫には辛い状態を長引かせるだけでしかない。  
「痛いだろうけど、最後まで入れるよ」  
ダークローズの瞳に写った自分を見つめる優姫に枢は微笑むと、  
腰を小刻みに前後に揺らして一気に貫いた。  
「はあああああ!!」  
肉が裂かれるような感触と痛みで、優姫の目に白い光が飛ぶ。  
衝撃に枢の背へ反射的に爪を立てたようで、指先にぬるりと血の感触がある。  
焼け付くような痛みが受け入れている場所から全身に広がり、  
優姫は体を強張らせて浅く早い呼吸を繰り返した。  
「優姫、大丈夫。大丈夫だよ」  
枢は優姫の全てを己のものにした安堵と征服感、そして優姫への愛しさに満たされた。  
このままずっと優姫を抱いていたい。  
この世の全ての憂いから開放して、ずっとこの腕の中で憩わせてやりたい。  
満たされた一方で、破瓜によって流れた優姫の血の匂いに牙が疼く。  
動かさないようにそっと指で結合部に触れると、指先に血と愛液が付いた。  
ぺろりと指に付いた体液を舐めると、幾度か味わった事のある優姫の甘い血の味がした。  
優姫の細い肢体を思う様に掻き抱き、首に鼻先をうずめて牙を立て、  
優姫の甘い血を口いっぱいに味わいたい。  
枢は優姫の白く細い首に絡む髪を後ろに流して白い肩を露わにさせると、  
丸い肩にそっと手を這わせる。  
枢は優姫の華奢な鎖骨を唇で辿り、さらにキスマークを付けて優姫の白い肌に紅く華を咲かせた。  
「枢さま…」  
優姫が荒い息をつくせいで上下する乳房の先端が、その度に枢の胸板に擦られる。  
焼けるような痛みは治まり、じくじくとした痛みと、熱い枢の質量を感じる。  
ぴったりと1つになった枢と自分の体に満たされた想いが湧き上がる。  
 
優姫の目の前には陶器のように白く滑らかな枢の首筋が曝されていた。  
汗に塗れて色を深めた艶やかな髪が絡む襟足に枢の血の甘さが思い起こされて、  
優姫は自分の牙を舌先でなぞる。  
吸血衝動に紅く染まった優姫の瞳に、枢は優姫が血を吸いやすいように首を軽く傾けた。  
「僕を求めて。優姫」  
優姫は憑かれたように枢の首に牙を突きたてた。  
鋭い2本の牙が肌を破り、熱く甘く優姫を酔わせる枢の血の味が濃厚に広がる。  
口内に溜めた血を舌先で転がし、ゆっくりと飲み干していく。  
枢の優姫への想いが甘く血に溶けているようで、優姫は枢への切ないまでの愛しさに胸を突かれた。  
吸血行為も一息つき、優姫が牙を引き抜くと噛み痕は見る見るうちに癒えてしまった。  
それが名残惜しくて、優姫は噛み痕をちろちろと舐めて、零れた血も綺麗に舐めとった。  
優姫は吸血衝動にダークローズの瞳を鮮やかな真紅へと染めた枢の眼を見つめながら、  
ぺろりと唇の端についていた血を舐め取る。  
肉体的に1つになり、互いの血を求め合う行為に、優姫は言い表しようのない幸福感に満たされた。  
優姫の体に劣情を覚えて肉の牙を突き刺し、今また優姫に吸血衝動を覚えている枢に、  
優姫は愛しさから自分の血を捧げたいと望む。  
「枢さまも、私の血を飲んで…」  
枢の吐息が柔肌をなぞり、白く鋭い牙が熱い血潮を求めて肌を噛む。  
「あっ」  
皮膚を噛み破られる痛みと、自分の血が流れ出る熱い感触、  
溢れた血を啜る枢の熱い口内の粘膜、そしてそれを飲み干す音が聞こえる。  
皮膚を枢の舌が這うたびに、優姫の内部が切なく疼く。  
愛する男と血を求め、与えあう関係に優姫の体の奥底が甘く痺れ、  
受け入れている枢を切なく締め付けた。  
「ふっ、優姫、そんなに締め付けないで。我武者羅に優姫を求めたくなってしまう」  
「だって…枢さまのことを考えたら胸がいっぱいになって」  
優姫に内部は破瓜の衝撃を乗り越えて、今や枢が動き出すのを待つように、  
やんわりと枢を締め付けて蠢いている。  
枢は悩ましげに息を吐くと、優姫に口付ける。  
「いけない子だね優姫。僕は初めてだから大事にしたいのに、簡単に僕の理性を揺るがしてしまう」  
あくまでも優姫の体を気遣う枢に、優姫は安心させるようにじゃれつくようなキスをする。  
「私も枢さまの血も、枢さま自身も欲しいんですよ」  
「こんなにも僕を翻弄しても、許してしまうのは優姫だけだよ」  
枢は優姫の唇を奪うと、腰を動かし始めた。  
 
枢が腰を動かすたびに寝台が軋み、蕩けた粘膜を熱が擦り上げる。  
湧き上がる快感に意識を流されまいと、優姫は枢に爪を立てる。  
「あん、はあっ、んく」  
最奥を抉られるたびに快感が弾けて、急速に意識の全てが枢だけになっていく。  
「枢さま!」  
何もかもがわからなくなるような感覚が怖くなり、優姫は枢の広い背に縋る。  
抉られるたびに優姫の内部は甘く蜜を溢れさせ、抽送によって掻き出されては卑猥な音を立てる。  
枢は潤んだ優姫の瞳に唇を降らせて、流れた涙を拭う。  
「優姫、愛してる、愛してるよ」  
瞳を劣情に染めて汗を滴らせながらも、枢は真摯に優姫に愛を囁く。  
「好き!わっわた、しも、枢さまのこと、ああああああ!」  
枢の質量を受け入れて喘ぎながらも、必死に応える優姫に枢は微笑む。  
「枢さま!あっ!怖い!はあッ…私、もうっ」  
「大丈夫、一緒に」  
枢は優姫の右手をしっかりと握ると、動きの激しさを増した。  
奥を抉られると内部が枢に絡みつき、形をより意識してしまう。  
揺さぶられると快感を強く感じてしまって、  
優姫は強すぎる快感から逃げたいのかもっと感じたいのか、自分でもわからなくなってしまう。  
枢の質量が一際深く優姫を穿った。  
呼応して優姫の内部が枢の質量を締めつける。  
「っあ、やっ、あああああああ!!!」  
「くっ」  
限界を突破した快感に思考が焼ききれて、視界が真白にスパークする。  
枢の熱が内部で弾けてびくびくと吐精するたびに、  
極めたばかりの内部を擦られて優姫は甘く吐息を漏らした。  
 
高みを極めた2人は抱き合ったまま、互いの暴れる心臓が落ち着いていくのを聞いていた。  
優姫は枢と隙間がないほどぴったりと抱き合い、  
内部に枢の熱を感じることに例えようもない幸福感と安堵を覚えて、  
未だ余熱で潤んだ瞳から涙が零れそうになる。  
「なんだか私、幸せすぎて泣きそうです」  
「僕もだよ、優姫。ありがとう」  
枢は涙で張り付いた優姫のこめかみの髪を払うと、睫を唇で優しく食んで顔中にキスを降らせた。  
枢は優姫の呼吸が落ち着くのを待って、熱を引き抜く。  
「あ…」  
遮るものがなくなって秘所からとろりと溢れる互いの体液に、優姫は羞恥に視線を伏せる。  
「ん…」  
枢は啄ばむように軽いキスを何度も優姫に贈る。  
優姫は満たされた想いと疲労から、徐々に眠気を覚える。  
「いいよ優姫。疲れただろう。おやすみ」  
枢は体を優姫の横にずらし、腰に腕を回して抱き締める。  
優姫は自分に向かってふんわりと微笑む枢の笑顔を最後に、意識を安らかな闇に委ねた。  
健やかな寝息を立て始めた優姫の髪を、枢は指先でそっと梳る。  
己の腕の中には生まれたときから見守ってきた優姫がいる。  
優姫の愛撫の手に切なく喘ぐ甘い声も、熱く絡みつく優姫の内部も、  
背中に縋りつく爪の硬さを知るのも己だけ。  
枢は優姫の額にそっとキスを落とした。  
 
 
 
おわり  
 

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