『大人気無いクチビル、大人の時間。』  
 
 
私、鳳 晃司(おおとり こうじ)は私立聖帝学園の高等部の教師だ。 担当は地理・歴史。 年は31歳。  
去年、超問題児集団”B6”の教育と大学進学の指導の為、中等部より転任してきた女性教師、  
南 悠里(ミナミ ユウリ)先生と出会い、この春想いが通じて恋人同士になった。  
彼女は一年間”B6”の中でも一番荒んでいた草薙 一(クサナギ ハジメ)と一対一で向き合い、  
毎日彼に補習をし、落第確実と言われていた彼をついに大学に合格させてしまった。   
それだけでも途轍もなく凄い事なのだが、その草薙が合格した大学が問題だった。  
彼が合格したのは都でもかなり有名な大学だったのだ。  
「鳳先生に毎月末、草薙君のテストをしていただいたおかげです!」  
興奮して学園まで報告に来てくれた悠里と私は手と手を取り合って喜んだものだ。  
しかしこの件が後に私達の関係に暗雲をもたらすとは、この時はまだ私自身も思いもよらなかった。  
 
 
         ◇◆◇  
 
 
「今日は私と食事に行く予定だったと記憶しているがね」  
「ですから、約束をキャンセルすることは謝ります。 でもしょうがないじゃないですか」  
4月に入ってから、もう5度目のデートのキャンセルだ。  
そう、彼女は超多忙なのだ。  
 
悠里は草薙君が有名大学に入学して生活が一変した。  
なぜなら”記憶力メタメタのバカ”と言われていたテストの平均点が一ケタ代しか取った事がなかった草薙君を通常の生徒でも  
難しい有名大学に合格させた”奇跡を起こした教師”として聖帝学園の、中等部・高等部の父兄たちの間で知れ渡ることに  
なったからだ。  
ブルジョワ校として裕福な家庭の生徒が多い聖帝学園だ。 落ちこぼれクラス”ClassX”に子供が居る親達は色めきたった。  
今まで金を使って優秀な家庭教師をいくらとっかえひっかえ付けてみても一向に効果がない自分の娘、息子でも、ひょっとして  
悠里なら、また奇跡が起こせるのではないか、と。  
自分の子供に有名大学へ入学して欲しいと思うのは親なら当然の事だ。誰でもそう願うだろう。  
 
結果、悠里の下には補習依頼が殺到したのだ。  
金はいくらでも出すから、ぜひうちの子供の補習を……、と。  
マジメな彼女は頼られると断れず、しかし大勢を一度に見ることはできないので、前年と同じく卒業も危うい成績の悪い生徒  
の補習を今度は3人受け持つことになったのだ。  
その3人の生徒は親が勝手に補習を申し込んでいるだけで、生徒自体は補習を受けたいわけでは当然ない。 その為去年の  
草薙君のように悠里の補習を逃げ回っている。 よって彼女はあちこち生徒を探し回っては生徒に振り回される日々をおくっている。  
 
今日も今日とて、悠里は私とのデートをキャンセルして担当する補習の生徒の1人の家に家庭訪問に行くと言い出した。  
 
「悠里先生。 その生徒の家はよしたほうがいい」  
「なぜですか? 彼の家は今ちょっと問題を抱えていて、ちょっと不安定なんです。 だから」  
違うな。 その生徒は以前から君に気があるんだよ。 とは口が裂けても言えない。  
最近、彼が目で悠里を追いかけている事に気が付いた。 気が付いた理由が自分もいつも悠里ばかり見ているから、  
という情けないものだが。   
 
「行くならちゃんと両親が揃っている日を確認してからにしてください。 相手は男子生徒ですからね。 何かあってからでは遅いんだよ」  
「はぁ? 何ですかそれ。 そんなわけないです!彼は生徒ですよ?」  
「君はその生徒に特別思い入れでもあるのかい?」  
こんなみっともない事が言いたいわけじゃないのに……。段々口論になっていくのを止められない。  
「そんな! そうじゃないです。 ただどうしても今日は彼についててあげたくて……」  
「そうかい。私よりそいつを取ると言うんだね」  
「なんでそうなるんですか!? 絶対大丈夫ですっ! 彼がそんな気を起こすわけないし、それに以前草薙君の家で襲われ  
そうになったときだってちゃんと……ハッ!!」  
「な、なんだって!?」  
慌てて口を抑えてしまったーという顔をしている悠里をみて、それが本当にあった事だと悟る。  
「あの、……っと、その。あれは荒れてる草薙君がしつこい私を脅すためにしたことで本当に何かする気ではなくて……」  
「……何をされたのかな?」  
人間は怒り狂っているとき程、静かな声が出るものだ。 私も内面の荒れ狂ってる部分を押し隠すように笑顔で尋問する。  
「え……? べ、別に、その……とくには……」  
「ちゃんと正直に申告するように。 それとも草薙君に確認したほうが良いかい?」  
「ほんと、別に、何もなくて……。 ただちょっと壁に押し付けられて凄まれたってだけで、あとはちょっとだけ……  
抱きしめられた……かな?」  
怒りに体が震えてくる。  
「それは一回だけかな?」  
「えと……あの……二回……です。 でも本当になんでもないんです。 ただちょっと彼は悲しいことがあって、その、  
本当にいい子で私を傷つけるとかそんなことは一切……」  
「そんな事があったのにも関わらず、今日も夜に、生徒の家に1人で行こうとしたのか、君は」  
悠里の身体がビクリと震える。  
 
大声で怒鳴ったわけじゃない。 でも悠里は体を震わせている。私の体から発せられた怒気に反応したのだ。  
私自身も驚いている。 ”微笑みの貴公子”と称され、優しい紳士な態度で誰にでも接するのを常としている自分が  
1人の女性に対し、ここまで自分を制御できなくなるとは……。  
 
「だって……生徒じゃないですか。それも受け持ちのクラスの……」  
「生徒でも男だ。 君はそう思っていなくてもね。 彼らは内面は子供だが、身体は劣情を持て余した十代の男だよ」  
「鳳先生、いくらなんでもそれは言いすぎです!」  
「君はなにも解ってないんだ」  
もう絶対に悠里をあの生徒のところに行かせない。  
 
「来て」  
いきなり手首を掴んで自分の車まで引っ張っていく。 そして助手席側のドアをあけるとその中に悠里を押し込んで、  
自分も運転手席に乗り込むと、悠里が何を聞いても一切無視してさっさと車をスタートさせた。  
車が着いたところは私の自宅であるマンションだ。  
悠里は不安そうにエレベーターに乗っている間も言葉もなく、手首も捕まれたままで、でも逃げようとはしない。  
私も逃がす気はないとばかりについ強く握ってしまった手首は指のあとが残りそうなくらいで、移動する際引っ張ら  
れるたびに悠里が  
「晃司さん、痛い」 「晃司さん、離して」  
といろいろ言っても無視した。  
やがてマンションのドアの前までたどり着くと、そのまま片手でキーを取り出し扉を開け、放り込むように悠里の背中を  
強く押して部屋に入れた。  
もうこの部屋には何度も彼女を招待しているが、今日は今までと違って入るのを恐れているようだ。  
「どうして、ここに連れてきたんですか?」  
と悠里が聞いてきたが、それには何も答えない。 ドアの鍵をかけ、普段はしないチェーンまで掛ける。  
合鍵を持っている葛城が入れないようにする為、……というより悠里が出れないようにする為、だな。 それに気が付いて自嘲する。  
 
「奥の部屋に行って」  
廊下の一番奥にはベッドルームがある。  
 
「こ、晃司さん、私、まだ補習の途中で、生徒を待たせたままで……」  
「そんなもの葛城に替わらせる」  
鳳はスーツの胸ポケットから携帯電話を取り出すと、葛城に掛けた。  
「……というわけだ。南先生は気分が悪くて補習をすることができない。 今日は葛城先生が替わってくれ。よろしく」  
携帯の向こうでは葛城が何かを叫んでいるような音が漏れていたが、問答無用で鳳は携帯を閉じた。  
 
「ひどい……晃司さん。 私の仕事なのに勝手に……」  
「ひどい? 酷いのは悠里だろう?」  
「え……?」  
 
腕を掴んで強引に引き寄せ、噛み付くように唇を塞ぐ。  
逃げる唇を追い、舌を絡め、強く吸い上げ……。 悠里はいつもならうっとりと頬を染めて受け入れるのに、今日は驚愕の  
表情のまま、目を閉じることもできない。  
普段は愛を語る行為なのに、今日のそれは罰する為の行為だった。  
「……や……」  
首を振って彼女が抵抗し唇を離すと、その行為に更にカッと頭に血が上って今度は彼女の両腕の手首を掴んでベッドに押し倒す。  
無理矢理彼女の肌を露にし、首筋や胸元に唇を押し付け、赤い花びらを散らしたように痕を残していく。  
「やめっ……晃司さん!止めて! そんなところに痕付けたら、明日、生徒に見えちゃう……」  
「止めない」  
彼女の体が嫌がりながらも、次第に私の愛撫に熱を帯びていくのが解る。  
身体から彼女のコロンと体臭が混ざり合った、甘い香りがふんわりと匂ってくる。  
愛おしい。 でも怒りでいつものように優しくできない、そんな自分にも腹が立つ。  
 
「君が他の男の話しをするたび、私がどんな思いをしているかなんて少しも考えたことなんかないだろうね?」  
 
腕の中の悠里の華奢な身体が必死で身をよじって抵抗するが、私が両手をベッドに押し付けているから逃げ出せないでいる。  
いつもなら優しく包み込むように愛撫する乳房も、今日はつい強く掴んでしまい、彼女がか細い悲鳴をあげる。  
「君の明るさは愛しいと思う。 すべての生徒を愛して。そして生徒に慕われて。 バラバラだった教師達をも一つに纏めるほどだ。  
……だが君の無防備さが私を追い詰める」  
右手を太股に滑らせて、足の付け根を擽るようにさする。 下着の上からじんわりと湿った感覚が指に伝わってくる。  
目じりが赤く染まって、涙が滲んでいる。 イヤイヤをする仕草に更に情欲を煽られる。   
下着の脇から指を差し入れると、とろりとした熱い液体に指が浸る。  
こんなに脅えてるのに身体はもう熟れた果実のように甘酸っぱく私を誘う。  
そのまま中に指を押し込んで、浅い所で壁やヒダを弄ぶ。  
「晃司さん、や……やだっ…ン………あぁ……」  
少しずつ指を深くしていって奥へ奥へと入り込ませて行く。  
……あともう少しでGスポット…という手前で意地悪く指を蠢かせる。  
「……や、……あ、あっ……やぁ、だめぇ……」  
じれったさに彼女がもぞもぞと腰を浮かせても、ワザと決定的な刺激を与えないようにする。  
「ほら……君は強引にされても…乱暴にされても……逃げられないだろ……? もしこんなことを生徒にされたら?   
君は逃げられないじゃないか……。 男を甘くみちゃだめだよ」  
乳房を唇で辿っていき乳首を痕がつかない程度に軽く噛む。それでも歯を立てられて驚いたのだろう。  
「痛……ぁっ」  
と悲鳴をあげて身体をビクンッと跳ねさせる。   
「それとも……強引にされるほうが好きなのかな…? いつもよりも濡れてるね……」  
そのまま乳首を舐め強く吸う。  
「晃司さん、止めてっ……おねがい……ぅっ……」  
気が付くと、悠里は泣き出していた。  
 
私が驚いて手を緩めると、彼女はがむしゃらに身体を捩って私の体の下から逃げ出し、ベッドを降りようとする。  
「私、晃司さんだから……晃司さんが好きだから、こんなことされても…。そんな事も解らないんですか?」  
乱された衣服を手早く整えて部屋から出て行こうとする悠里の腕を取って引き止める。  
「いかないでくれ。 君を失ってしまったら、私は自分をも見失ってしまうよ」  
背中から腕を回して逃がさないように必死で抱きしめる。 力を込めて抱きしめたせいで悠里の身体が反り返る。  
「……痛い……晃司さん、恐い……ぅ…」  
「……ごめんよ。……君を悲しませるつもりはなかったんだ。 許して欲しい」  
「……ぇっ……ぐすっ……」  
最初は身をよじって抵抗していた悠里も私が誤ると、泣きながらもだんだん落ち着いてされるがままになっている。  
「ただ……、君が誰かに奪われてしまいそうで……恐いんだ」  
「そんなの。 私だっていつも恐いですよ!」  
悠里が振り返る。 先ほどまでは泣いていたのに、今度は怒っているようだ。  
 
「学園にはピチピチの若い女の子達が居て、いつも”鳳先生”を狙っているんですもの」  
私の腕の中で悠里が語りだす。  
「私だっていつも嫉妬してますよ。 ”鳳先生”は生徒だけでなくお母様達にも絶大な人気ですものね。  
私よりずっと若くて、かわいい女の子達にいつも取り囲まれて。   
去年のバレンタインだって山のようにチョコレート貰っていたじゃないですか」  
キッと睨まれて、私も慌てて反論する。  
「生徒なんて興味ないよ。 だいたい若いって言ったって、相手は子供だし、そんな風に思ったこともないし……」  
「それは私だって同じです!」  
「……そ、そうか……いや……でも…」  
「まだケンカしたいですか?」  
ジロリと睨まれて降参した。  
「……いや……すまん……」  
「……私が頑張っているのは早く晃司さんのように立派な教師になりたいからなんですよ。 私ももう教師生活4年目ですもんね。   
もっと生徒から信頼される教師になりたいし、もっともっと教え方も上手くなりたいし。晃司さんみたいにベテランと言われる  
先生になりたいんです! それなのに生徒の事でヘンに勘ぐるなんてもー!!」  
抱きしめて耳元で囁く。  
「……すまなかった……」  
悠里は返事の代わりに私に腕を絡めて背伸びをしながらキスをした。  
 
「しかし……これからは他の男子生徒と二人っきりで補習や家庭訪問はしないと約束してくれ」  
「そ、そんなのムリです。 もっと生徒のこと考えてくださいよ」  
「い・や・だ・ね」  
「いやってそんな。 もーー!!晃司さんは。 子供ですか!」  
「子供でもいい」  
「良くないですよ! いつもの紳士で大人な”鳳先生”は何処にいっちゃったんですか?」  
「……だって……私がワガママ言わないと悠里は私のそばにずっと居てくれないからね?」  
「……っ!?」  
悠里の顔が真っ赤に染まる。 なんでこんなに可愛いのかなぁ。  
そのまま、またベッドに、今度はそっと悠里を押し倒す。  
 
「もういっそ教職を辞めて、私だけのモノになって欲しいよ」  
ここまでくると本当に子供の我侭だ。 悠里も呆れてため息をつく。   
「いつも私がどんなにがんばっても追いつけないくらいに凄い大人なのに。  
……そういえばニンジンが嫌いなんですよね。ホント、びっくり。 晃司さんって意外と子供っぽいとこあるんですね。 ……カワイイ」  
私の下でクスクスと笑ってる悠里。 もう先ほどみたいに抵抗はしない。  
「……悪かったね。 でも、これからは大人の時間だ」  
まだ先ほどの愛撫でくすぶっている悠里の身体の焔をまた再燃させるべく、あちこちにキスを落としていく。  
「……んっ……!」  
服も下着も脱がせて全裸にしてしまう。 先ほど私がつけた痕は点々とあちこちに残っていて悠里にはけして言えないが  
妙な満足感を覚える。  
「忘れないで。 私はいつだって君のそばにいる男達に嫉妬している。 例え授業中でも君の声に耳を傾ける  
男達に嫉妬しているんだから。   
………………でもこの声だけは私のモノだからね。 誰にも聞かせちゃダメだよ?」  
「あっ……そんなの、当たり前で……あっ……んぅ……やんっ……」  
指を彼女がもっとも感じる部分に差し入れてくちゅくちゅと擦りたてる。  
 
「問題です。 今、君の中には私の指は何本入っているか、解るかな?」  
「えっ……や……そんなの……解んな…い……あっ……んっ……い、1本?」  
「ブブー。2本だよ。 不正解にはオシオキだな。 もう1本増やしちゃうからね」  
そう言って指を3本に増やし、先ほどまでは焦らして触らなかったGスポットの部分をじゅぶじゅぶと擦りあげながら、  
硬く尖らせた赤いシコリに吸い付く。  
「はあぁああっーーこう…じさっーーやっ……あああぁああン!!」  
身体をびくんびくんと跳ねさせて達した悠里をそっと抱きしめる。   
「悠里、すごく可愛いよ」  
優しく髪をすいて弾んだ息がゆっくりと落ち着くのを待つ。  
甘い唇を貪ると、一度イッたせいか、その舌は甘みをましていて。 舌を絡めると悠里もそれに答えてくれる。   
私も全部服を脱ぎ捨ててベッドに横たわる悠里の身体を起こす。  
 
「まだオシオキ続行中だからね。 自分で入れてみて?」  
「えっ……うん…」  
悠里が恥ずかしそうに私の上にまたがり、ゆっくりと入り口に私のものをあてがうと、そろそろと腰をおろす。  
「はぁ……やぅ……ん!」  
くちゅっっと音がして、既に充分に濡れて開いた花肉が、とろりと粘ついた液体を流しながら絡み付いてくる。  
悠里は快楽に酔ったように、頬を赤らめて、甘く細い喘ぎ声をあげる。  
恥ずかしがりながらも腰が段々うねりだし、最初はためらいがちに落としていた腰は今はこれ以上ないところまで  
深く深く沈みこんで私を飲み込んでいる。  
「や、もっと……もっと……晃司さん、…きて……。 んっ、はぅ……」  
激しくなった呼吸で彼女が絶頂に近いことを知る。  
 
「君が欲しい……。私に全てをあずけて。 もちろん君に拒否権はないよ」  
そのままゆっくりと後方に押し倒して、もっと深く繋がれるように太ももを肩に抱え上げた。  
「いやぁ……奥に、あたって…はぁああっ……んっ!」  
感じるところに何度も強く突き込むと瞬間、きゅっ、と悠里にしめつけられる。  
自身がねとねととした熱い粘膜に絡め取られ、その快感が背筋を駆け昇る。  
思わずぶるりと身体を震わせた。  
「晃司さん…好き…好き……」  
うわ言のように呟く彼女の声を聞きながら、何度も腰を打ち付ける。  
すべらかな足がゆらゆらと揺れ、ベッドがギシギシと軋んだ音をたてる。  
足を折り曲げ、ぎりぎりまで引き抜くと、また奥の奥、限界まで差し込む。  
「あーやっ、い、イっちゃう、ふぁ……ダメーーー!」  
悠里が私をきつく締め付け、ぴくぴくと痙攣する。  
その反応に引きずられて私も限界に達する。  
「悠里……っ!!」  
暖かい体内に私の全てを注ぎ込んだ。  
 
 
そのまま二人で優しく抱き合い、彼女の息が落ち着くのを髪を撫でながら待つ。   
悠里の甘美な身体からゆっくりと引き抜くと、彼女から受け入れきれなかった私の雫があふれ出すのを見て、幸福感を味わう。  
「や……晃司さん、今日してないよね? 中に……その……出しちゃったの?」  
「ああ。 私は ガ キ 共 と 違 っ て、君が妊娠しても誰にも文句を言われない、責任を取れる 大 人 だからね」  
「もう! どこが? 本当に、大人気ないんだから」  
「大人気なくて結構!! ここのところ、ずっとおあずけだったんだからね。  
 テクニックも回数もガキ共には負けないつもりだから、覚悟しなさい」  
「ホントしんじらんない。 ”微笑の貴公子”は外面だけなんですか!?」  
「あれ? 私と君の赤ちゃん、欲しくないの?」  
「欲しいですよ!でもいきなり年度の途中で産休なんてしたら、それこそ生徒になんて言われるか」  
「私は、いっぱい惚気てやるけどね」  
「もー!!恥ずかしいー!! 絶対やめてーー!! あー!出来てたら補習どうしよう。 もう、晃司さんのバカバカバカー!」  
「ごめんごめん。 もしそうなったら私が全部責任を持って引き受けるから」  
顔が赤くなったり青くなったり。 そんな可愛い悠里をまた強く抱きしめる。  
 
「しかし、流石に”出来ちゃった婚”はこの歳でしたくないからね」  
ちゅっとキスをしてから真顔で告白する。  
「本当はぐっとムーディーなレストランで食事をして、指輪を渡しながら言いたかったんだけどね。  
……君と共に幸せを掴みたい……。 肯いてくれるのならば今すぐにでも結婚しよう」  
「…クス。 居候が居るのに?」  
折角まじめにプロポーズしたのに、彼女は酷い現実を思い出させてくれる。  
「………………。アイツは今日追い出す。 今すぐ追い出す。 とっとと追い出す」  
「クスクス、いくらなんでも葛城先生がかわいそうですよ」  
真剣に、絶対あいつを一刻も早くなんとかしようと考えながら、悠里に悟られないように極上の微笑みを返す。  
 
そしてまた大人の時間。  
甘く甘く彼女に囁く。  
「今夜はずっと私のそばから離れない様にね。 でないと一生閉じ込めて外にだしてあげないよ?」  
 
 
 
 
〜おわり〜  
 
 

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