「ナイペタ!」  
レミのかけ声と共に雷撃が放たれる。  
そして、目の前のモンスターは黒こげになって倒れた。  
「全く、いつもながら思うけど、おっそろしい威力だよなあ…」  
そうつぶやくのは後ろで観戦モードを決め込んでいたボストフ。  
「ナイペタねぇ…」  
ふとボストフは良い悪戯を思いつき、にやりと笑う。  
そしてレミの後ろに回り込むと  
「ナイペタ〜」  
といいながら抱きつき、ローブに覆われた胸の部分を ペタッと触る。  
 
ふにっ。  
そこにあるはずもない柔らかな感触にボストフは戸惑う。  
ペタペタ。  
ふにふに。  
ペタペタ。  
ふにふに。  
何度確認を繰り返した末に、ボストフはそれを『紛れもなく胸である』と結論づけた。  
「…たい…」  
レミが何かをつぶやく。  
「痛い…って、言ってるでしょ…っ!!」  
周りの空気が帯電し始める。  
ボストフは胸をペタペタ、もといふにふにしていた手を止め逃げだそうとするが  
時すでに遅し。  
レミの構えた腕から、雷撃が放たれた。  
「ナイペタ!!」  
 
かくして、ここにボストフという名の黒焦げのオブジェが完成した。  
それは手をぺたぺたと、もとい、ふにふにと動かしていたが  
しばらくの後に力尽きたのか、ついに気を失った。  
 
対するレミはボストフに背を向けて歩き出す。  
普段より幾分か早足になっているのは、怒っているからだろうか。  
「何度も痛いって言ってるのに…ボストフの馬鹿!」  
「だいたい女の子の胸をいきなり触るだなんて…」  
レミは、まだ痛みの残る胸を押さえて、ふと足を止める。  
膨らみ始めた胸に与えられる衝撃は、レミの身体に確かに痛みを走らせた。  
しかしそれとともに、痛みとは違う奇妙な感覚をもレミの身体に与えたのだった。  
例えるならば、それは体中を駆け抜ける、痛みのないナイペタのような――。  
「ボストフ…ちょっとやりすぎちゃったかな…」  
レミは踵を返し、来た道を戻っていく。  
そして、先ほどのナイペタもなんのそのといった感じで、  
安らかな寝息を立てている黒焦げのボストフを見つけると、  
レミは少し微笑んだ。  
 

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