「ん?」
悠里は明るい光に目をゴシゴシ。ベッドから上半身を持ち上げる。
「あれ?」
隣に眠っているはずの一がいない。一がいるはずである場所に温かさが残っているということは、少し前までそこに彼がいた証拠。
昨夜の愛情の証明もしっかり悠里の体に残っている。近くの鏡台に視線を向けると首にはしっかり真っ赤な跡。そして全裸にタオルケットを巻いているだけの悠里。
「おー。よしよし」
一の声がベランダから聞こえてくる。あわせて猫の鳴き声も聞こえてくる。
「昨夜はごめんなー。お前らの運動会だったんだろー。来年は参加するから勘弁してくれよ」
悠里は近くに落ちていた一の白いシャツを身につけながらベランダへ足を向ける。一はボクサーブリーフ一枚のみを身につけていた。
声をかけようとしたが、一のセリフに足を止める。
「そんなにスネないでくれよー。俺にとって悠里が一番ってことはお前らも知ってるだろ?お前だってなかなか会えない彼女に会えるとしたら、何よりもデートを優先するだろう?」
悠里はその場に足を止めたまま一人頭を下げ顔を紅くした。
悠里がそのままボーっとしていると、急にきつく抱き締められた。
「起きたら声かけてくれよ!」
そして耳元に息がかかる。
「その格好いいな、悠里。朝Hしよう」
「きゃっ!」
いきなりお姫様抱っこをされて悠里は驚く。そして抱っこしながらも顔を近づけてくる一。
ちゅっ。
「朝の挨拶忘れてたな。おはよっ」
そのままベッドへと向かう。悠里は一の首に腕をまわす。ふと鏡台の鏡が目に入る。一の背中には昨夜悠里がつけたであろうひっかき疵が紅く残っていた。