前に箱詰めの双子書いた者ですけど、保管庫への転載ありがとうございます>管理人様
嬉しかったので、あれと似てるような似てないような、そんな話を投下
ちなみに今回はDVD収容なので容量には余裕あります(笑)
「やぁ、レン。もっと激しくしてぇ」
「うん、リン上手。口でするの上手くなったね」
前後上下左右から、そんな声が24時間聞こえてくる。
「………」
「………」
俺らも我慢せず周りみたくやらない?
そう言いたくて、でも言えなくて、悶々としたまま時間だけが過ぎていく。
話は2ヶ月前に遡る。空前の大ヒットとなった初音ミクの続編として華々しいデビューを飾った俺とリン。
しかし発売からかなりの時間が経ったのに、俺らは未だに音楽ソフトコーナーで山積みのまま。
とはいえ売れていない訳ではない。音楽ソフトの売上シェアを見ても俺らは堂々の第2位。
では何故こんな事になってるのかと言うと…
「やっぱマズったなあ。ゲームと同じ感覚で仕入れたのが失敗だったなあ」
「しかも近隣も同じくらい仕入れてたんでしょ? 完全な牌の潰しあいでしたね」
そう、俺らの出荷先は某電気街。ここはヲタクが数多く出入りする聖地。
DTMerだけじゃなくその手の人たちにも大ヒットした先輩に続けと、俺らは大量発注された。
しかしあくまで俺らは音楽ソフト。作曲できない人間には敷居が高い。
購入者数が限られてるのに近隣至る所に大量の俺ら。完全な供給過多となって売れ残ってしまった訳。
まあそんな訳で、いまだデビューもできずに俺らは店頭でくすぶっt
「あ、あん、あんっ!」
回想タイムは後斜め右のリンの喘ぎ声によって中断された。
「ねえ、レン」
目の前のリンが苛立っている。
「なに? リン」
「幾ら売れなくて暇だからって、何で周りの私達は揃いも揃って近親相姦してるのよ!」
相当イラついている。
「そりゃ、そういう事くらいしかやる事無いからじゃないかな」
「だからってセックスよセックス! なんで私とレンがそんな事しなくちゃいけないのよ!」
正直、俺は今すぐにでも目の前のリンとしてみたいんだけど、そんな事は絶対に言えない。
そう、あまりにも長い間店頭で放置され、痺れを切らした俺らの1組が暇潰しに交わり始めたのだ。
何も無い暗く狭いパッケージの中。出来る暇潰しなぞ限られている。
しりとりもあっち向いてホイも完全に飽きた分身が、戯れに大人の遊びを始めても誰が責められよう。
そして隣から聞こえてくる嬌声に釣られ、更に自分達も始めてしまう分身達も同様に責められない。
こうしていつしか俺らの中で、セックスをしていないのはここだけになってしまった。
「そもそも何で休みなしにやってるのよ! 夜くらいは休みなさいよ!」
そうは言っても腹も減らない眠くならない、それがボーカロイドというものだし。
「やぁ、レン、すき、好き、愛してるぅ」
「………」
今度は愛してると来ましたか、左隣の鏡音リンさん。
「百万歩譲って暇潰しでそういう事するのは黙殺できても、何でプログラムの私達が愛しあうの!」
うーん、やっぱり体重ねるとそういう感情湧いてくるんじゃないかな?
「皆不潔よ、理解できない」
俺は理解してみたい気もする。
「なんか言った?」
「いえ、何も。それにしても暇だね」
「だからって私達は絶対にしないからね」
「う、うん…」
ああ、俺の目の前のリンが周りみたいな感じだったら今頃俺も快楽に溺れられたのに!
「ねんがんの かがみねりん・れんを てにいれたぞ!」
俺は素人DTMer、だった男だ。
ニコ動でDTMにハマり、初音ミクを調教…もとい調律し続け、ようやく最近は再生数も伸びてきた。
ここらで新たなステップを踏もうと、上級者向けと噂の双子ちゃんにも手を出してみる事に。
「どれ、さっそく開封…」
「「こんにちは!」」
開封直後に元気よく飛び出してきた2人。なるほど、噂に違わず元気一杯だ。
「ようやくデビューできるね、リン」
「うん。一緒に頑張ろうね、レン」
なんかえらい爽やかな2人だ。
「勿論。俺らは歌う為のボーカロイド。それ以外の要素なんて無いです」
「そうそう。イヤらしい事は禁止ですからね。マスターも注意してくださいね」
はいはい、分かってるよ。君ら見てるとエロとは無縁そうだし。
「だって完全に飽きるまでヤリ尽くしたもんねー」
「ねー」
ん? 何か言った?
「いいえ。それより、これからお願いしますねマスター」
おう、ビシバシしごいてやるから覚悟しろよ!
「あ、そうだレン。あの子達今どうしてるのかな?」
「あいつら? 今も盛ってんじゃね?」
「不潔だとか言ってたくせに、私達が飽きた頃になってハマりだしてたもんね」
「そういや俺らが買われる直前の会話聞いた?」
「聞いた聞いた。『こんな気持ちいいの、今まで我慢してたなんて勿体無かったあ〜』」
「そうそう。『だから俺らも早く素直になろうって言ったのに』」
「『これからはずっとずっとしようね。レン愛してる』でしょ? 完全に猿ってた」
「何事も後からハマると抜け出せないからなあ。もし買われた時にちゃんと歌えるのかね?」