人もまばらなライブハウスの中。  
壁に寄りかかり、一人の女性が壁にもたれ掛かっていた。  
 
「……はぁ、今日もダメだった……」  
 
美しい白髪と、透き通るような白い肌を持つ女性。  
黒ずんだクマと、アルコールのせいで赤く染まった頬がアンバランスさを醸し出していた。  
 
「やっぱり……わたしに才能なんて無かったのかな」  
 
彼女の名は『弱音ハク』。  
シンガーソングライターに憧れ、日々レコード会社への直接売り込みに奔走している。  
しかし、絶対的な美声を持つわけでもなく、カッコいいトラックが作れるわけでもなく。  
レコード会社の関係者に(精神的に)ぼっこぼこにされ続けていた。  
 
ふと、ハクはライブハウスに備え付けの壁掛けテレビに目をやる。  
音楽系のチャンネルを垂れ流しにしている画面から、一人のアイドルのPVが流れていた。  
 
『みっくみくにし〜てやんよ〜♪』  
 
初音ミク。  
3ヶ月前にデビューしたての彼女は、持ち前の歌唱力でオリコンチャートの常連になっていた。  
 
「……私も、これくらい歌が上手ければなぁ」  
 
ぼやいた彼女は、5缶目の缶ビールを飲み干し、静かに床に置いた。  
もう一本飲もうと財布の中を覗き、諦めた。  
 
「お金、使ったら帰れなくなっちゃう……」  
 
財布の中は、帰りの電車賃ギリギリの金額しか入ってなかった。  
本格的にデビューしようと意気込んで、パソコンやらシンセサイザーやらをローンで買い込んだので、ハクの家計は火の車だ。  
 
「しょうがない、これ飲んだら帰ろ……」  
 
ライブハウスの照明が落とされる。  
次のシンガーが登場するらしく、ステージにバックバンドのメンバーが登り始めていた。  
仕方なく、ハクはこっそりポケットに突っ込んでおいたスキットル(水筒)を取り出し、  
中のワイルドターキーを一気飲みしようとふたを開ける。  
 
演奏が始まった瞬間、ハクはワイルドターキーを飲むのを止めた。  
 
出てきたのは双子のシンガー。  
まだ幼い二人の男女デュオがつむぐ音楽は、若くして既に完成の域に達していた。  
太く、ソウルのこもった声を響かせる男の子。  
パンチの効いた、ピリピリするような特徴のある歌い方をする女の子。  
二人の声は、ライブハウス中を虜にしていた。  
 
 
二人のステージが終わり、またライブハウスに照明が戻る。  
ハクは、まだステージを見ながらボーっとしていた。  
 
「……上手い」  
 
あればかりはボイストレーニングでどうにかなるものではない。  
まさに、天賦の才能だった。  
ハクの心には、純粋に二人に聞き惚れたという思いと共に、別の感情も湧いてきていた。  
 
(私がこんなに悩んでるのに……あの子らは……っ!!)  
 
それは明らかに醜い嫉妬ではあったが、そんなことはどうでもよかった。  
気に入らない。あの子らもきっとすぐにレコード会社の目に留まり、世に出るのだ。  
 
(許せない……!!台無しにしてやる……っ!!)  
 
アルコールがすっかり回りきったハクの思考回路は、  
なぜか「あの子らを虐めてやろう」という答えを導き出した。  
 
ハクは、ライブハウスに入るときに貰ったパンフレットを広げ、呟いた。  
 
「『鏡音リン・レン』……待ってなさいよ」  
 
 
 
 
「あっ……くぅ!?ちょっ……と!!何なんですか……っう!?」  
 
ライブハウスに一つしかないトイレ。  
下半身を丸出しにした『鏡音レン』と、その下半身にむしゃぶりつくハクが一つの個室に入っていた。  
レンはその整った顔をなんともいえない感触に歪め、  
ハクは、まだまだ発展途上のレンの男性器に舌を這わせる。  
 
「ん……っむぅぅっ、は……ん……ちゅ……」  
 
「はあっ……っあ!?あああっ!!」  
 
レンの問いかけに耳も傾けず、ハクは竿の部分へと舌を這わせる。  
 
「……んむ……っは……いいから……黙ってなさい……!!」  
 
キッとレンを見上げながらにらみ付け、ハクはレンのモノを咥えた。  
口をすぼませ、じゅぽじゅぽと音を立てながら、レンに快感を与え続ける。  
 
「あああっ!?っぅ、はっ!!出る、でるっ……!!」  
 
早くも射精を誘ったらしく、レンがハクの頭をぐいっと引き寄せる。  
レンは子供とはいえ14歳。  
ハクの力では敵わず、そのまま喉の奥でレンの白濁液が弾けた。  
 
「んぶぅぅっっ!?!?!?」  
 
奥の奥までレンのモノを加えた挙句、粘性のある液体を流し込まれて、ハクはむせ返った。  
ゲホゲホと咳き込みながら、レンの精液を全て飲み込んだ。  
 
「っは……は……お姉さん……」  
 
「え……………?」  
 
まだグイッと頭を掴んだまま、レンがハクを見下ろす。  
その目は、さっきステージで見せていた元気な少年の眼差しではなく、  
立派な男の、しかも野獣じみた目だった。  
 
「僕……スイッチ入っちゃったんだけど、責任取ってよ……ね?」  
 
ハクが「まずい」と思ったときは既に遅かった。  
手を掴んでハクの体を引っ張り、便座に押し付ける。  
 
「え、ちょっ……きゃあああぁっ!?」  
 
無理矢理ベルトを外され、履いていたズボンは下着ごと全て脱がされた。  
むき出しになったハクの女性器は、白い肌とのコントラストが映えるピンク色。  
その花弁を割って、凶暴なモノへと姿を変えたレンがハクの中へと入っていった。  
 
「んっ……く!!」  
 
「はああぁぁぁああっ!?!?」  
 
あまり濡れていなかったためか、わずかに痛みを伴いながらの挿入。  
しかしハクもウブなねんねという訳でもなく、意外にもあっさりとレンを受け入れた。  
 
「あ……やぁぁぁっ……抜いてよぉ……」  
 
「そりゃないよ……お姉さんが誘ったんだ、これくらい当然じゃない……?」  
 
「へっ!?そんなっ……!?ああん、あああぁぁぁううっっ!!」  
 
レンの腰つきは、ハクの想像以上に手馴れたものだった。  
最初はゆっくり、次第に緩急をつけてピストン運動を続ける。  
その中で、微妙に腰の動きを変えながら、ハクの反応の違いを楽しんでいた。  
 
「す……っげ、お姉さん……いいよっ……絡み付いてくる……っ!!」  
 
「はああああんっ!!やああぁぁぁぁっ!!うああああ!!」  
 
ハクの肌はすっかり紅潮してきていた。  
玉の汗を額に浮かべながら、リンの動きに翻弄される。  
アルコールの力も手伝って、リンが一突きするたびに、ハクの体にビリビリと電流が走るような感覚が襲う。  
 
「ひんぅぅっ!!や、あああっ!!ダメっ!!こ、れ以上はああぁぁぁあぁ!!」  
 
「く……ううっ!!イクよ、お姉さん……!!」  
 
「ひああぁぁっ!!ダメ、中はっ!!中はダメぇぇぇぇっっ!!」  
 
激しいピストンを続けていたレンが、ハクの腰に自分の腰をピタッと密着させる。  
ピクピクとハクの膣内でレンのモノが跳ね、ハクはなんとも言えない違和感を感じる。  
それは、レンの欲望がハクの中で弾けた、つまるところ中出しされた証拠であった。  
 
「あ……は……はぁ……いやぁ……中で……」  
 
「はーっ、はーっ……良かったよ、お姉さん……」  
 
「やぁ……」  
 
ぴったり密着したまま、レンはハクの額にキスをする。  
狭いトイレの中は、すでに湯気が立ちそうなほど熱い空間と化していた。  
突如の中出しにショックは受けたものの、それをボーっとしたまま受け入れたハク。  
その耳に、レンとは微妙に違う声が入ってきた。  
 
「レンちゃーん?レンちゃーん!!」  
 
レンをトイレの外から呼ぶ声。  
おそらく『鏡音リン』なのだろう、とハクは思った。  
 
「居るんでしょー?入っていいー?」  
 
「うん、ドア開けていいよ」  
 
「えっ!?!?!?!?」  
 
ビックリして体を起こし、チラッとドアノブを見ると、掛けていたはずのロックが外れていた。  
レンの誘いにあっさり乗り、リンがトイレの中に入ってきた。  
 
「あ、いいんだー。こんな綺麗なお姉さんとエッチしてたの?」  
 
入るなり、リンはレンと繋がったままのハクの横腹を撫でる。  
 
「ひゃっ!?」  
 
「ライブ前散々私の膣内に出したくせに」  
 
「しょうがないだろリン、大体僕じゃなくてこのお姉さんが誘ってきたんだから」  
 
「う……………」  
 
何か変な言葉が聞こえてきたような気がしたが、気にしない。  
確かに自分から誘ったので、ハクはレンには反論できなかった。  
 
「……ねー、私も混ざっていい?いいもの持ってきたんだー♪」  
 
「え……?」  
 
リンが、背中から黒光りするものを取り出した  
それは、男性器を模した先端が両端にある、一本の棒だった。  
いわゆる、『双頭ディルドー』である。  
 
「……………何でそんな物持ってんの」  
 
「今日こそレンちゃんのアナルバージン奪おうと思って」  
 
「……………あのなぁ」  
 
(え?ええぇ!?何言ってんのこの子達……!?!?)  
 
リンの口からまたもやありえないような言葉が飛び出している。  
朦朧としているハクを、レンとリンが力を合わせぐるんとひっくり返す。  
レンが便器に座り、その上にハクがまたがり、ハクの尻を入り口側のリンに見せている状態だ。  
 
「まぁいいや、レンちゃんの代わりにこのお姉さんの後ろ、貰っていいかな?」  
 
「……そうだね、それもよさそうだね」  
 
「え!?」  
 
そう言うや否や、レンが両手をハクの陶器のようなつるつるの尻へ持ってきて、ぐいっと割る。  
ハクが慌てているうちに、リンの目の前にハクの不浄の穴がさらされた。  
 
「やああっぁぁ……!!やめてぇぇ……」  
 
「ん?これなんだろ?」  
 
リンが脱ぎ捨てられたハクのズボンのポケットに入っていたスキットルに興味を示す。  
ふたを開けると、ウイスキー特有のツンとした匂いがリンの鼻をついた。  
 
「うわ、お酒だ……そうだ!」  
 
「ひいいっ!?!?」」  
 
何を思ったか、リンはスキットルの飲み口をハクの尻の穴へと突っ込んだ。  
まだ半分以上残っていたワイルドターキーが、ハクの腸へと染み込んでいく。  
 
「あは、トプトプ入ってくよ?」  
 
「ああああぁぁぁぁっっ!?!?熱いっ!!」  
 
ちゅぽっと音を立ててスキットルが抜かれると、わずかに開いた穴へと、リンがディルドーを差し込む。  
 
「……では、いただきまーす」  
 
「あぐああぁあっぁっ!?!?!?ダメっ!!ダメ……!!!」  
 
「それそれー♪けっこうすんなり入っていくよ?」  
 
意外と太いと思われたディルドーも、亀頭を模った先端が入り込んでしまえばしめたもの。  
ハクの不浄の穴は、真っ黒いディルドーを無事飲み込んだ。  
 
「はあああぁぁぁっっ……!?っっあああああああ!!!!」  
 
「あは♪お姉さんのお尻の穴、ぎっちりディルドー飲み込んじゃってるよ?」  
 
「こっちも……っ!!締まっていい感じだよ、お姉さん……」  
 
「あ……かはぁぁぁっ……はっ……あ……いや……」  
 
既にハクの膣を満たしていたレンが呻く。  
前と後を塞がれ、ハクがパクパクと口を開けながら声を漏らす。  
その声には、すでに苦痛よりも快感の成分が多かった。  
 
「ふふ、可愛いよ、お姉さん……そういえばお姉さん、名前なんて言うの?」  
 
「え……は……『ハク』………」  
 
「ふぅん、じゃ、『ハクねーさん』でいいかな?」  
 
「じゃ、私は『ハクねぇちゃん』って呼ぼーっと」  
 
「え……!!!はあああああぁっぁっぁぁ!?!?!?!?!?」  
 
ディルドーの片側を自らの膣に受け入れたリンと、膣側のレンが交互にピストンを始める。  
双子ならではのコンビネーションで、リズミカルに抜き差しを繰り返す。  
抜かれるときの喪失感と、突っ込まれる時の満足感。  
さらには腸粘膜から直接取り入れたウイスキー。  
全てがハクを攻め立て、そしてハクを溶かしていく。  
 
「ひああぁぁぁっ!!当たってるっ!!ゴリゴリ当たってるのぉぉぉっっ!!」  
 
「う……はっ……すっげ……まだ締まる……っ!!可愛い声だね、ハクねーさん……っ!!」  
 
「っっっ!!!!」  
 
一瞬、レンがハクの声を誉めた。  
それだけでハクの意識は「あっち側」へと飛んでいった。  
 
「ひゃあああああぁぁぁぁぁっ!!ダメ、ダメぇぇぇぇっ!!もう……っ!!っあああああ!!」  
 
「無理だよハクねーさん……!!もう、止まん……ない!!」  
 
「いいよ、いいよぉぉっ!!ハクねぇちゃんもいいよね!?いいよねっ!?」  
 
リン、レン共に絶頂が近いのか。  
自然と腰の動きが速くなり、薄い壁一枚隔てたハクの膣内で暴れる。  
 
「ダメっ、私……っ!!もう……イ……っくうううううう!!」  
 
「っは!?いいよ、イっちゃおうよ……!!僕もイきそうだよ……っ!!」  
 
「私も!!私も……っ!!イくよぉっ!!」  
 
「あああああああ!!イく、イっちゃうぁぁぁあああああっっ!!!!」  
 
「う……っく!!」  
 
「はあああぁぁあ……んっ!!」  
 
最後に限界まで口を開けてハクが叫び、体をビクンビクンと痙攣させる。  
ハクの体の痙攣にあわせ、レンは新たな精液をハクへ注ぎ、リンは小さく体を振るわせた。  
 
「っは、はー……はー……はー……あ……」  
 
潤んだ瞳、真っ赤になった顔、だらしなく開けた口。  
半分気を失ったハクは、ぐったりとレンに体を預けた。  
 
「あ、そうだ」  
 
思い出したようにディルドーを抜いたリンは、ハクのズボンのポケットを探る。  
やがてハクの携帯電話を取り出し、自分の携帯電話へとハクのアドレスを赤外線通信で送った。  
 
「これで終わりなんて……惜しいもんね」  
 
荒い息をハクの耳に吹きかけながら、リンがささやく。  
 
「これでまた会えるね、『ハクねーさん』」  
 
「あ……………」  
 
続いてレンも、ハクの頭を撫でながらハクへと言葉を掛ける。  
それは天使のささやきか、それとも悪魔の誘惑か。  
ハクは、レンに抱かれながら意識を手放した。  
 
 
 
―――――――――数ヵ月後。  
 
「レン!リン!この後のスケジュール話すわよ!」  
 
テレビ局の楽屋に入ってきたハク。  
黒いスーツに身を包み、手にはぎっしりとスケジュールが書かれた手帳を持っている。  
 
「この歌撮りが終わったら次は2時から雑誌のインタビュー、5時からボイストレーニングね!」  
 
「「えーつまんなーい」」  
 
「わがまま言わないの!あんた達は今ががんばり時なんだからね!」  
 
ハクは、楽屋でごろごろするリンとレンを諭す。  
まだシングル一枚のみのリリースしかしていない新人の『鏡音リン・レン』だが、  
今や先輩のミクを落としかねない勢いの人気を得ていた。  
……その二人のマネージャーとして、当人達の強い要望で抜擢されたのが何を隠そう、ハクだった。  
シンガーソングライターの夢は断たれたが、今ではそれなりに満足しているようだった。  
 
「じゃあさ、『ハクねーさん』」  
 
「えっ……」  
 
レンの言葉のトーンが変わる。  
 
「後で……ちゃんと『ご褒美』、くれるよね……?」  
 
「あ……」  
 
「あ、私も私もー!!」  
 
一見無邪気なお願いに、ハクは顔を真っ赤にして頷いた。  
 
『レン君ー!!リンちゃーん!!スタンバイヨロシク!!』  
 
「「はーい!!」」  
 
ハクは固まって立ち尽くしたまま、リンとレンを見送った。  
 
 
 
――――――――――楽屋のモニターから、リンとレンの歌声が聞こえる。  
その声を聞くだけで、ハクの子宮が疼いた。  
 
 
仕事の後の『ご褒美』に期待しながら。  
 

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