眼鏡の理由(ワケ)  
 
 
南 悠里は今日も真壁 翼をバカサイユからムリヤリ引っ張ってきて教室で補習をしている。  
イケメンだが”日本語メタメタのバカ”の翼を無事卒業させるのが担任である悠里の使命。  
今日の補習の科目は翼のもっとも苦手な国語。  
「考え込んでしまう時『( )をかかえる』って言うけど( )にあてはまるのはなに?」  
「……腹だ」  
「うーん、おしい! 正解は頭です。 『腹をかかえる』はおなかを押えて笑うことね」  
「shit! 日本語は難しい」  
 
万事がこんな調子。 全問不正解。  
翼のあまりにも悲惨な返答の数々に悠里もげんなりだが、プライドを傷付けられた翼の機嫌は  
かなり下降線を辿っていた。  
 
「ちょっと休憩する?」  
「……」  
ムッとして返答はない。 それでもまだ補習を始めたころに比べればかなり進歩したほうだ。  
最初の頃はそもそも補習には参加してくれなかったし、来たとしても解けない問題に腹をたてて途中で  
出て行ってしまうこともあった。 今は取り合えず参加したら最後までは居てくれるのだが。  
しかし今日はかなり機嫌が悪い。  
やばい。このまま続けるとモデルの仕事があるとか、急用を思い出したとかゴネられて逃げられてしまう。  
そうならないようにちょっとした息抜きのつもりでふと思いついた話題をふってみた。  
 
「そ、そうだ……ねえ、翼君っていつも眼鏡をかけてるけど、実際のところ視力ってどれくらい悪いの?」  
「なんだ?担任、いきなり」  
明らかに不貞腐れて、それでも翼が返事を返す。  
「いや眼鏡とると全然見えなかったりするのかなぁ〜、と思って」  
「まあ…………そうだな。 眼鏡を外すと歩くのも覚束ないくらいだな」  
「えっ!そうなの? そんなに目が悪かったんだ」  
(勉強もしてないのになんで目がそんなに悪いの? ゲーム?マンガ?う〜ん?)  
「……なんだ?その目は。俺が目が悪いと何かお前に不都合でもあるのか?」  
更に機嫌が悪くなってしまい慌てて言い訳を考える。  
「え、そういうわけではないけど。 ちょっと興味があって」  
「ふーん?」  
 
翼が何を思ったのか、ニヤリと笑って眼鏡に手をやりいきなり外した。  
「わっ」  
そのムダにきれいな顔で悠里を見つめてくる。  
(ちょ、ちょっとーいきなり外さないでよー。 しっかし本当にキレイな顔してるわね。流石ハーフ。 睫毛長ーい。  
顔の輪郭も完璧な形だし、瞳も不思議な色合いでキレイだし……)  
「ハァ……」  
悠里、思わずぼーっと見惚れてしまう。  
 
(ハッ!!いけない!いけない!あんまりしまりのない顔してると翼君にバカにされちゃう。 あ、でも目が悪い  
から、私が見惚れたことなんて見えてないか。 ほっ)  
 
「うーん。やはり眼鏡をとると担任の顔もイマイチ良く見えないな」  
「じゃあ、どれくらい近くの物なら見えるの?」  
「そうだな……これくらいか?」  
 
翼机の上に手を付き、身を乗り出して悠里の顔に顔を近づける。  
悠里は自分の視界がなぜ急に暗くなったのか直ぐには解らなかった。  
「や……ちょ……ン……ンン?」  
暖かいモノが自分の唇を掠めて、でも目を閉じる暇もなくて。  
思考は停止してしまって、ただただ、ぽかーんとしていた。  
翼は重なっていた唇を離すとクククと意地悪そうに笑って言った。  
「『スエゼン喰わぬは男の箸』っていうんだろ?センセー?」  
 
「ば、ばか!! それを言うなら『男の恥』でしょ!! っじゃなくて、そんなことはどーでも良くて、  
今、ちょっ!ちょっと!!何したの!!」  
慌てて唇を押さえて叫ぶと、翼は愉快そうに悠里の顔を覗き込んで言い返す。  
 
「眼鏡を外した俺の顔に見惚れて顔を赤くしてポケーとしてるからだ、ククク」  
「な、何よ、見えてるんじゃないのーーーー!!」  
「ハハハ、何だ担任。 俺様に見惚れたことは否定はしないのか?」  
「え?うー。 ……しょうがないじゃない、眼鏡を取った翼君が必要以上にカッコイイから悪いのよ」  
「クッ。 ハーッハッハッハ! まさか開き直られるとは思ってなかったな。 いくら本当の事でもそんなことを  
俺に直接言った先生は他にいなかったぞ。まったく面白いヤツだ」  
 
そう言うとまた翼は身体を乗り出して悠里の頤を摘む。  
「俺の機嫌を直したご褒美にもっとしてやろうか、担任」  
そういってまた悠里の唇に翼が自分の唇をゆっくりと触れるスレスレまで近づけてきたので  
「ええっ!!そんなご褒美いらないから!!ちょ!やめて!」  
と、悠里は慌て自分の手のひらで唇を覆い隠した。  
が、すぐさま両手首を翼に捕まれて逃げられなくなってしまう。  
「ダメ!ちょ……こら!……ン……んゥ……ンーーーーーー!!」  
 
ぐっと腕を引き寄せられて、唇が重なってしまう。  
そのまま深く重ねて舌で口腔を探られる。 今度は先ほどのキスとは違って、もっと官能的なキス。  
腕は掴まれているので抵抗できず、それでもなんとか頭を後ろに逸らしてキスから逃げようと足掻くと、  
翼は今度は悠里の両腕を右手だけで易々と戒めて、左手を悠里の頭の後ろに回して更にキスを深く  
してく。  
(ん……もう……ダメェ……)  
しばらく経って唇が離れたが、足はガクガクして1人で立っていられない。  
顔も赤いし息は乱れて、でも恥ずかしくて、キスで”感じた”なんて思われたくなくて、つい怒鳴ってしまった。  
「……ハァ……ハァ……先生相手に、こ、こんなことするんじゃありません!!」  
「なぜだ」  
「貴方と私は『先生と生徒』なんだから、そういうことをしたら絶対にダメなの!! バカでも解ることなの!!」  
そう悠里が叫んだ途端、翼がフリーズした。  
「生徒…か………………。お前確か以前、一(はじめ)にもそう言っていたよな。  
お前にとっては俺はただの受け持ちのクラスの生徒なのか?」  
さっきまでご機嫌だったハズの翼なのに、翼を取り巻く空気が一気に冷えたものに変わったのに気が付いた。  
(私にバカって言われたのが気に入らないの?かなり怒っているみたい?)  
「ね、ねぇ 今のは言葉のあやで……翼君をバカと言ったわけでは……」  
悠里は恐る恐る翼に声を掛けるが、やはりかなり怒っているようだ。   
 
「俺は担任の言うとおり、”バカだから”そんな難しい事は解らないな。 ……俺は欲しいモノは絶対に手に入れる。  
それだけだ。 お前が『先生と生徒』に拘るなら今すぐこんな学校なんて退学して生徒を辞めてやる」  
「ええー!!な、何を言い出すの、翼君。せっかく今まで補習を頑張ってきたのに、今辞めたら全部ムダになるのよ」  
「俺に辞めて欲しくないか? どうしても?」  
「うん、辞めちゃダメ。辞めないで」  
「……なら。『先生と生徒』にもうひとつ別の関係も付加してもいいか?」  
「何それ?」  
「”Yes”か”No”か今すぐ答えろ」  
「…………翼君が辞めない為なら……なんでもするけど……?」  
「”Yes”or”No”?」  
「……”Yes”」  
「そうか、なら決まりだな。 永田、俺と担任のカバンを持ってついて来い」  
そういうが早いか、翼はいきなり悠里を肩に担ぎ上げた。  
「はい、翼様」  
翼の秘書の永田が忍者よろしく何処からか現れて二人の荷物をせっせと片付けている。  
「ちょっとーーー!!いきなり何するのよーー!! 私はセメント袋じゃないの、今すぐ下ろしなさい!!まだ補習の途中よ!!」  
翼は暴れる悠里をものともせずそのまま教室を出た。  
行く先はバカサイユ。 翼がB6の為に建てさせたクラブハウス……というにはあまりにも華美な建物だ。  
 
そこに入ると中で寛いでいた他のB6メンバーをさっさと追い出し、ソファーに悠里を投げ出した。  
「あ……頭に血が上って……くらくらする……」  
ずっと担がれていたせいでめまいを起こしてソファーから立てなかったのが悪かった。  
悠里はそのまま翼に圧し掛かられて身体を起こせなくなってしまった。  
 
「永田! バカサイユのドアに鍵をかけておけ! これから暫くここの半径100m以内に誰も近づけるな。   
清春が暴れるならSPを呼んでもいい。 あと、お前も外で待機しろ」  
「……畏まりました、翼様。 あまり南先生にご無体なことはされませんよう……。あと、差し出がましいかとは  
思いますが、これを……」  
「ん? ああ。 そうだな。 つけたほうがいいか。 Thanks.永田」  
「それでは翼様。 また、後ほど」  
そういって一礼をした後出て行ってしまった永田と、永田が翼に渡したモノに悠里は完全にパニックになった。  
「え?え?何? なんで鍵? 永田さん、なんでそんなもの渡してるの? どうして出て行っちゃうの? っていうか、  
いままでどこに居たの?ひょっとして教室にも居たの!! ちょっと!キスしてたの見られてたの!?」  
「大丈夫だ。永田は口が堅い」  
「そういう問題じゃなくてーーー!! さっき言ってた”もうひとつの関係”ってなに?」  
「いわなきゃ解らないのか。 教師のクセに」  
「そんなのいわれなきゃ解りません!」  
「”Lover”だ。 それならお前が俺といつでもキスできる。 例え『教師と生徒』でも」  
「はぁ? 何ソレ。 私まだ何も返事してないのになんで私の上に乗っかってるの!」  
「さっき俺が学校を辞めない為ならなんでもする、って言ったろう」  
「それはそうだけど、肉体関係はだめー!」  
「”Lover”が不服なら”husband”でもいいぞ」  
「だから私はまだ翼君の事が好きだって言ってないし!」  
「さっき、キスだけであんなにeroticな顔しておいて、今更俺の事が好きでないはずがなかろう」  
「eroticって、わ、私そんな顔してなんか……」  
 
「俺は他の生徒と一緒なのは我慢できん。 今すぐに『俺だけはお前の特別』だとここで誓え」  
「…………っ!?」  
 
心臓鷲掴みというのはこういう事を言うのか。 頭の中がダメだと否定してもどんどん桃色に染まっていきそうになる。  
(ダメダメ! だいたい翼君が恋人なんてファンは恐いし、お父様も恐いし、前途多難すぎるのよーー!!)  
気を取り直してなんとか拒否しようと試みる。  
 
「な、なんでそうなるのよ!! 日本語おかしいでしょ!! 普通ならこういうシチュエーションの場合、  
『あなたが好きです、お付き合いしてください』でしょー!! なのに何で『お前が俺といつでもキスできる』  
で、『俺だけはお前の特別』なのよー!! もっと日本語勉強してから口説きなさいよ!!   
そういうの日本語では100万年早いって言うのよ!!」  
 
「むぅ………………Shut up!! 金輪際お前に意見なんか求めるか! もう黙ってろ!!」  
 
「えーー!!なんでそうな、んぅーーーンンーーーーー!!」  
また強引にキスをされる。  
でも今度はイタズラのキスでも官能的なキスでもない。 これは前戯のキスだ。  
いつのまにかスーツの上着を剥がれ、ブラウスのボタンを引きちぎる勢いで外された。  
耳たぶを噛まれ痛みが走る。  
「イタ!」  
直ぐに甘噛になって耳や首筋を愛撫される。  
「頭の先から首まで真っ赤にして可愛い顔しておきながら、何で口を開けば憎らしいことばかり言う。   
俺のこと好きって言え。 好きだろう?」  
眼鏡を外した翼にアップで迫られて、さすがに悠里も陥落した。  
「……………………うん……」  
「フ…それでいい」  
 
再び唇を重ねられ舌を吸われる。  
翼の舌が口中でうごめくたびに悠里は身体があつくなっていく。  
先ほどまでとは違って優しい愛撫。 もう両手を拘束されていないのに悠里は甘い感覚に抵抗できなくなっていた。  
「ん……ふっ……」  
ブラの上から両手で胸をやさしく揉まれてつい声がでてしまう。  
やがて翼は背中に手を回してブラのホックも外し、露になった乳房を撫で回してきた。 指先で頂点を擽られて  
たまらず身体を震わせる。  
「こんなに立たせて、硬くして、いやらしいセンセイだな」  
二本の指でクリクリと弄られながら、もう片方に舌を這わせる。 きゅうと吸い上げられて堪らず声を上げる。  
「やっ……は……あっ……」  
 
生徒にこんなことをされて……そう思うのに、気持ちよくてとめられない。  
腰をくねらせ、太股を摺り合わせて身を捩る悠里の身体を押さえつけるように翼が全身で圧し掛かり愛撫を続ける。  
手がスカートの中に入ってストッキングを下ろし、下着に手がかかると、すでに濡れてしまった下着が恥ずかしくて  
脚を閉じて抵抗するが、容赦なく大きな手が脚を暴き、抜き取ってしまう。 全てがさらけ出される。  
「めちゃくちゃ濡れてる。 中も凄いことになってるな」  
「やだっ……」  
敏感な突起に軽く触れられて、悠里はびくんと身体を仰け反らせる。 そのまま指の腹でクチュクチュと弄ばれる。  
優しく指先でこすったり、押しつぶしたり。 後から後から滴る愛液を指にまぶしてクルクルと円を描くように回したり。  
「やぁ……ダメダメ、翼君っ」  
「もうイキそうなのか? イッていいぞ」  
「え?ああっあ……やんっ……そんなとこ、ダメェ!」  
クリトリスに舌が絡み付いてくる。 ピチャピチャと舐め回され小刻みに震わされる。  
腰がガクガクする。 指で虐められるよりもっと感じる。 なのに更に翼は指を悠里の中に差し入れてきた。  
「熱い……。中……とろけてる。 それにビクビクしてる」  
「あっあっダメっ……もうっ……ダメェ……やあっ!」  
強く唇で吸われ、指で中をかき回されてついに悠里が全身を痙攣させる。  
 
(凄い、気持ちいい…… でも私だけ乱れて、恥ずかしい〜〜)  
 
恥ずかしさに顔を隠すように両手で顔を覆っていると、耳元で翼が囁いた。  
「もちろんこれで終わりじゃないぜ、センセ?」  
悠里が目をあけると、翼が制服を脱いでいるところだった。 恥ずかしくて慌ててまた目を閉じたが、  
カチャカチャと金属の音がしてベルトを外しているところなのだと思うと、かえって想像してしまって余計に恥ずかしくなる。  
「期待してるんだろ? 触ってないのに、またそこがトロトロになってる」  
「もぉ……翼君のイジワルっ……」  
「ククッ、いつもこんなに可愛いといーのにな。……挿れるぞ」  
「え?あ……?あっああっあーっ……!」  
一度イッてドロドロに濡れていたのに硬くて太い翼の欲望が奥に奥にと進んでくると凄い衝撃を感じる。  
「くっふぅ……熱いな……うっ……」  
そのままゆっくりと腰を動かされ中を擦られるたびに部屋にぐちゅぐちゅと卑猥な音が響く。  
感じる部分にぐりとこすり付けられてその快感に悠里は息を呑む。  
「はぁっ! そこ、ダメっ……あぁ」  
「どうして……気持ちいいんだろ?」  
心臓がどくどくしてる。 目の前がちかちかして……おかしくなってくる。  
「イヤ……あぅ、……ん……ダメ……ダメェ……」  
「センセイ?日本語が間違ってるぞ……気持ちいいのになんで『イヤ』なんだ? ……気持ち良いなら『イイ』と言えばいいだろう」  
「バカ……もう……あっ!……やぅ……ダメェ…そこばっかりダメェ……」  
段々早く、感じるところばかりグリグリと擦られてワケがわからなくなる。  
「くッ……ダメじゃなくて『イイ』だろ?」  
翼も軽口を叩いているがあまり余裕がなさそうだ。  
感じてる翼の顔にさらに煽られて、悠里はもうわけが解らずただ何かを言われるままに口走る。  
「あぅっ……いい……いいよ……翼君………あっ………ああっ!」  
「俺が……好きだろ?」  
「……うん……うん……」  
「俺はお前の特別だろ?」  
「……うん……特別……」  
「クッ。やっとかわいらしくなったな。……悠里?」  
「あ…もうダメ……ダメダメ、翼君っ ああっ……ンーー!!んっんっ!!」  
イク寸前に唇を重ねられて悲鳴は翼に全て吸い取られてしまった。  
 
 
       ◇◆◇  
 
 
「ん? 永田から貰った個数では足りないな。 買いに行かせるか」  
悠里はしばらく意識が飛んでいたようだが、翼のとんでもない発言で現実に引き戻された。  
 
「ちょっとーー!!そんなもの秘書に買いに行かせないの!! それくらい自分で買いなさい!!」  
「プッ いいのか? 生徒が制服で避妊具を買いに行っても。センセイ?」  
「ああ!そうか。 ダメダメ。そんなもの買いに行っちゃダメ! 学生の不純異性交遊は校則で禁止されてるんだから!」  
「お前の意見は金輪際聞かんと先ほど行ったはずだが?」  
「そんなのダメ! 今日は……もうなし崩しにしちゃったからしょうがないけど。次は卒業してからですからね。  
それまでは我慢するのよ!」  
「ハァ!? そんなの頷けるはずないだろ。 ……なあ、もう一回いいだろう?」  
「ちょ……も、もう眼鏡かけて。 その顔にはついついフラフラ〜としちゃうんだから。もう惑わされませんからね」  
慌てて目をそらした悠里に、翼はいつもの高笑いをしながら悠里を抱きしめた。  
「金にも権力にもなびかないのに、俺の顔に弱いのか。 クク、本当にお前は面白いヤツだ」  
 
 
翌日から翼は学校に眼鏡をしてこなくなった。  
悠里が眼鏡をしていない翼君を見るたびにあの日の補習を思い出して赤くなってしまうのを面白がる為に。  
 
 
 
 
〜おわり〜  
 

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