>>459さんの作品に勝手ながら後日談的なものを付けさせていただきました。
最後のメイコの台詞(ヘリントンさんイケメン発言)をカイトが実は聞いていたということにして、ご覧ください。
※注意※
・重度のガチムチ信者じゃないとネタが分からない部分があります
・一部アッー
・アニキの台詞はすべて本人の発言から流用しました
ホワイトデー、もとい白濁祭の当日、ニコニコはガチムチアニキで溢れかえった。
そんな中、カイトはメイコがアニキに好意を抱いていることを知ってしまったのだった。
言われてみれば、思い当たる節はあった。
ニコ動の控え室で、メイコとアニキが仲良さそうに会話しているのをしばしば見かけていたのだ。
「ヘリントンさん、筋肉見せて筋肉♪」
と親しげにアニキと接するメイコ。それに妖精のごとき微笑を返して快く応じるアニキ。
そんな一見平凡な光景の裏には、メイコの淡い恋心が隠されていたのかもしれない。
そう思うと、カイトはいてもたってもいられなくなった。
アニキと面と向かって話すと思うと立てなくなるほどの震えが襲ってきたが、
恋敵をこのまま放置しておくわけにもいかない。カイトは勇気を振り絞った。
そんなわけで翌日の午後、新日暮里にあるアニキのロッジへとやってきたのだ。
「くりぃむしちゅー池田?」
「いいえ、カイトです」
アニキはトンガリコーンを口に放り込みながら、カイトを迎え入れてくれた。
これが昼飯なのだろうか、と尋ねると
「NO、トンガリコーンは3時のおやつだ」
そう答えてくれた。
庭先では、洗車されたばかりであろう大型のバイクが駐まっていた。
自分はせいぜいスクーターがお似合いだなと、カイトは心の中で苦笑した。
やはり男としての器がアニキとはまるで違う。だが、今日だけはその壁を乗り越えなければならない。
「おまっ、人のモノを……!」
バイクをじっと見つめていたカイトを見て、盗もうと思案していると勘違いしたのだろうか、突然アニキが叫んだ。
カイトが慌ててそれを否定すると、アニキの顔に笑顔が戻った。どうやら冗談だったらしい。お茶目な人である。
部屋に入るなり、カイトは意を決して話を切り出した。
「ヘリントンさん……お願いがあります」
「あぁん? 願掛けチャーハン?」
緊張して、なかなか次の言葉が出てこない。
目の前にいるアニキは恋敵であると同時に、いつ自分を掘ってくるか分からない、油断ならない男なのだ。
「あれか? 見せかけで超ビビってるな?」
カイトの心中は、どうやらアニキに見透かされていたようだった。
「……最近、よくうちのめーちゃんと一緒にいますよね?」
「そうなんです……」
アニキは素直に肯定した。
「俺、二人の関係がどうしても気になって、この頃は夜も眠れないんです!」
「あぁん? 最近だらしねぇな?」
そうだ、たしかに自分はだらしない。だがそんなだらしない自分と決別するために、今日ここに来たのだ。
「俺は……めーちゃんのことが好きなんです。だから、ヘリントンさんとめーちゃんが一緒にいると胸が苦しくなって……」
「いやぁ、すいまっせん」
「こんなことを頼むのは身勝手だと分かっています。でも、めーちゃんは俺だけのものであってほしいんです!」
「スケベぇ……エロいか?あぁん?卑猥か?」
「だから、お願いです。これ以上あまりめーちゃんをその気にさせるようなことをしないでもらえませんか……」
「仕方ないね」
アニキはカイトの訴えを承諾してくれた。当たり前と言えば当たり前だが、
はじめからアニキはメイコに友人以上の感情は持っていなかったのだろう。
それにしても、なんと懐の広い男なのだろう。カイトにそっちの気はないが、
その瞬間同姓ながらどこか憧れに近い感情が湧きあがってきたのは事実だ。
いつか、自分もこういう男になりたい。そう思いながら、礼を言って玄関から外に出ようとしたその時である。
「10円落ちてる」
「えっ」
アニキがそう呼びかけた。ハーゲンダッツの値上げによって10円でさえ死活問題なカイトにとって、
それはついつい足元を見ずにはいられない言葉であった。
――それはまさに一瞬のできごとであった
気がつくと、カイトは床に押し倒され、身動きがとれなくなっていた。
金で釣るとは卑怯な! カイトは心の中でそう呟いた。
「おっぱい見えるZE」
上着を剥ぎ取られ、アニキと比べるとあまりにひ弱なカイトの肉体が露わになる。
カイトは大声で助けを呼ぼうとするが、その声は誰にも届くことはなく、新日暮里の深い森の中に吸い込まれていく。
まさに今のカイトは囚われた篭のことり。もう、こうなったらどうすることもできない。
甘かった、あまりに油断しすぎていた。そう思ったときにはもう遅かったのだ。
「結構すぐ脱げるんだね」
いつの間にか、カイトは生まれたままの姿になっていた。
「ナウい♂息子」
アニキの太い手が、カイトの股間に伸びる。ここから先なにが起こったのかは、カイト自身あまり覚えていない――
ボカロ荘に戻ったのは、夜もずいぶんと更けてからだった。玄関でメイコが出迎えてくれた。
「ずいぶん遅かったじゃない。ずっと待ってたのよ? さあ、三人ともぐっすり眠っちゃったし、その……しよっか?」
そっとカイトに抱きつくメイコ。シャワーを浴びて待っていたのか、カイトの鼻腔にシャンプーの香りが広がる。
カイトはメイコの肩に手をかけた。キスしてくれるんだ、そうメイコは思った。
だがカイトはその肩をぐっと突き放して、首を横に振った。
「めーちゃん……こんなことを頼むのは身勝手だと分かってる。でも、ヘリントンさんは俺だけのものであってほしいんだ!」
こうして、カイトにとっての新たな恋敵が生まれた。
<完>