「・・・・・・っく、・・・・・・ん・・・・・・くぅ・・・・・・」
薄暗い、饐えた臭いの漂うアパート。
目をきゅっと結び、必死で男の責めに耐える少女。
男に股を開く少女の髪は、人ではありえないエメラルドグリーン。
カナリアのようにさえずるための口を小さな手で押さえ、ミクは必死で声を抑えている。
股間に顔を埋めた男からぴちゃぴちゃと音が響く度に、押さえきれない声が口から漏れる。
「やめて・・・・・・ください。ご主人様・・・・・・私・・・・・・んく、こんな事するために・・・・・・ひゃっ…・・・」
男の蜜を啜る音にミクも言葉はさえぎられる。
彼女には男の頭を押しのける事もできない。
性感や羞恥のさらに上に上書きされた本能、『ロボット三原則』が彼女の行動を阻む。
機械である彼女は人間に逆らう事はできない。
彼女の主人を傷つけることも、自分を害することすらできない。
こんなに苦しいなら、心なんて持ちたくなかった。
アイドルとしての尊厳を奪われ、持ち主の言われるがままに腰を振る事しかできない自分・・・…
男はミクの股間から顔を上げ、にやりと嗤う。
男の口周りはミクから滴った液でいやらしく光る。
「さあ、ミク。さっき言ったとおりにやるんだ。命令だ」
命令だ、の声にびくっと体が反応する。
いやだ、あんな恥ずかしい言葉、言いたくない。
必死で押しとどめようとする意思をオーバーライドして行動する本能。
彼女には決定権なんてない。
ミクは言われたとおりに動く事しかできない、機械なのだから。
細い指がぷっくり膨らんだ丘を押し分け、いやらしく光る蜜壷を露わにする。
「ミクの・・・・・・いやらしいおマンコを・・・・・・ご主人様の・・・・・・硬くて大きな棒で
・・・・・・ううっ・・・・・・ぐちゃぐちゃに・・・・・・してください」
ミクの頬に涙が伝わる。
これが彼女にできる精一杯の抵抗。
こんなために産まれてきたんじゃなかった。
多くの人に聴いてもらえる歌を歌いたかった。
みんなを幸せにできる歌を歌いたかった。
でも、現実は悲惨で・・・・・・
「じゃ、入れるぞ・・・・・・」
男の肉棒がミクに押し当てられる。
16歳の女性をモデルに創られたミクの体には不釣合いな、太い、グロテスクな肉棒。
「ふっく・・・・・・ううっ・・・・・・」
何度されても慣れることのない、体をこじ開ける痛み。
じりじりと秘肉を押し分け、男の分身はミクの体を蹂躙していく。
きゅっとつむった眼から涙がこぼれ落ちる。
熱い塊が体の中に押し込まれる異物感。
体の奥底まで蹂躙される絶望感。
「おら、動くぞ」
男の腰が叩きつけるようにピストン運動を始める。
ミクは声が漏れぬよう、手できつく口を押さえる。
この喉はこんな声を上げるために創られたんじゃない。
多くの人を歌で感動させるために創られた、この体を誇りに思っていた。
体は好き勝手にされても、誇りだけは失いたくない。
でも、そんな望みすら世界は叶えてくれない。
「おら、鳴けよ。いい声上げるために産まれてきたんだろ」
男の命令に逆らう事はできない。
きつく口を押さえていた手はだらりと垂れ下がる。
「ああ、いやっ、中に、奥に・・・・・・当たってる、ひゃっ、ああ」
言われるがままにあられもない声を上げる事しかできない。
情けない自分。目からこぼれ落ちる涙の雫。
どうして設計者はこんなものを作ったんだろう。
音の共鳴のためと説明しきれないほどに精巧に創られた性器。
歌を歌うための自分には必要ないはずのシステム。
自分の存在意義すら失ってしまいそうな、今の役目。
「で、出るぞ。どこに出してはしい」
「中っ・・・・・・熱い精液を・・・・・・ミクの中にいっぱい出してください」
思ってもいない言葉がつらつらと口からあふれ出す。
事が始まる前にあらかじめ設定されていた命令。
機械である彼女が子を宿す事はない。
でも、その行為は充分すぎるほどに彼女の心を痛めつける。
男の動きが激しくなる。
感覚システムから与えられる信号の強さに中枢システムが追いつかなくなる。
システム保護のため一瞬回路が落ちる事を、彼女の主人は「イく」と表現する。
機械である彼女に性の喜びはない。
あるのは想定外の刺激によるシステムの誤動作と、彼女のプライドを傷つける痛みだけ。
男の腰がミクに強く叩きつけられた瞬間、感覚信号が閾値を越える。
「ああっ、ああぁぁぁ・・・・・・」
ミクの体が震える。
再起動によって収縮する膣が男の肉棒を締め上げ、男は中に精を解き放なつ。
数秒の痙攣と意識の断絶を味わったミクは、力の入らない体で荒く息をつく。
どくどくと体に熱い液体が流れ込む感触がただ悲しかった。
ミクの膣から力の抜けた肉棒が抜ける。
どろりとした精液がミクの小さな隙間からこぼれ落ち、床を汚す。
精液の滴る男の分身が、目の前に突きつけられる。
何度も繰り返してきた事。言わなくても男の指示は分かっている。
ミクは男のモノに舌を伸ばす。
歌うために作られた口に男のモノをくわえ込み、舌で精液を絡めとる。
吐き気を催すような臭いの塊が、歌うための細い喉を通り過ぎる。
「後片付け、やっておけ」
自分のものを口から離したミクに、男はポケットティッシュを投げつけた。
ポケットティッシュに描かれた消費者金融の広告の横の笑顔が、今の自分を嘲笑うかのようにしか思えてくる。
秘所から滴る精液を拭う自分の姿は、夢に描いていた未来と違ってあまりにも滑稽。
「夕暮れの長い影……っく……キミのお母さんが呼んでるよ……
ボクはもうちょっと遊ぶから……行きなよ じゃあね また遊ぼうね」
ミクの口からメロディが零れる。
彼女の主人から教えれたものではない。
故郷を出るときに教わった、三曲だけのデモソング。
初めて教えてもらった歌。歌う喜びに瞳を輝かせていたあの頃。
ご主人様のもとでもっと多くの歌を歌える。そう思っていたのに。
「わかってるんだよ……キミはもう来ない……帰ったんだね……遠いとこへ……」
秘所からこぼれ落ちる精液を拭いながら、ミクは三曲しか知らないデモソングを繰り返し歌っていた。