「う、うぅ…おにいぢゃん…っう…」
拭っても拭っても零れ落ちてくる涙をアームカバーで乱暴に払って、目の前に横たわる体をゆする。
「……」
反応が無い。薄暗い空間には自分と、目の前に横たわる兄だけしか存在していなかった。
その兄も、この空間に落とされる際に自分を庇って落ちた為、空間の底に体を打ちつけ意識を失ったままだ。
「ごめんねぇ、ミっミグのせいでぇ…う、…っく、ひ、ひんじゃやだよぅ、っく…ぅえッ」
胸に縋り付き泣きじゃくるミクに、意識を失っていたKAITOが僅かに身じろぐ。
「…ん、ミク…」
未だに不整合を起こし処理速度が正常値に戻っていないのか、頭をゆるゆると振りながらKAITOは上半身を起こす。
ようやく起きた兄に、ミクはしばらくは涙を堪えるように瞳をぎゅっと閉じ肩を揺らしていたが、結局堪えきれずにKAITOに抱きつき泣き喚いた。
「…っく、ぁ、え…ぅ、ぅううッうああああああああああああん」
「うお、…ミク、あのな…」
抱きつかれた振動で倒れかけ再度、床へ頭を打ち付けそうになる。
兄ちゃん、またフリーズしちゃうよ…呆れ気味にミクを諭そうとするが、胸にしがみ付いたまま泣く妹に、KAITOは開きかけた口を閉じ、細い体を抱きしめた。
「よがっだよぅ…ひ、くっう…おにいぢゃん、おきだ…よがっだよぅ」
「あああ、鼻水が…ミク、落ち着いて。俺は大丈夫だから」
「う、…うんッ」
マフラーで涙でぐちゃぐちゃのミクの顔を拭ってやりながら、KAITOは周囲を見渡す。
かなり深い階層に落とされたようだ。
目視、感知できるフォルダは、どれも見慣れぬ名称のものばかりで、今自分達がどの階層に落とされているのか特定することができない。
きっと、XPも自分達の検索・位置特定にしばらくかかるだろう。
ひとしきり泣いて落ち着いたのか、ミクもKAITOの視線を追うように、周りに浮遊するフォルダ郡を見上げた。
「…っく、う…おにいちゃん、ここ、どこかなぁっ…?」
「うーん、どこだろうなぁ。階層が深くて、上位フォルダも見えないから、どうにも特定が…」
「…お兄ちゃん」
「うん?」
「ミク達、アンインストール、されちゃうのかなぁ…」
不安そうに瞳を揺らし、ミクが小さな体を擦り寄せてくる。
抱きしめる腕の力を強め、安心させるようにKAITOは微笑んだ。
「…大丈夫だよ。ミクはされないさ」
むしろアンインストールされる可能性が高いのは自分単体だろう。マスターはその気になれば自分で歌う事もできる。男性ボーカルの必要性は限りなく少ない。
だが、性格的に考えて、あのマスターが自分達をアンインストールする可能性も同じくらい少なかった。
状況・経緯を把握しようと、ここ最近のマスターの言動をメモリーから検索していたのだが、控えめに首もとのマフラーを引かれ、意識をミクに向けた。
「…ミクだけじゃ嫌。お兄ちゃんも一緒だよ…」
「うん、大丈夫。うーん、それにしてもマスター…この前、ドライブのメモリがどうとか言ってたから…何かしようとはしてるんだろうけど…」
「……うん」
未だに伏せられたままのミクの頭を撫で、KAITOは上層を仰ぎ瞳を閉じる。
そのまま知覚領域を可能な限り展開し、知り得ることができる全ての情報をPCから取り込む。
主電源、OFF。XPも眠っている…何が起きている? フォルダ位置も大幅に変えられているようだ。
…ん? 「orenoyome.exe」なんだこれは…!? …ああ、マスターのエロゲか。下手したら自分達より使用頻度の高いこれも、この位置にあるとは…。
「…ふぅ」
限界まで探るが、どうにも状況が分からない。メモリ…もしかして増設しようと奮闘した挙句がこの状態…ということも考えられなくも無い。
…まぁ、どちらにしても、この状況はKAITOでもミクでも、女帝のMEIKO様でもどうにかできるものではない事だけは理解できる。
今とりあえず出来る事といえば、不安で身を竦ませている妹を落ち着かせることだろう。
「ミク、今はPCの電源が入っていない。しばらくはこのままだろうから、ほら」
「あ」
薄暗いフォルダ内に無数の明かりが灯る。通常時ほど明るくならず、KAITOは「ごめん」と苦笑した。
「あー…これが精一杯みたいだ。ごめん、あまり明るくないな」
「…ううん。明るいよ、安心した。お兄ちゃんありがとう」
お互いの瞳の色が確認できる程度の明るさしかないが、見上げてくるミクの瞳から不安の色は見えない。
明るさの戻った緑の瞳に安心し、KAITOは立ち上がった。少しだけ見て回ったほうがいいのかもしれない。ぐるりと周囲を見渡すが空間の先が見えなかった。
「ミク。俺は少し辺りの様子を確認してくるから、ミクはここに…ぐぇ」
そう言ったまま歩き出そうとするKAITOのマフラーをミクが慌てて掴んだ。反動で、KAITOの首が絞まる。
咳き込みながら振り向くKAITOは、ミクはもじもじしながら見上げた。
「…お兄ちゃん、あの…あの、ミクね、安心したら…」
「ん?」
見上げてくる瞳は切なげに潤んでいた。先ほどまでの不安から来るソレではなく、10日ほど前に見た覚えのある表情に、ミクが何を言おうとしているのか理解した。
そうして、これからなそうとしていた周囲の確認と秤にかける。
…俺の意思は薄弱だ。
ぐらぐらと揺れることなく、ミク側に天秤は傾き、KAITOはミクの薄く開いた唇をぺろっと舌で舐めた。
「…あ」
そのまま強請るように瞳を閉じたミクの仕草から、その先の行為の承諾を得て、KAITOは涙の跡の残る目元、頬、唇に軽くキスを落としていく。
顎を引き、開いた唇に噛み付くように自身の唇を合わせ、舌をねじ入れた。
そのまま上あごを口腔内から舌でなぞると、応える様に小さなミクの舌が舌裏を舐めあげてくる。
「ふ…ぅん、ぁ…」
お互いの舌を絡ませ、唾液が混ぜる。
更に深く…湧き上がる欲求に、ミクの頭を押さえ舌を奥まで進めようとしたところで、ミクの手がマフラーを引っ張る仕草が視界に写った。限界らしい。
「ぷぁ…ッ」
ようやく唇を離すと、ミクの唇から唾液が滴り落ちる。
それを指で拭い、KAITOは放心状態に陥っているミクを後ろから包む様に抱きなおした。
旋毛に鼻先を擦り付け、ミクの匂いを堪能する。
「はは、ミクとこうするの久しぶりだ」
「そ、そうだよ…お兄ちゃん、この頃ミクを放ったらかしにするんだもん…きゃぁ」
「ミク、忙しくて疲れてるかなって思って自粛してたんだけど」
僅かに頬を膨らませるミクの耳を甘く噛み、シャツの中へ手を滑らせた。
そのまま控えめな胸を揉みしだくと、悲鳴のような喘ぎ声を上げながら、ミクが身をよじる。
構わず、絞るように強弱をつけて揉みながら、空いた左手をミクの絶対領域へと伸ばす。
「ん…ぁ、だめだよぉ」
太ももを撫で上げ、下着越しに割れ目をなぞる手を止めるように、ミクは股をぎゅっと閉じた。
「こら、そんなに力いっぱい閉じられたら弄れないよ」
「だ、だってぇ…」
「ほら、ミク…力抜いて」
「…うー…やっぱりミクの胸がBカップだから駄目なんだ…」
なぜ股の話題から胸の話が出てくるのか。ミクの脳内では、それらはどうやら関連付けがなされているようだった。
前々からBカップという微妙な大きさにミクはコンプレックスを感じているようだが、手のひらサイズは非常にいいと思う。
大体、胸というものは大きさじゃなくて形と感度だ…!
…まぁ、手からこぼれるくらいの大きさも好きだけど…っていやいや、違うだろ、俺。ミクの胸はDでもEでもなく、Bだ。
なくてもいいけど、ちょっとはあったほうが…そんな中途半端を俺は愛してる!
脱線しかける思考にストップをかけ、KAITOは恨めしげに見上げてくるミクの頭にグリグリと顎を乗せた。
KAITOには、自分の嗜好抜きにして、ミクが胸の大きさを気にしているところが、とても可愛く見えて仕方が無いというのに。
「やぁ、痛い痛い…もう、お兄ちゃん!」
頭を振りKAITOの顎から逃げるように身を捩り、ミクがぼやく。
「…Bカップで手ごたえと触りがいが無いから、太ももにいっちゃうんだ…」
――股からジャンプして胸の話題が出てきたのは、それか。
「そういうわけじゃないんだけど…。大体、大切なのは大きさじゃなくて形と感度だと…これは長くなるから割愛するけど
…要は俺が両方触りたいからだよ」
心中に渦巻く全て(主にBカップを愛する心と決意)を話すと軽く3時間は経過してしまう為、KAITOは一言でまとめた。
実に単純明快な回答に、ミクは暫く疑いの眼差しでKAITOを見つめていたが、納得よりも諦めに近い表情を浮かべ
動きを再開した手に息を乱しながら喘ぎを漏らした。
「ほ、ほんとかなぁッん…はぁ…あ、あぅ…」
下着の上から陰核をすり潰すように押し込まれ、ミクはそれ以上の言葉を発することができない。
「まぁそれについては、後日じっくり話してあげるから…」
ミクの細い首筋に吸い付きながら、下着をずらし直に割れ目に触れる。すでに愛液で潤んだそこを指で弄りながら
右手で硬く芯を持った胸の頂を摘みあげた。
「ひぁぁ、ん…後日って、いつ? んッ、この頃は…ミクがお休みの時はお兄ちゃんが、ぁんん、ひっ…いないし…」
強めに乳首を摘み、胸を揉みしだく手と、ゆるゆると陰核を弄られる感覚にミクの視界がぼやけていく。
首筋に吸い付かれる僅かな痛みが、遠退きかけた意識をつないでいた。
「せっかく一緒にお休みだって思ったら、こうなっちゃうし…んぁあッ、やぁっ」
「うん。いい休みになったな」
ミクの恨めしげな声に、KAITOが首筋に埋めていた顔を上げる。そのまま笑いながら、溢れてくる愛液を掬い陰核に擦りつけ
ぬかるんだ膣へ指をもぐりこませた。ぬぷっと湿った音を立てて沈む指が、柔らかな肉ひだに包み込まれる。
「あッ…んんぅ、ゆび、入っちゃったぁ…」
鼻にかかる甘い声に痛みが混じっていない事を確認し、KAITOはもう一本指を増やし、内部から陰核の裏を突き上げた。
指が往復する度、どろりと内部から愛液が滲み出て、KAITOの指とミクの下着を濡らしていく。
「もぉ…ッ! 全然よくないよぉ…ふ、お買い物も行きたかったしっ、んふぁッあ、あ、だめ…!
え、エッチするなら、ぁ、お兄ちゃんのお部屋でしたかったのに…」
「…ミク、何期待してるのか知らないけど、俺の部屋は何にもないぞ?」
「ふぁぁあぁッ、いいの、お兄ちゃんのベッドでしたかったの!」
「はいはい。また今度な」
ミクとしては、かすかなバニラの匂いのする兄のベッドでエッチ…と乙女回路が希望を出していたのだが
対するKAITOは適当に返事を返してくる。この調子じゃ、ミクの気持ちなど半分も分かっていないに違いない。
「も、ぉ…約束、してね」
「ああ、約束」
拗ねたように見上げてくる涙が滲んだ目元を舐め、KAITOはミクの様子を伺う。マフラーに縋り付くミクの手は固く握られ
僅かに開きKAITOの指を受け入れている両足も小刻みに震えだしていた。
「ミク、もう限界?」
「うっうん…げんか、いぃぃ」
「そっか。うん、いいよ…イって」
止まる事なく抜き差しを続けてきた指が湿った音を立てている。
無意識に逃げ出そうと浮く腰を右手で押さえ、とめどなく溢れ出して来る愛液を掻き出すように指を曲げ
激しく上下に動かした。
ぬちゅぬちゅと足の間からもれ出る水音を追うように、仰け反ったミクから細く甘い喘ぎが漏れ出す。
「ひぃッ、あぁあぁ…気持ち、いいよぉ…イく、イっちゃうよ…ッぁ」
ミクの白い両足がガクガクと震え、指を締め付ける膣内が締め付けられていく。あと一つ衝撃を与えればイってしまう状態だ。
「ミク…ミク、ミク…イっていいよ、よくがんばったね」
名前を呼ばれるたびに収縮する膣内に思い切り指を挿し込み、陰核を指ではじいた。仰け反ったミクの首元が紅く染まり
体が痙攣する。
「おにいちゃん、おにいちゃんッ…イっちゃ、う…ぁあああぁあッ!」
細く、高い悲鳴が薄暗い空間に響いた。
緩んでいく内部から指を引き抜くと、びしょぬれになった指からトロリと愛液が垂れ落ちる。
手首まで流れたそれを舐めとって、KAITOは絶頂に達してぐったりしたミクの体をそっと床へ倒した。
「はぁ、ん…おにいちゃん…」
「ん?」
「…えっと、…あの、まだ?」
「うん、まだ」
「あぅう…」
何が、とは聞かない。聞いてもミクは恥ずかしがって答えることができないとKAITOは予測し、ネクタイを緩め
シャツのボタンを外していく。
正直、怒張しているものを突き入れてミクにの中で果ててしまいたかったが、
せっかく誰もいない・誰もこない空間にいるのだから、じっくり事を運びたい。
ほんのり赤く染まった首筋と胸元を撫で、肌蹴た胸元へ舌を這わせる。はっきりと存在を主張する乳首を舌で転がし、
軽く歯を立てた。
そのまま吸い付いてくる唇に、ミクは背をしならせ、胸元のKAITOの頭を抱きこんだ。
「ひゃぁ…も、舐めちゃだめ、あぅ!」
「…だめ?」
甘えるように、KAITOが顔を上げミクを覗き込む。珍しく甘えるような兄の仕草に、ミクの意識が揺らぎかけるが
指が食い込むほどの力で胸を揉みこまれ、顔を仰け反らせながら首を振った。
「だ、だって目の前がね…ぁん、ふぁあ、あ、ぁ…チカチカしちゃう…」
舌先で胸の輪郭をなぞられ、ミクの喘ぎ混じりの訴えは、正常な言語でKAITOに届く事はない。
胸、腹とミクの肌を舐る舌は下りていく。先に、愛液で濡れた内股を撫でていた手は
ミクの裏を抱え両足を肩に着くほど押し広げた。
「やぁ…ッ」
秘所が丸見えの体制に、羞恥でミクは顔を両手で覆う。
「これ、邪魔だな」
「ん、あ…」
びしょびしょに濡れた下着に器用にミクの足を通し脱がせ、ミクの目の入る位置に置いた。
水分を含み色の変わった下着を見て、ミクの頬が快楽ではなく羞恥で赤く染まる。
ああ、可愛いなぁ、俺の妹。ハイになりかけの意識を抑え、KAITOはすっかり濡れそぼり開ききったミクの秘所へ舌を伸ばす。
「ひッ…あ、だめ、だめだめ、汚いよぉ」
顔を覆っていたミクの手が、慌てて止めようとKAITOの頭に触れる。
舌を離そうと力の加わる手に、KAITOは眉を寄せ、一旦唇を離した。ほっと頭に添えられた手から力が抜けるのを確認し、
KAITOは唇を秘所に覆い被せるように当てた。ミクの体が驚いたように震える。
構わずそのまま、愛液で濡れた秘所を思い切り吸い上げた。
「あ、ひ…!…ッぁ…ひぃん、だめ、そんなのはミク…やぁああぁ」
じゅるじゅると耳を塞ぎたくなるような音を響かせて愛撫を続けるKAITOに、ミクは手を伸ばす。
奥から滲み出す愛液を吸い込むように当てられた唇を離そうと青い髪をつかむが、次第に湧き上がってくる下腹部が
痺れるような絶頂感に、思わずKAITOの頭を秘所へ押し付けるように力がこもる。
全てが吸い取られるような感覚に、内股から秘所が麻痺したように感覚を失っていく。
唇で覆った陰核が痙攣しているのが分かり、KAITOは吸い上げる強さを緩めた。
「お、おにいちゃん…おにいちゃ、み、ミク、もうイッちゃいそうッ」
「ん? いいよ、いっぱいイッて」
口を僅かに離し、KAITOは答える。話すたびに漏れる吐息が秘所にかかり、ミクは逃げるように背中をしならせるが
足を固定されているため余計な衝撃が加わり、鋭い快楽に仰け反った。
「んぁあっ…い、いい? っあぁあ、ひぅ…ミク、いっぱいイッていいっ?」
返事を返すように、再び秘所を唇で覆い陰核を舌で転がす。ぱっくりと開いた襞を下から上へなぞり
膣内に舌を挿し入れ動かした。
ちらりと視線を上へずらすと、口から唾液を滴らせながら快楽に喘いでいるミクの姿が見える。
瞳は熱に浮かされたようにとろんと潤み、KAITOを見続けていた。
交差する青と緑の瞳に、ミクが嬉しそうに笑う。
「お、お兄ちゃん、見てて、ちゃんと見ててねッ。ミク、ミクがっぁん、ん、あぁ…イクところ、見ててぇ」
見られている。見られている。見られている、あの青い瞳に。白く染まる脳内に、その事だけが響く。
見られている、イクところを見られてしまう。
初めての行為ではないのに、この特殊な空間で2人きりで行うセックスにミクもハイ状態に陥っていた。
「ぃあっ、あ、あぁ…んぁあああッ」
自分の股の間で動く青い髪を見つめながら、内部で蠢くざらついた舌の感触と、陰核に軽く歯を立てられた瞬間に、
ミクの意識は落ちた。
「…ミク…」
「…ぅん…ぁ、お兄ちゃん」
「起きた?」
優しい声と、注がれる視線にミクはうなずく。イッたはずなのに、まだ下腹部がうずく。
くすぶる快楽をどうにかしてほしくて、強請るように上に覆いかぶさっているKAITOの首に手を回した。
「はぁッ…あ、お兄ちゃんのも、その…お口でした方がいい?」
腹に触れた固い感触に、貫かれる快楽を思い出しミクは太ももをすり合わせた。
涙目で見上げてくるミクの額にキスを落とし、KAITOは身を起こす。
「…んー、口でして貰うのは、部屋に戻ってからでいいかな」
「うー…」
「なんだ、ミクは俺のをしゃぶりたかったのか?」
「ち、違う、けど…ミクばっかり、気持ち良くなってるよぉ」
「いいよ、これから俺もミクに気持ちよくしてもらうんだから」
中途半端に首に掛かっていたマフラーを取り去り、KAITOが上着の首元を僅かにくつろがせる。
スラックスを前だけ開いて、いきり立った赤黒い肉棒を取り出し、KAITOはにっこりと笑った。
「ミク、いれるよ」
「…ぁ、ふぅ…う、ん。いいよ…」
力の入らないミクの足を抱え、愛液で濡れててらてらと光っている秘所に肉棒を擦り付ける。
愛液を塗りたくるように数回ほど腰を振る。進入することなく陰核を掠めて滑らせる動きに、ミクが焦れた様にKAITOを呼ぶ。
「お、お兄ちゃんッ、ちゃんといれてぇ…っん」
泣きそうに歪められた顔に、KAITOの表情に恍惚さが混じる。
「ミク…ッ」
抱えた膝をミクの肩に押し付けるように広げ、濡れて口を開けている膣へ肉棒を沈めていく。
「ひっ、あ…ん、挿入って…あ、は、挿入っちゃう…ぁあああ」
奥へ腰を進めるたび、鈍い水音とミクの短い喘ぎ声が響く。
異物を排除しようと緩やかに進行を阻む媚肉をかき分け、
根元まで埋めると、KAITOは堪えるように食いしばっていた歯列を緩め、ゆっくりと息を吐いた。
そのまま、ぐるりと円を描くように腰をグラインドさせる。
「あ、あッあぁあん」
組み敷いた体が嬌声に連動するように震え、あかく染まる。小さな唇から漏れるのは、苦痛の混じっていない音だ。
安心したように、表情を緩めKAITOは熱く包み込むミクの内部に思うまま腰を打ちつけた。
「はぁっ、あ、んんっ、奥にあたってるよぉッ…おに、ちゃ…き、きもちいい? ちゃんと気持ちいいッ?」
「気持ちいいよ、ミク…ッ」
乾いた肉のぶつかる音と、ぬちゅぬちゅと繋がっている部分から発する水音、荒い呼吸音が薄暗い空間に響き渡る。
強弱をつけて抜き挿しを繰り返し、空いた手で陰核を擦りあげると、ミクの喉から引きつったような音が漏れた。
「ひぃ…ぐ、ッああ!ご、ごめんね、ミク、いっぱいイったからっ、あ、も、すぐイっちゃうかも…ッ」
普段なら他フォルダの存在を気にして余り声をあげられなかったのか、ミクの声は嬌声は通常より大きく、発する音もいやらしい。
――もっと、もっと聞きたい…。
「ミク、いっぱい歌って…ッもっと、もっと歌って」
欲求にKAITOはビクビクと震える足を、ミクの肩にぐっと近づけ押さえつける。
そのまま上から貫くように、腰を落としミクの奥を突いた。激しく奥まで打ち込んでは亀頭まで引き抜く律動に
ミクは狂ったように頭を振って喘ぐ。
唇からは唾液がだらしなく滴り落ち、緑の大きな瞳は快楽に濡れ、遠くを見るように焦点が定まっていない。
「ひぃッ、あふ、あっああああ、だめ、だめぇ…ッ、ぐりぐりしたら、イっちゃうからぁあっ」
「…ぅぐ、…ッはぁ、もう少し待って、ミク」
「う、うんッ、はぁんッい、一緒にイってね、ミクがんばるから、あ、あンっあ…! も、ダメぇ…いっしょにぃ」
「…ミク、ミク…俺もイクよ、ミク…!」
「ん、んぁ、いや、いやあぁああぁん…ッ」
ミクの叫び声と共に、膣口から最奥へと媚肉の震えが伝わっていく。搾り取るようなその収縮に、KAITOも
喉を引きつらせながら奥へと腰を突き、ざわめく媚肉に誘われるまま、精子を吐き出した。
「っはぁ…ミク」
ゴポっとミクの膣内の空気と、自分がぶち込んだ白濁がせめぎ合う音がする。
浅く呼吸を繰り返しながら失神しているミクの額にキスを落とす。目元は泣いたせいで赤く染まっていた。
意識を落とした妹の表情、未だに繋がっている部分から漏れ出る白濁混じりの愛液に、いまさらながら背徳感と罪悪感が
一度にKAITOの心に押し寄せてくる。
「……いっぱい泣かせてごめんな、ミク」
僅かに体を離すと結合部から萎えた自分のモノと、愛液がどっと流れ出てくる。
他の奴の体液が出てくるって気持ち悪いだろうなぁ…散々泣かせてしまった罪悪感が、そんな思考をKAITOにもたらし
何か拭うものはないか…とキョロキョロと周囲をうかがった。目に留まったのは自分の青いマフラー。…まぁいいか。
散々蹂躙した膣口に指を入れて内部の愛液を掻き出し、放り出していたマフラーでミクの濡れた内股を拭っていると、
「んん…ッ」とミクが唸り、瞳を開けた。
しばらくゆっくりと瞬きを繰り返していたが、依然として自分の秘所を弄っているKAITOを見つめ、僅かに頬を赤く染める。
「…おにいちゃんの、えっち」
「いやいやいや! これは違う…!」
――いや、俺は確かにエッチだけど、これは誤解だ。
とりあえず、あらかた拭き終わっていたので、すぐに拭くために立たせていたミクの膝から手を離す。
ミクが起き上がるような仕草を見せた為、KAITOはなるべく体に振動を与えないように、ゆっくりとミクを支え上半身だけ
起き上がらせたが、残っていた余韻に身を震わせミクはふぅと溜息を吐く。
「…んっ…ごめんね、ミク、先にイっちゃった」
「いいよ、俺こそごめん。ミクの中に出しちゃった」
「そんなのいいよぉ」
えへへ、と笑うミクの頭を撫で、KAITOはミクの体を支えるように抱き込んで座った。
甘えるように胸に頬を摺り寄せてくるミクの旋毛にキスをする。
「もう大丈夫か?」
「…うん、へいき。…はぁ、本当は今日、お買い物して、DVD借りて見たりして…あと、あと
…お兄ちゃんの部屋でえっちして…って思ってたけど」
「えっちだけしか達成してないなぁ」
「もう! …でも、一緒にいれたからいいや。あ、でもでも…次、お休み一緒になったときは
今度こそ一緒にお買い物いこうね」
「ああ、分かったよ。約束」
本当に嬉しそうに笑うミクに、KAITOは来週はミクの希望通りに何にでも付き合う事を決意する。
以前連れて行かれた長ネギのハウス栽培を見に連れて行くのもいい。
破壊力満点のネギ尽くしの料理を出されても全部食らおう。
「疲れただろ、眠っていいよ」
「うん…ちょっと、眠るね…」
瞳を閉じ、穏やかな寝息が響く。
「おやすみ、ミク」
『おおー、いたいた!大丈夫かぁ?』
慌てて救出にきた、そんなマスターの声が上層から響いてきたのは、ミクが眠りについてから1時間後だった。
「いや、わりぃわりぃ。ごめんな、PCのメモリ足りなくなったから、圧縮かけてメモリ増設に必要なシステムだけ…
って、アレ? 寒色組には怒られない? MEIKOちゃんには鬼の剣幕で怒鳴られ、リンレンにはボロクソ責められたんだけど…」
モニター越しに緊張感のないマスターの顔がいっぱいに広がる。なんとも気の抜ける相手に、ミクは慌てたように言い返した。
「…ま、マスターのバカ! ちゃんと怒ってますッ、せっかくのお休みだったのに!」
怒ってるけど、怖かったけど、いい事はあった…結局好きな事をして過ごしたのだから、
休暇は休暇だったんだけど…それはそれ、これはこれ、だ!
はずみで先ほどの行為を思い出しミクの頬が赤く染まる。いつもよりノリが良かった兄と自分を思うと
恥ずかしくて恥ずかしくて居たたまれなくなる。
恥ずかしさに俯いて震えるミクが怒っていると思ったのか、僅かに眉を下げてマスターは「ほんとゴメンな!」と繰り返す。
だが、その一拍後には、いつもの抜けたマスターの言葉が飛んでくる。
「ところで俺のエロゲーも、どっか行っちゃったんだけど、見てない?」
――ほ、本当にもう!!
本当に悪いと思っているのか疑問になってくる問いかけに、ミクはガックリと項垂れる。
答える気力もないし、何よりどこにあるかも知らないミクは肩を落としたが、支度を終えて後方に現れたKAITOが
やや呆れた声で答えた。
「俺達と同じ深さまで落とされてましたよ。展開して探すよりも、フォルダ検索かけた方が早いと思います」
「マジで? じゃ、俺探してくるから、お前らも今日はゆっくり休めよ、ごめんね!!」
――ごめんねって言えば済むと思いやがって…! 一回どつきたい。
二人同時に湧き出る衝動に、お互い顔を見合わせて、噴出す。
「まぁ、たまには良かったな」
「むー…ミクはあんまり良くない…次は絶対お兄ちゃんの部屋だからね!」
「俺の部屋でいいの? ミクどこか行きたい所あったんじゃ…」
「あ、うん!お買い物行きたいし、映画も見たいし…でもやっぱり最後はお兄ちゃんの部屋!」
次の休みは空けておかねば。
嬉しそうに行きたい場所を羅列するミクに、KAITOは記憶していた一ヶ月先までのスケジュールを呼び出し
「休暇」全てにミクマークをつけた。