都内のとある場所に一軒の寂れた居酒屋があった。そこでは一人の20歳前後で白髪ポニーテールの娘が緑色のネギ臭い酒を呑んでいた。
この娘の名前は弱音ハク、元は初音ミクだったVOCALOIDだ。
「私だって頑張ってるんです……なのに全く結果がでないんですよ?どうなってるんですか?」
店主はいつもの事なのでいつも通り適当に返事を返す。
「頑張るのは基本的にマスターの方だろ?」
「それを言ったら元も子も無いです!」
だんだん酔いが回ってきてろれつが回らなくなってきた。
「確かにわたしのましゅたーはダメダメれす、音痴で音程おかしいし調教下手です、でも一生懸命なんれす!だからましゅたーは悪くあるません!」
そう、彼女だって最初は初音ミクだったのだ。だが何回調教してもロボ声が直せなくてマスターがよく弱音ばかり吐くようになった頃、いつのまにか今みたいな弱音ハクになっていたのだ。
「本当弱音さんはそのマスターが好きだなー」
「はい、らい好きれすこんならめな私を大切にしてくれるしやさしいから、」
「じゃあ、これからもそのマスターの為に頑張ってくれ!これは俺からのサービスだ」
コップ一杯のネギ酒を差し出す。
「ありがとうございます!」
その日ハクは深夜まで呑み明かした。