今日で瞬君と付き合い始めて一ヶ月。  
私と瞬君は瞬君の家でお祝いする事にした。  
 
「もう、遠慮なんてする事ないのよ?」  
「いや、オレが作るから悠里は何もしなくていい」  
「でも…じゃあ何か手伝う事はない?」  
「夕飯はオレ一人で作るから悠里はそっちでゆっくりしててくれ」  
「…そう?でも何か手伝って欲しい事があったら遠慮なく呼んでね?」  
 本当は私が夕飯を作ってあげようと思ってたのに…  
そしてそれを一ヶ月記念のプレゼントにしようと思ってたのに何もあげるものが無くなってしまった。  
 
「どうしようかな…」  
 私が他に何か良いプレゼントはないかと悩んでいると突然窓の外で何かが光った。  
「なんだろう?今の…」  
 光ったのは一度だけでそれからは何も起こらない。  
この時それが何だったのかを確認しておけば良かった…そう後悔する事になるなんてこの時の私は思いもしなかった。  
 
 
「おいしい!!」  
「だろ?悠里の為に作ったからな」  
 流石主夫なだけの事はあるわ。  
特にこの煮物なんて味がよく染み込んでいて凄くおいしい。  
 …これじゃあ私が作っても駄目だったかもしれない。  
はぁ、プレゼントどうしよう…  
「悠里?どうした?」  
「ううん、何でもない」  
「そうか…?」  
 
 夕ご飯を食べ終わった私達はのんびりと二人きりの時間を楽しんでいた。  
「そうだ、今日は悠里にプレゼントがあるんだ」  
「プレゼント?」  
「歌を作ったんだ。悠里の為に」  
「嘘っ!?」  
「今日で付き合い始めて一ヶ月だろ?…本当なら指輪の一つでもあげられたらいいんだろうけどな…」  
「そんな事ないわ、凄く嬉しい!!」  
「そ…そんなに喜ぶなよ。こんなに喜んでくれるとは思わなかった…」  
   
 瞬君の歌は凄く良いものだった…それは言葉では言い表せないくらいで  
私の為に作ってくれた事がよくわかる…私は気付けば涙を流していた  
「おいおい…泣くなよ…」  
「だって…嬉しくて…ごめんね、こんなに良いものを貰ったのに私からは何もないの…」  
「……」  
 一瞬の沈黙…瞬君?  
「オレ、欲しいものがあるんだ」  
「何?お給料日前だからそんなに高い物は無理だけど…」  
「いや、金はかからない」  
「そうなの?」  
 瞬君はじっと私を見つめてくる  
そしてその顔がぐっと近づいてきて耳元で囁く  
「悠里…お前が欲しい…」  
「しゅ、瞬君!?それって…」  
「駄目か…?」  
 いつかこうなるとは予想していた。  
でも実際に起こってしまうと戸惑ってしまう。  
 私が返事に困っていると瞬君が私を押し倒すのと同時にキスをしてきた。  
「っ…!!」  
 反射的に瞬君を跳ね除けてしまった。  
しまった、どうしよう…  
瞬君が嫌な訳ではない、以前のあの事件を思い出してしまったから…  
あの時の事は忘れる事にしていた。しかし身体ではしっかりと覚えていたのだ。  
 瞬君は驚きと戸惑いの表情で私を見つめている、何か言わなきゃ  
「あのっ、ごめんなさい!!その…私…」  
「いや、オレの方こそ悪かった。いきなりすぎたな…」  
 私は自分の感情に戸惑っていた。  
瞬君の事は好き、こういう事も嫌ではない…でもあの時の事を思い出してしまった。  
 その気持ちが顔に出てしまっていたのか瞬君が申し訳なさそうに  
「もしかしてオレの所為か?」  
「えっ!?何が…?」  
「何がじゃないだろ!前にオレがあんな事をしてしまったから…」  
「瞬君…」  
「すまなかった…」  
 瞬君を責めるつもりはない。そう言おうとすると  
「送る。もう帰らないと電車なくなるだろ」  
 ここで帰ったら駄目。そう感じた。  
「…帰らないわ」  
「っ!帰らないとオレが困る。このままじゃオレ、何をするか…」  
「さっきはいきなりだったからびっくりしただけ。あの時の事はもういいの…」  
 だから…今日は帰らない。  
 
「優しくするから…」  
 そう言うと瞬君はゆっくりと唇を重ねてきた。  
「んっ…」  
 次第にそれは深いものになっていく…  
優しく、時に激しくお互いの舌が絡み合う。  
「ん…ふ…」  
 もうあの時の恐怖は全く感じさせない…もっと瞬君を感じていたい。  
瞬君の手が下着へとかかりその中へ手が入り込んできた。  
「あっ…」  
「嫌だったら言ってくれ、やめるから…」  
 その手が私の一番敏感な部分に触れる。  
「んんっ、嫌じゃ…ない…瞬君だから…っ」  
 瞬君の指が私の中へと入ってくる。  
最初は一本だった指が二本になり次第に激しさを増していく。  
くちゅくちゅという水音が部屋中に響き渡り、その音がまた私を刺激していくのだった。  
「あっ、んんっ…」  
 指が動く度に私は声を出して感じていた。  
瞬君の顔が指を出し入れするそこへと近づいてくる。  
そして今度は指ではなく舌がそこへと入ってきた。  
「あっ、やっ…」  
「っ…嫌か?」  
「や…そうじゃなくて、恥ずかしい…」  
「嫌じゃないなら続けるぞ…」  
「んっ…ああ…だ、め…」  
 瞬君の舌がそこをなぞる度何ともいえない快感が私を襲う。  
舌と指で刺激され私はもう限界だった。  
「あ、ああっ…!!」  
 私は身体をビクビクと震わせイってしまった…  
 
「少し休むか?」  
「ん、大丈夫…」  
「そうか…なら、もういいか…?オレもう限界なんだ…」  
「…うん、いいよ…」  
 すると瞬君は避妊具を準備し始めた。  
「いいか…?」  
「…うん」  
 瞬君がゆっくりと入ってくる。  
「ああっ」  
「っ…」  
 イったばかりだというのに私はまた声を出して感じてしまう。   
最初はゆっくりと…そしてだんだんその動きは激しくなっていく。  
瞬君が腰を押し付けてくる度それが快感へと変わっていき何も考えられなくなる。  
「んんっ…」  
「悠里…愛してる…」  
 そう言うと深い深いキスをしてきた。  
「んっ…はぁ…」  
「っ…んっ…」  
 二人の絡み合う音と吐息が部屋中に響き渡る中、私達は二人で絶頂を迎えた…  
 
 私は瞬君に腕枕され、ぐっすりと眠っていた。  
しかしその幸せな時間はある人物によって壊されてしまった…  
 
 突然玄関のチャイムの音が鳴り響く。  
それも一回どころではない。何回も連打しているようだ。  
 私と瞬君はびっくりして飛び起き  
「な、何なのっ!?」  
「っ!!この鳴らし方は…!!」  
「何?知ってるの!?」  
「仙道っ!!!!」  
「えぇっ!?清春君!?」  
 急いで服を着る。  
その間もチャイムは鳴りっぱなしだった…  
 
「うるさいぞ!仙道!!」  
「グッドモーニ〜ング、ナナちゃ〜んア〜ンドブチャ!!」  
「何なんだ朝っぱらから!」  
「いやァ、昨日はお楽しみでしたねェシシシッ」  
 そう楽しそうに言う清春君が手にしているのはなんとビデオカメラだった!  
「っ!仙道、その手に持っている物は何だ!」  
「ンン〜?これのコトかァ?見てみるか?」  
「ちょっと待て、それはまさか…」  
「ナナァ、前も言ったと思うけどよォカーテンも閉めずに寝るなんて無用心だぞ?」  
 私はある事を思い出した。  
「!もしかして昨日の夕方に光った物って清春君のカメラのレンズだったの!?」  
「なンだ、ブチャは知ってたのかよ」  
「何!?何でそれをオレに言わなかった!?」  
 だって何か分からなかったし…それに一度だけだったから…  
それにまさか清春君のカメラだとは思わないわよ!!  
「仙道!そのカメラをよこせ!!」  
「そう簡単に渡すかよ!せっかく面白いもンが撮れたってのによォ!キシシッ」  
「仙道!殺す!!」  
 いつもの瞬君の一言で見慣れた二人の追いかけっこは始まった。  
 そのカメラはなんとしてでも返してもらわなくちゃ…  
って事は昨日の事は全部清春君に見られてたって事!?  
私は恥ずかしいのであまり深く考えないようにした。  
考えたくもない…だって元教え子に見られていたなんて…  
 そう思う私の前で行われている瞬君と清春君の追いかけっこは終わりそうにない…  
 

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