眩しい光に重い瞼をわずかに開く。
「……ん…」
暖かいものに包まれているような感覚に、もう一眠りしようと寝返りをうつと、そっと肩を引き寄せられた。
柔らかく髪を撫でる感触と、耳元に伝わる穏やかな鼓動。
(…なんか、安心しちゃうな…)
枕に顔をうずめようとして、それとは違う堅い感触に、ぼんやりとしていた意識がゆっくりと浮上する。
「…おう、目が覚めたか」
「…え…?……っっ!!」
間近に響く低い声に、昨夜の記憶が一気に甦る。
羞恥に耐えられず顔を伏せた悠里の髪に、九影はそっとキスを落とすと呟いた。
「…ずいぶん無理させちまったな…悪りぃ」
そしてまたひとつ、キスを落とす。
武骨な外見の中に隠れた九影の優しさに、悠里の緊張がふっと解けていく。
「…えっと、その…私なら大丈夫だから…。っ!それよりも!」
ハッとして慌てて身を起こす。
「腕!もしかして一晩中腕枕を!?きゃぁぁぁ、ごめんなさいっ!!」
「阿呆。んなヤワな鍛え方しちゃいねぇよ…ククッ」
赤くなったり青くなったりと忙しい悠里に苦笑していた九影の視線が、ある一点で止まる。
「それよりも…誘ってやがるのか?」
胸も露わに自分の上にかがみこんでいた悠里の腕を軽く引くと、細い体はあっけなく倒れこみ、すっぽりと九影の腕の中に収まった。
「!?さ、誘ってなんかっ!こ、九影先生っっ!?んんっ」
真っ赤な顔で抗議する唇を強引に塞ぐ。そのまま体を反転しベッドに組み敷くと、悠里を見下ろした九影は少し困ったように笑った。
「ククッ、ちっとばかりからかうつもりだったんだがな…んな可愛い顔されっと…」
そのまま、日に灼けた男らしく整った顔が近づき、今度はゆっくりと深いキスに変わる。
「それに…『九影先生』なんてぇのはナシだぜ…?」
低い声が耳元で柔らかく響く。
「ゆうべみたいに…名前で呼べよ……な?悠里…」