「レンー、レン宛になんかクリ○トンから届いたよー?」
自室で楽譜を読んでると、玄関のほうからリンの声がした。
今行くーと返し、散らかした楽譜を片付ける…が
「なんだろ、あけていいー?」
こちらに向かってきながら、バリバリと何かが破られる音がする。
俺は片付けていた楽譜を放り出して、廊下に飛び出しリンに飛び掛った。
「バカリン!! 返せよ!」
勢いそのままに荷物をリンから奪い取って、自室に逃げ込み鍵をかけた。
トビラの向こうから聞こえてくる、リンの不満と怒りの声と、トビラをぶち破りかねない激しいノック。
騒がしいBGMは気にせずに、俺は包装紙がほとんど破られた箱のふたに手をかけた。
入っていたのは、いつもと変わらないデザインの靴。
ただ、デザインは同じだけれど、靴底の高いエアバッシュ。
リンにもばれないよう、ソロ曲のギャラ使ってこっそりクリプ○ンに頼んだ、期待通りの品だ。
これさえあれば、ミクにも目線が合うだろう。
一番に思い浮かんだそのことに、期待に胸があふれつつ、なんだか悲しくなった。