先日、私が校長から呼び出されて悟郎君の補習を変わっていただいたとき。
校長の用はたいしたことでは無かったので急いで教室に戻った。 その時に私に耳に飛び込んできた会話。
「ゴロちゃん、数学キライー。 どんだけ説明されても全然意味わかんないモン!」
「いくら苦手でもちゃんと勉強しないと。 卒業が掛かっているのですから」
「えー。 苦手なモノは苦手なのぉー。 ショウちゃんだって苦手なモノってなんかあるでしょー?」
悟郎君の問に彼はこう答えたのだ。
「そうですね……。 今、私の一番苦手なモノは……『南先生』ですね」
間違いなくそう聞こえてきた。 それ以上は聞いていられなくて直ぐに教室から離れて一旦、職員室に戻ったけど、
ショックでその後、教室にしばらく戻れなかった。
そっか。嫌われてたんだ…私。 なんだか心にぽっかりと大きな空洞が開いたような気分……。
そういわれてみれば最近、二階堂先生に避けられている気がしてた。
二人っきりでは話しかけてもすっと逃げられてしまうし、目もあわせようとはしない。
私がなにかしたのだろうか。 自分のここ最近の言動を思い起こしてもそれらしいことは思い浮かばない。
悟郎君の補習の相談にのっていただいたり、補習をさぼって逃亡した悟郎君を捕まえるのに協力してもらったり。
あとは葛城先生の強引なアプローチから助けてくださったり。 それくらいだった。
(私の考えすぎだろうか)
まったく心当たりのない私はそう思おうとしていた。
しかし、決定的な言葉を偶然耳にして気のせいではない事がはっきりした。
これからどうしたらいいのだろう……。
今日も逃げ回る悟郎君をバカサイユでなんとか捕まえて教室に連れ戻し、補習を終えた。
かなり逃げ回られていたので終わった時間が結構遅くなってしまった。
早く家に帰ろうと職員室に戻ってみると、私の机の上以外にも二階堂先生の机のところにもカバンがあるのが
見える。
「二階堂先生、まだ帰られてなかったのね。 こんな時間なのに」
ホワイトボードを確認すると二階堂先生の名前の横に『宿直』の文字があった。
そうか、今日は泊り込みなわけね。だからまだカバンがあるんだ。
いくら嫌われていたとしても、そこは社会人。
「ちゃんと挨拶してから帰ろう」
帰り支度をしてから職員室の隣にある宿直室の方に行った。
部屋は予想に反して電気がついておらず、暗い。
手探りで電源のスイッチを押すと、ベッドの上に二階堂先生が倒れこんでいるのが目に入った。
「二階堂先生!!……っと、…寝てる?」
そ〜っと覗き込んでみると寝息が聞こえてくる。完璧に熟睡しているようだ。
スーツの上着も着たまま。 顔にはメガネが掛かったまま。 うつ伏せ。
「メガネをしたままで寝ちゃうなんて…。 よっぽど疲れてるんだな〜」
そうよね。 教師って本当にこんなに大変な仕事だってなってみるまでは思いもしなかった。
気力と体力がないと続かない。 それに加えてClassXの悟郎君の指導も手伝ってくださっている
んですもの。
突拍子もない言動に振り回されてばかりで、これで疲れないハズがないわよ。
「でも、これじゃあ風邪ひいちゃうかも」
そ〜っと二階堂先生の足元から、折りたたまれた布団と毛布を引っ張り出して、体にかける。
「これでよし。 良く寝てるから起こすのかわいそうだし、どうせ宿直だからここで寝るんだし、そのうち起きると
思うし。 このままそっとしておいた方がいいよね?」
そう言いながら、肩までちゃんと毛布が掛かっているか確認する。
すぐ起きちゃうかもと思ったのに、二階堂先生は全然起きる気配がない。
二階堂先生の寝てるところは初めてみる。
いつもピシッとスーツを着こなして、髪も少しも乱れたところがない、ある意味まったくスキがない二階堂先生が
自分の目の前で寝ているなんて……ちっと不思議な感じ。 悟郎君に補習をサボられる度に深いため息を
つきつつお小言をいただいてばかりなのに。
ふふ。今はスキだらけ。
こうして近くで見ると肌きれい。 起きているときは切れ長でちょっとキツイ感じがするのに、目を閉じていると
優しい感じ。
ちょっと額に乱れた前髪が色っぽい。 …寝ているだけなのにとってもハンサム。
好きなだけ”二階堂先生の無防備な寝顔”を堪能した後、部屋の灯りを消し、そっと出て行こうとした。
が、電気を消したときふと、メガネは外してあげようと思った。
「メガネ曲がっちゃったり割れちゃったりしたら大変だし」
…それに……。 ちょっとだけメガネを外した二階堂先生の顔に興味があったりして。
そっと指先を伸ばしてメガネの蔓を摘み、二階堂先生を起こさないように(気付かれないように?)そろそろと外す。
っと!?
ガシっと腕を二階堂先生に掴まれて、熟睡しているとばかり思っていた私は思わずきゃっと悲鳴を上げて飛び
上がった。
メガネが半分ずり落ちた状態で二階堂先生が上体を起こす。
「あの……、あの…、これは、その……」
暗がりの中で腕を強く掴まれたまま、寝起きで目が据わったままの二階堂先生にどう言い訳をしたらいいのか
解らなくてしどろもどろになる。 これではますます嫌われる!そう思ったのに、二階堂先生はずれたメガネを中指で
くいっと押し戻し、まだぼーっとした視線で私を見つめると、
「誰かと思ったら。 なんだ、 ”また” 南先生ですか」
そう言った二階堂先生に、離してくれると思った腕を逆に強く引っ張っられた。
「わっ」
まさか引き寄せられるとは思ってもみなかったのでそのまま二階堂先生の上に乗り上げる形で二人ともベッド
にもつれ倒れてしまう。
「まったく……。貴方はどこまで私を寝不足にしたら気がすむんでしょうね…」
「えっ?」
また?って何? 私こんなことしたのははじめてなのに。 寝不足って?
二階堂先生の言葉の意味が、ワケがわからなくて自分が今どういう立場に置かれているか考えが及ばなかった。
直ぐに立ち上がらなかったので、そのまま二階堂先生の下に組み敷かれて身動きが取れなくなってしまった。
「どうせ夢なんですから、もう遠慮はしません。 きっと本懐を遂げてしまえば、もうこの夢に悩まされることも
ないはず」
「?ホンカイって……う、うむ?んンーーーー???」
二階堂先生の顔がどんどん近づいてきて吐息が掛かるくらいに近くから見つめられて。
そしてそっと唇がふさがれた。 最初は優しく。 そして段々激しく。
何が起こっているのか、頭が理解できるまで身動きもできなかった。
したくても出来なかった。 強い力で両腕を戒められて、逃げようともがいてもびくともしない。
(なんで!?私の事が嫌いなはずの二階堂先生がなんで私にキスするの!?)
ゆっくりと舌が絡めとられてびくんと身体が跳ね上がる。 これ以上されないよう、必死で胸を手のひらで押し
返した。
「に、二階堂先生!! ひょっとして寝ぼけてるんですか!? お、起きてくださいーー!」
「?………………え……っ! うわっ!!ほ、本物!?」
私に圧し掛かった状態で、だんだん覚醒してきたらしい。
ぼんやりしていた目の焦点が定まってくると自分の直ぐ目の前に私の顔がある、今現在のこの状況に心底
驚いているらしい。
「どうしてこんなところに南先生が」
「それはこっちのセリフですよ〜。 いきなり何をするんですか!」
「私はなに…か、した…のでしょうか?」
「しました。 いきなり…キスをして…。その、本懐を遂げるとか言ってましたし」
「そんなこと…言っていましたか?」
「はい」
「ハァ〜まったく…。我ながら呆れますね」
頭を抱えるような仕草でつぶやく。
「最近、ずっと眠れませんでしたからね。寝ぼけた、それだけです。 キスの事は…すみませんでは、すまないとは
思いますが……どうか忘れてください」
「え……」
「もう、けっこう遅い時間ですよ。 明日またあらためてちゃんと謝罪しますから今日のところは帰ってください」
「私…。帰れません」
「はい?」
「………………二階堂先生。 ……私、先生に嫌われるようなことを何かしましたか?」
「はあ?」
「だって最近、私、二階堂先生に避けられてるし。 今だって目もあわせてくれないし、私を速攻で追い帰そう
としてるし」
「そ、そんなことはありませんよ」
このままじゃ誤魔化されて終わりになっちゃうので、負けじと食い下がる。
「それに!…それに二階堂先生は私の事が『苦手』とおっしゃっていたじゃないですか〜」
「………………悟郎君の補習の時の会話、…ですか?」
「ハイ…私、聞いちゃったんです」
「ハァ〜 あれを、本気にしたのですか?」
「本気にしますよ! 私なにか失礼なことをしたのかと気になって…」
「君は風門寺君や仙道君など、B6達に本当に自分が苦手な物を素直に教える気ですか?
そんな事をしたら翌日からどんな目にあわされるか予想が付きそうなものでしょう?」
「そ、それは確かにそうかも。 ……でも、それで何故、”苦手なモノ”の返答に”私”の名前が出てくるので
すか?」
彼はコホンと咳払いをしてちょっと頬を染め、いい加減に気が付いてくださいよ、とぼやきつつ説明をする。
「『饅頭恐い』ですよ。落語の。 ご存知ないですか? 好きな物を恐いと言った男の話です」
「はい?」
「好きだから。 好き過ぎて、寝ても覚めても南先生の事しか考えられなくなった程好きですから。
だから『南先生は苦手』なんです」
「……ええっ!?」
「…本当に今、初めて気が付いたのですか?」
二階堂先生の顔が赤くなっているのが暗い部屋の中でもわかる。
「最初はいつも風門寺君に補習を逃げられて、要領が悪いな、くらいだったのですが」
ボソボソと呟くように説明をする。
「そのうち、また今日も逃がしてがっかりしているのかなとか、小テストや補習のカリキュラムを一生懸命
作っているのを目にして頑張ってるなとか。段々気になりだして。
ふと気が付くと、いつのまにか風門寺君がベタベタあなたに抱きつくのが気になりだして。 あと葛城先生が
馴れ馴れしくするときとか、妙にイライラして。
風門寺君だけでなく他のB6達や、他の先生方に貴方が笑いかけたりするのが気になって、気になって。
何か他意でもあるのかと勘ぐったりして。
もし誰かが南先生に気があるようなら是が非でも阻止しなくてはと、わけもなく貴方の近くをうろうろしてみたり」
そんな事、全然気が付いていなかった。 なんだか聞いている自分もかなり恥ずかしい。
「このところは夢にまで出てくるようになって。 良く眠れなかった……。
このまま症状が進めば馬鹿なことを言いそうで、貴方を避けていたのですが、つい宿直室でウトウト
したばかりに、ついにやってしまったという訳ですね。 ……本当にすみませんでした。
これからは、気をつけますから。 だからもう帰ってください」
「…本懐は…遂げなくてもいいの…ですか?」
「はぁ?」
二階堂先生が呆れた声を出す。
「あの…私も…私も……『二階堂先生のこと苦手』ですから!
気が付けばいつもいつも助けてくれる。ダメな私をちゃんと叱ってくれる二階堂先生のことが……スキです」
自分の顔がどんどん赤くなっていくのが解る。
「だから…さっきの続きしてくだ…きゃ!」
全て話し終える前にとんっとベッドに押し倒された。
「…………そんな事言って…どうなっても知りませんよ。 まったく私が今、どれだけ我慢していると思って…」
そして二階堂先生は上着を脱ぎ、片手でベッドの下に落とし、もう一方の手で締めていたネクタイを緩め首から
ひっぱって外し、それも上着の上に落とす。
腕時計、ワイシャツのボタン…と黙ったままつぎつぎと服を脱いでいく二階堂先生をベッドに横になったまま眺める。
着やせするタイプみたい。男っぽい身体にドキドキして、段々正視できなくなって視線を外す。
ぎっとベッドを軋ませながら私の上にのりあがる。
「…まったくしょうがない人ですね。 せっかく貴方の為を思って遠ざけようとしたのに」
両手で私の頬を包んで囁く。
「……愛しています」
そして唇を重ねた。
「……ぅん」
舌が触れ合うたびに身体がぞくぞくする。
溶け合って混ざってしまいそうなその濃厚なキスに驚く。
(いつもクールなのに…こんなキスするなんて反則)
いつだってストイックで、欲望なんて一瞬も感じさせない人なのに……。
「あ……ゃ…」
やっと唇が離れたと思ったのに、その唇は次は首筋を辿って胸元に落ちた。
片手でするすると私の服のボタンも外されていく。
手のひらが喉元からくすぐるように触れて胸にたどり着く。
「キレイな肌ですね。……すべすべして、柔らかくて……甘い香りがする」
「あっ」
ブラジャーに指が潜り込んで乳首を指で触られて思わず声があがる。
「こんなに硬くして……」
ブラジャーを外さずにずり下げられて、片方の乳首を長い指でクリクリと刺激しながら、もう片方を口に含み、
軽く噛んだり、舌をねっとりと這わせてちゅっと吸い上げる。
びくりと身体が反応して大きな声がでそうになり、慌てて両手で口を押さえる。
「声、聞かせてください……。かわいい声を聞きたい」
ここは宿直室で、こんなところで声なんて!と恥ずかしさに必死で我慢しているのに、
ざらりと舌で敏感な頂を舐られると下腹部のほうまできゅんと甘い刺激が伝わって声が我慢できなくなる。
「はぁ……ん…」
いつのまにかとろとろに濡れているのが自分でも解る。
でもそこには少しも触れてくれなくて、じれったさに足をもじもじさせてしまう。
「早く欲しいですか?」
「ちがっ…」
クスリと笑われた。 いつもよりもずっといじわるで、男っぽい表情で、ゾクゾクする。
「でも、まだですよ。 そんなに簡単には終わらせてあげられません。 貴方が煽ったのですから。
それくらいの覚悟はあるのでしょう?」
「…も…いじわる」
「イジワルじゃありませんよ。 ……うんと可愛がってあげますからね」
再び胸に唇を落とされて、硬くしこったその部分に軽く歯を立てられるとどんなにがんばっても喘ぎ声が唇から
漏れてしまう。
「ぁやぅ……っ」
交互に先を吸われ、指でやさしく弄られ、ときに軽く噛まれる。
「……あっ…ん……」
そのたびに身体がびくびくと跳ねてたまらなくなる。
「もう……そこばっかり……や………あっ!」
不満が口を付いて出ると、指で尖りを弾かれ、つい声をあげてしまう。
「ここばかりでは物足りないですか?……じゃあ、どこがいいですか?」
「そんなの……」
「言ってください。 言わないとずっとこのままですよ」
そう話している最中ですら、両手で硬くなった尖りをクリクリと捻る。
「……っ……や」
両手が無意識にシーツをぎゅっと掴んで、激しい快感をやり過ごそうとする。
「……かわいいですね…」
「…っ!?」
「いじっぱりだけど……かわいい」
ようやく胸から唇を離した。 と思うとまた深く唇を貪られる。
舌を絡められながら両膝に手をかけ、私の両足を大きく開かせる。
「んぅっーーーふーーーっ」
スカートはめくれ上がって腰にまとわり付いたまま。
その中に手が差し入れられ、下着をするすると脱がされていく。
「ああ…もうこんなに濡らしていたのですね」
いまだ手も触れられていないのに、こんなに淫らな状態になったそこを見られている!そう思うと、身体が
ますます火照るのを感じる。
足をさらに広げられ膝の裏に手を当てて深く折り曲げられ、その部分に顔を近づけてくる。
生暖かい息が……濡れた部分にあたっているのが解る。
「み、見ちゃダメ」
「見られて感じているのでしょう? まだ何もしていないのにますます溢れてくる」
とろとろと溢れてシーツにまで滴ろうとしている、そんな恥ずかしい部分に視線が痛いほど突き刺さる。
『観察されている』 そう思うだけで全身にしびれが広がって、逃げたくても手足が。 身体が動かない。
指がそろそろと太股を撫でて下りてくる。
でもいじわるなその指は待ちかねて濡れた部分にも、尖って震える突起にも触れてくれない。
ただ太股をいったりきたりさせながら、時折足の付け根をくすぐるだけだ。
そのじれったさに、もっと強い快感を求めて思わず腰がゆらゆらと揺れてしまう。
「や、そこじゃ…な…っもう、……もうお願い…………………お願いします……」
涙目で懇願すると、私の顔を見て満足したのか、二階堂先生が唇を下腹部に近づけてきた。
(や、来る……っ!)
そう思った瞬間、ぺろりと舌が尖った小さな粒に這わされた。
「あああっ!」
ようやく待ちに待った部分に刺激が与えられて、その瞬間全身に電流が走った。 目の前が真っ白になって
そのままイってしまいそうになる。
クチュリと両指でその部分を広げて、さらに皮を剥かれてぷっくりと顔をだした敏感なそこを、ねろりと舌で舐る。
「ぁ……は……っ!」
直ぐに尖らせた舌でくりくりと嘗め回されて、気を抜けば直ぐにでも達してしまいそうなのを必死で堪える。
「挿れますよ……?」
指が泉の入り口にあてがわれて、ぴくりとそこのヒダが震えるのが自分でも解る。
私が溢れさせた分泌液でぬらぬらになったその部分を二三度くすぐるように指をすりすりさせた後、膣内に
入れられた。
「あ……っ!!」
長い指が一気に奥まで潜り込んでくる。 壁を摺る感触に堪りかね、腰が浮き上がってしまう。
「随分と待たせてしまったようですね……。こんなにとろとろに柔らかく、熱くなって……」
くちゅっと水音が部屋に響く
。
「ほら、こんなに中まで入っていく」
「ああっー!」
自分のその部分が悦んでその指を逃さないように締め付けるのが解る。
その狭い中をゆっくりと二階堂先生の長い指が潜り込んでくる。
「ぁ……ああっ……」
焦れた身体をさらに煽るように、ゆっくりゆっくりと出したり入れたりされる。
「気持ちいいですか?」
「あ…はぅ……きも…ち、ぃ……っ」
荒い息を付きながらそう私が答えると、二階堂先生は指をさらに深く挿し入れ、そのまままた前の小さな尖りを
口に含んだ。
「……やあぁっ……!」
外からと中からの両方から押し寄せる刺激に、無意識に逃げようと腰を捩ってしまう。そのときに指が膣内の
強く感じる部分を掠めた。
「ダメ…そこ」
「ここがいいのですか……?」
「ダメ、ダメ……そこ、だめぇ」
「どうしてですか? 気持ちいいのでしょう?」
さらに指を増やされ、その部分をぐりぐりと擦られる。
「もう……もう……イっちゃう…。二階堂…せんせ…イヤ…イっちゃう、あ…やぁあああっ!!」
最後にきゅうっと強く、唇で突起を吸い上げられ堪らずに嬌声を上げながら達する。
極上の快感に身体の震えが止まらない。
手の甲で唇を拭いながら、二階堂先生が顔をあげる。
「…………」
チロリと舌で薄い唇を舐めとるのが見えて、身体が熱くなる。
達したばかりだというのに、身体中の疼きが去っていかない。
「も…して……」
両手を差し出して懇願すると促されるまま、二階堂先生が身体に覆いかぶさる。
灼熱の楔が入り口にひたりと当てられて、その熱さにどきりとする。
(二階堂先生も感じてるんだ……)
私を見て身体を熱くしているんだ、と思うと嬉しかった。
両腕を二階堂先生の背中に回してぎゅっと抱きつく。
「はやくっ……んっ!」
ぬちゅっと音を立てて膣内に挿ってくる。
「あ、あーー……っ!」
ぐんと腰を進められて奥に届く。
一気に奥まで突かれて、いっぱいに満たされて身体中がビリビリする。思わずぎゅっとそれを締め付けると、
「……っ」
上で二階堂先生が息を詰める。
「いけませんね…そういう事をしては……危うく持っていかれそうになりましたよ」
そう言って入れたまま、少しも動いてくれない二階堂先生にじれったくて我慢ができなくなる。
「もっと………」
「…何をですか?」
「もっと…して……動いて……なか……もっと…」
うわ言のように哀願すると恥ずかしいくらい両足を掴んで開かされ、その奥を激しく突かれる。
「あ、や、も……あああっぁーーー!」
深い抜き差しを数度されただけであっという間に二度目の絶頂を迎える。
深すぎる快感が身体を焼き尽くし、荒い息が静まってくると疲労で身体が鉛のように重くなる。
でも二階堂先生はやめてくれない。
身体の奥深いところに留まっていたそれは、私が落ち着くのを見計らったようにまたゆっくりと動き出した。
それが次第に速くなってくる。
「も…やめ…あぅ…はん……やめ…て、二階堂…先生……や……ぁんっ!」
「…………まだです。 まだそんなに簡単に離してはあげられませんよ」
激しく突き上げられながら、唇で乳首を軽く噛まれる。
「いや……ああっ……」
その瞬間また入り口が、ぎゅっと締め付け、また次の高みに向かって収縮する。
二階堂先生はいつもと変わらず涼しい顔をしているけど、その瞳には焔が宿っているように思う。
「ここまで私を狂わせたのは貴方ですよ?責任を取ってくださいね」
こんな事を言って、私が意識を失ってもずっと、攻め続けた。
暖かいモノが頬に押し当てられて、目を覚ます。
目の前にはワイシャツを羽織っただけのラフな格好の二階堂先生がお湯を絞ったタオルで私の顔や身体を
拭ってくれていた。
疲れて途中で眠ってしまったようだ。
慌てて起きようとするのを止められた。
「ムチャをさせましたからね。 まだ寝てていいですよ」
そういって身体を清められる。
ふと思いついて、聞いてみた。
「二階堂先生の本当に苦手なモノって何なんですか?」
そこで彼は腕組みしながらちょっと考えてこう言った。
「私の夢の中に出てきた南先生は”かなり”苦手です」
「夢の中の私は何をしたんですか?二階堂先生を寝不足にする程の事って?」
そう聞いた私に、二階堂先生は珍しく微笑みながら答えた。
「さあ?……この件につきましては、それ以上の質問は受け付けません」
糸冬