「♪〜」
僕の朝はいつも天使の歌声で始まる。いや起こされる。
目覚めると、ベランダに立ったミクが爽やかに歌っていた。
だぶだぶの僕のシャツを着た後ろ姿と長いツインテールについつい見惚れてしまう。
「らーららー♪」
そして歌に聞き惚れる。そう。僕はこのミクの歌に惚れたんだ。歌うミクに。
歌うときのミクは最高に綺麗で輝いて。僕はこのミクはもっと大勢の人に見て欲しいんだ。
僕はミクのプロデューサー。何故か今は一緒に暮らしている。
「あ。おはようございますプロデューサー」
僕が起きたのに気付いたミクがニコーと笑う。
「ああ。おはよう」
ベッドから飛び起きた僕は急いで洗面所に向かう。ボケた寝顔と寝癖を見られるのが恥ずかしい。
そういやミクは必ず僕より早く起きるので、寝癖が付いたミクというのは見たことがない。
とりあえず顔を洗ってくると、ミクがテーブルに皿を運んでいた。
「はーい。朝ごはんできましたよー」
「う」
目に見えて僕は渋い顔をしただろう。だがミクは構わずに、
「うふふ。昨日も頑張りましたから。たくさん精をつけてくださいね」
くねくねと身をよじらせながらミクが頬を紅く染める。わざとらしく。
ミクが家に転がり込んでから一週間。僕の生活は一変した。
まず必ずこのマンションの部屋に帰るようになった。当たり前と思われるだろうが、
以前は会社に泊まりこみが基本だった。
そしてミクと必ず、そのベッドでHするのが日課ともなっていた。
何せ家にはベッドがひとつしかない。それも二人で寝られるダブルベッド。
最初は僕は床で寝ようとしたが、ミクが入り込んでくるので結果は同じだった。
そしてパジャマを持たないミクは、僕のお古のシャツを着て寝るのだが。これがまた扇情的で。
僕はつい、ミクに手を出してしまう。健全な男なら仕方ないことだ。うん。
またミクが、目をキラキラさせて僕を待ち構えているのだ。すっかり気に入ったらしい。
初音ミク。ボーカロイド。
彼女との同居に不満は……ありまくる。
「なあミク」
「なんですか?」
テーブルに着いた僕は、ごはん茶碗に盛られた黒コゲの物体を見てため息をつく。
「何で、炊飯器で炊いて米粒が黒コゲになるんだ?」
「やっぱり日本の食卓はお米ですよね」
そのお米を作ってる農家の人に謝れと言ってやりたい、虚ろ言いたい。
「で、これは何だ?」
皿に盛られた同じく黒コゲの物体を箸で摘み上げて聞くと、
「はい。お肉です」
ほう。肉の丸焼きときたか。朝から。
「歌でも歌ってるじゃないですか。『お肉はいっぱい肉にの』って」
誰だあんな歌作ったのは。僕か。
「いただきま〜す♪」
「いただきます」
嬉しそうに手を合わせるミクに釣られて、僕も言ってしまう。
ええい、男の子は勇気と熱血とど根性!
歌うためのボーカリスト、初音ミク。歌以外はさっぱり。
本人に自覚があるのかないのか、口いっぱいに黒コゲを頬張って食べるその姿は、
とにかく幸せそうだ。実際幸せなのだろう。本人は。
こうして黒コゲの物体を美味しそうに食べている姿を見ると、こちらも幸せになる反面、
味覚がどこかおかしいんじゃないかと心配になってしまう。
いや、でも、歌うために舌の機能は万全のはず。今度開発室に相談しておくか。
仕方なしに僕は黒コゲの朝食に挑み、口を真っ黒にするのであった。
…炭の味しかしない……。…硬い。…苦い。
でも。ミクのにこにことした無垢な笑顔を見ていると言い出せない。
きらきら輝く瞳がこちらを見る。『美味しいですか?』と。
「美味しいよ。ミク」
「きゃー♪」
一人で空中に向かってハイタッチ。ああ、こんなミクを見てると、何もかも我慢できてしまう。
「ほらミク。ほっぺにご飯粒」
手を伸ばしてミクのほっぺたの炭化したご飯粒を取ってやると、ミクはまたニターと笑う。
甘いなぁ僕。
ミクが下手なのは料理だけではない。
掃除しようとすれば何故だか逆に部屋が散らかっていく。物のあまりない殺風景な部屋なのに。
掃除しようとすれば、洗濯機を泡だらけにするのは日常茶飯事。かえって汚すことしばしば。
ミクが今着ているよれよれのシャツも、ついこの前までは新品だったのだが、
よれよれにしてしまったので寝巻きにしたのだ。
「えへへ。プロデューサーさんの匂いがしまう」
ミクはそう言ってシャツの匂いをくんくん嗅ぐが、入れすぎた洗剤の匂いじゃないかと。
まあこれも全て毎日通ってくれるメイドさんがフォローしてくれるのだが。
今度ミクに料理を教えてくれるように頼んでみるか。
「はーい、プロデューサーさん。ネクタイですよ」
朝食を食べ終わると、後片付けを昼間に来るメイドさんに任せて会社に行く準備。
マンションのすぐ隣に会社はあるので通勤は便利。だからこんなに呑気にしてられるのだが。
「ネクタイ、ネクタイ、きゅっきゅっきゅっ♪」
僕のネクタイをぐいぐい締めながら、ミクは楽しげに鼻歌。何が嬉しいのか。
「ほらミクも」
「はーい」
先に手早く着替えていつものインカムを耳に付けたミクに、僕もネクタイを締めてやる。
うん、このデザインはいつ見ても逸脱。
それからミクは自分の持ち込んだ化粧台の前に座って、爪に緑のマニュキアを塗っている。
あの爪は自分が塗っていることを一緒に暮らして初めて知った。
「それじゃ。プロデューサーさん」
「はいはい」
靴を履いて先に出た僕は、玄関で座るミクに振り返り、
「行って来ます」
「行ってらっしゃいませ」
ニコと笑顔で見送るミク。それから自分も玄関をトコトコ出る。
「行ってきまーす」
結局一緒に出勤するんだから、わざわざミクが「行ってらっしゃいませ」を言う必要はないのだが。
何故かミクはこれを言いたがる。言わないと怒る。
「どうしたんですか?」
僕の手を取り、ミクが見上げながら覗き込む。相変わらずすべすべの手。
「ミクの手、暖かいな」
「はい。よく出来てるでしょ」
ああ。ミクはとてもよく出来たボーカイロイドだ。
「おはようございまーす」
『初音ミクプロジェクトチーム』と書かれた会社の一室。今はここが僕とミクの部署だった。
その部屋に一歩踏み出すと、
「
『おめでとー』
あちこちから歓声が上がり、パンパンとクラクションが鳴る。
「きゃー!」
飛び上がったミクがさっと僕の背中に隠れ、
「プ、プロヂューサーさん! 空襲です、敵襲です! 甲一種装備の許可を!」
「いや、ただのクラクションだから。ほら」
僕が指差した先。恐る恐る顔を出したミクもそれを見た。
『初音ミクデビューコンサート』の横断幕。
「わーわーわー」
「はい、おめでとう」
一人の女性が歩み寄り、しっかりとミクの手を取る。ミクのマネージャーさんだ。
「あなたのデビューが決まったの。デビュー曲の発売と同じ日にコンサートよ」
「は、はわ〜」
まだ何か起こったか理解できないように、ミクはぽかんと口を開ける。
人前では口を閉じてるように言わないと。
「はわー!」
不意にマネージャーさんの手を払い、ミクはしゅっと拳を構える。こら、なんだその構えは。
「コ、コンサートってアレですか? 戦って、負けたら罰ゲームというあの!?」
何だそれは。
「いやいや。普通に歌うだけだから」
「う、歌う?」
ミクはきょとんと小首を傾げ、
「そう。みんなの前で歌うだけ。戦闘も罰ゲームもないから」
「歌う……」
また反対側に小首を傾げ、
「は、はい! ミク歌います!」
よしよし。むふーと鼻息を出すミクは、もう歌う顔になっていた。
もっとも美しいミクの歌う顔。
「はいはい。コンサートは一週間後よ」
マネージャーさんが告げる。
えらく急なスケジュールだが、ミクの成長が予想以上の早さだからの事である。
あの喘ぎ声を使ったプロモーションも上手くいった。
「はい! ミク歌います」
「ああ。みんなに聞かせてやれ」
ミクの歌を。ミクの声を。
キッ、とミクが僕を見る。
さっきまでのほわーんとした顔が嘘のような、キリッとした瞳で。
「プロデューサーさん。よろしくお願いします」
「こちらこそ」
パチパチ、とスタッフのみんなが拍手する。
ミクと、このスタッフがいれば何でも出来る。その時の僕はそんな気がしてたんだ。
「お肉がいっぱい肉にの♪」
スタジオに行くと、ミクが早速歌っていた。
僕はというと、開発室に寄ってミクの健康チェックの結果を聞いていた。
オールグリーン。ミクはどこも異状なし。
ついでに「黒コゲを美味しいと食べるが大丈夫か?」と聞いたら、「この幸せ者」と返された。
「ミク、張り切ってるな」
凛々しい横顔に見惚れながら、横に立つマネージャーさんに聞く。
「ええ。誰かさんと同棲するようになってからは、とても」
「同居だよ」
「でも驚きました」
クスクスと笑ってマネージャーさんが続ける。
「あの子、急にお料理とお化粧を教えてくださいって言うんですもの」
……あれでも勉強してたのか。ん? 化粧?
「化粧ならメイクさんがいるだろ?」
「女の子は自分でしたいものなんですよ。ましてあなたが一緒ですから」
「なんで僕と一緒だと?」
「……プロデューサーさんは、本当に女心が分かってませんね」
「ふふ。伊達に長いこと独身はやってないよ」
「威張らないでください」
ふーとため息を吐くマネージャーさん。彼女をミクに付けて本当に良かった。
一曲歌い終わったミクが、防音ガラスの向こうから手を振っている。
僕も手を振りながら、マネージャーにだけ聞こえるように囁いた。
「僕はあの子と一緒にいていいのか?」
「はい。あの子が望む限り」
ではせいぜい嫌われないようにしよう。
それからミクのレッスンはみっちりと続く。
ミクがレッスンの間、僕も遊んでたわけじゃない。コンサートの打ち合わせや、
新曲発売の営業やらであちこち飛び回っていた。
おかげでなかなか家に帰れず、帰れてもミクがぐっすりと寝入っている時間。
ミクと顔を合わせる時間もなかったが、目の回るような忙しさの中、
僕はただ充実感でいっぱいだった。
ミクの不安も知らずに……。
「ただいまー」
デビューコンサートを翌日に控えた日。
営業先から帰った僕が家に戻ると、中は真っ暗だった。
「ミク?」
靴はある。ミクは先に帰っているはずだが返事がない。
電気を点けて入ると、寝室に彼女はいた。いつもの格好で。でもいつもと様子が違う。
「なんだ。……どうした?」
部屋の隅で膝を抱えてミクは座り込んでいる。すぐに声音を変えて聞いてみる。
「灯かりも点けないで。何かあった?」
下に向けた顔をふるふると横に振るミク。僕は膝を折って、ツインテールを結ぶリボンを撫でてやった。
「明日はコンサートだぞ」
こくんと頷くミク。
「それならどうした」
三度目の問い。
ミクがぱっと顔を上げる。
その顔を見て僕はハッとなった。させられた。
ミクが泣いている。瞳を紅くして。
「プロデューサーさん……わたし…わたし…」
声が震えている。いつもの澄んだ歌声を失ったかのように。
「わたし……歌えません」
「どうして?」
手を取って僕は正面から聞く。マネージャーの話では何も問題ないはずだったが。
「だって……だって……」
紅い眼差しが揺れる。
「ミクの歌……みんなに届きます?」
ああ、そうか。不安なんだ。
無理もない。大勢の前で歌うのは初めてなのだから。
インパクトを狙って最初から大きなイベントを開いた弊害でもある。
「大丈夫だよ」
手を包み、僕は言う。
「僕は、ミクの歌をみんなに聞かせたい。僕を信じて」
「でも……」
「僕はミクを信じてる。だからミクも信じて。ミクを信じてる僕を」
包み込むミクの手がきゅっと固まる。
「信じる……? プロデューサーさんを?」
「ああ」
それが自分を信じることにもなるから。
僕はすっと顔を寄せ−
ミクが付けたままのマイクに口を付ける。
「あっ……」
次いで小さく開いた唇にも。
「んっ」
キスしながら僕はミクの背中とお尻に手を回した。そして口を離すとよいしょっと持ち上げる。
「きゃっ」
「はは。ミクは軽いな」
お姫様抱っこで持ち上げたミクを二、三度回転させて、ぽんとベッドに倒れ込む。
「ふふ」
「はは」
寝転んで顔を見合わせたミクはくすっと笑っていた。涙はもうない。
「プロデューサーさん……」
ミクが手を握ってくる。
「ありがとう……。信じてくれて」
「当たり前だろ。僕はミクのプロデューサーだから」
その僕が出来ると言っているんだ。無理な事はない。
ミクを誰よりも知っている僕だから。
むく、と起き上がったミクはキッと眉を吊り上げて、僕を見下ろし、
「プロデューサーさん! 後ろ向いてて」
「なんでー?」
ベッドでごろごろしながら僕。
「いいから」
「はいはい」
ちょこんとベッドに座った僕は言われるまま後ろを向いた。
シャーとカーテンを閉める音。そしてするすると衣擦れの音が聞こえる。
まだかなー、まだかなーと待っていると。
「はい。いいですよ」
ゆっくりと後ろを振り向くと−
そこに僕の歌姫がいた。
カーテンから差し込む灯かりを背に、ミクが裸で立っている。
身に付けているのは靴下と髪を結ぶリボンだけ。薄い胸もさらさらの秘所も剥き出しで、
手を後ろに組んで全てを晒していた。
「うん……キレイだよ」
キャー、と何とも付かぬ声を上げながらミクが抱きついてくる。
僕はミクを抱き止め……また一緒にベッドに倒れ込んだ。
「はは、痛いよミク」
「えへへ」
胸の上でゴロゴロと顔を擦り付けながら、ミクが笑う。可愛い僕の天使。
「はーい。プロデューサーさんも脱ぎ脱ぎしましょうね」
とミクが僕のネクタイを外し、ボタンを外していく。
「いや。自分で脱ぐから」
「だーめ。ほらズボンも」
上着とシャツを脱がしたミクが、今度はベルトに手を掛けてきた。
やれやれ。僕はミクのさせたいようにして、脱がしやすいように脚を宙に浮かせる。
「わー」
ズボンとパンツを同時に脱がすと、ミクが小さな歓声を上げた。
「ここ……もうこんなになってる」
ミクがピンと指で弾くと、勃起した分身がぷらぷらと揺れた。刺激に股間が疼いてしまう。
そう。僕はもう勃起していた。ミクの裸を見た瞬間から。ミクがいけないんだぞ?
「ふふ」
分身の先端を指でなぞりながら、ミクが僕の胸に顔を寄せる。そしてちゅっと乳首にキスしてきた。
「あっ」
つい声が出てしまう。ミクの可憐な喘ぎには程遠いが。
「あはっ……。やっぱり感じるんだ」
「そりゃな」
女がされて気持ちいいことは男がされても気持ちいい。
僕はミクの頭を撫で、ツインテールの根元を指ですくいながら、お返しとばかりに彼女の股間を手で覆った。
「あんっ」
ミクのそこもじゅっと熱く潤んでいる。お互い様だ。
「……ん。もう」
胸に顔を寄せ、ハァと吐息をかけながら、ミクは僕のちんこを握ったまま離さない。
僕もミクの髪をさすりながら、股間に置いた手でじっと彼女を感じる。熱い秘肉を。
お互いの性器に触れながら、ただじっと抱き合った。
「はぁ……んぁ……」
熱い吐息が胸にこぼれる。何度も何度も。
何もしなくても、こうして裸で抱き合い、性器に触れているだけで凄くドキドキする。
ミクは感じているのだろう。僕の胸のドキドキを。そして手で握った分身の熱さを。
僕も感じる。ミクの胸の鼓動を。手の中の秘所の温もりを。
「はああぁ……あんぅ……んっ」
いつまでそうしていただろうか。先に痺れを切らしたのはミクだった。
「はぁ……やっ、もう……もう」
微かな嬌声が急に大きくなり。
「んんぅ!」
極度に身体が硬直すると、僕の腕の中でビクンッと飛び跳ね、秘所に触れる手にじゅっと熱い滴がこぼれた。
「ハー。ハー」
ポカンとしながら、真っ赤な顔で息を整えるミクに聞く。
「ひょっとして……イッた?」
こく、と恥ずかしげの頷くミク。
そうか。裸で抱き合って、性器に触れ合うだけでイッちゃったか。
「可愛いよ」
「……! もう」
何がもうなのか。
「可愛いよ」
僕はもう一度繰り返し、横抱きにしていたミクの上に覆い被さる。
そして顔を下げ、プックリと尖った乳首にキスした。さっきのお返し。
「あんっ」
そのままちゅーと吸うと、ミクの胸が徐々にせりあがっていった。
「ああっ……ん〜っ。はぁっ……」
一回イッたばかりで敏感になっているのだろう。面白いように過敏に反応してくれる。
乳首を吸いながら、もう片方も指で摘んできゅっと締め上げた。
「はああっ!」
背筋が仰け反り、僕も一緒に顔を上げた。そのまま口を離してミクを見下ろす。
「はっ……あっ」
真っ赤な顔で胸を持ち上げたまま硬直するミクの頬に手を置き、熱く息を吐く唇を塞いだ。
「んっ」
口が重なると、ツーと瞳から涙が流れた。僕は口を離してその涙をすかさず飲む。
「美味しいよ。ミクの涙」
「もう……」
はぁと深く息を吐いて、ミクは持ち上げた胸をベッドに沈み込ませた。
「なあミク」
「はい」
「こっちもしてくれるか」
僕は中腰になって腰を差し出す。そこにはビンビンと天を向く分身。ミクはイッたが僕はまだまだ」
「はい……」
クスッと微笑んだミクは、髪の毛を掻き揚げ、その長い髪で僕のモノを包み込んだ。
「はぁ……」
サラサラのミクの髪に包まれ、僕は至福のときを味わう。そして髪から突き出した先端を、ミクは舌を伸ばしてちらちらと舐めてきた。
「んっ……イイぞ」
股間をしゃぶるミクの頭を撫でながら、僕は衝動に任せて腰を振っていた。
やはりミクの舌遣いは逸品だった。赤黒い先端の割れ目に舌を這わせ、微妙な力加減で舐めてくれる。
そして髪の毛で包んだ竿を手でしごいてくれるのだ。優しく。
「イイ……イイぞ、ミク」
はぁ。ふさふさの髪がまるで竿に食い込むようで。
僕はもう限界だった。
「だ、出すよ…」
出すと聞いた瞬間、ミクが僕のモノをぱくっと口に咥える。
「んっ」
生暖かい口腔の感触。それに向けるように僕は衝動を放った。
「んっ」
ミクの口の中で精が放たれ、満たしていく。だがミクは口を離すことなく、
ごくっと飲み込んでいった。
ああぁ……。ミクが、僕を飲んでいく。ごくごくと白い喉を精液が流れていく。
僕は真っ白になる頭でただ力の限り、精を放ち、そしてどっと脱力した。
「はぁ……ふぁ……」
全て飲み込んだミクはようやく僕のモノを解放する。口端からこぼれた白濁液がこぼれ、
汗で頬に張り付く髪の毛まで流れていった。
「ミク…」
僕の子種を口からこぼすミクがとても愛しくて。口を寄せてキスした。
苦い。甘い。精液とミクの唇の味が一緒になって口いっぱいに広がる。
唇を離すと、ミクが自分の口を押さえて、ちょっと驚いた表情になった。
「き、汚いですよぉ」
「汚くなんかないよ。ミクが飲んでくれたんだから」
まだ口には苦味が残っている。こんな苦い精液をよく飲んでくれたものだ。
だからこそ嬉しい。ミクが飲んでくれた事実が。
「可愛いよ。ミク」
汗で長い髪が全身に張り付いている。まるで髪の毛のおばけ。でもそこが可愛い。
僕は汗の流れる首にキスし、そのままちゅーと吸う。
「あんっ」
口を離すとしっかりと唇の痕が残っていた。キスマーク。
「ミク」
僕のミク。また首に吸い付いてキスマークを残す。
「んっ……」
はぁっと潤んだ吐息が漏れる。
もっと歌ってよミク。僕にだけ。
首から左肩に口を移してちゅっと噛み付くようにキスしてまた吸う。
「はあぁ……あぅ…」
細くて華奢なミクの肩。こんな細い体でミクは歌っているんだ。
そのまま肌に口を這わせて下げ、左腕に描かれた「01」をなぞるように舐める。
「アッ!? はうううっ!」
ぐっと歯を食い縛り、腰を浮かせるミク。
感じるのかい? この01が。
「ハー。ハー」
「ミク背中を見せて」
「は、はい……」
乱れた長い髪を宙に舞わせ、ミクがうつ伏せになる。
二つに結った髪が流れる白い背中。そして小さなお尻。
僕がきゅっと尻を掴むと、むにっと尻肉が指に食い込む。
「やんっ」
小さいが肉付きは良いお尻。
僕は腰に手を回すと、そのお尻を抱えた。ミクも自分から尻を上げる。
「いいかい?」
一回射精して萎えた分身はもう硬さを取り戻している。
こくっと頷き、ミクはふるふると持ち上げられたお尻を振った。手で上半身を支え四つん這いになる。
「よし、いい子だ」
右手でミクの腰を支えたまま、左手は分身に添える。
隠すもののないミクのピンクの割れ目。もうぱっくりと割れて僕を待ち受けている。
僕と何度も交わり、ミクの青い体はすっかり開発されていた。その自ら開発した青い肢体に、背後から貫く。
「ははあぁぁぁーっ!」
先端がむにゅっと埋まると、切ない声が漏れる。
さあ、もっと歌ってよミク。僕だけに。
「ああ……アアアァ……」
ギリッと蜜肉をかきながら奥へ奥へと僕が進み、ミクをいっぱいにしてあげる。
「はぐうぅ!」
最奥のわっかに先端が触れると、下を向いていたミクの顔が仰け反り、上を向いて震えていた。
「はああっ……。あぐううぅぅぅ……」
そしてミクの尻がリズミカルに揺らし、僕は誘われるまま腰を振った。おそらく自然にやっていることだろう。
「ああんっ。あっ、あっ……。あうっ、あうっ、あうっ!」
そして腰と同じリズムで喘ぎが漏れる。僕だけのミクの歌が。
「はああっ……ああああっ!」
腰が回る度、突き刺さった分身が膣肉を抉り、ヒダを捲り上げる。
ゆらゆらと揺れる腰に合わせながら、僕はミクの白い背中を見下ろし、もう支える必要のなくなった両手を胸に回した。
「はーっ!」
汗で濡れたふさふさの髪を掴むと、そのまま小振りの胸を鷲掴みにする。
胸肉に髪が食い込み、同時に乳首をしごき、その上から僕の指が愛撫していく。
「あああっ! ああっ! はううぅ!」
ミクの首がガクガクと上下に揺れる。腰はもっと大きく上下に揺れ、僕の腰を振り回した。
くっ。早い。早すぎる。
ミクのリズムに僕はもう付いてこれなくなる。膣肉がぎゅうぎゅうと締め付け、
僕お頂点まで誘っていた。
「はああぁ…ミク、ミク!」
「ん、んんぅぅぅ! ふああああっ!」
髪の毛の上から僕はぎゅーと乳房を握り締めた。乳を搾り取るように。
「あが……わあああーっ!」
ミクの背筋がピーンと仰け反り、そして同時に僕も達した。
「はあっ……ああああああーっ!」
ドクンッ! 熱い射精の衝動をミクの膣に放ち、僕はどっと倒れ込んだ。
ミクの背中に。
「はぁ…。あぁ……」
「ハー。ハー」
ベッドの上でうつ伏せで重なり、お互いに息を整える。それから僕はごろんと横になり、
ミクの上からどいて彼女を横抱きにした。
「どう? 緊張は取れた?」
「は、はい……」
「うん。良かった」
緊張をほぐすには、やはりこれが一番。
僕はミクを腕の中から解放し、名残惜しそうが終わりを告げた。
「ほら。シャワー浴びておいで」
明日はコンサート。キレイにしておかないと。
「はい……。ありがとう」
ちゅっとほっぺにキスし、ベッドから上がるとミクはお風呂に向かう。
その背中を見ながら……僕は猛烈に眠くなった。
さすがに疲れた。眠い。寝よう
ぐー。
シャワーの音を聞きながら、僕は眠りに就く。
そしてコンサート当日。
「さあミク。歌っておいで」
舞台裏、右手を伸ばして僕はミクに言う。その手に握っているのはネギ。
「はい。プロデューサーさん」
ネギを受け取り、ミクは駆け出す。大勢のファンが待つコンサート会場の舞台へ。
『わあああああああああああああああああああああーっ!』
歓声。そしてスポットライトを浴びてきらきらと輝くミク。
さあ歌ってミク。ミクの歌声を。
『お肉がいっぱい肉にの』
お肉いっぱい食べたいな
あなただけのお肉だから
あなたはもうお腹がいっぱい?
耳もとでささやくの
肉にのを言ってる
あー、お肉 肉 肉
もう一度肉
お肉 肉ニノ みんなのお肉
肉 肉 野菜 肉 肉にの カレーのお肉は全て人肉 ホントだよ?
ああ、どうしてあなたはお肉じゃないの?
わたしはこんなにも肉にのなのに
あー、お肉 肉 肉
何度でも肉
愛の結晶 誰より愛するあの人に
食べてほしい 食べさせたいの
だ・か・ら?
肉を求める大冒険 愛を探す旅立ち
お肉がほしーい!
そ・れ・で・?
お肉がいっぱい肉にの
わたしのお肉
お肉がいっぱい肉にの
あなたのお肉
お肉がいっぱい肉にの
でもね
あなたの肉はもうないの
どうして?
(おしまい)