私は女教師、南。
ツルピカ頭の校長のせいで、とんでもないBAKA性徒達を受け持
つハメになってしまったの…。
目の前で机につっぷして寝ているのは、そのBAKA性徒の一員で
あるハジメ君…。
こうやって寝ちゃうのは3周前に攻略…じゃなくて指導を終え
たミズキ君の専売特許なのに。
キャラがかぶっちゃうわ。
「こら!おきなさいハジメ君!!!」
「う…ん、猫耳カチューシャなんて認めねぇ…やっぱ猫耳は直
に生えて…むにゃ」
それには両手をあげて賛成だわ、猫耳カチューシャなんて邪道
も邪道、大邪道よ。
さすがハジメ君…その若さでよくわかってるわね。
いけない!そんなこと言ってる場合じゃない!
早く起こさないと補習が終わっちゃう…。
「早く起きなさい!」
「うーねーこにゃーん…」
おきない。
どうやら夢の中で猫と戯れているようね…ライオンにじゃれつ
くムツ〇ロウそっくりの表情…。
どんな危険も愛の為にはくぐり抜けて見せる、そんな気概が感
じられる男らしいハジメ君に私はちょっとときめいてしまった
…。
でもハジメ君には起きてもらわなきゃ困るのよ。
こうなったら仕方ないわ。
最終兵器女教師、始動。
「ハ ジ メ く ん」
「う…………ん…うぐぅ」
「(あゆ…?まあ気にしたら負けね!)
起きて補習をうけてくれたらにゃんこたんプレイしてあげる
…」
「先生何してんだ早く補習しようぜ!」
………………現金な子。
もう起き上がり鉛筆を持ってテキストに向かってる。
おまけに鉢巻きを頭に巻いて瓶底眼鏡を付けてる。
ちなみに何故シャープペンシルではなく鉛筆なのかというと、
「折角ナイフを持ってるのに使わないのは勿体ない、使いたい!
」
らしいからなの。
人に向けはするけど、そのナイフで傷つけたりはしないハジメ
君のことが私は………。
けど鉢巻きに瓶底眼鏡…いつ身に付けたのかしら。
鉢巻きは良いにしても瓶底眼鏡はちょっと、ねぇ…。
5周目でハジメ君以外のBAKA性徒達を攻略…じゃなくて指導!ち
ゃんとした指導!した後なのでつい比べてしまうわ…。
いけない、いけない、こんなこと考えている暇は無いの。
早くハジメ君の補習を始めましょう(駄洒落じゃないのよ)。
「じゃあいくわよ
教科書に刻まれた暗号の意味を解き明かしてあげるわ!ジュテ
ーム」
「えびしーもか!?」
「えびすぃーよハジメ君」
そうして一時間後。
無事補習が終わって、にゃんこたんプレイタイム。
補習終了30分前から
「にゃんこたんにゃんこたんにゃんこたんにゃんこたんにゃん
こたん」
とハジメ君がはぁはぁしてるからちょっと怖かったわ。
「ねぇ…ハジメ君?」
「なんだ?先生」
私の頭には猫耳カチューシャ、お尻には尻尾。
どう見ても完全ににゃんこたんプレイ。
ハジメ君はとても気に入ったようで何度も頷きながら、ニヤニ
ヤしているわ。
でもこのカチューシャと尻尾………どこで手に入れたのかしら?
「ハジメ君は猫耳は直生え派よね」
「ああ、カチューシャなんか邪道だ…」
暗い瞳でどこか遠くをにらむハジメ君…それは彼がごくたまに
、特にサッカー部にかかわるときに見せるもので、私はなんだ
か切なくなる。
「でも…先生は、先生なら良いんだ」
「ハジメ君…」
きっぱりと言い切った彼の瞳は、すがすがしかった。
まだ完全にふっきれたわけではないようだけど………今はこれ
で良いはず。
「というわけでいっただきまーす!!俺のにゃんこたーん!!!」
「あーん!
優しくしてください!
激しくしてください!!」
そうして一時間後。
私は若いだけでなく、サッカーをやめて体力を持て余している
ハジメ君に良いようにされたのでした。
おしまい